古屋 正人 (フルヤ マサト)

理学研究院 地球惑星科学部門 地球惑星ダイナミクス分野教授
北極域研究センター教授
Last Updated :2025/11/06

■研究者基本情報

Researchmap個人ページ

研究者番号

  • 60313045

Researcher ID

  • E-1296-2011

研究キーワード

  • 極端気象
  • 重力
  • 火山
  • 地震
  • InSAR
  • 永久凍土
  • 電離層
  • 氷河
  • 地球回転
  • 地殻変動
  • 合成開口レーダー
  • 宇宙測地学

研究分野

  • 自然科学一般, 宇宙惑星科学
  • 環境・農学, 環境動態解析
  • 自然科学一般, 大気水圏科学
  • 社会基盤(土木・建築・防災), 防災工学
  • 自然科学一般, 固体地球科学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2012年01月 - 現在
    北海道大学 大学院 理学研究院, 地球惑星科学部門, 教授, 日本国
  • 2007年10月 - 2011年12月
    北海道大学 大学院 理学研究院, 地球惑星科学部門, 准教授, 日本国
  • 1999年04月 - 2007年09月
    東京大学, 地震研究所, 助教, 日本国
  • 2003年08月 - 2005年07月
    コロラド大学ボルダー校, 物理学科, 客員助教, 文部科学省在外研究員(+CIRES Visiting Fellow 2004-2005), アメリカ合衆国
  • 1997年04月 - 1999年03月
    郵政省通信総合研究所, 研究官, 日本国

学歴

  • 1997年, 東京大学, 理学系研究科, 地球惑星物理学専攻, 日本国
  • 1997年, 東京大学, Graduate School, Division of Science
  • 1992年, 東京大学, 理学部, 日本国
  • 1992年, 東京大学, Faculty of Science

委員歴

  • 2023年10月 - 現在
    Progress in Earth and Planetary Science, ジャーナル編集委員, 学協会
  • 2017年10月 - 現在
    日本学術会議地球惑星科学委員会IUGG分科会IAG小委員会, 委員長, 学協会
  • 2023年10月 - 2029年09月
    日本学術会議 第26,27期, 連携会員, 政府
  • 2023年07月 - 2027年07月
    国際測地学協会 執行委員会, Member-At-Large, 学協会
  • 2017年10月 - 2023年09月
    日本学術会議 第24,25期, 連携会員, 政府
  • 2021年03月 - 2021年06月
    European Space Agency, Fringe 2021 Workshop, Science Committee Member, その他
  • 2016年07月 - 2020年12月
    Earth Planets Space, Vice Editor-in-chief, 学協会
  • 2016年05月 - 2018年03月
    IAG-IASPEI2017, LOC member, 学協会
  • 2016年11月 - 2017年06月
    European Space Agency, Fringe 2017 workshop, Scientific Committee, 学協会
  • 2007年08月 - 2015年06月
    Journal of Geodesy, Editorial board member, 学協会
  • 2014年06月 - 2015年03月
    European Space Agency, Fringe 2015 workshop, Scientific Committee, 学協会
  • 2011年02月 - 2011年09月
    European Space Agency, Fringe 2011 workshop, Scientifc Comittee, 学協会
  • 2006年 - 2010年
    日本火山学会, 編集委員, 学協会
  • 2010年
    日本測地学会, 評議員, 学協会
  • 2007年 - 2008年
    日本測地学会, 評議員, 学協会
  • 2008年
    日本地球惑星科学連合, 代議員, 学協会
  • 2007年
    日本測地学会, 編集委員, 学協会

