宮内 泰介 (ミヤウチ タイスケ)

文学研究院 人間科学部門 地域科学分野教授
社会科学実験研究センター教授
Last Updated :2024/12/06

■研究者基本情報

学位

  • 博士(社会学), 東京大学
  • 社会学修士, 東京大学

プロフィール情報

  • 1961年愛媛県生まれ。博士(社会学)。
    北海道大学大学院文学研究院教授。環境社会学。環境社会学会元会長。
    ソロモン諸島、北海道、宮城、奄美大島、沖縄、長崎などで調査研究。市民活動やまちづくりにも従事。東日本大震災後は宮城県石巻市北上町で復興支援。
    主な著作に『社会学をはじめる』、『複雑な問題をどう解決すればよいのか』(共編著)、『実践 自分で調べる技術』(共著)、『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』、『なぜ環境保全はうまくいかないのか』(編著)、『どうすれば環境保全はうまくいくのか』(編著)、『かつお節と日本人』(共著)、『開発と生活戦略の民族誌』、『半栽培の環境社会学』(編著)、 『コモンズをささえるしくみ』(編著)、『カツオとかつお節の同時代史』(共編著)、『自分で調べる技術』、『コモンズの社会学』(共編著)など。

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研究キーワード

  • まちづくり
  • 参加型調査
  • 市民調査
  • 聞き書き
  • レジリエンス
  • コミュニティ
  • 復興
  • 宮城県石巻市北上地区
  • かつお節
  • 順応的ガバナンス
  • 環境ガバナンス
  • 北上川
  • 里山保全
  • ヨシ
  • 環境政策
  • コモンズ
  • 半自然
  • 池間島
  • 文化人類学
  • 半栽培
  • 共同管理
  • 順応的管理
  • レジティマシー
  • NGO
  • 森林政策
  • 生活戦略
  • ローカル・ノレッジ
  • 生態系保全
  • メラネシア
  • 森林環境
  • 民族紛争
  • 協働
  • 環境保全
  • ガバナンス
  • 森林管理
  • ソロモン諸島
  • 環境
  • 開発社会学
  • the Solomon Islands
  • developing country
  • local society
  • environment
  • 環境社会学
  • regional sociology
  • development sociology

研究分野

  • 人文・社会, 社会学

■経歴

経歴

  • 2008年
    - 北海道大学・大学院文学研究科 教授
  • 2008年
    - Professor
  • 1997年
    - 北海道大学助教授(文学部人文科学科地域システム科学講座) 助教授
  • 1997年
    - Associate Professor
  • 1997年
    - Associate professor, Hokkaido University
  • 1996年
    - 福井県立大学助教授(経済学部) 助教授
  • 1996年
    - Associate Professor
  • 1996年
    - Associate professor, Fukui Prefectural University
  • 1994年
    - 福井県立大学専任講師(経済学部) 講師
  • 1994年
    - Lecturer,1994- Lecturer, Fukui Prefectural University

学歴

  • 1991年, 東京大学, 社会学研究科, 日本国
  • 1991年, 東京大学, Graduate School, Division of Sociology
  • 1986年, 東京大学, 社会学研究科, 日本国
  • 1986年, 東京大学, Graduate School, Division of Sociology
  • 1984年, 東京大学, 文学部, 社会学科, 日本国
  • 1984年, 東京大学, Faculty of Literature

委員歴

  • 2011年06月 - 2013年06月
    環境社会学会, 会長, 学協会
  • 北海道社会学会学会, 誌編集委員, 学協会
  • 環境社会学会学会, 誌編集委員, 学協会
  • 環境社会学会, 理事, 学協会

