東藤 孝 (トウドウ タカシ)

水産科学研究院 海洋応用生命科学部門 増殖生物学分野教授

研究者基本情報

■ 学位
  • 博士(水産学), 北海道大学
■ URL
researchmap URLホームページURL■ ID 各種
J-Global ID■ 研究キーワード・分野
研究キーワード
  • 卵形成
  • 油球
  • 環境ホルモン
  • 水産学
  • 脂質
  • エストロゲン
  • 卵母細胞
  • リポタンパク
  • ウナギ
  • 発生・分化
  • 性ステロイドホルモン
  • 生殖細胞
  • タンパク質
  • メダカ
  • サケ科魚類
  • 卵黄
  • 核内レセプター
  • 性転換
  • 器官培養
  • 卵成長
  • ベラ科魚類
  • レセプター
  • 卵巣
  • 核内受容体
  • 精子形成
  • 生理学
  • アポトーシス
  • 精巣
  • 性ホルモン
  • アンドロゲン
研究分野
  • ライフサイエンス, 形態、構造
  • ライフサイエンス, 水圏生命科学
  • ライフサイエンス, 水圏生産科学
  • 環境・農学, 化学物質影響
  • 環境・農学, 放射線影響
  • ライフサイエンス, 発生生物学
■ 担当教育組織

経歴

■ 経歴
経歴
  • 2023年10月 - 現在
    北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授, 日本国
  • 2005年04月 - 2023年09月
    北海道大学, 大学院水産科学研究院, 准教授
  • 2003年04月 - 2005年03月
    北海道大学, 大学院水産科学研究科, 助教授
  • 1998年02月 - 2003年03月
    新潟大学, 理学部附属臨海実験所, 助手
  • 1997年04月 - 1998年01月
    岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所, 生殖研究部門, 日本学術振興会特別研究員
  • 1996年11月 - 1997年03月
    岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所, 生殖研究部門, リサーチ・アソシエイト
  • 1995年04月 - 1996年10月
    岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所, 生殖研究部門, 特別協力研究員
学歴
  • 1992年04月 - 1995年03月, 北海道大学, 水産学部, 水産学研究科水産増殖学専攻博士後期課程
  • 1990年04月 - 1992年03月, 北海道大学, 水産学部, 水産学研究科水産増殖学専攻修士課程
  • 1986年04月 - 1990年03月, 北海道大学, 水産学部, 水産増殖学科
委員歴
  • 2020年03月 - 2022年03月
    公益社団法人日本水産学会, 水産増殖懇話会幹事
  • 2014年04月 - 2018年03月
    公益社団法人日本水産学会, シンポジウム企画委員, 学協会

研究活動情報

■ 論文
■ その他活動・業績
■ 書籍等出版物
  • 魚類のDNA 分子遺伝学的アプローチ
    青木宙; 隆島史夫; 平野哲也, 17. 配偶子形成に関わる遺伝子
    恒星社厚生閣, 1997年06月, [分担執筆]
■ 講演・口頭発表等
■ 主な担当授業
  • Introduction to Fisheries Sciences Ⅰ(水産科学汎論Ⅰ), 2024年, 修士課程, 水産科学院
  • 増殖生物学特論Ⅰ, 2024年, 修士課程, 水産科学院
  • 増殖生物学特論Ⅱ, 2024年, 修士課程, 水産科学院
  • 環境と人間, 2024年, 学士課程, 全学教育
  • 水圏生化学実験, 2024年, 学士課程, 水産学部
  • 水族生化学, 2024年, 学士課程, 水産学部
  • 比較生理学, 2024年, 学士課程, 水産学部
■ 所属学協会
  • 日本比較内分泌学会
  • 環境ホルモン学会 [正式名称;日本内分泌撹乱化学物質学会]
  • 日本動物学会
  • 日本水産学会
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • 胎生魚クロソイ雄尿中のフェロモン様物質の同定ならびにその産生および作用機構の解明
    科学研究費助成事業
    2025年04月 - 2028年03月
    東藤 孝; 平松 尚志; 工藤 秀明
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 25K09262
