研究者データベース

研究者情報

マスター

アカウント(マスター)

  • 氏名

    入野 智久(イリノ トモヒサ), イリノ トモヒサ

所属(マスター)

  • 地球環境科学研究院 地球圏科学部門 環境変動解析学分野

所属(マスター)

  • 地球環境科学研究院 地球圏科学部門 環境変動解析学分野

独自項目

syllabus

  • 2021, 大学院共通授業科目(一般科目):自然科学・応用科学, Inter-Graduate School Classes(General Subject):Natural and Applied Sciences, 修士課程, 大学院共通科目, 安定同位体, 同位体比質量分析計(IRMS), 水素, 炭素, 窒素, 酸素
  • 2021, 古気候学特論, Advanced Course in Paleoclimatology, 修士課程, 環境科学院, 古気候,古海洋,地球温暖化 Paleoclimatology, Paleoceanography, Global warming
  • 2021, 古環境学基礎論, Fundamental Course in Paleoenvironmental Science, 修士課程, 環境科学院, 古環境,古気候,古海洋,地球温暖化 Paleoenvironment, Paleoclimatology, Paleoceanography, Global warming
  • 2021, 海洋地質学, Marine Geology, 学士課程, 理学部, 海洋地殻の岩石構成と形成過程,地下生物圏,プレートテクトニクス, 海洋化学,海洋堆積物,堆積環境,海洋循環,海洋生物生産,古海洋学,海洋環境変動,深海底掘削
  • 2021, 地球惑星科学実験Ⅱ, Laboratory Work in Earth and Planetary Sciences II, 学士課程, 理学部, 堆積物,堆積環境,水圏環境,化石,古海洋,古気候,気象,天気図,統計解析,地震,地震学,地震波,震源解析
  • 2021, 地球環境学, Environmental geoscience, 学士課程, 理学部, 気候変化、炭素循環、古環境、氷期・間氷期、人類環境、生物圏
  • 2021, 一般教育演習(フレッシュマンセミナー), Freshman Seminar, 学士課程, 全学教育, 北極域、地球環境、温暖化、気候変動、炭素循環、水循環、人間活動、永久凍土、北極域航路、国際政治
  • 2021, 堆積学, Sedimentology, 学士課程, 理学部, 堆積岩,地質年代区分、層序,砕屑性岩,炭酸塩岩、生物効果作用、有機質堆積岩、堆積環境,風化作用,堆積作用,続成作用

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プロフィール情報

学位

  • 博士(理学)(東京大学)

プロフィール情報

  • 公開用メールアドレス

    irinoees.hokudai.ac.jp
  • 入野, イリノ
  • 智久, トモヒサ
  • ID各種

    D-9282-2018, 200901072141492364

対象リソース

業績リスト

研究キーワード

  • 古気候学   堆積学   層序学   無機地球化学   同位体地球化学   

研究分野

  • 自然科学一般 / 固体地球科学

経歴

  • 2022年02月 - 現在 北海道大学 大学院地球環境科学研究院 准教授
  • 2007年04月 - 2022年01月 北海道大学 大学院地球環境科学研究院 助教
  • 2005年04月 - 2007年03月 北海道大学 大学院地球環境科学研究院 助手
  • 2000年10月 - 2005年03月 北海道大学 大学院地球環境科学研究科 助手
  • 1999年01月 - 2000年09月 科学技術振興事業団 科学技術特別研究員
  • 1996年01月 - 1998年12月 日本学術振興会 特別研究員(PD)

学歴

  • 1993年04月 - 1996年11月   東京大学   大学院理学系研究科   地質学専攻
  • 1990年04月 - 1993年03月   東京大学   大学院理学系研究科   地質学専攻
  • 1988年04月 - 1990年03月   東京大学   理学部   地学科 地質学・鉱物学課程
  • 1985年04月 - 1988年03月   東京大学   教養学部   理科一類

受賞

  • 2019年09月 日本地質学会 2019年度日本地質学会論文賞
     Depositional ages and characteristics of Middle‒Upper Jurassic and Lower Cretaceous lacustrine deposits in southeastern Mongolia. Island Arc 27-3, 2018. DOI: 10.1111/iar.12243 
    受賞者: Hasegawa, H;Ando, H;Hasebe, N;Ichinnorov, N;Ohta, T;Hasegawa, T;Yamamoto, M;Li, G;Erdenetsogt, B.-O;Heimhofer, U;Murata, T;Shinya, H;Enerel, G;Oyunjargal, G;Munkhtsetseg, O;Suzuki, N;Irino, T;Yamamoto, K
  • 2014年06月 日本古生物学会 2014年度日本古生物学会論文賞
     Kitamura, A., Kobayashi, K., Tamaki, C., Yamamoto, N., Irino, T., Miyairi, Y., and Yokoyama, Y., Evidence of recent warming in the Okinawa region, subtropical northwestern Pacific, from an oxygen isotope record of a cave-dwelling marine micro-bivalve, Pal 
    受賞者: 北村晃寿;小林小夏;玉置周子;山本なぎさ;入野智久;宮入陽介;横山祐典
  • 2010年08月 日本第四紀学会 日本第四紀学会論文賞
     青木かおり・入野智久・大場忠道(2008)「鹿島沖海底コアMD01-2421の後期更新世テフラ層序」第四紀研究、47巻、6号、391-407. 
    受賞者: 青木かおり;入野智久;大場忠道