■研究活動情報

論文

  • 小さな単位から出発する環境社会学の問題解決               
    宮内泰介, 三上直之
    宮内泰介・三上直之編著『シリーズ環境社会学 6 複雑な問題をどう解決すればよいのか-環境社会学の実践』, 254, 267, 2024年03月, [筆頭著者]
    日本語, 論文集(書籍)内論文
  • 複雑な問題をどう解決すればよいのか:環境社会学の視点               
    宮内泰介
    宮内泰介・三上直之編著『シリーズ環境社会学 6 複雑な問題をどう解決すればよいのか-環境社会学の実践』, 14, 24, 2024年02月, [筆頭著者]
    日本語, 論文集(書籍)内論文
  • Reeds and Rights: Dynamism of Legitimacy Construction in the Collective Management of Natural Resources
    Taisuke Miyauchi
    Adaptive Participatory Environmental Governance in Japan, 15, 31, Springer Nature Singapore, 2022年07月, [筆頭著者]
    論文集(書籍)内論文
  • 再生可能エネルギーがもたらすコミュニティの再生:スコットランドのコミュニティ・パワーの事例から
    寺林暁良, 宮内泰介
    丸山康司・西城戸誠編『どうすればエネルギー転換はうまくいくのか』新泉社, 139, 160, 2022年03月
    日本語, 13589385
  • ライフヒストリーから見るイワシ産業の地域史―長崎県雲仙市南串山町の事例から―               
    宮内泰介, 金城達也
    地域漁業研究, 61, 1, 11, 20, 2021年06月, [査読有り], [筆頭著者]
    日本語, 研究論文(学術雑誌)
  • 複数的資源管理の議論のしかたはどうあるべきか-北島義和著『農村リクリエーションとアクセス問題-不特定多数の他者と向き合う社会学』を読む               
    宮内 泰介
    環境社会学研究, 25, 219, 223, 2019年12月
    日本語, 研究論文(学術雑誌)
  • 「八重子の日記」をめぐる歴史実践               
    宮内 泰介
    菅豊・北條勝貴編『パブリック・ヒストリー入門-開かれた歴史学への挑戦』勉誠出版, 224, 245, 2019年10月
    日本語
  • Adaptive Process Management: Dynamic Actions Toward Sustainable Societies               
    宮内 泰介
    Sato, T., Chabay, I., Helgeson, J. eds. (2018) Transformations of Social-Ecological Systems: Studies in Co-creating Integrated Knowledge Toward Sustainable Futures, Singapore: Springer, 169, 168, 2019年01月, [査読有り]
    英語
  • 順応的なプロセス管理-持続可能な地域社会への取り組み               
    宮内 泰介
    佐藤哲・菊地直樹編『地域環境学-トランスディシプリナリー・サイエンスへの挑戦』東京大学出版会, 157, 169, 2018年01月
    日本語, 研究論文(その他学術会議資料等)
  • 順応性を発揮するプロセスデザインはいかに可能か-持続可能な環境ガバナンスの進め方               
    宮内 泰介
    宮内泰介編『どうすれば環境保全はうまくいくのか―現場から考える「順応的ガバナンス」の進め方』新泉社, 332, 340, 2017年03月
    日本語
  • どうすれば環境保全はうまくいくのか-順応的なプロセスを動かし続ける               
    宮内 泰介
    宮内泰介編『どうすれば環境保全はうまくいくのか―現場から考える「順応的ガバナンス」の進め方』新泉社, 14, 28, 2017年03月
    日本語
  • コミュニティの再生へ               
    宮内 泰介
    西城戸誠・宮内泰介・黒田暁編『震災と地域再生―石巻市北上町に生きる人びと』法政大学出版局, 272, 287, 2017年02月
    日本語
  • 社会のレジリエンスはどこから生まれるか―順応的ガバナンスの諸要件
    宮内 泰介
    応用生態工学, 20, 1, 143, 146, Ecology and Civil Engineering Society, 2017年, [査読有り], [招待有り]
    日本語, 研究論文(学術雑誌)
  • 政策形成における合意形成プロセスとしての市民調査―社会学的認識の活かし方               
    宮内 泰介
    社会と調査, 17, 38, 44, 2016年09月, [招待有り]
    日本語, 研究論文(学術雑誌)
  • 北上町の自然環境と地域社会               
    宮内 泰介
    西城戸誠・宮内泰介・黒田暁編『震災と地域再生―石巻市北上町に生きる人びと』法政大学出版局, 22, 30, 2016年02月
    日本語
  • 宇井純 反公害の科学と運動の実践者               
    宮内 泰介
    宮本憲一・淡路剛久編『公害環境研究のパイオニア』岩波書店, 374, 385, 2014年
    日本語
  • 支援の場の起爆力
    宮内 泰介, ミヤウチ タイスケ, MIYAUCHI Taishuke
    Field+ : フィールドプラス : 世界を感応する雑誌 / 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 [編], 7, 26, 26, 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所, 2012年01月20日
    日本語
  • 新しい学問への道 わたしたちは「専門家」ではない : 「ちぎれ道」を掘り起こしてみんなで学ぶ道へ
    宮内 泰介
    Seeder : 種まく人 : 地球環境情報から考える地球の未来, 0, 6, 80, 83, 昭和堂, 2012年
    日本語
  • 市町村アカデミー・コーナー(No.253)協働時代の調査スキル(2)
    宮内 泰介
    判例地方自治, 324, 120, 123, ぎょうせい, 2010年02月
    日本語
  • 市町村アカデミー・コーナー(No.252)協働時代の調査スキル(1)
    宮内 泰介
    判例地方自治, 323, 101, 104, ぎょうせい, 2010年01月
    日本語
  • オセアニアにおける紛争と人々の対応―ソロモン諸島の民族紛争を事例に               
    朝倉世界地理講座15オセアニア, 403, 414, 2010年
  • Satoyama-satoumi sub-global assessment in Japan and involvement of the Hokkaido Cluster
    Junko Morimoto, Tetsuya Kondo, Taisuke Miyauchi
    LANDSCAPE AND ECOLOGICAL ENGINEERING, 5, 1, 91, 96, SPRINGER TOKYO, 2009年02月, [査読有り]
    英語, 研究論文(学術雑誌), A sub-global assessment (SGA) began in Japan in November 2006, and is projected to end in May 2010, when the Tenth Conference of the Parties to the Convention on Biological Diversity (COP10) will be held in Nagoya City. Since May 2008, we have been involved in the evaluation of the Hokkaido Cluster, one of four clusters assessed. This report provides a brief background of the relationships between the Millennium Ecosystem Assessment (MA) and the SGA, and the governance structure of the SGA in Japan. It also describes our efforts in assessing the Hokkaido Cluster and discusses the challenges of SGA at the cluster and national levels. The MA was a 4-year international appraisal of scientific knowledge on world ecosystems and included global and sub-global assessment. After the MA, Japan began a satoyama-satoumi SGA in 2006. This is composed of six teams: the board, a science assessment panel, author groups, local advisory bodies, the board of review editors, and secretariat. Author groups include a national group and groups for four local clusters: Hokkaido, Tohoku, Hoku-shin-etsu, and Western Japan. Work in the Hokkaido Cluster began with a small group in 2008. Authors for the cluster report were selected from among experts on important events regarding satoyama and satoumi in Hokkaido. Generally, Hokkaido has no traditional satoyama-satoumi landscapes created by long-term interactions with the local people. We are now seeking the style of sustainable nature use that is best suited to Hokkaido. The SGA in Japan now faces the challenge of integrating the four cluster assessments according to common indicators.
  • 「所有」と「自然」の発見               
    社会調査論, 293, 308, 2009年
  • 半栽培から考えるこれからの環境保全――自然と社会との相互作用               
    半栽培の環境社会学――これからの人と自然, 1, 20, 2009年
  • 半栽培の多様性と社会の多様性――順応的な管理へ               
    半栽培の環境社会学――これからの人と自然, 118, 131, 2009年
  • 宇井純さんが模索した学問のあり方について : フィールドワーク・歴史・適正技術(特別寄稿)
    宮内 泰介
    環境社会学研究, 13, 13, 224, 232, 環境社会学会, 2007年10月31日
    日本語
  • フィールドワークしてみよう (特集 "調べる"道のりをさぐる)
    宮内 泰介
    あうる, 77, 14, 16, 図書館の学校, 2007年06月
    日本語
  • 行ったり来たりの市民調査--「調べる」を市民の側に取り戻そう (特集 活動につながった!情報集めのコツ)
