UAu_2_Si_2_はThCr_2_Si_2_型体心正方晶をとり、過去の報告によれば19 K で強磁性秩序を起こす物質とされていたが、磁気構造等の微視的な情報は得られていなかった。講演者らは本物質の単結晶試料の作製に初めて成功し、この物質の秩序の本質が反強磁性であることをマクロ物性測定およびNMR測定から明らかにしてきた。とくにNMRスペクトルからはq=(2/3,0,0)の秩序波数を予想しており、最近、これを直接確かめるため中性子回折実験を行った。実験の結果、確かにq=(2/3,0,0)で磁気反射が19 K 以下で発達する様子を観測し、本物質がUの1-2-2系化合物で唯一、零磁場で[100]方向の秩序波数を持つ物質であることを明らかにした。
UNi_4_BはT_N_ = 20.4 Kで渦状の磁気秩序を示す。T_N_での秩序はトロイダル秩序の候補として注目されている。これに関する検証を進める上では結晶、磁気構造の正確な把握が重要である。本研究では中性子散乱実験に先立ち、チェコのカレル大学において、これまでの報告と異なる方法で育成したUNi_4_B単結晶の育成方法を紹介する。また、この試料に対して行った電流化磁化測定の結果も報告する予定である。
希土類化合物SmBe13は3価のSmが持つ4f電子が8.3 Kで磁気秩序を起こす。磁化率の温度依存性から正のワイス温度が観測されている一方で、磁気秩序温度以下では磁化率の減少が見られており、反強磁性的磁気構造を持つと考えられる。HoSm13ではヘリカル構造を取ることが示唆されており、SmBe13も同様の磁気構造を持つ可能性が議論されている。そこで、微視的視点から磁気構造を明らかにするため9Be NMR測定を行ったのでその結果を報告する。
希土類化合物RBe13は約170K程度のアインシュタインフォノンを持つことが比熱測定などから明らかになっている。一方、磁性を持たないLaBe13やEuBe13、結晶場一重項基底状態をもつPrBe13では、低温で通常のデバイフォノン散乱では説明できない電気抵抗のT^3^温度依存性が共通して観測されている。講演ではアインシュタインフォンと異常な電気抵抗温度依存性の関係について報告する予定である。
UNi_4_Bは20 Kで磁気秩序を示し、その秩序は近年提唱されたトロイダル秩序の候補として注目されている。我々は超音波を用いてUNi_4_Bの弾性応答をT > 1.5 K, H < 17 Tの温度・磁場範囲で測定し、磁場−温度相図を得た。前回の講演に続き、今回は対称性の異なる横波超音波C_44_モードを用いた新たな実験結果を示し、結晶場解析の結果と磁気弾性結合について議論する。