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研究者情報

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アカウント(マスター)

  • 氏名

    佐藤 知己(サトウ トモミ), サトウ トモミ

所属(マスター)

  • 文学研究院 人文学部門 言語科学分野

所属(マスター)

  • 文学研究院 人文学部門 言語科学分野

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プロフィール情報

学位

  • 文学修士(北海道大学)

プロフィール情報

  • プロフィール

    佐藤知己著『アイヌ語文法の基礎』に対する書評へのお答えを下記「アイヌ語学の諸問題」に述べてあります。

    アイヌ語に最初に興味を持ったのは小学二年の時です。百科事典で「鮭という単語はアイヌ語に由来する」という記事(田村すず子先生執筆)を読んだことがきっかけです(宿題として出したら、白髪眉雪の上野武雄先生という校長先生が「君はなかなか、おもしろいことに興味を持つんだねえ。」とホメてくれました。その後、学校の先生から褒められた記憶は、あんまり、ないですね)。以下は最近の研究の簡単な紹介です。コピーの入手その他、ご興味のある方はご一報下さい。

    「アイヌ語学の諸問題–近年の議論と関連して」『北海道大学文学研究院紀要』165:1-29 2021年12月(主に佐藤のこれまでの研究について提起された疑義に対する反論、または補足説明を述べたもの。アイヌ語の深い理解が必ずしも希求されていないアイヌ語研究の現状と、なぜそのようなことが起きるのかについて、具体的な例を挙げて述べる。)

    「名詞所属形を用いたアイヌ語の所有構造について」『津曲敏郎先生古稀記念集』201-213 2021年3月(日本語では困難な「シャクシャインiが彼iの手を引っ込めた」のような同一文中における代名詞指示がアイヌ語ではなぜ可能であるのかという問題、および所属形の所有者の定性の問題を、主要部表示型言語としてのアイヌ語の構造の面から論じたもの。)。

    「アイヌ語千歳方言の位置名詞orの用法」『北方言語研究 』(11) 81 - 98 2021年3月(アイヌ語の位置名詞がなぜ普通名詞と異なり目的格人称変化をするのか、また、人称変化しているにもかかわらず語幹が概念形のままで所属形にならない場合があるのはなぜか、という問題を抱合、擬似抱合と関連付けて説明したもの。これまでのアイヌ語像を再検討する論考。)

    「アイヌ語千歳方言におけるわたり音化とわたり音挿入について」『北海道大学文学研究院紀要』 (163) 23 - 43 2021年3月(アイヌ語には母音連続を避けるための方略が多数存在し、派生や合成における音韻的規則は複雑を極める。これらを合理的に説明するためには1)アイヌ語学における従来の「音素」という概念を根本から見直す必要がある、2) アクセントの存在や位置を指定するだけでは現象の根本的理解には不十分で、韻脚(foot)という概念の導入が不可欠であること、の二点を主に主張した論考。)

    「アイヌ語のおもしろさ」『時空旅人 アイヌと北の縄文』64-67. 東京: 三栄.  2020年5月(アイヌ語の未知の特徴を論理学の観点から明らかにし、一般向けに紹介したもの。)

    「アイヌ語における文法的カテゴリーの転換について : 語と句、動詞と名詞の相互関係をめぐって」『北方言語研究 』(10) 219 - 230 2020年3月(合成名詞と抱合、抱合と転成の相互関係を通してアイヌ語の文法的特徴を述べたもの。)

    「アイヌ語古文献における仮名の用法 」『北海道大学文学研究科紀要』 (154) 73 - 99 2018年3月(古いアイヌ語の記録に表れる仮名表記の特徴を明らかにし、アイヌ語古文献の年代推定において有力な手がかりになることを論じたもの。)

    A Classification of the Types of Noun Incorporation in Ainu and its Implication to Morphosyntactic Typology
    Crosslinguistics and Linguistic Crossings in Northeast Asia 83 - 94 2016(アイヌ語の重要な文法現象として抱合が知られているが、抱合の可能性が尽きた後、さらに擬似抱合という別のカテゴリーの現象が現れることを論じ、同様な現象が他の言語にも存在する可能性を述べたもの。)

  • 佐藤, サトウ
  • 知己, トモミ
  • ID各種

    200901010900212210

業績リスト

研究キーワード

  • 北方諸言語   アイヌ語   General Linguistics   Ainu and Northern Languages   

研究分野

  • 人文・社会 / 言語学

委員歴

  • 2018年01月 - 2023年12月   日本歴史言語学会   理事(副会長)

論文

  • 佐藤 知己
    エネルゲイア 48 1 - 22 2023年04月 [査読有り][招待有り]
  • アイヌ語の動詞の結合価と3項動詞
    佐藤 知己
    北方人文研究 16 37 - 64 2023年03月 [査読有り]
  • 北海道大学キャンパスガイドマップ」のアイヌ語併記作業について ── 翻訳と脱植民地化に関する議論をめぐって ──
    佐藤知己, 北原モコットゥナㇱ, Silja Ijas
    アイヌ・先住民研究 2 75 - 101 2022年03月 [査読有り]
  • Anna Bugaeva, Tomomi Satō
    International Journal of Eurasian Linguistics 3 2 171 - 216 2021年12月21日 
    Abstract This paper presents a newly discovered glossary (230 items) of Northern and Southern Kuril Ainu recorded by the captain Vasily Mikhaylovich Golovnin in 1811 and stored at the Russian National Archive of the Navy in St. Petersburg. Based on this new document we argue that Southern Kuril has a much closer lexical resemblance to Northeastern Hokkaido Ainu than Northern Kuril. On the other hand, we reaffirm that both Southern and Northern Kuril Ainu constitute a really separate Kuril group because they show a number of lexical, phonological and grammatical features, which are different from Hokkaido Ainu.
  • 佐藤 知己
    北海道大学文学研究院紀要 165 1 - 29 北海道大学 2021年12月08日
  • 佐藤 知己
    北海道大学文学研究院紀要 163 23 - 43 北海道大学 2021年03月31日
  • BUGAEVA Anna, SATO Tomomi
    北方言語研究 11 181 - 212 日本北方言語学会 2021年03月20日 [査読有り]
  • 佐藤 知己
    北方言語研究 11 81 - 98 日本北方言語学会 2021年03月20日 [査読有り]
  • 名詞所属形を用いたアイヌ語の所有構造について
    佐藤知己
    津曲敏郎先生古稀記念集 201 - 213 2021年03月 [査読無し][通常論文]
  • 蝦夷記のアイヌ語申渡文における仮名の用法
    佐藤 知己
    日本語文字論の挑戦 344 - 359 2021年03月 [査読無し][招待有り]
  • 佐藤知己
    北方言語研究 10 219 - 230 2020年03月 [査読有り][通常論文]
  • The Study of Old Documents of Hokkaido and Kuril Ainu: Promise and Challenges
    佐藤 知己, アンナ・ブガーエバ
    北方言語研究 9 67 - 94 2019年03月 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北海道大学文学研究科紀要 154 73 - 99 2018年03月 [査読無し][通常論文]
  • A Classification of the Types of Noun Incorporation in Ainu and its Implication fo Morphosyntactic Typology
    佐藤 知己
    Crosslinguistics and Linguistic Crossings in Northeast Asia 83 - 94 2016年 [査読無し][招待有り]
  • アイヌ語の合成語のアクセント規則とその例外について
    佐藤 知己
    アイヌ語研究の諸問題 1 - 13 2015年03月 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要 21 1 - 25 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2015年03月 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北海道立アイヌ民族文化研究センター紀要 20 20 1 - 133 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2014年03月 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北海道立アイヌ民族文化研究センター紀要 19 19 1 - 19 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2013年03月 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    言語研究 142 29 - 44 日本言語学会 2012年09月 [査読有り][通常論文]
  • アイヌ語千歳方言における抱合の種類とその諸制約
    北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要 18 1 - 32 2012年 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北海道立アイヌ民族文化研究センタ-研究紀要 17 1 - 18 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2011年03月 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北海道立アイヌ民族文化研究センタ-研究紀要 16 1 - 38 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2010年03月 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要 15 1 - 38 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2009年 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要 14 1 - 54 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2008年03月 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北方人文研究 1 55 - 68 北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター = Center for Northern Humanities, Graduate School of Letters, Hokkaido University 2008年 [査読有り][通常論文]
     
