洞 彰人 (ホラ アキヒト)

理学研究院 数学部門 数学分野特任教授

研究者基本情報

■ 学位
  • 理学博士, 京都大学
■ URL
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J-Global ID■ 研究キーワード・分野
研究キーワード
  • 関数解析, 確率論
研究分野
  • 自然科学一般, 基礎解析学, 関数解析
■ 担当教育組織

研究活動情報

■ 論文
■ その他活動・業績
  • 群の表現論と極限定理 --- オルシャンスキーとオクニコフ
    洞 彰人, 数理科学, 20, 25, 2008年12月, [査読有り], [招待有り]
    日本語, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
  • Infinite dimensional harmonic analysis IV: On the interplay between representation theory, random matrices, special functions, and probability
    Joachim Hilgert; Akihito Hora; Takeshi Kawazoe; Kyo Nishiyama; Michael Voit, Infinite Dimensional Harmonic Analysis IV: On the Interplay Between Representation Theory, Random Matrices, Special Functions, and Probability, 1, 328, 2008年01月01日
    その他
  • ヤング図形の漸近挙動をめぐる調和解析と確率論の話題
    洞 彰人, 日本数学会年会企画特別講演アブストラクト, 2007, 79, 90, 2007年, [招待有り]
    一般社団法人 日本数学会, 日本語, 研究発表ペーパー・要旨(全国大会,その他学術会議)
  • オクニコフ(フィールズ賞業績紹介)
    洞 彰人, 数学セミナー, 2006年01月, [査読有り], [招待有り]
    日本語, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
■ 書籍等出版物
  • 対称群の表現とヤング図形集団の解析学--漸近的表現論への序説--
    洞 彰人
    数学書房, 2017年, [単著]
  • The Limit Shape Problem for Ensembles of Young Diagrams
    Hora, A
    Springer, 2016年, [単著]
  • Projective representations and spin characters of complex reflection groups $G(m,p,n)$ and $G(m,p,\infty)$
    Hirai, T; Hora, A; Hirai, E
    Mathematical Society of Japan, 2013年, [共著]
  • この定理が美しい, ランダムネスに潜む普遍性---中心極限定理
    洞 彰人, 176--185
    数学書房, 2009年, [分担執筆]
  • Infinite Dimensional Harmonic Analysis
    Hilgert, J; Hora, A; Kawazoe, A; Nishiyama, K; Voit, M
    World Scientific, 2008年, [共編者(共編著者)]
  • Quantum Probability and Spectral Analysis of Graphs
    Hora, A; Obata, N
    Springer, 2007年, [共著]
  • Non-Commutativity, Infinite Dimensionality and Probability at the Crossroads
    Obata, N; Matsui, T; Hora, A
    World Scientific, 2002年, [共編者(共編著者)]
■ 講演・口頭発表等
  • Dynamical scaling limit of the restriction-induction chain on Young diagrams in terms of free probability
    洞 彰人
    Random Matrices and Their Applications, 2018年05月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • Markov chains, graph spectra, and some static/dynamic scaling limits
    洞 彰人
    第3回代数的組合せ論「仙台勉強会」, 2018年03月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • On evolution of macroscopic profiles (and their global fluctuations) for growing random Young diagrams
    洞 彰人
    第19回北東数学解析研究会, 2018年02月19日, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • 群論的なヤング図形集団における巨視的プロファイルとゆらぎの動的モデル
    洞 彰人
    筑波大学解析セミナー, 2017年11月01日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • Dynamic model for limit profiles and their Gaussian fluctuations in Young diagram ensembles
    洞 彰人
    Mathematical Aspects of Quantum Fields and Related Topics, 2017年06月26日, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • On a dynamic model for limit profiles and their Gaussian fluctuations in group-theoretical ensembles of Young diagrams
    洞 彰人
    Colloquium RIMS Kyoto Univ., 2017年05月24日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • Application of free probability to dynamical limit shapes of random Young diagrams
    洞 彰人
    One-day workshop on Interface between Commutative and Non-Commutative Stochastic Analysis, 2017年03月28日, 英語, 口頭発表(一般)
    [国内会議]
  • ヤング図形集団における大数の法則(静的および動的モデル)
    洞 彰人
    岡山-広島解析・確率論セミナー, 2017年02月20日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • 制限誘導連鎖の流体力学極限と自由確率論
    洞 彰人
