戸田 泰則 (トダ ヤスノリ)

工学研究院 応用物理学部門 固体量子物理工学分野教授
高等教育推進機構教授
Last Updated :2026/02/04

■研究者基本情報

学位

  • 博士(工学), 東京工業大学

Researchmap個人ページ

研究キーワード

  • 光渦
  • コヒーレント分光
  • 時間分解分光
  • 高温超伝導
  • 励起子

研究分野

  • 自然科学一般, 半導体、光物性、原子物理
  • ナノテク・材料, 光工学、光量子科学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2012年04月 - 現在
    北海道大学 工学(系)研究科(研究院), 教授
  • 1999年 - 2011年
    北海道大学 工学(系)研究科(研究院), 准教授
  • 1996年04月 - 1999年08月
    東京大学 生産技術研究所, Institute of Industrial Science, 学振特別研究員、助手

学歴

  • 1993年04月 - 1996年03月, 東京工業大学 大学院総合理工学研究科, Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering
  • 1991年04月 - 1993年03月, 東京工業大学 大学院総合理工学研究科, Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering
  • 1987年04月 - 1991年03月, 東京工業大学 工学部 有機材料工学科, School of Engineering, Dept. of Organic and Polymeric Materials

委員歴

  • 2022年04月 - 現在
    応用物理学会北海道支部, 支部評議員, 学協会
  • 2020年04月 - 2022年03月
    応用物理学会, 理事(北海道支部長), 学協会
  • 2015年03月 - 2019年03月
    応用物理学会, 代議員, 学協会

■研究活動情報

受賞

  • 2015年, 応用物理学会, 第37回優秀論文賞               
    戸田泰則

論文

その他活動・業績

書籍等出版物

  • Laser Spectroscopy Using Topological Light Beams               
    Yasunori Toda
    Springer Series in Progress in Nanophotonics 3, 2014年, [共著]
  • 光物性入門               
    戸田泰則
    朝倉書店, 2009年, [共著]
  • ナノオプティクス:ナノスケールの光物性               
    戸田泰則
    オーム社, 2004年, [共著]
  • Optical Characterization of In(Ga)As/GaAs Self-assembled Quantum Dots Using Near-Field Spectroscopy               
    戸田泰則
    Springer Series in Optical Sciences Volume 86, 2003年, [共著]
  • ナノ光工学ハンドブック               
    戸田泰則
    朝倉書店, 2002年, [共著]

所属学協会

  • 日本物理学会               
  • 応用物理学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 超短光渦パルスの時空間結合特性を用いた超高速らせん形状モード変調とその応用展開
    科学研究費助成事業
    2023年04月01日 - 2026年03月31日
    森田 隆二, 戸田 泰則
    本研究の目的は,光の持つ位相・偏光の空間的特異性・非一様性に着目し,申請者らが現在までに独自に開発したモノサイクル域光パルス発生・制御技術,さらには光波時空間結合コヒーレント合成技術を用いることにより,以下のことを行うことである。すなわち,時間的にチャープした光渦パルス等のコヒーレントビーム合成による,らせん形状・円筒対称ビームパターンTHz変調手法の確立,この技術を発展させ,様々ならせん形状・円筒対称を持つTHz変調動的光モードの生成,さらに生成ビームによる物質系における擬粒子励起とそのコヒーレント伝播制御・増強・対称性を有した新奇現象探索を行うことである。


    既に申請者らは,THz回転周波数の超高速回転光格子(光渦ペア)発生に成功しているが,これは方位角依存の位相の干渉効果によるものである。物質系における擬粒子励起などの応用を考え,当該年度はさらなる自由度として動径座標依存の位相変調の導入を行った。「方位方向依存位相+動径方向依存位相」の干渉効果を用いると,「らせん方向」ビーム変調が可能となり,これを超高速で回転させることができる。