    It is known that Ainu has two types of compound noun constructions: the "modifying construction" and the "pseudo-modifying construction". However, the term "modifying construction" from the outset contradicts the so-called "syntactic atomicity"of words, one of the most basic principles of word formation in general linguistic terms. Here, I suggest that among the compound nouns with the modifying construction, some are compound nouns exceptional in their construction, formed, as it were, directly from phrases (i.e. "phrase-word" by Bloomfield), while others are words containing a kind of verbal noun converted from the corresponding intransitive verb, formed, in turn, through "object-incorporation". This assumption is supported by the fact that the number of compound nouns with the modifying construction is not so large in the lexicon as a whole (so, exceptional and marginal)and also supported by the fact that examples of the compound nouns with the modifying constituent "subject+transitive verb" are extremely few: the pattern "subject+transitive verb"is usually not possible as an intransitive verb with noun incorporation in Ainu, and therefore cannot be used as a verbal noun of the first member of a compound noun.
  • 佐藤 知己
    認知科学研究 5 5 31 - 39 室蘭認知科学研究会 2007年 [査読有り][通常論文]
     
    It is known that Ainu has two reflexive prefixes yay- and si-. The difference between these prefixes has been said to be the following: yay- is intentional , while si- is unintentional. However, there are a number of cases that this explanation does not work well, since si- may be used to express various activities that are clearly intentional. In this article, I try to explain the difference systematically in terms of the notions of "direct reflexive" and "indirect reflexive." In the direct reflexive (yay-), the coreferential subject participates in the activity directly, while in the indirect reflexive (si-), it participates in the activity only indirectly either in the sense that the subject "does" the activity only with the help of some other person or in the sense that the subject is related to the activity merely locationally.萱野茂博士追悼特集
  • アイヌ語のアスペクトと日本語のアスペクトの対照
    日本語学 26 44 - 52 2007年 [査読無し][通常論文]
  • 再びアイヌ語千歳方言のアスペクトについて
    北海道立アイヌ民族文化研究センター紀要 13 1 - 14 2007年 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要 12 43 - 67 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2006年 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    『北海道立アイヌ民族文化研究センター紀要』 11 11 1 - 45 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2005年 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    『北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要』 10 10 1 - 32 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2004年 [査読有り][通常論文]
  • Sato, T.: "Phonological Status of the Epenthetic Glides in the Chitose Dialect of Ainu", Bulletin of the Hokkaido Ainu Culture Research Center, 9: 11-34 (2003)*
    2003年 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    『北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要』 8 8 61 - 88 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2002年 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    『北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要』 7 7 51 - 71 北海道立アイヌ民族文化研究センター 2001年 [査読有り][通常論文]
  • 佐藤 知己
    言語研究 1989 95 287 - 288 日本言語学会 1989年