論文

MISC

書籍等出版物

  • 日本地質学会「海洋底科学の基礎」編集委員会 (担当:分担執筆)
    共立出版 2016年09月 (ISBN: 9784320047297) ix, 389p, 図版 [8] p
  • 日本地球化学会 (担当:分担執筆)
    朝倉書店 2012年09月 (ISBN: 9784254160574) xvi, 479p, 図版 [8] p
  • 地球温暖化の科学
    (担当:分担執筆)
    北海道大学出版会 2007年

講演・口頭発表等

所属学協会

  • 地球環境史学会   日本地質学会   日本地球化学会   日本第四紀学会   日本堆積学会   SEPM (Society for Sedimentary Geology)   American Geophysical Union   

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 沢田 健, 桑田 晃, 力石 嘉人, 入野 智久, 加藤 悠爾
     
    本研究では、深海掘削および陸上調査によって得られた新第三紀堆積物から、藻類および陸上植物の分子化石(バイオマーカー)、藻類微化石、生物源シリカを分析し、新生代の北太平洋におけるグローバルな海洋ー陸域間の生物地球化学的循環と生態系の連鎖(リンケージ)、環境気候システムとの関連性を解明する。海洋・陸域生態系が駆動する長時間スケールの物質循環システムの解明という観点から、海洋基礎生産と陸源有機物の海洋への輸送量の変動の体系的で定量性の高い復元を目指す。さらに、新しい古環境復元法を確立するため、新規の藻類バイオマーカーの探索とその解析法、陸上植物バイオマーカーの分子内同位体比解析法を開発する。2022年度における主な研究成果は次のとおりである。 1. 北部北太平洋アラスカ湾掘削コア(U1417)のバイオマーカー分析を行い、珪藻、ハプト藻、渦鞭毛藻、真正眼点藻などに由来するバイオマーカーを検出し、低分解能で大まかではあるが過去1000万年間の海洋基礎生産変動を復元した。また、ハプト藻由来の長鎖アルケノンおよび真正眼点藻由来の長鎖アルキルジオールを用いた古水温計によって海洋表層水温の変動を復元した。これらの水温の変動パターンは概ねよく一致し、全体的には中新世以降の全球的な寒冷化傾向を示すことがわかった。 2. 北海道中南部の日高町などに分布する中新統荷菜層における泥質堆積岩から、陸上セクションからは極稀な長鎖アルケノンが検出されることを発見した。そのアルケノン古水温計を用いて中期~後期中新世における体系的な海洋表層水温と海洋基礎生産の変動を復元した。 3. 陸源有機物において陸上植物だけでなく菌類のような生物のバイオマーカーにも着目し、特に地衣類の生体試料を用いて、新規のバイオマーカーを検討した。その結果、ファルネンなどのテルペノイドがそのバイオマーカーになり得ることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 山下 洋平, 宮崎 雄三, 入野 智久
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 沢田 健, 桑田 晃, 力石 嘉人, 入野 智久, 加藤 悠爾
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 山田 桂, 香月 興太, 多田 隆治, 入野 智久, 多田 賢弘, 鈴木 健太
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年06月 -2024年03月 
    代表者 : 山本 正伸, 吉森 正和, 阿部 彩子, 関 宰, 入野 智久
     
    温室効果は地球表層の温度を決める重要な要素である。大気中CO2濃度の連続的な測定は1957年以降であり、それ以前のCO2濃度はアイスコア気泡中のガス測定により復元されている(Luthi et al., 2008など)。しかし、アイスコアの最古の氷は80万年前のものであり、それ以前のCO2濃度の精密復元は行われていない。 本研究では、ベンガル湾の国際深海掘削科学計画(IODP)U1445地点の堆積物コアに含まれる長鎖脂肪酸の安定炭素同位体比(δ13CFA)を測定し、600万年前以降のCO2濃度を約1700年解像度で復元する。得られたデータにもとづき、鮮新世における気候感度を推定し、温暖期におけるCO2濃度と全球気温の関係を検討する。さらに、過去600万年間のCO2濃度と海洋深層水温度・気温・氷床量変動との関係から、CO2濃度変動の原因を考察し、CO2と気候の相互作用を解明する。 脂肪酸同位体比測定は全3200試料が終了した。過去80万年間のCO2濃度復元値は、アイスコアのCO2濃度およびU1446地点でのCO2濃度復元値と良い一致を示し、当研究で用いているCO2濃度復元手法をU1445地点に適用することが妥当であることが確かめられた。国際深海掘削科学計画(IODP)U1445地点での船上分析により得られた生層序と非破壊分析の結果に基づき仮の年代モデルを作成した。 U1446地点で得られたCO2濃度変動記録と過去150万年間の降水量変動を比較し、δ13CFA変動の2-10%は降水量変動により、 78%がCO2濃度変動でより説明可能であることを示した。CO2濃度と降水量の変動がインド東部のC3/C4植生に与える影響を植生モデルを用いて検討した。このモデルの結果からも、δ13CFA変動は基本的にCO2変動を反映していることが明らかになった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 沢田 健, 力石 嘉人, 入野 智久
     