    宮内 泰介
    NPOジャーナル, 17, 32, 35, 関西国際交流団体協議会, 2007年05月
    日本語
  • 宇井純さんが模索した学問のあり方について――フィールドワーク・歴史・適正技術               
    環境社会学研究, 13, 225, 233, 2007年
  • "Rethinking Case Studies: Research as a Power to Construct Lives"               
    Frontieres of Social Research: Japan and Beyond, 39, 52, 2007年
  • "Pursuing the Sociological Study of Environmental Governance in Japna: An Introduction to the Special Issue"               
    International Journal of Japanese Sociology, 2, 6, 2006年
  • 「レジティマシーの社会学へ」               
    『コモンズをささえるしくみ――レジティマシーの環境社会学』, 10, 2006年
  • Pursuing the sociological study of environmental governance in Japan: An introduction to the Specialissue
    Taisuke Miyauchi
    International Journal of Japanese Sociology, 15, 1, 2, 6, 2006年
    英語, 研究論文(学術雑誌)
  • 事例研究再考--生活を組み立てる〈力〉としての調査研究 (特集 社会調査の社会学)
    宮内 泰介
    先端社会研究, 2, 27, 46, 関西学院大学大学院社会学研究科21世紀COEプログラム「人類の幸福に資する社会調査」の研究, 2005年03月
    日本語
  • 書評 帯谷博明著『ダム建設をめぐる環境運動と地域再生--対立と協働のダイナミズム』
    宮内 泰介
    社会学研究, 77, 155, 159, 東北社会学研究会, 2005年
    日本語
  • 「生活を組み立てるということと調査研究」               
    『地域の自立 シマの力(上)』, 181, 199, 2005年
  • 「事例研究再考――生活を組み立てる〈力〉としての調査研究」               
    『先端社会研究』(関西学院大学21世紀COE「人類の幸福に資する社会調査」の研究), 2, 27, 46, 2005年
  • 「沖縄漁民たちの南洋」               
    『カツオとかつお節の同時代史』, 158, 179, 2004年
  • 「ソロモン諸島へ進出した日本企業」               
    『カツオとかつお節の同時代史』, 115, 130, 2004年
  • 「北上するカツオ、南進する人びと――かつお節の向こうに私たちが見たかったもの」               
    『カツオとかつお節の同時代史』, 3, 12, 2004年
  • 「カツオ・かつお節産業の現在」               
    『カツオとかつお節の同時代史』, 14, 24, 2004年
  • 市民調査という可能性:調査の主体と方法を組み直す(<特集>社会調査:その困難をこえて)
    宮内泰介
    社会学評論, 53, 4, 566, 578, 日本社会学会, 2003年03月31日
    日本語, 調査やフィールドワークについての中心的な議論の一つは,“調査する側−される側の問題”であろう.この問題は, 単に倫理の問題ではなく, 方法論,認識論の問題にまで広がる. この問題をどう考えればよいか. 本稿では,フィールドワークがそもそも多義的であることに基盤に, その多義性から,社会的に意味のある実践を引き出す方法として, 市民による調査, を考える.市民による調査は, そうした方法論上の要請からだけでなく, むしろ,市民活動などの実践からも必要とされている.市民調査は, 職業的研究者による研究の簡易版ではなく, 独自の特徴と意義をもったものである. 職業的研究者の調査研究が, 厳密な方法論の上に立って行われ, 学会やディシプリンへの貢献を目指すのに対し, 市民による調査は, さまざまな手法を, 市民の視線で組み直すことによって, 具体的な問題発見と解決, そして, より広い実践的な説得力, を目指す. 本稿では,そうした市民調査の特徴と課題について論じるとともに, 市民調査を社会的な力とするためのしくみについても考える.
  • 「『民族紛争』下の住民たち――ソロモン諸島マライタと避難民の移住パターンと生活戦略」               
    『オセアニアの国家統合と地域主義(JCAS連携研究成果報告6)』, 209, 238, 2003年
  • The Possibility of Citizens' Research
    宮内 泰介
    社会学評論, 53, 4, 566, 578, 日本社会学会, 2003年
    日本語, One of the central arguments about fieldwork is the problem of the relation between the investigator and the subject. Not constrained to the sphere of ethics, this problem extends even to that of the methodological and the epistemological.<BR>This paper presents "citizens' research" as a way to find socially meaningful practice from fieldwork, which is essentially polysemous. "Citizens' research" is also necessary in volunteer activities. Citizens' research is not a simplified version of professional research but in itself possesses original features and meanings. From ordinary people's perspective, it selects and combines various types of methodology with the objective to identify problems and find concrete solutions, whereas professional research is based on strict methodology and aims to contribute to a specific discipline. This paper also discusses what kind of social institution and mechanism should be created to make citizens' research become a socially powerful tool.
  • 環境自治のしくみづくり : 正統性を組みなおす(<特集>環境政策と環境社会学)
    宮内 泰介
    環境社会学研究, 7, 56, 71, 環境社会学会, 2001年10月31日
    日本語, 広義の「環境政策」のかなめは,地域住民がどう地域の環境を保全していくのかという「環境自治のしくみ」を考えることである。この論文では,札幌市の事例を参考にしながら,「環境自治のしくみづくり」のポイントとして,「所有権の相対化」,「担いのしくみの再形成と正統性の組みなおし」,「試行錯誤を保証する調整のしくみ」,という3点を考察する。所有権の相対化とは,所有権者への異議申し立てや環境への具体的なかかわりなど,所有以外のさまざまな営みを複合的に行うことである。そのことはつまり,誰が地域の環境へのかかわりや計画・管理を担っていくのかという担いの正統性を組みなおすということである。正統性の組みなおしには,状況によって,「正統性を争う」という方向と「正統性をともに作りなおす」という方向の2つが考えられるが,いずれの場合も,「市民調査」が重要な役割を担う。また「正統性の組みなおし」においては,環境保全を担ってきた/担う意志のある「有志」を尊重するということが原則となるが,その「尊重」の後ろには,「有志」と「人びと]の間の動的な関係がある。さらに,人びとと環境とのかかわりは一様でないので,それらを調整する必要がある。その調整のしくみは,その地域の歴史と現状に合わせた多様なものであってよいが,「試行錯誤を保証する」という原則が重要である。
  • 「コモンズの社会学――自然環境の所有・利用・管理をめぐって」               
    『講座環境社会学・第3巻・自然環境と環境文化』, 25, 46, 2001年
  • 「住民の生活戦略とコモンズ――ソロモン諸島の事例から」               
    『シリーズ環境社会学・2・コモンズの社会学――森・川・海の資源共同管理を考える』, 144, 164, 2001年
  • 「ソロモン諸島マライタ島における出稼ぎと移住の社会史――1930~1990年代」               
    『オセアニア近代史の人類学的研究――接触と変貌、住民と国家』(国立民族学博物館研究報告別冊21号), 237, 260, 2000年
  • 「援助という名の漁場確保」               
    『日本人の暮らしのためだったODA』, 44, 65, 1999年
  • 重層的な環境利用と共同利用権 : ソロモン諸島マライタ島の事例から
    宮内 泰介
    環境社会学研究, 4, 125, 141, 環境社会学会, 1998年10月05日
    日本語, 本稿は、ソロモン諸島マライタ島を事例として、住民と環境とのかかわりを所有権と利用権の文脈から考察したものである。調査地のマライタ島アノケロ村住民が焼畑や野生植物採取などに利用している集落周辺の土地は、他の村の住民が法的に所有している。この土地はもともと複数のクランが所有権を主張していたが、ある個人が裁判によってこれを所有することになった。これには、プランテーションや商業伐採といった、土地を舞台にした経済活動が活発になったことなどが背景にある。アノケロ村住民は、この土地を、焼畑、焼畑以外の栽培植物、野生動物・野生植物の捕獲・採取、商品作物栽培など、重層的に利用している。そこでは、完全な栽培でも完全な野生でもない、セミ・ドメスティケイション(半栽培)が重要な位置を占めている。彼らは土地所有権はもっていないのだが、もともとマライタ島における土地所有が近代的な所有権と大きく異なっていることもあり、所有権と別個に共同利用権とでもいうべきものを有していると考えることができる。それは、環境利用が重層的であることともかかわっている。しかしそうした共同利用権はもともと弱い権利であり、今日、人口集中や商品作物栽培の広がり、それにともなう土地私有化の流れの中で、ますます不安定になってきている。共同利用権を保障することが、住民の生活の安定、住民と環境との重層的な関係の安定のために、重要な意味をもっている。
  • 「発展途上国と環境問題――ソロモン諸島の事例から」               
    『講座社会学・12・環境』, 163, 190, 1998年
  • サゴヤシの社会史 : サラワク低地の民衆経済と世界資本主義 (鶴見良行教授追悼号)
    宮内 泰介
    龍谷大学経済学論集, 35, 4, 91, 134, 龍谷大学, 1996年03月
    日本語
  • キリバスの生活者たちの2重戦略--太平洋島嶼社会の生活経済と内発的発展に関する予備的考察 (太平洋における非核と共生の条件)
    宮内 泰介
    IPSHU研究報告シリ-ズ, 22, p117, 140, 広島大学平和科学研究センタ-, 1993年07月
    日本語
  • ベラウ(パラオ)の生活経済を考える--食料流通を中心に (南太平洋の非核と自立のフィ-ルドノ-ト)
    宮内 泰介
    IPSHU研究報告シリ-ズ, 20, p65, 87, 広島大学平和科学研究センタ-, 1991年03月
    日本語