  • 白身魚類の筋肉におけるカロテノイド蓄積能の向上・獲得に向けた萌芽的研究
    科学研究費助成事業
    2023年06月30日 - 2026年03月31日
    平松 尚志; 東藤 孝; 藤田 雅紀
    本研究では、魚類カロテノイド分解に関わる遺伝子候補に着目し、その翻訳制御機構を解明すると共に、同候補のゲノム編集が身色形質の改善に有効か否かを試すことを目的とする。目的達成に向け、「スカベンジャー受容体クラスBタイプ1(srb1)を介したアスタキサンチン(Ax)取込み量を増やし、βカロテンオキシゲナーゼ(bco)による分解を抑えることができれば、最終的に筋肉のAx蓄積量が増え赤色呈色性が強くなる」と仮説を立て、これを直接的にゲノム編集により実証する課題1と、未知な点が多いsrb1及びbcoの翻訳制御機構を明らかにする課題2を実施する。
    R5年度は、公開ゲノムデータベースを探索し、ニジマスではbco1, bco1l, srb1遺伝子、メダカではbco1とbco1l遺伝子について、各ゲノム上の位置や配列を特定した。この情報を基に、課題1では、各遺伝子のガイドRNA(gRNA)を設計・合成した。これらのgRNAとCas9ヌクレアーゼを用いて、ニジマス及びメダカの受精卵に顕微注入し作出したF0胚について、ヘテロ二本鎖移動度分析(HMA)とシーケンス解析結果、両種ともにbco1lに関しては、変異導入個体が確認できた。一方で、その他の遺伝子については、変異導入個体の作出に至らなかった。課題2に関しては、両種から上記遺伝子転写産物のcDNAクローニングを行い、全てのクローニングを完了した。メダカbco1lについては、組換え蛋白質とその抗体を作製し、抗原組換え蛋白質との免疫陽性反応を得た。この抗体を用いて、消化管試料のウェスタンブロッティングを実施したが、陽性反応は確認できなかった。現在、bco1l以外の遺伝子由来の組換え蛋白質の作製も継続中である。一方、身色の赤色呈色を獲得前の若年魚と同呈色獲得後の出荷魚を用い、消化管におけるmiRNA発現データの取得を行った。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 23K18041
  • ゲノム編集技術を用いた魚類の卵黄形成機構の解析
    科学研究費助成事業
    2021年04月01日 - 2024年03月31日
    東藤 孝; 平松 尚志
    本研究は、魚類の卵母細胞における広義の卵黄物質、すなわち中性脂質(油球)と卵黄タンパク質(卵黄球)の蓄積機構について、それらに関わる重要な分子群の機能を最先端のゲノム編集技術を用いることにより解析し、明らかにすることを目的としている。メダカを研究モデルとし、「課題1:油球形成機構の解析」と「課題2:卵黄球形成機構の解析」の2課題を設定して研究を進めている。
    課題1:先ず、油球を構成する中性脂質の主要な供給源である超低密度リポタンパク質の代謝酵素(リポタンパクリパーゼ:Lpl)に着目し、メダカ卵濾胞組織におけるlpl遺伝子の発現を解析した。その結果、2種類のlpl遺伝子(lpl1とlpl2)のうち、lpl1のみが発現していることが示されたことから、lpl1の遺伝子欠損(KO)メダカを作出することとした。CRISPR/Cas9システムによる効率的な変異導入を達成するため、lpl1遺伝子に対する複数のガイドRNA(gRNA)候補を設計して検討した結果、フレームシフトを伴う変異導入に有効なgRNAの組み合わせが見出された。
    課題2:卵黄タンパク前駆物質(ビテロジェニン:Vtg)の卵内への取り込みに必要な3種のリポタンパク質受容体(Lr7、Lr8、Lrp13)のそれぞれについて、メダカ卵濾胞での発現解析ならびに、KO魚の作出とそれらの表現型解析を進めている。これまでに、Lr8のKOメダカ系統(lr8-KO)の作出に成功し、その表現型解析を行った。その結果、lr8-KO系統メダカの孵化仔魚の生残率が野生型のそれよりも低下することが示された。さらにlr8-KO系統メダカにおいては、4種のVtg(VtgAa1、VtgAa2、VtgAb、VtgC)のうち、VtgAb由来の卵黄タンパク質成分が野生型と比べて相対的に減少しており、Lr8がVtgAbタイプの主要な受容体であることが明らかとなった。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 21K05764
  • 魚卵を標的とした物質輸送システムの開発:バイオリアクターによる輸送体の大量生 産
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2018年 - 2022年
    平松尚志
    文部科学省, 競争的資金
  • ウニに生殖腺刺激ホルモンはあるのか?
