長澤 徹明, 井上 京, 梅田 安治, 宗岡 寿美, 山本 忠男
水文・水資源学会誌 10 5 477 - 484 水文・水資源学会 1997年09月
[査読有り][通常論文] 北海道中央部の水田地域を対象として水質調査を実施し,水田水利用による水質環境への影響について検討した. 調査対象3地区における水田用水には人為的汚濁源が少ないため,水質は比較的良好であった.用水/排水の関係をみると,N, P濃度・負荷とも[用水]<[排水]となるなど,これらの水田群では[排出型]を示した. また,水田排水の水質は時期的変動が大きく, N, P成分の形態変化も著しい.このとき,施肥直後に流出するN, Pは明らかに肥料成分である.一方,水稲生育後期には,田面水中,土壌中に蓄積されていた有機態成分が落水,中干しなどを通して無機化し,再び汚濁負荷源として流出することが示された. 以上のように,水田からのN,Pの流出は,時期的に限られるものである.よって,水田からの肥料成分の流出を抑制するためには,施肥時期,水管理の方法のみならず肥料の利用効率の向上などについても再検討が必要である,などの知見を得た.