その他活動・業績

書籍等出版物

講演・口頭発表等

  • イフヒストリーから見るイワシ産業の地域史:長崎県雲仙市南串山町の事例から               
    宮内 泰介
    地域漁業学会第61回大会, 2019年11月30日, 地域漁業学会, 日本語, 口頭発表(一般)
    長崎大学
  • 被災地住民にとってのコミュニティ再編とその重層性               
    宮内 泰介
    第59回 環境社会学会大会, 2019年06月08日, 環境社会学会, 日本語, 口頭発表(一般)
    明治学院大学, [国内会議]
  • Rural Community Sustainability and the Commons: A Post-Disaster Experience               
    Miyauchi, T
    XIX ISA World Congress 2018 Toronto, 2018年, ISA, 英語
    Tronto, Canada
  • Community as the resilient factor?: The diverse role of communities in the recovery process from the 2011 tsunami in Japan               
    Miyauchi, T
    5th International Symposium on Environmental Sociology in East Asia, 2015年, International Symposium on Environmental Sociology in East Asia, 英語
    Sendai, Japan
  • What makes social-ecological systems robust? - A case study of natural resources management in the Kitakami area of northern Japan               
    Miyauchi, T
    International Symposium on Environmental Sociology in East Asia 2013, 2013年, International Symposium on Environmental Sociology, 英語
    Nanjing, China
  • Common property systems and resilience following disasters: case study of tsunami-hit villages in Kitakami area of Miyagi, Japan               
    Miyauchi, T
    14th Global Conference of the International Associations fro the Study of the Commons, 2013年, International Associations fro the Study of the Commons, 英語
    Fujiyoshida, Japan
  • 多元性の中での開発教育・社会学教育のゆくえ――大学教育におけるグループディスカッション手法の経験から               
    Miyauchi, T
    国際開発学会第24回全国大会・企画セッション「大学における開発教育とディシプリン」, 2013年, 国際開発学会, 日本語
    東京