    具体的には,動径方向依存+方位方向依存位相変調の自在性を与えるため,プログラマブル空間位相変調器を用いており,その光損傷閾値を超えない程度の光源の増幅を行っている。また,光渦の重ね合わせ光学系としては,光損失が少なく安定でロバストなコヒーレントビーム合成光学系を,Sagnac型干渉計光路を用いて構築している。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23K26566
  • 特異点光波による光誘起ナノスケール超伝導の創製
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2025年03月31日
    戸田 泰則, 小田 研, 土屋 聡
    本研究では特異点光波(光渦パルス)を物質の電子状態に対して空間的に高速制御する手段として活用し、超伝導体試料に対して光誘起のナノスケール超伝導を創出する。現在までに1)光誘起相転移を観測する分光手法(コヒーレントクエンチ分光)への特異点光波の適用、2)特異点周りの強度暗点に形成される局在超伝導の応答検出、および3)局在超伝導を用いた超伝導試料に対する空間イメージングを実現した。特異点光波のフルーエンス変化にもとづく超伝導応答の空間分布先鋭化が確認され、超伝導の非熱的相破壊(クエンチ)を反映する飽和特性を利用した超解像化を実証することができた。特に局在化超伝導サイズの適切な見積もりと物性解析に対する有効性を示すため、空間分解イメージングを用いて超伝導応答の時空間変化を系統的に調査した。具体的には強度暗点に形成される超伝導サイズの相破壊パルス強度に対する依存性、クエンチ後の経過時間に対する依存性を観測し、結果から、1)強度暗点に形成される局在超伝導のサイズが約100nmに到達すること、2)局在超伝導の存在時間はクエンチされた領域の超伝導回復時間(<10ps)で決定されることを明らかにした。バルクの性質をもつ超伝導状態をナノスケールで観測・制御する手法は画期的であり、実際に超伝導応答の時空間分布を示すことで本手法が超伝導物性探索の強力なツールとなりうることを示すことができた。合わせて新機能開拓に対する本手法の有効性を示すため、高温超伝導体に特徴的に現れる擬ギャップと呼ばれる電子状態に対しても同様の光誘起局在化の実証実験に取り組んだ。プロセスフリーで電子状態の時空間制御を可能とする本手法の特徴を生かし、超伝導体特有の電子状態に対して非熱的空間変調にもとづく機能応用の道筋を開拓できた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23K23246
  • 3パルス型フェムト秒時間分解分光による電荷ガラス転移における動的不均一性の探索
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2025年03月31日
    土屋 聡, 戸田 泰則, 谷口 弘三
    本研究の最終目標である「ガラス転移の解明」に向けて、近年基礎、応用の両面から注目を集めている有機分子結晶の電荷ガラス状態を研究対象とし、フェムト秒光パルスを用いた電子の緩和ダイナミクス測定を実施し、ガラス転移に対する新たな知見を得ることを目的とする。
    2年目は初年度に得たガラス状態を特徴付ける緩和ダイナミクスの普遍性を調査した。まず初年度に測定したtheta-(BEDT-TTF)2RbZn(SCN)4、theta-(BEDT-TTF)2CsZn(SCN)4、ZnをCoに置換したtheta-(BEDT-TTF)2RbCo(SCN)4、theta-(BEDT-TTF)2CsCo(SCN)4に注目した。これらCo塩の基礎物性はRb塩と非常によく似ていることがわかっており、Rb塩と同様の電荷秩序、電荷ガラスを特徴付ける光誘起キャリアダイナミクスが観測されることが期待される。Co塩において2パルス型ポンププローブ分光測定を実施したところ、Rb塩とどうようの傾向のダイナミクスが観測され、普遍性があることが確認できた。
    また電荷秩序を特徴付けるダイナミクスが他の物質でも観測されるか探るため、alpha-(BEDT-TTF)2I3、alpha-(BETS)2I3においても測定を行った。これまでの研究からalpha-(BEDT-TTF)2I3では低温で電荷秩序に相転移し、alpha-(BETS)2I3は電荷秩序ではない絶縁体に転移することがわかっているため、これら2物質での結果を比較することで、電荷秩序を特徴付けるダイナミクスの普遍性についての知見が得られると考えた。測定の結果、電荷秩序を示すalpha-(BEDT-TTF)2I3ではtheta塩の電荷秩序と同様のダイナミクスが観測され、alpha-(BETS)2I3では、電荷秩序とは異なるダイナミクスが観測された。このことから電荷秩序ダイナミクスの普遍性を確認することができた。この成果の一部は論文として出版した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23K22433
  • 3パルス型フェムト秒時間分解分光による電荷ガラス転移における動的不均一性の探索
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2025年03月31日
    土屋 聡, 戸田 泰則, 谷口 弘三
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 22H01162
  • 特異点光波による光誘起ナノスケール超伝導の創製
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2025年03月31日
    戸田 泰則, 小田 研, 土屋 聡
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 22H01978
  • 量子液晶の制御と機能
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2019年06月28日 - 2024年03月31日
    小林 研介, 戸田 泰則, 戸川 欣彦, 石坂 香子, 岡崎 浩三, 有馬 孝尚
    小林は、量子ドットにおける近藤効果を用いて、平衡非線形領域にある微分伝導度について調べ、平衡から遠く離れた状況にあったとしても、対称性を通じて近藤効果が輸送現象に姿を表すことを微視的に実証した。さらに、GaAs/AlGaAsトンネル結合二重量子井戸構造におけるラシュバ効果、スピン軌道トルクによる磁化の準安定状態の実現や、電流雑音測定のための低温増幅器の開発などを行った。有馬は、希土類を含むいくつかの合金系について共鳴X線散乱や中性子散乱を行い、磁場や温度およびそれらの履歴によって多彩な磁気ナノ超構造の間を転移する様子を逆空間で観測することでスピン液晶状態を確定させるという成果を得た。戸川はキラルスピン物質CrNb3S6が示す異方的磁気共鳴の研究を行い、励起配置に強く依存した共鳴応答を見出し、共鳴スイッチングやキラルソリトン共鳴モードの切替えなど、高度な制御法に関する成果を得た。戸田はトポロジカル光波を用いた光誘起相制御開拓の研究を行い、光の伝播がもたらす幾何学位相(グイ位相)の制御性を活用した光渦発振を半導体微小共振器に対して実現した。石坂は遷移金属ダイカルコゲナイドVTe2を対象とし、数ピコ秒の時間分解能による電子回折とイメージング実験を行い、電荷密度波の超高速融解とそれに伴う特異な偏極を持つ音響フォノンの生成・伝播の計測に成功した。岡﨑は、高次高調波レーザーを用いた時間分解光電子分光による光照射による物性制御の研究を行い、鉄系超伝導体FeSeにおいて、光誘起超伝導による超伝導ギャップの観測に成功する、という成果を得た。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 19H05826
  • チャープした超短光渦パルスの重ね合わせによる超高速ビームパターン変調とその応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2020年04月01日 - 2023年03月31日
    森田 隆二, 戸田 泰則
    本研究の目的は,光の持つ位相・偏光の空間的特異性・非一様性に着目し,申請者らが現在までに独自に開発したモノサイクル域光パルス発生・制御技術,超短光パルスコヒーレント合成技術,光のスピン軌道相互作用変換・制御技術を用いることにより, THzの速さでビームパターンが変化する光格子(光渦ペア)を発生させること,さらに,物質系において,発生光渦ペアによる擬粒子励起を行い,その伝播過程を利用してコヒーレントな制御・増強を行うことである。既に申請者らは,THz回転周波数の超高速回転光格子(光渦ペア)発生に成功しているが,物質系における擬粒子励起などの応用を考えると,十分な光出力とはいえない。そこで,まず,THz回転周波数の超高速回転リング状光格子(光渦ペア)の高強度化をめざし,当該年度は以下を行った。


