日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 1996年 -1996年
代表者 : 宇都宮 弘章, 平林 義治, 岡部 成玄, 桜井 博儀, 久保野 茂, 本林 透
I.実験的研究
理研SMART磁気分析器による^<16>Oクーロン分解反応実験のために開発している,重イオン用高速MWDC検出器の次の性能を調べた。1)ヘリウム(50%)+エタン(50%)+メチラールを検出器ガスとして,放医研HIMACからの100MeV/u-αビーム,^<12>Cビームを直接照射し,スペースチャージ効果を調べた。ワイヤー1cm当たり10^5cps以上の計数率でスペースチャージ効果が認められた。2)宇宙線を測定し,最小2乗直線フィットによるレイトレーの結果,位置分解能として264μmを得た。CERNLibraryのシミュレーションプログラムGarfieldを用いて,ガス混合比とセンスワイヤー径の最適化を行なった。中間エネルギー重イオン検出の最適条件として,ガス混合比ヘリウム(30%)+エタン(70%)+メチラール,センスワイヤー直径30μm,動作カソード電圧-1600V(^<12>C),-1750V(α粒子),平均ドリフト速度4.5-4.6cm/μsecを得た。
II.理論的研究
テキサスA&M大学との共同研究により,30MeV/u-^<16>Oの2_2^+(9.84MeV),2_3^+(11.52MeV)状態を経由する分解反応の実験的反応断面積の角分布が,^<16>O-OCM波動関数を用いたチャンネル結合法によって分析された。その結果,角分布に,核力励起とクーロン励起のdestructiveな干渉に特徴的なdipが顕著に現われることが示された。中間エネルギー領域での^<16>O分解反応の定量的な理解を,今後目指す。