空井 護 (ソライ マモル)
法学研究科 法学政治学専攻 政治学講座 | 教授 |
Last Updated :2024/12/06
■研究者基本情報
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■経歴
学内役職歴
■研究活動情報
論文
- 「「戦後」の諸相」
松浦正孝編著『「戦後日本」とは何だったのか――時期・境界・物語の政治経済史』(ミネルヴァ書房), 36, 59, 2024年02月, [招待有り], [筆頭著者, 最終著者, 責任著者]
日本語, 論文集(書籍)内論文, 45118269 - 「民主主義は脆弱で権威主義は強靭か」
日本比較政治学会編『日本比較政治学会年報第22号 民主主義の脆弱性と権威主義の強靭性』(ミネルヴァ書房), 3, 29, 2020年10月, [招待有り], [責任著者]
研究論文(学術雑誌) - 「民主体制であること、民主体制であり続けること」
『世界』(岩波書店), 903, 93, 101, 2018年01月, [招待有り], [責任著者]
日本語, 研究論文(学術雑誌) - 「選挙制度」
『公法研究』(有斐閣), 79, 109, 120, 2017年10月, [招待有り] - 「『人間の条件』をいかに読むか」
川崎修・萩原能久・出岡直也編『アーレントと20世紀の経験』(慶應義塾大学出版会), 29, 52, 2017年09月, [招待有り]
日本語, 研究論文(学術雑誌) - 「政権選択にまつわる対照性の揺らぎ」
『法律時報』(日本評論社), 88, 5, 46, 51, 2016年05月, [招待有り]
日本語 - 「影響の体系としての現代民主体制」
宮本太郎・山口二郎編『リアル・デモクラシー――ポスト「日本型利益政治」の構想』(岩波書店), 309, 342, 2016年01月
日本語 - 「デモクラシーにおける古典と現代」
齋藤純一・田村哲樹編『アクセス デモクラシー論』(日本経済評論社), 105, 132, 2012年01月
日本語 - 「代表性競争の時代へ―あらたな多数派像の構築を」
山口二郎編『民主党政権は何をなすべきか―政治学からの提言』(岩波書店), 138, 154, 2010年01月
日本語 - 「ロバート・A・ダールの敗北について」
『法學』, 72, 6, 117, 150, 2009年01月
日本語 - 「エリート競争デモクラシー―デモクラシー・モデルの複数性」
辻康夫・松浦正孝・宮本太郎編『政治学のエッセンシャルズ―視点と争点』(北海道大学出版会), 65, 80, 2008年03月
日本語 - 「野党指導者としての江田三郎」
坂野潤治・新藤宗幸・小林正弥編『憲政の政治学』(東京大学出版会), 152, 189, 2006年01月
日本語 - “Historia de una“democracia diferente”:la posguerra en Japon”
Istor, 68, 98, 2005年
スペイン語 - 「政党否定論者としての美濃部達吉」
67, 2, 1, 35, 2003年06月 - 「池田内閣期の公労協春闘(2・完)」
『法学』, 65, 2, 1, 36, 2001年06月 - 「池田内閣期の公労協春闘(1)」
『法学』, 64, 6, 1, 34, 2001年02月 - 「自民党支配体制下の農民政党結成運動」
北岡伸一・御厨貴編『戦争・復興・発展ー昭和政治史における権力と構想』(東京大学出版会), 259, 295, 2000年04月 - 「美濃部達吉と議会の正統性危機」
『法学』, 62, 4, 45, 86, 1998年10月 - 「日本社会党の中小零細企業者組織化活動」
『法学』, 61, 6, 1, 54, 1998年02月
その他活動・業績
- 「解説」
岡義武『山県有朋―明治日本の象徴』(岩波書店), 257, 282, 2019年09月, [招待有り], [責任著者]
日本語, 記事・総説・解説・論説等(その他) - (新刊紹介)「伊藤武著『イタリア現代史―第二次世界大戦からベルルスコーニ後まで』
『日伊文化研究』(日伊協会), 55, 131, 2017年03月, [招待有り]
日本語 - (新刊紹介)「〈内閣交代の法則〉とは 牧原出著『権力移行 何が政治を安定させるのか』
『週刊読書人』, 4, 2013年09月, [招待有り]
