研究者データベース

岩下 明裕(イワシタ アキヒロ)
スラブ・ユーラシア研究センター
教授

基本情報

所属

  • スラブ・ユーラシア研究センター

職名

  • 教授

学位

  • 博士(法学)(九州大学)

J-Global ID

研究キーワード

  • 境界研究(ボーダースタディーズ)   ロシア外交   Russian Foreign Policy Sino-Russian Relations   

研究分野

  • 人文・社会 / 地域研究 / 境界研究
  • 人文・社会 / 政治学

担当教育組織

所属学協会

  • 日本平和学会   地域研究コンソーシアム   ロシア東欧学会   境界地域研究ネットワークJAPAN   NPO法人国境地域研究センター   ボーダーツーリズム推進協議会   Associataion for Borderlands Studies   日本国際政治学会   

研究活動情報

論文

  • 進化するボーダースタディーズ:私たちの現場とツーリズム
    岩下 明裕
    境界研究 9 91 - 112 2019年 [査読有り][通常論文]
  • ボーダースタディーズへの招待
    岩下 明裕, 高木 彰彦
    地理 61 4 68 - 74 2016年 [査読無し][通常論文]
  • 構築される領土:竹島、尖閣、北方領土
    岩下 明裕
    地理 61 11 73 - 81 2016年 [査読無し][通常論文]
  • Inside and Outside Alliances: Russia's Eastern Frontiers During the Cold War and After
    岩下 明裕
    Journal of Borderlands Studies 32 1 55 - 70 2016年 [査読有り][通常論文]
  • 岩下 明裕
    都市問題 103 8 75 - 83 後藤・安田記念東京都市研究所 2012年 [査読無し][通常論文]
  • 岩下 明裕, 伊藤 薫
    境界研究 3 135 - 146 北海道大学スラブ研究センター内 グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成:スラブ・ユーラシアと世界」 2012年 [査読有り][通常論文]
  • An Invitation to Japan’s Borderlands: At the Geopolitical Edge of the Eurasian Continent
    岩下 明裕
    Journal of Borderlands Studies 26 279 - 282 2011年 [査読有り][通常論文]
  • ボーダースタディーズの胎動
    岩下 明裕
    国際政治 162 1 - 8 2010年 [査読有り][通常論文]
  • 岩下 明裕
    ロシア・東欧学会年報 1998 27 74 - 81 THE JAPANESE ASSOCIATION FOR RUSSIAN AND EAST EUROPEAN STUDIES 1998年
  • 岩下 明裕
    史学雑誌 105 5 375 - 380 公益財団法人 史学会 1996年
  • 岩下 明裕
    政治研究 42 39 - 69 九州大学 1995年03月31日