■研究活動情報

受賞

  • 2025年06月, Springer Nature, Author Service Award 2025 (Progress in Earth and Planetary Science)               
    Masato Furuya
  • 2025年03月, Earth Planets and Space, Highlighted Papers 2024               
    Can we explain the post-2015 absence of the Chandler wobble?
    Ryuji Yamaguchi;Masato Furuya
  • 2024年10月, 日本測地学会, 日本測地学会 坪井賞(団体賞)               
    国内のSAR利用研究の拡大
    PIXEL (PALSAR Interferometry Consortium to;Study our Evolving Land surface) 古屋正人;青木陽介;小澤拓;田中明子;福島洋;安藤忍;高田陽一郎;奥山哲;木下陽平
  • 2021年05月, 日本火山学会, 日本火山学会論文賞               
    Precursory ground deformation of the 2018 phreatic eruption on Iwo-Yama volcano, revealed by four-dimensional joint analysis of airborne and spaceborne InSAR, Earth Planets Space, 72, 1, doi:10.1186/ s40623-020-01280-5.
    成田翔平;小澤拓;青木陽介;島田政信;古屋正人;高田陽一郎;村上亮
  • 2010年, エスペック環境研究奨励賞               
    日本国
  • 2007年, International Association of Geodesy, Guy Bomford Prize               
    Masato Furuya
  • 2004年, The Volcanology Society of Japan, 日本火山学会論文賞               
    Mass Budget of the Magma Flow in the 2000 Volcano-Seismic Activity at Izu-Islands, Japan, Earth, Planets & Space, 55, 375-385, 2003.
    Furuya, M.;S. Okubo;F. Kimata;R. Miyajima;I. Meilano;W. Sun;Y. Tanaka;T. Miyazaki, 日本国
  • 2000年, The Geodetic Society of Japan, 日本測地学会坪井賞               
    日本国

論文

その他活動・業績

書籍等出版物

  • リモートセンシング事典               
    古屋正人, 7-11 氷河の流動と変動
    日本リモートセンシング学会, 2022年12月, 9784621307762, [分担執筆]
  • 図説地球科学の事典               
    古屋 正人, 5.7 地球回転
    朝倉書店, 2018年04月, [分担執筆]
  • 地形の辞典               
    古屋 正人
    朝倉書店, 2017年02月, [分担執筆]
  • 地球惑星科学入門、第1章               
    古屋 正人
    北海道大学出版会, 2010年, [分担執筆]
  • マグマダイナミクスと火山噴火               
    古屋 正人
    朝倉書店, 2002年, [分担執筆]

担当経験のある科目_授業

  • 一般教育演習「だいち」で地球を観る               
    北海道大学
  • 宇宙測地学               
    北海道大学理学部地球惑星科学科