    日本数学会年会, 2015年03月22日, 日本語, 口頭発表(一般)
    [国内会議]
  • プランシェレル集団における流体力学極限と自由確率論
    洞 彰人
    札幌数理物理研究集会, 2014年09月01日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • 対称群の表現の漸近理論への誘い
    洞 彰人
    非可換解析集中セミナー, 愛知教育大学, 2013年09月, 日本語, 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
    [招待講演], [国内会議]
  • Growth process of multi-diagrams, its Martin boundary, and characters of an inductive limit group
    洞 彰人
    Markov Chains on Graphs and Related Topics, RIMS International Project Research 2012: Discrete Geometric Analysis, 2013年02月14日, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • 帰納極限群の分岐グラフ上の調和関数
    洞 彰人
    月曜解析セミナー, 北海道大学, 2012年11月19日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • コンパクト群の帰納系を舞台にした確率論と調和解析の話題
    洞 彰人
    北大数学談話会, 2012年10月25日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • ヤング図形のエルゴード的な統計集団における集中現象
    洞 彰人
    表現論と非可換調和解析の展望, 京都大学数理解析研究所, 2012年06月20日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • コンパクト群の環積の指標と分岐グラフの境界
    洞 彰人
    日本数学会年会, 2012年03月29日, 日本語, 口頭発表(一般)
    [国内会議]
  • ヤング図形の群論的統計集団における最尤形状について
    洞 彰人
    岡山解析・確率セミナー, 2011年10月27日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • Harmonic functions on branching networks for some big groups
    洞 彰人
    Sapporo Workshop on Non-commutative Analysis and Applications to Complex Phenomena, 2011年09月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • ヤンググラフ上の調和関数と無限対称群の表現
    洞 彰人
    離散幾何解析セミナー, 2011年07月01日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • Characters and harmonic functions related to infinite wreath product groups
    洞 彰人
    RIMS Project Research, The International Conference on Functions in Number Theory and Their Probabilistic Aspects, 2010年12月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
■ 主な担当授業
  • 基礎数学演習C, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 基礎数学C, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 基礎数学演習C1, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 基礎数学C1, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 微分積分学Ⅱ, 2024年, 学士課程, 全学教育
  • 解析学F, 2024年, 学士課程, 理学部
■ 所属学協会
  • 日本数学会
■ Works(作品等)
  • Joint Research on Infinite-Dimensional Harmonic Analysis
    2000年 - 2001年
  • Joint Research on Algebraic Probability
    2001年
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • 漸近的表現論と分岐グラフ上の調和解析、及び関連する確率モデルのスケール極限の研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2022年04月 - 2026年03月
    洞 彰人
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 22K03346
  • 量子確率論の展開と巨大有限系の漸近解析
    科学研究費助成事業
    2019年04月01日 - 2023年03月31日
    尾畑 伸明; 洞 彰人; 田中 太初; 荒木 由布子
    統計性の源泉を非可換代数とその表現に求める手法として、量子分解は量子確率論の基本的な概念であり、量子確率解析やスペクトルグフ理論などと関連して発展してきた。本研究では、グラフのスペクトル解析を通して量子分解法を拡張することを目標として、次の4課題を扱っている。
    (1)成長するグラフの同時スペクトル分布と付随する多変数直交多項式の決定:量子分解法は、グラフのスペクトル分布、特に成長するグラフに対する極限分布を求める手法として確立してきた。ただし、従来研究では1変数直交多項式に帰着される場合に限られているため、その制限を取り払うことが重要な課題となっている。そのための試論をいくつか検討している。一つの成果は、強正則グラフの直積に対して、隣接行列と補グラフの隣接行列の2変量の分布(同時スペクトル分布)と付随する2変数直交多項式の詳細構造を導出したことであり、国際共著論文として発表した。
    (2)アソシエーションスキームに付随した量子分解法の多変数化:上記の強正則グラフの議論は、距離正則グラフ、あるいはより一般のアソシエーションスキーム上で展開するのがより自然であり、代数的組合せ論の立場から準備研究を開始した。さらに、グラフのスペクトル解析という観点から、距離行列のQE定数という新しい不変量を導入して基本的な性質を調べるとともに、多くの具体的な計算を蓄積した。その一部は国際共著論文として発表した。
    (3)多変数直交多項式を特徴づける量子成分の非可換構造の抽出:量子分解の多変数化を直交多項式の視点からとらえれば、多変数直交多項式系に対して定義される「多変数的に拡張されたヤコビ行列」が鍵となる。そような拡張されたヤコビ行列に退化指数という概念を導入してスペクトル測度の特徴を捉える研究を継続している(前年度に最初の国際共著論文を発表)。
    (4)量子ホワイトノイズ解析の集大成:文献調査を進めた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東北大学, 19H01789
