石森 浩一郎 (イシモリ コウイチロウ)

理学研究院 化学部門 物理化学分野教授
電子科学研究所 附属社会創造数学研究センター教授
工学研究院教授
総合イノベ-ション創発機構化学反応創成研究拠点教授
Last Updated :2026/03/05

■研究者基本情報

学位

  • 工学博士, 京都大学

Researchmap個人ページ

研究キーワード

  • 構造化学
  • 蛋白質工学
  • 分子分光学
  • 生物無機化学
  • 生物物理学
  • Molecular Spectroscopy
  • Protein Engineering
  • Bioinorganic Chemistry
  • Biophysics
  • Structural Chemistry

研究分野

  • ライフサイエンス, 生物物理学
  • ナノテク・材料, 基礎物理化学
  • ナノテク・材料, 生体化学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2006年 - 現在
    北海道大学大学院理学研究院, 教授
  • 2024年
    名古屋大学大学院理学研究科, 非常勤講師
  • 2011年04月 - 2021年03月
    大阪大学蛋白質研究所, Institute for Protein Research, 共同研究員
  • 2017年
    京都大学理学部, Faculty of Science, 非常勤講師
  • 2012年
    山口大学農学部, Faculty of Agriculture, 非常勤講師
  • 2009年 - 2011年
    大阪大学蛋白質研究所, 客員フェロー
  • 2011年
    奈良先端科学技術大学, 非常勤講師
  • 2010年
    鳥取大学工学部, Faculty of Engineering, 非常勤講師
  • 2008年 - 2009年
    奈良女子大学生活環境学部, Faculty of Human Life and Environment, 非常勤講師
  • 2005年 - 2007年
    京都大学大学院工学研究科, Graduate School of Engineering, 非常勤講師
  • 2005年 - 2006年
    兵庫県立大学大学院生命理学研究科, of Life Science, Graduate School, 非常勤講師
  • 2005年 - 2006年
    自然科学研究機構分子科学研究所, 客員教授
  • 2005年 - 2006年
    北海道大学大学院理学研究科, 教授
  • 2005年 - 2006年
    Visiting Professor,Institute of Molecular Sceince
  • 2005年 - 2006年
    Professor,Graduate School of Science, Hokkaido University
  • 2004年 - 2005年
    自然科学研究機構分子科学研究所, 客員助教授
  • 1995年 - 2005年
    京都大学大学院工学研究科, 助教授
  • 1989年 - 1995年
    京都大学工学部, 助手
  • 1993年 - 1994年
    米国ウィスコンシン大学マジソン校, 文部省在外研究員
  • 1987年 - 1989年
    日本学術振興会, 特別研究員

学歴

  • 1986年03月 - 1989年04月, 京都大学, 工学研究科, 分子工学専攻博士後期課程
  • 1984年04月 - 1986年03月, 京都大学, 工学研究科, 分子工学専攻修士課程, 日本国
  • 1980年04月 - 1984年03月, 京都大学, 工学部, 石油化学科, 日本国

委員歴

  • 2013年 - 現在
    Journal of Inorganic Biochemistry, Editorial Board, 学協会
  • 2012年 - 現在
    Biophysics and Physicobiology, Editorial Board, 学協会
  • 2009年 - 現在
    生体高分子学会, 編集委員, 学協会
  • 2005年 - 現在
    日本生化学会, 評議員, 学協会
  • 2011年 - 2013年
    日本学術振興会, 科学研究費審査委員, 政府
  • 2011年 - 2013年
    日本生物物理学会, 北海道支部長, 学協会
  • 2010年 - 2012年
    日本化学会, 北海道支部幹事, 学協会
  • 2009年 - 2011年
    学術振興会, 特別研究員審査委員, 政府
  • 2004年 - 2007年
    日本生物物理学会, 運営委員・副会長, 学協会

学内役職歴

  • 教育研究評議会評議員, 2014年4月1日 - 2015年3月31日
  • 教育研究評議会評議員, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
  • 教育研究評議会評議員, 2017年4月1日 - 2019年3月31日
  • 研究戦略室室員, 2013年4月1日 - 2014年3月31日
  • 研究戦略室室員, 2021年4月1日 - 2022年3月31日
  • 創成研究機構副機構長, 2013年10月1日 - 2014年3月31日
  • 大学院理学研究院長, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
  • 大学院理学研究院長, 2017年4月1日 - 2019年3月31日
  • 大学院理学研究院副研究院長, 2014年4月1日 - 2015年3月31日
  • 副学長, 2020年10月1日 - 2022年3月31日
  • 副学長, 2022年4月1日 - 2024年3月31日
  • 副学長, 2024年4月1日 - 2026年3月31日
  • 役員補佐, 2013年4月1日 - 2014年3月31日
  • 理学部長, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
  • 理学部長, 2017年4月1日 - 2019年3月31日

■研究活動情報

論文

その他活動・業績

書籍等出版物

講演・口頭発表等

  • Conserved loop of a phase modifier endows protein condensates with fluidity
    Honoka Kawamukai, Motonori Matsusaki, Takanari Tanimoto, Mai Watabe, Ken Morishima, Shunsuke Tomita, Yoichi Shinkai, Tatsuya Niwa, Taro Mannen, Hiroyuki Kumeta, Hitoki Nanaura, Kotona Kato, Takuya Mabuchi, Yuichiro Aiba, Takeru Uehara, Noriyoshi Isozumi, Yoshika Hara, Shingo Kanemura, Hiroyoshi Matsumura, Kazuma Sugie, Koichiro Ishimori, Takahiro Muraoka, Masaaki Sugiyama, Masaki Okumura, Eiichiro Mori, Takuya Yoshizawa, Tomohide Saio
    2024年07月04日, Cold Spring Harbor Laboratory
    2024年07月04日 - 2024年07月04日, Abstract

    Dipeptide repeats (DPRs) that are gene products from abnormal hexanucleotide repeat expansion inC9orf72trigger amyotrophic lateral sclerosis (ALS) through unknown mechanism. This study highlights, importin Karyopherinβ2 (Kapβ2), which is responsible for nuclear transport and phase modification of RNA-binding proteins (RBPs), as a major DPR target. We demonstrate DPR accumulation in the nucleus via Kapβ2-mediated transport, which results in dose-dependent toxicity observed in nematode and yeast models. In vitro interaction studies exploiting chemical probe arrays and biophysical measurements reveal multivalent DPR binding to Kapβ2, including at the conserved acidic loop. Refractive index and fluorescence imaging coupled with biochemical assays unveiled that binding of excess DPRs to the acidic loop turns a phase modifier Kapβ2 into phase disrupter, resulting more condensed and viscous RBP condensates. Our findings provides molecular insight intoC9orf72-ALS related to age and repeat expansion.
  • ストレスセンサーの会合を制御する多様な相互作用の分子機構(Molecular mechanisms of multiple interactions regulating stress sensor assembly)               
    Kawagoe Soichiro, Mabuchi Takuya, Kumeta Hiroyuki, Matsusaki Motonori, Kumashiro Munehiro, Ishimori Koichiro, Saio Tomohide
    生物物理, 2023年10月, (一社)日本生物物理学会, 英語
    2023年10月 - 2023年10月
  • Oxidative phase transition of heat shock factor-1
    Soichiro Kawagoe, Motonori Matsusaki, Koichiro Ishimori, Tomohide Saio
    2021年12月03日, Cold Spring Harbor Laboratory
    2021年12月03日 - 2021年12月03日, ABSTRACT

    Heat shock factor 1 (Hsf1) was found as a central upregulator of molecular chaperones in stress adaptation, but it has recently been rediscovered as a major component of persistent nuclear stress bodies (nSBs). When the persistently stressed cells undergo apoptosis, the phase transition of nSBs from fluid to gel-like states is proposed to be an important event in switching the cell fate from survival to death. Nonetheless, how the phase separation and transition of nSBs are driven remain unanswered. In this study, we discovered that Hsf1 formed liquid-liquid phase separation dropletsin vitro, causing the assembly of Hsf1 to drive nSBs formation. Under oxidative conditions, disulfide-bonded and oligomerized Hsf1 formed gel-like and more condensed droplets, confirmed through fluorescence recovery, refractive index imaging, and light scattering. Then, on the basis of our results, we proposed that Hsf1 undergoes oxidative phase transition by sensing redox conditions potentially to drive the cell fate decision by nSBs.

