宮下 和士 (ミヤシタ カズシ)

北方生物圏フィールド科学センター 水圏ステーション教授
技術支援統括本部教授
Last Updated :2025/11/06

■研究者基本情報

学位

  • 博士(農学), 東京大学

Researchmap個人ページ

研究キーワード

  • 生態系サービス
  • スマート水産業
  • 計量魚探
  • 行動生態
  • バイオテレメトリー
  • バイオロギング
  • 海洋生態系計測学
  • システム水産学
  • 海洋生物資源計測学
  • 音響生態学
  • 海洋計量生態学
  • 海洋生態系変動解析学
  • 水産音響
  • Marine Acoustical Ecology
  • Marine Quantitative Ecology
  • Marine Echosystem Change Analysis

研究分野

  • ライフサイエンス, 水圏生産科学
  • 環境・農学, 環境動態解析

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2022年04月 - 現在
    北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, センター長・教授
  • 2011年07月 - 現在
    北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授
  • 2007年04月 - 2011年06月
    北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授
  • 2002年04月 - 2007年03月
    北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授
  • 1998年03月 - 2002年03月
    北海道大学, 水産学部, 助教授
  • 1997年04月 - 1998年03月
    海洋水産資源開発センター, 職員(技術系)
  • 1996年05月 - 1997年03月
    東京大学, 海洋研究所, 日本学術振興会特別研究員
  • 1996年04月 - 1996年04月
    東京大学, 海洋研究所, 農学特定研究員

学歴

  • 1993年04月 - 1996年03月, 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 水圏生物学専攻(博士課程)
  • 1991年04月 - 1993年03月, 北海道大学, 大学院水産学研究科, 漁業学専攻 (修士課程)
  • 1987年04月 - 1991年03月, 北海道大学, 水産学部, 漁業学科

委員歴

  • 2022年03月 - 現在
    音響水産資源調査研究会, 会長, その他
  • 2019年05月 - 現在
    水産業の明日を拓く スマート水産業研究会 会長, 政府
  • 2016年04月 - 現在
    北海道総合ICT水産業フォーラム, 会長, 学協会
  • 2014年04月 - 現在
    日本バイオロギング研究会, 幹事, 学協会
  • 2013年04月 - 現在
    水産海洋学会, 評議員(幹事), 学協会
  • 2007年 - 現在
    Asian Society of Fisheries Acoustics(アジア水産音響学会), 音響調査WG 座長, 学協会
  • 2007年 - 現在
    Asian Society of Fisheries Acoustics(アジア水産音響学会), 理事, 学協会
  • 2016年04月 - 2022年03月
    サケ学研究会, 幹事, 学協会
  • 2018年04月 - 2020年03月
    サケ学研究会, 会長, 学協会
  • 2017年 - 2020年
    北太平洋科学機構(PICES), 国際サケ年(IYS)日本代表委員, 学協会
  • 2013年04月 - 2017年03月
    北太平洋科学機構(PICES), 水産科学委員会委員(FIS), 学協会
  • 2011年04月 - 2017年03月
    日本水産学会, 学会誌編集委員, 学協会
  • 2003年04月 - 2008年03月
    北太平洋科学機構(PICES), MIE助言委員会委員, 学協会

学内役職歴

  • 教育研究評議会評議員, 2022年4月1日 - 2024年3月31日
  • 北方生物圏フィールド科学センター長, 2022年4月1日 - 2024年3月31日
  • 北方生物圏フィールド科学センター長, 2024年4月1日 - 2026年3月31日

■研究活動情報

受賞

  • 2019年03月, 日本水産学会, 水産学進歩賞               
    宮下 和士
  • 2015年, 北海道大学, 総長賞(奨励賞)               
    宮下 和士
  • 2011年, 日本弁理士会会長奨励賞               
    日本国
  • 2009年, 平成21年度(第16回)河川整備基金助成事業優秀成果               
    日本国
  • 2009年, 平成21年度海洋音響学会論文賞               
    日本国
  • 2008年, 平成20年度(第15回)河川整備基金助成事業優秀成果               
    日本国
  • 2006年, 情報処理学会北海道支部技術研究賞               
    日本国

