日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究期間 : 2021年04月 -2026年03月
代表者 : 久保 文明, 山岸 敬和, 荒木 圭子, 宮田 智之, 平松 彩子, 前嶋 和弘, 西川 賢, 西山 隆行, 梅川 健, 中山 俊宏, 森 聡, 梅川 葉菜, 岡山 裕, 清原 聖子, 松井 孝太, 渡辺 将人, 中林 美恵子, 菅原 和行, 小浜 祥子, 杉野 綾子
近年、アメリカの民主党と共和党の間には政策的収斂という現象が見られる。イデオロギー的に対立するはずの両党が、保護貿易、国内のインフラ投資、財政規律の緩和といった政策で合意するようになっている。現代のアメリカ政治は、多くの場合イデオロギー的分極化と党派対立構造という枠組みから理解されてきたが、この枠組みでは政策的収斂を説明できない。
そこで本研究では、アクターである政党と利益団体・政治運動の連合に変化が生じていること、分極化の中で進んだ政治制度の変容が従来は不可能であった少数のアクターによる政策変更を可能にしたことを示し、具体的な政策分野において、どのように政策的収斂が生じたのかを解明する。すなわち、現代のアメリカに政党再編成および政治構造の転換が生じつつあり、それが政策的収斂という新しい現象を引き起こしていることを実証する。
本研究プロジェクトでは、近年のアメリカにおける政治構造の変容を、アクター、制度、政策の3つのレベルから分析するために、対応する3つの研究班を設けている。政党再編成グループ、制度グループ、政策グループである。
5年の研究プロジェクトの初年度である2021年度には予備的調査を実施し、まずは各グループ内で議論を重ね、その後3グループ合同での研究会を複数回実施し、相互にコメントすることで研究を進展させた。さらに、この成果を久保文明・中山俊宏・山岸敬和・梅川健編『アメリカ政治の地殻変動:分極化の行方』(東京大学出版会、2021年)として出版した。