書籍

  • 変わる北東アジアの経済地図:新秩序への連携と競争
    岩下 明裕 (担当:分担執筆範囲:中ロ接近が変える北東アジアの国際関係:米中ロ3角形と日口関係への影響)
    文眞堂 2017年07月
  • ボーダーツーリズム:観光で地域を創る
    岩下 明裕 (担当:編者(編著者))
    北海道大学出版会 2017年
  • Japan’s Border Issues: Pitfalls and Prospects
    岩下 明裕 (担当:単著)
    Routledge 2016年
  • 融解と再創造の世界秩序
    岩下 明裕 (担当:分担執筆範囲:ボーダースタディーズからみた世界と秩序:混迷する社会の可視化を求めて)
    青弓社 2016年
  • 入門 国境学:領土・主権・イデオロギー
    岩下 明裕 (担当:単著)
    中公新書 2016年
  • 境界から世界を見る:ボーダースタディーズ入門
    岩下 明裕 (担当:分担執筆範囲:解説)
    岩波書店 2015年
  • Border Disputes: A Global Encyclopedia
    岩下 明裕 (担当:共著範囲:Sino-Russian Borders)
    ABC-CLIO 2015年
  • 図説ユーラシアと日本の国境:ボーダー・ミュージアム
    岩下 明裕, 木山 克彦 (担当:共編者(共編著者))
    北海道大学出版会 2014年
  • 国境の島・対馬の観光を創る
    岩下 明裕, 花松 泰倫 (担当:共編者(共編著者))
    北海道大学出版会 2014年
  • 領土という病
    岩下 明裕 (担当:編者(編著者))
    北海道大学出版会 2014年
  • 北方領土・竹島・尖閣、これが解決策
    岩下 明裕 (担当:単著)
    朝日新書 2013年
  • The Political Economy of Divided Islands: Unified Geographies, Multiple Polities
    岩下 明裕 (担当:共著範囲:Bolshoi Ussuriiski/Heixiazi)
    Palgrave Macmillan 2013年
  • 日本の「国境問題」:現場から考える
    岩下 明裕 (担当:編者(編著者))
    藤原書店 2012年
  • ユーラシア世界5:国家と国際関係
    岩下 明裕 (担当:分担執筆範囲:グローバル・ユーラシア)
    東京大学出版会 2012年
  • New Geopolitics and Rediscovery of the U.S.-Japan Alliance: Reshaping “Northeast Asia” beyond the Border
    岩下 明裕 (担当:単著)
    Brookings Institution 2010年09月
  • 日本の国境:いかにこの呪縛を解くか
    岩下 明裕 (担当:その他)
    北海道大学出版会 2010年
  • 20世紀ロシア史と日露関係の展望
    岩下 明裕 (担当:分担執筆範囲:『4でも0でも、2でもなく』再論)
    九州大学出版会 2010年
  • 日本の国際政治学3
    岩下 明裕 (担当:分担執筆範囲:中域ユーラシア:国際関係の新たなパラダイムを目指して)
    有斐閣 2009年
  • Security Challenges in the Post-Soviet Space: European and Asian Perspectives.
    The Polish Institute of International Affairs 2008年
  • 講座スラブ・ユーラシア学I
    岩下 明裕 (担当:分担執筆範囲:ユーラシアとアジアの様々な三角形:国境政治学試論)
    講談社 2008年
  • 上海協力機構―日米欧とのパートナーシップは可能か
    北海道大学スラブ研究センター 2007年
  • "Slavic Eurasian StudiesNo.16-2 Eager Eyes Fixed on Eurasia:Russia and Its Eastern Edge
    北海道大学スラブ研究センター 2007年
  • Slavic Eurasian StudiesNo.16-1 Eager Eyes Fixed on Eurasia:Russia and Its Neighbors in Crisis
    北海道大学スラブ研究センター 2007年
  • Toward a New Dialogue on Eurasia:The Shanghai Cooperation Organization and Its Partners
    2007年
  • 『日ロ関係の新しいアプローチを求めて』[21 世紀COE プログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集15]
    北海道大学スラブ研究センター 2006年
  • 『国境・誰がこの線を引いたのか:日本とユーラシア』〔スラブ・ユーラシア叢書1〕
    北海道大学出版会 2006年
  • 『ロシア外交の現在 II』[21 世紀COE プログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集14]
    北海道大学スラブ研究センター 2006年
  • 4000 километров проблем
    Восток- Запад 2006年
  • 4000 kilometer proglem
    east-west 2006年
  • 北方領土問題:4でも0でも2でもなく
    中央公論新社 2005年
  • 『ユーラシア国境政治-ロシア・中国・中央アジア-』[21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集8]
    北海道大学スラブ研究センター 2005年
  • Взгляд вне рамок старых проблем: опыт российско-китайского пограничного сотрудничества [21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集6]
    北海道大学スラブ研究センター 2005年
  • Slavic Eurasian Studies No. 6-1, Siberia and the Russian Far East in the 21st Century: Partners in the “Community of Asia”: Crossroads in Northeast Asia,
    北海道大学スラブ研究センター 2005年
  • Slavic Eurasian Studies No.4, A 4,000 Kilometer Journey Along the Sino-Russian Border
    北海道大学スラブ研究センター 2004年
  • 『ロシア外交の現在I』[21世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集2]
    北海道大学スラブ研究センター 2004年
  • A 4,000 Kilometer Journey Along the Sino-Russian Border
    北海道大学スラブ研究センター 2004年
  • 中ロ国境の旅~「4000キロ」の舞台裏~
    東洋書店 2003年
  • Slavic Eurasia's Integration into the World Economy and Community,
    北海道大学スラブ研究センター 2003年
  • 中・ロ国境4000キロ
    岩下 明裕 (担当:単著)
    2003年