論文

その他活動・業績

書籍等出版物

  • Fish Population Dynamics, Monitoring, and Management               
    宮下 和士, Acoustic survey
    Springer, 2018年, [共著]
  • スマート農業               
    宮下和士, 音響計測などの多次元計測とその応用による水産業のスマート化
    農林統計出版, 2014年, [分担執筆]
  • 水辺と人の環境学(上)               
    宮下和士, ブラウントラウト・ニジマス.
    朝倉書店, 2013年, [分担執筆]
  • フィールド科学への招待               
    宮下和士, 海洋生物資源を可視化する
    三共出版, 2006年, [分担執筆]

所属学協会

  • 1993年 - 現在
    音響水産資源調査研究会               
  • 北海道総合ICT水産業フォーラム               
  • サケ学研究会               
  • バイオロギング研究会               
  • Asian Society of Fisheries Acoustics(アジア水産音響学会)               
  • 北太平洋科学機構(PICES)               
  • 日本海洋学会               
  • 水産海洋学会               
  • 日本水産学会               
  • 海洋音響学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 生徒のキャリア教育と漁業担い手確保に向けた調査を両立させる研究開発
    科学研究費助成事業
    2025年04月01日 - 2028年03月31日
    福田 覚, 山下 俊介, 宮下 和士
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 25K06214
  • 音響手法を用いたダム湖の水質悪化要因となるアオコの分布推定手法の開発
    科学研究費助成事業
    2020年04月01日 - 2023年03月31日
    南 憲吏, 宮下 和士
    藍藻類が異常繁殖した状態であるアオコは、ダム湖の水質悪化の原因となる。本研究は、アオコの分布を空間的かつ定量的に評価することを目指した、音響計測手法を用いたアオコの分布推定手法の開発を目的とする。本年度は、2020年度に取得した音響反射強度および藍藻類の細胞数に関する情報の解析を進めた。これにより、藍藻類の細胞数と音響反射強度の間に関係性が示され、藍藻類以外の植物プランクトンや動物プランクトンと音響反射強度の間には関係性がみられないことが明らかとなった。このことから、音響反射強度を定量的に計測可能な計量魚群探知機によるアオコの分布推定が有効であることが示された。また、本年度も昨年度に引き続き、アオコの音響反射強度および細胞数に関する調査の実施を予定していた。調査は、福島県田村郡三春町の三春ダムにおいてアオコが一年のうちで最も多くなる夏季(8月)に実施する計画で進めた。本計画では、中程度のアオコが発生している地点において周波数38kHzおよび120kHzの計量魚群探知機を用いた音響計測、バンドン式採水器(植物プランクトン用サンプル採集)とシンドラープランクトントラップ(動物プランクトン用サンプル採集)によるサンプリングをおこない、2020年度と同様に藍藻類の細胞数と音響反射強度に関係性があるかについて明らかにする予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大時期と重なり、調査の中止を余儀なくされ、2022年度の調査に持ち越すこととなった。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 島根大学, 20K06207
  • RFID技術を活用した河川生態系における小型魚の行動モニタリングシステムの構築
    科学研究費助成事業
    2014年04月01日 - 2017年03月31日
    宮下 和士, 藤原 孝洋, 本多 健太郎