    科学研究費助成事業
    2014年04月01日 - 2017年03月31日
    都木 靖彰; 浦 和寛; 東藤 孝
    ウニ生殖巣の肥大化メカニズムを研究するツールとして,生殖巣器官培養系を確立し,これを用いて生殖巣の肥大に重要な主要卵黄タンパク質(MYP)の合成を誘起する因子を探索した。仮説としてウニ体腔液中の因子と核内受容体に結合する脂質を設定し,ウニ生殖巣が肥大した時期の体腔液および肥大したウニ生殖巣から抽出した総脂質を添加して生殖巣を培養し,MYP mRNA量を定量PCRにより測定したが,どちらも優位な変動は認められなかった。本研究期間において,ウニ生殖巣中のMYP mRNAの発現を誘起する因子の決定はできなかった。今後,MYPの合成に関与する核内受容体を特定しそのリガンドを添加する実験が必要である。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 26660167
  • 魚類の卵母細胞における油球形成機構の解明
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2014年 - 2016年
    東藤孝
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • ウニに生殖腺刺激ホルモンはあるのか?
    科学研究費助成事業
    2011年 - 2013年
    都木 靖彰; 浦 和寛; 東藤 孝
    これまで、ウニの生殖巣の発達につれて生殖巣で合成・蓄積されるタンパク質(主要卵黄タンパク質 Major Yolk Protein :MYP)の遺伝子構造・発現部位が明らかにされていたが、生殖巣の発達を統御機構に関しては不明なまま残されていた。本研究では、MYPおよびGAPDH mRNA発現定量系の確立をおこなうとともに、MYPの合成を誘起する生殖腺刺激ホルモンの探索を行うための生殖巣器官培養の確立を試み、短期間の器官培養系を確立した。これにより、今後 MYP mRNA 発現量を指標に生殖の内分泌統御に関する研究が可能になる。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 23658152
  • 魚類の卵母細胞における油球形成の分子機構の解明
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2011年 - 2013年
    東藤 孝
    本研究は、サケ科魚類のカットスロートトラウトを主要なモデルに用い、魚類の卵母細胞における油球形成機構を分子レベルで明らかにすることを目的としており、本年度は以下の項目について解析した。1. リポタンパクの蛍光標識法の確立:先ず、カットスロートトラウトの血漿から段階的超遠心法を用いて各種リポタンパク(超低密度リポタンパク、VLDL;低密度リポタンパク、LDL;高密度リポタンパク、HDL)を精製した。次に、各精製リポタンパクの脂質部分をグラスビーズ法により緑色蛍光標識脂肪酸(BODIPY FL C16)で標識する方法を確立した。また、各リポタンパクのアポタンパク部分は、市販のキットにより赤色蛍光物質(Alexa 594)で標識できることを確認した。さらに、こられ脂質とタンパクの標識を同時に行って、二重標識されたリポタンパクを作製できることも確かめられた。2. カットスロートトラウト卵濾胞の生体外培養系の確立:前卵黄形成期(油球期)の卵巣を摘出し、ピンセットを用いて卵濾胞を単離した。単離された卵濾胞を、市販のL-15を基本とした培養液(0.5%ウシ血清アルブミン、各種抗生物質含有、pH 7.4)中で15°Cで培養したところ、少なくとも48時間までは形態と機能を維持できることが確認された。この培養系を用いて、1で作製した蛍光標識リポタンパクの卵濾胞への取り込みを調べた結果、脂質とタンパクの双方とも、時間経過とともに卵濾胞への取り込み量が増加した。さらに、組織切片による観察から、各種リポタンパクのうちVLDL由来の蛍光標識脂質のみが卵母細胞内の油球に取り込まれることが明らかとなった。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 23580242