MISC

  • 佐藤知己 言語科学研究 (1) 12 -17 2024年03月 [査読有り]
  • 佐藤 知己 北海道大学文学研究院紀要 171 39 -61 2023年12月08日
  • 佐藤 知己 ユーラシア諸言語の動態Ⅳ 4 1 -20 2023年 [査読有り]
  • 山形県酒田市立光丘文庫所蔵「蝦夷記(蝦夷詞巻)」翻刻・索引
    佐藤知己 古記録の言語学的分析に基づくアイヌ語史の検証(基盤C)報告書 1 -286 2022年03月 [査読無し]
  • N. A. ネフスキーによるアイヌ語の Upaskuma
    Tomomi Sato, Anna Bugaeva 北方言語研究 (11) 211 -244 2022年03月 [査読有り]
  • 国立アイヌ民族博物館におけるアイヌ語復興の試みに関する簡潔な報告と今後の課題
    佐藤 知己 社会言語科学 24 (1) 135 -143 2021年09月 [査読有り][通常論文]
  • アイヌ語
    佐藤知己 郷土史大系 情報文化 70 -73 2020年08月 [査読無し][招待有り]
  • メタ言語
    佐藤知己 明解日本語学辞典 152 -152 2020年05月 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤知己 明解日本語学辞典 101 -101 2020年05月 [査読無し][通常論文]
  • 言語相対論
    佐藤知己 明解日本語学事典 59 -59 2020年05月 [査読無し][通常論文]
  • 一致
    佐藤知己 明解日本語学事典 9 -9 2020年05月 [査読無し][通常論文]
  • アイヌ語
    佐藤知己 明解日本語学辞典 1 -2 2020年05月 [査読無し][通常論文]
  • アイヌ語のおもしろさ
    佐藤知己 時空旅人 アイヌと北の縄文 64 -67 2020年05月 [査読無し][招待有り]
  • 佐藤 知己 北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要 (18) 1 -31 2012年03月
  • 佐藤 知己 北方人文研究 (3) 77 -79 2010年03月
  • 現地調査の旅
    北方を旅する 91 -118 2010年 [査読無し][通常論文]
  • 知里博士のアイヌ語研究
    知里真志保 115 -128 2010年 [査読無し][通常論文]
  • アイヌ語千歳方言の昔話とその言語的特徴
    言語研究の諸相 113 -147 2010年 [査読無し][通常論文]
  • アイヌ語の文法的特色
    国文学 : 解釈と鑑賞 75 (1) 49 -55 2010年 [査読無し][通常論文]
  • A Folktale of the Chitose Dialect of Ainu and its Linguistic Characteristics
    113 -147 2010年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 言語 38 (7) 16 -23 2009年07月 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 北海道大学文学研究科紀要 127 左29 -左58 2009年02月25日 [査読無し][通常論文]
  • アイヌの人々とアイヌ語の今
    月刊言語 38 (7) 16 -23 2009年 [査読無し][通常論文]
  • 18世紀前半のいくつかのアイヌ語資料について
    北海道大学文学研究科紀要 (127) 29 -58 2009年 [査読無し][通常論文]
  • The Present Situation of the Ainu People and the Ainu Language
    38 (7) 16 -23 2009年 [査読無し][通常論文]
  • Some Materials of the Ainu Language in the First Half of the 18th Century
    Tha Annual Report on Cultural Science (127) 29 -58 2009年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 北海道大学文学研究科紀要 124 (124) 153 -180 2008年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 日本語学 26 (3) 44 -52 2007年03月 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 北海道立アイヌ民族文化研究センタ-研究紀要 (13) 1 -14 2007年03月 [査読無し][通常論文]
  • 『藻汐草』の「一冊本」について
    北海道大学文学研究科紀要 121 157 -170 2007年 [査読無し][通常論文]
  • アイヌ語研究の課題と展望
    現代文化人類学の課題 186 -202 2007年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 Journal of the graduate school of letters 1 45 -52 2006年02月 
    The purpose of this short essay is to introduce to the readers the general knowledgeabout the Ainu people and their language, as well as to stress the urgency of the linguistic andcultural study. In addition,as a case study,I discuss the problem ofʻglide insertionʼin Ainu insome detail. In previous studies the glides in question have been supposed to be perfectlypredictable from the phonological environment. Therefore, they have often been ignored inphonological notation. However, I argue that there are a number of cases in which these glidesdo not happen in spite of the same environment. In short, the appearance of the glides is notonly controlled by the phonological environment, but also depends strongly on the morphologicalproperties of the preceding elements. The glides serve to make a given word-structuremore transparent. This claim is supported by a number of facts. First, the phenomenon (theoccurrence or non-occurrence of the glides) can be seen clearly in the soundspectrograms of theforms in question. The claim is also supported by studying Ainu texts written by an Ainu nativespeaker him/herself. In fact, we can find that the glides in question are almost always clearlywritten, for example, in Yukie Chiriʼs famous Ainu text Ainu shinyoshu (a collection of Ainuepics of gods). Moreover, there is morpho-syntactic evidence as well as phonological for thesignificance of these glides. We should predict that the non-occurrence of the glides indicates theindependent nature of the preceding element. This is supported by the fact that nominal formswith the prefix si-ʻoneselfʼ,which does not trigger glide insertion,cannot always be incorporated,but may be separated from verbs (i. e. expressed syntactically) in the Horobetsu dialect of Ainu.
  • 日本語とアイヌ語
    日本語の語源を学ぶ人のために 123 -130 2006年 [査読無し][通常論文]
  • 北海道大学におけるアイヌ語研究の過去・現在・未来
    先住民族と大学 23 -32 2006年 [査読無し][通常論文]
  • the study of ainu in hokkaido university-past, present, and future
    23 -32 2006年 [査読無し][通常論文]
  • Japanese and Ainu
    123 -130 2006年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 『アイヌ語地名研究』 8 (8) 153 -180 2005年12月15日 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 食品・食品添加物研究誌 210 (2) 177 -184 2005年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 北海道大学文学研究科紀要 115 (115) 103 -127 2005年 [査読無し][通常論文]
  • 「酒田市立光丘文庫所蔵慶応四年「土人共江申渡書」のアイヌ語について」
    『日本学・敦煌学・漢文訓読の新展開』 321 -344 2005年 [査読無し][通常論文]
  • 「アイヌ文学における一人称体の問題」
    『北海道大学文学研究科紀要』 112 171 -185 2004年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 『北海道大学文学研究科紀要』 109 31 -58 2003年 [査読無し][通常論文]
  • 「酒田市立光丘文庫所蔵蝦夷記のアイヌ語について」
    『北海道大学文学研究科紀要』 111 95 -118 2003年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 『北海道大学文学研究科紀要』 106 (106) 91 -126 2002年 [査読無し][通常論文]
  • 「アイヌ語千歳方言における反復による有音休止」
    『北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要』 6 207 -218 2000年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 月刊百科 (442) 58 -66 1999年08月
  • 佐藤 知己 『北海道大学文学部紀要』 47 (4) 53 -88 1999年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 言語 27 (5) 39 -42 1998年05月 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 言語 27 (5) 62 -63 1998年05月 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 『北海道大学文学部紀要』 46 (3) 41 -64 1998年 [査読無し][通常論文]
  • Sato, T. : "Possessive Expression in Ainu", T. Hayashi and P. Bhaskararao (eds.) Studies in Possessive Expressions, Institute for the Study of Languages and Cultures of Asia and Africa. Tokyo University of Foreign Studies, 143-160, Tokyo (1997)
    1997年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 『北海道大学文学部紀要』 45 (3) 91 -12 1997年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 『北海道大学文学部紀要』 45 (1) 3 -20 1996年 [査読無し][通常論文]
  • 佐藤 知己 北海道大学文学部紀要 44 (1) p1 -18 1995年08月
  • 佐藤 知己 北海道教育大学紀要. 第一部. B, 社会科学編 45 (1) 77 -81 1994年10月
  • 佐藤 知己 年報いわみざわ : 初等教育・教師教育研究 14 61 -72 1993年03月25日
  • 佐藤 知己 日本研究 (5) p89 -104 1991年10月 
    本稿では、主に以下の三つの点を指摘したい。A 話し手や聞き手に言及する形式に関して言えば、アイヌ語は、いわゆるヨーロッパの諸言語で知られているような人称表示体系と、日本語にみられるような自称詞、対称詞の体系を合わせ持つ、混合型の言語である。B 親族同士の呼称に関して言えば、アイヌ語は日本語と異なり、目上と目下を分ける一本の線では体系をうまく説明できず、自己と自己より下の世代を分ける、もう一本の線を必要とする。C アイヌ語では妻が夫に言及する際、通常、敬称の形式が用いられるが、ここではAで述べたアイヌ語の混合性がはっきり現れ、性格の異なるいくつかの形式が機能を分担し合う形で混在する。