  • 漸近的表現論と確率モデルのスケール極限の融合的な研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2019年04月 - 2022年03月
    洞 彰人
    群の表現の漸近挙動にはさまざまな意味合いがあるが、本研究課題で主として意図するのは、何らかの意味で群のサイズが大きくなる状況である。それが一種の統計的な効果をもたらす。一方、群の作用はしばしば興味深い確率モデルや力学系をうみだす。対称性をもったマルコフ連鎖がそのよい例である。本研究では、具体的な確率モデルをよりどころにし、適切なスケール極限の考察をとおしてそのような群の表現論と確率論の重層的なかかわりあいの様相を探究する。
    今年度のもっとも主要な研究対象は、対称群の既約表現の分岐則から生じるヤング図形上の制限誘導連鎖を基にした連続時刻の動的モデルであった。遷移の間の待ち時間の分布をいろいろとりかえることにより、時空のスケール極限の結果として現れるプロファイルの時間発展の様子がどのように変化するかを調べることがテーマである。古典的なフーリエ解析の方法、ボイクレスクの自由確率論(とくに自由キュムラント)、および対称群の既約指標とケロフ多項式をミックスした独自のアプローチで取り組んだ。以前に得たマルコフ過程の場合(待ち時間が指数分布に従う場合)を包括し、拡張した結果が得られた。他方、裾の重い待ち時間分布を課したときには、シャープな極限プロファイルが出現しない等の特異な現象をとらえることができた。この現象のさらなる研究は現在も進行中である。
    もう1つの研究対象として、対称群のスピン既約表現の分岐則がうみだす動的モデルの探究に着手した。これは対称群の通常表現の場合と本質的に異なる構造であり、両者の類似と異質さの兼ね合いは興味深い。
    今年度中に出版された学術論文はないが、受理されて掲載が決まっているもの1編(共著)と、投稿中のもの1編(単著)がある(ともに査読あり)。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 19K03532
  • 漸近的表現論の深化と展開
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2016年04月 - 2019年03月
    洞 彰人
    無限個の文字の置換のような巨大な群の作用が内包する構造を解明するため、確率論の視点を導入して群の表現のもつ統計量としての性格に着目するのが、漸近的表現論の骨子となる考え方である。本研究では、群の表現の解析にしばしば現れるヤング図形と呼ばれる対象の統計集団の挙動を調べた。ヤング図形の集団における群論的な確率力学系に動的スケール極限を施し、大数の法則の効果によって生じる極限形状の巨視的な時間発展を考察した。このモデルの構築と性質の解明について、いくつかの成果を得た。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 16K05164
  • 複雑ネットワークのスペクトル解析と頂点間統計量によるモデル化手法の構築
    科学研究費助成事業
    2011年 - 2013年
    尾畑 伸明; 洞 彰人; 今野 紀雄
    (1)ネットワークのスペクトル解析:グラフの直積の距離kグラフに対して、因子数を無限大とするときの極限分布を「組合せ的中心極限定理」として導出した。加重付超立方体を構成し、スペクトル分布をq変形エルミート多項式で記述する公式を得た。有向パスグラフのマンハッタン積に関して、因子の個数が小さいときには固有値分布を完全に決定し、パスが長くなるときの漸近的スペクトルを導出した。
    (2)モデル化手法のためのダイナミクスの統計的漸近挙動:量子確率論の手法を古典的なランダムウォークに応用して、推移確率や再帰確率に関する公式を再構成した。スパイダーネット上の量子ウォークに対して、局在化の必要十分条件を導出した。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 東北大学, 23654046
  • 群のユニタリ表現の分解と分岐グラフ上の調和関数の研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2011年 - 2013年
    洞 彰人; 伊師 英之; 松本 詔; 尾畑 伸明
    莫大な数の要因が絡み合う複雑な現象の解明に資することを念頭に置いて,巨大な群上の調和解析の展開を目指すため,巨大な群の表現の分解を明快に記述する具体的な枠組と手段を整備することが,本研究の課題である.無限対称群や無限複素鏡映群を含むクラスのコンパクト群の環積を主な舞台として,確率論的,表現論的,ポテンシャル論的アプローチの連関のもとに,群の指標公式とその特徴づけ,分岐グラフの境界と極小調和関数,経路空間上のエルゴード的測度の記述に関し,具体的で詳細な結果を得た.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 研究代表者, 23540197
  • 量子確率論と無限次元解析
    科学研究費助成事業
    2008年 - 2010年
    尾畑 伸明; 日合 文雄; 浦川 肇; 鈴木 香奈子; 梁 淞; 洞 彰人; 齊藤 公明; 廣島 文生; 吉田 裕晃
    ランダム現象の背後に隠された非可換性に着目した数理モデルの基礎研究において成果をあげた。量子ホワイトノイズ微分という新しい概念を導入し、量子確率積分の拡張、フォック空間上の作用素の積分表示、量子マルチンゲールの表現、ボゴリューボフ変換の特徴づけに応用した。複雑ネットワークの構造解析に向けて、量子確率論的手法によるスペクトル解析やランダム・ウォークの推移確率計算、自由確率論と自由エントロピー、行列不等式などを研究した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東北大学, 20340025
  • 巨大な群上の調和解析に向けた確率論と表現論の融合的研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2007年 - 2010年
    洞 彰人; 岡田 聡一; 楯 辰哉; 平井 武; 尾畑 伸明; 下村 宏彰; 河添 健; 山田 裕史; 新井 仁之; 西山 享; 伊師 英之; 松本 詔; 稲浜 譲
    巨大な群上での調和解析の展開に向けて、確率論と表現論の融合的な研究を推進した。調和解析とは、事物の対称性に着目することによって深い数学的構造を見出し、それに立脚した解析を行う学問分野である。本研究では、無限自由度をもつ大規模な対象を扱うため、その対称性を記述する群として巨大な群が現れる。得られた成果の中で最も主要なものは、(i)調和解析の素子となる指標と呼ばれる関数の分類と具体形を与える公式、および(ii)群の表現の漸近挙動と確率論の極限定理をつなぐ一連の結果である。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 名古屋大学, 研究代表者, 19340032
  • ランダムグラフの量子確率論的スペクトル解析
    科学研究費助成事業
    2007年 - 2009年
    尾畑 伸明; 洞 彰人
