坪田 一男, 今村 裕, 藤島 浩, 根岸 一乃, 井上 真, 榛村 重人, 石田 晋, 村戸 ドール, 小沢 洋子, 木村 至, 出田 真二, 結城 賢弥, 橋爪 公平, 永井 紀博, 里深 信吾, 平沢 学, 小川 由佳子, 栗原 俊英, 厚東 隆志, 深川 和己, 樋口 明弘, 海道 美奈子, 石田 玲子, 篠田 啓, 加藤 直子, 小川 葉子, 佐伯 めぐみ, 斎藤 一郎, 美島 健二, 井上 裕子, 後藤 英樹, 野田 節子, 水島 裕, 白澤 卓二, 清水 孝彦, 山口 美峰子, 内山 智, 吉田 悟, 比嘉 一成, 川北 哲也, 佐竹 良之, 田 聖花, 富田 真智子, 島崎 潤, 戸田 郁子, 堀 好子, 酒井 誓子, 河上 裕, 竹内 勤, 中村 滋, 渋谷 倫子, 中嶋 英雄, 久村 隆二, 増田 望, 佐々木 恭平
日本眼科学会雑誌 111 3 193 - 206 (公財)日本眼科学会 2007年03月
フリーラジカルに起因する酸化ストレスは癌,炎症,神経疾患など多くの慢性疾患の発症に深く関与している.また,加齢黄斑変性,白内障などのいくつかの眼疾患においても加齢や日光の過剰曝露による酸化ストレスが関与している.眼表面は,紫外線,大気中の酸素,瞬きによる酸素分圧変動の酸化ストレス発生原因に常にさらされている.ブランコモデルを使ったドライアイモデルを用いて,本モデルでは角膜上皮障害の発症とともに酸化ストレスの亢進が認められることを示した.瞬き減少型ドライアイにおける角膜上皮障害の発症に酸化ストレスが深く関与している可能性が示唆された.次にレーザー破壊による実験的脈絡膜新生血管モデルを用いて,アンジオテンシン受容体拮抗薬が,脈絡膜新生血管抑制効果があること,また網膜内での代表的なフリーラジカルスカベンジャーであるsuperoxide dismutase(SOD)の欠損マウスが,加齢黄斑変性の典型的な臨床所見を呈することを示した.現在,再生医療において幹細胞の維持が注目されているが,幹細胞の維持は,幹細胞自身の加齢(ステムセルエイジング)の制御に他ならないという最近の概念についても我々の見解を示した.(著者抄録)