  • 魚類の卵黄球および油球形成機構の解明
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2009年 - 2013年
    原彰彦
    文部科学省, 競争的資金
  • 環境アンドロゲンバイオマーカー(スピギン)の合成における2種ARの役割解明
    科学研究費助成事業
    2009年 - 2011年
    長江 真樹; 征矢野 清; 東藤 孝
    成熟したイトヨ雄腎臓からARαおよびARβcDNAを単離した。これらcDNAを導入したレポータージーンアッセイ系により、何れのARも機能的であり、両者の転写活性化能には違いがないことも明らかにされた。次に種々の濃度の男性ホルモンを未成熟のイトヨ雌に曝露し、腎臓でのスピギンおよび両ARmRNAの発現変化をリアルタイム定量RT-PCR法およびin situ hybridization法によりそれぞれ明らかにした。スピギンmRNA濃度は、男性ホルモン濃度および曝露期間に依存した増加が認められた。一方、AR mRNA濃度は、何れのタイプにおいても、曝露により顕著な発現量の低下が認められた。このことから、ARは腎臓でのスピギン合成を仲介すると同時に、男性ホルモン受容に応じて自身の発現量を調節(ダウンレギュレート)することが示唆された。また、両ARのmRNA濃度は大きく異なっており、ARαmRNA発現量はβのそれに比べて少なくとも10倍高値を示した。このことから、腎臓でのスピギン合成には、主にARαが関与するものと示唆された。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 長崎大学, 21510069
  • 魚類の卵母細胞における脂質取り込み機構の解析
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2008年 - 2010年
    東藤 孝; 原 彰彦; 平松 尚志
    魚類の卵には、その成長過程で脂質やタンパク質が卵外から多量に取り込まれて蓄えられ、これらの物質は胚や稚仔魚の重要な栄養・エネルギー源として利用される。本研究は、これまで殆ど不明であった、魚類の卵における脂質の取り込み機構について分子レベルで解明することを目的に行われた。その結果、脂質の取り込みに関わる様々な因子の存在が遺伝子レベルで明らかにされ、この機構についての新しいモデルが提出された。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 20580192
  • 成熟促進技術開発のための魚類の初期卵成長機構解析
    科学研究費助成事業
    2007年 - 2009年
    足立 伸次; 井尻 成保; 東藤 孝
    ウナギでは、性分化以前からのエストロゲン処理は雌化および卵巣形成ばかりではなく、初期卵成長促進効果があることが示唆された。一方、前卵黄形成期の卵母細胞の成長はアンドロゲン処理により促進されることが確認された。チョウザメでは、卵径約100μmから約400μmまでの卵成長には数年あるいは10数年を要するが、この時期の卵成長はエストロゲンあるいはアンドロゲン依存ではなく、体成長依存であることが示唆された。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 19380107
  • 多型ビテロジェニンモデルに基づく魚類卵黄形成機構の解明
    科学研究費助成事業
    2007年 - 2009年
    原 彰彦; 松原 孝博; 征矢野 清; 東藤 孝; 平松 尚志
    本研究は魚の卵黄の蓄積メカニズムを詳細に解明しようとするものである。本研究の成果として、複数の卵黄前駆物質(卵黄の由来となる血清蛋白質)を各々分離する技術や個別に検出または測定する技術を、モデル魚(ボラ)を始めに、複数の魚類において初めて開発したことは特筆される。同技術の開発に成功したことにより魚類の卵形成に関する理解が深まったことに加え、増養殖の課題である卵質の向上や女性ホルモン様化学物質汚染の調査技術の確立を行うために必要不可欠な基礎的知見と技術を提供した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 19380106