所属学協会

  • アメリカ生化学会               
  • アメリカ化学会               
  • 日本生物物理学会               
  • 日本化学会               
  • 日本生化学会               
  • American Society of Biochemistry and Molecular Biology               
  • American Society of Chemistry               
  • Biophysical Society of Japan               
  • Chemical Society of Japan               
  • Biochemical Society of Japan               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 生命金属動態を制御するシグナル伝達の分子機構
    科学研究費助成事業
    2019年06月28日 - 2024年03月31日
    石森 浩一郎
    生命金属科学研究基盤の確立に向けての研究 昨年度に引き続きヘム生合成の鍵酵素アミノレブリン酸合成酵素(ALAS1)の機能発現制御機構と、細胞内鉄代謝制御機構における鉄制御蛋白質(IRP)の機能制御機構について、以下の研究を行う。
    1.細胞内鉄代謝制御機構におけるIRPの機能制御機構解析 細胞内鉄濃度恒常性は、鉄の細胞内への取り込みや鉄を貯蔵する蛋白質を翻訳段階で制御するIRPによって維持されている。本研究課題により、このIRPの翻訳機能を制御するシグナル伝達因子として、ヘムが同定されたが、その結合部位については、アミノ酸変異によって部位が異なることが示唆され、野生型におけるヘム結合部位については確定させることができていなかった。今年度は公募班の岐阜薬科大学の平山が開発したヘム修飾プローブを適用することで、IRPのホモログ蛋白質の一つであるIRP1におけるヘム結合部位が、これまでもそのヘム結合が示唆されていたヘム結合モチーフ部位であると決定することができた。
    2.鉄応答転写因子Furの新たな機能とその生物学的意義 多くのバクテリアに存在している鉄応答性転写因子Furは、細胞内で利用できる鉄量に応じて鉄取り込みなどの鉄代謝に関する蛋白質の転写制御を行うことで、細胞内鉄恒常性を維持している。しかし、コレラ菌のFurは、ニッケル代謝に関連する蛋白質群をコードしているnikオペロンを制御していることが見出され、その転写機能について、精製蛋白質を用いて検討したところ、ニッケルではなく鉄によって標的DNA配列であるFur boxへの結合が制御されることを見出した。さらに、このnikオペロンを構成する蛋白質の一つであるVC1098はヘムを結合し、その親和性はヘムを活性中心として結合する蛋白質に比べ低く、これまで未同定であったシトクロムc生合成におけるヘムシャペロンである可能性が示唆された。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 19H05769
  • 「生命金属科学」分野の創成による生体内金属動態の統合的研究
    科学研究費助成事業
    2019年06月28日 - 2024年03月31日
    津本 浩平, 石森 浩一郎, 小椋 康光, 古川 良明, 青野 重利, 城 宜嗣, 高野 順平, 神戸 大朋
    第1期の公募研究が参画したことから、ホームページを更新、毎月のニュースレター発行を継続、充実させた。前年度構築した連携研究・共同研究の積極的な実施体制を浸透させた。
    総括班会議については、COVID-19の感染状況を鑑みてオンライン実施1回、対面とオンラインのハイブリッド実施2回の他、メール会議1回実施した。領域会議は、オンライン実施1回、ハイブリッド実施1回とした。領域会議地方巡業と銘打って、対面とオンラインでのハイブリッド方式での実施を東北大にて準備した(COVID-19感染状況からオンライン実施)。
    また、領域の班会議やシンポジウムとは別に、生命金属科学関連分野の若手研究者を集めて「若手会」を設け、若い世代の人的交流を活発にする試みを開始した(3月にオンライン若手会を実施)。また、オンライン実施等となった、生化学会、化学会、薬学会等各種学術集会においても、合計11回のワークショップ、シンポジウムを共催したほか、生命金属に関連する合同年会(ConMetal2021)を共催し、研究成果を国内外に発信した。前年度の研究成果報告書を冊子としてまとめ、生命金属に関連する研究者に送付、御意見を頂き、領域運営に積極的に活用した。また、生命金属研究各領域の魅力について語り、融合研究を加速させるほか、一般社会にも広くアピールするため、IBmSウエブセミナーを領域内で合計12回にわたって実施した。特に公開可能な内容について順次ホームページで公開している。また、班員が中心となって進めている研究の最先端の内容をまとめた動画の作製に着手、領域内での十分な議論を踏まえ、公開を開始した。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 東京大学, 19H05760
  • ナノディスクを用いた膜結合金属蛋白質の集積配列による活性制御
    科学研究費助成事業
    2019年06月28日 - 2021年03月31日
    石森 浩一郎, 内田 毅
    光駆動塩素イオンポンプのハロロドプシン(HR)と、呼吸鎖末端で酸素分子の四電子還元を行うバクテリア由来シトクロム酸化酵素(cbb3)に注目して、そのナノディスク化と機能解析および機能分子への応用を試みた。ナノディスク化HRの光反応サイクルを多様な分光学的手法で解析したところ、効率的な光駆動塩素ポンプ駆動にはHR分子間相互作用、膜電荷とHRの相互作用、塩素イオン結合や解離に伴うHRの構造変化を許容する膜の柔軟性等が重要であることが示された。cbb3は電極に固定させることで、電気化学的な酸素分子の四電子還元反応を触媒として進行させることが確認でき、ナノディスク化でその活性の向上が期待される。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 19K22193
  • 細胞場夾雑系における圧力効果を用いた蛋白質の物理化学的特性解析法の確立と応用
    科学研究費助成事業
    2018年04月01日 - 2020年03月31日
    石森 浩一郎
    令和元年度も平成30年度に引き続き以下の項目について研究を進めたが、新学術領域研究「生命金属科学」の計画研究「生命金属動態を制御するシグナル伝達の分子機構」が採択されたため、年度途中で本研究課題は廃止となった。
    ①細胞場における蛋白質構造の「構造揺らぎ」の部位特異的,定量的評価 平成30年度に引き続き、蛋白質表面にTrpを導入したミオグロビンとシトクロムcの作成を試みた。いずれも安定なTrp導入蛋白質を得るために、そのTrp導入部位について検討したが、実際の変異体を作成する以前に課題が廃止となった。
    ②蛋白質立体構造形成反応 令和元年度はこれまでの研究で明らかになった脱水和に影響を及ぼすアミノ酸残基として、変性状態でヘムが配位するHis26に注目した。このHis26をヘムが配位しないGlnに置換した変異体を作成し、その立体構造過程における脱水和が細胞場環境においては野生型に比べどのように変化するのか追跡を試みたが、予備的な実験が終了する前に課題が廃止となった。
    ③蛋白質間電子伝達複合体形成反応 令和元年度はNMRの緩和解析により、Cyt cにおける構造揺らぎの大きな部位を特定したところ、CcOとの相互作用部位とは離れたHis33に構造揺らぎを反映した化学交換が観測された。このHis33はAsn103と水素結合を形成していることから、HisをPheに置換することでこの水素結合切断したところ、化学交換が消失し、構造揺らぎが抑制されたことが示された。さらに、このような構造揺らぎの抑制はCcOへの電子伝達速度の低下をもたらし、相互作用部位から離れた部位での構造揺らぎがCyt cの電子伝達活性を制御していることが示された。このような構造揺らぎが細胞場類似環境でどのように変化するのか明らかにすることを試みたが、NMRの測定条件を検討するところで本課題が廃止となった。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 18H04531
  • ミトコンドリア呼吸鎖における電子伝達複合体の動的構造解析と電子伝達制御機構の解明
    科学研究費助成事業
    2016年04月01日 - 2019年03月31日
    石森 浩一郎, 内田 毅, 齋尾 智英
    細胞内のエネルギー生産に重要な酸素分子の水への還元は、ヘムを含む電子伝達蛋白質であるシトクロムcから膜結合蛋白質であるシトクロムc酸化酵素に電子が伝達されることで進行する。この電子伝達反応の分子機構を生体内に近い環境で検討し、その効率的な反応の進行には、シトクロムc酸化酵素とその周囲の膜構成成分との相互作用や、蛋白質構造の過渡的な変化である「構造的揺らぎ」、少数のアミノ酸残基による特異的な蛋白質間相互作用、さらには電子伝達経路における疎水的な環境が重要であることが明らかとなった。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 16H04173
  • 複合化活性部位を有する金属酸化酵素における感応性化学種の制御とその設計
    科学研究費助成事業
    2015年04月01日 - 2017年03月31日
    石森 浩一郎
    平成28年度の研究計画の各項目における研究成果は以下の通りである。


    1.活性化Irrにおける活性部位の構造解析 昨年度に引き続き,NMRによるIrrの構造解析を進めるため、15N、13Cによるラベル化Irrの発現、単離、精製を行い、再現性良く高純度の安定同位体ラベルIrr収量を得ることができる手法を確立することができた。この安定同位体ラベルIrrを用いて、その15N-1H HSQCスペクトルを測定したが、NMRシグナルの分散が十分ではなく、立体構造解析可能なスペクトルを得ることができなかった。これは、これまでのIrr精製時には添加していた2価のマンガンイオンを、その常磁性によるNMR信号への影響を除くため添加しなかったことによって、Irrが安定な立体構造を形成できなかったためと考えられた。そこでこの常磁性の2価マンガンイオンの代わりに、反磁性の2価マグネシウムを加えて精製し、そのNMR測定を行ったが、NMR信号の分散は変化せず、マグネシウムイオンはIrrに結合しないと考えられた。そこで、同様に反磁性の2価亜鉛イオンを結合させることを試みたところ、分散したNMRスペクトルが得られ、その立体構造解析の指針が得られた。