所属学協会

  • 日本雪氷学会               
  • 日本気象学会               
  • 日本地震学会               
  • 日本火山学会               
  • 日本測地学会               
  • Japanese Geoscience Union               
  • American Geophysical Union               
  • The meteorological society of Japan               
  • The seismological society of Japan               
  • The volcanological society of Japan               
  • The geodetic society of Japan               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 森林火災跡の永久凍土融解マッピングと陸面環境変化の現地調査
    科学研究費助成事業
    2023年04月01日 - 2028年03月31日
    古屋 正人, 石川 守, 岩花 剛, 柳谷 一輝
    永久凍土の融解により凍土中に封じ込められていた炭素(C)が再放出することによって、さらなる温暖化を生み出す可能性がPermafrost Carbon Feedbackとして懸念されているが、その実態は不明な点が多い。地上気温が徐々に上昇することに伴う凍土融解(Gradual thaw)と山火事等による地表擾乱に伴う急で突発的な凍土融解(Abrupt thaw)がありうる中で、前者はモデル予測がしやすいのに対し、後者は文字通りどこで起きるかもわからない。本研究では人工衛星搭載の合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar:SAR)の観測を通じて後者の定量化を目指している。対象領域として、ロシアのサハ共和国バタガイ、米国カナダ国境にあるユーコン準州ビーバークリーク、カナダのノースウェストテリトリでの森林火災跡地での融解沈下をSAR画像を用いた干渉法(Interferometric SAR:InSAR)で検出して、時空間変動を調べた。
    バタガイとビーバークリークにおいては、ALOS-2の高分解能画像(約3m)で調べることによって、現地調査との対応も詳細に調べている。Yanagiya et al (2023)で報告したバタガイの2018年火災跡では、2020年以降の3年間で最大20cmの沈降を検出した。時系列解析の結果によると、晩夏にステップ状に沈降を起こしていることが分かる。ただし、火災後内部での沈降分布は不均一が高い。
    2023年8月にも前年に引き続き、ビーバークリークの2019年火災跡地で現地調査を実施した。620メートルの観測線を設定し、30メートルおきに融解深をメタルプローブで測定した。観測線の南端で気温計、地温計を設置するとともに、隣接する非火災跡地のコントロールサイトでも同様の測定を実施した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23K25947
  • 森林火災跡の永久凍土融解マッピングと陸面環境変化の現地調査
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2023年04月 - 2028年03月
    古屋 正人, 石川守, 岩花剛, 柳谷一輝
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 23H01251
  • ALOS4ice: 衛星SAR画像による先端的極域観測サイエンス
    特別共同研究
    2024年04月 - 2027年03月
    国立極地研究所, 国立極地研究所, 研究代表者, B24-01
  • カービング氷河の末端プロセスと変動メカニズム -湖と海で何が違うのか-
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2020年04月 - 2025年03月
    杉山 慎, 菅 浩伸, 古屋 正人, 青木 茂
    前年度に引き続き、2021年度もCOVID-19の影響を受けて、チリおよびアルゼンチンでの氷河観測が実施できない状況となった。そこで当初の計画を一部変更して、南極における野外観測を実施すると共に、人工衛星データを使った解析に力を入れた。その結果、南極のカービング氷河における重要な観測データが得られた他、既存のデータと衛星データの解析で論文出版と学会発表の成果が挙がった。
    (1) 野外観測: 2021年12月から2022年1月にかけて、南極ラングホブデ氷河で熱水掘削を含む観測を実施して、カービング氷河の底面観測に成功した。当初計画とは異なる地域、異なる手法による観測であるが、氷河氷床と海洋の相互作用解明につながる重要なデータが得られたと考えている。このほか、パタゴニアでの氷河・氷河湖・海洋調査に向けて、観測機器の調査と準備を行った。特にマルチビームソナーを使った観測に関して、専門業者への観測委託の検討が進んだ。
