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齊藤 誠一(サイトウ セイイチ)
北極域研究センター
学術研究員

基本情報

所属

  • 北極域研究センター

職名

    学術研究員

学位

  • 水産学修士 (北海道大学)
  • 水産学博士 (北海道大学)

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研究キーワード

  • 水産海洋学   衛星海洋学   海洋生態学   

研究分野

  • 地球惑星科学 / 気象・海洋物理・陸水学
  • 基礎生物学 / 生態・環境
  • 水産学 / 水産学一般

職歴

  • 1981年 - 1984年   日本IBM株式会社東京サイエンティフィックセンター客員研究員
  • 1981年04月 - 1982年03月  日本学術振興会奨励研究員
  • 1984年 - 1988年   財団法人日本気象協会研究所研究員
  • 1988年 - 1991年   同情報処理部主任技師
  • 1991年 - 1993年   同情報処理部専任主任技師
  • 1993年 - 1995年   北海道大学水産学部漁業学科漁業航海学講座助教授
  • 1995年 - 2000年   同水産海洋科学科物理海洋学講座助教授
  • 2000年 - 2005年   同大学院水産科学研究科資源計測学講座教授
  • 2005年 - 2013年  同大学院水産科学研究院海洋資源計測学講座教授
  • 2013年04月 - 2015年03月  同大学院水産科学研究院海洋計測学講座教授
  • 2015年04月 - 現在  北海道大学北極域研究センターセンター長・特任教授

学歴

  • 1971年04月 - 1975年03月   北海道大学   水産学部   漁業学科
  • 1976年04月 - 1978年03月   北海道大学   大学院水産学研究科   漁業学専攻(修士課程)
  • 1978年04月 - 1981年03月   北海道大学   大学院水産学研究科   漁業学専攻(博士課程)

所属学協会

  • 日本海洋学会   日本水産学会   日本写真測量学会   水産海洋学会   American Geophysical Union   

研究活動情報

論文

書籍

  • 人工衛星データの水産海洋学への応用の展望
    ()
    21世紀の漁業と水産海洋研究(恒星社厚生閣) 1988年
  • 熱赤外リモートセンシングの技術と実際(共著)
    ()
    鹿島出版会 1986年
  • 図解リモートセンシング(共著)
    ()
    日本測量協会 1992年
  • 雪氷調査法(共著)
    ()
    北海道大学図書刊行会 1991年
  • 沿岸の環境圏(共著)
    ()
    フジ・テクノシステム 1998年
  • 漁業と資源の情報学(共著)
    ()
    恒星社厚生閣 1999年

講演・口頭発表等

作品等

  • 航空機MSSによる沿岸前線の観測
    1977年
  • 衛星情報の付加価値情報網によるオンラインデータサービスシステムの開発
    1985年 -1987年
  • ADEOS衛星のための現場観測用係留ブイの開発と予備調査
    1993年
  • 衛星水色リモートセンシングにおける生物光学アルゴリズム開発のための現場観測調査
    1994年
  • マルチセンサーリモートセンシグによるベーリング海およびその周辺極域海域における基礎生産量の時空間変動解析
    1999年 -2002年

その他活動・業績

受賞

  • 2014年03月 水産海洋学会 宇田賞
     
    受賞者: 齊藤 誠一

競争的資金等の研究課題

  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 帰山 雅秀
     
    本研究では,生態系サービスの恩恵に与る人類が地球生態系に負の影響を及ぼしていることをかんがみ(ミレニアム生態系評価2005),海洋を含む水圏の豊かな生物生産を保証する多様性に富む水圏生態系の保全と人類存続のための資源利用の調和をはかることを目的に,サケ属魚類をキーストン種として亜寒帯水圏生態系の順応的管理と予防原則に基づく生態系ベースのサステナビリティとリスクマネージメントの研究を確立した。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究)
    研究期間 : 2006年 -2010年 
    代表者 : 齊藤 誠一
     
    衛星データ(海色画像や海面水温画像)を用いて台風などの突発的な現象が基礎生産過程に変化をもたらすことを統計的に解析した。台風の強度、速度、通過水深によって、基礎生産の上昇を推定できる経験式をもとめ、エルニーニョ期に上昇傾向があることを明らかにした。さらに数値モデルを用いて台風通過による混合・湧昇などの物理的機構を明らかにした。海洋短波レーダなどの物理データを組み合わせて台風通過後の黒潮流軸変動と基礎生産量の変化についても明らかにした。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 原田 尚美
     
    近年、ベーリング海東部陸棚域において、円石藻Emiliania huxleyiのブルーム(大増殖)が出現している。本研究ではブルームがいつから発生するようになったのかや、メカニズムの解明を目的とした。その結果、1970年代半ばには既に生じており、優占種であった珪藻も1970年代以降、群集組成が変化していた。また、ブルームは太平洋十年規模振動の温暖期に発生するようになったことも明らかとなった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 平譯 享
     
    2007年および2008年に実施された現場観測と衛星リモートセンシングデータを利用することにより、海氷が最も後退した2007年には,それ以前よりも小型の植物プランクトンが優占していたこと、地球温暖化が進むとシロザケの現在の分布域は著しく狭まり,海氷が減少した北極海などの北方へ移動せざるを得ないこと、海氷の張り出しに対して底棲魚類の種に大きな変動は認められないことが明らかとなった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(A))
    研究期間 : 2006年 -2009年 
    代表者 : 久万 健志
     