    2.アミノ酸置換による酸化反応の制御 Irrにおける酸化反応を制御するため、ヘム結合部位に位置するCys29をAlaに置換したところ、その酸化活性は大きく低下し、このCys29はIrrの酸化反応に重要な寄与をすることが明らかとなった。さらに、野生型では二量体を形成するIrrが、この変異により単量体化することが明らかとなった。以上の結果より、このヘム近傍に位置するCys29は酸化反応だけではなく、Irrにおける蛋白質間の会合状態についても大きな役割を果たしていることが新たに示された。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 15H00909
  • 水素原子レベルの時分割解析による呼吸鎖末端酸化酵素のプロトンポンプ機構の研究
    科学研究費助成事業
    2014年04月01日 - 2017年03月31日
    吉川 信也, 石森 浩一郎, 館野 賢, 新澤 伊藤, 久保 稔, 玉田 太郎, 御前 智則
    チトクロム酸化酵素は分子状酸素(O2)の還元によりプロトンポンプを駆動して、ATP合成に利用されるプロトン濃度勾配を形成する、生命維持に最も重要な酵素の一つである。本研究により、X線自由電子レーザー設備を活用して、本酵素の(i) O2還元中心の構造が決定され、(ii) O2がO2還元中心を構成している銅イオンに結合することによりプロトンポンプの逆流を遮断することが明らかされた。前者は50年来の懸案を解決するものであり、後者は前者とともに本酵素のエネルギー変換機構を水素原子レベルで解明するという生命科学研究者の夢を現実のものとするものである。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 兵庫県立大学, 26291033
  • ナノディスクを利用したミトコンドリア呼吸鎖における電子伝達機構の解析
    科学研究費助成事業
    2013年04月01日 - 2016年03月31日
    石森 浩一郎, 内田 毅, 齋尾 智英
    呼吸鎖電子伝達系末端のシトクロムc酸化酵素(CcO)を、生体膜モデルであるナノディスクに埋め込み、界面活性剤可溶化系よりも生体内に近い環境下でのCcOの機能を検討するとともに、ドッキングシミュレーションにより、これまで実験的には検討できなかったCcO上のシトクロムc(Cyt c)相互作用部位についても、その構造化学的知見を得ることに成功した。さらに、電子伝達機構を制御するうえで重要な蛋白質の構造揺らぎについて検討を行い、Cyt cは構造揺らぎが抑制された部分でCcOと相互作用することが示された。以上の結果から、Cyt cからCcOへの電子伝達反応を制御する動的な構造要因について検討を行った。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 25288072
  • ヘムをシグナリング分子とする情報伝達システムの構造化学的基盤
    科学研究費助成事業
    2013年04月01日 - 2015年03月31日
    石森 浩一郎
    IRP制御複合体の蛋白質間相互作用解析 IRPと複合体を形成すると考えられるmRNAのIREに対する結合特性,および,ヘムによるIRE結合阻害効果を検討した。その結果,ゲルシフトアッセイでは,その蛋白質としての安定性が低いため,明確な結果が得られなかったIRP2のIRE親和性について,その解離定数はIRP1のおよそ50%程度の0.013 mMであることが示された。さらに,そのヘムによる阻害効果はついては,1当量のヘムの添加で明確な阻害効果が観測され,阻害効果が現れるまでに数当量のヘムが必要なIRP1に比べ,IRP2のほうが低濃度のヘムによって阻害がかかることが示された。このことは細胞内においてIRP2が主な鉄濃度センサーとして機能していることとも対応している。さらに,IRPのIREからの解離に関しては,精製蛋白質を用いた実験では,数十当量のヘムの添加が必要であり,細胞内においてはヘムシャペロンによるIRPへのヘムの輸送および添加と,そのヘム結合によるIRPのIREからの解離が示唆された。一方,細胞内において,鉄高濃度時にIRPと相互作用することでIRPをユビキチン化し,最終的にはその蛋白質分解を促進するFBXL-5蛋白質についても,その大量精製系の確立を試みた。種々のプロモーターの検討の結果,大腸菌としてRosetta (DE3)pLysSを用い,MBPとの融合蛋白質として発現するのが最も収量が多いことを見出し,FBXL-5の大量精製系を確立することに成功した。
    制御系に関連した蛋白質の探索とその機能解析 IRPへヘムを輸送,供与する蛋白質を同定するため,IRPと相互作用する蛋白質の探索を試みた。探索系としては,酵母菌を用いたtwo-hybrid systemと,ヘムを磁気ビーズに結合させた手法について検討を行った。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 25121701
  • 活性部位の複合化による感応性化学種の制御を利用した酸化酵素の設計と創製
    科学研究費助成事業
    2013年04月01日 - 2015年03月31日
    石森 浩一郎
    活性化Irrの立体構造決定と酸素活性化機構の解明 昨年度に引き続き活性型Irrの構造決定を試み,本年度は特に,そのシグナル伝達分子としてのヘムの結合部位の立体構造について詳細に検討を行った。まず,これまでの研究から,その二段階酸素活性化の第一段階である分子状酸素の過酸化水素の活性化部位については,ラマンスペクトルの解析から,ヘモグロビンなど分子状酸素を安定に結合するタンパク質と異なり,分子状酸素を安定化する水素結合等の相互作用がないことが示され,容易にスーパーオキサイドアニオンが生成しすること,また,ヘム結合部位が疎水的なへムポケットではなく,容易に酸素分子へのプロトン化が起こり,過酸化水素の生成が誘起されることが示された。一方,もう一方のヘム結合部位であるヒスチジンクラスター領域は,昨年度の研究からヘムの分解と非ヘム鉄結合部位が形成されることが示され,さらに活性化Irrの質量分析の結果から,非ヘム鉄結合のアミノ酸としてHis63,His37等を同定することができた。これらの結果から,この非ヘム鉄結合部位は,過酸化水素を水酸ラジカルに活性化することで,自らのアミノ酸の酸化修飾を行うストレスセンサータンパク質PerRと同様な機能を有していることが示された。
    酸化反応酵素としての利用を目指した分子設計 これまでの精製タンパク質を用いた実験から,Irrはタンパク質としての安定性が低く,また,溶存酸素と反応し自己酸化修飾反応が容易に誘起されることが明らかとなった。そこで,Irrを酸化反応に利用する環境として,Irrが安定に存在できる菌体内を検討し,in vivoの条件下で酸化反応を進行させることを試みるため,大腸菌内でIrrを発現する系を構築した。その結果,大腸菌内でIrrの発現を確認し,ヘム添加による酸化反応についてもその活性を検討できる系を構築することができた。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 25109501
  • サブユニット特異的部分同位体ラベル化による巨大膜蛋白質の構造解析
    科学研究費助成事業
    2013年04月01日 - 2015年03月31日
    石森 浩一郎, 内田 毅
    細胞内のエネルギー生産器官であるミトコンドリアにおける電子伝達機構を解明するため,その電子伝達系の中枢を担うシトクロム酸化酵素について,NMRによる解析を可能なように安定同位体ラベルし,さらにこの酵素をナノディスク化することにより,生体内に近い膜結合状態での詳細な構造解析を実現することを試みた。バクテリア由来のシトクロム酸化酵素のナノディスク化再構成の結果から,巨大分子量膜結合蛋白質であっても安定同位体ラベルとナノディスク化で詳細な構造解析が可能であることを示した。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 25650016
  • ヘムをシグナリング分子とする情報伝達システムの構造化学的基盤
    科学研究費助成事業
    2011年04月01日 - 2013年03月31日
    石森 浩一郎
    Irr,IRPの標的DNA,RNAへの親和性 IrrやIRPの標的DNA,RNAへの親和性は,そのIrr-DNA,およびIRP-RNA複合体の結晶作成の上で重要であるが,これまではゲルシフトアッセイによる解離定数が見積もられただけで,その定量性は十分ではなかった.今年度は蛍光ラベルした標的DNAおよびRNAを用い,そのIrrやIRPへの結合による蛍光の偏光解消度から解離定数をより正確に見積もることを試み,その結果,それぞれ,220 ± 57 nM,6.85 ± 0.26 nMと決定することができた.さらにこの反応溶液中にヘムを添加することにより,蛍光の偏光解消は観測されず,ヘムの添加によって標的DNAやRNAへの結合が完全に阻害されることが確認できた.
    IRPへおけるヘム結合ドメインの決定 完全長のIRPでは,発現に昆虫細胞系を用いるほかなく,その限られた精製蛋白質量と蛋白質の構造不安定性から,結晶形成の条件検討は非常に困難であった.そこで,完全長のIRPの結晶化と並行して,そのヘム結合ドメインのみの結晶構造解析を行うことで,ヘム結合の蛋白質構造に与える影響の解明を試みた.まず,IRP1におけるヘム結合部位の同定を目指して,ヘム結合部位と想定されるヘム制御モチーフ中のCys118とCys300の変異体を作成することで検討を行った.その結果,いずれの変異体においても,ヘム制御蛋白質に特徴的なヘム鉄とその軸配位子Cys間の伸縮振動のラマン線が観測され,ヘムはCys118とCys300に配位することが確認できた.さらに,これらのCys残基はそれぞれドメイン1(1-240)とドメイン2(241-367)にあることから,IRP1におけるヘム結合ドメインは,ドメイン1とドメイン2と決定でき,これらの発現系を大量発現・精製が可能な大腸菌で確立させることにより,その結晶化が期待できる.
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 23121501
  • 新規ヘム標的タンパク質HSP27の細胞防御制御機構の解明
    科学研究費助成事業
    2011年 - 2013年
    加部 泰明, 石森 浩一郎
