大木 淳之(オオキ アツシ) |
水産科学研究院 海洋生物資源科学部門 海洋環境科学分野 |
准教授 |
1973年埼玉県出身。
海洋環境を調べる研究をしている。実習船や研究船で野外観測し、実験室にて分析する仕事である。北海道大学水産学部では、海洋生物科学科の教員として主に化学系の授業を受け持っている。
現在の主な研究テーマは、海洋植物が放出する有機ハロゲンガスの分布に関する研究である。とくに最近は、有機ヨウ素ガスの動態に着目している。地球表層で動的なヨウ素の大部分は海水中に無機ヨウ素として存在していて、それを海洋植物が取り込み有機化している。その有機ヨウ素の一部は揮発性を有していて、大気中に揮散する。大気中の有機ヨウ素は光分解して無機化し、いずれは雨となり川に流れて海に戻る。地球表層のヨウ素循環を駆動しているのが海洋植物なのである(と推測される)。私(と共同研究者たち)は北海道周辺を中心に、北極海~赤道域~南極海まで観測を行ってきた。海洋植物や有機物に関連するので、それらと共に動く栄養塩の動態も同時に調べている。
2006年頃までは、大気中の黄砂粒子の動態や海水への溶け具合、大気中粒子の水溶性イオン成分に挙動に関する研究を行っていた。とくに、粒子の粒径分布の特徴を解析するのが好きである。最近は、大気中粒子の仕事はしていないが、海水の仕事がもう少し落ち着いたら、水産学部の実習船を使って、大気観測も継続的に行いたい。
2019年度より、北海道大学の「バランスドオーシャン事業」(https://repun-app.fish.hokudai.ac.jp/)に携わっている。海の分野のオンライン教材を集積して、北大の学生や一般に提供するものである。その提案書を書いたり、アイデアを出したり、自らオンライン教材を作ったり、他の教員に教材つくりをお願いしたりしている。これまでは、ウエブとか、オンラインとか、苦手意識(面倒くさい?)があったが、否応なく、そういう世界に入ってしまった。最近は、ビデオ撮影、動画教材化、などに使う小道具を集めて、スタッフと一緒に制作に頭悩ます日々を送っている。
趣味は、「山登り」と言いたいところだが、最近はほとんど山に行っていない。去年、海での仕事の合間をみて、海釣りをはじめた。何時間も釣り糸を垂らしても、まだ一匹も釣れていない。魚釣れない記録がどれだけ続くやら。
最近は、函館にてゴーヤ栽培と椎茸栽培を趣味にしている。初夏(7月)の函館は涼しく、北海道の中でもゴーヤ栽培に不向きである。ポットで発芽させ、6月中は毎晩家の中に入れ、7月はビニールハウスで育て、8月にようやく収穫できる。2016年は毎日2本収穫するのを楽しみにしている。2020年には、毎日6本、3か月間、ゴーヤを収穫した。大学内で、同僚教員にゴーヤを配るのに忙しい。(一度でも、「ゴーヤ美味しい」と口を滑らせると、毎週のようにゴーヤが届けられるようになるので要注意)
当研究室では、海の研究をしたい学生を募集しています。研究室HPを見てください。
北大水産学部HPからリンクしています。
北海道噴火湾にて、2014-16年に渡り、表面0 mから底層90 mまでの計14層において、計24回の海洋観測を行った。ジブロモメタンCH2Br2、ブロモホルムCHBr3、イソプレンC5H8をパージ&トラップ-ガスクロマトグラフ-質量分析法にて測定した。化合物の濃度は、ブルーム期に低く、ブルームの終焉2ヶ月以上経過後の5-8月に最大濃度を示した(ジブロモメタン:4.3-19.1 pmol L-1, ブロモホルム:13.0-34.0 pmol L-1, イソプレン: 67.8-133.3 pmol L-1)。鉛直分布の極大が表層混合層直下(5月50 m, 8月20 m)に一致して見られ、これは、表面混合による大気放出から免れたことと、混合層直下に存在する植物プランクトンが放出されたものが蓄積されたものと考えられた。