書籍等出版物

  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(13)
    佐藤 知己 (担当:単著)
    2024年03月
  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(12)
    佐藤 知己 (担当:単著)
    2023年03月
  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(11)
    佐藤知己 
    2022年03月
  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(10)
    佐藤 知己 
    北海道大学アイヌ・先住民研究センター 2021年03月
  • 関場本松前嶋郷帳の用字法
    佐藤 知己 
    北海道大学大学院文学研究院 2021年03月
  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(9)
    佐藤 知己 
    北海道大学アイヌ・先住民研究センター 2020年03月
  • 蝦夷言留の研究
    佐藤 知己 
    北海道大学大学院文学研究院 2020年03月
  • 北海道西海岸地方アイヌ語方言の研究
    佐藤 知己 (担当:単著)
    北海道大学大学院文学研究科 2019年03月
  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(8)
    佐藤 知己 (担当:単著)
    北海道大学アイヌ・先住民研究センター 2019年03月
  • 狄さへつりの研究
    佐藤 知己 (担当:単著)
    北海道大学大学院文学研究科 2017年03月
  • 加藤重広, 佐藤知己 (担当:共著)
    星雲社 2016年04月 (ISBN: 4434216708) 248
  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(5)
    佐藤 知己 (担当:単著)
    北海道大学アイヌ・先住民研究センター 2016年03月
  • 犾言葉の研究
    佐藤 知己 (担当:単著)
    北海道大学大学院文学研究科 2016年03月
  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(4)
    佐藤 知己 (担当:単著)
    北海道大学アイヌ・先住民研究センター 2015年03月
  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(3)
    佐藤 知己 (担当:単著)
    北海道大学アイヌ・先住民研究センター 2014年03月
  • アイヌ語調査資料のデータベース化に関する基礎的研究(2)
    佐藤 知己 (担当:単著)
    北海道大学アイヌ・先住民研究センター 2013年03月
  • 佐藤, 知己 (担当:単著)
    北海道大学アイヌ・先住民研究センター 2012年03月 冊
  • 北村清彦, 池田 透, 加藤博文, 佐藤知己, 津曲敏郎, 宮武公夫, 望月恒子, 谷古宇尚, 吉開将人, 北村清彦 編 (担当:共著)
    北海道大学出版会 2010年04月 (ISBN: 4832933744) 282
  • アイヌ語文法の基礎
    (担当:単著)
    大学書林 2008年

講演・口頭発表等

  • Sato, Tomomi, Anna Bugaeva
    International Conference on Historical Linguistics 2023 2023年09月 口頭発表(一般)
  • 佐藤知己
    2022年07月 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
  • アイヌ語研究からみたアイヌ語地名  [招待講演]
    佐藤知己
    連続講座 アイヌ語地名と北海道 2019年08月 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
  • アイヌ語の二つの再帰接頭辞  [通常講演]
    佐藤 知己
    ロシア科学アカデミー言語学研究所言語学セミナー 2018年03月 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
  • 言語史の研究方法とアイヌ語史の諸問題  [招待講演]
    佐藤 知己
    日本歴史言語学会2015年大会講演 2015年12月 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
  • アイヌ語の主要古文献とアイヌ語史の諸問題  [通常講演]
    佐藤 知己
    国立国語研究所「日本列島と周辺諸言語の類型論的・比較歴史的研究 2015年12月 口頭発表(一般)
  • アイヌ語の抱合とアクセント付与の問題  [通常講演]
    佐藤 知己
    言語地域としての北東アジア及び環北太平洋 2015年08月 口頭発表(一般)
  • アイヌ語の抱合の分類と語形成類型論に対する示唆  [通常講演]
    佐藤 知己
    北東アジアにおける通言語学と言語的交差 2014年11月 口頭発表(一般)
  • アイヌ語の抱合の分類とその言語類型論に対する示唆  [通常講演]
    佐藤 知己
    国際シンポジウム「世界の言語における複統合性」 2014年02月 口頭発表(一般)

所属学協会

  • 日本歴史言語学会   日本言語学会   

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2027年03月 
    代表者 : 佐藤 知己
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2023年03月 
    代表者 : A Bugaeva, 佐藤 知己
     
    This year's research achievements focus on (1) the least described Kuril dialect of Ainu through the study of old records and on (2) Nivkh, which was a contact language of Ainu in Sakhalin, through our field materials. Our goal is to advance knowledge of the history of Ainu.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2022年03月 
    代表者 : 佐藤 知己
     
    本研究の成果は大きく分けて三つである。第一にアイヌ語の最も古い時代の文献の用字法の特徴を明らかにしたことである。これによりアイヌ語古文献の年代決定に手がかりが得られた。二つ目は早くに失われた日本海沿岸地方のアイヌ語方言の古文書を研究したことである。その結果、日本海沿岸地方のアイヌ語方言は、美幌などの北海道東部方言と共通の特徴を持つ可能性が高いことが明らかとなった。このことは北海道東部方言が古い特徴を保っている可能性があることを示唆するものであり言語地理学的に興味深い結果と言える。第三は貴重なアイヌ語古文献4種の翻刻、各種索引、分析を含む報告書を四冊刊行し今後の研究の土台を与えたことである。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2012年 -2016年 
    代表者 : 佐藤 知己
     