    ヘムは赤血球分化の過程で細胞内に数mMも蓄積されるが、このヘム毒性の回避機構は不明であった。我々は独自のアフィニティ精製技術を応用して、新規ヘム結合タンパク質としてHSP27を同定した。ヘムはHSP27と結合してその多量体構造を直接解離させて活性化してアポトーシス誘導を阻害することを見出した。さらに、HSP27の発現を薬剤誘導性に抑制出来るHSP27ノックダウンマウスの解析により、赤血球形成が始まるE13頃のマウス発生の時期に、HSP27ノックダウン特異的に胎生致死となる事が明らかとなった。また、成熟マウスにおいても赤血球分化能が著しく減少し、異常な形態の幹細胞の蓄積が多く認められた。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 慶應義塾大学, 23570172
  • セグメントラベルと先端的NMR手法を駆使した高分子量蛋白質複合体の相互作用解析
    科学研究費助成事業
    2011年 - 2012年
    石森 浩一郎, 内田 毅
    生体内で重要な機能を果たしている高分子量蛋白質複合体の新たな構造解析手法として,セグメント安定同位体化ラベル法と先端的NMR手法としての転移交差飽和(TCS)法や残余双極子結合(RDC)法の応用を検討した.呼吸鎖末端の電子伝達反応であるシトクロムc(Cytc)とシトクロムc酸化酵素(CcO)の相互作用部位についてTCS法を応用し,CcOと直接相互作用しているCytcのアミノ酸残基を決定することに成功した.
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 23657070
  • ヘムをシグナル伝達分子として機能する蛋白質制御系の構造化学的基盤
    科学研究費助成事業
    2009年 - 2011年
    石森 浩一郎, 内田 毅
    本研究では,ヘムを制御因子として機能するIrr(Iron Response Regulator)とIRP(Iron Regulatory Protein)におけるヘム結合様式と,その結合したヘムによる機能発現機構について検討を行った.Irrにおいては,ヘム結合部位を分光学的に同定するとともに,そのヘムに蛋白質の酸化修飾機構を明らかにした.IRPについても,新たにヘム結合部位を同定し,その機能的意義についても明らかにすることができた.これらの結果は,細胞内におけるヘムの新たな機能を示唆している.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 21370040
  • 高圧下蛍光分光システムによる蛋白質の構造的揺らぎの定量的解析
    科学研究費助成事業
    2009年 - 2010年
    石森 浩一郎
    本年度の主な研究成果は以下のとおりである.
    FRETを用いた蛋白質における局所的線圧縮率の算出とその意義の検討 マッコウクジラミオグロビン(Mb)において,そのTrp14をPheに置換し,Eヘリックス末端近くのLys63をCysに置換することで,蛍光団であるAEDANSを63位に結合させたAEDANS修飾変異ミオグロビン,W14F/L63C-AEDNAS Mbを作成することに成功した.このAEDANS修飾変異ミオグロビンにおけるTrp14と,Cys63に結合したAEDANSとの間のFRET効率の圧力依存性について,昨年度に作成した高圧下蛍光分光システムを用いて検討した.この変異Mbは,295nmの励起光で発光する340nm付近のTrp残基に由来する蛍光強度が減少し,逆にAEDANS由来の460nm付近の蛍光を発するようになったことから,Trp14と63位に結合したAEDANSとの間にFRETが起こっていることが示された.これらの蛍光団間のFRET効率は,加圧に従い0.769(50気圧)から0.802(1500気圧)に上昇し,このことはTrp14とCys63位のAEDANS間の距離が加圧により短縮したことを示している.さらにこのFRET効率の定量的解析から,これら2点間の線圧縮率を求めると,3.1×10^<-10>m^2N^<-1>と見積られた.この値は,Mbの等温圧縮率から求めた3×10^<-11>m^2N^<-1>よりも大きく,また,ヘムと蛋白質表面に結合した金属錯体間の電子移動反応の圧力依存性から求めた3×10^<-11>~2×10^<-10>m^2N^<-1>に比べても大きいことから,Trp14とLys63の間の構造揺らぎは大きいと考えられた.このLys63が位置しているEヘリックスはミオグロビンにおける酸素結合部位を形成しており,ヘムに結合した酸素分子と水素結合しているHis64もその隣のアミノ酸残基として位置していることを考慮すると,本研究から得られた結果は,酸素分子が効率よくヘム鉄に結合するために,Eヘリックスの構造的な揺らぎは大きいことを意味している.
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 21107501
  • 電子伝達蛋白質複合体の構造化学的解明とその会合・解離の分子機構
    科学研究費助成事業
    2008年 - 2009年
    石森 浩一郎, 内田 毅
    本年度に得られた研究成果の概要は以下のとおりである.
    1.シトクロム酸化酵素(CcO)の結合により誘起されるシトクロムc(Cytc)における構造変化の解明Cyt cまその電子受容体であるCcOと結合し,CcO-Cytc電子伝達複合体を形成する際には,その立体構造が変化することで電子伝達反応を制御していると考えられる.一般にはこのような高分子量の膜蛋白質であるCcOを含む蛋白質複合体の構造解析は困難であるが,^<15>NラベルしたCyt cを用いて3D-^1H-^<15>N NOESYHSQC(^<15>N-edited NOESY)を用いることで,CcO結合によるCytcの構造変化を検出することに成功した.特に,本研究者等のこれまでの研究から推定されたCyt cのCcOに対する相互作用部位周辺がCcOの結合に伴い有意な構造変化が観測され,Cyt cはCcOと電子伝達複合体を形成する際にはその相互作用部位付近に特異的な構造変化を起こすことが示唆された.今後さらに定量的な構造解析を進めることにより,構造変化による電子伝達の制御機構が明らかになると期待できる.
    2.ドッキングシミュレーションによるCcO側の会合部位の同定 東京大学の北尾准教授の研究グループと共同で,CcO-Cytc電子伝達複合体形成の際のCcO側の相互作用部位について検討を行った.剛体モデルを用いたドッキングシミュレーションの結果,Cyt c側の相互作用部位は本研究者らがNMRを用いて実験的に明らかにした部位と一致し,一方,CcO側も予想通り,負電荷と疎水性のアミノ酸残基による相互作用部位の形成が認められた.さらにここで得られた結果についてMDを適用することにより,さらに詳細にCcO)側の相互作用部位を明らかにすることで,CcO側からもCcO-Cytc間の電子伝達機構を解明できると期待できる.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 20051002
  • 高圧分光法を用いた蛋白質における構造的揺らぎの解析
    科学研究費助成事業
    2007年 - 2007年
    石森 浩一郎, 内田 毅, 竹内 浩
    蛋白質構造の構造的揺らぎを定量的に解明するため,人工的な分子内電子伝達蛋白質を設計し,その電子伝達速度の圧力依存性から算出した蛋白質構造における特定の2点問の線圧縮率と,多核多次元NMR法によるdistance geometryや緩和測定から得られる構造的揺らぎの結果を比較した.人工的な分子内電子伝達蛋白質であるルテニウム置換亜鉛ミオグロビン(48,81,83位にそれぞれRu錯体を修飾)の光励起によるZnからRu,あるいはその逆の電子移動過程の反応速度を,常圧から2000気圧程度までの圧力で追跡し,その圧力依存性から,その亜鉛ポルフィリンの亜鉛イオンと蛋白質表面に特異的に修飾したRu錯体間の距離は,Ru錯体の修飾位置(48,81,83位)によって,加圧により0.1から2Å程度,距離が短縮される場合(48位と伸張される場合(81,83位)が観測された.このような異方的な蛋白質構造の短縮・伸張は,緩和測定の結果から得られた局所的な運動性や,distance geometryとは相関がみられず,従来想定されていたように,アミノ酸残基の局部的な運動性や主鎖構造のずれが大きい部位で,必ずしも蛋白質構造の大きな揺らぎが起こっているのではないということを示すことができた.さらに,酸素結合蛋白質であるミオグロビンに比べ,外部からの配位子の結合がなく,そのヘム鉄が6配位構造であるシトクロムcについてもNMRによる緩和時間測定を行ない,主鎖構造の運動性について検討した.その結果,主鎖末端領域やループ領域にやや運動性の高い領域が観測されたものの,全体的にミオグロビンに比べ運動性が制限されている領域が多く,シトクロムcは,ミオグロビンに比べ,蛋白質構造上の揺らぎが小さいことを示唆している.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 19029002
  • ヘム依存性転写制御複合体の構造と機能
    科学研究費助成事業
    2006年 - 2007年
    石森 浩一郎, 内田 毅
    ヘム依存性転写因子Irrにおける酸化修飾機構の詳細を検討するため,典型的なペプチド鎖の酸化修飾様式であるカルボニル化を認識する「Oxyblot」法を用いて検討したところ,過酸化水素のスカベンジャー試薬であるカタラーゼを添加した際に酸化修飾が大きく阻害されることを見出した.一方,OHラジカルやO_2-のスカベンジャー試薬の添加ではその阻害効果が見られなかったことから,Irrはヘムと分子状酸素の存在下で過酸化水素を産生し,この過酸化水素によってペプチド鎖の酸化修飾反応が引き起こされることが示された.さらに,以上のような過酸化水素の産生部位を同定するために,ヘムの軸配位子と想定されるCysやHisをそれぞれAlaに置換し,その酸化修飾反応を追跡したところ,His残基が連続しているHis117,His118,His119の置換により酸化修飾反応が大きく阻害されることが示された.しかし,この変異体において産生する過酸化水素の定量を行ったところ,野生型同様の産生能を示し,過酸化水素は酸化修飾には必須であるものの,ペプチド鎖への酸化修飾反応の直接的な活性種ではないことが示唆された.づまり,Irrによって産生された過酸化水素は,再びHis117,His118,His119付近の酸化活性化部位によって,さらに活性な酸化活性種に変換されることを示唆している.以上の結果からIrrにおける酸化修飾反応は,分子状酸素から過酸化水素を経た二段階の活性化反応で進行し,そこで生成した酸化活性種が蛋白質分解の端緒となることが考えられる.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 18054002
  • 圧力を用いた分子体積プロファイル解析による蛋白質立体構造形成過程での水分子の寄与
