内田 毅 (ウチダ タケシ)

理学研究院 化学部門 物理化学分野准教授

研究者基本情報

■ 学位
  • 博士(工学), 京都大学
■ URL
researchmap URLホームページURL■ ID 各種
研究者番号
  • 30343742
J-Global ID■ 研究キーワード・分野
研究キーワード
  • シトクロムc
  • 転写制御
  • ラマン分光法
  • ヘム
  • 酸化還元
  • 病原菌
  • 共鳴ラマン
  • 水素結合
  • 時計蛋白質
  • チオエーテル結合
  • チオエーテル結
  • ヘムタンパク質
  • 翻訳後修飾
  • DNA結合
  • 蛋白質
  • NPAS2
  • NPAS
  • 酵素
  • 生体分子
  • シグナル伝達
  • シトクロム酸化酵素
  • センサー蛋白質
  • 酸化修飾
  • ヘム生合成
  • 共鳴ラマン分光
  • ナノディスク
  • ROS
  • 酸素センサー蛋白
  • 回転半径
  • 生物無機化学
研究分野
  • ナノテク・材料, 基礎物理化学
  • ナノテク・材料, 生体化学
  • ライフサイエンス, 生物物理学
  • ライフサイエンス, 機能生物化学
  • ライフサイエンス, 構造生物化学
■ 担当教育組織

経歴

■ 経歴
経歴
  • 2013年06月
    北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授
  • 2001年04月 - 2001年10月
    岡崎国立共同研究機構分子科学研究所, 学術振興会特別研究員
  • 1999年10月 - 2001年03月
    アルバートアインシュタイン医科大学, 博士研究員
  • 1998年04月 - 1999年09月
    岡崎国立共同研究機構分子科学研究所, 大学等非常勤研究員
  • 1998年 - 1999年
    Part-time researcher for university or other academic organization
学歴
  • 1998年, 京都大学, 工学研究科, 分子工学専攻, 日本国
  • 1998年, 京都大学, Graduate School, Division of Engineering
  • 1995年, 京都大学, 工学研究科, 分子工学専攻, 日本国
  • 1995年, 京都大学, Graduate School, Division of Engineering
  • 1993年, 京都大学, 工学部, 石油化学科, 日本国
  • 1993年, 京都大学, Faculty of Engineering

研究活動情報

■ 受賞
  • 2009年, 日本化学会北海道支部奨励賞
    日本国
■ 論文
■ その他活動・業績
■ 書籍等出版物
  • Heme binding characteristics of mouse PER1, a transcriptional regulatory factor associated with circadian rhythms
    Nova Science Publishers, 2011年
■ 主な担当授業
  • 生物化学A(Ⅲ), 2024年, 修士課程, 総合化学院
  • 大学院共通授業科目(一般科目):自然科学・応用科学, 2024年, 修士課程, 大学院共通科目
  • 生命分子化学特論, 2024年, 修士課程, 総合化学院
  • 生命分子化学特論, 2024年, 修士課程, 工学院
  • 生命分子化学特論, 2024年, 博士後期課程, 工学院
  • 一般教育演習(フレッシュマンセミナー), 2024年, 学士課程, 全学教育
  • 分子分光学, 2024年, 学士課程, 理学部
■ 所属学協会
  • 日本生物物理学会
  • 日本化学会
  • 日本生化学会
  • 日本蛋白質科学会
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • 色素分解酵素DyPを利用した環境汚染物質の分解・環境浄化システムの構築
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2020年04月 - 2023年03月
    内田 毅