    曹洞宗の僧侶空念の記したアイヌ語彙集を所蔵先の福井県の寺院で撮影、調査した。この「松前蝦夷地納経記」という書物は奥書に宝永元年(1704)とあり、成立年代が明記されたものとしてはこれまでのところ最古のアイヌ語文献であり、アイヌ語の歴史を明らかにする上で貴重な手がかりとなることが期待される。実物を子細に検討した結果、写真では判読不能とされた部分の中にも判読可能な箇所があることがわかり、さらにテキストの精度を高めることができる可能性のあることがわかった。また、用字を詳細に検討したところ、現在知られているアイヌ語の音声、音韻に関する知識では解釈困難な特色が見られることが明らかとなり、この点はおそらく現在のアイヌ語とは異なる音声的特色を表したものである可能性が高いことがわかった。その最も顕著な点は、現在のアイヌ語では/hu/という音素連続に相当する場合の表記である。相当する語の表記の中に、これらを「く」で表記している例が散見される。現在のアイヌ語では、この音素連続の語頭子音は両唇摩擦音であり、日本語の「ふ」と同様な発音であることが知られているが、このような音声的特徴と「く」の表記とは両立しがたい。この表記の意味するところは、おそらくはこの時代のアイヌ語の発音が現代とは異なっていたことを示すものではないかと思われる。この音節の語頭子音は、両唇音ではなく、声門摩擦音あるいは軟口蓋摩擦音であった可能性があると思われる。このことは、現在でも/ha, he, ho/の子音が声門摩擦音であることを考えれば体系的にも支持されるものである。語彙や文法の面でも現在と異なると思われる特徴がみられ、貴重な資料であることが明らかとなった。他にも古い資料を平行して収集、分析しつつあり、体系的に古いアイヌ語の特色を明らかにしつつある。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2005年 -2008年 
    代表者 : 佐藤 知己
     
    現存するアイヌ語の古文献を17世紀前半、18世紀前半、18世紀後半、19世紀前半に区分し、代表的なものを分析し、各時期の特徴を明らかにした上で、400年間にわたるアイヌ語の通史について一応の見通しを与えた。概略的には、17世紀初頭の文献にみられる音韻、文法、語彙の特徴が、18世紀初頭では失われる傾向があり、18世紀後半では急激な変化が起きたということを文献を用いて実証的に明らかにした。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2000年 -2003年 
    代表者 : 佐藤 知己
     
    今年度は「蝦夷記」のアイヌ語の研究を重点的に行い、18世紀のアイヌ語の音声、音韻、文法、語彙の分析を行ったその結果、これまでに知られていなかった点として、いくつかの言語的特色が明らかになった。すなわち、まず、音声的な面について言えば、今日の/h/に対応する位置に、パ行の仮名が用いられている場合が、偶然とは思えない頻度で存在することが明らかとなった。また、今日のaに対応する位置にオ段の仮名が書かれている例も多数みられ、これらは、今日のアイヌ語の発音とは異なる発音であった可能性を示すものと考えられ、アイヌ語の変遷を考える上で貴重な示唆を与えるものである。文法的な点について言えば、人称接辞の存在が、既にこの時代の日本人によっても認識されていたことを示すと思われる記載が見つかった。このことは、アイヌ語の観察の精度が高いことを示すものと言うことができ、本資料の信頼性を推測する有力な手がかりとなるものである。語彙的な面では、従来、あまり明らかではなかった社会言語学的な言語変種が、この時代のアイヌ語には極めて多数存在していたことが明らかになった点が特筆される。すなわち、指示対象の種類、使用者の社会的な立場、使用される場面に応じて、同じ対象に対して実に様々な語彙が存在していたことが明らかになった。これらはいずれも今日のアイヌ語方言では全く知られていないか、痕跡的にしか残っていない特色であり、アイヌ語の歴史的変遷、アイヌ語の文法構造を探る上で貴重な手がかりを提供するものである。また、この資料の中には、現代の資料、たとえば『アイヌ神謡集』の中の難読語を解明する上で有力な手がかりを提供するものが含まれていることも同時に示した。なお、アイヌ口頭文芸の1人称体の起源の考察においても、古文献の資料が役立つことも示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 遠藤 史, 渡辺 己, 津曲 敏郎, 宮岡 伯人, 中山 俊秀, 久保 智之, 大島 稔, 佐藤 知己
     
    本研究では、環北太平洋地域における「消滅の危機に瀕した言語」(危機言語)に関して、過去2年間の研究成果に基づきつつさらにそれを発展させ、総合的な観点から調査研究を行うとともに、社会的・国際的なアピールも図った。今年度における主要な研究成果は次の4点である:(1)これら危機言語について、各研究者がそれぞれの計画研究において収集したデータ(特に今年度の夏を中心とする時期のフィールドワークの成果、各研究計画の研究分担者・研究協力者の成果も含む)を提示・紹介し、言語記述の観点から検討を行った。また、このフィールドワークで得た各地域における言語及び言語動態の状況・現地における調査研究の進行状況等に関する情報を交換し、今後の研究の進展をはかった。(2)過去2年間の研究も含めて研究成果がかなり蓄積されたことを考慮して、研究報告書を中心とした出版物にそれらを反映させるために、研究者間で密接に連絡を取り合い、出版計画の検討や出版計画への助言などを行った。この活動は今年度のA02「環北太平洋班」の諸報告書に結実している。(3)2002年6月の科研全体会議(東京)にて研究代表者がA02「環北太平洋班」の研究進行状況について一般向けに講演を行った。またその後も電子メールなどを活用して各研究計画の進行状況を互いに報告し、互いに研究上の刺激を与え合うとともに、各研究計画の円滑で効率的な進行を図った。(4)2002年11月の科研全体会議においてA02「環北太平洋班」の分科会(すべてを英語で進行させて国際的なアピールも図った)を開催するにあたり、環北太平洋地域の危機言語に関する研究の現状と今後の課題について各研究計画からの発言を求め、積極的な討論を行った。 環北太平洋地域における危機言語は、系統的にみても類型論的にみても、絢爛たる多様性を示している。またそれらの現在の社会的状況も多様性に満ちている。これらの要因のために当該地域にかんする各研究計画の円滑かつ効率的な進展のためには、研究者相互の情報交換と刺激が不可欠であった。またそれら研究成果の出版も一層充実が望まれた。今年度の研究は、過去2年間の研究実績の効率的活用も含めて、これらの諸点に関し一定の成果を得た。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究(A), 特定領域研究)
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 佐藤 知己
     