    南東部ベーリング海海盆域及び陸棚斜面域について、海盆域表層では、栄養塩は豊富に存在しているが、大気からの鉄供給が少ないため基礎生産が低く抑えられている典型的な鉄欠乏型海域である。しかし、陸棚斜面域では長期間植物プランクトンブルームが維持されており、海盆域の栄養塩と陸棚底層の鉄の表層への供給があるためと考えられた。オホーツク海では千島列島海峡における潮汐混合による鉄及び栄養塩の北西部北太平洋へ供給が明らかになり、親潮域での高い基礎生産を支える大きな役割を果たしている。また日本海表層では栄養塩濃度が低く大気からの鉄供給量が多いため,表層における鉄濃度が高い栄養塩欠乏型海域であることが明らかになった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(A))
    研究期間 : 2006年 -2009年 
    代表者 : 齊藤 誠一
     
    知床世界自然遺産海域の海洋環境と海洋生物のモニタリング手法の開発とフィールド調査を実施した。その結果、知床半島の南北沿岸における基礎生産システムの違いが明らかになった。さらに、知床世界遺産地域に遡上するサケ属魚類の遡上産卵動態とヒグマの行動パターンとの関係を明らかにするとともに,カラフトマスによる海起源物質の陸域生態系への輸送の動態とメカニズムを明らかにした。順応的管理をベースとした資源管理技術による生態系管理方法を検討した結果、知床の沿岸漁業については、漁獲量と漁獲高を用いて、魚種別評価を行う方法を提案できた。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(萌芽研究)
    研究期間 : 2006年 -2008年 
    代表者 : 綿貫 豊
     
    18-19年度に収集した、小笠原で繁殖するクロアシアホウドリと亜南極クローゼ諸島で繁殖するワタリアホウドリのGPSトラッキングデータをつかってかれらの索餌行動を詳細に解析した。その結果は次の二つに要約される。1. 地域限定的餌探索 : 小笠原聟島で、育雛中のクロアシアホウドリは聟島から2日以内のトリップで、最大400kmほどまで採食に出かけていた。1秒ごとにデータが取得できた3個体の軌跡のまがりぐあいをFirst Passage Timeをつかって分析した結果、その分散は、20km程度で大きく、これが地域限定探索の空間スケールであり、その範囲内で着水をしていることが多かった。またワタリアホウドリにおいても、同様な地域限定探索域がみとめられた。このように、両者において、10Kmスケールで採食行動を集中させる複数の場所が認められたが、今回のデータからは、こういった地域限定探索域が明瞭な海洋構造と結びついているかははっきりしなかった。2. 飛翔行動 : クロアシアホウドリにおいて、一定方向に移動している部分では、細かく見ると100mスケールでジグザグしながら移動していることが多かった。急に方向転換したあとに低速(対地速度で秒速3-7m)部分があり、その後高速(秒速12-25m)部分があらわれた。その周期はウェーブレット解析によるとおよそ10-15秒だった。また、ワタリアホウドリでも同様の移動パタンが時々観察され、速度の変化周期も10-20秒だったが、高速部分(秒速25m)、低速部分(秒速5m)での速度は若干速かった。これらの速度は、ワタリアホウドリがダイナミックソアリングする場合の最適予測値(海面近くでの最高速度が秒速28m、頂点での最低速度が秒速10m、Sachs 2005)よりやや遅かったが、周期は予測値(ほぼ10秒)にちかかった。この部分ではダイナミックソアリングをしていると推定された。これら2点について、招聘研究者を交え議論した。アホウドリ類は広範囲を移動しながら10kmスケールのホットスポットで索餌すること、GPSトラッキングは飛行や着水など詳細な行動解析にも使えることがわかった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(S))
    研究期間 : 2004年 -2008年 
    代表者 : 岸 道郎
     
    日本周辺の黒潮・親潮・対馬暖流の各生態系を対象として, (1) 気候変化に伴う海洋環境と生産力の歴史的変化が生態系構造と機能, 特に低次栄養段階生物の生産, 種多様性, 卓越種交替にどのような影響を与えてきたか(ボトムアップコントロール), (2) 高次生物と漁業活動が各生態系の構造と機能にどのように影響してきたか(トップダウンコントロール), (3) 物理-低次生産-高次生産-資源利用に関する多様なモデルを作成して20世紀以降の海洋生態系の歴史的変遷を評価し, (4) 将来の気候変化と人間活動に応答する生態系変化を予測するための生態系モデルを構築して, 日本周辺の海洋生態系の多様性保全と生物資源の最適な資源利用方策を策定することを目標とする。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 工藤 勲
     