    DyP (Dye-decolorizing peroxidase) はヘムを含むペルオキシダーゼという酵素タンパク質の一種で、過酸化水素を利用し、アントラキノン系の色素を分解する酵素であることから、環境浄化酵素としての利用が期待されている。しかし、微生物やカビなどの一部に存在するタンパク質であるにもかかわらず、それらの生育条件とは離れたpH 4程度の酸性条件で活性が高く、中性付近ではほとんど活性がないという特徴が、環境浄化酵素としての実用化へのハードルとなっていた。そこで、反応機構を明らかにすることにより、pH依存性を決定している因子を明らかにし、アミノ酸置換を導入することにより、中性pHで活性を持たせることに成功した。試験管内の反応では中性で色素を分解可能になったため、これを大腸菌に発現させ、大腸菌を培養しながら、溶液内の色素を分解することを試みた。しかし、予想外に活性は著しく低く、環境浄化酵素として利用することでできなかった。原因を検討した結果、菌体内で発現させると活性中心であるヘムと結合していないことがわかった。ヘモグロビンなど多くのヘムタンパク質ではヘムはタンパク質と配位結合しているため、大腸菌内で利用しようとするとヘムを含まない可能性がある。そこで、タンパク質とヘムが共有結合しているシトクロムcにDyP活性を付与することを試みた。
    はじめに天然型のシトクロムcのDyP活性を測定したところ、DyPの1/2程度の活性であることがわかった。次に、DyPで明らかにした反応機構をもとにシトクロムcに色素分解に必要なアミノ酸残基を導入することにより、天然型のシトクロムcの80倍の活性をもつ変異体シトクロムcを作成した。また、至適pHは8.0付近であったことから、試験管レベルではあるが、環境浄化酵素としての利用が期待できるものの作成に成功した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 20K05700
  • ナノディスクを用いた膜結合金属蛋白質の集積配列による活性制御
    科学研究費助成事業
    2019年06月28日 - 2021年03月31日
    石森 浩一郎; 内田 毅
    光駆動塩素イオンポンプのハロロドプシン(HR)と、呼吸鎖末端で酸素分子の四電子還元を行うバクテリア由来シトクロム酸化酵素(cbb3)に注目して、そのナノディスク化と機能解析および機能分子への応用を試みた。ナノディスク化HRの光反応サイクルを多様な分光学的手法で解析したところ、効率的な光駆動塩素ポンプ駆動にはHR分子間相互作用、膜電荷とHRの相互作用、塩素イオン結合や解離に伴うHRの構造変化を許容する膜の柔軟性等が重要であることが示された。cbb3は電極に固定させることで、電気化学的な酸素分子の四電子還元反応を触媒として進行させることが確認でき、ナノディスク化でその活性の向上が期待される。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 19K22193
  • ミトコンドリア呼吸鎖における電子伝達複合体の動的構造解析と電子伝達制御機構の解明
    科学研究費助成事業
    2016年04月01日 - 2019年03月31日
    石森 浩一郎; 内田 毅; 齋尾 智英
    細胞内のエネルギー生産に重要な酸素分子の水への還元は、ヘムを含む電子伝達蛋白質であるシトクロムcから膜結合蛋白質であるシトクロムc酸化酵素に電子が伝達されることで進行する。この電子伝達反応の分子機構を生体内に近い環境で検討し、その効率的な反応の進行には、シトクロムc酸化酵素とその周囲の膜構成成分との相互作用や、蛋白質構造の過渡的な変化である「構造的揺らぎ」、少数のアミノ酸残基による特異的な蛋白質間相互作用、さらには電子伝達経路における疎水的な環境が重要であることが明らかとなった。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 16H04173
  • 病原菌に特徴的な鉄の取り込みタンパク質に着目した新規な抗菌剤の開発
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2016年04月 - 2019年03月
    内田 毅
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 膜結合性ヘムタンパク質PGRMC1の構造的制御による生理機能の解明
    科学研究費助成事業
    2015年04月01日 - 2018年03月31日
    加部 泰明; 内田 毅
    本研究では、新規のガス応答性因子として同定した膜タンパク質タンパク質PGRMC1の構造的機能制御の解明を行った。X線結晶構造解析により、PGRMC1はチロシン残基のヘム配位によって、突出したヘム同士が重なり合った特異な重合体構造を形成することを見出し、生体内ガスCOがこの重合が解離してPGRMC1の機能を阻害することを見出した。PGRMC1はがん細胞内のヘム濃度に応答して重合化することにより活性化し、がん増殖に関わるEGFRと会合してがん増殖シグナルを増強するという、ダイナミックな構造変換によって機能することを明らかとした(Nature Commun 2017)。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 慶應義塾大学, 15K07011