    研究業績の一つは、アイヌ語学上、各方言において古くから問題となって来たわたり音の問題について、これまで各方言についてなされてきた所説を逐一検討し、さらに実地調査で得られた新しいデータを加えて、その解釈、意義について、新しい考え方を提唱したことがあげられる。なお、データの分析に際し、解釈の客観性を高めるため、サウンドスペクトログラフによる音声分折を行い、その結果を検証に用いた。その結果、少なくともいくつかのアイヌ語方言においては、問題の音は、類似の環境における単なる「わたり」に比して明白に長い持続を持ち、したがって、音声学的には、その調音のために調音器官が独立の運動をなす単音と認めるべき可能性が高いことが明らかになった。このことによって、同じ音声的環境でゼロと対立し、しかもその出現が、音声的条件ではなく、形態的な条件によって規定されていることを明らかにし、従来の記述とは異なり、問題の音を独立の音素と記述すべき点を論じた。もう一つの研究業績としては、厳密な意味で英雄叙事詩を記した最古と思われる文献について、書誌的、言語学的な分析を行い、成立年代、記録されている方言について、確証となる事実を明らかにした点があげられる。中でも刊行されたアイヌ語辞書としては世界最古とされる上原熊治郎『もしほ草』のテキストに出典があることを初めて立証した点は研究上大きな発見と言える。また、現代のアイヌ語諸方言においては極めて例外的とされている自動詞の他動詞活用がこの最古のテキストにも既にみられ、この現象が単なる誤用ではなく、動作主格的な文法カテゴリーが古くアイヌ語にもあったことを示すものではないか、という推論を述べた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -2000年 
    代表者 : 津曲 敏郎, 呉人 恵, 大島 稔, 佐藤 知己, 渡辺 己, 風間 伸次郎
     
    1.研究会議の開催 3年度に渡り、各年度2回、のべ6回の研究打ち合わせ会議を開催した。毎回2日間に渡って全員が会したうえで、6〜7名の研究発表をもとに活発な意見交換を行った。これにより各自が北方諸言語のかかえる諸問題に対する認識を深め、おおいに視野を広げることができた。特に内外から講師やコメンテータの参加をあおぎ、分野・領域を越えた刺激を得ることができたのはきわめて有益であった。また大学院生にも発表の場を与えることで、若手研究者の育成にも資するところがあった。 2.音声データの整理・分析 各自が収集してきた音声データについて、整理・複製・分析の作業を進めた。地域による事情の違い等から、全体としての音声データベースそのものの作成には至らなかったが、それに向けての基礎固めはできた。一部の音声データは北海道立北方民族博物館(網走市)の音声展示用のデータとしても提供した。 3.成果の公表と報告書刊行 各自の研究成果の一部は、日本言語学会大会および同主催のシンポジウム、特定領域研究「環太平洋の言語」国際シンポジウム、国立民族学博物館共同研究会などの場で口頭発表されたほか、学会誌等にも掲載された。また関連報告書シリーズとして、論文集『環北太平洋の言語』を、すでに刊行済みの号(第4号1998,5号2000:いずれも欧文)に続き、あらたに2001年3月にも刊行した(第6号欧文,7号和文)。うち第7号が本研究の直接の研究成果報告書として位置付けられ、本研究の代表者および分担者のほとんどが研究成果の一端を論文として執筆している。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1997年 -1999年 
    代表者 : 中川 裕, 金子 亨, 周 飛帆, 荻原 眞子, 金子 亨, 佐藤 知己, 津曲 敏郎, 風間 伸次郎, 中川 裕
     
    サハリン島およびアムール川流域には、ニヴフおよびウィルタ、ナーナイ(ホジェン)、ネギダール、ウリチ等のトゥングース系の諸民族が居住しているが、彼ら固有の言語や伝統的な文化は多数民族であるロシア人や漢人の言語・文化に圧倒されて消滅の危機に瀕していることがつとに指摘されている.その現況について共通の認議を持つため、平成9年度に我々はロシア・日本の少数民族の研究者を千葉大学に招いて研究会を行い、シベリア少数言語に関する情報の交換と、現地調査の準備を行った。また、中国黒龍江省においてホジェン語の調査を行った。そこで得られた情報に基づき、平成10年度にはロシア共和国内のアムール川河口流域のニコラエフスク市およびマーゴ村で、ニヴフ語とネギダール語の文法、フォークロア、そして社会言語学的な情報についての調査を行った。さらに平成11年度にはニヴフ語に焦点をしぼり、アムール川河口流域のアレーエフカ村、およびサハリン島のネクラソフカ、チルウンヴド、ヴェンスコエ、カタングリなどの諸村において、食生活に関係する文化的な映像資料とともにニヴフ語の音声資料を収集した。これらの地域においてはロシア全体の経済状況の悪化によって、特に流通システムが崩壊し、ほとんど自給自足に近い生活を送らなければならないところも少なくなく、そういった意味では伝統文化がいやおうなしに残されているといえる部分もある。 しかし、その同じ経済問題のために、現地の教育者や研究者が、自分達の固有言語を継承するための調査・研究や、教材作りなどを行うのに困難をきたしていることも事実である。我々は今回の調査にあたって、そうした教材作りに役立てることを大きな目的のひとつとして資料を収集し、将来的な教材開発の協力のために、現地の学校や研究者などとの関係作りにも努力した。
  • アイヌ語の抱合と語形成
    研究期間 : 1999年
  • Noun Incorporation and Word-formation in Ainu
    研究期間 : 1999年
  • 文部科学省:科学研究費補助金(奨励研究(A))
    研究期間 : 1997年 -1998年 
    代表者 : 佐藤 知己
     
    平成10年度も9年度に引き続き、青森、秋田、東京の所蔵機関で資料調査を行った。その結果、これまで研究がなされていない多くの江戸時代のアイヌ語資料を新たに見いだすことができた。特に、享和年間に岡儀三郎という人物によって作成された「蝦夷言」という資料は、アイヌ語彙数が多いことと年代が古い点で、特筆されるべきものである。さらに、これらの資料の言語学的な性格、資料的価値についての考察を行う過程で、年代の古いと思われる資料にはやはりアイヌ語の古い姿を示していると思われる特徴のあることが明らかとなった。すなわち、現代のアイヌ語ではアクセントの対立として記述されるべき特徴が、最古のアイヌ語文献と言われる「松前ノ言」も含めて、古い時代のアイヌ語文献では長母音であったことを示す表記のなされていることが明らかとなった。このことは、各資料をばらばらに研究していたのでは立証困難なものであり、本研究において江戸時代のアイヌ語文献を系統的に収集分類することによって初めて明らかになってきたものである。詳細は、さらに大量の資料を系統的に研究することによって補強しなければならないが、もしこのことが立証されればもう一つの重要な問題が明らかとなる。すなわち、もし古い時代のアイヌ語資料に長母音が極めて普通に確認されたとすれば、現代の諸方言に長母音の全く見られない原因は何かが問題となる。一つには勿論、言語変化が考えられるが、もう一つには近世以後の大規模なアイヌ語方言の交替、統合を仮定する必要があろう。すなわち、現在代表的なアイヌ語方言として知られている北海道西南部方言の分布は、比較的近年の拡大である可能性が出てくるのであり、この方言の出自を知る上で大きな問題を提供するものと言える。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1998年 
    代表者 : 村崎 恭子, 佐藤 知己, 任都栗 新
     