    科学研究費助成事業
    2006年 - 2007年
    石森 浩一郎, 内田 毅
    本年度の研究実績の概要は以下のとおりである。
    1.疎水性アミノ酸残基からの脱水和の分子体積に対する寄与: 疎水性部位からの脱水和による部分分子体積減少の実験的確証を得るため、Cyt cの蛋白質表面に位置する親水性のAsp93を疎水性のLeuに置換し、この変異による立体構造形成に伴う体積変化を追跡した。その結果、この変異により、その立体構造形成による体積の減少量は、約5mLmol^<-1>程度増加した。
    2.高圧下時分割蛍光観測システムの構築疎水性アミノ酸残基からの脱水和の分子体積に対する寄与: 蛋白質の立体構造形成機構を考える上で重要な遷移状態における水分子の挙動を解明するためには、活性化体積ΔV^≠を見積もる必要がある。従来、Cyt cでは、このΔV^≠を見積もるため、種々の圧力下におけるヘムの紫外可視吸収を利用してきたが、この手法では蛋白質部分の構造変化が直接には反映されない。そこで、立体構造形成により、ヘムに近接することでその蛍光強度が減少するTrpの蛍光に注目し、蛋白質部分の変化を直接観察することを試みた。高圧下での立体構造形成反応の追跡については、還元型CytcのCO結合体が非結合体に比べその安定性が低く、レーザー光照射によるヘム鉄からCO分子の解離より、立体構造形成反応が開始可能であることを利用した。その結果、高濃度の塩酸グアニジン存在下のCO結合還元型Cyt cや、COが結合しない酸化型Cyt cでは光照射により、有意な蛍光変化は観測されないが、3.6M塩酸グアニジン存在下のCO結合還元型型Cyt cでは光照射に伴い、蛍光強度の低下が観測された。これはCOの解離によって立体構造形成反応が進行したと考えられ、本装置を用いて種々の圧力下における蛋白質立体構造形成反応をその蛍光変化により、追跡できることが示された。現状では観測される蛍光の強度が弱いが、集光レンズの装着などにより、その強度を上げることで、再現性の良い定量的な測定が期待できる。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 18031001
  • 圧力を用いた蛋白質立体構造形成の遷移過程における水分子の寄与の解明
    科学研究費助成事業
    2004年 - 2005年
    石森 浩一郎, 木村 哲哉
    本研究では、水和水の挙動を反映する蛋白質の部分体積に注目し、チトクロムc(Cyt c)の立体構造形成過程の圧力依存性を測定することで、蛋白質立体構造形成における水の挙動について、以下の成果を得た。
    1.塩酸グアニンジン存在下、天然状態と変性状態の平衡状態にあるCyt cについて、その平衡定数の圧力依存性から、部分モル体積の差(ΔV_)をより正確に求めたところ、天然状態の方が約25ml/mol小さいことが示された。Cyt cの立体構造形成におけるこのような負の体積変化は、疎水性部位からの水和水の解離(脱水和)による体積減少が顕著であることを示しており、その原因として疎水性の高い分子団であるヘム周りからの脱水和の寄与が示唆された。このような脱水和は、大きな正のエントロピー変化を伴い、変性状態から天然状態への立体構造形成に伴うペプチド鎖が失う莫大な構造エントロピーを相殺することで、蛋白質の立体構造形成をエネルギー的に有利にしていると考えられた。
    2.初期収縮状態(collapsed state)から天然状態への構造形成のための活性化体積、つまりcollapsed stateから遷移状態までの部分体積の差(ΔV^*_)(-14ml/mol)と1.の結果を比較すると、その体積差は同程度であった。このことは、Cyt cにおいては、その変性状態から天然状態への立体構造形成の全過程で排出される水和水の個数と同程度の個数の水和水が、この遷移状態形成に脱水和することを意味している。つまり、Cyt cにおけるcollapsed stateから天然状態に至る遷移状態の段階で、既に天然状態に近い構造が形成されている可能性を示している。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 16041226
  • ヘムを情報伝達分子とする蛋白質の構造と機能及びそのシグナル伝達機構の解明
    科学研究費助成事業
    2003年 - 2005年
    石森 浩一郎, 高橋 聡, 若杉 桂輔
    本研究の遂行により,以前はその蛋白質構造や機能発現機構が明らかではなかった鉄代謝制御蛋白質(IRP2)と鉄濃度依存性転写因子(Irr)について,共鳴ラマン,紫外可視吸収,パルスラジオリシス等の物理化学的手法を駆使して,以下の点を明らかにすることができた.
    1.ヘム鉄へのCys残基の配位の分光学的確認とヘム近傍構造の検討
    IRP2,Irrともに鉄が3価の状態のヘムはHeme Regulatory Motifとよばれる配列中に存在するCys残基に配位することを,共鳴ラマンスペクトルを用いてそのFe-Cys結合の伸縮振動を観測することで,分光学的に初めて確認した.また,そのFe-Cys伸縮振動の波数から,ヘム-Cys間の結合は,従来報告されているCys配位のヘム蛋白質の結合よりもはるかに弱いことを明らかにした.
    2.ヘム鉄の酸化状態に依存したヘム軸配位子交換
    いずれの蛋白質もヘム鉄の還元により軸配位子であるCysは解離し,その代わりにこのCys残基付近に位置するHisが配位することを,紫外可視吸収,共鳴ラマンスペクトルを用いて分光学的に明らかにした.共鳴ラマンスペクトルにおけるFe-His伸縮振動の波数は中性のHisが配位していることを示し,酸素貯蔵ヘム蛋白質であるミオグロビンの値と類似であった.一方,CO付加体におけるFe-CおよびFeC-O伸縮振動の波数は,ヘム鉄に配位した気体分子と周辺のアミノ酸残基との相互作用は弱い場合に対応し,ミオグロビンのように安定な酸素付加体は形成しないことが示された.さらにパルスラジオリシスの実験から,この軸配位子置換の際には過渡的にHisが配位した5配位のヘムが存在し,このHis配位5配位ヘムに分子状酸素が結合することで,ポリペプチドの酸化修飾やその分解につながる活性酸素種が産生されることを提案した.
    以上の結果は,これら2つの蛋白質の機能発現機構の解明において重要な指針を与えると考えられる.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 15350101
  • 急速凍結分光法を使った金属酵素およびセンサー蛋白質の反応機構の研究
    科学研究費助成事業
    2003年 - 2004年
    石森 浩一郎, 高橋 聡, 堀 洋, 若杉 桂輔
    本研究課題で得られた成果は以下のとおりである.
    1.P450酵素における活性阻害剤の結合様式の検討
    ヘム酵素であるP450はバクテリアから高等動物まで広く分布し,種々の薬物の代謝において重要な役割を担っている.したがって,感染症の原因となる真菌類のP450の機能を選択的に阻害できれば抗菌剤として有望な薬剤の開発が期待できる.そこで本研究課題では結核菌とヒトのP450(CYP51)に対する活性阻害剤であるいくつかのアゾール化合物について,その活性阻害様式を共鳴ラマンスペクトルやEPRを用いることで,構造化学的に検討した.その結果,アゾール環の置換基の立体障害とその疎水性度を制御することによって結核菌のP450のみ選択的に結合するアゾール化合物の分子設計が可能であることを示した.
    2.ヘム酸化酵素中間体におけるラジカル位置の制御
    ヘムを含む酸化酵素であるペルオキシターゼ類は多くの動植物に存在し,種々の酸化反応を触媒している.これらの酵素はその反応中間体としてラジカル種を形成するが,そのラジカルの位置については基質の大きさに依存して異なることが知られている.つまり,小さな基質の場合は蛋白質に埋め込まれたポルフィリン環上に,大きな基質の場合は蛋白質表面に露出したアミノ酸上に形成される.われわれは既に小さな基質に対する酸化酵素である西洋わさびペルオキシターゼ(HRP)について,蛋白質表面に芳香族アミノ酸を導入することで、ラジカル位置をポルフィリン環上から導入した芳香族アミノ酸に移動できることを報告してきた.今回,その移動したラジカル種による活性を検証するために,野生型のHRPでは反応性が低い立体障害の大きな基質を用いて検討したところ,蛋白質表面にラジカル種を有する変異体ではその活性が数十倍に増大し,ラジカル位置の制御によってヘム酵素の基質特異性が制御できることが示された.
    日本学術振興会, 萌芽研究, 京都大学, 15657027
  • 金属が関与するセンサーとスイッチのケミカルバイオロジー
    科学研究費助成事業
    2000年 - 2004年
    西野 武士, 石浜 明, 斎藤 正男, 石森 浩一郎, 岩崎 俊雄, 岡本 研, 新井 賢一, 三浦 謹一郎, 京極 好正
    研究組織は総括班(研究代表者、その他の計画研究代表者2名、評価委員3名および事務担当その他の分担者)および計画研究代表者全体会議である。
    1)平成16年6月19日(午後1時より)に日本医科大学において、計画研究代表者全員および分担研究者,評価委員2名の出席で全体会議を持つた。会議では、それぞれの計画研究代表者の今までの成果と今後の計画を発表し、班員の連係および最終年度のまとめおよび成果公開の具体的計画を立て確認した。
    とくに成果公開を重点におくことそのための3回の公開および関連学会でのシンポジウム開催が確認された。
    2)平成16年度公開シンポジウムを横浜で開催した。生化学会と連動させ実質二日間の国際シンポジウムとなった。公開シンポジウムは生化学会直前にもかかわらず海外からの参加者5名に加え、総数70名を超えた。
    3)また生化学会は初日午前であったが会場はほぼ満席に近く、成果については科学新聞でも大きく取り上げられた。
    4)生物物理学会において代表である西野および斉藤が中心となり金属蛋白質に関するシンポジウムを計画した。
    5)平成17年1月7日(午後1時より7時まで)および8日(午前9時より12時まで)に日本医科大学において、計画研究代表者全員および分担研究者、評価委員1名の出席で全体会議を持った。総括班会議では、それぞれの計画研究の進展状況および各種シンポジウムの報告がなされ、研究の進展状況と問題点が検討された。全体会議では代表者の1年間の成果を発表し、詳しく討論された。さらに最終年度でもあり5年間の研究成果の集約にむけ研究のまとめをと今後の計画の討論を行なった。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 日本医科大学, 12147207
  • 構造及び機能単位としてのモジュールを組み合わせた新規蛋白質の分子設計と創製