  • ナノディスクを利用したミトコンドリア呼吸鎖における電子伝達機構の解析
    科学研究費助成事業
    2013年04月01日 - 2016年03月31日
    石森 浩一郎; 内田 毅; 齋尾 智英
    呼吸鎖電子伝達系末端のシトクロムc酸化酵素(CcO)を、生体膜モデルであるナノディスクに埋め込み、界面活性剤可溶化系よりも生体内に近い環境下でのCcOの機能を検討するとともに、ドッキングシミュレーションにより、これまで実験的には検討できなかったCcO上のシトクロムc(Cyt c)相互作用部位についても、その構造化学的知見を得ることに成功した。さらに、電子伝達機構を制御するうえで重要な蛋白質の構造揺らぎについて検討を行い、Cyt cは構造揺らぎが抑制された部分でCcOと相互作用することが示された。以上の結果から、Cyt cからCcOへの電子伝達反応を制御する動的な構造要因について検討を行った。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 25288072
  • サブユニット特異的部分同位体ラベル化による巨大膜蛋白質の構造解析
    科学研究費助成事業
    2013年04月01日 - 2015年03月31日
    石森 浩一郎; 内田 毅
    細胞内のエネルギー生産器官であるミトコンドリアにおける電子伝達機構を解明するため,その電子伝達系の中枢を担うシトクロム酸化酵素について,NMRによる解析を可能なように安定同位体ラベルし,さらにこの酵素をナノディスク化することにより,生体内に近い膜結合状態での詳細な構造解析を実現することを試みた。バクテリア由来のシトクロム酸化酵素のナノディスク化再構成の結果から,巨大分子量膜結合蛋白質であっても安定同位体ラベルとナノディスク化で詳細な構造解析が可能であることを示した。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 25650016
  • 病原性細菌の鉄取り込みに関与するタンパク質の構造・機能に関する研究と創薬への応用
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2012年 - 2014年
    内田 毅
    本研究は病原性細菌の一つであるコレラ菌が自身の増殖に必要とする鉄原子を獲得する機構を蛋白質レベルで明らかにすることを目的とした研究である。コレラ菌のゲノム配列を遺伝子解析し、HutZと呼ばれる蛋白質がヘムの分解酵素である可能性を見出したので、大腸菌での発現系を構築し、精製蛋白質の反応解析を行った。これまでの研究からヘム分解酵素はヒト型、黄色ブドウ球菌型、ピロリ菌型の三種類に分けられ、それぞれ立体構造が異なることが知られる。HutZはピロリ菌型の酵素であるが、ヒト型の酵素がヘムを分解する時に観測される中間体と同じ中間体を経由してヘムを分解することが示され、立体構造に相同性はないが、ヒト型酵素と同じ反応機構でヘムを分解することを明らかにした。しかし、中性付近での反応性が著しく低いという特徴があった。活性部位近傍の構造を分光学的手法を用い検討した結果、ヘムと結合するヒスチジンが周囲のアミノ酸残基と水素結合を形成し、それによりヒスチジンが分極し、酸化型のヘムを安定化させるためであり、逆にこの水素結合の強度を弱めると還元反応が進むことがわかった。ヒト型のヘム分解酵素の場合、電子の供給が還元酵素か還元剤かに関わらず反応が進むのに対し、HutZでは還元剤からは電子を受け取れない構造をしているため、還元酵素の存在が反応に必須であると考えられる。これは、人の体内では恒常的にヘムを分解しているのに対し、コレラ菌では、水辺など増殖に適していない環境に存在する場合、酵素活性を抑制し、エネルギーを無駄に消費しない状態で存在しており、一旦、ヒトの体内に侵入し、栄養が豊富で、増殖が可能な状況にると酵素を活性化させ、急激に増殖する、というように生存している環境に応じ、酵素活性を制御する必要があり、菌の生存に合致するような反応機構を有するという新たな概念を提案することができた。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 24550182
  • セグメントラベルと先端的NMR手法を駆使した高分子量蛋白質複合体の相互作用解析
    科学研究費助成事業
    2011年 - 2012年
    石森 浩一郎; 内田 毅
    生体内で重要な機能を果たしている高分子量蛋白質複合体の新たな構造解析手法として,セグメント安定同位体化ラベル法と先端的NMR手法としての転移交差飽和(TCS)法や残余双極子結合(RDC)法の応用を検討した.呼吸鎖末端の電子伝達反応であるシトクロムc(Cytc)とシトクロムc酸化酵素(CcO)の相互作用部位についてTCS法を応用し,CcOと直接相互作用しているCytcのアミノ酸残基を決定することに成功した.