    わが国を代表する一級河川である十勝川とその流入する十勝河口域から沿岸域にかけて基礎生産過程の理解に必要な化学成分、生物化学パラメータの測定を行った。研究期間中に得られた知見は以下のとおりである。1.十勝川の水量は、4月から雪解けによる増水期を迎え、通常時の10倍程度増加した。この高い水量は、6月下旬まで継続した。河川水中には、植物プランクトンの増殖に必須の窒素、珪素、鉄等の栄養塩を豊富に含んでいた。上流から下流および支流の水質解析より、この栄養塩の起源として、森林、農業・酪農、都市排水などが考えられた。2.沿岸醐の調査から十勝川の影響が、河口から10km四方、深度20m程度まで確認された。河口に近接した地点では塩分の低下に伴う栄養塩の増加が確認された。十勝川から沿岸域に一年間でもたらされる窒素態栄養塩の総量は、7.83x10^8molと見積もられた。この窒素量は、植物プランクトンの炭素生産量(基礎生産量)に換算して62,000トンであり、これは十勝川の影響を受けている沿岸域における基礎生産量を上回る量である。つまり、この海域における基礎生産量は、河川からの栄養塩によって主に支えられていること、さらに栄養塩の循環過程を経ることにより、より広範囲の海域における基礎生産過程に大きな影響を与えていることが明らかになった。3.基礎生産の行方の一つとして近年注目されている微生物ループについて、従属栄養バクテリアは、河口域で豊富に存在していた。これは従属栄養バクテリアの成長に必要な溶存有機物が河川を通じて海域に供給されているためと考えられた。また、従属栄養バクテリアの死亡要因としてウイルスによる溶菌が8割以上を占めていることが明らかになった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 服部 寛
     
    海洋に分布する植物プランクトンは様々な多数の色素を保有しているが、種類により独特な色素を持っている。この固有色素は高速液体クロマトグラフ(HPLC)により個別に分析が可能で、この分析機を用いて西部北太平洋亜寒帯海域における色素分布の季節変化を調べることにより、植物プランクトンの分布と海洋環境の関係を把握し、そして検討することを目的に研究を行った。そのために、東北区水産研究所・北海道区水産研究所が設定した親潮域定点で季節的に得た植物プランクトン試料の色素試料の分析を定期的に行った。得られた試料の培養のため低温培養機(備品購入)、得られた試料の画像作成のために顕微鏡用デジカメ用レンズ(備品購入)を用いた。また、植物色素分析および植物の電子顕微鏡観察には学生の研究補助を得て行った(謝金使用)。これらの研究実施に際し、今年度研究実施計画を立案し、試料採集航海の検討および分析結果の検討を行なった(旅費申請)。色素分析結果から、西部北太平洋亜寒帯域(親潮域)においては通年、珪藻類が優先するものの、春の春季大増殖前の4月には渦鞭毛藻類と円石藻類、5-7月の大増殖期は珪藻類が植物プランクトン現存量で重要な役割を演じ、現存量の少ない10月は円石藻類の重要性が増すことが明らかとなった。海洋環境との植物プランクトン分布の対応関係についてはまだ解析中であるが、珪藻類は低温・低塩分、円石藻類は高温・高塩分の水塊を好む傾向が認められた。現在は,これまでの色素分析・電子顕微鏡観察の継続とともに、得られた結果の外国での発表と印刷発表のための準備をっている。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 桜井 泰憲
     
    本研究は,スルメイカを対象として,気象の寒冷・温暖レジームシフト,アリューシャン低気圧の発達に影響される冬季季節風の強さ,海面気温などによって変化する本種の再生産・加入海域の表層暖水と季節混合層深度の季節・経年的変化が,再生産-加入過程を通して,どのように資源変動へと影響しているのかを明らかにすることを目的としている.申請年度3年間の成果は以下の通りである.人工授精により得たふ化幼生を用いて,各発育段階の幼生の鉛直方向への遊泳行動を精査した.その結果,発育ステージ31以降の幼生だけが,水温18-23℃の条件下で垂直上昇遊泳し,特に19.5-23℃の狭い水温範囲で最も活発に遊泳することを確認した.そこで,スルメイカの新しい再生産仮説として,「スルメイカの再生産可能海域は,水深が100m〜500mの陸棚から斜面上の表層暖水内であり,その水温が18〜23℃,特に19.5-23℃で,中層に水温躍層が発達する海域」を提案できた.この新再生産仮説に基づいて,2000-2005年の冬生まれ群の再生産海域である東シナ海の冬季の再生産可能海域を抽出した.その結果,黒潮流軸より大陸側の東シナ海に南西に伸びた細長くて狭い陸棚斜面域と薩南海域が,スルメイカの産卵からふ化幼生の生残に最も適した海域であることが明らかにできた.さらに,ネット採集したふ化直後の1mm未満の幼生は,九州南東の黒潮内側の複雑な渦流域の表層に集積することが判明した.特に,薩南海域では黒潮の前線波動による集積と本州沿岸への受動的輸送の可能性を見出した.また,新再生産仮説に基づいて,1970-80年代の寒冷レジーム期における冬の再生産海域は著しく縮小もしくは消滅し,1980年代後半からは陸棚斜面に沿って形成されることが明らかにできた.これにより,より精度の高い気候変化に応答する再生産機構の成否の解明に,新たな研究展開の道ができた.
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2004年 -2004年 
    代表者 : 桜井 泰憲
     