  • 培養系を用いた魚類の性転換機構の解析
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2006年 - 2007年
    東藤 孝; 中村 將
    本研究では、雌性先熟型の性転換を行うミツボシキュウセン(Halichoeres trimaculatus)の卵巣器官培養系を用いて、卵巣から精巣への転換を調節する分子機構について解析した。先ず、培養条件を再検討し、無血清条件下でも培養組織が良好に維持され、卵巣から精巣への転換も誘導できることを確認した。次に、様々な濃度のアンドロゲンの効果を調べるとともに、エストロゲンの影響についても検討した。その結果、ホルモン未添加の対照群でも性転換がみられたが、アンドロゲン処理により精子形成の進行が促進され、そのアンドロゲンの効果は濃度依存的に認められた。また、様々な濃度のエストロゲンをアンドロゲンとともに卵巣器官培養系に添加したところ、精子形成の進行はほとんどみられず、卵巣組織も維持されていた。この結果から、エストロゲンは卵巣機能を維持するとともに、アンドロゲンによる精子形成促進効果も抑制することが示唆された。また、培養下での卵巣から精巣への転換過程に伴う生殖細胞の増殖を観察した結果、先ず卵巣薄板の上皮において生殖細胞の増加が起こり、さらにそれらが生殖腺の内部に向かって増殖していく様子が認められた。さらに、卵巣から精巣への転換におけるアポトーシスの関わりについて調べたところ、卵母細胞の退行はアポトーシスによるものであることが示唆された。以上の結果から、魚類の性転換において性ステロイドホルモンが非常に重要な役割を担っていることがあらためて示された。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18580172
  • 催熟技術改善のためのウナギ卵形成機構の解析
    科学研究費助成事業
    2005年 - 2007年
    山内 晧平; 足立 伸次; 東藤 孝
    本研究では、サケ脳下垂体投与により人為催熟された雌ニホンウナギを材料として、生殖関連分子の作用機構を解析し、良質卵大量生産技術の確立に寄与することを目的とした。初期卵成長(油球蓄積)機構解析のため、アンドロゲン(11-ケトテストステロン)合成に必須の11β-水酸化酵素(P45011β)を含む複数のステロイド合成酵素の特異抗体を作製した。また、卵巣の器官培養系を用いて、卵母細胞の油球蓄積に及ぼすアンドロゲンおよびリポタンパク質の影響を調べ、油球はリポタンパク質、特に超低密度リポタンパク質に由来し、アンドロゲンがその取り込みに作用していることを示した。次に、アンドロゲンで前処理された未熟雌ウナギを催熟することにより、前処理がその後の人為催熟に及ぼす影響を調べた結果、アンドロゲン前処理により卵径は有意に増大し、油球蓄積が顕著に進行した。魚類の卵母細胞の成熟は、最終成熟誘起ステロイド(MIS)により誘起される。MISは特異的受容体(MIS-R)を介してその作用を発現する。これまで、核型プロゲスチン受容体(PR)および膜結合型プロゲスチン受容体(mPR)が、MIS-Rであることが示唆されている。そこで、2種PR(PRαおよびPRβ)および膜型PRγ(mPRγ)の卵巣の発達に伴う発現変化およびその局在性を調べた。しかし、いずれのPRあるいはmPRもMIS-Rであると断定するには至らなかった。さらに、ニホンウナギの卵質悪化機構を明らかにすることを目的として、卵質を評価することのできるマーカータンパク質を探索し、卵質悪化には複数の要因が関与することを示した。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 17208016
  • ウナギ雌の性成熟過程を制御する性ステロイドホルモンの作用機構に関する研究
    科学研究費補助金(若手研究(B))
    2004年 - 2005年