    国際深海掘削計画(IODP)で日本海北海道沖から掘削された海底堆積物コア(U1422およびU1423コア)において、陸上植物テルペノイドなどの植物バイオマーカーと花粉の分析を行った。その結果、U1423において過去約430万年間の長期の古植生変動を、U1422では過去約70万年間の数百年スケールの短周期の古植生変動を復元した。針葉樹由来ジテルぺノイドや広葉樹由来トリテルペノイドによる古植生変動が、氷期/間氷期スケールやさらに数百年スケールの寒暖の気候変動とよく同調することがわかり、これら有機分子と花粉による古植生解析から多角的に日本海北部におけるモンスーンに関連した気候システム変動を解明した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 山本 正伸, 竹村 惠二, 林田 明, 高原 光, 大森 貴之, 池原 研, 入野 智久, 原口 強, 加 三千宣, 池原 実
     
    別府湾で採取された長さ20mの柱状堆積物を用いて,4年解像度で古水温の解析と魚鱗量の測定を行い,過去約8000年間の太平洋十年規模変動とそれに伴うレジームシフトを復元した.過去8000年間の古水温変動を調べた結果,水温が20年,50年,200年の周期で変動しており,200年周期が卓越する時期と,50年周期が卓越する時期が百年~千年スケールで入れ替わることが明らかになった.200年周期変動が卓越する時期は太陽放射量変動との対応が良く,50年周期変動が卓越する時期には大規模火山噴火が頻繁に起きた時期に対応した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 多田 隆治, 村山 雅史, 高橋 聡, 入野 智久, 山田 桂, 関 有沙, 王 可, 三武 司, 松崎 賢史, 黒川 俊介
     
    日本海深部半遠洋性堆積物における海成有機物量の変動(明暗縞)は、対馬海峡を通じた栄養塩供給と生物生産量変化を通じて、東アジア夏季モンスーン(EASM)降水変動を記録している。日本海から回収されたIODPコア試料の分析・解析を通じて、過去300万年間のEASM変動を高時間解像度で復元した。また、堆積物中の風成塵供給源推定を通じて、偏西風経路変動を復元した。その結果、EASMの千年スケール急激大振幅変動は、北大西洋への氷山流出量の増大とともに1.31 Maに開始し、その繰り返し周期や振幅には氷床体積や成長速度が、北大西洋高緯度域からの信号の伝播には偏西風経路の変化が深く拘っていたことが示された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 芦 寿一郎, 池原 研, 辻 健, 入野 智久, 山口 飛鳥, 大村 亜希子
     
    東海沖から日向沖の地震履歴の情報を得るため,南海トラフ前弧域の浅部地下構造探査と柱状試料採取を行なった.海溝の陸側斜面から前弧海盆における高解像度の浅部地下構造を無人探査機に搭載した音波探査装置で捉えることができ,室戸岬沖や日向沖において活断層や現在進行中の傾動運動を確認した.堆積層の分析では,地震による海底表層の物質の移動・再堆積を明らかにするとともに,再堆積した地層の厚さは供給源となった地層の崩壊の深さと相関する可能性を示した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2014年04月 -2017年03月 
    代表者 : 沢田 健, 入野 智久, 五十嵐 八枝子
     
    国際深海掘削計画(IODP)北東大西洋イベリア半島沖(U1385)と日本海北海道南西沖(U1423)で掘削された海底堆積物コアにおいて、陸上植物テルペノイドなどの植物バイオマーカーと花粉の分析を行った。その結果、U1423において過去約430万年間の長期の古植生変動を、U1385では酸素同位体比ステージ(MIS)12~10に注目して数百年スケールの短周期の古植生変動を復元した。特に、スギ・ヒノキ科由来やマツ科由来のジテルぺノイド指標による古植生変動が、氷期/間氷期スケールやさらに数百年スケールのグローバルな寒暖の気候変動とよく同調することがわかり、新たな古植生指標として高い適用性を提示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年06月 -2017年03月 
    代表者 : 山田 正俊, 加藤 義久, 永井 尚生, 津旨 大輔, 本多 牧生, 鄭 建, 浜島 靖典, 田副 博文, 熊本 雄一郎, 青山 道夫, 植松 光夫, 川上 創, 池原 研, 入野 智久, 高畑 直人, 升本 順夫, 磯部 篤彦, 木田 新一郎, 坪野 考樹, 三角 和弘, 猪股 弥生, 帰山 秀樹, 日下部 正志, 楊 国勝, 中野 俊也, Povinec Pavel, Buesseler Ken, Hult Mikael, Nies Hartmut
     