    本企画調査では,過去10年間の日本GLOBEC関連研究を総括し,第II期(2004-2009年)に向けた日本GLOBECの組織を再編成して,第II期日本GLOBEC計画の課題の抽出と連携研究の方向を検討した.21世紀における人類の共通理念「持続可能な発展」を目指して,「海洋生態系の総合診断と責任ある資源利用(Diagnosing the Health of Marine Ecosystems for the Responsible Use of Marine Living Resources)」を構築するための議論を深めた.同時に,平成16年度から5ヵ年に亘る基盤研究S「気候変化と人間活動に応答する海洋生態系の歴史的変遷と将来予測」(代表:岸道郎)の共同研究をスタートできた.具体的には,海洋生態系が自然の環境変動要因にどのように応答し,また顕在化している様々な人間活動の影響にどのように脅かされているかを評価(健康診断)する手法と体系を確立し,その診断結果の処方として海洋生態系に対するヒューマン・インパクトの軽減化と責任ある未来型資源利用のあり方の提言を目的としている.研究分担者を含めた日本GLOBEC小委員会は,年3回(4月,10月,12月)開催した.本申請企画研究関連シンポジウムとして,平成16年12月2日に東大海洋研にて「地球規模海洋生態系変動研究(GLOBEC)-海洋生態系の総合診断と将来予測」を,また17年2月3-4日に,北海道大学水産学部にて「海洋生態系における高次捕食者の行動研究のための新技術」を開催した.これらのシンポジウムの内容は,月刊海洋および水産海洋研究に掲載する.さらに,16年10月中旬にホノルルで開催された第13回PICES年次総会に,共同研究者12名が参加し,日本GLOBEC関連の研究成果などを発表した.また,16年11月26-28日に,中国・杭州で開催された日・中・韓GLOBECシンポジウムに4名(桜井,杉本,小松,岸)が参加し,日本GLOBECの活動・成果などを発表し,今後の日中韓3カ国でのGLOBEC研究について討議した.17年1月21-22日に,名古屋大学で開催されたIMBER会合にもGLOBEC側から4名(桜井,杉本,岸,齊藤)が参加し,IMBER/GLOBECとしての活動の方向と大型研究費獲得に向けた意見交換を行った.
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2002年 -2004年 
    代表者 : 齊藤 誠一
     
    本研究の目的は、北東太平洋のアラスカ湾循環域では、サケ・マス類、シマガツオ、アカイカを高次の鍵種とし、南東ベーリング海大陸棚周辺海域ではスケトウダラを鍵種として、生態系の低次から高次までの各種生物個体群が、生息域の物理・生物環境の変化にどのように応答しているかを解明することにあった。また、東西の循環生態系における基礎生産システムの違い(鉄による制限)がどのようにそれぞれの生態系を特徴づけているか、船舶による観測と衛星観測を統合して解明することであった。さらに、海洋生物の分布と資源量評価のための新たなサンプリングギアーの開発と調査への利用を図り、同時に水中ロボットカメラと音響資源計測技術によって海中の生物の分布・資源量、行動の解明を行った。本研究では、2002年、2003年、2004年の3年間、練習船「おしょろ丸」を用いて観測を行い、特に2003年および2004年は、アラスカ湾循環生態系と西部亜寒帯循環生態系の東西比較のために、東経165度および西経165度の2観測線を設定して観測を実施した。2003年に「おしょろ丸」がハワイに入港した機会を利用して"Marine Ecological Studies in the Bering Sea and the North Pacific-Commemorative symposium for UH-HU academic exchange agreement and to mark the 2003 cruise of the T/S Oshoro Maru"というミニシンポジウムをハワイ大学で開催し、本研究の途中成果の公表および議論をおこなった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(萌芽研究)
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 綿貫 豊
     
    水深温度記録によるウトウの採食範囲の推定と加速度記録計によるウミガラスとヨーロッパヒメウの潜水行動記録の解析をおこなった。北海道天売島のウトウに水圧温度記録データロガーを装着しその潜水行動と同時に鉛直水温プロファイルを測定し、北海道水産試験場の調査船によって周辺海域の海洋観測を、2002年と2003年6月に実施した。両者の水温プロファイルの一致からウトウの採食場所を推定した。キャリブレーションをおこない、この方法で個体の採食場所をおおまかに解析することが可能であると判断された。2002年には多くは天売島の北から利尻島の間の沿岸部で採食したが、2003年には多くは天売島の南方向数十キロの増毛沿岸で採食していた。調査海域における5〜6月の表面海水温度は、2002年の方が2003年に比べて高く、対馬暖流勢力が2002年は強かったと考えられる。そのため、相対的に暖かい海域に分布するカタクチイワシを主たる餌とする本種は2003年には、より南で採食していたのではないかと推察される。スコットランドのメイ島で、鳥に装着したデータロガーで尾頭方向加速度と腹背方向加速度を64Hzで記録し、翼で潜るウミガラスと足で潜るヨーロッパヒメウの推進調節を研究した。体軸角度は尾頭方向加速度の低周波成分から推定され、いずれの種もほぼ垂直に潜っていた。推進とストロークは腹背方向加速度の高周波成分から推定した。潜水しはじめは、大きな浮力にさからうために、ウミガラスは翼の打ち下げと打ち上げ両方で推進していたが、ウはパワーストロークでのみ推進した。深く潜水すると、ウはグライドを長くして、ウミガラスは打ち上げ時の推力発生を小さくして、それぞれ推進頻度を低下させたが、ストローク時間はほぼ一定に保たれたままだった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(A))
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 齊藤 誠一
     