日本語 - (書評)「際立つ大胆さ Rieko KAGE, Civivc Engagement in Postwar Japan: The Revival of a Defeated Society, Cambridge University Press, 2011」
空井 護, 『レヴァイアサン』(木鐸社), 52, 166, 170, 2013年04月, [招待有り]
木鐸社, 日本語 - 世論とポピュリズム 「ねじれ国会」への対処法 (朝日ジャーナル 政治の未来図) -- (災後日本を考える「政治的視座」)
空井 護, 週刊朝日, 116, 51, 90, 92, 2011年10月25日
朝日新聞出版, 日本語 - 「解説」
坂野潤治『明治国家の終焉―1900年体制の崩壊』(筑摩書房), 247, 257, 2010年06月
日本語 - (Book Review) Meiji Demokurashi(Meiji Democracy), By Banno Junji Tokyo: Iwanami Shoten, 2005
Social Science Japan Journal (Oxford University Press), 10, 2, 304, 307, 2007年10月
英語 - 「真の職業政治家としての江田三郎―解説にかえて」
北岡和義編『政治家の人間力―江田三郎への手紙』(明石書店), 330, 352, 2007年10月
日本語
書籍等出版物
共同研究・競争的資金等の研究課題
- 議院内閣制と二院制の接合可能性に関する研究-制度・比較・理論からの分析
科学研究費助成事業
2022年04月01日 - 2026年03月31日
高安 健将, 空井 護, 加藤 雅俊, 大西 祥世, 田中 嘉彦, 池谷 知明, 竹中 治堅
日本学術振興会, 基盤研究(B), 成蹊大学, 22H00809 - ヨーロッパ周辺諸国における政党システムの変容とデモクラシー
科学研究費助成事業
2019年04月01日 - 2023年03月31日
平田 武, 空井 護, 中井 遼, 馬場 香織, 仙石 学, 横田 正顕, 小川 有美, 伊藤 武, 中田 瑞穂
本研究に参加している中田は「東中欧諸国の法の支配をめぐる政治」の題でポーランドやハンガリーの現状について、馬場は「新興民主主義国における安定的な政党システムの変容に関する考察:メキシコの事例」の題でメキシコを事例に政党システム変容について、それぞれ報告を日本政治学会の2020年度研究大会において行った(同研究大会は京都大学での開催が予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってオンライン形式で開催された)。
2020年度後半にはオンライン形式で研究会活動を再開し、まずZoomでの研究会の開催の方針について打ち合わせを実施したうえで、第2回新興デモクラシー諸国比較政治研究会(仙石が研究代表者を務める科研研究会と合同)では中田が「東中欧のビジネス企業政党についての研究動向」と題して、チェコのビジネス企業政党ANO2011について報告を行った。第3回研究会では、日本政治学会での馬場報告に対する網谷龍介氏(津田塾大学)のコメントを念頭に、平田が「政党と政党システムの変容──比較政治学の道具箱」と題して、比較政治学における政党システムや政党の変容に関する理論状況についての概観を行い、伊藤が「イタリア第2共和制における主流派政党の衰退──再検討と理論的課題」と題してイタリアの事例についての報告を行った。平田と仙石はハンガリーの2018年総選挙や2019年欧州議会選挙における選挙データ、世論調査データ(各党の投票者のプロフィール)を共有した。
前年度から繰り越して実施を予定していた海外渡航調査は、今年度内でも実施可能性が開かれなかった。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 東北大学, 19H01442 - 戦後体制(レジーム)とは何であったか――「戦後日本」政治経済史の検証
科学研究費助成事業
2018年04月01日 - 2023年03月31日
松浦 正孝, 保城 広至, 空井 護, 白鳥 潤一郎, 中北 浩爾, 浅井 良夫, 石川 健治, 砂原 庸介, 満薗 勇, 孫 斉庸, 溝口 聡, 加藤 聖文, 河崎 信樹, 小島 庸平, 軽部 謙介, 小野澤 透, 小堀 聡