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 23657070
  • ヘムをシグナル伝達分子として機能する蛋白質制御系の構造化学的基盤
    科学研究費助成事業
    2009年 - 2011年
    石森 浩一郎; 内田 毅
    本研究では,ヘムを制御因子として機能するIrr(Iron Response Regulator)とIRP(Iron Regulatory Protein)におけるヘム結合様式と,その結合したヘムによる機能発現機構について検討を行った.Irrにおいては,ヘム結合部位を分光学的に同定するとともに,そのヘムに蛋白質の酸化修飾機構を明らかにした.IRPについても,新たにヘム結合部位を同定し,その機能的意義についても明らかにすることができた.これらの結果は,細胞内におけるヘムの新たな機能を示唆している.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 21370040
  • 転写制御因子NPAS2が酸化還元または一酸化炭素を利用し転写制御を行う機構の解明
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2008年 - 2010年
    内田 毅
    本研究は酸化還元及び一酸化炭素依存的に遺伝子の転写を制御するNPAS2/BMAL1の遺伝子制御機構を明らかにすることである。転写制御に関係する構造変化をラマン分光法を用いて観測した結果、NPAS2/BMAL1では、多くのヘムタンパク質と異なり、疎水場に埋め込まれたヘムの側鎖周辺の弱い相互作用を通じて、情報伝達し、DNA結合能を制御するという、特異なシグナル伝達機構があることが明らかとなった。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 20570121
  • 電子伝達蛋白質複合体の構造化学的解明とその会合・解離の分子機構
    科学研究費助成事業
    2008年 - 2009年
    石森 浩一郎; 内田 毅
    本年度に得られた研究成果の概要は以下のとおりである.
    1.シトクロム酸化酵素(CcO)の結合により誘起されるシトクロムc(Cytc)における構造変化の解明Cyt cまその電子受容体であるCcOと結合し,CcO-Cytc電子伝達複合体を形成する際には,その立体構造が変化することで電子伝達反応を制御していると考えられる.一般にはこのような高分子量の膜蛋白質であるCcOを含む蛋白質複合体の構造解析は困難であるが,^<15>NラベルしたCyt cを用いて3D-^1H-^<15>N NOESYHSQC(^<15>N-edited NOESY)を用いることで,CcO結合によるCytcの構造変化を検出することに成功した.特に,本研究者等のこれまでの研究から推定されたCyt cのCcOに対する相互作用部位周辺がCcOの結合に伴い有意な構造変化が観測され,Cyt cはCcOと電子伝達複合体を形成する際にはその相互作用部位付近に特異的な構造変化を起こすことが示唆された.今後さらに定量的な構造解析を進めることにより,構造変化による電子伝達の制御機構が明らかになると期待できる.
