田中 嘉人 (タナカ ヨシト)

電子科学研究所 光科学研究部門教授
Last Updated :2025/06/07

■研究者基本情報

学位

  • 博士(工学), 大阪大学, 2008年09月

Researchmap個人ページ

研究者番号

  • 50533733

Researcher ID

  • ABC-4663-2021

研究キーワード

  • メタマテリアル
  • プラズモニクス
  • ナノ構造光制御
  • 光駆動ナノモーター
  • プラズモントラッピング
  • 光圧
  • 金属ナノ構造
  • キラルナノ構造

研究分野

  • ナノテク・材料, ナノマイクロシステム
  • ナノテク・材料, 光工学、光量子科学
  • ナノテク・材料, ナノ構造物理
  • ナノテク・材料, ナノ構造化学
  • ナノテク・材料, ナノ材料科学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2023年04月 - 現在
    北海道大学, 電子科学研究所, 教授
  • 2015年03月 - 2023年03月
    東京大学, 生産技術研究所 基礎系部門, 助教
  • 2015年12月 - 2019年03月
    科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 「さきがけ」研究員(兼任)
  • 2014年07月 - 2015年03月
    関西学院大学, 理工学部化学科, 特任助教
  • 2013年03月 - 2014年06月
    Imperial College London, Department of Physics, Visisting researcher
  • 2012年04月 - 2014年06月
    北海道大学, 電子科学研究所, 日本学術振興会特別研究員PD
  • 2008年10月 - 2012年03月
    北海道大学 電子科学研究所, Research Institute for Electronic Science, 博士研究員
  • 2006年04月 - 2008年09月
    大阪大学, 工学研究科, 日本学術振興会特別研究員DC1

■研究活動情報

受賞

  • 2021年10月, 日本光学会, 第62回日本光学会光学論文賞               
    ナノ構造光圧エンジニアリングによる光駆動ナノマシン
  • 2020年, レーザー学会, 第44回レーザー学会奨励賞               
    プラズモニック光波制御デバイスとナノモーター応用
    田中嘉人
  • 2018年, 文部科学大臣, 若手科学者賞               
    局在プラズモン制御による超解像光マニピュレーションの研究
    田中嘉人
  • 2015年, 東京大学 生産技術研究所, 生研弥生賞 最優秀               
    デザインされたプラズモニックナノモーターによる運動駆動・制御
    田中嘉人
  • 2010年, 北海道大学 電子科学研究所, 第39回松本・羽鳥奨励賞               
    局在プラズモン場の高空間分解イメージング法の開発
    田中嘉人