所属学協会

  • 日本社会学会               
  • 日本オセアニア学会               
  • 生態人類学会               
  • 環境社会学会               
  • Janaese sociological societyJapanese society for environmental societyHokkaido sociological associationJapanese society for Oceania studiesJapanese society for ecological anthropology               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築―民俗学的転回のために―
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2025年03月31日
    菅 豊, 西村 明, 島村 恭則, 河野 正治, 川田 牧人, 俵木 悟, 加藤 幸治, 塚原 伸治, 宮内 泰介, 松岡 薫
    本年度、研究メンバーは、まず個々のフィールドで生起しているヴァナキュラー文化をめぐる実践の展開と深化に不可欠な重要課題を、フィールドワーク・文献調査等により精査するとともに、理論研究を行った。加えて、各メンバーの個別研究を統合し、成果を発表するために研究会を3回開催した。その研究会は「野の芸術」論研究会というかたちで基本的に公開とし、現代民俗学会等の学術団体と共催することにより社会への研究成果の還元に努めた。また、本研究を世界的な研究水準とすり合わせるために、海外学術集会等で発表、意見交換を行った。
    主たる研究実績は下記の通り。


    ○2022.5.14:第1回研究会「21世紀を生きる人々のための民俗学―菊地暁著『民俗学入門』を読む、語る―」○5.20:中国・東南大学外国語学院主催講演会“アジア共同体論・中日韓民俗文化比較系列講座”(オンライン)で招待講演(「東アジアにおける公共民俗学の展開―公共部門民俗学から公共民俗学へ―」)○7.9:第2回研究会「『野の文化論』―ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築」○8.21:韓国・実践民俗学会第46回全国学術大会「『21世紀民俗学』の位置を問う」(オンライン)で招待講演(「『慎ましやかな学問』としての民俗学」)○10.27:2022年度第十屆博物館研究國際雙年學術研討會「公共博物館學:公共性、新性與方法論的想像及其實踐」(オンライン+國立臺北藝術大學)で招待講演(「新的『野』的學問:野的學者與學院研究者協作的可能性與課題」)○2023.3.11:第3回研究会「民俗芸能とヴァナキュラー芸能のあいだ」
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東京大学, 23K22039
  • ヴァナキュラー概念を用いた文化研究の視座の構築―民俗学的転回のために―
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2022年04月01日 - 2025年03月31日
    菅 豊, 西村 明, 塚原 伸治, 川田 牧人, 宮内 泰介, 俵木 悟, 加藤 幸治, 島村 恭則, 河野 正治, 松岡 薫
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東京大学, 22H00767
  • 多層的で動的なプロセスとしてのコミュニティ:実践論的アプローチによる研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2020年04月01日 - 2025年03月31日
    宮内 泰介, 井上 真, 菅 豊, 松宮 朝, 松村 正治, 飯嶋 秀治, 平井 太郎, 舩戸 修一, 山本 信次, 寺林 暁良, 椙本 歩美, 高崎 優子, 金城 達也
    コミュニティ立脚型の政策の失敗事例が多く報告され、また、ボトムアップのコミュニティ活動が困難を抱える中、本研究は、コミュニティを多層的で動的なプロセスととらえかえすことにより、そうした現状に対して学術的な貢献を試みようとしている。
    この目的の下、2021年度は、5回の研究会を行った。第1回研究会は、昭和30年ごろの東北農村の女性の日記から、重層性をもった当時のコミュニティの実態を浮かび上がらせた。エゴ・ドキュメントによるコミュニティ分析という手法の試みでもあった。第2回研究会は、コミュニティを支援する金融NPO(コミュニティファンド)に集った人たち自身のコミュニティについての報告だった。コミュニティの生成と衰退について、また、お金とコミュニティの関係についての議論が進んだ。第3回は、東京のある町における町内会長を経験した報告者による、町内会というコミュニティの実態報告と考察がなされた。現場から考える町内会という組織の意義と課題が明らかになる同時に、当事者研究としてのコミュニティ研究の意義について議論された。第4回は、農的営みとコミュニティとの関係について、秋田の事例と愛知の事例について、2人の報告者から詳細な報告がなされ、多様な実践を誘発するコミュニティ政策のあり方や、「農」のもつコミュニティ形成機能について議論がなされた。第5回は、研究代表者から、この研究プロジェクトの中間総括の報告とそれを踏まえた議論が行われた。
    一方、この研究プロジェクトの軸であるフィールド調査については、コロナ禍のため本年度も十分にはできなかった。とはいえ、北海道、青森、秋田、静岡、愛知などでの調査がある程度進められ、データも集まりつつある。さらには、研究メンバーの過去の調査データを、この研究フレームワークで分析し直すという作業や、世界のコミュニティ研究を渉猟する作業も行われた。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 20H00083
  • 「野の芸術」論―ヴァナキュラー概念を用いた民俗学的アート研究の視座の構築               
    基盤研究(B)
    2019年 - 2022年
    菅 豊
    文部科学省, 競争的資金
  • 環境再生デザインの公共社会学:修復的環境正義の実践的理論構築に関する研究               
    基盤研究(B)
    2018年 - 2022年
    福永 真弓
    文部科学省, 競争的資金
  • 語り継ぐ存在の身体性と関係性の社会学―排除と構築のオラリティ
    基盤研究(B)
    2017年 - 2022年
    関 礼子
    文部科学省, 競争的資金
  • 再生可能エネルギー事業開発にかかわるアクティビズムと合意形成に関する比較研究
    基盤研究(B)
    2018年 - 2021年
    西城戸 誠
    文部科学省, 競争的資金
  • エネルギー技術の多元性と多義性を踏まえたガバナンス方法の研究               
    基盤研究(A)
    2017年 - 2021年
    丸山 康司
    文部科学省, 競争的資金
  • 災害後のコミュニティ再編と自然資源管理の再構築に関する研究               
    三井物産環境基金研究助成
    2017年04月 - 2020年03月
    宮内 泰介
    本研究は、東日本大震災の被災地で集団移転が進行中である宮城県石巻市北上地区を事例に、当該地域で震災前から震災後にかけて積み上げてきた膨大なデータと、新たな実態調査によるデータを用い、大きな災害をこうむりコミュニティを再編せざるをえなかった地域が、どのように自然資源管理を再構築できるのか、またそれによっていかに地域の再生を図ることができるのか、政策提言を含めた知見を創出する。
    三井物産環境基金, 研究代表者, 競争的資金
  • イワシ漁業に見る社会-生態システムのレジリエンス
    科学研究費補助金(挑戦的研究(萌芽))
    2017年04月 - 2020年03月
    宮内 泰介
    本研究は、イワシ漁業の複数の事例研究から社会-生態システムのレジリエンス・モデルを作ることを目的とする。日本におけるイワシ漁業は、江戸時代以降、社会の複雑な諸要件と自然の複雑な諸要件が交差するところで生き延びてきた歴史を持つ。本研究では、イワシ資源とイワシ漁業・加工業・地域社会の総体を「社会-生態システム」ととらえ、それがさまざまな危機の中でどう生き延びてきたのか、そのレジリエンス・モデルを作ることを目的とする。具体的には、千葉県、瀬戸内海、愛媛県南予地区、長崎県の4つの地域におけるイワシ漁業の100年について、現地調査と資料収集・レビューによってデータ蓄積し、そこからイワシ漁業の変動や持続性に影響を及ぼしている諸ファクターを抽出する。さらにそれらとイワシ漁業の変動・持続との間の関係をモデル化し、レジリエンスの様態や要件を明らかにする。
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • イワシ漁業に見る社会−生態システムのレジリエンス               
    挑戦的研究(萌芽)
    2017年 - 2020年
    宮内 泰介
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 不確実性と多元的価値の中での順応的な環境ガバナンスのあり方についての社会学的研究
    基盤研究(A)
    2016年 - 2020年
    宮内 泰介
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • パブリック・ヒストリー構築のための歴史実践に関する基礎的研究               
    基盤研究(B)
    2016年 - 2019年
    菅 豊
    文部科学省, 競争的資金
  • 自然科学と社会科学の融合による都市の環境共生と野生動物管理の調和的実現への挑戦               
    挑戦的萌芽研究
    2016年 - 2019年
    佐藤 喜和
    文部科学省, 競争的資金
  • イワシ、カツオ・マグロ等からみえるアジアにおける水産物グローバル化とその諸影響               
    基盤研究(B)
    2014年 - 2017年
    福家 洋介
    文部科学省, 競争的資金
  • 現代市民社会における「公共民俗学」の応用に関する研究―「新しい野の学問」の構築―               