    (2) データ解析: 過去にチリ・グレイ氷河の前縁湖で測定した水温と流速データを解析して、氷河排水が氷河湖の水温季節変動に与える影響を明らかにした。また人工衛星データの解析によって、パタゴニア西部グレーベ湖で2020年に起きた急激な水位低下を発見した。詳しい解析の結果、この現象が近年では世界最大の氷河湖排水イベントであることが判明した。
    (3) 論文出版・学会発表:グレイ湖で測定した通年の水温変化をNature Communications誌に出版した他、氷河湖排水イベントをCommunications Earth & Environment誌に投稿中。COVID-19の影響で海外における学会発表は困難となり、国内での学会で成果を発表した。
    (4) 研究会合:10月にオスロ大学の研究者とオンラインでワークショップを開催した他、研究チームでの小規模な会合を適宜開催した。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 研究分担者, 20H00186
  • 永久凍土地帯における森林火災後の地盤変動:時空間変化の検出とモデリング               
    科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般)
    2019年04月 - 2022年03月
    古屋 正人
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 合成開口レーダー干渉法InSARで見る大気圏の極端現象
    科学研究費助成事業
    2018年04月 - 2020年03月
    古屋 正人
    【課題A】集中豪雨/雷雲へのInSAR Split-Spectrum-Method(SSM)の適用と位相モデルの検討
    今年度はALOS2によるInSARで5つの豪雨事例に伴う水蒸気分布を捉えた:鹿児島県(2018年7月3日)、高知県(2018年8月15日)、兵庫県(2018年6月29日)、大阪府(2018年5月13日)、近畿地方での台風21号Jebi(2018年9月4日).鹿児島県、高知県のデータからは降雨レーダーの降水分布に対応した顕著な水蒸気分布の異常が見出された.Split-Spectrum-Method(SSM)を適用した結果もほぼ非分散性位相に起因しているが,前年度に報告した事例と同様,分散性成分の方にも豪雨発生域に異常位相が有意に残っており、降水粒子を検出している可能性がある.
    【課題B】電離層擾乱へのInSAR SSM の適用
    ALOS2のScanSARモード画像を用いて広域の電離層擾乱の検出を試みた.スポラディックE(Es)は日本域では夏の昼間の発生頻度が高く,ALOS2 ScanSARの撮像時刻がマッチせずInSARで検出できるには至らなかったが,伝搬性の電離層擾乱は明確に捉えられた.
    ALOS1データを用いて、新たに広島/岡山付近のEsイベント(2010年6月26日)を検出した.SSMを用いた電離層起源の分散性位相とそれ以外の非分散性位相に概ね分離できるが,分離前には異常が見られない箇所で分散性/非分散性位相のそれぞれに新たに異常が現れ、しかも分散性/非分散性位相で打ち消し合う結果が見られた.Es発生時以外では同様のシグナルが見られないこと、これまでのEs検出例でも同様の事例があることから,Es時に特有の「現象」である可能性がある.
    文部科学省:科学研究費補助金(新学術領域研究(研究領域提案型)), 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18H04435
  • 東シベリア平原の森林火災に伴う地盤変動の時空間変化の検出とモデリング               
    共同推進研究
    2018年04月 - 2019年03月
    古屋 正人
    北極域研究共同研究拠点研究者コミュニティー推進事業, 研究代表者, 競争的資金
  • 電離層補正を考慮したInSARによる永久凍土域の地盤変動検出               
    共同推進研究
    2017年04月 - 2018年03月
    古屋 正人
    北極域研究共同研究拠点研究者コミュニティー推進事業, 研究代表者, 競争的資金
  • InSARによる永久凍土地域の地盤変動モニターに向けた電離層補正手法の確立
    共同推進研究
    2016年04月 - 2017年03月
    古屋 正人
    北極域研究共同研究拠点研究者コミュニティー推進事業, 研究代表者, 競争的資金
  • カービング氷河の急激な後退に氷河流動が果たす役割
    科学研究費助成事業
    2011年04月01日 - 2015年03月31日
    杉山 慎, 澤柿 教伸, 内藤 望, 古屋 正人, 榎本 浩之