その他活動・業績

  • ユーラシアとアジアの様々な三角形――国境政治学試論
    家田修編著『講座スラブ・ユーラシア学:開かれた地域研究へ』講談社 1 197 -220 2008年 [査読無し][通常論文]
  • 上海協力機構と日本―ユーラシア共同体の構築に向けた連携―
    上海協力機構―日米欧とのパートナーシップは可能か 59 -64 2007年 [査読無し][通常論文]
  • フルシチョフ対日外交のインプリケーション
    ロシア研究 (80) 45 -59 2007年 [査読無し][通常論文]
  • 「9.11」とユーラシアの四角形
    日本比較政治学会年報 「テロは政治をいかに変えたか―比較政治学的考察―」 1 2007年 [査読無し][通常論文]
  • The Shanghai Cooperation Organization and Japan-Moving Together to Reshape the Eurasian Community
    Toward a New Dialogue on Eurasia:The Shanghai Cooperation Organization and Its Partners 59 -64 2007年 [査読無し][通常論文]
  • 「北方領土問題」に関するアンケート・世論調査
    『日ロ関係の新しいアプローチを求めて』21 世紀COE プログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集 15 1 -63 2006年 [査読無し][通常論文]
  • プーチン政権下の対中国アプローチとその特徴
    『ロシア外交の現在 II』21 世紀COEプログラム「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集 (14) 13 -23 2006年 [査読無し][通常論文]
  • Опыт российско-китайских пограничных переговоров: применим ли он к территориальному вопросу между Россией и Японией?
    『Взгляд вне рамок старых проблем:опыт российско-китайского пограничного сотрудничества』「スラブ・ユーラシア学の構築」研究報告集 (6) 67 -80 2005年 [査読無し][通常論文]
  • An Inquiry for New Thinking on the Border Dispute: Backgrounds of “Historic Success” for the Sino-Russian Negotiations
    Slavic Eurasian Studies 6 (1) 95 -114 2005年 [査読無し][通常論文]
  • Вокруг проблемы российско-китайской границы
    Казахстан в глобальных процессах 1 98 -109 2005年 [査読無し][通常論文]
  • The Shanghai Cooperation Organization and an Emerging Security System in Eurasia
    Regional Integration in the East and West: Challenges and Responses 41 -49 2005年 [査読無し][通常論文]
  • 中・ロ国境問題はいかにして解決されたのか?
    法制研究 71 (4) 597 -614 2005年 [査読無し][通常論文]
  • Вокруг проблемы российско-китайской границы
    Мировая экономика и международные отношения (2) 97 -104 2005年 [査読無し][通常論文]
  • The problem of the Russian-Chinese border
    (2) 97 -104 2005年 [査読無し][通常論文]
  • ロシアの対中国外交:「チャイナシンドローム」を越えて
    東アジアのロシア 67 -88 2004年 [査読無し][通常論文]
  • キルギスタン・タジキスタンの対外関係
    イラク戦争後のプーチン政権の対中央アジア政策 17 -30 2004年 [査読無し][通常論文]
  • 中俄在中亜的関係
    第四次中亜形成與上海合作組織国際研討会論文集 83 -87 2004年 [査読無し][通常論文]
  • 『CIS:旧ソ連空間の再構成』
    国際書院 2004年 [査読無し][通常論文]
  • Sino-Russian relations in Asia
    Fourth the Shanghai Cooperation Organization International Symposium Proceedings 83 -87 2004年 [査読無し][通常論文]
  • The Shanghai Cooperation Organization and Its Implications for Eurasian Security: A New Dimension of "Partnership"after the Post-Cold War Period
    Slavic Eurasian Studies (2) 259 -281 2003年 [査読無し][通常論文]
  • 9・11事件以後の中露関係
    特集:9.11事件以後のロシア外交の新展開(松井弘明編) 85 2003年 [査読無し][通常論文]
  • CISとロシア:選択的重層アプローチの形成と展開
    CIS: 旧ソ連空間の再構成 185 -205 2003年 [査読無し][通常論文]
  • CISと国際関係:ウクライナ・コーカサス・中央アジア
    CIS: 旧ソ連空間の再構成 176 -184 2003年 [査読無し][通常論文]
  • 国境問題
    『中央アジアの行方』 84 -106 2003年 [査読無し][通常論文]
  • 中央アジアをめぐる中ロ関係
    『中央アジアをめぐる新たな国勢情勢の展開』 59 -78 2003年 [査読無し][通常論文]
  • 岩下 明裕 山口県立大学國際文化學部紀要 7 38_a -25_a 2001年03月25日
  • 岩下 明裕 山口県立大学國際文化學部紀要 6 114_a -103_a 2000年03月25日
  • 岩下 明裕 山口県立大学大学院論集 1 3 -17 2000年03月25日 
    This paper aims to analyze the key issues concerning Central Asia in Russo-Chinese relations after the Cold War. First, it reviews the Russian foreign commitment to Central Asia, which focuses on security items for the border and ex-patriots, which are vital to Russian interests. Second, it pays much attention to the Chinese attitude towards Russian policy on Central Asia, which China has recognized as a sphere of Russian influence. As its future is uncertain, China has supported the Russian presence there. It should keep close and stable relations with Russia to concentrate its resources for economic and political development as a "great power."
  • 岩下 明裕 山口県立大学國際文化學部紀要 3 87_a -75_a 1997年03月25日
  • 岩下 明裕 国際政治 111 34 -50,9-10 1996年

受賞

  • 2011年 第24回地方出版文化功労賞
     
    受賞者: 岩下 明裕
  • 2008年 日本学術振興会賞
  • 2006年 大佛次郎論壇賞

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2020年04月 -2025年03月 
    代表者 : 岩下 明裕, 福原 裕二, BOYLE EDWARD, 黒岩 幸子, 益尾 知佐子
     
    本研究では、ユーラシアや諸外国の事例を参考にしつつ、北東アジアに関わる国境・領土をめぐる社会構築と実態の連関を、時系列と地理スケールを変えることを通じナショナルとローカルのフレームにおいて析出する。 ローカルとは境界に接する自治体レベルの場合もあれば、国境点(まち)そのものもあり、スケールは伸縮される。フレームの相互作用を検証し、領土をめぐる社会構築が、ある場合にはナショナリズムの激化と相関し、ある場合にはこれを鎮静化させる二面性パターンを解析する。国境を越えるローカルな場からの「メッセージ」を学術的に総合し、領土をめぐる社会構築を相対化し乗り越える道筋をつくるのが本研究の狙いである。 空間や境界をめぐる諸問題を学際的に研究するボーダースタディーズ(境界研究)の理論と枠組をもとに、本研究では北東アジア地域の「領土」(領海、領空、経済水域などを含む)をめぐる表象を実態との連関において検証する。 争点化されている空間をめぐる対象は、ロシア、中国、韓国(北朝鮮)、日本など北東アジア地域の構成国の社会的な表象の構築の分析を中心とするが、域外の諸地域・諸国などにも目配りし、比較を通じて、それぞれの「領土」に関わる実態と表象の特性を明確にする。かかる作業を通じて境界地域を安定と平和の表象に転換するための諸策を世界的研究の文脈のなかで再構築する。 なお、昨今のコロナ禍の世界的な広がりは、ナショナルとローカルのフレームを大きく揺さぶりつつあり、当該研究テーマたる国家や領土を分析する際、実態においても社会構築においても考慮せざるをない影響力をもつ。本研究はこれらについても目配りしつつ、地域の変貌を追跡する。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2024年03月 
    代表者 : Wolff David, 李 鍾元, 岩下 明裕, 泉川 泰博, 楠 綾子, 井上 正也, 松本 はる香
     