    本研究の目的は,福島第一原発事故により放出された放射性物質の海洋および海洋底における分布状況と要因を把握し,モデル化を図ることである。海水中の水平及び断面観測を行い,北太平洋における原発事故由来放射性セシウム輸送の三つの主要な経路と輸送の様相を明らかにした。北太平洋海流によって表面輸送される経路、亜熱帯モード水の沈み込みに伴って亜表層を南に運ばれる経路及び中央モード水の沈み込みに伴って海洋内部に運ばれる経路である。また,原発近傍海域における放射性セシウム、H-3、Sr-90、I-129、Puの動態を明らかにした。外洋域における粒状態放射性セシウムの鉛直輸送と陸棚斜面での水平輸送を明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 山本 正伸, 入野 智久, 横山 祐典
     
    TEX86の分析により,南大洋ウィルクスランド沖では水温は12,000年前から3000年前にかけて低下し,その後,上昇したことが示された.他方,北極チュクチ海では水温は9000年前以降,上昇した.両地域とも顕著な1000年スケール水温変動を示した.チュクチ海コアのクローライト/イライト比から,ベーリング海峡通過流が1000年スケール変動を示し,中期完新世で強かったことが示された.また,石英/長石比からボーフォート循環が1000年周期変動を伴いながら9000年前以降弱化したことが示された.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年04月 -2016年03月 
    代表者 : 多田 隆治, 板木 拓也, 木元 克典, 内田 昌男, 入野 智久, 長島 佳菜, 久保田 好美, 中川 毅
     
    揚子江河口、東シナ海北部、水月湖、日本海から得られたコア試料分析を基に、東アジア夏季モンスーン[EASM]降水帯位置、揚子江夏季流出量、西南日本夏季豪雨の規模と頻度、日本海上での偏西風軸の位置、の変動を過去6000年間以上に渡って復元してEASM降水フロント位置やストームトラックの千年スケールの変動が偏西風軸の南北振動に規定されて来たことを明らかにし、その全球気候システムにおける位置づけを論じた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 木元 克典, 佐々木 理, 入野 智久, 脇田 昌英
     
    マイクロX線CT(MXCT)技術による骨格密度測定手法の確立とその解析、そして地球化学的手法を用いた微量元素研究の2つの手法を用いて、炭酸塩溶解プロセスとその要因、そして骨格の地球化学的性質の研究を行った。北太平洋の観測点K2のセジメントトラップ観測により得られた浮遊性有孔虫の骨格密度には明瞭な季節性があり、年間を通して大きく変化していたことを発見した。この原因は海洋の物理環境と炭酸系の変化によるものである。また浮遊性有孔虫の骨格は異なる複数の結晶型からなる部位をもち、その化学的性質にも違いがある。これらの違いが選択的な溶解の促進と、殻の化学的性質を変化させることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2012年 
    代表者 : 杉本 敦子, 入野 智久, 大手 信人, 徳地 直子, 岩花 剛, 兒玉 裕二, 山下 洋平, 石井 吉之, 太田 岳史, 鈴木 力英, 米延 仁志
     
    東シベリアタイガ林およびタイガ-ツンドラ境界において水循環、炭素循環、窒素循環に関する野外観測を実施した。カラマツ年輪の幅と炭素同位体比から過去100年間のタイガ林の土壌水分を復元し、2006-2007年の過湿が極端現象であったこと、このような状況では中流域から1年を通して流出があったと考えられる。また、タイガ林の窒素動態を調べ、土壌無機態窒素プールが地温の季節変化と連動して大きな季節変化を示すことを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 木元 克典, 佐々木 理, 入野 智久
     
    マイクロX線CTスキャナを用いた海洋の炭酸塩溶解の定量化のための手法を確立した。炭酸塩の溶解量は体積の関数である全CT値と平均骨格密度の関数である平均CT値によって表現される。天然及び実験環境下での試料においても本研究手法が有効であることが確かめられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2011年 
    代表者 : 山本 正伸, 入野 智久, 杉本 敦子, 沖野 龍文, 長谷川 四郎
     
    本研究では,熱帯太平洋域5地点から採取された海底コアに含まれる生物起源有機分子を分析し,過去15万年間の熱帯太平洋大気対流活動を復元した.古水温の解析から,融氷期には,太平洋東縁では冷水舌が縮小,東西水温勾配が小さいエルニーニョに似た平均状態を保ちながら,全体として温暖化し,西縁では暖水塊が拡大したことが示された.脂肪酸の水素同位体組成から降水量復元を試みたが,石筍酸素同位体記録と矛盾した.石筍記録は古水温記録と調和的であり,歳差運動(2.3万年周期)に応答してエルニーニョ南方振動が長期的に変動し,熱帯太平洋の東西水温勾配と対流中心の位置が変化したことが示唆された.
  • 利尻島および日本海北部海域に降下するシベリア森林火災起源物質の時代変化
    研究期間 : 2009年
  • Temporal variation of charcoal deposition originated from Siberian forest fire in the Rishiri Island and the northern Japan Sea
    研究期間 : 2009年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2008年 
    代表者 : 北村 晃寿, 入野 智久, 加瀬 友喜
     