    基盤研究(B)
    2013年 - 2016年
    菅 豊
    文部科学省, 競争的資金
  • 現代市民社会における「公共民俗学」の応用に関する研究―「新しい野の学問」の構築―
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2013年 - 2015年
    菅 豊, 宮内 泰介, 竹川 大介, 川森 博司, 政岡 伸洋, 加藤 幸治, 俵木 悟
    本研究は、日本で展開されている民俗学的実践を、現代的かつ国際的な民俗学の方向性である「公共民俗学」という観点から捉え直すことによって、現代市民社会に対応する「新しい野の学問」を構築することを目的としている。本年度は、この目的に鑑み、まず、地域住民とともに「公共の問題」や民俗学の社会実践の問題に直接関わってきた本研究メンバーが、個々のフィールドで生起している「新しい野の学問」の生成と深化に不可欠な重要課題をフィールドワークにより精査した。次いで、各メンバーの個別研究成果を共有するために研究会を開催した。この研究会は、基本的に一般公開とし、社会への研究成果の還元に努めた。また日本民俗学会、日本文化人類学会等の学術組織と共催することにより、成果を学問領域を越えて広く学界に提供した。さらに、本研究の成果を国際的視野で検討するため、海外学会(菅、中国民俗学会30周年記念大会)で発表を行うとともに、海外の公共民俗学研究者を日本での研究会(日本民俗学会との共催シンポジウム)へ招へいし議論を深めた。主たる研究会は下記の通り。○第1回研究会:「新しい野の学問」の時代へ―民俗学が進みゆく潮流のひとすじ―(2013年6月22日:東京大学)○第2回研究会:商店街は滅びるのか?―ポスト・『三丁目の夕日』時代のアクチュアリティ―(2013年9月28日:東京大学)○第3回研究会:第65回日本民俗学会年会国際シンポジウム「無形文化遺産政策のホットスポット・中国―中国民俗学の経験から学ぶ―」(2013年10月13日:新潟大学)○第4回研究会:生活環境主義とは何か?―民俗学の思想を問い直す(2013年11月16日:東京大学)○第5回研究会:パブリック民俗学とパブリック人類学の対話可能性」(2013年12月15日:東京大学)
    文部科学省, 基盤研究(B), 東京大学, 連携研究者, 競争的資金, 25284172
  • 多元的な価値の中の環境ガバナンス:自然資源管理と再生可能エネルギーを焦点に
    科学研究費補助金(基盤研究(A))
    2012年 - 2015年
    宮内 泰介, 西城戸 誠, 立澤 史郎, 三上 直之, 角 一典, 佐藤 哲, 丸山 康司, 富田 涼都, 鬼頭 秀一, 菊地 直樹, 福永 真弓, 山本 信次, 関 礼子, 大沼 進, 鈴木 克哉, 菅 豊, 赤嶺 淳, 松村 正治
    本研究は、自然資源管理と再生可能エネルギーという2つのテーマに焦点を当てながら、多くの詳細な事例研究(20件程度の中核的事例とその他多数の網羅的な事例)から、多元的な価値の中でどう環境ガバナンスを構築することができるかを研究することを目的としている。具体的には、(1)自然資源管理や再生可能エネルギーをめぐっての地域の多元性とその歴史的ダイナミズムについて事例から分析してモデル化、理論化し、さらに、(2)地域固有の歴史とりわけ地域環境史の中で環境ガバナンスのあり方、とくに合意形成や地域の文脈作りについて事例研究およびモデル構築を行う。加えて、(3)社会実験的に住民参加型の質的調査を行う中から、環境ガバナンスに資する調査手法の開発も同時に目指すものである。平成24年度は、6回の研究会を行うと同時に、各自あるいはグループによる調査を進めてきた。6回の研究会では、それぞれの調査フィールドからの報告と議論がなされ、さらにゲストスピーカーによる講演も行い(同時に、それらの動画やファイルをネット上で共有し)、問題意識や手法の統合を進めた。一方、各自あるいはグループの調査は、たとえばグループではドイツや北海道での再生可能エネルギーの調査などを進め、各分担者や研究協力者はそれぞれに調査を進めてきた。これらの調査・研究会の遂行により、多元的な価値の中でどう環境ガバナンスを構築するかについて、鍵となるポイントがいくつか見いだされつつある。しかし、まだモデル化、理論化には至っておらず、今後の課題である。また、上記(3)の社会実験についても未着手である。
    文部科学省, 基盤研究(A), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 24243054
  • 大規模複合災害における自治体・コミュニティの減災機能に関する社会学的研究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2012年 - 2014年
    関 礼子, 阿部 治, 江上 渉, 高木 恒一, 林 雄亮, 宮内 泰介
    東日本大震災におげる複合災害の経験をヒアリング調査、文献や新聞記事サーベイ、アンケート調査から明らかにしようと試みた。アンケート調査結果は2冊の報告書(速報・暫定版230頁、Web版22ページ)にまとめた。また成果の一部は2012年度科研費報告書にまとめた。1、避難者の動向および受け入れ自治体の施策に関しては、複数県および市町村へのヒアリング調査を実施し、災害時の対応が平時の自治体間交流や地域づくりを通じた交流、被災経験の有無、観光業の集積などが相関していることが明らかになった。また、一定数の避難者を受け入れ続けている自治体においては、数値からは示されないが、避難者の属性が変化していることが示された(自治体連携の減災効果については論文投稿中)。2、原発事故が避難者にもたらした被害の相貌や現状制度の問題点については、仮設住宅・借上げ住宅の調査や広域避難者の調査から、世帯・家族の分離によるストレスの詳細が明らかになったが、その子細はそれぞれに異なる。「住み続ける権利」(井上英夫)と「避難する権利」(河崎健一郎)は相反する権利ではない。そうした状況を総合的に検討する概念装置として「ライフ復権」と「ライフへの権利」を提唱した。また、広域避難者をめぐる状況についても報告書にまとめた。3、文献や新聞記事サーベイなどを通して、原発立地自治体の原発依存体質(への組み込み)については、中間貯蔵施設建設計画においても同様の構図が青写真として存在するのではないかという点がみえてきた。原発事故は反原発の動きを生んだが、原発事故の終息に向けた動きは原発依存構造の再編を企図しているというパラドキシカルな状況にあるのである。報告書・関礼子編2013『被災・避難生活を写真で語る福島県楢葉町、私たちのいま』(pp。1~64)・関礼子編2013『水俣病から福島原発事故を考える』(pp.1~89)
    文部科学省, 基盤研究(B), 立教大学, 連携研究者, 競争的資金, 24330161
  • コミュニティによる災害文化の実践的可能性に関する環境社会学的研究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2012年 - 2014年
    古川 彰, 鳥越 皓之, 鬼頭 秀一, 松田 素二, 宮内 泰介, 菅 豊
    本研究は、その蓄積を基礎として「小さな共同体」が経験し対処してきた破局的状況に着目して、社会を襲った「災害」に対する共同体の柔軟で重層的な叡知のもつ実践的可能性を探究し、「小さな共同体」がつくりあげてきた災害に対処する潜在力を、災害経験の文化化(災害文化の生成)としてとらえ、その重層的なメカニズムを具体的に解明することを目的としている。こうした目的および研究計画に沿って、初年度の平成24年度は、研究代表者・分担者で滋賀県知内むらの共同調査を実施し、問題意識を確認し、共有した。知内むらについては、265年分の村の日記のなかから災害文化化の基礎データの整理を開始した。この歴史的データを踏まえて、現時点で存続・作用している災害文化の実態の聞き取り調査をおこなった。分担者は、各自のフィールドにおいて、担当する小さな共同体における特徴的な災害について、知内むらにおける災害経験の記憶と文化化の過程との比較のための予備的な調査を実施した。同時に、それぞれの地域で水害古写真の収集や地域の文字記録のデータベース化のための準備作業を行った。フィールド調査以外に、共通の枠組づくりのための基礎作業として、河川工学や地理学などの自然系の水害研究以外の社会科学的、人文学的な水害研究の文献を中心に文献リストを整理し、これまでの自然災害や水害にかかわる研究レビューを行うとともに、そこでの研究の論理の分析方法を検討した。また、文献データのデータベース化のためのプロトコルの調整を行った。
    文部科学省, 基盤研究(B), 関西学院大学, 連携研究者, 競争的資金, 24330169
  • まちづくりに資する参加型質的調査手法の開発
    科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
    2012年 - 2014年
    宮内 泰介, 赤嶺 淳
    本研究は、まちづくり、環境保全活動、市民活動などに資する住民参加型の質的調査手法を開発することを目的とし、具体的には、(i)市民・住民が行う聞き取り、聞き書き、フィールドワークなどの調査手法開発(市民参加で取り組みやすくまた効果的な質的調査はどうあるべきか)、(ii)収集したデータの市民向け整理法の開発(取り組みやすく効果的な整理法)、(iii)整理した質的データの市民向け活用法の開発(質的データを使ったワークショップなど、まちづくりや市民活動に直結するような質的データの利用法の開発)の3つを、社会実験を織り交ぜながら進めることを目指している。(i)については、石巻市北上町における復興支援のための質的調査という社会実験を軸に、成果を上げることができた。(ii)については北海道日高町の聞き書き集を編集するという作業の中である程度進んだが、課題がいくつも見つかった。上記の石巻市北上町における復興支援のための質的調査の中でも、その整理法についていくつかアイデアが出てきたが、まだ不十分なままである。(iii)についてはまだ着手できていない。まちづくりに資する質的調査の事例調査については、いくつかのケーススタディが進み、また、上記石巻市北上町における社会実験も進んだ。しかし、計画に挙げていた、研究者・耳痛かを集めてのワークショップを通して理論化や体系化を図るという作業はまだできておらず、今後の課題として残っている。アウトプットもいくつかできたが、まだ不十分である。
    文部科学省, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 24653110