    「いつ、どこで、どのくらい資源を利用して良いか」予測するためには、宇宙からの海洋計測である衛星リモートセンシングと、計量魚群探知機や光音響探査などの水中リモートセンシング、さらに定量生物採集装置によるダイレクトセンシングなどを組み合わせた、生物生産環境と生物資源の多次元(3次元、4次元)計測に関する新しい分野を開拓していくことが急務である。3周波型計量魚群探知機および曳航式トランスデューサを用いてスルメイカ資源を調査し、リアルタイム型曳航式CTD計により3次元海洋環境をモニタリングする。同時に、夜間可視画像よりスルメイカ漁船分布、海面温度画像より海面温度分布や海洋前線分布を調査することにより、スルメイカ漁場周辺における資源と環境との関係を多元的に解析する方法論を開発することを目的とする。本研究で得られた成果の主なものは次の3点である。(1)海上実験でリアルタイム型曳航式CTD計の計測可能範囲を明らかした。解析結果は,ワープ長300メートル、船速約10ノットで曳航して、約10メートルから約80メートルまでの水深で観測が可能であることを実証した。(2)ベーリング海における3次元観測実験を、2003年7月に実施し、キャニオン域においてグリッド観測をおこないリアルタイム型曳航式CTD計および3周波型計量魚群探知機EK500によるデータを同時に収集できた。可視化ソフトウェアAVSを用いて、これらの得られたデータセットの3次元可視化に関する方法を確立した。(3)襟裳岬沖合海域において、親潮第1貫入のフロント域観測に成功し、海色、海面水温の衛星情報を加えて3次元的な海洋環境と生物量分布との関係を解析した。その結果、親潮第1貫入の3次元微細構造を可視化できた。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 桜井 泰憲
     
    短・中長期の気候変化に伴うスルメイカの再生産-加入海域の物理・生物的環境の時空間的変化が,再生産-加入過程を通して,どのように資源変動へと影響するかの解明を目的とし,以下の成果を得た。(1)秋の再生産海域(隠岐諸島周辺海域)をモデル海域として,ROVによる卵塊探査を実施し,2000年11月に,隠岐諸島北方の対馬暖流内において,水深100m前後の混合層下部(水温躍層,以下MLDと略)付近で,スルメイカの卵塊と思われる映像を得ることができた。(2)申請年度(平成12-14年度)に,隠岐諸島周辺海域の海況環境とふ化幼生の層別定量採集を実施し,ふ化幼生の成長に伴なう移動・拡散・収斂を調べた。その結果,対馬北東の陸棚海域由来と推定されるふ化幼生の隠岐諸島周辺海域への輸送が確認された。(3)秋の対馬海峡周辺を含む日本海南西海域において,過去数年間のふ化幼生分布と海流構造,MLDの発達との関係を調べ,密度躍層が中層に存在する海域でのみ,ふ化直後の幼生が出現することから,スルメイカ卵塊がMLD下部に滞留できる海域が主たる産卵場と判断された。(4)1984-2000年の漁獲量変動と,海洋環境のレジームシフトに伴う再生産可能海域の冬季の拡大・縮小を調べ,1989年-2000年は冬季再生産可能海域が対馬海峡まで拡大しており,これが現在のスルメイカ資源の多さと一致していることを確認した。(5)1988/1989年の寒冷レジームから温暖レジームへの海洋環境変化に伴なうスルメイカ資源の増加に着目し,秋-冬のアリューシャン低気圧指数,2月の東シナ海の海面風力・風向,海面温度との関係を調べた。その結果,1980年代後半から1990年代前半の冬季季節風の弱まりと海面気温の上昇に伴うMLDの経年変化が,同時期の冬生まれ群の漁獲量の急激な増加と一致することを見出した。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究(B), 特定領域研究)
    研究期間 : 1999年 -2002年 
    代表者 : 古谷 研
     
    光生物学的な手法により北東アジア縁辺海の基礎生産力をモニターするための手法に関して以下の成果が得られた。1.太陽光による励起により植物プランクトンから発生するクロロフィル蛍光から基礎生産速度を見積もるアルゴリズムを確立した。これにより測器を一定水深に吊下することで基礎生産力を連続的にモニターすることが可能になった。2.東シナ海および日本海で得られた光生物学的パラメーターの観測結果を用いて、既往の全球基礎生産力アルゴリズムの検証実験を行った。その結果、PBobtの見積が、各モデルにおける基礎生産推定の精度を大きく左右するとと、海面クロロフィルaが水柱積算基礎生産量の推定に最も重要な衛星パラメーターであることを認めた。当該海域ではKameda & Ishizakaモデル(印刷中)の性能が最も性能か良いことを認めた。3.このモデルを採用して海色衛星リモートセンシングにより得られるクロロフィル画像および海面光量と海面水温情報から11週間の時問分解能でクロロフィルおよび基礎生産マップを作成するためのデータ処理体制が整備された。これにより1996〜2002年の期間でOCTSおよびSeaWiFS画像からNEAR-GOOS海域の週間マップ週間マップを作成した。4.上記のマップから、1998年と1999年では日本海の春季ブルームの形成規模が大きく異なることが明らかになり、1999年の生産が有意に高いことが認められ、衛星観測の有用性が示された。5.NEAR-GOOS海域では懸濁物質が多く、海中の光環境が外洋域のように海水と植物プランクトンだけで主に決まっているわけではないために、既存のクロロフィルおよび基礎生産推定アルゴリズムにさらなる改良が望まれる。本研究によりその開発のためのデータベースが充実し、今後の研究の展開が図られた。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(地域連携推進研究費)
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 岸浪 建史
     