    On October 15-18, 2021 a workshop on “Japan and the Korean Peninsula in the Cold War” was sponsored by Kaken A and held at the Graduate School of Asia-Pacific Studies of Waseda University. Papers were prepared and presented by scholars from South Korea, the PRC and Japan, covering a range of topics concentrated in the second half of the Cold War.
    Cross-archival research made possible the connection of various initiatives not usually studied together. During the detente era, the Nixon opening to China brought on a brief period of relaxation on the Korean peninsula, as well as Japan’s outreach to China. The end of the Vietnamese war brought an end to this hiatus as Kim Il Sung prepared to turn the tide agains the “imperialists” in Asia. A few years later, Carter’s plan to withdraw US troops from South Korea also had implications and connections to Japan. Finally, the shifts of perestroika revealed a fluid conjuncture where, in Northeast Asia, the Korean peninsula was the focal point of new relations and missed opportunities. But the promise of Seoul’s Nordpolitik was never fully met, since it produced an opening to the USSR, but not to North Korea, the ultimate objective.
    A sponsored panel at the International Studies Association Convention went further to include analysis of all members of the incipient Quad, including India and Australia.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年11月 -2020年03月 
    代表者 : 岩下 明裕, PULFORD EDWARD
     
    今年度はこれまでの研究成果をもとに研究報告を1つ、その他、業績にある論文、書籍などを刊行した。 なお当該研究の概要であるが、本プロジェクトの成果の最大の特徴は、当該テーマの分析に際し、人類学的な手法を用いることにある。北東アジアの国境地域は、ロシア人、中国人、北朝鮮人、少数民族などが交錯する場としてよく知られているが、消費行動という研究テーマにおいては多くが経済学的な統計処理による分析、あるいは企業アクターなどを注視した経営学的な解析、移民の移動に焦点をあてた社会学的な分析が主たるものであった。消費行動についてひとりひとりのきめ細かいフォローと彼らの有するフィジカルかつメンタルな実態を明らかにしようとするアプローチは旧来にないものであり、その成果が上記論文及び国際会議において発信されている。 さらに付言すれば、プルフォード氏の研究のテーマは、「北東アジア」と「国境」をテーマとしており、これは私が主宰する人間文化研究機構(NIHU)地域研究推進事業北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター拠点の学術活動及び境界研究ユニット(UBRJ)の諸研究と合致するものでもあった。とくに北東アジアというスケールでの中国人の越境性と、にもかかわらず中国的な特色ある行動性の両面へ目配りする研究は、境界研究(ボーダースタディーズ)の観点からも興味深く、センター滞在中には日本全国で開催されたセミナーや研究会などで数多くの報告をすることとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 花松 泰倫, 古川 浩司, 井澗 裕, 岩下 明裕, 田村 慶子, 朴 鍾碩
     
    国境観光は政府間関係に影響を受けつつも地理的近接性や親密性、政治的・経済的・文化的差異を利用する境界地域に駆動されること、国境地域では隣国との人的交流の深化によって脱境界化、再境界化、新境界化の同時進行を促すことが明らかとなった。また、国境観光が隣国関係に与える影響は、日韓関係悪化、コロナ、ウクライナ戦争によって国境観光の基盤が失われた今後に解明されるべき課題である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2019年03月 
    代表者 : 岩下 明裕
     
    本研究は、グローバル化に関する諸問題を地域横断的に多様なディシプリンを用いて行うのみならず、境界を越え、世界規模で起きる現象の追跡と分析に目配りしつつも、重層的なグローバル化のもとで、絶えず消失し、再生される空間及び人と人の相関における領域化や境界付けを総合的に把握しようとするものである。本研究では、一見グローバル化とはネガの関係に見えるボーダー(境界)の問題群がグローバル化とコインの表裏の関係であることを前提に、旧来の研究視座では読み解くことのできない問題群と本質を逆照射し、かつ実践的な解析や対応策を見出そうと努めようとする。1)アジア・ユーラシアの境界事象(再領域化・囲い込み)とグローバル化した世界の相関を分析し、2)グローバル化するborderization とtrans-borderizationの相関を地域間比較によって試み、3)グローバル化と境界問題の理論的総合を目指す、という課題設定がそれである。 最終年度にあたる平成30年度は上記の設定にかんがみ、本新学術領域研究で展開されている諸研究を鳥瞰し、当該研究成果の発信に努めた。Association for borderlands Studiesの第2回世界大会(ウィーン、ブタペスト)、世界政治学会(IPSA)(ブリスベン)などで政界の報告を行い、また福岡で開催された世界社会科学フォーラム(WSSF)で複数のパネルを組織した。成果の共有のために、モスクワ、ヘルシンキ、バーミンガム、ワシントンDC,シアトル、サンディエゴで関係する研究者と学術交流を行った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : Wolff David, 石井 明, 岩下 明裕, 中地 美枝
     