  • コミュニティによる災害文化生成に関する環境社会学的研究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2009年 - 2011年
    古川 彰, 鳥越 皓之, 菅 豊, 宮内 泰介, 鬼頭 秀一, 松田 素二, 藤村 美穂, 土屋 雄一郎
    災害に対する、地元の人々の対処の方法とそれらが文化化されてきたプロセスを記述、分析することを通して、突発的な出来事への対応としての災害対策ではない、それぞれの小さな共同体がもつ独自に生成してきた災害文化の論理と実践性を明かにした。生活世界に根ざした知の実践の創造過程に焦点をあてることによって、現代世界が直面するさまざまなリスク対応への新たな視点を提供するとともに、災害および災害対策についての社会学的研究の貢献可能性を示した。
    文部科学省, 基盤研究(B), 関西学院大学, 連携研究者, 競争的資金, 21330130
  • アダプティブ・ガバナンスと市民調査に関する環境社会学的研究
    科学研究費補助金(基盤研究(A))
    2008年 - 2011年
    宮内 泰介, 鬼頭 秀一, 佐藤 哲, 菅 豊, 関 礼子, 赤嶺 淳, 立澤 史郎, 丸山 康司, 松村 正治, 菊地 直樹, 鈴木 克哉, 山本 信次, 福永 真弓, 富田 涼都
    自然をめぐるガバナンスについて多くの現地調査を軸に研究した結果、多元的な価値を認めることが重要であること、また、ガバナンスのプロセスの中で試行錯誤とダイナミズムを保障することが大事であること、さらには、様々な市民による調査活動や学びを軸としつつ、大きな物語を飼い慣らして、地域の中での再文脈化を図ることが重要であることが明らかになった。
    文部科学省, 基盤研究(A), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 20243028
  • オセアニア島嶼国におけるグローカリゼーションと国民文化に関する人類学的研究
    科学研究費補助金(基盤研究(A))
    2004年 - 2008年
    須藤 健一, 山本 真鳥, 林 勲男, 関根 久雄, 橋本 和也, 柄木田 康之, 風間 計博, 山本 真鳥, 白川 千尋, 宮内 泰介, 林 勲男, 安井 眞奈美, 市川 哲
    平成19年度の調査研究は、研究代表者と4名の分担者がそれぞれ設定した課題にしたがい、各地で昨年度までの調査研究の補充調査を実施した。その結果、グローバルな動きに対する各地域住民の対応についての情報を収集し、下記のような新しい知見を得た。1.ミクロネシア須藤はヤップ州で離島の移住者が土地を確保し、住居と集会所を建設し新コミュニティを形成して定着する過程と、さらに海外(グアム)へ移住し、ネットワークを密にして生活している実際を明らかにした。柄木田はヤップ、ポンペイ、グアムにおいて離島出身者の共同体とライフヒストリーに関する資料収集を行い、母社会と密接な関係を維持していることを確認した。また、安井はパラオ共和国でグローバル化の動きに抗する伝統的な女性首長の役割と生き方を把握した。2.ポリネシア須藤はトンガ王国で公務員ストライキ後の経済状況や政治改革の進捗状況、及び国王崩御と暴動による社会的混乱の収拾と立憲君主制の改革など民生化運動の新しい動きについての情報を得た。3.メラネシア林はパプアニューギニア東ブリテン州の観光局と博物館で観光資源の開発と伝統文化の保存、及び国民文化の創生について調査を行い、その実現の可能性を確認した。4.オーストラリア市川はシドニーとブリスベンにおいてパプアニューギニアからの華人・華僑のオーストラリア社会への再移住と適応の実態をトランスナショナリズムの視点から明らかにできた。なお、白川は本務校の30周年記念事業等の業務遂行のため調査を実施できなかった。
    文部科学省, 基盤研究(A), 神戸大学, 連携研究者, 競争的資金, 16251008
  • 半栽培(半自然)と社会的しくみについての環境社会学的研究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2005年 - 2007年
    宮内 泰介, 古川 彰, 布谷 知夫, 菅 豊, 牧野 厚史, 関 礼子
    本研究では、ヨシをはじめとするさまざまな半栽培植物(または半家畜の動物)に焦点を当て、かかわる人間の側のしくみ・制度を論じることにより、自然のあり方とそれに対応する人間社会のあり方を統一的に把握するモデルを提示することを目標としている。本研究の最終年度に当たる平成19年度は、(1)宮城県の北上川河口地域でヨシ(葦)(Phragmites australis)原の利用のしくみと変遷についての現地調査を継続し、まとめにかかる一方、(2)研究会を開いて多様な専門分野の研究者が集まり、本研究の総括的な議論を行った。その結果、(1)の北上川河口地域での調査では、ヨシ原が歴史的に大きく変遷しており、それと地域組織や人々の生活構造の変遷が大きくかかわっていることが明らかになった。自然環境-自然利用-社会組織の3者が、相互に関連しながら、変遷している様子が見られ、さらに、そこでは、強固なしくみと柔軟なしくみとが折り重なるように存在していることが分かった。また、(2)の総括では、(i)「半栽培」概念の幅広さが明らかになり、(a)domestication(馴化、栽培種化)、(b)生育環境(ハビタット)の改変、(c)人間の側の認知の改変、の3つの次元で考えることが妥当であり、さらには、さまざまなレベルの「半」(半所有、半管理.)と結びついていることが明らかにされた。(ii)また「半栽培」と「社会的しくみ」の間に連関があることは確かだが、その連関の詳細はモデル化しにくいこと、したがって、各地域の地域環境史を明らかにすることから個別の連関を明らかにしていくことが重要であることがわかった。 (iii)さらに、こうした半栽培の議論は今後の順応的管理の際に重要なポイントになってこと、これと関連して、欧米で議論され始めているadaptive governance概念が本研究にも適応できる概念ではないかということが分かった。本研究は、そうした総括を踏まえ、成果を商業出版する方向で進めている。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 17330107
  • 森林環境ガバナンス構築の条件に関する研究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2004年 - 2006年
    柿澤 宏昭, 齋藤 和彦, 宮内 泰介, 土屋 俊幸, 佐藤 宣子, 山本 信次, 枚田 邦宏, 齋藤 和彦
    本研究では、森林環境保全にかかわって、新たな主体の育成と多様な主体の協働がどのように形成され、どのような課題を抱えているのかをテーマとし、全国の実態調査を基本として研究を行った。まず、焦点を当てたのは都市近郊林の保全活動であり、主に大阪のとりくみを取り上げた。80年代から森林ボランティア活動が活発化し、これを母体として地域森林管理への参加を志向する動きが展開し始めた。また、都市近郊自治体・森林所有者や森林組合などがこれに呼応して、あるいは独自に共同の仕組みをつくり始めた。こうした結果として都市近郊林・都市林をめぐってガバナンスが構築されつつある。また、南九州における大面積皆伐放棄地問題について調査を行い、不在村所有が問題に背景にあることを明らかにしつつ、熊本県や地元市町村において策定されている政策、これを実施するための協働関係の構築について明らかにした。さらに、川下から川上をつなぐ協働の取り組みとして地域材住宅運動を取り上げて、北海道十勝地方を対象としてカラマツ住宅建築をめぐる協働関係の形成過程を明らかにし、川上での自発的動きが欠如しており、川上での政策的な支援の展開が重要であることが指摘できた。このほか、協働関係構築に向けて問題解明・解決の方向性をさぐる手法の開発にかかわってPCM手法の応用を室根村を対象として行った。上下流連携の仕組みについてPCM手法を用いた分析を行い、現状を論理だてて評価する方法としての有効性が確認できた一方で、過去から将来を展望する点で限界があることが明らかとなった。森林環境ガバナンス構築の試みは都市近郊、あるいは問題が生じている地域を中心に行われており、新たな担い手あるいは問題を主導に行われていること、両者ともに組織者の存在が大きなカギを握っていることが明らかになった。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 16380095
  • 環境保全における地域システムの役割
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2002年 - 2005年
    嘉田 由紀子, 鬼頭 秀一, 松田 素二, 古川 彰, 鳥越 皓之, 宮内 泰介, 菅 豊, 鬼頭 秀一
    本研究は、激化しつつある日本国内や世界の環境問題を乗り越えるための社会システム的解決方法の確立に向けてのモデル構築を目指した。これまでの社会学、民俗学、人類学などが蓄積してきたモノグラフを、環境保全に関わる地域システムという観点で整理し、分析することを第一の目的とした。ことにこれまでの収集資料を有効に利用するため、河川および湖沼の流域社会を対象地域として1)本研究メンバーの研究を含む既存研究における、環境利用・保全等に関するローカル・ノレッジの資料を集積し、包括的な分析をおこなった。2)日本の河川流域、島嶼部、都市周辺を中心としたフィールドワークでの比較資料の収集をおこなった。3)これらの研究と併せて、中間技術を活かすことのできる、個別のコミュニティーを越える中範囲に適応可能な環境保全モデルを構築するための研究会を実施した。これらは21世紀の環境問題研究と環境問題解決のモデル構築を、民俗学、人類学、社会学の民俗・民族誌的研究を整理し再利用することと、またそれらをフィールドワークの実践をとおして検証する試みであった。本研究の結果、民俗学、人類学、村落社会学などで蓄積されてきたモノグラフを丁寧に分析することで、さまざまな形で蓄積されてきた地域住民の生活知のありようを、データベース化する可能性と方法についての方向性が見いだされた。ことに環境保全にかかわる日本の地域の知識と海外の日常生活の知識とを比較検討することを可能にする方法の創出については、業績リストにあるような多くの知見を得ることができた。
    文部科学省, 基盤研究(B), 京都精華大学, 連携研究者, 競争的資金, 14310106
  • コモンズと公共性の環境社会学的研究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2003年 - 2004年