論文

その他活動・業績

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • ナノ構造が拓くマクロな物体の光マニピュレーション               
    創発的研究支援事業
    2022年04月 - 2029年03月
    田中嘉人
    科学技術振興機構, 東京大学, 研究代表者
  • ナノ構造光圧アクチュエータの開拓と量子共振器光バネ振動子の創出
    科学研究費助成事業
    2024年04月01日 - 2027年03月31日
    田中 嘉人, 松本 伸之, 蓑輪 陽介
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 24H00424
  • 超螺旋光によるキラル非線形光学応答
    科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)
    2022年06月 - 2027年03月
    余越 伸彦, 田中 嘉人
    日本学術振興会, 学術変革領域研究(A), 大阪公立大学, 研究分担者, 22H05132
  • 表面分子吸着に応じてパッシブ制御可能なプラズモニックナノモーターの創出
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2019年04月 - 2022年03月
    田中 嘉人
    金属ナノ構造表面近傍の分子の状態や化学反応等に応じて自律的に運動を制御する光駆動ナノモーターの創出を目指し、分子とナノ構造の相互作用に伴う局在プラズモン共鳴変化により光圧が高感度に応答する金属ナノ構造体を研究した。特に、本年度は、シミュレーションによるナノ構造の設計を集中して行った。
    長さの異なる2本のナノロッドは、局在プラズモン間の位相差により指向性側方光散乱を生じる。この反作用として、散乱方向と逆向きにナノロッドペアに面内光圧が働く。この光圧を駆動力とするナノモーターを基に設計を行った。この光圧は局在プラズモン共鳴に基づくものであるため、周辺屈折率変化に応じて力の大きさが変化する。今回、片方のナノロッドのみをSiO2で囲んだナノ構造を考えた。つまり、周辺屈折率変化に対して、SiO2で囲んだナノロッドのプラズモン共鳴は変化しない。これにより、周辺屈折率の変化に対するロッド間のプラズモン位相差の変化が増大すると期待される。設計したナノ構造の光散乱パターンを電磁場シミュレーションにより解析したところ、周辺屈折率に対する散乱の指向性が、SiO2を囲んでない場合と比較して大きく変化することが確認された。また面白いことに、SiO2で囲んだロッドのプラズモン共鳴が変化しないため、周辺屈折率を大きくしていくと位相差の逆転が生じ、指向性散乱の方向が逆方向に転ずる様子が見られた。そこで、面内光圧をMaxwell応力法によって計算したところ、周辺屈折率に対して力の大きさが変化するだけでなく、力方向が逆転することも確認できた。従って、周辺屈折率に応じて運動方向を自律的に制御するナノモーターが期待される。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東京大学, 研究代表者, 19H02533
  • 光駆動マイクロマシンによる単一量子ドットに働く光圧計測法の開発
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2019年04月01日 - 2021年03月31日
    田中 嘉人
    光トラップしたマイクロプラットフォーム(MPF)を用いて、ナノ粒子に働く光圧・光トルクを計測する方法の開発を引き続き行った。具体的には、MPFの作製プロセス、特に薄膜形成プロセスの真空度等を見直すことでサンプル成功率を、当初の10%から100%近くに向上させた。また、MPFの界面で働く光圧や内部多重反射による影響がナノ粒子に働く光圧の精密計測において致命的なノイズになることを突き止め、この問題を解決するためにMPFと周辺媒質の屈折率をマッチングしてMPFの光捕捉・位置計測をできるようにした。これまで用いてきたMPFのパターンマッチングによる位置測定から、MPFに埋め込んだ4つの金ナノ粒子からの散乱光の非点収差による3次元位置測定に変更することで分解能を大幅に向上させた。これにより、MPFの位置(x, y, z)と回転(θx, θy, θz)の3次元測定を行うことで、~1.5fNと~2.0fNnmの感度・分解能でナノ粒子に働く光圧(Fx, Fy, Fz)と光トルク(Tθx, Tθy, Tθz)を計測できることを明らかにした。
    本手法を用いて新学術領域で活発に議論されているキラルナノ物質に働く光圧・光トルクを明らかにするため、2本の金ナノロッドから構成される3次元キラルナノ構造を10nmの空間分解能で距離を制御して作製するプロセス(電子線ビームリソグラフィの2重露光とドライエッチング)を開発した。ナノロッド間の距離とねじれ角度を最適化することで、自然界の分子の1000倍大きい1.03のg値(キラリティーの指標)を実験と理論により実現した。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 東京大学, 19H04670
  • 中赤外グラフェンプラズモンの波数ベクトルのアップコンバージョン高空間分解能計測
    科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
    2018年06月29日 - 2020年03月31日