「戦後体制」の何が戦前・戦時と異なり、どのような新たな体制を築いたのか。それはその後どのような変遷をたどり、どこでどう変わって現在に至ったのか。本研究は、その解明のために異分野(政治史、外交史、政治学、憲法学、経済史)の若手・中堅の最先端研究者を集めた多分野横断による問題発見型プロジェクトである。初めの2年度は、各メンバーの業績と学問背景をより深く理解し「戦後」についての問題を洗い出すため、毎回2名ずつの主要業績をテキストとする書評会と、その2名が それぞれ自分野における「戦後」をめぐる 時期区分論と構造について報告する研究会を、年4回開くこととした。しかるにコロナ禍の拡大により、第2年度目最後の2019年3月、京都の会議施設を何度も予約しながら対面式研究会のキャンセルを余儀なくされた。
しかし20年度に入ると研究会をオンラインで再開することとし、以後、オンライン研究会を中心に共同研究を進めた。コロナ禍による遅れを取り戻すべく、20年7月・8月・9月と毎月研究会を行い、与党連立政権、貿易・為替システム、消費者金融などのテーマについてメンバーの業績を中心に討議を行った。オリジナル・メンバーの間での相互理解と共通認識が深まったため、12月にはゲスト3名をお招きして、戦犯・遺骨収集・旧軍人特権の戦後処理問題を扱うと共に、メンバーによる復員研究の書評会を行った。「家族」という重要テーマの第一人者である倉敷伸子氏にも、新たにプロジェクトに加わって頂いた。
この間、メンバーの数名を中心に今後の研究方針案を調整した上で、21年3月には3日間にわたり「編集全体会議」を開催した。後半2年間に行うべき成果のとりまとめ方針を話し合うと共に、憲法・経済史・労働史・現代史の新メンバー加入を決め、各メンバーが取り組むテーマを報告し議論した。また、各メンバーは各自で本プロジェクトの成果を発表した。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 立教大学, 18H03625 - 選挙中心的理解による〈現代デモクラシー〉の再正統化
科学研究費助成事業
2018年04月01日 - 2021年03月31日
空井 護
比較政治学では,デモクラシーを政治体制の型と理解するのが一般的である。本研究はそうした比較政治学分野の理論的研究として,デモクラシーの下位型である現代デモクラシーの正統性の強化を目的とした。
本研究では,現代デモクラシーが選挙を中心にして構成される,論理的一貫性を備えた政治体制型であることを確認するとともに,同じくデモクラシーの下位型としてレファレンダムを中心に構成される古典デモクラシーにデフォルト・ステイタスを認め,現代デモクラシーをそれよりも劣位に置く常識的な理解は,現代の政治の基本構造を踏まえれば成り立たないことを論証した。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 18K01432 - 民主主義活性化のための政治理論と実証研究の共生成的政治学の研究
科学研究費助成事業
2014年04月01日 - 2017年03月31日
小川 有美, 空井 護, 芝崎 厚士, 中井 遼, 一ノ瀬 佳也, 田村 哲樹, 三村 憲弘, 浅井 亜希, 粕谷 祐子, 井上 弘貴, 稗田 健志
本研究プログラムでは「規範研究」と「実証研究」の双方の研究者が集まり、相互の研究アプローチを補完する「地平の融合」を目指し、政治的選好と制度形成・政治的動員の関係を明らかにしていくことを行った。特に、具体的な政治家や市民の選好・行動原則がいかなる前提・葛藤・サイクルにより形成され、変容し、あるいは固定化するのかを検討した上で、さらにより複雑な選好・行動原則について、規範的アプローチにより考察を加えていく。その中で、「民主主義の赤字」(democratic deficit)という政治現象を分析しながら、民主主義を活性化していく方策について理論的・実証的に検討していくことを行った。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 立教大学, 26285035 - 中小国を中心とするヨーロッパ諸国と日本の政治発展の比較研究
科学研究費助成事業
2013年04月01日 - 2017年03月31日
平田 武, 空井 護, 伏見 岳人, 横田 正顕, 小川 有美, 藤嶋 亮, 野上 和裕, 中山 洋平