    光源系の改良としては,光損失が少なく安定でロバストなコヒーレントビーム合成光学系としてサニャック型干渉計光路を用い,変調前のパルスエネルギー360 μJ,変調後のパルスエネルギー115 μJ,32%の高い変換効率を得ている。また,チャープされた光渦の重ね合わせ実験において,絶対値が等しく符号の異なるトポロジカルチャージを有する光渦パルスの重ね合わせ手法を拡張し,方位方向指数の異なる光渦の重ね合わせによる動径方向に変化する高効率超高速ビーム変調,方位方向指数および動径方向指数の異なる光渦の重ね合わせによる複雑な超高速ビームパターン変調に成功している。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 20H02645
  • 光渦分光法のプロセスプラズマへの応用と新規材料創生への展開
    科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
    2018年10月09日 - 2023年03月31日
    荒巻 光利, 吉村 信次, 寺坂 健一郎, 矢澤 翔大, 小林 弘和, 戸田 泰則, 鹿野 豊
    本研究の目的は,光渦分光法をプロセスプラズマに適用することでプラズマの制御性を格段に向上させ,そのプラズマ源を材料開発に応用することである.2019年度は,2020年度以降のドイツおよびデンマークでの実験に備えた装置開発および予備実験を行った.
    ドイツ・ルール大学との共同研究では,容量結合プラズマ(CCP)と基板の境界であるシース内における,イオン流速の測定を目的としている.CCPは広くプラズマプロセスで用いられており,シース内で基板に垂直方向に加速されたイオンのエネルギーは,膜質を左右する重要なパラメータである.従来は,基板に穴をあけてレーザーを基板に垂直方向にレーザーを通すか,イオンを引き出してエネルギーアナライザで検出するなどし基板への入射エネルギーが測定されてきた.本研究では,基板に平行な方向から入射した光渦によって,基板に垂直な方向のイオン流速を測定することを目指している.従って,基板や電極を加工する必要がなく,実機への応用も可能となる.2019年度は,光渦を用いたレーザー誘起蛍光測定系を開発し,HYPER-II(九州大学)での予備実験を開始した.
    デンマーク工科大学との共同研究では,希少金属を用いない透明電極の高性能化に関する研究を進めている.現時点で得られている導電性透明薄膜は,電気特性の位置依存性が大きく,何が特性を決めているのか明らかになっていない.本共同研究では,光渦分光により,基板直前のイオン・原子のエネルギー分布を測定し,薄膜の電気的特性との関係を明らかにすることを目指している.2019年度は,予備的実験として,デンマーク工科大学にて,DCスパッタリングプラズマの発光分光測定を開始し,観測可能なAr, Zn, Al等の発光線を検討した.
    日本学術振興会, 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)), 日本大学, 18KK0079
  • 光渦の空間モードカイラリティを活用した時間分解分光の開発
    科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
    2019年06月28日 - 2022年03月31日
    戸田 泰則
    光渦は高次の空間モード光波に対応し、その特徴である波面の回転位相勾配は勾配の方向(符号)に応じたカイラリティを持つ。したがって異なるカイラリティを持つ同一次数の光渦対を用いると、完全同軸の光励起に対してカイラリティ選択による渦対の分離が可能となる。本研究ではこの光渦カイラリティに着目し、モード変換を利用した光波分離にもとづく全く新しい方式の時間分解分光を開発することを目的としている。
    提案手法を確立するため、昨年度は主にカイラリティの異なる光渦の生成分離に対する光学系の確立と最適化に取り組んだ。解決課題として、(i)光渦の空間モード純度、(ii)検出側の空間モード選択性、(iii)試料反射特性、を設定し、
    (項目A)半導体面発光レーザー(VCSEL)に対する空間モード選択制御
    (項目B)高温超伝導体試料(Bi2212)の完全同軸型ポンププローブ分光
    を実施した。項目Aでは光波の空間モード純度(課題i)と選択性(課題ii)の向上を図り、光注入型VCSELにおけるカイラリティ選択可能な光渦発振を実現した。特に共振器の幾何学位相(グイ位相)にもとづく空間モード変換を用いることにより、非対称共振器に対しても光渦発振可能であることを明らかにし、汎用性の高い光渦レーザー実現に向けた原理実証を行った。並行して項目Bでは空間モードカイラリティを活用した時間分解分光開発に取り組み、直交偏光条件下の完全同軸型時間分解ポンププローブ分光によるカイラリティ選択型過渡応答検出を実現した(課題ii)。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 19K22138
  • 光渦パルスで実現する時空間超伝導相制御
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2019年04月01日 - 2022年03月31日
    戸田 泰則, 小田 研, 土屋 聡