    グラフ(有限または無限)に付随する様々な行列や作用素(隣接行列・Q-行列・ラプラシアン・推移行列など)のスペクトルはグラフの構造をさまざまに反映し、代数的グラフ理論の中心的なテーマである。近年、(a)多様な独立性(b)量子分解法(c)分割の統計、などの量子確率論的手法によるスペクトル解析が大きく発展している。本研究では、これらの手法をランダムグラフに適用できるように拡張し、複雑ネットワークへの応用を視野にいた具体的なモデルのスペクトル分布を導出することが重要である。特に、ワッツ・ストロガッツ模型の修正モデル(一般化エルデシュ・レニーモデルと呼ぶ)とランダム閾値グラフについて研究を重ねた。今年度は、今野氏・井手氏との共同研究によって、一般的な閾値グラフのスペクトルを計算し、ランダム閾値グラフの平均スペクトル分布を導出したことが大きな成果である。ランダム閾値グラフはランダム成長グラフととらえることができ、その成長の仕方に対応する独立性の定式化は非常に興味深く、研究を続行している。ボロバシュの流れをくむウチャック氏を招聘し、ランダムグラフの連結成分の挙動についてスペクトル的アプローチを議論した。残念ながら、エルデシュ-レニーのランダムグラフに対する希薄極限のスペクトル密度の導出には至らなかった。第26回代数的組合せ論シンポジウム(山形)と数理物理サマースクール2009(東京)において、量子確率論的手法について総合報告をするとともに、いくつかの国際会議で成果の一部を発表した。日本と韓国の代数的組合せ論研究者との研究交流が始まり、新しい展開が期待できる環境が整ってきた。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 東北大学, 19654024
  • 調和解析の研究及びその多次元信号処理への応用
    科学研究費助成事業
    2007年 - 2009年
    新井 仁之; 勘甚 裕一; 洞 彰人; 立澤 一哉
    本研究では調和解析学,及びその多次元信号処理への応用について研究を行った.研究代表者の新井仁之の主な成果は次のものである.方位選択性をもち,完全再構成性をみたし,低階から高階のガウス導関数と類似の形状を有する新しいフレームレットを構成し,さらにそれを用いた円形的幾何的フィルタリングを考案して,研究代表者らが発見したフラクタル螺旋錯視のフレームレット解析を行った.これによりフラクタル螺旋錯視の錯視成分を特定し,それを抽出することに成功した.円形的幾何的フィルタリングは大脳皮質V4野の視覚情報処理と関連していると考えられる.なお以上の成果は新井しのぶとの共同研究による.また,この他にも研究代表者はフレームの理論的研究を行い,多次元かつ一般のサンプリング行列に関するポリフェーズ行列とフレーム作用素に関する結果も得た.なおフラクタル螺旋錯視の錯視成分の抽出に関する結果は,科研費NEWS(2009年1号)でも取り上げられた:http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/31_result/rikou/37_arai.html
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東京大学, 19340029
  • 群の表現から見たボーズ凝縮の萌芽研究
    科学研究費助成事業
    2006年 - 2008年
    松井 卓; 洞 彰人
    今年度の研究は当初の予定から大きく外れ格子上の量子力学系のハーグ双対性をめぐる研究が主体となった。格子上を動くボーズ粒子系は、これまで生成消滅作用素の指数関数から定まるワイルCCR代数を使って統計力学を考える場合が多かった。しかしこれでは有限自由度の場合でもハミルトニアンのレゾルベントがワイルCCR代数の元ではないので統計力学的な問題を研究するには様々な困難がある。Buchholz等はワイルCCR代数の代わりに生成消滅作用素のレゾルベントが生成する代数を考える事を提案したが、この路線でいくつか基本的な事項を証明することを検討した。
    その手始めとして前年度研究した純粋状態のハーグ双対性とSplit性の研究を行う予定であった。量子スピン系の並進不変純粋状態のハーグ双対性の証明は既に雑誌に発表したが、最近、その証明に一部不十分な点があるのが判明し証明の修正を試みている。局所性を持つ相対論的場の量子論では、その公理からReeh-Schliederの定理が成立する。Jones-Wassermannのループ群から生成される部分因子環の研究では、Reeh-Schliederの定理から基底状態セクターでのハーグ双対性の証明が行われたのであるが一次元量子スピン系の場合にもReeh-Schlieder型の定理を仮定すればハーグ双対性は証明できることが判明した。格子の次元が高い場合に半空間の間でのハーグ双対性の証明は、クンツ代数の拡張としてUHF代数の片側シフトによる接合積を用いるとReeh-Schlieder定理が成立すればハーグ双対性が成立することも証明できる。
    ハーグの双対性が分かると2点相関関数の一様減衰が状態のSplit性を意味することも分かった。
    ボーズ粒子系のレゾルベント代数の場合のハーグ双対性については、まだ成果を得ていない。
    日本学術振興会, 萌芽研究, 九州大学, 18654029
  • ランダム行列に基づく自由確率論と作用素環の研究
    科学研究費助成事業
    2005年 - 2008年
    日合 文雄; 尾畑 伸明; 浦川 肇; 小澤 正直; 幸崎 秀樹; 山上 滋; 洞 彰人; 植田 好道; 中村 誠; 尾畑 伸明; 小澤 正直; 幸崎 秀樹; 植田 好道; 洞 彰人
    最近25年, D.Voiculescuが開拓した自由確率論は, 非可換確率論の一つとして大きな発展を遂げた.自由確率変数の漸近モデルであるランダム行列や, 自由確率論に固有なエントロピーである自由エントロピーを基に, 自由確率論の研究を行った.関連して, 代数的確率論, 作用素論, 作用素環, 量子情報理論についても研究した.自由確率論における主要な成果は, 自由エントロピーと自由エントロピー次元の新しい定式化,対数ソボレフ不等式と輸送コスト不等式の自由確率版の導出などである.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東北大学, 17340043
  • 確率モデルのスケーリング極限の観点から見た対称群の表現の漸近理論の研究
    科学研究費助成事業
    2004年 - 2006年
    洞 彰人; 山田 裕文; 村井 浄信; 佐々木 徹
    対称群やそれに類似した離散群の表現におけるいろいろな特性量が群のサイズを大きくするにつれてどのような漸近挙動を示し、極限の描像として何が浮かび上がってくるかについて、確率論や統計力学におけるスケーリング極限の観点からアプローチを行うのが、本研究の全体的な主旨であった。量子、確率論の極限定理の方法を有効に活用することと、自由確率論やランダム行列とのつながりを重視することは、本研究の特徴と言える。具体的な成果の概要を列挙する。
    1.グラフの次数と温度がある種のスケーリングを保ちながら変化する低温・無限体積極限において、ギッブス状態に関するラプラシアンのスペクトル分布の研究を行った。相互作用フォック空間上の生成・消滅作用素を用いた量子中心極限定理の定式化によって、漸近的なふるまいを詳しく計算した。
    2.ユツィス・マーフィー元のモーメントの組合せ論的な特性を深く追究した解析を行い、リトルウッド・リチャードソン係数など対称群の表現の既約分解から生じるものを始めとして、ヤング図形から成るさまざまな統計集団(アンサンブル)における集中現象を統一的に理解する見方を得た。それは、ある種のヤンググラフ上のランダムウォークの性質に多くが帰着される。ここでも量子確率論の手法を積極的に活用した。
    3.研究協力者である平井武氏、および平井悦子氏との共同研究により、コンパクト群の無限対称群との環積の指標を行列要素として表す良い因子表現を構成した。この表現は、一般的なゲルファント・ライコフ表現の枠組を超えて、指標を特徴づけるパラメータの性質が直接反映されるものになっている。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 岡山大学, 16540154
  • 多様体上の群の作用と無限次元調和解析
    科学研究費助成事業
    2005年 - 2005年
    西山 享; 洞 彰人; 新井 仁之; 河上 哲; 河添 健; 内藤 聡