    本研究の多角的な分析の結果明らかになったのは、米国を中国と対抗させたいというロシアの長期的な思惑が、成功に向けて前進したことである。中国は、ロシアと必要以上に接近しないように努めていた。しかし、ロシアは一帯一路構想や中国の軍事発展において中心的に関与した。また、世界の中で影響力を強めようとする中国をロシアは常に支持してきた。中露の接近の結果、それまでに主要な敵対国をロシアと考えていた米国は、短期間のうちにその視線をシフトし、中国を友好的ではない国とみなすようになっていった。中国はあくまで米国の挑戦を受けて立つ姿勢を崩していないが、これらの展開はロシアの思惑通りといえる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 山崎 孝史, 香川 雄一, 北川 眞也, 前田 洋介, 畠山 輝雄, 二村 太郎, 飛奈 裕美, 岩下 明裕, 崎浜 靖, 福本 拓
     
    本研究は、グローバル化の新局面における政治空間の変容を把握し、政治的主体の再構築を促す多様な運動と実践の展開を検証し、新しいガバナンスのモデルを展望しうる政治地理学の確立を目指した。人文地理学会政治地理研究部会の活動を軸に、研究期間中に11回の主催・共催公開研究会(2回の外国人研究者招聘講演会を含む)、3回の国際集会を中国と韓国で開催した。研究成果を佐藤正志・前田洋介編『ローカル・ガバナンスと地域』ナカニシヤ出版(2017年)および現代地政学事典編集委員会編『現代地政学事典』丸善出版(2019年刊行予定)に結実させ、新しい政治地理学の理論、方法論、および実践性を社会に普及させることに貢献した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2018年03月 
    代表者 : 岩下 明裕, 古川 浩司, 田畑 伸一郎, 八谷 まち子, 田村 慶子, 川久保 文紀, 山﨑 孝史, 山根 聡, 地田 徹朗, 花松 泰倫
     
    本研究は、主権国家間の関係やパワーに基づいた従来からの国際関係論の分析手法を乗り越え、国際関係を規定する本質的なファクターに焦点を当てることにより、境界地域の「生活圏」を足場とした「新しい地政学」の成立に向けた一助とすることを目的とした。 毎年国内外でのセミナーやシンポジウムで研究成果を共有し、書籍『入門国境学:領土・主権・イデオロギー』(中公新書)やJapan’s Border Issues: Pitfalls and Prospects(Routledge)などを刊行した。またボーダーツーリズム(国境観光)についても、旧来にない新たな成果の地平を切り開いた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年11月 -2014年03月 
    代表者 : 田畑 伸一郎, 唐 亮, 岩下 明裕, 宇山 智彦, 上垣 彰, 山根 聡, 望月 哲男, 松里 公孝, 長縄 宣博
     
    1.新学術領域研究「ユーラシア地域大国の比較研究」の日本語での成果は,ミネルヴァ書房から全6巻のシリーズとして刊行される予定であり,平成24年度に2巻発行していたが,平成25年度にも岩下明裕編『ユーラシア国際秩序の再編』と望月哲男編『ユーラシア地域大国の文化表象』の2巻を刊行した。 2.本新学術領域研究の英語での成果は,Routledge社から田畑伸一郎を編者とし,Eurasia’s Regional Powers Compared - China, India, Russiaというタイトルで,全14章から成る本として刊行することが決まった。執筆者は本新学術領域研究の6つの計画研究の研究代表者,研究分担者などである。そのための原稿の執筆を行い,ほとんどの原稿が3月末までに提出された。 3.本新学術領域研究の成果を,日本,中国,韓国の研究者による第5回スラブ・ユーラシア研究東アジア学会(2013年8月9~10日,大阪法経大学)をはじめとするいくつかの学会等で報告することを支援した。 4.本新学術領域研究の成果を,経済の領域における成果を中心に,国立大学附置研究所・センター長会議第3部会シンポジウム「比較研究の愉しみ」(2013年10月4日,北海道大学)で発表した。 5.本新学術領域研究において2010年に行った国際シンポジウムの成果を,Comparative Studies on Regional Powers, No. 14として刊行した。また,本研究の支援を受けて実施された言語学の領域における研究の成果をSlavic Eurasian Studies, No. 26として刊行した。 6.本新学術領域研究は,世界諸地域の研究に関わる研究組織、教育組織、学会などをつないで, 情報交換や研究活動を進めるネットワーク組織である地域研究コンソーシアムから,第3回(2013年度)地域研究コンソーシアム研究企画賞を受賞した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2012年 
    代表者 : ディビッド ウルフ, 秋田 茂, 泉川 泰博, 岩下 明裕, 遠藤 乾, 松本 はる香, 横手 慎二, ロバート エルドリッジ, 金 成浩, エルドリッジ ロバート
     
    本研究では、歴史家と政治学者の連携のもと、冷戦期の北東アジア、特に日本側の役割と視点にたった多くの資料を収集・統合した。この4年の研究期間で研究メンバーは、ワークショップ、カンファレンスや様々な国際イベントにおいて、新たな資料と結論に基づく80回もの発表(半数が英語発表)を行い、約70もの論文・図書を執筆・刊行した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2012年 
    代表者 : 岩下 明裕, 石井 明, 伊藤 融, 吉田 修, ウルフ デイビッド, 中居 良文
     