    本研究では光渦の空間特異性を超伝導に対する光誘起相制御として活用し、従来技術では実現困難な時空間で変調された準安定電子状態を創出するとともに、相制御のもたらす新規物性および新機能を開拓することを目的として研究を進めている。昨年度は研究計画の基盤となる空間特異性に起因する超伝導過渡応答変化をビスマス系高温超伝導体(Bi2212)試料に対して捉えることに成功し、超伝導相制御に対する光渦パルス適用の道筋を示すことができた。以下に研究成果をまとめる。
    銅酸化物高温超伝導体Bi2212の超伝導相転移温度(Tc)以上には不完全なギャップ(擬ギャップ)が存在し、特徴的な空間特性が発現する。擬ギャップ構造は反強磁性相互作用の強い低キャリア濃度領域で空間不均一化を伴って発達するが、Bi置換による超伝導面外の秩序攪乱(ディスオーダー)を用いることにより制御可能であることが知られる。特に超伝導ギャップが最大となるオプティマルドープ試料では、Bi置換と過剰酸素制御との併用により、擬ギャップに対する空間不均一化の影響を選択的に調査できる。光渦パルスの空間特異性を相抑圧として活用するため、昨年度はBi置換量の異なるオプティマルドープ試料を準備し、時間分解ポンププローブ分光による過渡応答を系統的に調査した。実験結果からBi置換量に応じた擬ギャップおよび超伝導の超短パルス光誘起過渡応答緩和の温度特性および飽和強度特性の本質的な変化が観測され、空間不均一性にもとづく超伝導と擬ギャップとの相関制御の可能性を示すことができた。すなわち空間特異性にもとづく光誘起相制御への展開が示され、本研究の目指す超伝導相制御に対する光渦パルス適用の道筋を提示できた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 19H02621
  • 実空間と時間の両領域で見る銅酸化物における擬ギャップ状態と高温超伝導の関わり
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2019年04月01日 - 2022年03月31日
    小田 研, 戸田 泰則
    本研究では、代表的な銅酸化物高温超伝導体の一つであるBi2212で走査トンネル顕微鏡分光(STM/STS)とポンプ・プローブ時間分解分光(PPTS)を行い、実空間と時間空間の双方から「高温超伝導体に固有の擬ギャップ(PG)現象を担う電子系と高温超伝導の発現との関係性」の解明にアプローチする。2019年度は不足キャリア(ホール)濃度のBi2212単結晶試料でSTM/STS実験とPPTS実験を行い、以下に記す成果を得た。
    1.STM/STSでは、PGにかかる電子系のチェッカーボード様変調構造が超伝導にかかる準粒子の干渉による変調構造と実空間の同じ領域において共存することが明らかとなった。また、両者の共存関係を相互相関関数の手法により調べた結果、明確な実空間相関が観測され、チェッカーボード様変調構造の起源やPG状態と超伝導に関係する電子状態間の相互作用の可能性を明らかにする上で有用な知見が得られた。
    2.PPTSでは、高強度ポンプパルス光の照射によりPG状態と超伝導相を局所的に破壊し、その後の両者の回復過程をプローブ光の反射応答を通して調べた。その結果、PG状態がほぼ回復した後に超伝導状態の形成が始まること、すなわち、両者の間に明確な時間相関のあることが分かった。これはPG状態が高温超伝導の発現に本質的に関わっていることの一つの証拠に成り得ると考えられる。
    2020年度以降の研究では、最適ホール濃度および過剰ホール濃度領域のBi2212試料にも研究を広げ、これらの試料で得られた結果も含めて総合的に考察し、PGを担う電子状態と超伝導の発現との関わりについて明らかにする。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 19K03732
  • 光の軌道角運動量を用いた巨視的量子相関ダイナミクス探索
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2016年04月01日 - 2019年03月31日
    戸田 泰則, 土屋 聡
    本研究では、高温超伝導体(Bi2212)に対して光渦パルス励起によって発生するキャリアの軌道角運動量(OAM)ダイナミクス観測を実現し、超伝導物性に関して次のことを明らかにした:(a) 超伝導の電子対もしくは準粒子は光渦のOAMを受け取り、そのカイラリティに依存した過渡反射率応答変化が現れる;(b) 超伝導相回復応答で観測されるクーパー対の初期形成時には特徴的な量子ゆらぎ応答が存在する;(c) OAM応答の温度依存性はゆらぎ応答を反映しないことから、光渦パルス励起は巨視的量子相関に起因するコヒーレントな空間変化を超伝導に誘起している。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 16H03876
  • 光の軌道角運動量を用いた巨視的量子相関ダイナミクス探索               
    基盤研究(B)
    2016年 - 2018年
    戸田泰則
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 偏光渦パルスを用いた時間分解コヒーレントポラリメトリ
    科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    2015年04月01日 - 2017年03月31日
    戸田 泰則
    本研究ではビーム断面に偏光の定まらない特異点を有する偏光渦パルスを利用した新規コヒーレント分光(縮退四光波混合分光と呼ばれる非線形レーザー分光を用いた時間分解ポラリメトリ)を開発し、半導体GaN励起子(電子-正孔対)に対して次の項目に関する知見を得ることに成功した:(a)励起子交換相互作用と歪エネルギーの定量的瞬時評価、特に等方性試料に残留する微小な異方性の高感度かつ高精度な評価、(b)励起子の対称性破れを反映した偏光特異点ダイナミクス、(c)スピンおよび擬スピン応答およびスピン相関ダイナミクス