    田中 嘉人
    本研究では、表面プラズモンの光圧ベクトルを光捕捉したナノ粒子のポテンシャル解析によって測定することで、中赤外グラフェンプラズモンの波数ベクトルを高い空間分解能でイメージングする方法の開発を行った。期間内に、可視から中赤外域にわたる領域で透明なシステムを開発し、光捕捉ポテンシャル解析を用いてナノ粒子に働く中赤外光圧のアップコンバージョン計測を実現した。また、グラフィンナノリッジが表面プラズモンの光励起を可能にし、リッジの配列構造が表面プラズモンの伝搬方向を制御することを見出した。さらに、ツイストスタック二層グラフェンがラマンキラル活性を示すことを初めて明らかにした。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 東京大学, 18K18992
  • マイクロ粒子の光捕捉ポテンシャル解析を活用したナノ物質への光圧測定法の開発
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2017年04月01日 - 2019年03月31日
    田中 嘉人
    本研究は、ナノ物質に働く光圧のポテンシャル解析における問題点(1. 短い光捕捉時間、2. 微弱なプローブ信号)を解決するために、マイクロ粒子を対象とした光捕捉ポテンシャル解析を活用することにより、ナノ物質に作用するフェムトニュートンオーダーの光圧を精密測定する手法を世界に先駆けて開発するものである。
    本年度は、昨年度に開発した光駆動マイクロマシンによるナノ物質に働く光圧計測法を発展させ、さらなる力感度向上させるため、アクティブフィードバックによる光捕捉ポテンシャル制御法を開発した。具体的には、ポテンシャル深さが数kTになる低い光強度でマイクロプラットフォーム(MPF)を捕捉し、低いバネ定数(高い力検出感度)のポテンシャルを形成した。次に、CMOSカメラで撮像したMPFの位置をマルチスレッド処理によりリアルタイムに高速解析し、設定した捕捉領域から外れる場合に、電気光学素子(EOM)で光強度を上げてMPFに働く捕捉力を一時的に増大し、捕捉領域に戻すというフィードバックを行った。このようなMPFが感じる光場を高速に制御するシステムを開発し、従来法では難しかった高い力感度と長時間捕捉(高SN比)を併せ持つ捕捉ポテンシャルを実現し、原理的には10fN程度の力計測が可能であることが見積もられた。また、このフィードバックによるポテンシャル形状の制御を有限差分法でシミュレーションし、実験結果から光圧を正確に解析する方法を検討した。さらに、本手法の光圧計測における有効性を示すために、従来法では難しかったナノロッドに働く光トルクの定量計測を行った。現在のことろ、ナノロッドを中心に配置したMPFの光捕捉ポテンシャル計測に成功し、170pNnm/mradのバネ定数で30pNnm以上の分解能が得られることを明らかにした。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 東京大学, 17H05462
  • 局在プラズモン制御による光駆動ナノモーター創出               
    戦略的創造研究推進事業 「さきがけ」
    2015年12月 - 2019年03月
    田中嘉人
    科学技術振興機構, 研究代表者
  • もつれ合い局在プラズモンによる超高効率2光子反応プロセス
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2011年04月01日 - 2015年03月31日
    笹木 敬司, 藤原 英樹, 田中 嘉人
    金属ナノ構造のプラズモン局在場の電場増強効果と時間的なもつれ合い光子の相乗効果を利用した超高効率2光子反応過程の実現を目指し、周辺要素技術の開発を行った。金ナノ構造中の増強電場の理論的・実験的な評価を行い、周期構造化による更なる電場増強効果の発現を見いだした。また、この金ナノ周期構造における2光子励起蛍光測定を行い、少なくとも105程度の蛍光増強が起きている事を明らかにした。さらに、ファイバ結合微小球共振器を用いた高効率プラズモン励起システムの構築を行い、入射光をほぼ100%の効率で金ナノ構造に集光し、微弱なCWレーザー励起(数kW/cm2)により2光子励起蛍光が誘起される事を確認した。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 23246016
  • プラズモニックアレイによるナノ空間光マニピュレーション
    科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    2012年 - 2014年
    田中 嘉人
    プラズモン共鳴を励振する際に生じる局所温度上昇は、微粒子のプラズモントラッピングにおける安定性を考える上で極めて重要であることがら、本年度は1. 熱伝導性の高い基板をヒートシンクとして用いる方針と、2. プラズモニックナノ構造に代わって、高屈折率を持ち誘電体の虚数が小さい半導体ナノ構造を用いる方針で課題克服に向けて取り組んで来た。1. について具体的には、熱伝導性がガラスの数十倍高いサファイアを基板として用い、これまでと同じように電子線ビームリソグラフィ/リフトオフ法によってナノ構造を作製し、SEMやAFMによって形状を、顕微分光によりプラズモン共鳴特性を、近接場顕微鏡により光局在場分布を評価し、シミュレーションで用いたモデルと極めて近い形状・特性を得る事ができた。サファイア基板上金ナノブロックペアを用いて100nm粒子のプラズモントラッピングをしたところ、ガラス基板を用いた場合と比べナノ粒子の位置揺らぎが1/5まで抑えることが可能であることを明らかにした。次に、2. についてSiやGaPのナノブロックペアを対象に可視光照射に伴う局所温度上昇を計算によって見積もったところ、Siナノ構造については金を使った場合に比べ1/100の温度上昇、GaPナノ構造については誘電率の虚部がゼロのため全く温度上昇しないということを見出した。SiやGaPナノ構造で生じる局在場が微粒子捕捉で働く放射圧をMaxwell応力法によって計算したところ、金を使った場合にくらべ1/3程度になることがわかり、金ナノ構造を使った場合より3倍以上の光照射をすれば放射圧の大きさを同程度に保ちながら、局所温度上昇の影響をかなり抑えることができる可能性を示す事ができた。