    2.ドッキングシミュレーションによるCcO側の会合部位の同定 東京大学の北尾准教授の研究グループと共同で,CcO-Cytc電子伝達複合体形成の際のCcO側の相互作用部位について検討を行った.剛体モデルを用いたドッキングシミュレーションの結果,Cyt c側の相互作用部位は本研究者らがNMRを用いて実験的に明らかにした部位と一致し,一方,CcO側も予想通り,負電荷と疎水性のアミノ酸残基による相互作用部位の形成が認められた.さらにここで得られた結果についてMDを適用することにより,さらに詳細にCcO)側の相互作用部位を明らかにすることで,CcO側からもCcO-Cytc間の電子伝達機構を解明できると期待できる.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 20051002
  • 高圧分光法を用いた蛋白質における構造的揺らぎの解析
    科学研究費助成事業
    2007年 - 2007年
    石森 浩一郎; 内田 毅; 竹内 浩
    蛋白質構造の構造的揺らぎを定量的に解明するため,人工的な分子内電子伝達蛋白質を設計し,その電子伝達速度の圧力依存性から算出した蛋白質構造における特定の2点問の線圧縮率と,多核多次元NMR法によるdistance geometryや緩和測定から得られる構造的揺らぎの結果を比較した.人工的な分子内電子伝達蛋白質であるルテニウム置換亜鉛ミオグロビン(48,81,83位にそれぞれRu錯体を修飾)の光励起によるZnからRu,あるいはその逆の電子移動過程の反応速度を,常圧から2000気圧程度までの圧力で追跡し,その圧力依存性から,その亜鉛ポルフィリンの亜鉛イオンと蛋白質表面に特異的に修飾したRu錯体間の距離は,Ru錯体の修飾位置(48,81,83位)によって,加圧により0.1から2Å程度,距離が短縮される場合(48位と伸張される場合(81,83位)が観測された.このような異方的な蛋白質構造の短縮・伸張は,緩和測定の結果から得られた局所的な運動性や,distance geometryとは相関がみられず,従来想定されていたように,アミノ酸残基の局部的な運動性や主鎖構造のずれが大きい部位で,必ずしも蛋白質構造の大きな揺らぎが起こっているのではないということを示すことができた.さらに,酸素結合蛋白質であるミオグロビンに比べ,外部からの配位子の結合がなく,そのヘム鉄が6配位構造であるシトクロムcについてもNMRによる緩和時間測定を行ない,主鎖構造の運動性について検討した.その結果,主鎖末端領域やループ領域にやや運動性の高い領域が観測されたものの,全体的にミオグロビンに比べ運動性が制限されている領域が多く,シトクロムcは,ミオグロビンに比べ,蛋白質構造上の揺らぎが小さいことを示唆している.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 19029002
  • ヘム依存性転写制御複合体の構造と機能
    科学研究費助成事業
    2006年 - 2007年
    石森 浩一郎; 内田 毅
    ヘム依存性転写因子Irrにおける酸化修飾機構の詳細を検討するため,典型的なペプチド鎖の酸化修飾様式であるカルボニル化を認識する「Oxyblot」法を用いて検討したところ,過酸化水素のスカベンジャー試薬であるカタラーゼを添加した際に酸化修飾が大きく阻害されることを見出した.一方,OHラジカルやO_2-のスカベンジャー試薬の添加ではその阻害効果が見られなかったことから,Irrはヘムと分子状酸素の存在下で過酸化水素を産生し,この過酸化水素によってペプチド鎖の酸化修飾反応が引き起こされることが示された.さらに,以上のような過酸化水素の産生部位を同定するために,ヘムの軸配位子と想定されるCysやHisをそれぞれAlaに置換し,その酸化修飾反応を追跡したところ,His残基が連続しているHis117,His118,His119の置換により酸化修飾反応が大きく阻害されることが示された.しかし,この変異体において産生する過酸化水素の定量を行ったところ,野生型同様の産生能を示し,過酸化水素は酸化修飾には必須であるものの,ペプチド鎖への酸化修飾反応の直接的な活性種ではないことが示唆された.づまり,Irrによって産生された過酸化水素は,再びHis117,His118,His119付近の酸化活性化部位によって,さらに活性な酸化活性種に変換されることを示唆している.以上の結果からIrrにおける酸化修飾反応は,分子状酸素から過酸化水素を経た二段階の活性化反応で進行し,そこで生成した酸化活性種が蛋白質分解の端緒となることが考えられる.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 18054002