日本の政治発展をヨーロッパの非モデル国家のそれと比較することの意義を主張した本研究は、①日本の政党内閣成立過程を北欧諸国における議院内閣制成立過程と、②政党内閣期の政権交代を南欧・東南欧諸国における寡頭政的議会制のメカニズムと、③権威主義化の過程を南欧・東欧諸国のそれと、④戦後の一党優位制の成立をフランスやイタリアの中央集権的福祉国家建設の文脈でのそれと比較する事を目指したものである。日本政治史研究者とヨーロッパ政治史研究者を糾合して、9回の「比較ヨーロッパ政治史研究会」を開催し、比較政治学上の研究動向のサーヴェイ、歴史政治学の先達の業績の評価、個別のテーマに関する研究成果をあげた。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 東北大学, 25285037 - 政権交代の比較研究と民主政治の可能性に関する考察
科学研究費助成事業
2012年04月01日 - 2017年03月31日
山口 二郎, 杉田 敦, 遠藤 乾, 空井 護, 吉田 徹, 渡辺 将人, 木宮 正史, 川島 真, 遠藤 誠治, 高安 健将, 村上 信一郎, 宮本 太郎, 小川 有美, 中北 浩爾, 水野 和夫
20世紀後半に民主主義国で確立された二大政党制、二極的政党システムにおける政権交代というモデルは、1980年代の新保守主義的政治、1990年代後半の中道左派の復活までは、順調に作動し、民意の吸収と政策転換という効果をもたらした。しかし、2000年代に入って、経済のグローバル化の一層の進展と、雇用の不安定化や格差の拡大は政治的安定の基盤をなした経済的安定を侵食した。その結果、政権交代に対する国民の期待が低下し、ポピュリズムが現れた。こうした危機を打開するためには、従来の左右を超えた政党再編が必要とされている。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 24243021 - 代表関係理解の刷新を通じた現代デモクラシー構想の拡充
科学研究費助成事業
2013年04月01日 - 2016年03月31日
空井 護
本研究は,政治的代表関係理解の刷新を通じて現代デモクラシーのより豊かな理論的描像を構想し,それにより現代デモクラシーの再正統化と再活性化を図ることを目的とした。しかし現代政治の基本構造を精査してゆくなかで,「政治的代表」ステイタスの付与による政治的決定者の規範化という研究方略の困難性が明らかになるとともに,論理的な一貫性(「間接性の均衡」)において,実は現代デモクラシーが古典デモクラシーに対して一定の優位性を誇れることも明らかとなった。古典デモクラシーから現代デモクラシーに対する今日の強力な非正統化圧力を軽減する論理を析出できたことが,本研究の主たる成果である。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 25380143 - 日本型福祉・雇用レジームの転換をめぐる集団政治分析
科学研究費助成事業
2010年04月01日 - 2014年03月31日
宮本 太郎, 坪郷 實, 山口 二郎, 篠田 徹, 山崎 幹根, 空井 護, 田村 哲樹, 田中 拓道, 井手 英策, 吉田 徹, 城下 賢一
本研究の主題は、福祉雇用レジームの変容が政治過程の転換をどう引き起こしたか、また政治過程の転換が、逆にいかに福祉雇用レジームの変容を促進したかを明らかにすることである。本研究は、国際比較の視点を交えた制度変容分析、世論調査、団体分析などをとおして、福祉雇用レジームの変容が建設業団体や労働組合の影響力の後退につながり、結果的にこうした団体の調整力に依拠してきた雇用レジームが不安定化していることを示した。同時にいくつかの地域では、NPOなどを交えた新たな集団政治が社会的包摂をすすめていく可能性を見出した。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 22243011 - ヨーロッパにおける政党競合構造の変容と政党戦略
科学研究費助成事業
2009年 - 2011年
網谷 龍介, 伊藤 武, 中田 瑞穂, 吉田 徹, 空井 護, 成廣 孝, 渡辺 博明, 藤嶋 亮
本研究の主な成果は以下の三点である.第一に,「競合」概念の精緻化が必要である.複数の政党の存在は競合の存在とイコールではない.政党は固有の支持基盤を持ってすみ分けている場合がある.第二に,包括政党は(大衆)組織政党に代わったのではなく,新たな組織化の試みであった.政党組織の直線的な衰退というイメージにも修正が必要である.第三に,戦後西欧の政党政治の黄金時代を支えた条件が失われた現在,政党政治に対する信頼,ひいては民主政治への信頼を維持するのは容易ではない.
