わたくしは、産婦人科学における幅広い領域(産科学、婦人科腫瘍学、生殖免疫学など)の研究を行ってまいりました。研究紹介はこちらからごらんください。
現在は、既存領域の枠組みを超え、女性の生涯にわたる健康を支援するケアやサポートを探求しています。妊娠、出産、育児に関連するテーマを中心に、幅広い年代の女性の健康問題に取り組み、更年期や思春期の健康管理、女性特有のメンタルヘルスケアの研究も行っています。女性が生涯にわたって健康で充実した生活を送るための支援を提供することを目指しています。
その取り組みでは、アカデミアの狭い枠にとどまらず、刻々と変化する社会のニーズに応えるための教育、予防、管理の視点を重視しています。私たちの研究や活動は、臨床現場での実践に直結するだけでなく、広く社会全体に貢献することを目指しています。
略歴:1965年、青森県生まれ。1990年北海道大学医学部医学科卒業、1997年北海道大学大学院医学研究科単位取得退学。2000年北海道大学附属病院助手、2010年神戸大学大学院医学研究科外科系講座産婦人科学分野 講師、2012年同准教授を経て、2020年より北海道大大学大学院保健科学研究院教授(助産学/母性看護学/女性医学教室、創成看護学分野)。博士(医学)(北海道大学)
非産褥期子宮内反症は非常にまれな疾患である.われわれは粘膜下筋腫に続発した非産褥期不全子宮内反症と診断し,子宮全摘出術を施行した症例を経験したので報告する.患者は52歳,2経産婦.47歳時より粘膜下子宮筋腫を指摘されていた.50歳時から性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニスト(Gonadotropin releasing hormone agonist;GnRHa)療法による保存療法が繰り返されていた.しかし,子宮筋腫の縮小を認めず,大量の帯下を主訴として紹介された.腟内に膨隆する粘膜下筋腫を認め,骨盤MRIでは子宮底部が陥凹しており,非産褥期不全子宮内反症と診断した.腹式単純子宮全摘出術および両側卵管切除術を実施した.病理組織検査結果は平滑筋腫であった.長期間にわたる保存療法中に,粘膜下筋腫の増大に伴い内反状態が増悪したと推測された.〔産婦の進歩69(2):126-130,2017(平成29年5月)〕
We present a case of complete androgen insensitivity syndrome (CAIS) treated by laparoscopic gonadectomy. Case: A 19-year-old phenotypical female, who complained of primary amenorrhea, was referred to our hospital. Physical examination revealed the absence of the proximal vagina and female external genitalia. Pelvic magnetic resonance imaging revealed bilateral pelvic masses, and the absence of both the uterus and the vagina. Hormonal examination revealed elevated serum testosterone level at 8.3 ng/mL (normal values in female adults, 0.06-0.86 ng/mL). Her karyotype was 46,XY. Therefore, we diagnosed complete CAIS. She underwent laparoscopic gonadectomy. Histopathological examination showed immature seminiferous tubules and Leydig cells in both gonads. Her postoperative course was uneventful and she was discharged on postoperative day 5. She is being treated with and will continue to receive hormone replacement. Care for patients with CAIS needs to be individualized, flexible, and holistic because they are often raised socially as women. Laparoscopic gonadectomy in patients with CAIS is useful, because it is less invasive and has improved cosmetic results compared with open surgery.