    日本学術振興会, 特別研究員奨励費, 北海道大学, 12J03862
  • プラズモン局在場による放射圧クーリング
    科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    2011年 - 2012年
    笹木 敬司, 藤原 英樹, 田中 嘉人
    金属ナノギャップ構造のプラズモン局在場において、熱運動するナノ粒子や分子に発生する放射圧の振る舞いを、世界に先駆けて理論的・実験的に解明した。金属ナノギャップにおける電場分布を高精度に解析する手法を開発し、これまで単一のスポットと考えられていたプラズモン局在場が、高次の多重極モードの重ね合わせとして、複雑な形状を持つことを明らかにした。また、ナノ粒子に作用する放射圧を定量的に解析する計測システムを開発し、金属ナノダイマー構造において、従来の集光ビームに比べて3桁以上強い放射圧が発生することを解明すると共に、2次元ポテンシャルを観測して、超解像トラッピグの実証に初めて成功した。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 23656039
  • 1分子光捕捉を目指したプラズモニックナノ構造の作製
    科学研究費補助金(若手研究(B))
    2009年 - 2011年
    田中嘉人
    金属ナノ構造に光を照射すると、金属構造中に含まれる自由電子が光エネルギーを吸収することにより集団振動(局在表面プラズモン)を始め、その結果金属ナノ構造の表面近傍のナノ領域に極めて高い光局在場が生じる。この光局在場では極めて大きな光放射圧(電場勾配力)が分子やナノ物質に働くことが予想される。そこで、時間領域差分法(FDTD)を用いて金属ナノ構造近傍の電場分布を計算し、光放射圧が働く領域と場所毎に働く光放射圧の強さを見積もった。その結果、1.光増強度の高い構造は光の局在特性も高く一度光捕捉した分子の閉じ込めは大きい一方、光放射圧が働く領域が極めて小さくなる、2.光増強度の低い構造は光の局在性も低く、光放射圧が働く領域は広くなるが分子に働く光放射圧の大きさは小さくなることがわかった。そこで、金ナノダイマー構造のギャップ距離が小さくかつその距離を緩やかに変化する金ナノ構造を提案した。提案した金属ナノ構造を電子線ビームリソグラフィで作製するにあたり、電子線描画の条件、現像条件、金属蒸着条件、リフトオフ条件等の最適化を行った。現在の所高い再現性は未だ得られないものの2ナノメートル以下の精度で金ナノ構造のギャップを作製することに成功している。広い入射波長に対応するために、多様なサイズのナノ構造作製条件も模索している。来年度はFDTDを用いて構造の最適化を進めると共に電子線ビームリソグラフィ...
    文部科学省, 若手研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 21710090
  • 光圧ポテンシャルにより分子レベルの秩序構造を制御したJ会合体の作製・配列
    科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    2006年 - 2008年
    田中 嘉人
    これまでの研究で、光圧ポテンシャルが働くレーザー集光位置において、J会合体の核形成が促進されること、核形成したJ会合体は自然析出するJ会合体に比べ分子の配向秩序が高く非線形光学材料として優れていることなどを明らかにしてきた。つまり、光圧ポテンシャルによりJ会合体の形成や分子配列が制御できることがわかってきた。次のステップとして、本年度はJ会合体にかわり銀ナノ粒子凝集体に注目した。銀ナノ粒子凝集体もJ会合体同様、ナノ粒子の配列構造によって光圧ポテンシャルエネルギーが大きく変化する。以下に本研究成果の要旨を示す。
    1.レーザー集光位置で形成する銀ナノ粒子凝集体の凝集構造を、粒子間のプラズモニック相互作用によって直線偏光と円偏光で制御できることを明らかにした。
    2.直線偏光したレーザー集光位置では1次元状に銀ナノ粒子が配列し、電場の偏光方向に長軸が配向することを見出した。
    3.2の銀ナノ粒子凝集体は照射レーザー光波長において強いプラズモン共鳴を示し、吸着分子の表面増強ハイパーラマン散乱を測定することに成功した。
    4.レーザー集光位置で形成した銀ナノ粒子凝集体は、強い電場増強サイト(いわゆるホットスポット)に分子を光捕捉できることを実証した。
    本研究成果は、分子だけでなく金属ナノ粒子の配列構造も光圧ポテンシャルにより制御できることを示すものであり、光圧ポテンシャル効果の高い一般性を示すと共にその有用性を示すことにも成功した。
    日本学術振興会, 特別研究員奨励費, 06J09148