日本学術振興会, 基盤研究(B), 21330035 - 市民社会民主主義の理念と政策に関する総合的考察
科学研究費助成事業
2007年 - 2011年
山口 二郎, 宮本 太郎, 遠藤 乾, 空井 護, 高橋 伸彰, 村上 信一郎, 齋藤 純一, 杉田 敦, 中北 浩爾, 小川 有美, 小原 隆治, 遠藤 誠治, 野田 昌吾, 宇野 重規, 田村 哲樹, 宇野 重規, 田村 哲樹
本研究はグローバル化した金融資本主義の矛盾が明らかになる一方、民主政治による政策決定が円滑に進まないという困難な状況において、民主政治をどう再生させるかという問いに取り組んだ。基礎的な再分配政策に加えて、雇用、生活支援などのサービスを市民社会の自発性を引き出す形で展開することで、新たな福祉国家モデルを追求するというのが21世紀的な危機に対する処方箋となることを明らかにした。
日本学術振興会, 基盤研究(S), 北海道大学, 19103001 - 政党類型論との接合による政党システム論の刷新
科学研究費助成事業
2008年 - 2010年
空井 護
研究最終年度にあたる本年度においては,昨年度までに得られた知見,すなわち(1)「政党間競争から生じる相互作用のシステム」というG・サルトーリが提唱した動態的な「政党システム」理解が正当なものであるとの知見,および,(2)「政党間競争は何を目標に展開されるのか」を考える際,政党行動(目標)類型の複数性に関するK・ストロームの指摘がとりわけ重要であるとの知見,この2つの知見を踏まえ,複数の政党間競争とそこに生じる複数の相互作用システム(=政党システム)が,競争結果(システム出力)が次の競争の初期条件(システム入力)を形成する形で時系列的に連鎖するモデル(=政党間競争・政党システムの連鎖モデル)を構築することに努め,まずは日本比較政治学会2010年度研究大会において,その暫定的な成果を発表した。年度の後半は,政党研究の中堅第一人者たちとの対話を通じてこのモデルの妥当性を探り,それをさらに洗練する作業に充てた。最終盤に予定していた意見聴取会2回が,東日本大震災の影響で中止のやむなきに至ったことは残念であったが,寄せられた批判的意見を踏まえつつ,早期に学術研究論文をまとめ,政党間競争理解の抜本的見直しを通じた「政党システム」論の刷新の必要性を学界に向けて唱えたい。なお,年度の半ばに論文「「理念なき政党政治」の理念型」を発表したが,これは,主要政党の類型変容が現代デモクラシーの動態をいかに変化させ,さらにそれに応じて現代デモクラシーの最も根幹に位置する制度的装置たる選挙のあり方がいかなる変容を蒙らざるを得ないのかを,原理論的モデルとして記述したものである。本研究が当初掲げていた,競争戦略をメルクマールとする新たな政党タイポロジーの開発という研究目標は十分に達成できなかったものの,本論文の執筆を通じ,政党類型論を政党組織構造論から解き放つことにより,新たな議論が展開できることが確認できたと考える。
日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 20653007 - 脱「日独型レジーム」の比較政治分析
科学研究費助成事業
2006年 - 2009年
宮本 太郎, 山口 二郎, 空井 護, 佐藤 雅代, 坪郷 實, 安井 宏樹, 遠藤 乾, 水島 治郎, 吉田 徹, 田中 拓道, 倉田 聡
本研究は大きく三つの領域において成果をあげた。第一に、日本の政治経済体制、とくに日本型の福祉・雇用レジームの特質を、比較政治経済学の視点から明らかにした。第二に、レジームを転換していくためのオプションを検討し、各種のシンクタンクや政府の委員会などで政策提言もおこなった。第三に、世論調査でこうしたオプション群への人々の選好のあり方を明らかにし、新しい政党間対立軸の可能性を示した。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 18203007 - 日本政治史学と現代政治学・歴史学理論との対話と交流の可能性に関する研究
科学研究費助成事業
2005年 - 2007年
松浦 正孝, 空井 護
本研究の目的は、隔絶しつつある日本政治史と現代日本政治理論・歴史学理論との関係を整理し、両者の対話・交流を実りあるものとし、それにより閉塞状態にある日本政治史を再生させることにあった。日本政治史学史執筆には至らなかったが、多くの準備作業を行い得た。