    電磁誘導方式のパッシブタイプと,電波を用いたアクティブタイプのモニタリングシステムを構築した.パッシブRFIDは,作動距離が10cm程度と短いために制約が多いが,アクティブRFIDは水中での電波が減衰するも,実験から淡水であれば深度60cm程度までは利用できる.この電波をデコードする装置を開発し,アクティブRFIDを実用するための知見を得た.また,条件の異なるモニタリングの場合,システムを拡張するアーキテクチャとして,ミドルウェアによるデバイスの統合を実装した.さらに,広域モニタリングと多数の対象物を想定したデータ収集に関して,モニタリングのための圧縮センシングの検証を行った.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 26292103
  • 海洋生態系の動態解析に関する研究               
    2002年 - 2017年
    競争的資金
  • 海洋生物資源の空間的可視化技術の高度化に関する研究               
    1998年 - 2017年
    競争的資金
  • 海洋生物資源の持続的利用に関する研究               
    1998年 - 2017年
    競争的資金
  • 海洋生物の行動計測に関する研究               
    1997年 - 2017年
    競争的資金
  • 大型底生性タコ類ミズダコの移動要因の解明に関する研究
    科学研究費助成事業
    2013年04月01日 - 2016年03月31日
    佐野 稔, 板谷 和彦, 内田 康人, 輿水 健一, 宮下 和士, 坂東 忠男
    ミズダコが季節的に浅所と深所を行き来する要因を初めて明らかにした。本研究では、宗谷海峡において水温を連続的に記録する標識を用いた標識放流調査、水温別の飼育によるミズダコの成長の観察、漁獲されたミズダコの胃内容物観察、ソナーやカメラを用いた固着生物の調査を行った。その結果、ミズダコは夏季に水温が15℃以上になると移動し始め、生理的な限界の水温21℃以上の海域を避けて深所へ移動する。そして、秋季に浅所の水温が19℃未満に下がると、餌条件の良い浅所へ餌を食べに移動して、春季まで留まることが明らかになった。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 25450288
  • 藻場バイオマスモニタリングのための音響計測手法の開発
    科学研究費助成事業
    2011年04月01日 - 2014年03月31日
    宮下 和士, 藤森 康澄, 木村 暢夫
    藻場には構成種の違いにより、アマモ場、ガラモ場、クロメ場といった数種の藻場がある。本研究では藻場に関する音響反射強度(SA)と波形の特徴(ウェーブレット係数)を調べることにより、音響学的手法を用いた藻場の種類判別方法について検討を行った。その結果、藻場の種類判別は、第一段階でSA値(ガラモ場-33.3~-57.0 dB 、アマモ場-39.2~-66.1 dB、クロメ場-59.8~-74.3 dB)による判別、第二段階でウェーブレット係数(Lv4)による判別(アマモ場12000~39000、クロメ場3000~12000)を行うことで可能であると考えられた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23380108
  • 高次捕食者をモデルとした北方海洋生態系多次元モニタリングネットワークの構築
    科学研究費助成事業
    2010年 - 2012年
    宮下 和士, 三谷 曜子, 綿貫 豊, 米崎 史郎, 服部 薫
    北方海洋生態系を広く回遊し,摂餌を行っている海鳥や海棲哺乳類などの高次捕食者をモデルとして,様々な計測機器や分析によりモニタリングを行った.各種において回遊や摂餌生態は個体・地域によって様々であり,このような違いが繁殖成功や生残を左右する可能性が考えられた.また,高次捕食者の生態を通じて,海洋生態系の変動を捉えることができた.今後もモニタングを続けていくことで,我々の目には見えにくい海の中での生態系変動を把握することができるようになるだろう.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 22405007
  • 変動環境下における沿岸生物群集の保全に向けたメタ群集アプローチの確立
    科学研究費助成事業
    2009年 - 2012年
    仲岡 雅裕, 田中 法生, 堀 正和, 四ッ倉 典滋, 宮下 和士, 磯田 豊, 野田 隆史, 灘岡 和夫, 山本 智子, 浜口 昌巳