    海底洞窟から採取した堆積物コア試料に含まれる160個体の微小二枚貝の酸素同位体比を測定した. その結果, 現在よりもかなり寒冷・乾燥化した冬期が, 6,300年前, 5,550年前. 5,200年前に起きており, それらの期間は太陽活動の弱体期にあたる. このことから, 日本南方域の気候は, 太陽活動の影響を受けることが分かった.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2008年 
    代表者 : 長尾 誠也, 山本 正伸, 入野 智久, 藤嶽 暢英, 荒巻 能史
     
    石狩川河川水の懸濁態有機物の放射性炭素のδΔ14C値は年間を通じて大きな変動を示し、雪融けと降雨時には古い有機物が移動していることが明らかとなった。その変動幅は下流域<中流域<河口域<上流域の順であり、河川に供給される懸濁態の有機物は、河川流域環境や水の供給経路等の特徴と関連して変動することが考えられる。これらの結果から、沿岸域への影響評価には、雪融けと降雨時の粒子の供給量と供給機構の重要性が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    代表者 : 池原 研, 片山 肇, 野田 篤, 辻野 匠, 入野 智久, 大村 亜希子
     
    2003年北海道日高地方で台風10号に伴って発生した洪水により河川から海域に供給された土砂の海域での堆積過程と海底環境への影響を解明するため,日高沖陸棚から陸棚斜面域の調査と河川懸濁物の採取を行った.沙流川沖では内側陸棚に氷期の河川跡の名残である凹地が存在し,この凹地内に洪水起源の泥が分布している.柱状に採取された泥の有機物組成は陸源有機物に富んでいる.また,この泥には薄い砂層が挟在し,粒度組成,堆積構造はこの堆積物がハイパーピクナル流から堆積したものであることを示唆した.泥にはセシウム137が含まれており,大気中核実験の開始以降の堆積物であることが確認された.この洪水を発生させた降水が少なくとも60-70年に一度のイベントであることから,この泥は2003年の洪水により堆積したものであると考えられる.この凹地の沖合延長上の陸棚斜面中部から採取された堆積物表面には,砕屑物粒子に富む陸源有機物を多く含む泥が認められ,これも2003年の洪水時に堆積したものと考えられる.河口沖の内側陸棚に凹地が存在する場合,懸濁粒子を多量に含んで重くなった洪水時の河川水は河口前面で密度流を形成し,凹地に沿って沖合に土砂を輸送する.凹地の存在は泥水の拡散を抑制し,泥水の密度維持に貢献し,結果として洪水時に海域に排出された土砂を外側陸棚から斜面,さらには海盆底へと輸送する.このことは洪水時に海域に供給された土砂の長距離輸送にはパイパーピクナル流の形成が重要であり,また陸棚の海底地形でその維持に重要であることを示した.一方で,洪水直後に内側陸棚の凹地外に堆積した泥はその後の波浪や沿岸流で再移動し,消減している.このことは波浪や沿岸流が卓越する場での洪水泥の保存ポテンシャルが低いことを示唆し,内側陸棚の堆積環境の違いが洪水時の泥の堆積が海底環境に与える影響に大きく関与していることが明らかとなった.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2007年 
    代表者 : 南川 雅男, 長尾 誠也, 入野 智久, 加藤 義久, 成田 尚史, 村山 雅史
     
    北海道から中部、四国地域の代表的河川として、十勝川、安部川、仁淀川、四万十川など7河川の調査を行い、農業地帯、人工集中地域、未汚染地域での河川由来栄養塩の特徴と、それがもたらす沿岸生物生産への影響を研究し、以下の結果を得た。1)十勝川による栄養塩負荷は、2005年6月から9月の増水期でDIN、DIPの供給フラックスはそれぞれ1.3 mol/m2/ yr、0.009 mo1/m^2/yrとなった。これらが沿岸海域で全て消費しつくされるとすると、レッドフィールド比による炭素換算で8.4 molC/m^2/ yr程度を固定することとなる。これは、親潮海域での年間基礎生産(12.2 mol C/m2/yr)の7割に相当する大きな寄与と見積もられた。2)十勝川から沿岸海域に輸送されたDIN、DIP、Siの年間輸送量はそれぞれ、690、4.0、2740 × 10^6 mo1と見積もられた。その結果、海洋へ輸送された栄養塩の元素比は、N/P比=176.6、Si/N比=4.0、Si/P比=700 となり、この栄養塩組成は、十勝沿岸では珪藻類の増殖に有利であると示唆された。3)台風などに伴う大雨イベントでは、特に窒素の輸送に大きな影響を与え、わずか1週間で年間輸送量の約8%にあたるDINが輸送されることもあることがわかった。4)融雪期や季節変化が定常的な状況での河川からの流出栄養塩は、沿岸での生物生産の3-4割に相当する寄与をするが、陸起原有機物からなる粒子状の炭素は大雑把にその10分の1以下、粒状有機物のNは約半分の生産に相当すると推定した。5)静岡の一級河川では,硝酸濃度は,27〜98 μMと比較的低濃度だったのに対し, 二級河川では82〜504 μMと高濃度で変化も大きかった。リン酸塩濃度は0.21〜9.2μM、ケイ酸塩濃度は109〜413 μMの範囲であり,これら栄養塩濃度と組成の特徴には,流域面積の違いに加えて,そこでの土地利用の違いや都市化の差異が影響していることを見いだした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 入野 智久
     