    科学研究費助成事業
    2000年 - 2003年
    森島 績, 若杉 桂輔, 高橋 聡, 石森 浩一郎
    1.モジュール間相互作用の再生を目指した方法論の開発
    ヘモグロビンα鎖のヘム結合モジュールをシトクロムb_5の対応する領域に導入したb_5αb_5を作製し、ランダム変異導入後、ヘム親和性を指標に構造力安定化している蛋白質のスクリーニングを行ったところ、ヘム結合モジュールに近接する特定の部位に変異が集中していた。そこで、構造上の歪みがかかっていると考えられるこれら残基に範囲をしぼってランダム変異を導入した変異体集団を作製し、さらに、スクリーニング過程に、崩れた構造の変異蛋白質を蛋白質分解酵素により除去するプロセスを新たに加え方法論の改良を行ったところ、モジュール置換蛋白質の安定性の向上に成功した。
    2.新規機能性蛋白質の創製に成功
    ヒトのトリプトファニルtRNA合成酵素(TrpRS)と相互作用する蛋白質を探索したところ、解糖系の酵素であるグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GapDH)がTrpRSと結合することが明らかになった。TrpRSと結合するGapDHの結合部位の特定を試みるために、様々なキメラ蛋白質を作製した。ミオグロビン(Mb)のN末端側にGapDHのあるモジュールを融合したキメラ蛋白質は、野生型Mb同様、酸素を可逆的に配位でき、またGAPDH同様にTrpRSと会合する安定な新規蛋白質であることが明らかになった。
    3.酸化ストレス応答性新規グロビン蛋白質の分子機構の解明とその知見に基づく人工蛋白質の設計
    「ニューログロビン(Ngb)」には酸化ストレスに伴う神経細胞死を抑制する働きがあると指摘されている。今回、このNgbが脳神経系においてシグナル伝達系を制御する分子として機能しているという仮説を立て、Ngbが関与する脳神経シグナル伝達系を明らかにすることを目指した。その結果、酸化ストレス下で生成する鉄3価Ngbが細胞内シグナル伝達蛋白質であるGαと特異的に結合すること、他方、通常の酸素正常状態の鉄2価NgbはGαとは相互作用しないことを発見した。また、Ngbは酸化ストレス応答性のセンサー蛋白質として働き、酸化ストレスを受けた時のみGαと結合し、GαのGDP/GTP交換反応抑制蛋白質として機能することにより、神経細胞死を抑制することを明らかにした。さらに、Ngbに関しモジュール置換した種々のキメラ蛋白質を作製し、それらの解析を行うことにより、制御メカニズムを分子レベルで明らかにすることに成功した。
    日本学術振興会, 特別推進研究, 京都大学, 12002008
  • セグメント特異的同位体ラベルP450を用いた電子伝達相互作用部位の解明
    科学研究費助成事業
    2002年 - 2002年
    石森 浩一郎
    チトクロムP450は炭化水素の特定部位を水酸化する酵素で,その温和な反応条件と反応位置の特異性から酵素化学的だけではなく,実用的,工業的にもその応用が注目されている.この酵素の水酸化反応においての解明するべき点の一つは,分子状酸素の活性化に必要な電子の供給機構であり,この電子伝達機構が解明され,その人工的制御が可能になればこの酵素の応用範囲が大きく広がることが期待される.本研究課題ではこのチトクロムP450における電子伝達機構の解明とその制御を目指して,NMRとペプチド鎖の同位体置換を組み合わせることで,代表的なチトクロムP450であるd-カンファーを基質とする緑膿菌のチトクロムP450(P450cam)と,その電子供与体であるプチダレドキシン(Pd)の電子伝達相互部位の決定,およびその電子伝達過程の制御機構について検討を行った.本研究で得られた主な結果は以下のとおりである.
    1.P450camのNMRスペクトルを詳細に検討し,基質であるd-カンファーやヘム近傍に位置するスレオニン252に由来するNMRシグナルの帰属に成功した.
    2.今回帰属したNMRシグナルを用いて電子供与体であるPdの結合によるP450camのヘム近傍の構造変化を検討し,Pd結合によりヘム面が傾き,ヘム鉄とd-カンファーとの距離が短くなることを見出した.このことは,ヘム鉄上で生成する活性酸素を効率的にd-カンファーに転移させる上で有利であると考えられた.
    3.電子伝達相互作用部位と想定される領域を含むP450camのアミノ酸配列が無細胞系でも合成できることを示し,セグメント特異的同位体ラベルがP450camでも可能であると考えられた.しかし,実際のセグメント特異的同位体ラベルP450camの作製のためには,この配列の収率は低く,更なる反応条件の検討が必要であった.
    日本学術振興会, 萌芽研究, 京都大学, 14658217
  • 蛋白質の折れ畳み過程を追跡するための高速分光システムの開発
    科学研究費助成事業
    2000年 - 2001年
    高橋 聡, 石森 浩一郎, 原田 最之
    蛋白質の折り畳み過程を詳しく観察することで、蛋白質アミノ酸配列から折り畳み構造を予測するための手がかりを得ることを目的として、以下の装置開発を行った。1)蛋白質の折り畳み過程を開始するための高速の溶液混合装置の開発。石英板の間にミキシングプレートを挟み込むデザインのセルを開発し、約50マイクロ秒の溶液混合時間を、再現性良く達成することに成功した。このセルは、各種の分光測定が容易であるという特徴も持っている。2)高速の時分割CD測定装置の開発。蛋白質の二次構造の成長を観察するために、CDスペクトルの測定装置の開発を行った。高いスループットをもつプリズム分光器を開発し、光学遅延板を使ったCD測定を行った。開発した装置を使って、標準試料のCDスペクトルを測定することに成功したが、ミキシングセルと組み合わせることには成功していない。セルの光学歪みをできるだけ減らす工夫が必要である。
    以上の装置開発をもとに、以下の研究成果をあげた。1)シトクロムcの折り畳み過程の時分割X線小角散乱の測定。開発した溶液混合セルを用いて、シトクロムcの折り畳み過程の時分割測定を行った。シトクロムcが、二次構造とコンパクトさを同期させて折り畳みを進めることを明らかにした。2)ポリグルタミン酸のコイルヘリックス転移過程の観察。蛋白質を構成する基本構造であるヘリックスが形成する過程を、開発した溶液混合装置を使って追跡した。測定の結果、コイルヘリックス転移には、いったん形成した短いヘリックス構造が、連結して長いヘリックスを作る過程があることを新しく明らかにした。3)アポミオグロビンの折り畳み過程の時分割測定。アポミオグロビンは7本のヘリックスを持つ蛋白質である。これらのヘリックスが段階的に形成する様子を、時分割測定により明らかにした。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 京都大学, 12558081
  • 金属酵素の不安定中間体を観測するための高速溶液混合実験システムの開発
    科学研究費助成事業
    1999年 - 2000年
    森島 績, 高橋 聡, 石森 浩一郎
    平成12年度はペルオキシターゼの活性中間体であるCompound Iの生成機構を検討するため,独自に開発した高速混合装置を用いて,西洋ワサビペルオキシターゼ(HRP)と過酸化水素との反応を追跡した。装置としては,本研究者らが開発した高速混合装置を改良することにより,時間分解能50マイクロ秒で可視紫外吸収スペクトルことに成功した。この装置を用いて,上記反応を追跡したところ,HRPの休止状態からCompound Iへのスペクトル変化が,ほぼ等吸収点をとりながら観測できた。このことは休止状態からCompound Iの変化において中間体が存在しないことを意味しているが,過酸化水素の濃度に対するCompound I生成速度の依存性は,速度論的な中間体が存在する明らかに飽和現象を示し,Michaelis-Menten型の解析をすることで,その寿命(半減期)が約10μ秒であることが明らかとなった。さらにこの値をもとに,このような寿命を持つ中間体を仮定したモデルを考え,反応後50マイクロ秒後の中間体の存在割合を求めたところ,約15%と見積もられ,その推定される紫外可視スペクトルは休止状態に類似した鉄3価高スピン型であった。このことは,Compound I生成の中間体として,従来想定されていた3価のヘム鉄にアニオン化した過酸化水素(HOO^-)が結合した鉄3価低スピン型ではなく,中性の過酸化水素(HOOH)が結合した状態であると推定できた。このような中間体を形成する反応機構として,中性の過酸化水素がヘム鉄に結合できるように,ヘム近傍の遠位ヒスチジンと遠位アルギニンが同時に過酸化水素と相互作用しているモデルを新たに提出した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 京都大学, 11554027
  • 蛋白質構造の「揺らぎ」による電子移動過程の制御
    科学研究費助成事業
    1999年 - 2000年
    森島 績, 若杉 桂輔, 高橋 聡, 石森 浩一郎
    平成12年度は電子伝達蛋白質のモデル系として,亜鉛置換ミオグロビンとチトクロムb_5の系を構築し,レーザー光の照射による光誘起電子移動反応を検討することで,この電子移動反応における電子移動複合体に構造について考察を行った。従来,この系は電子移動反応を元にした会合定数が,等温適定実験からの会合定数よりはるかに小さいことが予想されており,電子移動を行える会合体は全会合体の一部であると考えられてきた。しかし,この系では,その会合が弱いことから電子移動反応を元にした正確な会合定数は,報告されておらず,実際に一部の会合体しか電子移動を行えないのかどうかは明確ではない。そこで,本研究ではこの系の会合における相互作用が静電的相互作用であることに注目し,イオン強度を下げることにより,Michaelis-Menten型の解析から,その会合定数を8.0x10^4M^<-1>と決定できた。一方,すべての会合体に対する結合定数を求めるために,亜鉛ミオグロビンの蛍光がチトクロムb_5により消光されることに注目した。その結果,会合定数は4.0x10^4M^<-1>と求めることができ,この値は,電子移動反応から求められた値とほぼ同程度であった。以上の結果は,亜鉛置換ミオグロビンとチトクロムb_5における電子移動はほとんどすべての会合体で起こっていることになり,従来の予想を否定する結果となった。さらに,電子移動反応のイオン強度依存性の結果から,この会合体は両蛋白質のヘム面が向かい合った状態であることが示唆され,これはマーカスの式から予想される電子移動反応の距離ともほぼ一致した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 京都大学, 11480191