    本研究は、日本の温帯と冷温帯の沿岸生物群集を対象に、生産者と消費者の広域分散過程、および温度変化に伴う生産者と消費者の相互作用の変異を調べることにより、地球規模での環境変動に伴う沿岸生物群集の変化を理解し、沿岸資源生物および沿岸生態系の保全・管理に資することを目的とする。広域野外調査、リモートセンシング・GISを用いた長期変動解析、メタ群集決定構造の数理的解析、集団遺伝解析、野外操作実験を組み合わせたアプローチにより、沿岸生物群集の構成には、水温等の広域スケールの変動要因と、競争・捕食等の局所スケールの変動要因が複雑に関与していることが判明した。今後の気候変動に伴い、沿岸生物群集の動態は、植物-動物間相互作用の変化を通じて不安定化する可能性が高いことが予測された。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 21241055
  • 知床世界自然遺産エリアの保全と順応的管理:海域-陸域生態系の相互作用
    科学研究費助成事業
    2006年 - 2009年
    齊藤 誠一, 帰山 雅秀, 桜井 泰憲, 松田 裕之, 綿貫 豊, 宮下 和士, 河野 時廣, 工藤 秀明, 平譯 享, 塩本 明弘, 山本 潤
    知床世界自然遺産海域の海洋環境と海洋生物のモニタリング手法の開発とフィールド調査を実施した。その結果、知床半島の南北沿岸における基礎生産システムの違いが明らかになった。さらに、知床世界遺産地域に遡上するサケ属魚類の遡上産卵動態とヒグマの行動パターンとの関係を明らかにするとともに,カラフトマスによる海起源物質の陸域生態系への輸送の動態とメカニズムを明らかにした。順応的管理をベースとした資源管理技術による生態系管理方法を検討した結果、知床の沿岸漁業については、漁獲量と漁獲高を用いて、魚種別評価を行う方法を提案できた。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 18201006
  • 多次元定量計測技術を用いた絶滅危惧種イトウの行動生態の解明
    科学研究費助成事業
    2006年 - 2007年
    宮下 和士, 帰山 雅秀, 田中 秀二
    本研究では,イトウの生息範囲を正確にとらえ,そのデータを活用した生態学的なアプローチにより,本種の行動メカニズムを明らかにし,将来的な保護や周辺環境の保全に寄与する情報を得ることを目的とし,バイオテレメトリー手法を用いてイトウの正確な位置・時間とその移動の情報を収集・蓄積した。
    調査は,厚岸郡厚岸町の別寒辺牛川水系において,2006年4月下旬から同年12月上旬,2007年4月下旬から同年11月下旬の期間に行った。イトウは2006年に2個体、2007年に5個体捕獲し,超音波発信器を装着した。超音波受信機を河川内の定点(間隔約2km〜5km)に設置し,並行してカヌーの舷側に取り付け,GPSで位置情報を取得しながら河川内を移動した。
    受信機データから放流した全個体の受信が確認でき,受信回数は2006年に130回,2007年に37,683回であった。産卵後の降下行動の平均時間は44.1±29.1時間(Mean±S.D.),平均距離は33.4±12.5km,平均速度は0.46±0.21BL/sであった。
    受信機の結果から季節別の分布は,春季(5,6月);中流域から河口域,夏季(7,8月);中上流域から中流域,秋季(9,10,11月);下流域から河口域,であった。また,下流域の水温が急激に上昇した際た,中流域まで遡上した個体も見られ,その移動距離は最大約13kmに及んだ。さらに,季節間だけではなく昼,夜間においても行動の傾向が異なっており,春季では夜間の1時間あたりの受信数が昼間の受信数の約2倍あり,夏季では日出,日入時刻の受信数が多かった。
    以上より,産卵直後の降下行動においては,イトウは好条件の生息場所の確保を目的に降下していると推察された。季節移動には,水温と餌環境が影響していることが推察される。また,比較的短期での行動は,昼夜,潮汐,降雨などの影響を受けていることも考えられた。
    日本学術振興会, 萌芽研究, 北海道大学, 18651110
  • 設置型モニタリングシステムを用いたミナミマグロ幼魚の回遊経路の解明
    科学研究費助成事業
    2004年 - 2006年
    宮下 和士, 綿貫 豊, 高尾 芳三, 河邊 玲, HOBDAY Alistair
    当該研究期間において、主に2項目について成果を挙げることが出来た。以下に成果の概要をそれぞれ記す。
    1. 海洋環境が分布特性に及ぼす影響
    ルーウィンカレントの勢力が強かった年(2004年度)は、温かい水(約19.5℃)が調査海域を満たした。この年、ミナミマグロ幼魚は海山周辺海域に集中して(全出現数の92%)分布した。一方、ルーウィンカレントの勢力が弱かった年(2005年度)は、他海域からの冷水の浸入が考えられ、陸棚上に暖水塊・冷水塊が多数存在した。また、本種幼魚は海山周辺に集中せず、水塊縁辺部に出現する傾向が見られた。以上の結果および過去の知見より、本種幼魚の分布は、海洋環境に左右されやすい餌生物(Sardinops sagaxやScomber australasicusなど)の分布に大きく影響されている可能性が示唆された。