    東藤 孝
    ウナギの人工種苗生産技術を確立するためには、先ず何よりも良質な卵や精子の安定した供給が不可欠である。そのためには、ウナギにおける性成熟の生理機構を理解し、その知見をもとにウナギの性成熟過程を人為的に統御する必要がある。そこで本研究では、魚類の性成熟の重要な制御因子である性ステロイドホルモンに着目し、ウナギ雌の性成熟過程における性ステロイド作用を分子レベルで明らかにすることを目的として、各性ステロイド(エストロゲン、アンドロゲン、プロゲスチン)の核内受容体(ER、AR、PR)や膜型受容体の構造と機能について解析した。本年度は、先ずウナギの2種サブタイプAR(ARαとARβ)および2種サブタイプPR(PRαとPRβ)のそれぞれのmRNA量を測定するためのリアルタイム定量PCR系を確立した。この測定系を用いて、ウナギ雌雄の生殖腺におけるARとPR mRNA量の性成熟過程に伴う変化を調べた。その結果、卵巣では成熟の進行とともにARとPRの双方とも増加したが、ARではARαが、PRではPRβがそれぞれ他のタイプよりも発現量が高い傾向を示した。一方、精巣ではARとPRの双方とも精子形成の進行とともに発現量が減少し、ARでは2種間で差は見られなかったが、PRではPRαがPRβよりも総じて高い発現量を示す傾向にあった。この様に、ARとPRともに雌雄の生殖腺や成熟のステージによりそれぞれのサブタイプで発現量に相違が見られたことから、ARとPRのサブタイプは卵巣や精巣の発達において異なる役割を担っていることが示唆された。さらにin situハイブリダイゼーション法による解析から、ARとPRのmRNAは卵巣では双方とも主に濾胞細胞や間質細胞で発現しており、精巣では生殖細胞を含めた様々な細胞で発現していることが初めて明らかとなった。
    文部科学省, 若手研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 16780131
  • 月周期と同調したカンモンハタの成熟・産卵に関する行動生理学的研究
    科学研究費助成事業
    2003年 - 2004年
    征矢野 清; 石松 惇; 中村 將; 東藤 孝
    ハタ科魚類は雌性先熟型の性転換を行うなど生物学的に興味深い特徴を有する魚種である。また、世界中の熱帯・温帯域に広く分布し、極めて美味であることから次世代の種苗生産対象魚として世界的に注目を集めていおり、水産的価値の高い魚種でもある。しかし、その成熟・産卵過程はほとんど明らかにされていなかった。我々は本研究を実施する前にカンモンハタの生殖腺発達に関する予備的研究を行い、沖縄周辺海域に生息するカンモンハタが月周期と完全に同調して成熟し、満月大潮直後に生息場であるサンゴ礁の礁池を離れ産卵することを見いだした。しかし、満月直後に起こることが予想される卵巣での劇的な生理変化を観察するには至らなかった。そこで、本種の成熟および産卵過程を月周期と関連づけて詳細に調べるとともに、産卵関連行動とそれに伴う生殖腺の生理変化を、組織学的・内分泌学的に解明する事を目的として、本研究を実施した。
    本研究により得られた主な成果は以下の通りである。
    1.カンモンハタは満月大潮後に生息地である珊瑚礁池から外洋に移動して産卵することを、目視及びバイオテレメトリー手法により裏付けた。
    2.生殖腺は月周期と同調して発達し、飼育環境下でも満月大潮から数日後に産卵することが確認された。
    3.生殖腺発達様式は他のハタ科魚類と類似しているが、北方系のマハタなどとは異なり、明瞭な月周性を持つことが分かった。
    4.産卵は水温が上昇する5月以降に起こり7月下旬まで続づくことが分かった。
    5.一尾の雌個体は満月大潮後の一産卵時に数日に分けて成熟卵を放出することが分かった。
    本研究の成果はカンモンハタの生殖腺発達を理解するだけでなく、種苗生産対象魚として注目されている他のハタ科魚類の生殖腺発達を理解する上でも貴重な情報となる。また、南方系海産魚に多く見られる月周産卵の機構解明にも役立つことが期待される。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 長崎大学, 15570067
