藤原 裕樹, 高橋 祐, 橘 健太郎, 宮部 滋樹, 猿渡 洋, 鹿野 清宏, 田中 章
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A 92-A 5 314 - 326 一般社団法人電子情報通信学会 2009年05月
[査読有り][通常論文] 従来の独立成分分析(ICA)を用いたリアルタイム音声強調システムでは,時々刻々と変化する環境に追従するために分離フィルタを逐次学習することが必要である.しかし,実環境で利用する場合,利用者が不在で雑音のみが存在する時間帯がほとんどである.このような時間帯において利用者が存在する時間帯と同様の学習を行うと,不適切な分離フィルタが生成され,システム自体の性能の低下につながる.本論文では,適切な分解フィルタを高速に構成するため,解析型ICAとkurtosisに基づく学習区間判定法及びフィルタ初期化法を提案する.本手法では,はじめに,解析型二次統計量ICAによってある程度の分離を行い,その分解信号のkurtosisに基づいて利用者の発話の有無を判断する.次に,発話のある時間帯では,解析型二次統計量ICAの分離フィルタを初期値として反復型高次統計量ICAの学習を行い,更に性能の良い分離フィルタを高速に再構成する.本論文では最後に,提案法を雑音推定部に導入したブラインド空間的サブトラクションアレーを用いて雑音抑圧実験を行い,提案法の有効性を示す.