    2. サイズ別分布特性
    全ての年において、大型個体ほど沿岸の受信機に出現する傾向が見られた。また、2歳魚と1歳魚が同海域に同時に分布しだ場合(2002、2003年度)は2歳魚が、2歳魚が分布しなかった年(2004、2005年度)では1歳魚の中でも大型の個体(尾叉長>50cm)がより沿岸域に出現した。特に2005年度では大型1歳魚が沿岸域の海山周辺海域に集中して分布した(大型1歳魚の全出現数の97%、小型50%)。以上の結果より、本種幼魚は、餌生物(Spratelloides robustusやEngraulis australisなど)が多く分布する沿岸域の海山周辺海域のニッチを巡り、サイズ依存の個体間競合を展開していると判断された。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 16255010
  • 自然環境下におけるスケトウダラの遊泳姿勢角度の高精度計測手法の開発
    科学研究費助成事業
    2004年 - 2005年
    宮下 和士, 綿貫 豊, 河邊 玲
    ターゲットストレングス(TS)は、計量魚群探知機やソナーでスケトウダラの資源量を見積もる際の最重要パラメータである。TSは、スケトウダラの遊泳姿勢角度により大きく変動するためその資源量推定を左右する。しかし、これまで技術的な困難さからスケトウダラの遊泳姿勢角度の計測はない。そこで本研究では、本種の現存量推定精度向上に資するために、加速度データロガーを用いて遊泳姿勢角度を直接計測した。実験は2005年3月16-27に実験水槽内でおこなった。スケトウダラ6個体(平均体長:45.3cm)の腹腔内にデータロガーを装着し約3日間にわたり遊泳姿勢を測定した。結果、遊泳中の個体ごとの平均遊泳姿勢は-6.2度から3.75度(-が長軸方向下向き、+が長軸方向上向き)であり、ほぼ水平を示した。最大遊泳姿勢角度は-75.4度から-66.9度であった。また、夜間に比べて昼間にやや上向き角(平均角度差:7.2度)であった。以上の結果より、閉鎖空間である水槽で得られたものであるが、本手法を用いた遊泳姿勢角計測の有効性が示された。今後、回収方法を考案し、フィールドでの実証実験を重ねることにより、本種の自然状態での遊泳姿勢角推定が可能となることが予想される。
    日本学術振興会, 萌芽研究, 北海道大学, 16658076
  • バイプレーンソナーによる海洋生物資源の可視化と定量化
    科学研究費助成事業
    2003年 - 2005年
    飯田 浩二, 芳村 康男, 向井 徹, 宮下 和士, KANG Don-Hyug, TANG Young, KANG Don?Hyug
    魚群探知機と比べて探査範囲が格段に広いスキャニングソナーを用いて,魚群の形状,体積,密度等の定量解析が可能な次世代型計量ソナーとその応用手法の開発を目的とし,以下の研究を行った。
    1.実船による魚群データの取得とデータ解析
    試作した計量ソナーをノルウェーのトロール・巻網漁船に装備し,ニシンやタラのソナーデータと漁獲データを比較した。また国内の巻網漁船に仮装備し,サバ,イカ,ブリのソナーデータと漁獲データを比較した。大型魚群が3千メートル手前から探知され,推定した魚群面積や体積と漁獲データに比例関係が認められた。
    2.魚の横方向ターゲットストレングス(TS)の測定
    ソナー周波数を含む7周波数の魚群探知機を用いてカタクチイワシ活魚の3次元TSを測定した。TSの姿勢変化に対する変動は高周波ほど大きく,ソナー周波数(24kHz)では小さかった。また,真横からのTSは背方向TSに近く,指向性パターンは8の字形を示した。
    3.魚の占有体積(TV)の推定
    魚群体積から魚群量を推定するためには1匹の魚のTVが必要となるが,自然状態でのTVの直接測定は困難である。そこで,計量魚群探知機で捉えた魚群の体積後方散乱強度(SV)を魚のTSで割って魚群密度を推定し,魚のTVを考察した。スケトウダラ稚魚のTVは体長の2.6乗に比例すること,昼夜間でTVが8倍変化することが示された。
    4.魚群の3次元表示の検討
    ノルウェーで得られた航走時の垂直ビームデータを用いて,魚群の3次元形状を再現することができた。また水平ビームデータを用いて,広域の3次元魚群形状を表示すると共に,魚群の移動を解析することができた。
    5.研究成果の発表