    ・北大で観測された資源環境データの保存・公開のため「Web-XML分散資源環境データベースシステム」をRDBMS,Web,XML,Java技術を統合し開発した.(金井,田中,斎藤,飯田,谷,岸浪)・従来国内サービスが行われていなかった,GMS半球観測データのリアルタイムな数値データ提供が可能な「北大ひまわりサーバー」を開発した.(谷,矢沢,金井)・環境資源データの流通性・再利用性を高めるため,ISO19000準拠のUML/XML/Java3階層資源環境シミュレーション開発方法論を提案し,海洋生態系シミュレーションヘ応用した.(田中・斎藤・岸浪)・3次元Wavelet変換による衛星リモートセンシング時系列画像のデータ圧縮,およびベクトル型地理情報データの改ざん防止・著作権保護のための電子透かし技術を開発した.(金井)・過去30年間の北海道周辺海域の海洋環境情報(水温,海流,暖・冷水渦,海面高度)の経年・季節変化が,スルメイカ,ヤリイカ,スケトウダラの資源動向に与える影響を解析した.(山内・桜井泰憲)・日本海スケトウダラ音響資源調査のデータベースを構築し,50m層ごとの相対生物量の平面分布と鉛直断面分布を推定する手法を開発し,資源量分布の3次元解析および来遊量予測を行った。(飯田)・海面温度、クロロフィルなどの衛星データと、夜間可視画像や漁獲統計データを用いて水産海洋GISを構築し,また沿岸域モニタリングシステムのオンライン化を図った。(斎藤)・石狩泥炭地内の小湖沼を保全するための基礎として,COD,SSなどの水質環境調査を行い,湖沼周辺農地を水田として利用継続することが水質保全に有効であることが明らかになった.(矢沢)・作物収量予測のため,農地の日射・気温に関して衛星データを用いて地上実測値との関係を解析する方法を開発した.(谷)・大豆およびてん菜圃場でトラクタを走行させながら撮影したVTR画象から,乾物量や草丈のマップ,生長速度マップを画像処理により測定可能な手法を開発した.(端)・画像処理による土壌水分,雑草繁茂状況,作物生育状況,収量などの測定法を開発した.群落表面温度と土壌の水ポテンシャル・蒸散速度・作物間の水ストレス感受性の解析手法を開発した(長谷川)・医療計画の立案と評価のための医療資源を調査し、GIS、適正配置分析法を応用した評価を行った。また遠隔医療における画像伝送などの情報技術の応用と,その問題点を調査した.(櫻井恒太郎)・総合水資源管理に必要な水資源関連情報と各種モデル(流出,河川,地下水,輸送,質変換,需要構造,経済・財政モデル,リスク評価)を構成するデータならびにモデル要素を明らかにした.(船水)
  • 文部科学省:科学研究費補助金(国際学術研究, 基盤研究(B))
    研究期間 : 1998年 -2000年 
    代表者 : 池田 勉
     
    平成10年度-12年度の夏季に北海道大学水産学部付属練習線おしょろ丸を用いて、アラスカ湾西経165度線、西経145度線、および南東ベーリング海においてのアラスカ大学およびワシントン大学との共同調査研究を実施した。その結果の概要を以下にまとめた。1.CTDによる両海域の物理環境調査および採水による基礎生産の現場測定と衛星情報との照合に関する共同研究では、ベーリング海においてココリス(円石藻類)の大発生に遭遇し、衛星観測に同期した船舶観測を実施し、その分布特性が明らかになった。2.各種プランクトンネットによるプランクトン群集構造の種組成と定量評価を実施した。3.マイクロネクトンの水深可変型中層刺網による採集を試みた。4.無選択性調査用流網による高次生物の群集構造と食物関係の解析した結果、特にアラスカ湾域においてサケ類胃内容物からイカ類が多く出現し、食物網における重要性が示唆された。5.水中ロボットカメラによる観察をアラスカ湾およびベーリング海で実施した結果、海洋生態に関する貴重な映像が入手できた。6.海洋生活期におけるサケマス類の鱗・体内微量金属類による成長履歴解析を実施した。7.ベーリング海において、基礎生産量の測定を実施した。その結果陸棚縁辺部(グリーンベルト域)が陸棚域より高生産域であることが示唆された。8.アラスカ湾およびベーリング海においてボンゴネットを用い頭足類の幼生採集を実施した。9.アラスカ湾において,中層トロールによるマイクロネクトンの採集を実施した。おしょろ丸寄港地において1998年と2000年にワークショップを開催して、調査研究に関する情報交換をおこなった。シアトル(米国)において1998年7月17日にワークショップ"Ecosystem Dynamics in the Northeastern Pacific and the Bering Sea"を、ビクトリア(カナダ)の海洋研究所において2000年7月19日にワークショップ"Marine Ecological studies in the Bering Sea and eastern North Pcific"を開催し、米国、カナダ、日本の研究者間で意見交換でき大きな成果を得た。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 1998年 -2000年 
    代表者 : 齊藤 誠一
     