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 15K13369
  • コヒーレント合成による高強度モノサイクル域トポロジカル光波の発生とその応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2014年04月01日 - 2017年03月31日
    森田 隆二, 戸田 泰則
    モノサイクル域で軌道角運動量可変な高強度超短光渦パルス(パルスエネルギー 1 mJ超,パルス幅 27fs)の発生に成功し,また, 2つの直交偏光光渦パルスをコヒーレントビーム結合させることにより,超広帯域偏光渦パルス(波長帯域750-880 nm)の生成に成功した。さらに,超広帯域偏光渦パルスの偏光対称性,空間的偏光純度に関する精密測定法の開発を行い,その有効性を実証した。また,径偏光超短パルスによる半導体のスナップショット偏光分光実験を行い,この手法の高精度・高感度特性を実証した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 26286056
  • 光渦による光励起素過程と新奇プラズマ分光・制御法の研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2013年04月01日 - 2017年03月31日
    荒巻 光利, 戸田 泰則, 吉村 信次, 寺坂 健一郎, 伊藤 清一
    光渦は近軸ヘルムホルツ方程式の円筒座標系の解であり,らせん状の等位相面を持つ.光渦が3次元のらせん状の等位相面を持つため,光渦中の観測者は3次元のドップラー効果を感じる.本研究では,光渦の特異なドップラー効果を利用して,ビームを横切る方向の流れに感度がある分光法を開発した.この光渦分光法により,ビームを横切るガス流を,光渦のドップラー吸収スペクトルおよび飽和吸収分光のLamb dipの横ドップラーシフトとして検出することに成功した. 横ドップラーシフトの位相特異点からの距離に対する依存性は定性的に理論と一致したが,定量的な評価には,横ドップラーシフト検出の更なる精度向上が必要となる.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 25287152
  • 偏光渦パルスを用いた時間分解コヒーレントポラリメトリ               
    挑戦的萌芽研究
    2015年 - 2016年
    戸田泰則
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • トポロジカル変換を用いた縮退四光波混合分光の多次元化
    科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    2013年04月01日 - 2015年03月31日
    戸田 泰則, 足立 智, 中山 正昭
    半導体励起子を対象とした時空間四光波混合(FWM)分光を(A)可変制御ラゲールガウス(LG)パルスと(B)高精度軌道角運動量(OAM)分解分光を用いて実現した。励起子OAMダイナミクスから(1)ほぼ完全な励起子重心運動へのOAM変換が可能、(2)OAM変換の不完全性はOAMが0の成分を含むとき顕著になること、(3)バルク試料においてOAM緩和は位相緩和の空間均一性を反映して著しく長くなることを明らかにした。さらにトポロジカルチャージ依存性からロバスト性が示唆された。トポロジカル変換の応用として、面発光レーザーの空間変調光帰還を実施し、横モードに対して高い選択性を持つOAM制御に成功した。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 25600105
  • ビスマス系高温超伝導体における光誘起超伝導相転移ダイナミクスの研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2012年04月01日 - 2015年03月31日
    戸田 泰則, 小田 研
    ビスマス系高温超伝導体における超伝導と擬ギャップの光誘起相転移ダイナミクスを超短パルス光を用いて調査し、1)擬ギャップが自発的対称性破れを伴うこと、2)超伝導ギャップ形成と位相コヒーレンスの関係性、3)擬ギャップ形成ダイナミクスが長距離秩序を持たない局在状態を反映すること、4)アンダードープ領域において超伝導秩序形成における擬ギャップの相関が強まることを明らかにした。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 24340063
  • モノサイクル域光パルスのスピン軌道相互作用制御とその応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2011年04月01日 - 2014年03月31日
    森田 隆二, 戸田 泰則
    サイクル域の光渦パルスの発生,ならびに軌道角運動量可変な超mJ高強度・27 fs超短光渦パルス発生に初めて成功し,また超広帯域光渦パルスの高精度軌道角運動量スペクトル準実時間測定を実証した。さらに,光渦を用いたポンプ・プローブ閉ループ時間分解非線型励起分光法を開発し,GaN励起子の軌道角運動量の緩和時間を評価した。その他,スピン角運動量および軌道角運動量を制御した光渦パルスを用いて,ナノサイズの金属螺旋ニードル構造を作製することにも初めて成功した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23360024
