日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2009年 -2012年
代表者 : MARTIN Guest, 神島 芳宣, 徳永 浩雄, 前田 吉昭, 宮岡 礼子, 河野 俊丈, 大仁田 義裕, 酒井 高司, 赤穂 まなぶ, 乙藤 隆史, 小林 真平, 黒須 早苗
報告者は興味深い非自明な現象を示す,いくつかの重要な例についての進展を得ることが出来た.論文 "Nonlinear PDE aspects of the tt* equations of Cecotti and Vafa" (M. Guest and C.-S. Lin, J. reine angew. Math., 印刷中)では,tt*-戸田方程式の,滑らかな解の族の存在を示した.これは技術的観点に於けるブレイクスルーである,すなわち,既存のループ群論的アプローチが適用できない非コンパクトの場合にも,偏微分方程式論が有用であることを示したことは大きな進展である."Isomonodromy aspects of the tt* equations of Cecotti and Vafa I. Stokes data" (M. Guest, A. Its, and C.-S. Lin, arXiv:1209.2045) に於いてはtt*-戸田方程式の解の大域的な滑らかさを,付随する線形方程式のモノドロミーデータ(ストークスデータ)に関連付けることにより,また別の技術的側面に関するブレイクスルーがあった.より詳しくには,tt*-戸田方程式の全ての滑らかな大域解に対して,そのストークスデータを明示的に計算することが出来た.これらの技術はまた,微分幾何学に於けるその他の問題にも適用可能であると推測される。