    本研究の成果を以下にまとめた。1.夜間可視衛星画像の収集・処理とデータベース作成日本海および三陸沖が晴れている夜間OLS可視画像を収集・処理をおこない、1994年から1999年までの6年間の漁船分布データベースを作成した。2.衛星海面温度およびクロロフィルa画像の収集・処理とデータベース作成OLS画像と同様に1994年から1999年まで6年間のNOAA衛星AVHRR海面温度画像を作成した。また、1996年11月から1997年6月まではOCTSクロロフィルa画像、1997年10月から1999年12月まではSeaWiFSクロロフィルa画像を収集し、データ処理を行なった。3.海面高度データによる渦分布の追跡OLS画像と同様に1994年から1999年まで6年間のTOPEX/ERS-2海面高度分布画像をコロラド大学より入手して、三陸沖の黒潮暖水リングや津軽暖流渦の分布・移動を解析した。4.スルメイカ漁船分布の統計処理・解析重心位置などを算出して漁船分布の動的特性を解析し、非定常予測を試みな。5.スルメイカ漁船分布と海面温度分布との相関関係を解析津軽海峡周辺海域を中心に解析した結果、温度前線から3〜6km離れた所にスルメイカ漁船が集中分布する傾向見られた。6.函館山からのスルメイカ漁船分布の観測函館山から津軽海峡で活動するスルメイカ漁船のデジタルビデオおよびデジタルカメラを用いて現場データを収集した。斜め写真から垂直写真へ変換し、2.7kmメッシュのOLS画素サイズに何隻の漁船が分布するかを解析する方法を開発した。7.サンマ漁船分布と海洋環境変動との関係1995年および1998年に起こった津軽暖水渦と黒潮暖水リングの合体現象がサンマ魚群の回遊経路を沖合化させたことが示唆された。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 1997年 -1999年 
    代表者 : 桜井 泰憲
     
    本研究は,スルメイカを対象として,それらの資源変動に大きく関わる再生産機構の解明を目的に,産卵前後の雌イカの行動,水槽内での卵塊の挙動,ROVによる卵塊の海中探査,再生産仮説の設定,海洋GISによる好適な再生産海域の季節別・年別抽出を行い,物理環境の経年変化に伴う再生産の成否と資源変動との関係を調べた.成果の概要は,下記の通りである.産卵前後の雌イカの行動:飼育下での産卵前後の観察から,産卵前日には,必ず水槽底に座ることが明らかとなった.実際の産卵海域でも,産卵には海底(陸棚)が必要と思われる.卵塊の性状:卵塊は,僅かな沈降特性があり,実際の海中では,鉛直的な密度躍層に滞留すると想定された.ROVによる卵塊探査と幼生分布調査:隠岐諸島北東海域において,卵塊の探査とスルメイカ幼生の水平・鉛直分布特性を調べた.その結果,密度躍層付近に卵塊が集積し,ふ化幼生は密度躍層で最も多く分布することなどが明らかにできた.スルメイカの再生産仮説の設定:以上の研究結果から,スルメイカの産卵場は,陸棚(100-500m)域上の,密度躍層以浅の表層水塊水温が15-23℃の水域内に形成されるという再生産仮説を設定した.好適再生産海域の季節別・年別変化:1988/1989年の日本周辺海域の寒冷から温暖へのレジームシフトと,再生産可能海域の拡大・縮小を海洋GISにより解析した.その結果,1989年から3年間の好適な再生産環境がスルメイカ資源の増加をもたらしたと推定された.しかし,1990年代でも寒冷年では再生産海域(特に冬)の縮小が認められ,これらがスルメイカ資源の親子関係に強く影響すると考えられた.
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 1996年 -1997年 
    代表者 : 三宅 秀男
     