まず、最終年度である19年度は、日本政治史に政治過程論・連合理論・選択肢理論・民主政理論・思想史の政治学的分析などの理論的手法を持ち込むことで、数々の金字塔的著作を残された坂野潤治氏に学ぶべく、氏の理論的実験の集大成とも言うべき『未完の明治維新』(岩波書店、2007年)を始めとするこれまでの氏の業績を徹底的に分析する研究会を行った。坂野氏本人と松浦・空井を含む4名の論者、そしてフロアーからの熱気溢れる討論を通じ、氏の理論的枠組みの長所・限界と、それを幕末維新かち現代までという長期に適用することの意味が明らかになり、西欧政治学理論を直接日本政治史にあてはめるのではなく、まず日本政治史の文脈における問題関心の場に置き直してこれを再定義し、改めてオリジナルな分析枠組みとして、日本政治史分析に適用することの有意義性と画期性とが確認されたことは、大きな収穫であった。これを念頭に空井は、氏の『明治デモクラシー』(岩波書店、2005年)を扱った英文書評を執筆した。
第二は、両人はそれぞれ、日本政治史と理論との関係に関する思索と議論とを深め、その結果を公刊した。松浦は、政治史の理論に対する意義を強調する『レヴァイアサン』所収論文を公刊し、石田編著等でディアスポラ理論を応用した論文を執筆し、政治過程論直輸入批判を紀要に発表し、『政治学のエッセンシャルズ』に「政党と選挙」「天皇制」の2項を歴史と理論との交錯の事例として書いた。空井は同書に「エリート競争デモクラシー」を執筆してダールの民主政理論を再検討し、『創文』でさらに掘り下げ、江田三郎を論じた。
日本学術振興会, 萌芽研究, 北海道大学, 17653013 - 戦間期セミ・ポリアーキー諸国における政治体制変動の研究
科学研究費助成事業
2005年 - 2007年
空井 護, 松浦 正孝, 平田 武, 横田 正顕, 中田 瑞穂
本研究は,「セミ・ポリアーキー」という新たな政治体制類型を理論的に確定したうえで,それに特有の体制メカニズムと,セミ・ポリアーキーからポリアーキーへ,あるいはセミ・ポリアーキーから非ポリアーキーへの政治体制変動の特徴的なダイナミクスを,戦間期のいくつかの事例を通じて明らかにしようと試みたものである。
本研究は,従来のようにポリアーキーを「包摂性」と「自由化」という2つの基準が高度に満たされた政治体制としてではなく,あらたに「政治的決定者の議会化への一元化」(その重要なメルクマールが議院内閣制の確立である)という基準を導入したうえで,これら3つの基準がいずれも高度に満たされた政治体制として理解することが,理論上正当であると考える。そして,「包摂性」あるいは「自由化」に関して不完全な体制として理解される,R・ダールの言う意味での「準ポリアーキー」とともに,(セミ・ポリアーキーI),「包摂性」と「自由化」についてはポリアーキー基準を満たしながらも,「議会化」が不完全な体制をもセミ・ポリアーキー(セミ・ポリアーキーII)と位置づけるべきものと理解する。セミ・ポリアーキーIの典型は「寡頭的議会制」であり,あるいは19世紀のイギリスであるが,事例研究で取り上げるのは,そうした観点からこれまで考察されたことのない,サラザール体制以前のポルトガルである。また,セミ・ポリアーキーIIは,議会=内閣の他の国家諸機構に対する優位が不完全な体制であり,それはポリアーキーの崩壊過程とともに,固定化以前のポリアーキーとしても姿を現すが,本研究で事例分析を行うのは,戦間期の新興諸国のうちポーランド・ユーゴスラヴィア・エストニア・チェコスロヴァキアである。
より本格的なセミ・ポリアーキー間比較は今後に残された課題であるが,これまで光が当てられなかった非ポリアーキーの一類型の存在を確認した本研究は,政治体制論の発展に少なからず寄与するものと考える。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 17330026 - 国会運営と立法行動の長期的変化に関する理論的・実証的研究-制度変化と行動変化-
科学研究費助成事業
2002年 - 2004年
川人 貞史, 坂本 孝治郎, 増山 幹高, 待鳥 聡史, 福元 健太郎, 空井 護
1.国会運営ルールの形成と変化
(1)予算国会の衆院予算委の審議日程等に関するデータを整理し,運営方式の変遷や争点の推移を概観できるようにした.
