網塚 浩(アミツカ ヒロシ) |
理学研究院 物理学部門 凝縮系物理学分野 |
教授 |
UAu_2_Si_2_は約19Kで強磁性的な秩序を起こすということを除いて、その低温物性は明らかになっていなかった。最近、我々は本物質の単結晶育成に初めて成功し、詳細な基礎物性測定やNMR測定から19Kの秩序が強磁性ではなく、自発磁化を伴うが本質的には反強磁性であることを明らかにしてきた。本講演では磁気抵抗測定の結果を紹介し、輸送現象の側面から本物質の秩序に伴う磁性の変化について議論する。
UBe_13_はエキゾチックな超伝導を示す重い電子系であり、また、転移温度以上では非フェルミ流体異常を示す。磁性希釈極限系Th_1-x_U_x_Be_13_$(x \leq 0.11)$ では通常フェルミ状態が実現することを我々は既に明らかにしているが、$x = 1$における非フェルミ状態へどのように移行するのかは自明ではない。本公演では全U濃度($0 \leq x \leq 1$)における低温物性(磁化率、電気抵抗、比熱)の実験結果を紹介し、UBe_13_における非フェルミ流体異常の起源について議論する。
UBe13(立方晶NaZn13構造)は低温で非常に大きな電子比熱を持ち、極低温約0.8Kで非従来型超伝導を示す重い電子系超伝導体である。本研究では、UBe13における異常な超伝導・非フェルミ液体常伝導状態の起源の理解を深めるため、極低温精密物性測定を行っている。講演では[111]軸方向に関する極低温磁化測定の結果をこれまでに発表した[100]方向の結果と併せて報告する。
UNi4BはT〜20 Kでトロイダル磁気秩序が発現する。この磁気状態で電流を印加することにより磁化を増強など非常に興味深い振る舞いを示すことが理論的に予測されている。今回我々は、電流を印加しながらNMR実験を行うことでUNi4Bの電流磁気効果を検証した。当日はその結果を発表する予定である。