  • 圧力を用いた分子体積プロファイル解析による蛋白質立体構造形成過程での水分子の寄与
    科学研究費助成事業
    2006年 - 2007年
    石森 浩一郎; 内田 毅
    本年度の研究実績の概要は以下のとおりである。
    1.疎水性アミノ酸残基からの脱水和の分子体積に対する寄与: 疎水性部位からの脱水和による部分分子体積減少の実験的確証を得るため、Cyt cの蛋白質表面に位置する親水性のAsp93を疎水性のLeuに置換し、この変異による立体構造形成に伴う体積変化を追跡した。その結果、この変異により、その立体構造形成による体積の減少量は、約5mLmol^<-1>程度増加した。
    2.高圧下時分割蛍光観測システムの構築疎水性アミノ酸残基からの脱水和の分子体積に対する寄与: 蛋白質の立体構造形成機構を考える上で重要な遷移状態における水分子の挙動を解明するためには、活性化体積ΔV^≠を見積もる必要がある。従来、Cyt cでは、このΔV^≠を見積もるため、種々の圧力下におけるヘムの紫外可視吸収を利用してきたが、この手法では蛋白質部分の構造変化が直接には反映されない。そこで、立体構造形成により、ヘムに近接することでその蛍光強度が減少するTrpの蛍光に注目し、蛋白質部分の変化を直接観察することを試みた。高圧下での立体構造形成反応の追跡については、還元型CytcのCO結合体が非結合体に比べその安定性が低く、レーザー光照射によるヘム鉄からCO分子の解離より、立体構造形成反応が開始可能であることを利用した。その結果、高濃度の塩酸グアニジン存在下のCO結合還元型Cyt cや、COが結合しない酸化型Cyt cでは光照射により、有意な蛍光変化は観測されないが、3.6M塩酸グアニジン存在下のCO結合還元型型Cyt cでは光照射に伴い、蛍光強度の低下が観測された。これはCOの解離によって立体構造形成反応が進行したと考えられ、本装置を用いて種々の圧力下における蛋白質立体構造形成反応をその蛍光変化により、追跡できることが示された。現状では観測される蛍光の強度が弱いが、集光レンズの装着などにより、その強度を上げることで、再現性の良い定量的な測定が期待できる。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 18031001
  • シトクロムcの翻訳後修飾を行うタンパク質システムの作用機構の解明
    科学研究費補助金(若手研究(B))
    2006年 - 2007年
    内田 毅
    本研究は、シトクロムcという原核生物から真核生物までほぼすべての生物が有するタンパク質の成熟化を行うタンパク質群であるCcm(Cytochrome c maturation)の作用機構を明らかにすることを目的としている。シトクロムcはミトコンドリアの呼吸鎖における電子伝達タンパク質と機能する他、細胞死であるアポトーシスの引き金となるタンパク質であることから、生成及びその品質管理を理解することは重要であると共に、CcmはC型ヘムを有するタンパク質を大腸菌や無細胞系で発現させる時には必須である、その効率の点で未解明な部分が多く、Ccmの理解はタンパク質工学的にも重要な課題の一つである。本研究の共同研究者であるOxford大学のFerguson教授らの研究により、8個存在するCcmタンパク質の中でもCcmEがヘムをシトクロムcに引き渡し、チオエーテル結合の形成という翻訳後修飾を行うことが生化学的に報告されていた。我々はこの機構を詳細に検討することを試みた。