  • 魚類の生殖に及ぼす内分泌撹乱化学物質のエストロゲン受容体を介した作用機構の解析
    科学研究費補助金(奨励研究(A))
    2000年 - 2001年
    東藤 孝
    魚類における内分泌撹乱化学物質のエストロゲン受容体(ER)を介した作用機構を明らかにする目的で、メダカをモデルとして以下の研究を行った。近年、魚類のERにはαとβ、γの3種類が存在することが明らかとなったが、メダカではまだαタイプしか知られていない。そこで、先ずメダカERβとERγのcDNAクローニングを行うことにより、メダカにおける3種類のERの存在を確認し、3種類のERの構造や機能について比較・検討した。魚類ERβの保存配列より設計されたプライマーを用いたPCRにより、メダカ卵巣由来のcDNAから2種類のER cDNA断片が得られた。これらのcDNAは両者とも約500個のアミノ酸残基をコードするものであり、そのアミノ酸配列はERのタンパク翻訳領域の大部分を含んでいた。分子系統樹による解析から、得られた2種のcDNAはそれぞれメダカERβとERγであることが確認された。次に、メダカ雌における3種のER mRNAの発現組織をRT-PCR法により調べた。ERα mRNAは肝臓と卵巣にのみ検出されたが、ERβmRNAは脳や肝臓、卵巣、筋肉、鰭で発現しており、さらにERγ mRNAは調べた組織のほとんどで発現が認められた。以上のように、メダカにおいても3種類のERが存在することが初めて明らかにされた。また、3種類のER mRNAの発現組織に違いがみられたことから、エストロゲンや内分泌撹乱化学物質の作用において3種のERは異なる役割を担っている可能性が高いことが示された。しかし、3種類のERの機能的相違の詳細については、今後の課題として残された。
    文部科学省, 奨励研究(A), 新潟大学, 研究代表者, 競争的資金, 12760127
  • 胎生魚の胎児及び産仔魚に及ぼす内分泌攪乱化学物質の影響
    科学研究費助成事業
    1999年 - 2000年
    征矢野 清; 石橋 康弘; 高良 真也; 石松 惇; 東藤 孝
    内分泌攪乱化学物質が魚類の生殖現象及び生残に与える影響を胎生魚のカダヤシを用いて調べた。本研究では、カダヤシの親魚をビスフェノールA(BPA)に暴露させ、親魚体内の胎児における形態異常の有無と生殖線の形態変化を観察した。また、正常に産仔された仔魚をBPAに暴露させ、生殖線の形態変化と生残率を調べた。本研究により得られた成果は以下の通りである。
    1)受精卵及び胎児を持つ親魚を産仔までの期間(約23日間)20ppb及び2000ppbのBPAに暴露させ、産仔された仔魚の生残率と奇形率を調べたところ、20ppb暴露群ではほとんど生残仔魚は得られず92.1%が死産仔魚であった。これらの死産仔魚は全て頭部変形、脊椎湾曲、卵黄嚢肥大などの奇形形態を呈していた。2000ppb暴露群では産仔が行われなかった。
    2)発生後期の胚を持つ親魚をBPAに暴露すると、産仔された仔魚の36.5%は死産であり、そのうち91.3%は頭部変形、脊椎湾曲などの奇形形態を呈していた。
    3)受精期の欄を持つ親魚をBPAに暴露しても同様の奇形を持つ死産仔魚が認められた。
    4)正常に産仔された仔魚を20ppbのBPAに30日間暴露したところ、形態異常は全く引き起こされず、生残率もBPAを暴露していない対照区の仔魚と変わらなかった。
    5)BPA暴露した親魚より産仔された仔魚及び産仔後にPBA暴露した仔魚のいずれにおいても生殖腺形態の異常は観察されなかった。ただし、高濃度のPBAを暴露した親魚の生殖腺では、退行卵が観察された。
    本研究の結果、親魚体内で発生中の胚は親魚を通してBPAの影響を強く受けることが明かとなった。また、産仔後の仔魚では同濃度のBPAにさらしても異常が認められないことから、化学物質の影響は胚発生過程にある胎児への影響が大きいと考えられる。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 長崎大学, 11839019