    本研究は多様体上の群の作用とその上の調和解析について周辺分野および応用分野を含めた研究者間の交流を図り、共同研究の下地となるように企画された。特にドイツとの交流に力点をおいたのが特徴である。
    本年は若手研究者2名(A.オールドブリッジおよびT.ヨハンセン研究員)および中堅の研究者3名(M.シュトルツ、M.フォイト、M.レースラーの各準教授)そしてハイパー群の専門家であるH.ハイヤー教授の合計6名をドイツより招聘し、分担者の属する様々な大学で多くの日本人研究者との交流を果たした。また日本からは、洞助教授、河上教授、河添教授、示野助教授の4名をドイツに派遣した。洞・河添の両名はこの企画調査によって2007年度に国際研究集会を日独間で開催するための調査と準備を綿密に行った。河上・示野の両名はそれぞれハイパー群およびダンクル作用素に関する共同研究について研究連絡を行った。これらはいずれも実り多い結果をもたらしたが、それを以下少し詳しく報告する。
    まず2007年9月に日独間で国際研究集会を開き、研究者の更なる交流を深めることで、研究分担者および協力者の合意を得た。この集会は分担者の研究分野にとらわれることなく、「無限次元調和解析」という学際的な分野において相互理解と更なる共同研究を模索するために企画された。まだ資金的な裏付けは得られていないものの、招待講演者の選定など既に具体的な集会の運営に向けて動き出している。次に、河上教授はハイヤー教授と共にハイパー群の拡張理論に作用素環の理論を応用し、有限ハイパー群の具体的な構成を目指して共同研究を開始した。また、示野助教授はリーマン対称空間の調和解析とダンクル作用素および球関数の理論との関連を研究していたが、ドイツ側の招きで連続講義を行うなど日独双方の研究状況についての意見交換を行った。このダンクル作用素の理論についてはフォイト・レースラーも多変数ベッセル関数の観点からシュティーフェル多様体上のダンクル理論を取り扱っているが、日本における研究連絡において菊地助手(京都大学)の研究しているゲルファント対との関連性を議論するなど活発な意見交換が行われた。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 京都大学, 17634005
  • 量子ホワイトノイズの非線形理論と非ガウス拡張
    科学研究費助成事業
    2003年 - 2005年
    尾畑 伸明; 日合 文雄; 浦川 肇; 洞 彰人; 有光 敏彦; 齊藤 公明
    伊藤解析に代表される確率解析は、ランダム現象の数理解析において中心的な役割を演じるなど理論・応用の両面で大きな発展を遂げてきた。この伝統的な枠組みでは、ブラウン運動B(t)の汎関数を無限次元微積分学の立場から解析するのに対して、本研究ではブラウン運動をさらに分解(時間微分+量子分解)して得られる「量子ホワイトノイズ」を理論の出発点とする。量子ホワイトノイズの超関数的側面から「非線形理論」が、代数的側面から「非ガウス拡張」が自然に定式化される。この観点から従来理論を拡張する理論体系を構築するのが目的であった。個別的な共同研究に加えて、ワークショップの開催、サマースクールの共催、国際会議の参画、多数の研究発表を行った。研究項目と概略は以下の通りである。(1)非線形ホワイトノイズ方程式:量子ホワイトノイズを基礎とする作用素論を発展させた。シンボルの新しい特徴づけ定理、作用素微分を追究した。(2)複素ホワイトノイズ:フーリエ・ガウス変換のユニタリ性、量子ホワイトノイズの2乗に関連する部分ユニタリ性が見出された。ホワイトノイズ方程式への応用を議論した。(3)レヴィラプラシアンとホワイトノイズの高次べき:付随する確率過程を構成し、熱型方程式を通して両者の関連を調べた。(4)相互作用フォック空間:グラフの漸近的スペクトル解析において組織的な応用を完成させ、一般化のために多変数直交多項式論の見直しを始めた。
    自由確率論の諸概念との関連を調べた。(5)非ガウス型確率過程:多変数相互作用フォック空間を通して応用を探った。(6)無限次元調和解析への応用:量子分解法を用いて、無限対称群の漸近的表現論を研究した。(7)量子系の物理への応用:散逸系を記述する量子確率微分方程式・乱流における統計性・グラフ上のボーズ・アインシュタイン凝縮などを接点として物理学者との研究交流を推進した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東北大学, 15340039
  • グラフおよび離散群上の調和解析と確率モデルのスケーリング極限
    科学研究費助成事業
    2001年 - 2003年
    洞 彰人; 村井 浄信; 佐々木 徹
    研究課題名のもとに,離散群のケーリーグラフや距離正則グラフなど,何らかの対称性によって特徴づけられる巨大な系の統計的性質を,調和解析・表現論の方法を用いてスペクトルの漸近解析とスケーリング極限の観点から読み取るのが,本研究の大枠であった。当初の研究目的はおおむね達成されたと考える。具体的には,以下の項目に述べるような成果を得た。
    1.量子中心極限定理の枠組に則って,グラフの隣接作用素のスペクトル分布のスケーリング極限の計算を行った。距離正則グラフにおいては,真空状態の他にギッブス状態を導入し,特にジョンソングラフに対して低温・高次数(無限体積)の極限描像を詳しく解析した。結果はマイクスナー多項式に付随する相互作用フォック空間を用いて記述され,生成・消滅作用素の組合せ論的構造を利用して興味深い極限分布を導き出した。
    2.量子分解法によるグラフのスペクトル解析について,一般性を有する理論の構築を行った。相互作用フォック空間を特徴づけるパラメータと正則グラフの特性量の漸近的な値とのつながりを明らかにし,直交多項式やグリーン関数(コーシー変換)の方法を用いて,個々のスペクトル極限の計算を包括する形で極限分布を系統的に整理した。この項の成果は,東北大学の尾畑伸明氏との共同研究と密接に関わっている。
    3.対称群の表現の漸近挙動の1つとして,既約指標とプランシェレル測度に対するケロフの中心極限定理の量子化・精密化を行った。結果は相互作用フォック空間の枠におさまらないものであり,通常のヤンググラフを変形して生成・消滅作用素を導入した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 岡山大学, 13640175
  • ヒルベルトC*双加群とその離散力学系理論への応用の研究
    科学研究費助成事業
    2000年 - 2002年
    梶原 毅; 洞 彰人; 中島 惇; 綿谷 安男
    本研究期間中に明らかにしたことは、概略次の通りである。
    1.有限基底をもつヒルベルトC*-双加群に関するそれまでの研究を受けて、可算基底をもつヒルベルトC*-双加群についての理論の整備を行った。特に、可算基底を持つ場合の有限指数の特徴付けを行った。また、可算基底で双加群の例として、可算クンツクリーガー双加群を考えて有限指数となるような重み付けの条件を与えた。さらに、可算生成となるような具体例へを多く構成し、理論を具体例への応用を発展させていく予定である。
    2.可算基底を持つヒルベルトC*-双加群の例として、双加群の連続群による接合積を考え、有限指数になることを示した。また、コンパクト群の表現環を生成する例も構成した。
    3.可算生成クンツクリーガー双加群から生成されるC*環の構造を調べ、単純になる条件、イデアル構造が解析できる条件、純無限になる条件などを求めた。
    4.一次元トーラスの有限和を頂点集合とする連続グラフに対してヒルベルトC*-双加群を定義し、単純になる条件、イデアル構造が解析できる条件を求めた。さらに、グルポイドC*-環による構成とヒルベルトC*-環による構成が同型であることも証明した。