    樺太アイヌ語は、その最後の話者、浅井タケさん(1902-1994)の死によって「話者の絶えた言語」、つまり死語となった。 本研究は、この樺太アイヌ語の過去に蓄積された言語資料を、音声とそのテキスト及びグロッサリー、さらにその意味内容の三者が一体となって関連づけられるような形に整えて整理保存することを目的として実施された。 平成8〜10年度の研究期間に達成された研究成果は、上述の研究課題の一部に過ぎないが、各年度の研究実施計画に基づいて研究を実施した結果、『浅井タケ昔話全集I』300頁の冊子を完成した。 『浅井タケ昔話全集』IとIIには、村崎が1984年から1992年までの期間に収録したテープの中から浅井タケさんが語った昔話全54編をぬきだして、そのすべてを収録した。 本書『浅井タケ昔話全集I』には、昔話54編のうち収録期間の前半に当たる1984年から1988年までの期間に収録された昔話30編(At01〜At30)を収めた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1997年 
    代表者 : 煎本 孝, 佐藤 知己, 池谷 和信, 岸上 伸啓, 一ノ瀬 恵, 大島 稔
     
    北方ユーラシア、日本、北アメリカにまたがる周極地域諸文化における言語、生態、世界観の現在における実体の把握とその比較を通し、いかに伝統文化が変化し、維持されるのかという文化動態を明らかにするため、研究代表者および研究分担者は、それぞれ分担する文化(アイヌ、北方アサパスカン、コリヤ-ク、エヴェン、ヤク-ト、チュクチ、イヌイット、モンゴル等)に関する記載と分析を行った。そして、平成7年度には、国際シンポジウム「北方のアニミズムとシャマニズムをめぐって」を北海道大学において開催し、周極地域諸文化の比較検討を行った。 その結果、北方シャマニズムが自然と超自然的世界の関係を調整する機能のみならず、現代における社会の変化に対応する動的制度として、文化復興運動の核として機能していることが明らかにされた。また、この事実にもとづき、研究遂行上に生じた学術的課題としての従来のアニミズム、シャマニズムという学術用語を再検討し、新たな文化人類的枠組みの中で再定義することができた。平成8年度は、これらの問題を個々の文化の記載と分析に照らしてさらに検証を進め、平成9年度には、『周極のアニミズムとシャマニズム』(北海道大学図書刊行)としてまとめ、刊行した。 したがって、周極地域諸文化に関する言語、生態、世界観という多様な視点からの学際的、総合的研究により、北方諸文化の現在の文化動態を明らかにするという当初の目的が達成された。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(奨励研究(A))
    研究期間 : 1996年 -1996年 
    代表者 : 佐藤 知己
     
    調査の結果、北海道大学が所蔵しているものだけでも、江戸時代のアイヌ語文献は膨大な量にのぼることがわかった。中でも、「加賀屋文書」は約千ページ分にも相当し、資料の少ない道東地方のアイヌ語を復元する上で貴重な資料となるものであることが明らかとなった。特に、根室、別海等の地方が明らかな資料を多数含んでおり、これらの地方のアイヌ語を知る上で非常に役立つものとおもわれる。なお、この資料は、寛政頃から明治初期まで、約70年にわたる記録であり、その間のアイヌ語の変遷、翻訳技術の変遷などを探る上でも非常に貴重なものであることが判明した。また、北海道立図書館等に所蔵されている文献の中にもこれまで研究されていない貴重な文献がみられ、中にはこれまでほとんど知られていない日本海沿岸地方のアイヌ語に関する情報を含むものも新たに見いだされた。また、旅行記のような、直接アイヌ語を記したのではない文献の中にも相当多数のアイヌ語が記録されていることが改めて確かめられた。これらはアイヌ語が文献の中に散在しているために調査に膨大な時間がかかり、組織的な調査は今後にまたなければならないが、アイヌ語の全体像を知る上で重要な手がかりを与えるものである見通しが得られた。なお、副次的な成果として、江戸時代に出版された世界最初のアイヌ語辞書である上原熊治郎「藻汐草」について調べたところ、道内に存在するものを調査しただけでも極論すれば一冊一冊が異なる状態を示し、特に印刷の精度に差があるために、文字の脱落の箇所や程度が一冊一冊異なっており、この辞書の正確な理解や評価は従来の一部の版本によるものでは極めて不十分であり、現存の版本を多数比較し、校訂版を作成しなければ下せないものであることが明らかとなった。資料数が膨大に上るため、未調査な文献がまだ多量にあり、今後も調査を継続する必要がある。また、既に収集した資料も膨大に上り、さらなる組織的な整理、分析が必要である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1996年 
    代表者 : 金子 亨, 佐藤 知己, 一ノ瀬 恵, 林 徹, 中川 裕, 荻原 眞子
     
    (1)北方ユーラシア地域の先住民族の言語文化に関する既存の文献を電子的にデータベース化することができた。(第2分冊『北方ユーラシア関係文献抄』) (2)同地域の言語文化に関する文献を収集しデータベースに加えた。収集に当たっては約200点を現地で購入した。(第2分冊『北方ユーラシア関係文献抄』) (3)同地域の言語ニヴフ語、トゥングース諸語、ユカギ-ル語、チュクチ語、イテリメン語、ケット語他の音声データを収集し、その多くを電子化した。またアイヌ語のデータを電子にデータベース化した。(第1分冊『研究経過報告』第3章及び第3分冊『北方ユーラシア言語資料』(a)〜(c) (4)北方ユーラシア言語のいくつかについて、その生活的基礎語彙を収集し、その民族的な性格を明らかにし、併せて類型論的特性を明示した。(第4分冊『北方ユーラシア言語文献論集』) (5)北方ユーラシア言語のいくつかについて、形態論的・統語論的特性を類型論的に記述した。(第4分冊)『北方ユーラシア言語文献論集』) (6)北方ユーラシア研究の国内的な研究センターを構成することができた。((第1分冊『研究経過報告』第3章) (7)北方ユーラシア研究の国際的ネットワークを構築する上で大きな前進をした。(((第1分冊『研究経過報告』第2・3章)
  • 古文献によるアイヌ語史の研究
    研究期間 : 1993年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1990年 -1992年 
    代表者 : 朝倉 利光, 村崎 恭子, OTAINA Galin, RAMSEY Rober, REFSING Kirs, DE GRAAF Tje, AUSUTERLITZ ロバート, 佐藤 知巳, 井上 紘一, 中川 裕, 池上 二良, 村崎 恭子, AUSTERLITZ R, 朝倉 利光, 切替 英雄
     