    本研究では、人工衛星データの解析と現地観測によって、パタゴニアと南極半島におけるカービング氷河の変動とそのメカニズム解明に取り組んだ。その結果、南パタゴニア氷原における1984年以降の氷河変動を定量化し、近年の氷河後退と流動変化の関係を明らかにした。また氷河湖の底面地形と水塊構造を測定し、湖が氷河変動に果たす役割を示した。さらに南極半島のカービング氷河を熱水掘削することによって、氷河底面の水理環境と氷河流動の関係を明らかにした。以上の成果は、特に研究の進んでいないパタゴニア・南極半島地域におけるカービング氷河の変動と、そのメカニズムの理解を推し進めるものである。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23403006
  • 衛星リモートセンシングによる氷河サージの時空間変化の検出
    科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
    2012年04月 - 2015年03月
    古屋 正人
    「氷河サージ」とは氷河の流速が平時に比べ数10倍以上も上昇して末端が前進する現象である.しかし数10年以上の静穏期を経て発生する稀な現象でデータが乏しく,発生機構は氷河学上の未解決問題の一つである.ここでは人工衛星搭載の合成開口レーダー(SAR)データを利用し,氷河の表面流動速度の時空間的変化を調べ,発生機構の解明を目指した.成果の一つは,西クンルン山脈での氷河サージの発見で,5年以上継続しつつも秋から冬にかけての加速する季節的変調を初めて検出した.またカナダユーコン域の静穏期のサージ型氷河でも冬期加速を発見した.表面融解しない時期でも加速する事実は,氷体内部での融解水の滞留と移動を示唆する.
    文部科学省, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 24651001
  • 人工永久散乱体を用いたSAR干渉解析により活火山のマグマ上昇過程を解明する
    科学研究費助成事業
    2009年 - 2011年
    及川 純, 古屋 正人, 井口 正人, 青木 陽介, 綿田 辰吾
    干渉合成開口レーダー(InSAR)は様々な地殻変動の解析に用いられている.特に面的な地殻変動を捉えるには最も有効な手法である.本研究では,国内で最も活発な火山の一つである諏訪之瀬島において,InSARを用いて地殻変動を観測したが,火山活動が活発だったにも関わらず明瞭な地殻変動は無かった.諏訪之瀬島に代表されるような開口系火道を持つマグマ供給システムの性質ではないかと考えられるが,これを実証する為にも,さらに精度のよい観測研究を行う必要がある.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 東京大学, 21540432
  • 時間変化する重力でみる学際的地球科学
    科学研究費助成事業
    2008年 - 2010年
    日置 幸介, 古屋 正人
    2010年2月のチリ地震に伴う重力変化をGRACE衛星データから検出した(Heki & Matsuo,2010 GRL)。これはスマトラ地震に続き世界二例目である。また地球温暖化に伴うアジア高山域(特にヒマラヤ山脈)の年間40Gtに及ぶ山岳氷河の縮小をGRACE衛星データから定量的に求めた(Matsuo & Heki,2010 EPSL)。しばしばGRACEデータに現れる重力変化の加減速の原因が降水量の直線変化であることを突き止めた(Ogawa et al.,2011 GJI)。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 20540402
  • InSARによる陸域プレート境界の変形様式の解明
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2007年 - 2009年
    古屋 正人, 高田 陽一郎
    陸域プレート境界やその周辺で発生した国内外の内陸地震に伴う地殻変動を,合成開口レーダー(SAR)で検出した.いずれの事例でも速報的に得られる震源情報からは予想出来ない意外な地殻変動シグナルが得られ,SARが無ければ見逃されていたであろう.アフガニスタンのチャマン断層では,マグニチュード5の地震の後に1年以上も余効滑りが続いた.1996年鬼首,2007年中越沖,2008年岩手宮城内陸,2008年于田(チベット),2008年〓川(四川省)のいずれの地震でも,一枚の矩形断層で滑り分布を考慮しても説明できない複雑な地殻変動が検出された.複数枚の断層面,傾きや走向の変化,面自体の屈曲といった形状の複雑性が内陸地震では普遍的に存在する可能性が示された.鬼首地震と中越沖地震では本震断層とは離れたところにも顕著な変動シグナルを検出し,非地震性の断層運動で説明した.
    文部科学省, 基盤研究(B), 東京大学->北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 19340123
  • 2008年中国四川省の巨大地震と地震災害に関する総合的調査研究
    科学研究費助成事業
    2008年 - 2008年