    宮内 泰介, 菅 豊, 近藤 隆二郎, 家中 茂, 関 礼子, 牧野 厚史
    本研究では、(1)フィールドからの知見を、本研究の趣旨である"コモンズと公共性"という観点から照らしなおした報告を順次行い、同時に(2)コモンズと公共性についての理論的および政策論的な議論を行なった。(4)さらに、それをふまえて、成果を商業出版すべく、各自の執筆活動を行なった。知見としては、次の諸点が浮かび上がってきた。(1)コモンズを考えるときに、ある自然資源とある地域集団との問の一対一の資源管理上の関係に限定して考えるべきはなく、コモンズの重層性、身体性、さらにはダイナミズムへの視点が大事であること、(2)コモンズをめぐるルールやしくみは、実はあいまいであることが、その地域社会における創発性を喚起するということ、(3)環境における公共性を考えたとき、誰がその環境への権利をもち、誰がそれを認めるか、という問題、すなわち「レジティマシー(legitimacy、正統性/正当性)」の問題が鍵になるということ、(4)正統性の問題を考えるときに、注目すべきポイントとして、「正義」の問題、正統性の根拠としての「歴史」がどう生成されるかという問題、「発言力」の問題、「シナリオ」の生成と定着の問題、などがあること。平成17年度内にこの成果を『レジティマシーの環境社会学』(仮題)(宮内泰介編、新曜社)として商業出版する予定である。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 15330094
  • NPO・NGO・ボランティア学の教育カリキュラム開発及び教科書編纂
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2002年 - 2003年
    田口 晃, 宮内 泰介, 鈴木 敏正, 小島 廣光, 杉岡 直人, 東海林 邦彦, 本田 宏
    2年間にわたり、研究会を重ね、幾つかの成果をあげた。個別の研究会・講演会としては大南進也氏(徳島県町づくりNPO)、J.Osbourn教授(連合王国)、J.Peng教授(カナダ)佐藤まき氏(JVC),高木晴光氏(北海道環境NPO)を招いて、各国の研究の現状や、具体的なNPOボランティア活動につき、新しい知見を得ることができた。参加者それぞれの専門分野でのNPO/NGO/ボランティアに関する研究でも進展が見られた。田淵、小島の著書を筆頭に論文も力作ぞろいであった。当初の目的であるNPOの教科書の元になる論文は全員が完成するところまでは行かなかった。カリキュラムに関しては樽見と畑山がそれぞれの大学で実験的に講議を試み、その成果を研究会で検討した。今回の成果報告には間に合わなかったが、今後も研究会をつづけ、複数のカリキュラム案を作り、例えば日本NPO学会で報告するなど公表したい。予定していた国際学会参加は北京での開催が中止になったため取り止めた。そのかわりというわけではないが九月に札幌で開かれた「NPO全国フォーラム」には我々の研究会のメンバーの半数以上が研究者として加わり、支援した。全国の様々な分野とレベルの活動家と交流できたのは本研究会としても収穫であった。年度末に、いわば締めとして本研究会の東海林教授、小島教授を中心に「公益法人改革」問題に関する主要関係者を全国から招いて、五人の報告者に六名のディスカッサントを加えた大規模なシンポジウムを開催した。制度改革のかなり専門的な面も含む議論だったが、一般の参加者からも熱心な質問が寄せられた。(記録もその後公表された。)各メンバーの業績は添付資料と成果報告書の通りだが、まだ継続中のメンバーも多く、次年度も研究会は継続し、教科書作成にむけてさらに具体的な進展が見られること期待している。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 14390001
  • 環境保全をめざした森林の地域共同管理に関する研究
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2001年 - 2003年
    柿澤 宏昭, 山本 美穂, 宮内 泰介
    森林環境保全をランドスケープレベルで考えることが強く求められるようになっている。しかし、ランドスケープレベルにおいては多数の私有林所有者が含まれることが一般的であり、危機的な林業経営環境下で、これら私有林所有者の多くは施業放棄状況を自ら改善することは困難であり、さらに環境保全に向けた経営転換を行なう余裕はほとんどない。また従来の林業行政は環境保全型経営へ転換を支援するシステムをもっていないばかりか、目標なき分権化のなかで林業を支える地域専門集団の確保さえおぼつかなくなっている。このため、ランドスケープレベルでの森林環境保全の実現には、このレベルに包含される数多くの森林所有者が、地域住民・自治体・森林組合などとの共同関係を構築することによって、互いに協力しつつ森林経営を環境保全型へと転換することが不可欠となる。そこで本研究では、環境保全をめざした森林経営への転換の条件および手法と、これをささえる地域共同関係構築のあり方について提示を行うことを目的とした。ここで本研究の成果を簡単にまとめれば、第1に今日分権化が進む中での森林管理にかかわってガバナンスという考え方を導入して、多様な関係者の協働による政策形成の必要性を示した。第2にガバナンス構築に当たって、行政が当面の中心的役割を果たさなければならないが、市町村にフルセットでこの役割を期待するのは困難であり、行政システムの複線化を図る必要がある。第3に森林所有者は自己森林に対して適切な管理をしたいと思いつつも、高齢化などによって困難となっており、長期委託などの選択肢に前向きの意向を示すものが多くなっている。ここには所有と経営を政策的に分離できる可能性が存在している。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 13660137
  • メラネシアにおける民族紛争と地域住民に関する開発社会学的研究
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2001年 - 2002年
    宮内 泰介, 白川 千尋, 塩田 光喜, 関根 久雄
    本研究では、近年続発しているメラネシア地域の紛争に関し、とくに住民の生活との関連について、開発社会学および開発人類学的観点から分析を加えることを目的に置いた。その結果、以下の諸点が明らかになった。(1)ソロモン諸島における「民族紛争」の主要な背景は、ソロモン諸島における「近代化」のありようであり、中でもガダルカナル島民の「辺境化」であった。(2)ソロモン諸島においては、「避難民」の多くが、これまでの彼らの移住パターンの延長上に「避難」が行われたが、紛争の舞台になったガダルカナル島のどこにどういう経緯で生活を営んでいたかによって、その「避難」のありよう、また、生活戦略の立て直しのありようには相違がある。(3)ソロモン諸島においては、民族紛争が集団範疇(氏族および「○○島民」)の固定化の作用をもたらし、それが人びとの生活戦略にまで影響を及ぼしている。たとえばマライタ島では、自分たちのクランの土地に戻らなければならないという観念が芽生えはじめている。(4)ソロモン諸島においては民族紛争の経緯の中で、もともと紛争解決の手段として儀礼的な側面が強かった「コンペンセーシヨン」について、近代的貨幣要求の部分が肥大化し、また、政府によっても「早期解決」のための手段と化した。(5)そうした中でソロモン諸島では、民族紛争の反省から、職のない若者たちのの再教育の試みなど、社会的なコンフリクトを生む温床の低減への試みがいくつか登場している。(6)一方、表面的に民族紛争のない隣国ヴァヌアツにおいては、首都ポートヴィラの土地をめぐる民族集団間の葛藤と均衡が、「名乗り」の中に現れているという現象を見ることができる。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 13610188
  • かつお節をめぐる戦前沖縄移民の歴史社会学的研究
    科学研究費補助金(奨励研究(A))
    1999年 - 2000年
    宮内 泰介
    本研究の目的は、戦前の沖縄において、カツオ漁およびかつお節生産のためにミクロネシア(南洋群島)およびボルネオに移民した人びとの実態、とくに(1)移民の社会的背景(構造)および(2)移民の生活史、を歴史社会学的に考察することにあった。研究対象の沖縄県池間島で明治から大正にかけてカツオ産業が盛んになった理由として、本研究では、次の3点が明らかになった。(1)カツオ産業の前史として八重山出漁による採貝業があったこと。その背景には日本におけるボタン産業の隆盛と沖縄における寄留商人の存在があったこと。(2)裸潜り/追い込みという技術をもっていたこと。(3)沖縄県の積極的な政策、とくに村への指導者の派遣事業があったこと。池間島におけるカツオ漁は大正年間にピークを迎えるが、昭和の初めには経営が破綻して、1929年より南洋への移民が始まり、1935年ごろよりその数は急激に増える。その背景には、世界恐慌という外的な要因もあるが、内的な要因として、次の3点が本研究では明らかになった。(1)池間島がカツオ産業において採った組合制度が継続的に負債を抱える構造になっていて、不況に非常に弱い体質だったこと。(2)沖縄県の政策もあって、新しい技術と経営能力をもった"近代的リーダー"が生まれ始めており、それが組合制度の破綻を受けて個人経営の船(個人船)を誕生させ、その延長上に、南洋へのベンチャー的な進出があったこと。(3)池間の男性の間では、すでに明治期に"小学校卒業→八重山出漁/採貝業→カツオ漁・かつお節製造"というライフコースが確立しており、そこに「南洋移民」という段階が加えられた形になったため、当然のようにチェーンマイグレーションが進んだこと。さらに、移民たちの生活史について、本研究では次の4点が明らかになった(1)移民生活が心地よかったという印象をもっていること、(2)現地島民との関係は個人差があること、(3)移民体験の中に都会体験を随伴していること、(4)移民たちが移民先で想像以上に移動していること、などである。
    文部科学省, 奨励研究(A), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 11710088
  • Oceania, development, environment, the commons, governance, dried bonito, reed               
    競争的資金

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