日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究期間 : 2021年04月 -2025年03月
代表者 : 川本 正知, 磯貝 健一, 矢島 洋一, 伊藤 隆郎, 熊倉 和歌子, 近藤 信彰, 磯貝 真澄, 佐藤 健太郎
当科研研究は2021年4月にはじまったが、文書を読解していくためにはまず東洋文庫所蔵の2000枚ほどのハラム文書のマイクロフィルムから、この科研で読むPersian文書とPersianate文書42点を選び出して焼き付けて研究分担者が共有しなければならなかった。このためには研究代表者が4月に東洋文庫を訪れて写真を選定してその焼き付けを申請する予定であった。しかし、幸いなことに2021年1月に東洋文庫が所有するマイクロフィルムのPDFが、そのオリジナルの所有者であるカナダのMcGill Institute of Islamic Studiesからオンライン上に上げられた。それをダウンロードし、PDFを全てをJPEGにして、全員が共有するクラウドDropboxの共有ファイルに収納し、それによって全てのハラム文書写真を全員が共有することができた。そして2021年7月から8月にかけて、3週間奈良大学の大学院生1名を雇用してデータベースソフトFile Maker Pro2に、Donald P. Littleによるカタログ(Beirut, 1984)情報とともに全ハラム文書のJPEGを貼り付け、ハラム文書のデータベースを完成させた。
9月以降、Dropboxの共有ファイル中のJPEGおよびデータベースをつかって月一回のペースでZoomによる研究会をひらいて文書を読み進め、現在まで予定の42点の文書中Persian7点、Persianate3点を解読した。
2021年5月に、Zoomによる研究会において研究分担者の伊藤隆郎博士にChristian Muller, Der Kadi und seine Zeugen, Wiesbaden, 2013の内容を詳細に紹介してもらった。
2021年6月24日に、Konrad Hirschler博士を長とするドイツのハラム文書を研究する3人と当研究会8人でシンポジウムをおこない、今後の研究協力について協議した。