山仲 勇二郎, 橋本 聡子, 山田 淑子, 本間 研一
デサントスポーツ科学 (公財)石本記念デサントスポーツ科学振興財団 36 50 - 60 0285-5739 2015/06
[Refereed][Not invited] 本研究では,健康成人男性を対象に外界の昼夜変化や時刻情報を排除した時間隔離実験室内でヒトの生物時計機構に他のほ乳類で報告されている食事時刻を予知する食事時刻依存性概日リズムが出現するか,規則的な食事スケジュールにヒトの生物時計が同調するかを検証した.実験では,健常成人男性が15日間隔離実験室に滞在し,1日1食の食事スケジュールを8日間おこなった.実験室内の光照度は200lux未満の低照度に設定した.その際,食事時刻を一定時刻に固定した群(食事固定群,5名)と被験者自身が決める群(食事自由群,5名)の2群にわけ,1日1食の食事スケジュールに対する睡眠覚醒リズム,血中ホルモンリズムの変化を調べた.その結果,食事固定群,食事自由群共に,今回調べたメラトニン,コルチゾル,インスリン,グレリン,レプチンには,食事前のホルモン濃度の上昇はみられなかった.睡眠覚醒リズムは両実験群共に実験期間中に有意な位相変化は認められず,24時間周期を示した.血中メラトニンのリズムは,1日1食の食事スケジュール後では両群共に有意に位相後退した.以上より,本実験条件ではヒトの食事時刻依存性概日リズムは発現しないこと,1日1回の食事スケジュールは睡眠覚醒リズムの同調因子として作用するが,生物時計には影響しないことが示唆された.(著者抄録)