Ferguson教授らは細菌(Hydrogenobacter thermophilus)由来のシトクロムcを用いていたが、今回、ホ乳類であるウマ、及び酵母であるSaccharomyces cerevisiae由来のシトクロムcを用い、翻訳後修飾過程を検討したが、翻訳後修飾は形成されなかった。これは、CcmEによるシトクロムcの選択性を表している。CcmEとこれらのシトクロムcの相互作用を表面プラズモン共鳴装置により解析したが、全く相互作用しなかった。以上のことから、CcmEはシトクロムcのある特定の部位を認識し、ヘムの受け渡しを行っていることがわかった。今後はH. thermophilus由来のシトクロムcの認識部位を明らかにすることを試みる。それにより、CcmEを利用したより広汎なC型ヘムをもつタンパク質の翻訳後修飾につながり、外来タンパク質の発現における有用な情報が得られると期待される。
    文部科学省, 若手研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18770102
  • 蛋白質動的高次構造検出法の開発及びそれを用いた蛋白質構造・機能相関の解明
    科学研究費助成事業
    2002年 - 2006年
    北川 禎三; 水谷 泰久; 内田 毅
    本研究で用いた主たる方法論は時間分解共鳴ラマン分光法と顕微赤外分光法である。サブテーマとして掲げているのは、1)ピコ秒時間分解可視共鳴ラマン分光法による発色団の速い構造変化の検出、2)サブナノ秒時間分解紫外共鳴ラマン分光法による蛋白質高次構造変化の検出、3)レーザー温度ジャンプ法による蛋白質フォールディング/アンフォールディング、4)機能を軸とした新規分光法の開発、5)DNAフォトリアーゼによるDNA光修復過程の解明、6)蛋白質会合による高次構造変化とそのトリガーの顕微赤外分光法による検出、7)センサーヘム蛋白質の環境検知、情報伝達、及び機能発現機構の解明、8)ヘム酵素による酸素活性化及びプロトン能動輸送機構の解明である。2)、3)、5)-8)は岡崎で、1)、4)は神戸大学で実験したが、1つの蛋白分子の動的構造と機能の相関を調べる場合には、ピコ秒領域の速い構造変化とナノ秒からミリ秒にかけて起こる遅い構造変化を合わせて考える必要があるので、1)、2)及び7)については同じ蛋白試料を岡崎と神戸の両方で測定する協力体制で研究を進めた。4)では振動スペクルのバンド形の時間変化を通じて蛋白質の構造揺らぎを検出する新しい視点に立つもので、ピコ秒の時間分解共鳴ラマンスペクトルを高いシグナル/ノイズ比で観測し、広幅化したバンドのどの部分が先に反応して消えていくかを見る"反応ホールバーニング"の手法を編み出し、ミオグロビンのFe-His伸縮振動に適用した。また6)では、β_2ミクログロブリンのアミロイド化をフーリエ変換顕微赤外分光法で調べ、アミロイドフィブリルコアーの構造を議論した。特に#21-31ペプチドによるアミロイド化に関しては、^<13>C同位体ラベルアミノ酸でフィブリルを形成し、その残基がどの2次構造をとるかについて詳しい解析をした。研究は順調に進行した。神戸大学のグループ(現在は大阪大学へ異動)では、2)の期待以上にピコ秒時間分解紫外共鳴ラマン分光法による蛋白質高次構造変化の検出に成功した。
    日本学術振興会, 特別推進研究, 14001004
  • 時間分解紫外共鳴ラマン法によるセンサー蛋白の情報感知・伝達及び機能発現機構の解明
    科学研究費助成事業
    2002年 - 2002年
    北川 禎三; 内田 毅
    本研究の実施前に辞退する事になったため本格的な実施ではないが、特別推進研究においても関連課題を実施しているので成果の一部をここに記す。
    バシラスという細菌の酵素分子センサーであるHemATという蛋白の共鳴ラマンスペクトルを測定し、酸素分子の特異的認識メカニズムを構造化学的に調べた。すなわち、HemATの鉄-酸素伸縮振動を同位体置換法で帰属し、この振動数が非常に低い事から、鉄に結合した酸素がまわりの蛋白と強く水素結合していると結論した。シグナル伝達部の長さを変えると、強く水素結合した酸素とそうでない酸素の存在比が変化したので、その水素結合が情報伝達に寄与していると考えられた。
    日本学術振興会, 基盤研究(S), 岡崎国立共同研究機構, 14103003