    親潮の噴火湾への流入に伴う、水塊および流れ、成層などの海洋構造やその変動と、それに伴う低次生産量の変動過程を、係留系、リモートセンシング、船舶観測の3つの方法を組み合わせて解明した。その成果は以下の通りである。1)1997年の親潮の湾内流入は、層厚が薄く、水温や塩分も高かった。現場でのクロロフイルa量やセジメント・トラップによる沈降有機粒子フラックスから3月中旬の植物ブルームは弱かった。これは、上記のように親潮の本流の流入が弱く、成層(静安定度)が弱かったためであると推定した。2)3月18,19日の海色衛星画像と現場観測から、湾口部の地球岬沖から中央部にかけて植物色素の高濃度域が形成されていた。この高濃度域は湾内に向かう流れを示しており、冬季の季節風が作る渦対による流れが、植物プランクトンの分布に強く関係していることが示唆された。3)トラップの実験から、混合層が海底に達した時や南東風が吹いた時に堆積物起源の沈降粒子が多く捕捉されていた。これは吹送距離の長い南東風が湾奥部で風波を引き起こし、再懸濁した粒子が渦対による南東流に流されながら沈降し、トラップに捕捉されたものと考えた。4.トラップの実験から、3月20日前後と4月8日前後に顕著な藻類のブルームが認められた。何れのピークもThalassiosira属が優先したが、その規模は小さかった。また、増殖期間は数日と短く、有光層の細胞はブルーム後凝集して同調的に沈降していると推定された。5)親潮が流入することによって、スケトウダラ仔魚の主な餌生物である大型かいあし類ノ-プリウスが増加する。特に、胆振沖に産卵場が偏った年には、親潮の流入が良い餌環境を作り、さらに、親潮が効率よく卵や仔魚を噴火湾に輸送し、卓越年級群を生じさせている。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(国際学術研究)
    研究期間 : 1995年 -1997年 
    代表者 : 大谷 清隆
     
    本国際共同研究は、ベーリング海生態系の重要な鍵種であるスケトウダラを含む魚類の再生産機構に関わる生物生産と、大気・海洋変動との応答の解明を目的として、アラスカ大学フェアバンクス校水産・海洋学部との大学間協定に基づく共同研究として実施した。具体的には、平成7年度から9年度までの3年間、北海道大学練習船「おしょろ丸」による7、8月の北洋実習航海を利用して、南東ベーリング海およびセントローレンス島の南側の冷水域であるポリニヤ海域で、海洋環境とプランクトン調査およびトロール試験操業による生物採集を行い、環境の変動と指標生物であるスケトウダラとホッキョクダラなどのタラ科魚類の資源量調査、餌生物調査を行った。得られた成果の詳細は、1998年夏に出版される北大水産学部紀要に、「親潮域とベーリング生態系の比較研究-気候変動に関係した鍵種の生産構造と新規加入」とし公表する。成果の概要は次の通りである。(1)セントローレンス島南のポリニア海域での沿岸湧昇を衛星と船舶調査により確認した。さらに、(2)ポリニア海域における尾虫類の分布の経年変化と生態系における役割、(3)南東ベーリング海におけるスケトウダラ新規加入の経年変化とそれに関連する生物・物理過程、(4)極域生態系の環境変動指標種としてのホッキョクダラの卵・稚仔魚期の生残に関わる環境要因、(5)ポリニア海域における底魚魚類群集構造と食性に対する底冷水の経年変化との対応などを明らかにした。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(総合研究(A), 基盤研究(A))
    研究期間 : 1995年 -1996年 
    代表者 : 斉藤 誠一
     
    本研究では沿岸から外洋への物質輸送過程のなかで,表層から流出する過程に焦点を絞って,それを黒潮の流路変動という外洋からの強制力に対する応答として捉え,その過程を強制力に対する応答が異なると期待される東京湾,大阪湾,伊勢湾の3つの代表的な湾についてそのメカニズムを明らかにし,流出量を定量的に評価することを目的とした。数値モデリング、現場の海洋観測、衛星観測に関する研究者が「比較沿岸海洋学」を軸に共同研究をおこない新しい海洋学の方向性を見いだそうとした。衛星データを取り込んだ物理モデル開発に留まることなく,生物,化学的な現場データを用いて実際の物質の動きを評価することを目指した。本研究の成果は以下の通りである。(1)海洋観測結果から、冬季の伊勢湾では、東京湾、大阪湾のように中層から湾外に高濁度水が流出するのではなく、大陸棚斜面に沿って底層から流出することが示された。(2)ランドサットデータおよびその前後の日に収集された東北大学N-LANDデータベースNOAA-AVHRRデータを用いて、黒潮の流路の時系列変動と湾内から湾外への高濁度水塊の流出パターンを類型化できた。東京湾では湾内水が相模湾へ流出するパターンと房総沖合へ流出するパターンに大きく分類できた。(3)懸濁物中の非植物成分と植物成分の関係を解析するとともに、表層からの流出分と下層からの流出分の比率について検討できた。衛星画像で捉えられる表層流出パターンによる見積に下層からの流出分をどのように考慮して推定できるかは今後の課題である。(4)湾内から湾外への沿岸水流出機構の診断モデルを3つの湾の特性を考慮して設計した。夏季伊勢湾の残差流を計算した結果、湾央では上層で時計回り、中層では反時計回りの傾圧の残差循環流が、湾口では反時計回りの順圧の残差循環流が得られた。(5)20年間の水路部海洋速報を用いて日本南岸における黒潮流路の離岸距離の変動特性を解析した結果、九州沖で発生した黒潮小蛇行の東進とそれに先立つ黒潮流速の増加との関連性が示唆された。(6)東京湾、伊勢湾、大阪湾の淡水・塩分・DIP・DIN収支を比較しつつ検討することにより、各湾での共通で起こっていること、独自に起こっていることをかなりの程度明らかにできた。

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委員歴

  • 2005年10月 -2014年09月   日本学術会議   連携会員


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