    ユーラシアの主要アクターである露中印の存在が国際社会に与える影響の深度と広がりを分析し、翻って国際社会がこれら「地域大国」とともにどのような新秩序を形成していくかを展望した。成果はこれを単なる露中印の「地域大国」外交研究にとどめることなく、「国際秩序の再編」なるテーマの下、秩序側が露中印の挑戦を主体的にどのように受けとめ、それをどのように無視、牽制、包含するのか、という分析にまで踏み込んだことにある。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2009年 
    代表者 : 岩下 明裕, 宇山 智彦, 帯谷 知可, 吉田 修, 荒井 幸康, 石井 明, 中野 潤三, 金 成浩, 荒井 信雄, 田村 慶子, 前田 弘毅
     
    本研究の実践的な成果は、第1に中国とロシアの国境問題解決法、「フィフティ・フィフティ(係争地をわけあう)」が、日本とロシアなど他の国境問題へ応用できるかどうかを検証し、その可能性を具体的に提言したこと、第2に中国とロシアの国境地域の協力組織として生まれた上海協力機構が中央アジアのみならず、南アジアや西アジアといったユーラシア全体の広がりのなかで発展し、日米欧との協力により、これがユーラシアの新しい秩序形成の一翼を担いうることを検証したことにある。また本研究の理論的な成果は、第1にロシアや中国といった多くの国と国境を共有している「国境大国」は、米国など国境によってその政策が規定されることの少ない大国と異なる対外指向をもつことを析出し、第2に国境ファクターに大きく規定される中ロ関係が、そうではない米ロ関係や米中関係とは異なっており、米ロ中印などの四角形のなかで、構成される三角形が国境を共有するかどうかで異なる機能を果たすことを実証したことにある。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    代表者 : 松里 公孝, 六鹿 茂夫, 廣瀬 陽子, 前田 弘毅, 岩下 明裕
     
    現代国際政治上の重大争点でありながら、これまで本格的な研究がなされてこなかった「非承認国家問題」を総合的に研究するために、ウクライナ、グルジア、モルドヴァ、アゼルバイジャンを研究する専門家が結集した。 平成17年度は、(1)非承認国家の国内政治や政治体制、(2)非承認国家をめぐる紛争で大きな意義を持った史学言説に重点を置きつつ、ナゴルノ・カラバフなどにおいて現地調査を行った。3月には、非承認国家をめぐる史学史に関する国際研究集会を、プリドニエストルからの歴史家を招いて、札幌と東京で開催した。 平成18年度は、親国家(旧宗主国)の政治における非承認国家の意味を問うた。アブハジア、プリドニエストル、またEU本部があるブリュッセルで現地調査を行った。2月には「親国家政治における非承認国家問題」をテーマにした研究集会を、ドイツから研究者を招いて行なった。この研究者は、東京でも報告した。また、前年の研究集会のペーパーをもとに、露語論文集『非承認国家をめぐる史学史的対話:プリドニエストル、ナゴルノ・カラバフ、アルメニア、南オセチア、グルジア』を出版した。 平成19年度は、研究成果をまとめ発表することに力を集中し、全米スラブ学会の年次総会(ニューオリンズ)で、イギリス、ドイツ、メキシコなどから専門家を招いてパネルを組織した。3年間の成果をまとめ、露語論文集『沿黒海地域の広域的文脈におけるプリドニエストル』を出版した。この論文集は、今後の研究方向をも示している。旧ソ連圏内で生まれた非承認国家のすべてが環黒海地域に集中していることの背景を考え、環黒海広域政治の文脈でこの問題を考察する必要があろう。 なお、平成18-19年度、ナゴルノ・カラバフの政治エリートの伝記を網羅的に調査する委託研究がなされた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 岩下 明裕, 荒井 信雄, 石井 明, 中野 潤三, 吉田 修
     
    本研究は近年の中ロ関係の著しい発展が近隣のアジア諸国の関係にどのような影響を与えたかを探るべく、ロシアと中国の関係分析をベースにして、中国と中央アジア、ロシア・中国と南アジア、ロシア・中国と東南アジア、ロシアと朝鮮半島、ロシアと日本などの関係を研究する専門家を糾合し、比較研究を行った。その作業を通じて、ユーラシアの地域秩序の再編成が、国境を軸として進んでいることが明かとなった。とくに、中国とロシアが国境問題の解決法や国境地域を安定させる方策として採用したやり方は、中国と東南アジア、中国と中央アジアなどでも援用され、いまやユーラシアの国境問題を解決する有力な処方箋ともなりつつある。本研究では、これがインドと中国、日本とロシアなどの関係に適用可能かどうかについても検証し、また提言を行った。 本研究を通じて、10本近くの国際会議、各種セミナー、学会などにおけるパネルの組織が国内で行われた。その内容は多岐にわたり、「モンゴルと上海協力機構」、「パイプラインと北東アジアの国際関係」、「タジキスタン内戦と戦後復興」、「21世紀のシベリア・極東:『アジア共同体』のパートナー」(2004年度スラブ研・夏期国際シンポジウム)、「中国とロシア」、「中国とカザフスタン・クルグズタン国境」、「中央アジアの最新情勢」、「国境・移民問題を越えて:中国とロシアの地域協力は新時代を迎えたのか?」、「ユーラシアの国境問題を考える」、「ロシア極東:歴史的パースペクティブのなかで」、国際政治学会大会部会「アジア・ユーラシアの国境問題を考える」、「ロシア外交と東アジア」、「日ロ関係の今後」など多数であり、これらは日本語のみならず、世界の専門家を招請して英語・ロシア語・中国語などで開催された。 海外における成果発信としても、ソウル大学、モスクワ国際関係大学、歴史民族考古学研究所(ウラジオストク)、ハルビン国際会議(黒龍江省社会科学院主催)、AAASS大会(ソルトレイクシティ)、戦略研究所(ロンドン)、ネルー大学など、多くの研究会や会議の場で報告が行われた。 その業績については、11を参照されたい。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2004年 
    代表者 : 田畑 伸一郎, 久保庭 真彰, 上垣 彰, 中村 靖, 岩下 明裕, 末澤 恵美
     