    小長井 一男, 千木良 雅弘, 塩原 等, 平田 直, 桑原 保人, 古屋 正人, 孫 文科, 池田 安隆, 渥美 公秀, 釜井 俊孝, 福岡 浩, 汪 発武, 高橋 良和, 大町 達夫, 川島 一彦, 河野 進, 壁谷澤 寿海, 中埜 良昭, 宮澤 理稔, 飛田 幹男, 島田 政信, 狩野 謙一, 林 為人, 多々納 裕一, 矢守 克也, 梶谷 義雄, 塩原 等
    2008年5月12日に中国四川省汶川県付近を震源とするマグニチュード(M)7.9(米国地質調査所)の内陸巨大地震が発生し、死者7万人、行方不明者2万人に達すると推定される甚大な被害がもたらされた。この地震を引き起こした断層の長さは280km程度と推定され、内陸部で発生した地震としては最大級の地震である。我が国の内陸部でも、これまでに、M8級の巨大地震として1891年濃尾地震が発生し、7200名余の死者を出し、今後もM8級の地震が発生する可能性が指摘されている(糸魚川―静岡構造線断層帯、富士川河口断層帯や中央構造線断層帯など)。しかし、近年発生した最大規模の被害地震は平成7年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で、M7.3、断層の長さ50km程度であり、M8級の巨大地震の発生機構は十分に明らかにされていない。また今回の地震では断層沿いの山地に大量の不安定な土石が残されていて、下流域にとって土石流などの深刻な不安材料となっている。強烈な揺れへの対応とあわせ、長期に及ぶ復興の課題に資する科学的調査もまた重要である。このような理学・工学そして社会対応に至るまであらゆる局面から本地震の実態と、その影響を科学的に検証していくことは、我が国の内陸における巨大地震の発生機構の解明に資するのみならず、地震災害の軽減、そして合理的な復興戦略策定に資するデータを提供することに繋がり、我が国の防災戦略に役立つ。このような観点で中国地震局を正式なカウンターパートとしての共同調査を行った。主要な調査対象は(1) 斜面災害、(2) 社会基盤施設被害、(3) 建築・家屋被害、(4)地震学的分野、(5) 地殻変動、(6) 活断層、(7) 救援・復旧支援活動及び経済的影響、の7領域に及ぶ。これらの調査の中で、「だいち」(JAXA)「だいち」の緊急観測やALOS衛星画像の解析などで中国側に重要な情報を提供できた。このなかにはInSAR画像の解析や、5万㎡以上の面積の斜面崩壊分布を明らかにしたことなどが挙げられる. また, 現地調査でも衛星で確認された崩壊地で白雲岩などの炭酸塩岩に最も多くの崩壊が発生していることや、崩壊の方向に指向性があることなどを見出した. さらに社会基盤施設や建築物・家屋の崩壊について個別の調査を行い、それぞれを詳細なレポートとしてまとめている。一方で、現地は物理的にも立ち入り困難な場所があり、その被害の全貌を把握することは単年度の本研究の枠を超えて進めるべき課題で、今後の相互の学術発展のみならず有効な復旧戦略構築のためにも日中の協力の枠組みを強化することがいよいよ重要である。
    日本学術振興会, 東京大学, 20900002
  • 多重干渉SAR画像による経年性地殻変動の検出
    科学研究費補助金(若手研究(B))
    2002年 - 2003年
    古屋 正人
    今年度は(1)1996年8月に宮城秋田山形県境付近で発生した「鬼首地震」による地震時地殻変動、(2)伊豆大島火山のカルデラ域における経年的沈降の「微細構造」の検出に成功した。以下にそれぞれの概略を述べる。(1)1996年8月11日に宮城秋田山形県境付近の鬼首地域でM5.9の地震が発生した。地震そのものの規模は大きくないが震源深さが10kmよりも浅かったために,現存するGPS等の宇宙技術によって検出可能な地表変位が現れた。しかしM5.9の中規模の地震による地表変位は水平距離で10km程度にしか及ばず,山間部での地震であったためGPS受信機の空間分布は疎らなため断層モデルを推定できるほどの空間分解能では検出できていなかった。今回JERS1(ふよう1号)のデータを用いて干渉SAR解析を行い,独立な3ペアにつき地震時地殻変動を検出できた。その結果は余震分布で推定された断層モデルで概ね説明できるが,空間的な広がりの点で地震学的には説明できない変位が得られている。(2)伊豆大島カルデラにあっては,JERS1データの干渉SARによって経年的な沈降が報告されている。この事実に基づき「多重干渉SARによる経年性地殻変動検出」のテストフィールドとして伊豆大島カルデラを選び、ERS1/2による干渉SAR解析を行った。ERS1/2のデータを用いたことによって、沈降の微細構造が判明した。沈降域と過去の...
    文部科学省, 若手研究(B), 東京大学, 研究代表者, 競争的資金, 14740264
  • 球形地球における地震及び火山源によって生じる地殻変動
    科学研究費助成事業
    2001年 - 2003年
    孫 文科, 古屋 正人, 大久保 修平