    海洋表層で生産される浮遊性有孔虫の炭酸カルシウム殻は、死後水柱を沈降し海底堆積物中に埋積されるまでの間に、溶解と二次石灰の沈着が起こると考えられている。そのため、過去に堆積した堆積物中に含まれる浮遊性有孔虫殻の重量減少を見積もれば、過去の海洋における炭酸塩溶解量およびその原因となった海洋炭酸系の変動が推定できるとされている。しかしこの方法では、1)溶解・二次石灰化が沈降・堆積過程のどこで主に起こるか、2)二次石灰化の程度がどのくらいか、ということが問題となる。これらが不明なままでは、殻の炭酸カルシウムに記録されると信じられている海洋の炭素・酸素同位体比も、どの水深で記録されたものかが分からないため、古水温・古塩分プロクシ記録の正確度にも深刻な影響がある。本研究では、海洋表層に死骸で浮遊していたもの・セディメントトラップで回収された水柱を沈降中のもの・表層堆積物の3通りの試料から浮遊性有孔虫Globigerinoides saoculiferの完全個体を50-70個ずつ集め、そのサイズ・重量・酸素炭素安定同位体比を一個体ずつについて分析することを通して、浮遊性有孔虫殻の重量変化過程を明らかにするとともに、過去の溶解程度の変動とその同位体比への影響を検討した。その結果、G.sacは、海洋表層付近で成長し、水深400mまでの間に配偶子形成カルサイトをつけて重量が20%増加した後、死んで水柱を沈降する間は僅かに溶解が起こるが二次石灰化は起こらず、堆積物表層で溶解し、その後埋没してから二次石灰化が起こる、というプロセスとなることが分かった。二次石灰化程度は様々で、系統的な変化を示さなかったが、二次石灰化程度に応じて、殻に残された酸素同位体比は低温・高塩分を反映して大きくなっていた。G.sacの殻は、溶解が進む際には殻サイズは変化せずに殻が薄くなっていくので、ある程度溶解が進むと破片化する。そのため、「完全個体」のみの重量分布を検討した場合、もともと左右対称な正規分布していた殻重量は、溶解が進むほど軽いものがカウントされないために、その分布形が歪んでいく。この殻重量分布の歪度は殻溶解程度と良く相関し、すぐれた炭酸カルシウムの溶解指標となることが分かつた。これは本研究における全く新しい発見であり、従来提唱されていた浮遊性有孔虫殻重量溶解指標の持つ問題点を解決するものである。これを利用して、有孔虫殻の真の溶解量と二次石灰化量が計算できることになり、殻のもつ同位体記録(古水温・古塩分)解釈の精密化という目的も達成することができた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2006年 
    代表者 : 山本 正伸, 入野 智久, 多田 隆治, 池原 実, 大場 忠道
     
    本研究では,東アジア縁辺海域の北緯42度〜北緯8度の範囲(十勝沖,鹿島沖,北部東シナ海,北部南シナ海,南部南シナ海)の5地点から採取された海底コアに含まれる陸起源バイオマーカー(生物起源有機分子)の分析を行い,最終融氷期(17000年前〜9000年前)の東アジア地域の乾湿南北分布を明らかにし,現在のエルニーニョ南方振動(ENSO)のテレコネクション降水量分布と比較することにより,融氷期温暖化と水サイクル変化に及ぼしたENSOの役割を検討することを目指した. リグニン,陸起源バイオマーカー,花粉組成の変化にもとづき,北緯30度以北では最終融氷期に草本類が増加し,乾燥化が進行したことが示された.他方,北緯8度の地点では,長鎖脂肪酸の水素同位体比δDが最終融氷期において約40^0/_<00>の負シフトを示し,降水量が増加したことが示された.この降水量の対照的な変化は,熱帯域で対流活動が活発であったにも関わらず,エルニーニョに似た状態が卓越し北太平洋高気圧が弱化していたため,熱帯太平洋で発生した水蒸気が中緯度には輸送されにくかったためと理解された. さらに,過去2回の融氷期にアリューシャン低気圧が強化されたこと,鹿島沖水温が最終融氷期後半で最低水温を示すこと,北部南シナ海コアの水温変動から最終融氷期に冬モンスーンが強化したと考えられること,鹿島沖コアのアルケノン古水温が完新世で1500年周期を示すことが明らかになった.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 長谷川 卓, 入野 智久, 田崎 和江, 森下 知晃, 池原 実
     