    5.有限生成でなく、かつ有限指数でもないヒルベルトC*-双加群の例として、テント写像力学系に付随したヒルベルトC*-双加群の研究を行い、具体的な可算基底の構成、K-群の計算、単純性、純無限性の証明などを行った。これについては、さらに区間力学系の研究に発展させる予定である。
    6.リーマン球面上の有理関数の反復合成で与えられる複素力学系に対して、ジュリア集合に制限して、分岐点を含んで有限生成にはならない場合も含むヒルベルトC*双加群の定義を与えた。2次関数、チェビシェフ多項式などの具体例においてC*環の構造を解析し、K-群を計算した。この研究はさらに複素力学系のエルゴード的な性質の研究と合わせて発展させる予定である。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 岡山大学, 12640210
  • 離散構造の上の調和解析とその古典および量子確率モデルへの応用
    科学研究費助成事業
    1999年 - 2000年
    洞 彰人; 村井 浄信; 佐々木 徹; 広川 真男
    本研究では、調和解析の方法を用いて、確率モデルの漸近挙動を解明しようとした。主要な成果は、1.ランダムウォークのカットオフ現象2.代数的確率論における中心極限定理の2つに集約される。
    1.カットオフ現象というのは、マルコフ連鎖の平衡状態への収束の過程でしばしば観測されるある種の臨界現象である。P.Diaconisを始めとする多くの研究者によって、いろいろなモデルでカットオフ現象が起こっていることが確認され、系の対称性に起因する推移行列の固有値の縮退の度合が重要な役割を演じることが、広く認識されてきた。本研究では、個別のモデルでのチェックや第2固有値の縮退に基づく直観的な理解を越えて、数学的に厳密でかつ実践的なカットオフ現象の判定条件を提示することを試みた。距離正則グラフに着目することにより、グラフのスペクトルデータのみによって書かれたカットオフ現象の判定条件を得ることに成功した。これによって、ある程度組織的にカットオフ現象が観測されるモデルを構成することができるようになった。
    2.W.von Waldenfels等によって創始された量子中心極限定理にまつわるテーマは、代数的確率論の中で、大きな流れとなっている。本研究では、代数的・組合せ論的性格を前面に出して、非可換確率変数の族の独立・従属性と中心極限定理との深い関係について考察を進めた。1つの具体的な成果として、ジョンソングラフ上のラプラシアンとギッブス状態を題材にして、このような考えのもとに、中心極限定理のスケーリングにしたがう低温・無限体積極限におけるスペクトル分布の漸近挙動を計算し、明示的な表式を得た。この結果は、自明でないいわゆる相互作用フォック空間上の生成消滅作用素と関係し、この方面の研究の良いworking exampleを与えている。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 岡山大学, 11640168
  • 量子ホワイトノイズと無限次元調和解析
    科学研究費助成事業
    1997年 - 1999年
    尾畑 伸明; 有光 敏彦; 南 和彦; 青本 和彦; 洞 彰人; ACCARDI Luig
    (1)正規積ホワイトノイズ方程式 ホワイトノイズ解析のアイデアを導入することで、従来の伊藤型量子確率微分方程式を「正規積ホワイトノイズ方程式」として著しく一般化し、解の諸性質をホワイトノイズ超関数によって記述した。また、ホワイトノイズ空間上のコーシー問題の解が、1-径数変換群の応用で求められ、無限次元調和解析に新しい視点が加わった。
    (2)高次ホワイトノイズとくりこまれた伊藤公式 量子ホワイトノイズの高次巾を含む正規席ホワイトノイズ方程式に付随する伊藤公式は「くりこみ」をともない、その構造がホワイトノイズ作用素論によって明らかにされた。極めて特異な係数を持つ(量子)確率微分方程式の解構造の解析に応用された。
    (3)量子論の確率極限 固体物理におけるアンダーソン模型や双極子近似なし量子電気力学モデルなどの標準的なハミルトン模型から、確率極限の手法によって、量子ノイズとそれを含む両氏確率微分方程式が導入された。強い非線形相互作用に直に扱うこと可能となり、現れる新現象を統一的に記述するために相互作用フォック加群の理論を構築した。
    (4)散逸量子系の数理 ミクロ系からマクロ系への移行を物理学的解釈により重視して議論するために、正準演算形式によって散逸量子系を扱う非平衡熱場力学(NETFD)を発展させた。散逸過程を記述する種々の方程式の相互関係が一貫した体系の下で明らかにされた。
    (5)中心極限定理 代数的確率論の枠組みによって「シングルトン独立性」を導入し、付随する中心極限定理と極限の確率過程を導き、量子ノイズの数学的起源を包括的に議論した。離散グラフ上の酔歩と関連させることで、生成・消滅作用素の類似物が主要な役割を演ずることが明らかにされた。
    (6)その他 量子マルコフ鎖、複素ホワイトノイズとコヒーレント状態表現、S-変換や作用素シンボルに対する逆公式、量子実在・局在性、統計不変量、などに一定の成果が上がった。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 名古屋大学, 09440057
  • 無限次元調和解析
    科学研究費助成事業
    1998年 - 1998年
    平井 武; 山下 博; 洞 彰人; 斎藤 公明; 山口 博; 久保 泉
    1. 廣い意味の調和解析学の発展はめざましく,最近は無限次元的な対象を取り扱おうとする萌芽的研究が生まれている.こうした「無限次元調和解析」を目指す気運は国際的な広がりを見せている.
    これに呼応して,共同研究の企画を試み,研究協力を強化発展させた。最近の,無限次元調和解析学の研究に関し,重要な四つの柱を選び,その方面の中心的研究者に参加して貰い,共同の研究会を持って,新しい共同研究を企画・開拓した.さらに,日独の国際共同研究を学振に申請した.
    2. 上記の四つの柱とは,
    (1) 無限次元群,例えば多様体上の微分同相写像のなす群,loop群,超リー代数,Kac-Moody環の表現論,及びそれに対応する幾何学的対象の研究.また,半単純リー群の無限次元表現の新しい方向の研究.
    (2) 局所コンパクト群上の函数の変換に関する研究,双対性及び測度環の研究.
    (3) 群やそれを一般化したhyper group,その他の代数的構造の上の酔歩の理論.
    (4) ホワイトノイズ解析,無限次元リー群やloop空間上の確率解析と無限次元群の表現の応用.
    3. 「無限次元調和解析」の共同研究の企画調査をした.共同研究の姿としては,
    (1) 上の4つの重要な柱の間の有機的関連が図られ,相互に影響し合いながら,それぞれの発展を計る,
    (2) 無限次元群などの表現論とloop空間上の確率解析や群上の測度環の研究との間に相互の応用.
    (3) 位相群上の調和解析は群のアーベル性,非アーベル性に関係のない,統一的理論の確立.
    (4) 無限次元空間,とくにガウス空間の変換群は,場の量子論や確率場の理論において,しばしば興味深い役割を演じている.そのような変換群の表現論を通じて,ホワイトノイズ解析,量子的(非可換)ホワイトノイズを基礎とした量子確率解析にまで,応用を拡げる.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 京都大学, 10894010
  • グラフ上の調和解析とその古典および量子統計モデルへの応用
    科学研究費助成事業
    1997年 - 1998年
    洞 彰人
    高い対粘性を有するグラフの上で、調和解析や表現論の方法に基づいて、主にラプラシアンのスペクトルの無限体積極限における漸近挙動を調べた。その結果を古典および量子統計モデルに関する極限定理に応用した。本年度は、量子確率論における中心極限定理についての研究で、幾つかの進展を得た。便宜上、それらを