  • タンパク質立体構造の比較・予測・デザイン
    科学研究費助成事業
    1995年 - 1999年
    郷 信広, 野口 俊之, 由良 敬, 西川 建, 輪湖 博, 四方 哲也, 石森 浩一郎, 美宅 茂樹, 木寺 詔紀, 森島 績, 熊谷 泉, 梅山 秀明, 諏訪 牧子, 郷 信広
    博物学グループ(郷、由良、輪湖、美宅、西川、梅山):2次構造の空間配置に着目した立体構造の比較による分類によって「類似立体構造に進化・機能的類縁関係が認められない場合、その立体構造には分子内点対称性がある」という「対称性ルール」を発見した(郷)。ポリメラーゼと転写因子に共通して見られるりん酸結合モジュール、ペルオキシダーゼの基質特異性を決定するモジュールを発見した(由良)。微細な原子レベルの類似性を同定する方法によってまったく異なった全体構造の中に共通の構造を持つ機能部位(ATP結合部位)を発見することができた(郷)。部分構造(モチーフ)を環境の情報を含んだ形でコード表現する方法を開発した(輪湖)。Thredingの評価関数(3D-1Dポテンシャル)を使ってグロビンの保存残基を解析し、Threding法による2次構造予測法の開発を行い高い精度を上げることを証明した(西川)。一方、膜タンパク質の立体構造予測では、バクテリオロドプシンの立体構造を正しく予測する方法論を確立した(美宅)。自動的に高精度でホモロジーモデリングをするプログラムシステムの構築を完成させた(梅山)。
    デザイングループ(石森、四方):カタラーゼに対するランダムなアミノ酸変異の実験から、熱安定性、活性、はアミノ酸置換に対して極めてrobustであり、進化工学的機能最適化は、鎖長を長くすることによる配列空間の増大により、飛躍的な向上をもたらすことができることが分かった(四方)。モジュールを入れ替えたヘモグロビンのキメラタンパク質(モジュール置換タンパク質)の機能・構造を研究によって、ヘモグロビンの機能はモジュールを構造単位として実現していることが示された(石森)。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 07280101
  • 複合酵素活性を有するキメラ型金属蛋白質の分子設計とその反応性
    科学研究費助成事業
    1996年 - 1997年
    石森 浩一郎
    本研究課題では、複合活性をもったキメラ型新規蛋白質について次の2点を中心に研究を行った。
    1)天然における複合活性をもったキメラ型蛋白質、CooA蛋白質、の構造解析と機能発現のメカニズム CooA蛋白質はミオグロビン様のヘム結合部位とヘリックス-ターン-ヘリックスのDNA結合部位からなる、天然における複合活性キメラ型蛋白質と考えることができる。そのNMRスペクトルにおいては高磁場側にポルフィリン環の影響と考えられる多くのシグナルが観測され、また、その予備的な2次元NMRの結果からも、ヘム鉄へは従来指摘されていたヒスチジン以外にアルギニン残基あるいはリジン残基の配位が示唆された。一方、機能面からの評価として、配位子でありDNA結合活性を誘起する一酸化炭素の結合特性について検討を行ったところ、見かけ上の結合速度はミオグロビンなどの他のヘム蛋白質類と大きくは変わらないものの、ナノ秒以下の領域での再結合の割合が異常に大きく、ヘム鉄周辺の大きな立体障害が存在することが示された。このことは立体障害の大きな部位に一酸化炭素が結合することにより周辺の蛋白質構造も大きく変化し、その結果、DNA結合部位が形成されるという分子機構を示唆している。
    2)モジュール置換を利用したキメラ型新規蛋白質の分子設計 グロビン蛋白質の系統的なモジュール置換により、従来提唱されているモジュールがさらに小さな構造単位「サブ-モジュール」に分割できることを明らかにした。この新たな「サブ-モジュール」のうち、ヘムに配位している近位ヒスチジンを含む20残基程度の領域は「ヘム結合モジュール」としてヘム近傍の構造、とくにヘムの電子状態やヒスチジンの配位構造を決定されることを示した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 京都大学, 08458175
  • 高圧多次元NMR法の開発と応用
    科学研究費助成事業
    1995年 - 1997年
    森島 績, 高橋 聡, 石森 浩一郎
    本研究課題による主な研究成果は以下の通りである。
    1)高圧多次元NMR法の測定条件の検討 本申請者らが従来応用してきたガラスキャピラリー(内径1mm以下)を用いて多次元NMRが測定可能かどうか検討した。常圧下での実験の結果、試料濃度10mM以上、積算時間約数十時間でプロトン核の2次元NMRが測定可能であることが結論づけられた。しかし、現有のプローブではプローブの底が浅く、従来用いていたガラスキャピラリーをそのまま使用することは不可能で、プローブ底の改造が必要であることがわかった。増圧機から直接耐圧試料管に圧力を伝達する方式も検討したが、実現は困難であった。
    2)高圧レーザーフラッシュフォトリシスを用いた蛋白質の動的特性の解析 圧力は蛋白質構造の「揺らぎ」に摂動を与え、配位子結合反応などの動的特性に影響を与えることが知られている。そこで、ヘム蛋白質(ミオグロビン)における酵素やCOなどの配位子結合反応の分子機構を明らかにするため、高圧下でのレーザーフラッシュフォトリシスを検討した。その結果、ヘム近傍の疎水性アミノ酸残基がヘムポケット内の疎水性を調節することによって、配位子結合を制御していることが明らかになった。また、蛋白質中の電子移動反応についても同様に構造の「揺らぎ」の効果を検討するため、高圧下でのレーザーフラッシュフォトリシスを応用した。その結果、電子移動反応における移動経路や自由エネルギー差が蛋白質構造の「揺らぎ」によって影響され、反応速度が制御されうることを示した。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 京都大学, 07558215
  • モジュール置換に基づく新機能ヘム蛋白質分子の設計と合成
    科学研究費助成事業
    1995年 - 1997年
    森島 績, 高橋 聡, 石森 浩一郎
    本研究課題で得られた主な研究成果は以下の2点である。
    1)グロビン蛋白質間及びペルオキシターゼ類間でのモジュール置換ヘモグロビンサブユニット間、ヘモグロビンサブユニットとミオグロビン間、西洋わさびペルオキシターゼとシトクロムcペルオキシターゼ間でモジュール置換を行い、そのモジュール置換グロビンの構造安定性、構造解析、会合特性、酵素活性などのキャラクタリゼーションを行った。その結果、モジュール置換は多くの場合蛋白質構造の著しい不安定化をもたらし、期待される構造や機能の発現に至らなかった。このことは、構造、機能変換を目指したモジュール置換においては単にモジュールを交換するだけではなく、モジュール間の相互作用も十分考慮する必要があることを示している。
    2)グロビン蛋白質における新たなモジュール構造の同定従来のモジュールの境界面とは異なった部位を境界面とする、新たなアミノ酸配列の単位でグロビン鎖の組換えを行ったところ、従来提唱されていたモジュールは最小の構造単位ではなく、さらにそれぞれのモジュールが2個に分割できることを実験的に示唆することができた。そこで実際に、従来の約半分の長さのアミノ酸配列の単位(サブモジュール)のうち、ヘム鉄に配位したヒスチジンを含む領域(サブモジュールm6)に注目し、いくつかのサブモジュールm6置換グロビン蛋白質を作製したところ、このサブモジュールm6の置換はヘムの電子状態やヘム鉄に配位したヒスチジンの配向に大きな影響を与えることが明らかになった。このことはサブモジュールm6が「ヘム結合モジュール」というべき構造単位であることを示している。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 京都大学, 07409003
  • モジュール置換グロビン蛋白質の多量体化機構
    科学研究費助成事業
    1994年 - 1995年
    石森 浩一郎
    本研究課題では、天然界での蛋白質分子の分子進化における重要な過程であるエクソンシャッフリングを新たな蛋白質分子の設計に応用することを最終的な目的として、グロビン蛋白質におけるモジュール置換を系統的に行ない、単量体で存在するミオグロビン(Mb)とHbのサブユニット間にモジュール置換を行うことにより、グロビン蛋白質の多量体化機構とモジュール置換グロビン蛋白質の構造解析を試みた。作製を試みたMbとHbとのモジュール置換グロビン蛋白質は、M1からM3までがMb、M4にHbのモジュールを置換したMbMbα、MbMbβと、その逆の組み合わせのααMb、ββMbで、このうちββMbに関しては蛋白質の発現が認められなかったが、残りの3種類のモジュール置換グロビン蛋白質は、ヘムと定量的に結合し、ミオグロビン様のグロビン蛋白質を形成した。MbMbαは構造が不安定で、一部疎水性残基が露出しているためか、それ自身では非特異的な会合を示していたが、MbMbβ、ααMbはそれ自身で二量体を形成することが明らかとなった。さらに天然サブユニットとの会合特性は、いずれも天然βサブユニットと特異的にかつ安定に会合し、二量体を形成した。このことは、会合特性を持たないMbにHbのモジュールを導入することで、特異的にサブユニットを認識して会合する特性が付与できることを示している。しかし、熱変性や、円二色性の測定より、MbMbα以外のモジュール置換グロビン蛋白質においても二次構造の減少は顕著で、天然サブユニットに比べ蛋白質としての安定性は大きく低下していることが明らかになった。さらに詳細な検討を行うため、NMRを用いた構造解析を試みたが、これらモジュール置換蛋白質の高濃度領域での不安定性から、十分な結果は得られなかった。以上の結果は、新たな機能を持つ蛋白質の分子設計において、モジュール構造は基本となるものの、構造安定化のための処理、例えば部位特異的アミノ酸置換や他の蛋白質との会合体形成などが必要であることを示している。
    日本学術振興会, 一般研究(C), 京都大学, 06808058
  • モジュール置換による新規金属蛋白質の分子設計
    科学研究費助成事業
    1993年 - 1993年
    石森 浩一郎
    蛋白質の立体構造の詳細な検討から、多くの蛋白質は、モジュールと呼ばれる構造的にほぼ独立した部分の集合体であることが明らかになってきている。しかし、そのモジュール構造と蛋白質全体の構造と機能との相関についての実験的研究はほとんど報告されていない。本研究では金属蛋白質のうち、モジュール構造をとることが知られているミオロビン、ヘモグロビンなどのグロビン蛋白質に注目し、そのモジュール置換により、新規な構造や機能の分子設計、とくに多量形成能と酸素親和性の制御について検討をおこなった。