    1.本研究では、ロシアの世界経済との統合において、ロシアの石油・ガスが鍵であることを明らかにした。この点について、国民所得、産業連関表、国際収支表、資金循環表、財政統計などの統計を詳細に分析することにより解明したことが、本研究の大きな成果である。とりわけ、ロシアの石油・ガス企業の特異な組織形成により、石油・ガス部門で生み出された利潤がロシア公式統計のなかで商業部門等に記録され、それらが資本逃避の源泉となっているという点の発見および実証は、世界に先駆けるものであり、本研究の最大の成果と見なされる。これについては、日本で組織した国際シンポジウムのなかで発表したほか、全米学会でも報告し、欧米の学術雑誌に数本の論文が掲載された。この研究のなかでは、上記のロシア統計について、その方法論などについても検証がなされ、それも研究成果として発表された。この検証は、ロシアの統計局との共同作業として行われたが、この作業も本研究の大きな特徴であり、世界的に注目された。 2.ロシアが旧ソ連構成共和国との間で結成しているCIS(独立国家共同体)が、ロシアの世界経済との統合のなかで重要な役割を果たしていることを学際的な共同研究により明らかにした。 CISの役割については概して否定的な評価が多いなかで、ソ連崩壊後の十数年間において、大規模な紛争や破綻を防ぎ、様々な調整の場を提供した面を積極的に評価したことが本研究の特徴および学界への貢献である。こうした点は、国際関係、安全保障、政治、経済、社会などの専門家を研究分担者、研究協力者として本研究に取り込み、学際的な議論を重ねるなかで明らかにされた。成果は、種々の学術雑誌に発表されたほか、研究代表者を編著者とする研究書にまとめられた。同書は、CISに関する日本で初めての本格的な研究書と評価されている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 岩下 明裕
     
    本研究の初年度は、中露国境河川のウスリー河流域(ダマンスキー島及びハバロフスク近辺)とアルグン河流域(内モンゴル自治区及びチタ州)の領土問題の調査を行い、2001年のハルビン国際会議において、成果の一部を報告した。次年度は、同じ国境河川のアムール河2000キロ全体を視察し、これにより約4000キロの中露国境地域ほぼすべての踏査を完了した。その結果、領土問題の解決(係争地であった島嶼がどのように中露間で配分されたか)の実体と国境画定後の中露国境地域の現状についての知見を得た。さらにこの2年間の調査の過程で、中国黒龍江省の各県レベルの郷土誌を収集し、ロシア側でも国境警備隊、税関、行政府関係者からの聞き取りをしたが、これにより、ポスト冷戦時代の中露国境交渉とその実体がほぼあきらかになり、国境「担ぎ屋」貿易の現状とあわせて分析を行うことができた。その最終成果は角川書店から『中・ロ国境4000キロ』(2003年3月)として刊行されている。この成果は欧米の中露関係研究でも、また中露の研究者でも十分にはなしえなかった領域(領土問題)を全面的にカバーしており、成果の一部は、すでに2002年6月のハルビンでの国際会議などですでに報告されたが、まもなく中国語でも刊行される。さらに11月には北京とハルビンから著名なロシア研究者を招請し、スラブ研究センターで「中露『戦略的パートナーシップ』-北京とハルビンの見方」と題したセミナーを開催した。報告者のロシア語ペーパーとあわせて、英・露・中・日の4言語で編まれたその報告書はすでに公刊されている。また本研究を通じてあきらかになった中露関係にかかわるレッスンを、他地域に応用する試みとして、中露と中央アジアとの関係について、2002年7月の国際平和学会(ソウル)で報告した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 岩下 明裕
     
    東アジアの国際関係を分析する際にもっとも注目に値する、ポスト冷戦時代の中露関係を国境と地域協力をキーワードに読み解いた本研究は、2年にわたる国境地域の現地調査(沿海・ハバロフスク・チタのロシア側国境地域および黒龍江・吉林・内モンゴルの中国側国境地域)と一次資料を駆使した結果、内外において画期的な研究成果を生みだした。それは第1に中露関係全体がすでにモスクワ・北京の中央政府関係によるだけでなく、国境地域の具体的な関係によって規定されはじめていること、第2に国境地域の関係も地域差が拡大しており、チタ・内モンゴルのもっともよい協力モデルが沿海・吉林のもっとも悪いケースと対比され、前者が後者の関係に適用されることで中露関係は好転しうるとの結論を得たことである。 個別の国境地域間協力の実態については、豊富な現地資料(国境の写真を含む)を盛り込むかたちで主に大学の紀要類に公表した(研究発表3・4)。とくにこれらの論文で指摘した中露間の係争地(領土問題)の詳細は、今回、内外で始めて明らかにされたものである。また地方間関係の分析の前提となるモスクワ・北京の中央政府関係の近況も看過することなく目配りした(研究発表5)。 上記のように本研究は、内外でも未踏のものであるため、成果を世界に還元すべく積極的に発信を行ってきた。2000年度にはアメリカ(シアトル・ワシントンDC)およびロシア(ウラジオストク)で報告を行い、関連ペーパーをロシア語・英語で公刊した(研究発表1・2・6)。さらに本研究の成果の一部をハジバラ氏(山口県立大学大学院)の協力を得て中国語でも刊行した(研究発表 図書1)。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1997年 
    代表者 : 林 忠行, 矢田部 順二, 中井 和夫, 長與 進, 家田 修, 伊東 孝之, 岩下 明裕, SCHOPLIN Geo, VUKADINOVIC ラドヴァン, 柴 宜弘, 秋野 豊, 横手 慎二, 川原 彰, 広瀬 佳一
     