  • トポロジカル変換を用いた縮退四光波混合分光の多次元化               
    挑戦的萌芽研究
    2013年 - 2014年
    戸田泰則
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • ビスマス系高温超伝導体における光誘起超伝導相転移ダイナミクスの研究               
    基盤研究(B)
    2012年 - 2014年
    戸田泰則
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 走査トンネル顕微鏡による銅酸化物高温超伝導体の磁場誘起電荷秩序に関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2010年 - 2012年
    小田 研, 戸田 泰則, 伊土 政幸
    本研究では、銅酸化物高温超伝導体に特徴的な擬ギャップを伴った電子系電荷秩序の起源と高温超伝導との関係を明らかにするために、その代表物質の一つであるBi2212で磁場中STM/STS実験とポンプ・プローブ分光実験を行った。STM/STS実験では、Bi2212の電荷秩序が、電荷とスピンのストライプに由来すること、また、バルクの性質としては揺らいだ状態にあることを示唆する結果が得られた。ポンプ・プローブ分光実験では、擬ギャップ・電荷秩序は、超伝導と単なる競合関係にあるのではなく、超伝導の発現に必要な電子系の性質であることが明らかとなった。これらの結果を考え合わせると、ストライプ秩序の揺らぎが高温超伝導の機構に深く関っている可能性があると結論できる。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 22540357
  • 時空間制御光波を用いた電子相関物質における巨視的量子コヒーレンスの探索研究               
    優秀若手研究者海外派遣事業
    2010年03月 - 2011年01月
    戸田泰則
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 新たな曲面量子物性学理の基盤構築
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究課題提案型)
    2009年 - 2011年
    尾上 順, 島 弘幸, 戸田 泰則
    1次元金属ピーナッツ型凹凸周期フラーレンポリマーの伝導電子の状態を光電子分光で調べた結果,リーマン幾何学効果を取り入れた理論予測を見事に再現した。この成果は,1次元電子状態が純粋に凹凸曲面曲率(リーマン幾何学)に影響を受け,凹凸周期曲面上に沿って電子が動いていることを初めて実証したもので,過去の研究ではアインシュタインにより予測された光の重力レンズ効果(曲がった空間を光子が動く)以外に観測例はなく,電子系では調べる限りこれが初めてである。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究課題提案型), 東京工業大学, 21200032
  • 極限時間域光電場の位相・振幅制御による単分子スイッチの開発
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2008年 - 2010年
    森田 隆二, 戸田 泰則
    表面相互作用の異なる金属基板上での光異性化前後アゾベンゼン単分子について,走査トンネル顕微鏡による観測を行い,表面相互作用の強い基板上では平面構造のトランス体が存在し,この場合,異性化過程において反転機構が支配的であることを見出した。また,光異性化,分子コンフォメーション変化を促す新たな光源として,時間・周波数領域極限位相・振幅制御だけでなく,ビーム内空間位相・偏光の制御を行った光波の高効率発生に成功,それを用いたリング状非線型分光法を確立し,さらには金属との相互作用実験により,光の全角運動量の効果を初めて明らかにした。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 20360025
  • テラヘルツ光による単一量子ドットの電子スピン転送操作
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2005年 - 2007年
    足立 智, 戸田 泰則, 武藤 俊一
    本研究ではTHz光またはレーザー光を用いて,磁場中におかれた結合量子ドットのゼーマン分離した電子準位間でのスピン転送技術を確立することを目的としている.そのために以下の2つの手法の比較を実験的におこなった;テラヘルツ光を使用する手法と連続準位を介した2光子過程を用いる方法を試み,後者の手法で良好な結果を得た.単一量子ドットの磁場下でゼーマン分裂した2つの励起子準位(スピンアップとスピンダウン)の間を量子ドットの連続準位の裾を中間準位とした系において,各励起子準位からの発光をモニターすることにより,連続状態のコヒーレント励起による励起子スピン状態の制御が可能であることを実証し,論文化した.時間差をつけたダブルパルスによる同軸励起を用いることにより,パルス時間差の関数として励起子スピンの同位相および逆位相での振動の観測に成功したが,逆位相で振動する場合には,発光強度の振動だけでなく,ゼーマン分裂エネルギーの振動も観測された.