    本年度は,有孔虫の殻に閉じ込められた有機物の含有量について,現生底生有孔虫,化石底生有孔虫(膠着質,石灰質),現生浮遊性有孔虫について分析を行った結果,約0.1-0.4%の含有量を持っていることが明らかになった.特に,浮遊性有孔虫ではその含有量の個体や種による差は小さいことがわかり,同位体分析のための適切な試料量が容易に推定できるようになった.そこに至るまでの過程で,様々な溶媒を用いたり,ふるいを自作するなどして効率的な準備方法を開発した.これらの作業は金沢大学で行った. これらの手法がほぼ確立したことを受け,実際に北海道大学地球環境科学研究院に設置の微量炭素の同位体比分析が可能な装置を用いて個別の種の浮遊性有孔虫(赤道太平洋の表層堆積物に含まれる現生浮遊性有孔虫)の殻構造内部に含まれる有機物の炭素同位体比を測定した(18年2月,3月).1個体の殻の重量が異なるため,分析に用いた有孔虫の個体数は種によって異なるが,Globorotalia menardiiでは100個体を用いて分析を行い,3回測定を繰り返すことができる程度の二酸化炭素ガスを得ることができた.Globigerinoides sacculiferでは400個体を用いることでほぼ同量のガスを得た.個別に処理したG.menardiiの4試料ではいずれも-24.35±0.3‰の範囲であった。このように開発した処理法は炭素同位体比の再現性が高いことが示すことができた.G.sacculiferでは1試料で-22.9‰,Globorotalia tumidaでは2試料から-23.72‰および-24.12%を得た.このように,種が異なっても同位体比値が大きく異なることがない. 本研究の結果,有孔虫の殻体構造内に閉じ込められた有機炭素の同位体比分析の手法が確立した.今後,確立した手法を用いてデータを増やすことで,表層種と温度躍層種に系統的な差があるのかどうか,などが議論できる.また,実用面に関しては,限定した種を用いて有機炭素同位体比の経時変化を調べ,その炭酸塩炭素の同位体比との差を取り,その差が経時的にどのような変化を示すのか,を調査する次のステップに研究を進める段階に達した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 長尾 誠也, 山本 正伸, 藤嶽 暢英, 入野 智久, 児玉 宏樹
     
    本研究の目的は。重要ではあるがデータの蓄積に乏しく、季節や地域によりその変動幅が大きく、沿岸域での炭素の吸収と放出量の見積もりを行う上で不確定要素の1つと考えられている河川から海洋への有機体炭素の移行量と移行動態を検討するものである。そのために、寒冷、温帯、および熱帯域の河川を対象に、河川流域の特性、植生、気候による土壌での有機物の分解と生成機構・時間スケールと河川により供給される有機物の特性、移行量との関係を難分解性有機物である腐植物質に着目して調べた。 泥炭地を有する十勝川、湿原を流れる別寒辺牛川、褐色森林土の久慈川、スコットランド、ウクライナ、インドネシアの河川水中の溶存腐植物質を非イオン性の多孔質樹脂XAD-8を用いた分離法により分離生成し、いくつかの特性について分析を行った。また、河川水中の有機物の起源と移行動態推定のために、放射性炭素(Δ^<14>C)および炭素安定同位体比(δ^<13>C)を測定し、両者を組み合わせた新しいトレーサー手法を検討した。その結果、放射性炭素(Δ^<14>C)は-214〜+180‰の範囲で変動し、土壌での溶存腐植物質の滞留時間が流域環境により大きく異なることが考えられる。 上記の検討と平行して、連続高速遠心機により河川水20〜100Lから懸濁粒子を分離し、放射性炭素および炭素安定同位体比を測定した。その結果、久慈川では年間を通してΔ^<14>Cは-19〜-94‰、炭素同位体比(δ^<13>C)は-24.0〜-31.1‰の範囲で変動し、石狩川ではΔ^<14>Cは-103〜-364‰、δ^<13>Cは-25.9〜-34.2‰、十勝川ではΔ^<14>Cは-111〜-286‰、δ^<13>Cは-25.0〜-31.6‰であった。これらの結果は、流域の環境条件および雪解けや降雨による河川流量の変動等がこれら炭素同位体比の変動を支配している可能性が考えられる。 以上の結果から、放射性炭素および炭素安定同位対比を組み合わせる新しいトレーサー手法は、河川の流域環境の違いを反映し、移行動態および起源推定のために活用できることが示唆された。また、現時点では、大部分の地域では核実験以前に陸域に蓄積された有機物が河川を通じて移行していることが明らかとなった。
  • 河川懸濁粒子の量および組成観測に基づく河川流出量変動の海洋への影響の解明
    研究期間 : 2004年
  • Biogeochemical impact on marine environment from river discharge based on observation of river suspended materials
    研究期間 : 2004年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 南川 雅男, 入野 智久, 長尾 誠也, 山本 正伸, 松井 章, 西本 豊弘
     