    (1)一般的な理論の範疇に入る結果と(2)具体的なグラフに即した結果
    とに分けて報告する。
    (1)非常に多くの小さなゆらぎが積み重なってどのようなマクロ効果が観測されるかというのが、中心極限定理の基本的なモチーフである。そのゆらぎを互いに非可換な作用素によって表現し、量子力学におけるオブザーバブルの確率解釈を通して、そのゆらぎの総和を確率論的に捉えようというのが、われわれの,研究の枠組である。その際、作用素たちの統計的な独立性がクローズアップされてくる訳であるが、古典的な場合に比べて量子確率論ではこの独立性が多様な性質を内包している。本研究では、その独立性を代数的な面を主眼にして捉え、組み合せ論の議論を多用して、中心極限定理に与える影響を見た。
    (2)前述のような枠組でグラフのラプラシアンを考察すると、グラフの代数的および位相的性質が中心極限定理の極限分布の形状に大きな影響を与えることがわかる。(標陽的に言って)可換性に由来するガウス分布、自由性に由来するウィグナー分布の他に、グラフの多様性を反映してさまざまな極限分布が得られた。本研究で考察した具体的なグラフとして、ハミンググラフ、ジョンソングラフおよびそれらのq-アナログ等の距離正則グラフ、対称群から派生する幾つかのケーリーグラフを挙げておく。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 岡山大学, 09740108
  • ヒルベルト双加群によるC^*環の指数理論の研究
    科学研究費助成事業
    1996年 - 1996年
    梶原 毅; 曽布川 拓也; 佐々木 徹; 平井 安久; 洞 彰人; 実方 宣洋
    ヒルベルト双加群の離散群による接合積の研究を進めた。これはCombたちによるimprimitivity双加群の接合積の概念の拡張にあたり、ヒルベルト双加群の新たな例を構成する有力な手段の一つである。合わせて、換離散群接合積に関するTakesaki双対性、テンソル積などのカテゴリー的な性質を証明した。この結果は、Crossed Products of Hilbert C^*-Bimodules by Countable Discrete Groupsにおいて、刊行される。
    有限群上のバンドルによるヒルベルトC^*双加群の接合積を定義し、基本的な性質に引き続き、複数のバンドル、双加群の接合積における結合法則を示し、それによって興味ある例を構成した。この結果は、Crossed Products of Hilbert C^*-bimodule by bundlesにまとめ、フーリエ変換によるKac環の積法則の計算など、さらに研究中である。
    ヒルベルト双加群から作られるC^*環は、共変表現環の拡張にあたると考えられるが、これについて、Cuntzが与えた条件(I)と類似の条件のもとで、単純性を証明した。この結果は、Ideal Structure and Simplicity of the C^*-Algebras Generated by Hilbert Bimodulesにまとめている。
    連続群に接合積双加群を定義し、加算生成ヒルベルト双加群の公理を満たすことを示し、単位元がない場合のノルムの同値性を導いた。これにより、無限コンパクト群の表現環からなるDoplicher-Roberts環のヒルベルトC^*双加群による実現が可能となり、K-理論など双加群C^*環の理論の適用が可能となる。
    一般化されたクンツ環において、双加群による構成とgropoidによる構成の関係を研究した。特にトーラス上の関数環加群について詳細に計算している。トーラスのゲージ作用とともに、自由群の余作用のスペクトル部分空間を考えることが、この研究において重要であることがわかった。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 岡山大学, 08640205
  • ヴィット群の拡張と幾何学的応用の研究
    科学研究費助成事業
    1996年 - 1996年
    森本 雅治; 洞 彰人; 池畑 秀一; 中島 惇; 野田 隆三郎
    平成8年度のヴィット群の研究において、次のような進展があった。
    (1)ヴィット群を拡張し3次元の多様体における手術障害類を定めるために有効な、幾何学的(すなわち束構造の拡張可能性を数値化して得られる)2次形式の定式化ができた。現在、この結果を用いて3次元の手術理論を研究している。
    (2)ヴィット群とバーンサイド環の関係を利用して、球面上の滑らかな作用の不動点集合の構成法を与えた。K.Pawalowski氏を含めた共同研究により、この成果を用いて巾零なオリバー群の球面上の滑らかな作用の不動点集合の決定を行った。この応用について、2つのシンポジウムSurgery and Geometric Topologyおよび変換群論シンポジウムで講演を行った。また、これらの結果に関する論文を現在作成中である。巾零でないオリバー群に関しては今後の研究課題である。
    (3)柳原守氏を含めた共同研究により、コンピュータソフトGAPを用いて同変手術理論に適合する接空間表現を見出すためのプログラムを簡素化し、計算時間を短縮した。このプログラムについて、シンポジウムトポロジーとコンピュータで講演を行った。
    (4)手術障害類群としてヴィット群をコボルディズム群としてのヴィット群を用いて群構造を解明するアイデアを得た。詳しい計算は今後の課題である。
    この科学研究費補助金によって、多くの数学者とアイデアや研究情報の交換など研究交流を行うことができたことは、研究の大いなる助けとなった。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 岡山大学, 08640120
  • 量子ランダムウォークの調和解析の研究
    科学研究費助成事業
    1995年 - 1995年
    洞 彰人
    種々の代数的構造の上のランダムウォークについて、調和解析的な方法を用いて研究を行った。特に、量子ランダムウォーク(quantum random walk)をこのような視点に基づいて調べることを主眼とした。一般に、ランダムウォークの分布は時間が経つにつれて平衡状態に収束していくが、その収束の過程を詳しく記述することは、物理学や統計学への応用において中心的な位置を占める問題である。古典的なランダムウォークに関する結果を踏まえて、量子ランダムウォークの平衡状態への収束の仕方の特徴を捉える方法を考察した。代数的構造の面で言えば、カッツ代数の理論が重要な役割を担うことがわかった。量子ランダムウォークを生成するホップ代数の構造に加えて、調和解析の方法の礎になる双対性を有することが効いている。多少未完成な形ではあるが、そのあたりの事情は別紙記載の論文に発表した。その中で、古典的なランダムウォークと対応させながら、量子ランダムウォークの推移作用素や不変測度について述べ、平衡状態への収束の過程を記述する問題を定式化した。このような立場に関連して、グラフやアソシエーションスキームの上のランダムウォークについても、新しい知見が得られる。すなわち、状態空間をなすグラフやアソシエーションスキームに付随して自然に定まるある種の作用素の族を考え、それらをオブザ-バブル(量子確率論的観点から見た確率変数)とみなして、確率論的な挙動を調べるのである。たとえば距離正則グラフのように高い対称性をもつ状態空間を扱う場合には、指標や球関数の性質についての詳しい情報が得られ、調和解析の方法がうまく機能する。このあたりの話題に関しては、現在論文を準備中である。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 岡山大学, 07854006
  • 表現論的方法に基づくランダムウォークの研究
    科学研究費助成事業
    1994年 - 1994年
    洞 彰人