    国内外で開催された水産関連および音響関連の国際学会において,講演および論文発表した。平成18年度の日本水産学会では「計量ソナーの現状と展望」をテーマにしたシンポジウムを開催し,国内の研究者ほか,ノルウェー,オーストラリアからの招へいを実現した。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 15208017
  • 魚類マイクロネクトン資源量の音響推定に関する研究
    科学研究費助成事業
    2002年 - 2003年
    青木 一郎, 宮下 和士
    1.14魚種を対象に、軟X線法を用いて鰾内の気泡の有無、及び形状を観察した。これらの鰾形態には発育段階による変化が見られた。また、多くの魚種では、鰾が体長と比例して成長しないことが示され、さらにいくつかの魚種では、ある発育段階を境に鰾が退行していくことがわかった。
    2 密度比はアラハダカを除く5魚種では1.003〜1.020の範囲内にあり、特に、セッキハダカ属の2種では密度比が低く(1.004)、海水と非常に近い値を示した。音速比には顕著な温度特性が見られた。各魚種の生息水温を考慮すると、音速比はコヒレハダカで1.032〜1.039、オオクチイワシでは1.024〜1.036であり、一方、アラハダカの音速比は1.012〜1.024で、他の2魚種に比べて低い値となった。
    3.有鰾魚において鰾形状を気体反射モデルに適用した場合、全ての個体でPSMとDCMによる推定値には2〜5dB程度の差が生じていた。測定値はPSMの結果と比較的よく一致していた。一方、無鰾魚では、測定した体長範囲ではPSMとDCMのTSパターンはピーク値の付近で比較的よく一致した。
    4.ハダカイワシ類の鰾は非常に小さいため、38〜200kHzの範囲内では姿勢によるTSの変化は殆ど見られなかった。この周波数範囲内では、全ての個体で基準化TS(TScm)が-70dB以下を示し、かなり低いことがわかった。また、魚体と鰾が比例的に成長しないことから、有鰾のハダカイワシ類ではTSを体長の2乗で一般化できないことがわかった。
    5.2002年冬季、ベーリング海南部海域におけるコヒレハダカの音響調査の結果、調査海域における推定バイオマスは280万t、魚群密度は50〜100g/m^2と見積もられた。2000年冬季、道東海域におけるトドハダカの音響調査では、推定された平均魚群密度は約35g/m^2で、道東陸棚斜面におけるバイオマス約7.5万tと推定された。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 東京大学, 14560142
  • 計量魚探・定量採集具を用いたオキアミ類の分布構造の解明および資源量推定法の開発
    科学研究費助成事業
    2000年 - 2001年
    宮下 和士
    本申請研究の目的は、道東・三陸沿岸域において濃密に分布するオキアミ類に対し、その3次元分布構造の解明と資源量推定法の開発を行うことである。申請年度内において、以下の研究事項に従事し、結果を得た。
    海洋水産資源開発センターによるスケトウダラ・オキアミ資源調査(北海道太平洋沿岸域、2001年6月10〜7月30日、2002年1月6日〜2月4日)において、2周波(38kHz、120kHz)計量魚探による音響情報、CTD、X-CTDによる海洋環境情報、ボンゴネットによる生物採集情報を収集した。
    次に、調査で得られた音響情報および生物情報より、音響周波数特性を利用したオキアミ類のサイズ別判別を試みた。生物情報より本調査海域におけるオキアミ類の体長を等価球半径で標準化した結果、そのサイズは、小(0.027mm≦等価球半径≦0.075mm)、中(1.72mm≦等価球半径≦2.47mm)、大(3.47mm≦等価球半径≦3.76mm)3階級に分別された。得られたサイズ階級情報より、音響周波数特性を利用したオキアミサイズ判別を行った結果、それぞれのサイズ階級におけるオキアミの定量的な音響情報の抽出が可能となった。また、抽出したオキアミの音響情報と、水深情報、水温情報等をGIS技術を用いて重ね合わせることにも成功した。
    今後はこれらの結果をもとに、3次元表現、4次元表現の技術の高度化を目指すと同時に、スケトウダラ等のオキアミを餌としている生物の情報とのリンクを図る予定である。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 12760125
  • Quantitative Spatial Visualization of Aquatic Living Resources               
    1998年
    競争的資金
  • スマート水産業に関する研究