A study on precipitation variability over the Himalayas induced by the complex topography and large-scale moist flows
Japan Society for the Promotion of Science:Grants-in-Aid for Scientific Research Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
Date (from‐to) : 2018/10 -2022/03
Author : 藤波 初木, 佐藤 友徳, 平田 英隆, 高橋 暢宏, 藤田 耕史
本課題は10月上旬より研究活動を開始した.12月3日~4日に名古屋大学にて研究分担者と研究協力者等(全14名)が参加してキックオフワークショップを開催し,本課題の具体的な研究目標や課題を共有した.2019年の暖候期から開始する降水量観測の準備として,測器(雨量計や温度計等)の選定と購入等を行った.3月5日~17日かけて, 研究代表者と研究協力者(全2名)がネパールに滞在し,ヒマラヤ山脈ロールワリン地方に新設する雨量計の設置場所6地点の選定と現地調査を行った.また,研究協力者が所属するカトマンズ大学と,今後共同研究を開始予定の国際総合山岳研究センター及びネパール水文気象局を訪問した.訪問した際に,本研究課題の趣旨と課題を教員,ポスドク研究員及び学生等に紹介して研究交流を行い,現地観測やデータ共有を含む共同研究体制を確認した.
研究に関しては,分担者が先行研究で実施したロールワリン地方の氷河質量収支の観測, 自動気象観測装置(AWS)の降水量データ及び流域水収支を用いて,ヒマラヤ高標高域の降水の推定を行った.ヒマラヤ域における衛星搭載降水データによる高解像度降水情報を用意し,長期平均値の地理的分布の状況や複雑地形に関連する推定誤差を吟味し,衛星データ利用価値や課題に関する理解を深めた.また,GPM二周波降水レーダのデータを整備し,ヒマラヤ山岳域の降水特性の初期解析を行った.AWSで観測された2016~2017年暖候期の1時間間隔の降水量データの初期解析を行い,ヒマラヤ高標高域の降水量変動とベンガル湾で発生するモンスーン低気圧との関係を確認した.また,モンスーン低気圧の自動追跡や流跡線解析を行うためのプログラム群の作成及び準備を行った.ヒマラヤにおける降水システムの高解像度雲解像シミュレーションのテスト実験を実施し,水平解像度約3kmの設定で実行可能であることを確認した.