    天然のミオロビンやヘモグロビンの単離鎖(alpha,beta)は単独では安定な多量体構造をとれないのに対し、2種のヘモグロビンの単離鎖を混合することによりalpha2beta2型の安定な四量体構造が形成される。立体構造とアミノ酸配列からモジュールF4がサブユニット会合に関与していることが示唆されており、実際、我々の従来の研究から天然のbeta鎖のモジュールF4をalpha鎖のものに置換したChimera-betaalphaグロビンは、天然のbeta鎖と特異的に結合し、Chimera-betaalpha2beta2型四量体が生成することを見いだしてきた。今回、これらモジュール置換蛋白質の機能を詳細に検討することにより、Chimera-betaalpha2beta2型四量体が生成する際には、天然での四量体形成時(alpha2beta2)と同様に、酸素親和性が低下することが確認でき、このことはモジュールF4は単に蛋白質を会合させるだけでなく、会合体の機能をも制御することが明かとなった。さらに、単量体でしか存在しないミオグロビンを多量化するため、ヘモグロビンのモジュールF4を含むモジュール置換ミオグロビン2種(Chimera-Mbalpha,Chimera-Mbbeta)を設計し、単離、生成することに成功した。現在、その会合特性と機能変化を検討している。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 京都大学, 05858089
  • 高圧下レーザーフォトリシス法によるヘム蛋白質の構造と機能の動的解析
    科学研究費助成事業
    1991年 - 1992年
    森島 績, 石森 浩一郎, 渡辺 芳人
    本研究では、以下の4点について研究を行なった。
    1 アミノ酸置換ミオグロビンにおける配位子結合反応の動的解析 ヘム近傍の疎水性アミノ酸残基は、ヘム蛋白質の配位子結合反応に大きな役割を果たしているものと考えられている。疎水性クラスターを形成する29位のロイシンを立体障害の異なる他のアミノ酸に置換すると、一酸化炭素結合の活性化体積の符号が異なり、これは29位のアミノ酸残基の立体障害の変化により、反応機構が変化することを意味している。
    2 チトクロームP450における配位子結合反応の動的解析 基質と配位子との相互作用を明らかにするため、基質の有無や種類による配位子結合反応の圧力依存性の変化を検討した。その結果、基質の有無や種類によって活性化体積の符号は大きく変化し、基質と配位子との相互作用が配位子結合機構に大きな影響を与えることが明らかとなった。
    3 高圧および常圧における分光法を用いた構造的解析 ヘモグロビン単離鎖の高圧NMR、高圧吸収スペクトルを測定し、その構造変化を配位子結合反応の結果と相関させた。高圧NMRおよび高圧吸収スペクトルの結果からβサブユニットの方がαサブユニットに比べ、圧力に対して敏感でより大きな構造変化が誘起されることが明らかになった。
    4 高圧下レーザーフォトリシス法を用いた蛋白質内電子移動過程の圧力効果 電子伝達系のモデルとしてルテニウム錯体でアミノ酸を修飾した亜鉛置換ミオグロビンを用いた。ヘム鉄から約10A離れているヒスチジン48を修飾したミオグロビンの電子伝達速度の活性化体積は約+1m1/mol、また、約20A離れているヒスチジン81を修飾した場合には活性化体積、約+11m1/molであることが明らかとなった。このように活性化体積の値が大きく異なることから、両者の電子伝達の機構は大きく異なっていることが考えられた。
    日本学術振興会, 一般研究(B), 京都大学, 03453009
  • 色素置換ヘム蛋白質における光電子移動反応の動的制御
    科学研究費助成事業
    1990年 - 1990年
    森島 績, 石森 浩一郎
    本年度は亜鉛置換ミオグロビンにおける光誘起電子移動反応について検討を行なった。電子移動反応はアミノ酸に部位特異的に結合させたルテニウム錯体と亜鉛ポルフィリンの間で行なわせ、その電子移動過程の速度と活性化体積を求めた。ポルフィリン中心から約15オングストロ-ム離れたヒスチジン48にルテニウム錯体を結合させたときの電子移動速度は約5_x10^4s^<ー1>、活性化体積は約1cm^3mol^<ー1>であるのに対し、20オングストロ-ム離れたヒスチジン81にルテニウム錯体を結合させたときの電子移動速度は約50s^<ー1>と非常に遅くなり、一方、活性化体積は約11cm^3mol^<ー1>と非常に大きな値を示した。電子移動過程の速度は電子移動反応の起こりやすさ、つまり、電子移動に適した蛋白質構造への変化のしやすさを示しており、速度の遅い遠距離間の電子移動では電子移動に適した蛋白質構造になりにくいことを示唆している。活性化体積は一般には蛋白質の動的な構造変化を反映しており、本研究の結果は電子移動の距離や位置環境によって電子移動の際の蛋白質の動的構造変化が大きく異なることを示している。特に、電子移動時の活性化体積が正の符号を持つことは、電子移動に伴う蛋白質の構造変化が体積の増加する方向にあることを示しており、電子伝達のメカニズムを考えるうえで非常に興味深い。今回用いたミオグロビンはウマ由来のものであるが同時にアミノ酸置換を施したヒトのミオグロビンについても同様な実験を行なっており、さまざまな電子移動距離、位置環境にあるヒスチジン残基を導入し、その電子移動速度と活性化体積を評価することにより蛋白質内における電子移動反応のメカニズムに対して検討する予定である。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 京都大学, 02250222
  • 人工変異体を用いたヘモグロビン生理機能発現機序の研究
    科学研究費助成事業
    1989年 - 1990年
    今井 清博, 石森 浩一郎, 宮崎 源太郎, 渡邉 学
    組換えDNAを用いた部位特異的変異導入法によって、特定のアミノ酸の置換を有する人工変異ヘモグロビンを大腸菌を使って合成し、それらの酸素結合機能、光吸収スペクトル、プロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトル、共鳴ラマン散乱などを測定することによって、へモグロビンのアステリック生理機能発現にとって鍵となるアミノ酸残基の役割を実験的に検証した。
    合成した変異へモグロビンは、β鎖内の三次構造の変化を引き起こす役割を果たすと考えられているTyrー145βをPheに置換したHb Y145βF、α1ーβ2界面にあって、T状態でAspー94αと水素結合を形成し、T状態を安定化するTrpー37βをPheに置換したHb W37βF、ヘム鉄の第五配位子の座を占める近位His(92β)をValまたはAspで置換したHb H92βV、Hb H92βDの合計4種である。グロビン遺伝子への変異導入、グロビン遺伝子の発現には、M13ファ-ジ・大腸菌の系を用いた。
    Hb Y145βFの酸素結合機能の変化(酸素親和性、Bohr効果、協同効果、イノシトル六燐酸の効果)は比較的おだやかであったが、Hb W37βFのそれは著明であった。紫外域光吸収、NMR、共鳴ラマンスペクトルなどによる高次構造のデ-タは、概ね機能変化のデ-タと一致した。その結果、Tryー145βの役割としては、Aspー94βと水素結合を形成することよりも、それのフェノ-ル基がチロシンポケットに収まる大きさを持つことが重要であること、Hb w37βFの機能変化は、二量体への部分的解離による可能性が指摘された。
    Hb H92βV、Hb H92βDの機能変化も著明であった。近位Hisを中性または陰性荷電の残基で置換すると、アロステリック効果がほぼ消失するが、M型Hbとは異なり、変異鎖のヘム鉄を2価の状態に維持することができた。
    日本学術振興会, 一般研究(C), 大阪大学, 01570045
  • 高圧下におけるNMR、分子分光併用測定法の開発とその応用
    科学研究費助成事業
    1987年 - 1989年
    森島 績, 石森 浩一郎
    本年度は本研究の最終年度として、試作に成功した四ツ窓付きレ-ザ-フォトリシス高圧セルを用いて、ヘム蛋白質の酸素、一酸化炭素の再結合反応速度の圧力依存性に関する詳細な測定実験を行った。本年度は特に、単離したα鎖、β鎖(ヘモグロビン)とCOの結合反応の圧力依存性を詳細に検討した。α、β鎖のCO結合体にレ-ザ-光を照射すると、COが解離した後ヘム鉄に再結合する。このCO再結合反応はナノ秒およびミリ秒の二つの時間領域で観測され、それぞれCOが蛋白質内部再結合する反応、COが蛋白質外部(溶媒)から再結合する反応に対応している。先ず加圧に併ってCOは蛋白質内部で再結合する割合が大きくなった。各素過程の圧力依存性からこれら素反応過程についての活性化体積が見積られた。これより、α、β鎖ともにCOが蛋白質内部に入る際には一旦体積が増加した後、減少することが分かった。この反応に伴う体積変化は、昨年度行ったミオグロビンと酸素の結合反応にも観測されており、ヘモグロビン、ミオグロビンに共通した挙動と考えられる。また、α鎖とβ鎖を比較するとの鎖の方は1モル当り16cm^3だけ体積が増加した後、11cm^3減少する。それに対し、β鎖の方は12cm^3増加後、7cm^3減少とα鎖の方が変化量が大きいことが分かった。このようなα鎖とβ鎖の違いはヘム近傍構造の違いを反映していると考えられた。
    日本学術振興会, 試験研究, 京都大学, 62840013
  • Structural and Functional Characterization of Metalloproteins and Its Molecula Design               
    1983年
    競争的資金

主な担当授業

  • 自主研究Ⅰ, 2024年, 学士課程, 国際
  • 大学院共通授業科目(一般科目):複合領域, 2024年, 修士課程, 大学院共通科目
  • 物理化学先端講義, 2024年, 修士課程, 総合化学院
  • 基礎物理化学特論, 2024年, 修士課程, 総合化学院
  • 大学院共通授業科目(一般科目):自然科学・応用科学, 2024年, 修士課程, 大学院共通科目
  • 化学実験Ⅳ, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 化学実験C, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 化学実験D, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 物理化学Ⅲ, 2024年, 学士課程, 理学部