    主に理論的な研究を行った:1.半無限体と均質球、そして均質球と成層構造球に対する計算された結果の比べによって、それぞれ曲率と成層構造の影響が定量的に得られました。この影響が非常に大きいことが分かりました。2.孫と大久保の球体Dislocation理論の数学的に複雑な弱点を乗り越えるために、球体地球に関するAsymptotic Dislocation理論を提出しました。この理論が曲率と成層構造の影響を含むので物理的に合理です。同時にこの理論が解析で表されるので数学的にも簡単です。3.2000年三宅島火山噴火による地殻変形をDislocation理論で研究しました。4.重力衛星によるCo-seismicジオイドと重力変化を検出できるかという問題も調べた。この研究には、重力衛星の空間解析度を考え、空間で観測できるco-seismic変形を研究し、切断変形の理論研究と数値計算を行った。5.地震によって生じる歪の計算式を導きました。これらの研究成果を日本地学関連合同大会2002、測地学会、WPGM2002年会、そして、2003年IUGG総会(札幌)などで発表しました。同時に、これらの成果を8篇の論文にまとめてJournal of Geophysical Research、Geophysical Research Letterなど雑誌に発表されました。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 東京大学, 13640420
  • 地震の繰り返しで重力変動・ジオイド高変化は累積するか?
    科学研究費助成事業
    2001年 - 2003年
    大久保 修平, 孫 文科, 古屋 正人, 日比谷 紀之
    マックスウェル粘弾性体中で起きる断層運動によって生じる重力変化・上下変位を計算する理論を完成するとともに計算コード化をすすめた。15年度には,プレート沈み込みにともなう重力および上下変位の経年変化(インターサイスミックな変化)が計算できるようになった。具体的には、プレート境界上に適切なアスペリティ分布を仮定して、それにSavageのバックスリップモデルを適用することにより、地震が繰り返す間の期間(インターサイスミック・ピリオド)における、上下変位と重力変化の時間的な推移を見積もった。この手法をフィリピン海プレートが日本列島下にもぐりこんでいる東海地方に適用した。その結果、定常的な沈降量(たとえば御前崎では年間7mm程度の沈降)は、ごく普通の粘性構造分布とアスペリティの分布を仮定すれば、上記モデルで説明可能であることが示された。一方、重力変動の方は、同じモデルでは観測量よりも有意に大きな変動((年間1.5マイクロガルの重力増)が計算された。これは、重力変動が累積しないというSavageの理論に根本的な疑問を投げかける重要な成果といえる。また、同じ計算手法を、2003年9月の十勝沖地震にともなう、重力変動の解析にも適用した。このばあいには、地震の5年前に観測されていた絶対重力データに、観測時から地震直前までに生じたであろう重力変化を加えることにより、地震直前の絶対重力値を求めることに成功した。この値を、2003年10月に実施した絶対重力観測値と比較することにより、コサイスミックな重力変動を見積もることができた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東京大学, 13440130
  • 人工衛星海面高度計と合成開口レーダーの統合運用による,新しい巨大地震像の構築
    科学研究費助成事業
    1998年 - 2000年
    大久保 修平, 古屋 正人, 日比谷 紀之
    1.干渉合成開口レーダー解析による地殻変動の解析にとって,最大の誤差要因となる水蒸気遅延について,それを気象庁領域客観解析データを用いて取り除く手法の開発を進めた.開発手法の有効性を確認するために,海洋潮汐荷重による地表変位が大きいと見積もられている朝鮮半島について干渉合成開口レーダー解析を完了した.得られた地殻変動の空間的なパターンは,解析結果と予測値とが良い一致を示したが,振幅は理論的な予測値と比べて2倍程度の大きさとなった.海洋潮汐モデルもしくは荷重グリーン関数に問題が残っていると考えられる.
    2.巨大地震によって励起される地殻変動の時間的推移を求めるために,マックスウェル粘弾性地球内におかれた点震源について,自己重力および圧縮性を考慮にいれた球対称モデルに基づき,重力・ジオイド高・上下変動を計算する手法を完成した.垂直断層上の水平横ずれ断層型の場合に実際に計算を行なった結果,弾性リソスフェア内に震源がある場合と,粘弾性アセノスフェアにある場合とで,変形の時間的な推移が大きく異なることがわかった.
    3.グローバルな内部潮汐波場の数値モデリングを行うため,北太平洋におけるM2成分の内部潮汐の分布を,プリミティブ運動方程式の3次元数値モデルを利用して調べた.その結果,大振幅の内部潮汐が,インドネシア諸島・ソロモン諸島・アリューシャン諸島の海山,東シナ海の大陸棚斜面,伊豆・小笠原海嶺やハワイ海嶺といった卓越した海底地形上において励起されている様子が再現された.とくに,ハワイ海嶺付近のM2内部潮汐の空間分布について,この数値計算によって再現されたものと,Topex/Poseidonの海面高度計データから検出されたものとがよく一致していることが確認された.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東京大学, 10440126
  • 主として測地学による地球惑星ダイナミクスの観測的理論的研究               
    1997年
    競争的資金