日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
Date (from‐to) : 2020/04 -2024/03
Author : 松河 秀哉, 川面 きよ, 村上 正行, 渡辺 雄貴, 江本 理恵, 串本 剛, 根岸 千悠, 大山 牧子, 冨永 陽子
本年度は大きく分けて2つの課題に取り組んだ。課題1は、機械学習を活用した自由記述の自動分類・フィードバックシステム開発であり、課題2は、各大学における分析結果を活用したエビデンスに基づく新たなFD・IRモデルの開発である。
課題1に関しては、各大学の授業評価アンケートの自由記述を収集し・従来のデータに追加した。特に、東京理科大に関しては、大量の自由記述を紙ベースで保有しているため、自由記述テキストのデータ化に取り組んだ。その結果、本年度1年間で9万件以上の自由記述を収集することができた。本年度の授業評価は新型コロナウイルス対応による授業のオンライン化の影響をはじめて受けたと考えられる。その影響を検討するため、今年度中に得られたデータを用いて、トピックモデルによる分析とトピックに対命名作業を行い、今年度の複数の大学の授業評価アンケートの自由記述に対応したモデルを作成することができた。その結果、作成したモデルには、従来の授業では見られなかった,授業のオンライン化にかかわる複数のトピックを含んでいることが明らかになるなど、興味深い知見が得られた。これらの結果については、日本教育工学会の全国大会で発表を行った。本年度はこのほか、大量データを保管・分析するためのサーバやデータベースなどの情報処理環境の整備も並行して進めた。
課題2に関しては、東北大学において実施された、授業のオンライン化の影響に関するアンケートの自由記述を、トピックモデルを用いて分析・分類し、その結果を大学執行部に共有するなど、本研究の成果に基づいたIRの実践を行うことができた。