(2)国会中心主義の国会制度と議院内閣制に関する法整備の分析を進め,国会制度の形成・変容とその政治的帰結を分析する研究を本にまとめた.
(3)戦後国会における両院間調整の制度がどのように運用され,そこで参議院の意向がどの程度まで政策結果に反映されるかに関する論文を執筆し,衆議院の優越が条件付きにとどまることを示した.
2.立法案件データの作成
(1)法案の議事日程の資料整備を進め,会期延長と法案成立に要する日数の関係を分析し,また厚生省関連法案の動向と所管部局再編の関連を検証した.
(2)両院間調整に至った議案についてのデータを,閣法,衆法,参法についても完成させた.
(3)第119回〜141回国会の内閣提出法案審議状況を一覧形式で資料としてまとめた論文を公刊した.
3.国会運営の制度と立法行動を説明するための理論と実証
(1)国会法改正が法案の議事日程に及ぼした作用を検証した.
(2)参議院議員は衆議院議員に比べてシニアとは限らないことを,全国会議員のデータ分析で明らかにした.
(3)米連邦議会の予算編成改革を比較政治学的観点から分析した単著を公刊した.
(4)国会における内閣提出法案を対象とした議事運営の計量分析を本にまとめた.
(5)国会運営の制度分析を行う際に,諸外国や地方の議会との比較の視座を導入する意義を示した論文を執筆した.
(6)内閣提出法案と議員提出法案の立法過程を法案個々の成立確率という意味において比較し,権力の集中と分散を規定する国会の憲法構造的作用を戦後の長期的な時系列変化という観点から検証する論文を執筆した.
(7)日本の国会と内閣の関係を概説し,内閣が選挙や立法においてリーダーシップを発揮する状況を分析した論文を公刊した.
日本学術振興会, 基盤研究(B), 東北大学, 14320024 - 現代政治経済体制の起源1955-65-政党の役割に関する日欧比較
科学研究費助成事業
1998年 - 2000年
飯田 芳弘, 中北 浩爾, 空井 護, 中山 洋平
本研究の課題は、「現代政治経済体制」の「形成過程」を1955年から1965年の10年間に想定し、その過程において、政党が国家や団体といかなる関係を結び、いかなる役割を果たしたのかを明らかにすることであった。研究を通じて、日本についての2本の報告書とフランス・ドイツについての報告書を得ることができた。
中北は、政治経済体制としての「1955年体制」の成立過程を明らかにした。彼によれば、「1955年体制」の政治的側面とは、朝鮮戦争とインドシナ戦争の休戦後に課題となった非軍事化と対米自立を、対米協調の枠内で実現するために必要な政治力を強化することであり、その経済的側面とは、アメリカを中心とする開放的国際経済体制に対応するための経済力強化であった。
空井は、日本政治における「1960年の転換」を明らかにした。彼によれば、1960年を境に、与党自由民主党においては政権運営のスタイルが、野党日本社会党においてはその政権獲得構想が大きく変化し、その後の日本政治はかなりの程度その「転換」によって規定された。
中山は、フランス第五共和制の成立初期の政治経済体制をテーマとした。なぜそこでは政党主導の穏健な近代化政策に代わって、国家主導の急進的な近代化政策が採用されたのかが明らかにされた。
飯田は、「西ドイツにおける利益団体統合問題」をテーマとした。「連邦経済協議会」構想の変質と「編成社会」構想の登場と消滅を通じて、ドイツ史に伝統的な国家による「利益団体統合」構想が廃れ、新たな統合主体として政党が「発見」されていく過程を明らかにした。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 学習院大学, 10420015 - デモクラシーの競争理論
競争的資金 - Competitive Theory of Democracy
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