    1.本研究は共産党体制崩壊後の東中欧地域国際関係、およびこの地域の国際環境の変容過程を多角的に分析することを目的としている。1)欧州国際秩序の再編、2)下位地域協力、3)二国間関係、4)各国内政の4レベルで問題を設定し、現地調査を実施した。 2.それぞれの分担にしたがって、各国の政府、政党関係者とのインタビューを実施した 3.次の事項について、集中的な資料収集を行った 1)1996年6月のチェコ下院選挙、および11月の同上院選 2)1997年3月のスロヴァキアにおける国民投票 3)1997年6月のポーランド国政選挙 4)1997年11月のハンガリーにおけるNATO加盟についての国民投票 4.調査によって得られた情報や資料によって、さしあたりつぎの諸点が指摘できる。 1)東中欧諸国のうちポーランド、チェコ、ハンガリーの三国はすでにNATO/EU加盟候補国となり、加盟交渉が開始されているが、産業構造転換など残された課題は少なくない。 2)スロヴァキアでは民主主義の制度化をめぐる問題があり、NATO/EU加盟については不確定要因が多い。 3)NATO/EU拡大が、隣接地域(旧ソ連地域や南東欧)に及ぼす影響は注目を要する。その展開次第では、拡大がそれらの地域の不安定化をもたらすおそれもある。 5.上記諸点の詳細と資料を研究報告書として刊行した。平成11年に論文集刊行予定。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1997年 
    代表者 : 林 忠行, 岩下 明裕, 秋野 豊, 横手 慎二, 伊東 孝之, 小泉 直美
     
    この研究は、スラブ・ユーラシア地域における国際関係の変動分析を目的としていた。そこでの知見としては、つぎの諸点を指摘できる。 1.ロシアの世諭形成者の間では、多様な自己認識と世界認識が存在し、それらの間での外交政策をめぐる諭争が継続している。さしあたりそれらの認識はa)イデオロギー的西欧派、(1)現実主義的西欧派、(2)現実主義的独自路線派、(3)イデオロギー的独自路線派、(4)大国再生派などに分類できる。 2.現在のロシアがもつ国境観には、なおかつてのロシア帝国やソ連時代に形成された意識が残存しているが、新しいロシア国家が世界システムに組み込まれる過程で、国境の画定の必要性が認識され、かつ非軍事化された国境管理体制の導入が進みつつある。 3.ロシアは、カフカ-スや中央アジアでの影響力を急速に失いつつあり、またこの地域では独自の地域意識の形成が見られ、また隣接するロシア以外の諸国や米国が影響力を行使し始めている。こうした過程の中で、この地域には新しい地域国際システムの出現が観察される。 4.ロシアと中国の間では「パートナーシップ」に墓づく国家間関係が構築されつつあるが、それぞれで「中央」と両国国境地域に位置する「地方」との間での両国関係に関する捉え方の差も観察され、それは両国間関係の不安定要因となっている。 5.東中欧諸国はNATOおよびEU加盟に向かい、これらの諸国とロシアおよび旧ソ連諸国との関係は急速に変容したが、旧ソ連ブロック内で形成された関係の遺産もなお観察できる。その一例が、スロヴァキアとロシアとの関係で、そこでは強い政治、経済、軍事的な提携関係が残っており、それはスロヴァキアの独自の外交路線に反映されている。
  • ユーラシア国境政治
  • Border Politics in Eurasia

教育活動情報

主要な担当授業

  • スラブ・ユーラシア総合研究特別演習
    開講年度 : 2021年
    課程区分 : 修士課程
    開講学部 : 文学院
    キーワード : 旧ソ連・東欧、地域研究、プレゼンテーション、討論の技法
  • スラブ・ユーラシア研究特殊講義
    開講年度 : 2021年
    課程区分 : 修士課程
    開講学部 : 文学院
    キーワード : 国際関係 外交 ユーラシア 国境 ボーダースタディーズ(境界研究)
  • スラブ社会文化論特殊講義
    開講年度 : 2021年
    課程区分 : 修士課程
    開講学部 : 文学研究科
    キーワード : 国際関係 外交 ユーラシア 国境 ボーダースタディーズ(境界研究)

大学運営

学内役職歴

  • 2020年4月1日 - 2022年3月31日 スラブ・ユーラシア研究センター長
  • 2020年4月1日 - 2022年3月31日 教育研究評議会評議員


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