    1.表現のテンソル積の分解、粒子の拡散、カードシャッフリング等の具体的な現象を、状態空間の持つ固有の代数的構造によって引き起こされるランダムウォークとして定式化し、表現論的方法を用いてその性質を研究した。主たる研究事項は、これらのランダムウォークの平衡状態とそのような状態への収束の仕方である。群の作用の他、ハイパーグループ、アソシエーションスキーム、ホップ代数等の代数的構造を考慮して、多様な運動をできるだけ統一的に把握できるよう努めた。
    2.状態空間の上部構造としての多元環の積(から決まる構造定数)によって推移確率を定め、この推移確率を与える多元環の元のベキ乗にまつわる種々の性質でもってランダムウォークの挙動を記述するというのが、基本的な問題設定である。以下、2つの具体的な対象について述べる。
    (1)単純リー環の有限次元既約表現のテンソル積の分解における重複度を数えることによって、ウェイト束(とワイル領域との共通部分)の上のランダムウォークが生じる。これは、非可喚なホップ代数に付随する量子ランダムウォークの1つの例を与えることがわかった。また、表現論的な量を用いて推移確率を明示する式を得た。
    (2)ジョンソンスキームを用いた粒子の拡散モデルを拡張し、粒子の重ね合わせの状態を導入することによって、ジョンソンスキームのq-アナログ(あるいはグラスマン多様体)上のランダムウォークが生じる。これらを一般のアソシエーションスキームを用いて定式化し、より広いクラスのモデルに対して、拡散の臨界時刻を求められることがわかった。この作業は現在進行中である。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 岡山大学, 06740119
  • 代数的構造の上の調和解析とランダムウォークの漸近挙動の研究
    科学研究費助成事業
    1993年 - 1993年
    洞 彰人
    群の作用を中心とするさまざまな代数的構造の上の調和解析を応用し、ランダムウォークやマルコフ連鎖等の確率モデルの研究を行った。いろいろな構造の上のランダムウォークを統一的に理解するために、ハイパーグループの観点を重視したのが特徴である。
    本年度に得た具体的な結果を記す。位相群Gの作用による等質空間Xとその上のマルコフ連鎖(Mn)を考える。(Mn)がG-不変であれば、それをG上のランダムウォーク(Wn)に持ち上げることができることを証明した。Gの作用が左からのときはG上の右ランダムウォークを考えねばならないこと、したがって、(Wn)のXへの射影のマルコフ性が一般には成立しないことなど、可換な作用の場合には現れない現象が起こる。X上のG-不変なマルコフ連鎖とG上の両側K-不変な右ランダムウォークとが1対1に対応している(KはXの一点の安定化群)というのが、主定理である。したがって、X上のこのようなマルコフ連鎖の推移確率が絶対連続であれば、それを(G,K)に付随するヘッケ環の元で表せる(または近似できる)ことになる。これはハイパーグループの考察へと自然につながるものである。
    上記の結果はむしろ一般論であるが、具体的な確率モデルの考察の過程で抽出された問題である。たとえば、粒子の拡散を記述するベルヌ-イ・ラプラス模型を一般化して、粒子の重ね合わせを許容したモデルを考えた場合、拡散の様子はグラスマン多様体上のマルコフ連鎖として定式化できる。これはランクの高い対称空間なので、球関数の取扱いは結構厄介ではあるが、推移確率をヘッケ環の元としてとらえ直すことにより、古典群の調和解析に持ち込む筋道をつけることができたと思っている。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 岡山大学, 05740096
  • 代数的組合せ論の研究
    科学研究費助成事業
    1992年 - 1992年
    野田 隆三郎; 洞 彰人; 神保 秀一; 池畑 秀一; 石川 洋文
    1 タイトt-デザインの分類については ウイルソン多項式の根の整数条件が有力な手がかりであるが これの処理方法においてかなりの進展が得られた。今後はこれ以外に入の整数性をうまく結びつけて 最終的な解決をはかりたいと考えている。
    2 擬対称4-デザインはタイト4-デザインに他ならず すでに分類が完成している。条件を擬対称3-デザインに弱めても 同じ手法がかなりの程度まで使えることが分かった。デザインの諸パラメーターの整数性および付隨する強正則グラフの結合行列の固有値の整数性が 強い制約を与えており これらをうまく処理して分類を完成させる 見通しができた。
    3 スタイナーシステムS(t,k,v)において よく知られているキャメロンの不等式 V≧(b+1)(k-t+1) および私の証明した不等式 V≧(b+1)(k-t+1)+(k-t)の改良として次の結果を得た。 定理 tが奇数で V>(t+1)(k-t+1)とすると V≧(t+2)(k-t+1) が成りたつ.さらに等号が成りたつのは(t,k,v)=(t,b+1,2t+4)のときに限る.
    この結果は近く論文にまとめる予定である.
    4 等周問題については3次元におけるミンコフスキーの不等式 M^2≧4πA,およびA^2≧3VMの改良がいま一歩のところまで進展した。これは有名なブルン・ミンコフスキーの不等式の改良とも結びついているので完成すれば大変面白い結果であると考ている。近いうちに是非完成したい。
    また逆向きの等周不等式については 2次元におけるゲージの証明はそのまま3次元以上に適用することはできないがボンネゼンの定理をうまく使う事によって解決への重要な手がかりが得られた。
    日本学術振興会, 一般研究(C), 岡山大学, 04640072
  • 確率過程の関数解析学的研究
    科学研究費助成事業
    1989年 - 1989年
    佐藤 坦; 洞 彰人; 西川 青季; 河原 康雄; 坂内 英一; 白谷 克巳
    主要な研究業績は次の通りである。
    [1]代表者が定義した、2階のFISHER型情報量が有限の密度関数を持つ確率測度(特別な場合としてガウス測度を含む)の無限直積をμとする。他方{ε_n}をRADEMACHER確率変数列、{a_n}を実数列とするとき確率変数列{a_nε_n}の導く数列空間上の確率測度をυとする。
    このとき合成積μ*υとμの絶対連続性の成り立つ条件を求めることは、合成積の絶対連続性の問題を考える上で基本となる問題である。
    この問題に関してΣa_n^4<+∞であることがμ*υ〜μ(互いに絶対連続)であるための必要条件であることを証明し、1989年春の日本数学会年会(上智大学)で報告した。これは無限直積測度の絶対連続性に関する北田ー佐藤の結果の精密化である。Σa_n^4<+∞の十分性の証明が次の問題である。
    [2]代表者は[1]の問題を研究する上で新しい基本原理を発見した。すなわち加法的マルチンゲ-ルに対応する指数マルチンゲ-ルの一様可積分性についての新しい必要十分条件を提案した。これはマルチンゲ-ル理論に新たなペ-ジを書き加えると共に、関数空間上の確率測度の絶対連続性の研究への今後の応用が期待される。英国の雑誌STOCHASTICS AND STOCHASTICS REPORTSに掲載予定である。
    [3]代表者の指導のもとで大学院生福田亮治はバナッハ空間値サブーガウス確率ベクトルを定義し、その指数可積分性を証明した。これはガウス確率ベクトルの指数可積分性を証明したFERNIQUEの一般化であり、MALLIAVIN CALCULUSやHIDA CALCULUSとの関連が注目される。西独の雑誌PROBABILITY THEORY AND RELATED FIELDSに掲載予定である。
    [4]分担者洞は可換リ-群上の確率測度の無限直積について準不変性を研究し、準不変部分群を定式化した。
    日本学術振興会, 一般研究(C), 九州大学, 01540144