    戦前までサハリンで健在だった少数民族,サハリンアイヌ,ウイルタ,ニブフの人々の多くは,終戦後は北海道に移住したが,現在はその言語の土着話者は絶えつつある。一方,ロシアサハリン州においては現在もこれら少数民族の人々が一部健在と聞く。本研究は,世界に数少ないこれらの言語の専門家が北海道に集まって日本側研究班を構成し,ロシア側研究者と共同して,サハリンに住む少数民族の言語-アイヌ語,ウイルタ語,ニブフ語-の土着話者を尋ね,これら三言語の音声資料を採集,収集し,その言語事情を言語学的に明らかにすることを目的とする。 初年度,1990年の夏のサハリン現地調査によって,サハリンにおける当該少数民族の言語,アイヌ語,ニブフ語,ウイルタ語の言語状況が明らかになった。即ち,アイヌ語の話者はすでに絶えているが,ニブフ語は約2千人,ただし伝統口承文芸の伝承者は10人以下,ウイルタ語は2百人程度の話者がいて,そこでは言語調査の可能性が十分にあることがわかった。 平成3年度は以下のような,研究調査を行った。 1991.8.14-9.7 ニューヨークからアウステルリッツ氏がニブフ語調査研究のために来日。前年度収集した資料の整理分析を行った後.オタイナ氏と一緒にニブフ語テキストをチェック。 1991.9.1-9.17 ウラジオストックからオタイナ氏がニブフ語調査研究のために来日。アウステルリッツ氏とニブフ語テキストをチェックおよび資料整理分析。1991.8.10-9.15 池上,井上,中川,佐藤の4名がサハリンでウイルタ語,ニブフ語などの少数民族の言語の調査を行った。 1991.10.28-11.9 村崎,朝倉,井上がユジノサハリンスクへ向い,ピウスツキ生誕125周年記念シンポジウムに出席,発表し,アイヌコタン跡の調査を行った。1991。10。13-11。13 オランダのクローニンゲンからデグラーフ氏が少数民族の言語音声資料の調査のためにレニングラード,ノボシビルスクを訪れ,その後,サハリンでのシンポジウムに参加,発表を行った。その結果は,村崎恭子編「サハリンとB.ピウスツキ」(ピウスツキをめぐる北方の旅実行委員会,1992年3月)として刊行した。 最終年度1992年には以下のような調査,研究を行った。 1992.7月-8月 池上,井上の2名が,サハリンでウイルタ語の特定調査を行った。 1992。9月から1993。3月までは,これまで収集した資料をそれぞれ,整理,分析し,最終研究成果報告書刊行の準備にかかった。 その結果.1993年3月末日までには,研究成果報告書『サハリンの少数民族』(284頁)が刊行される見込である。 この研究成果報告書に掲載される論文の殆どは各研究分担者が,この研究プロジェクトでえられた結果執筆したオリジナル論文であることは,まだ殆ど手が付けられていない「サハリンにおける少数民族の言語研究」という分野において,極めて貴重な研究成果と言える。以下に,掲載論文のリストを掲げる。 1。研究概要ABSTRACT OF PROJECT 村崎恭子 2。THE ETHNO LINGUISTIC SITUATION ON THE ISLAND OF SAKHALIN Tjeerd de Graaf 3。A PELIMINARY REPORT ON SAKHALIN KOREAN S.Robert Ramsey 4。A BRIEF HISTORY OF THE STUDY OF THE UILTA LANGUAGE Jiro Ikegami 5。ウイルタ語テキスト 池上二良 6。UILTA AND THEIR REINDEER HERDING Koichi Inoue 7。BEROBANIYA I ObRYADI ULiTA C.B.bEREZNITSKII (ウイルタの信仰と儀礼) 8。NIVKH FOLKLORE G.A.OTAINA 9。ANIMAL TAXONOMY AND SAMPLE ANALYSES(INSECTS) R.AUSTERLITZ 10.サハリンにおけるニヴフ語基礎語彙の地域差 中川裕.佐藤知巳. 斎藤君子 11。N.B.RUDANOBSKI'S AINU DICTIONARY B.M.LATISHEB
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1989年 -1992年 
    代表者 : 村崎 恭子, 尾崎 喜光, 中畠 孝幸, 菅 泰雄, 佐藤 知巳, 田村 すず子
     
    (1)収録調査 現存するアイヌ出身の方々21名を対象に、平成1、2、3年度にわたり収録調査を行い、予定した調査は終了した。平成4年度には、資料整理分析の段階でさらに補充調査が必要な項目について調査を行い、同時にアイヌ語音声も可能な限り収録した。 (2)新しい資料の入手 平成3年度から新しく研究分担者として参加した田村すず子氏(早稲田大学教授)によってアイヌ語北海道方言話者の音声資料が入手できた。本研究で既に収集された資料と合わせて、音声データベース「CDアイヌのことば」(60分)として出版した。 (3)最終年度の刊行書 平成4年度までの調査によって得られた資料を、総括班の費用で、以下のように三巻、刊行した。 a アイヌ語話者の日本語音声(1) b アイヌ語話者の日本語音声(2) c CDアイヌのことばー解説とテキストー
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1991年 -1991年 
    代表者 : 村崎 恭子, 尾崎 喜光, 中畠 孝幸, 菅 泰雄, 佐藤 智巳, 田村 すず子
     
    (1)収録調査 現存するアイヌ出身の方々21名を対象に、平成1、2、3年度にわたり収録調査を行い、予定した調査は流量した。残念なことにこの間お二人の方々が亡くなられた。平成4年度には、資料整理分析の段階でさらに補充調査が必要な項目について調査を行うが、その際にアイヌ語音声も可能な限り収録する予定である。 (2)新しい資料の入手 平成3年度から新しく研究分担者として参加した田村すず子氏(早稲田大学教授)によってアイヌ語北海道方言話者の音声資料が入手できた。本研究で既に収集された資料と合わせて、音声デ-タベ-ス「アイヌ語」CD(60分)を出版した。 (3)最終年度の資料のまとめ方 これまでの調査によって、アイヌ話者の日本語音声の特徴が明らかになった。これらの特徴に従って、各方言話者の音声サンプルをまとめる。 また、先にだしたCDについても、そのテキストと詳しい解説をまとめて印刷する。


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