    先史人類が生活した痕跡を遺跡から検出することを目的に、土壌や骨に含まれる有機分子と炭素窒素同位体の分析方法を検討し、その指標の有効性について研究した。特に農耕や家畜の飼育などに焦点をあて、そのような生業活動の後に土壌や遺物に残留したはずの特徴ある化学物質を脂質化合物から同定し、人類活動の判別方法として妥当性を試験した。可能性のあるマーカーとしてステロイド成分、脂肪酸、などの脂質について検討した。農耕栽培によって撹乱を受けた土壌を、自然植生の土壌と区別するものとして土壌有機物の^<13>C、^<15>N濃度の変化が有効であることを見いだした。C4植物の栽培による^<13>C濃度の増加は現代のトウモロコシ栽培地と同様であった。また家畜や人類の排泄物からの動物性脂質由来の有機分子は畑作における施肥のマーカーとして検出できるかどうかを江戸時代の埋没遺跡(上福島中町遺跡)の人家跡と畑跡の土壌で検討した。ヒトの胆汁に含まれるデオキシコール酸が肥だめ跡や、施肥をしたと思われる畑土壌から検出された。現在飼育されている家畜糞から作られる堆肥についても研究し、ステロール、脂肪酸、胆汁酸の構成成分の分析を行った。反芻動物とそれ以外、鳥類などの種類の違いにより、分子組成の異なる結果が得られた。これらの分析手段を縄文前期の美々遺跡の土壌に応用したところ、自然植生の土壌と異なり、何らかの人為攪乱の可能性が示唆された。この方法による栽培や施肥の同定を検証する方法として、有機バイオマーカの利用法が有効であることを明らかにした。家畜化によりイノシシの食性が変化することを、約7千年前から2千年前までの琉球や韓国出土骨の分析により検証した。その結果琉球列島で出土した弥生相当期以前のイノシシには、現地産の野生イノシシとは異なる食性の個体が多数含まれており、その一部は朝鮮半島とのつながりを示す結果であることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 大場 忠道, 山本 正伸, 長尾 誠也, 岡田 尚武, 成田 尚史, 入野 智久, 村山 雅史, 的場 保望, 本山 功
     
    本研究は、日本列島東岸の鹿島沖の水深2,200mから採取されたIMAGES海底コア(MD01-2421、長さ45.6m)を、班員のそれぞれの専門を生かして過去2回の氷期・間氷期を含む14万年間について、気候変化に伴う黒潮と親潮の消長、それによる海洋表層の水温・塩分の変化、生物生産量や海底環境の変化、供給された陸源物質の量的・質的変化などを総合的に解析し、氷床コアや陸上コアに見られる環境変化と結び付けられる程度に、当海域の海洋環境変化を高分解能で復元することを目的として研究が行われた。その結果、過去の全球的な気候変化に応じて黒潮と親潮の南北移動が起こっており,最終氷期やその前の氷期には、現在の釧路沖あるいは根室沖と同様な親潮が鹿島沖まで南下していた。その結果,有孔虫の酸素同位体比やMg/Caから推定される表層水温は現在よりも12〜13℃低下していた。しかし、アルケノンによる古水温推定や微化石による水塊移動とはそれぞれ微妙に異なっている。また、アルケノンによる古水温には2.3万年の歳差運動周期が認められる。酸素同位体比からの古水温や放散虫の群集組成には、グリーンランド氷床コアのDansgaard-Oeschgerサイクルが認められ、それは海流系の南北移動で引き起こされた。花粉分析の結果は、過去14万年間に寒冷・乾燥気候(亜高山帯針葉樹林)〜温暖気候(温〜冷温帯広葉樹林)〜冷涼・多雨気候(スギ・コウヤマキ優占林)の変動サイクルが4回繰り返し生じたことが明らかになった。その時期は、MIS 6〜5e、5d〜5b前半、5b後半〜4前半、3後半〜1であったが、海洋環境の変遷よりも2〜3千年早く起こっている。また、花粉分析から湿潤と考えられる時期に砕屑物質の供給量が増加している。さらに、オパール量は氷期に少なくその原因として海氷の発達や表層塩分の低下などが考えられる.また、底生有孔虫群集から氷期には北大西洋深層水の形成が弱く,その結果も鹿島沖における氷期の生物生産量の低下に関連していた可能性がある。
  • 海底細粒堆積物の粒度・鉱物・化学組成にもとづく供給源と運搬過程の解明
    研究期間 : 2000年
  • Provenance and transport process of fine grained marine sediments based on grain size, mineral, and chemical composition
    研究期間 : 2000年
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -1998年 
    代表者 : 入野 智久


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