これはゼーマン分裂した励起子準位の占有確率が逆位相で振動する場合,励起子スピン偏極度の振動となるため量子ドットの核スピンが偏極され,電子が感じる実効的な磁場強度が核磁場により変調されたためと考えられる.この結果により,量子ドットの電子スピンと核スピンのコントロールに,連続状態をラムダ型遷移の中間準位として使用可能であることが初めて示しめされた.また電子スピン-核スピン間の磁気的相互作用を詳細に調べ,核スピン分極の励起強度・励起偏光・外部磁場依存性に双安定領域が現れることをInAlAs単一量子ドットで初めて明らかにした.この成果により外部磁場を完全にキャンセルする核磁場が双安定領域の一端で自動的に形成されていることが判り,電子の実効g因子=0を達成するとともに,新たなg因子制御法を確立した.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 17310056
  • トポロジカル物性解析のための非線形分光計測手法の開発
    科学研究費助成事業 萌芽研究
    2006年 - 2006年
    戸田 泰則
    本研究では、結晶のトポロジカルな空間対称性の破れに起因する電子状態の空間位相変化を検出する手法の確立を目的とした。本年度の成果として、1)四光波混合(FWM)分光を用いた位相干渉計測の確立、2)結晶トポロジーを反映した電子状態の時間特性変化の観測、3)トポロジー光パルスの発生と解析評価の確立、を達成した。FWMをベースとした時空間位相計測1)は、空間的な指向性を有するFWM光と励起光から分離した参照光との間で干渉系を構築することで実現した。干渉パターンをCCDにより検出し、2次元フーリエ変換を通して時間分解型のFWM信号を観測する。測定試料として、励起子束縛エネルギーが大きく、理想的な多準位系として異種励起子を扱える窒化ガリウム薄膜を用いた。異種励起子量子ビートと励起子-励起子分子量子ビートを観測したところ、2準位系と3準位系の励起子光学遷移にもとづくビート信号の違いを明らかにすることができた。並行して2)結晶のトポロジー変化に起因する電子状態の変化を明らかにすることを試みた。試料として特異なトポロジーを有する低次元導体を用いた。この物質は低温で電荷密度波と呼ばれる電子の集団励起状態を形成し、金属-絶縁体相転移を生じる。時間分解分光を用いて巨視的量子秩序形成を反映した電子応答変化を確認し、その温度依存性から結晶トポロジーによる有意な差を確認することに成功した。以上の結果にもとづき、3)より発展的なトポロジー計測を目的とした光渦パルスの発生を試みた。光渦パルスの評価は1)で確立した空間干渉をベースにし、時空間位相解析を実現した。光渦パルスとして50fs程度の短パルス生成に成功し、ドーナッツ状の強度分布と位相特異点の存在を明らかにした。また干渉振幅に着目すると、最大振幅を取る遅延時間が方位角に応じて変化していくことを見出した。
    日本学術振興会, 萌芽研究, 北海道大学, 18656016
  • 多光子吸収による窒化物半導体の3次元ナノスケールイメージング
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2004年 - 2006年
    戸田 泰則, 足立 智, 荒川 泰彦
    半導体では歪や欠陥がデバイス性能に直結するため、その影響はこれまで広く研究されてきた。格子欠陥は結晶成長条件や基板、構造に応じて3次元的にスケールの異なる様々な種類が存在する。またヘテロエピタキシャル薄膜で重要となる歪も、結晶内部の局所的な効果をもち、不純物や欠陥とも関連する。したがって歪や欠陥の影響を調べるためには、より詳細な、例えば3次元ナノイスケールメージング等の新しい測定技術が必要とされている。本研究では3次元イメージングを実現するため、非線形光学遷移の利用に着目し、i)バンド端以下の光子エネルギーを利用した2光子吸収(TPA)による3次元イメージングとii)励起子非線形性を用いた歪の高感度検出を実現した。これらの研究成果はGaNだけでなくナノ構造を含む幅広いデバイス物質に応用可能であり、高機能物性評価手法として今後の展開が期待できる。TPAイメージングでは非線形性を利用した高空間分解能をもつ欠陥分布の3次元イメージングに成功した。超短パルスを用いたポンププローブ分光をベースにしているため、デバイス性能評価指数となる二光子吸収係数の情報を取得可能である。またこの吸収係数の分布をもとに、GaN薄膜中では局所的な高密度欠陥準位が存在し、著しく高い吸収係数を示すことを明らかにした。別の縮退FWMをベースとした非線形分光では、高感度歪計測に成功した。電子-正孔対(励起子)の分極回折格子を利用すると、三次の非線形効果により汎用光学評価法と比べて累乗倍の異方性増強が実現される。そのため結晶に内在する不純物や欠陥にもとづく歪の高感度測定が可能となる。複数のGaN試料を用いて装置の性能評価を実施し、分裂エネルギーと強度比から算出される歪と応力を見積もった結果、X線解析装置と同等の歪解析能力を達成していることを明らかにできた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 16310076
  • 非線形レーザー顕微鏡による神経細胞の興奮メカニズムの超高時間・空間分解観測と制御
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2004年 - 2006年
    森田 隆二, 郷原 一寿, 戸田 泰則
