TANAKA Akira, OGAWA Takahiro, HASEYAMA Miki, MIYAKOSHI Masaaki
The IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (Japanese edition) A 一般社団法人電子情報通信学会 J94-A (2) 116 - 126 0913-5707 2011/02
[Refereed][Not invited] 欠損領域を有する数値データの補間技術として, 固有空間BPLP(Back Projection for Lost Pixels)法, 及び, その改良手法が提案されている.これらの手法は, 所与のデータから切り出したブロックデータの主成分構造を利用して欠損領域を推定する手法であり, 主要な固有空間の次元等を適切に選択することによって, 効果的に欠損部を補間することができる.一方, 重要なパラメータの一つである, 主要な固有空間の次元の選択の指針はこれまで与えられていなかった.本論文では, 主成分分析に用いる分散共分散行列と欠損ブロックに対応する分散共分散行列が等しいという理想的な条件下では, 固有空間BPLP法の改良手法の, 期待二乗誤差最小の意味での最適解が古典的なウィーナーフィルタであることを指摘するとともに, 固有空間として全空間を用いた解が, 上で述べた最適解であるウィーナーフィルタによる解に帰着することを示し, 結果として固有空間の最適な次元がブロックの次元そのものであることを示す.また, 主成分分析に用いる分散共分散行列と欠損ブロックに対応する分散共分散行列が完全に一致しない場合についても考察し, 上記理想的な条件下同様, 固有空間として全空間を採用することが最適となる十分条件を与える.また, 当該十分条件を満たさない場合についても, 数値実験によりウィーナーフィルタによる解の優位性を確認する.