    1.自己位相変調効果を用いて、1オクターブを超える超広帯域スペクトル(460-1060nm)を有する光パルスを発生し、独自に作製した、変形スペクトル干渉位相電場再生システムおよびフィードバック位相補償システムによるフィードバック位相補償を行うことにより、2.8fs,1.5サイクルのフーリエ変換限界光パルスの発生に成功した。これは、スペクトル位相が決定された可視・赤外領域における世界最短パルスである。
    2.生体物質の3次元空間分解観測に適用可能な光第2高調波レーザー顕微鏡を開発し、ラット胎児大脳皮質由来の神経細胞の観察を行った。細胞体の空間反転対称性の破れを反映した信号を観測することにより、核、軸索からの強い信号の観測に成功している。現在、空間分解能は、1.5μm程度である。
    3.フェムト秒光パルスレーザー増幅器を光源としたコヒーレント反ストークスラマン散乱レーザー顕微鏡の開発を行った。波長800nmと1040nmの光を用いて、650nmのCARS信号光を検出することにより、タマネギ表皮細胞の2900cm^<-1>のC-H伸縮振動、波長800nmと1100nmの光を用いて、630nmのCARS信号光を検出することにより3400cm^<-1>のN-H伸縮振動を空間分解観測した。その結果を比較することにより、C-Hリッチ、N-Hリッチな領域のマッピングを行った。
    4.メチルレッドをインターカレートしたDNAの二重鎖の結合、解離を光第2高調波顕微鏡のようなマクロな測定により観測することを試みた。そのメカニズムは、結合している場合二重鎖は反転対称性を持ち、解離している場合反転対称性が破れ、光第2高調波活性になることによる。現在、信号レベルと雑音レベルが同程度で有意な結果が得られていないが、非線形性の大きなアゾ色素を用いることにより、信号強度の向上を図っている段階である。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 16360024
  • 量子ドットの電子スピン光操作による量子演算の研究
    科学研究費助成事業
    2002年 - 2005年
    武藤 俊一, 足立 智, 戸田 泰則, 白峰 賢一, 陽 完治
    量子ドットの電子スピンは将来の大規模量子コンピューティング実現へ向けての有力候補の1つである。報告者らはすでに量子ドットの電子スピンの光支援トンネルとそのクーロン・ブロッケイドを用いた普遍量子ゲートを提案している。この提案の妥当性を検証するための実験的検討を行った。また量子コンピューティングは量子情報光通信との整合性が必須と考えられる。そこで電子スピンと光子の間の量子ビット変換の手法を提案し、その実験的検討を行った。
    実験に先立ち、普遍量子ゲートの計算機シミュレーションを行った。この結果、100ps程度のスピンコヒーレンスが有ればCNOTの実験的検証が可能であることが分かった。
    次に、電子スピンのコヒーレンスを実験的に確認するため、4波混合によるスピン緩和時間の測定技術を立ち上げた。まず、ポンプ・プローブ法によるスピン緩和測定法が確立している量子井戸の電子スピンについて、スピン回折4波混合を適用し、従来のポンプ・プローブ法と矛盾しない結論を得られることを確認した。次にこの方法をInAlAs/AlGaAs量子ドットに適用、最長で7nsにおよぶ緩和時間を観測した。これは従来、量子ドットに対して便宜的に用いられた非共鳴的観測であるストリーク・カメラによるものよりも数倍長く、4波混合のような共鳴的な観測の必要を明示したものでもある。
    量子ビット変換の新しい方法として核磁場による縮退した電子準位とエネルギーの異なる正孔準位の形成を提案した。実際にInAlAs/AlGaAs量子ドットにおいて核磁場の形成実験を行ったところ、量子ビット変換に必要なバンド構造が形成可能であることが分かった。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 14076201
  • 量子ドットにおける電子スピンのコヒーレント制御の研究
    科学研究費助成事業
    2002年 - 2003年
    武藤 俊一, 白峰 賢一, 戸田 泰則, 足立 智, 竹内 淳
    15層積層したInAlAs/AlGaAs量子ドットを試作、非共鳴励起下でのスピン緩和測定を試みた。実験は発振波長780nm、パルス幅80fsのチタンサファイアレーザーを励起パルス光源とし、右回り円偏光(σ+)パルスで試料を励起し、その発光のσ+成分と左回り円偏光(σ-)成分を分けてストリークスコープを用いて時間分解発光測定した。分光器の入射スリット手前に1/4波長板と偏光子を置き、発光を一度直線偏光に変換し、偏光子により水平および垂直直線偏光発光成分を分けて測定することで発光の偏光を識別した。試料は、10Kに冷却した。励起エネルギーと検出エネルギーとの差はおよそ100meVである。直線偏光励起での時間変化は単一指数関数で良くフィッティングでき、励起子の寿命(再結合時間)は約1.18nsと見積ることができた。σ+成分とσ-成分との差の減衰はスピン緩和時間をτ_sとするとexp(-2t/τ_s)で与えられる。これから得られたスピン緩和時間τ_sは1.31nsとなり励起子再結合時間と同程度となることが分かった。2次元量子井戸に比べて非常に長いスピン緩和時間となっており、井戸で有効なスピン緩和機構が量子ドットでは消失したと解釈できる。量子ドットが電子スピンのコヒーレント制御に好適な材料であることが確認できた。
    次世代のスピントロニクス材料としてワイドギャップ半導体およびポリフェニルアセチレン(PPA)の磁気的性質を調べた。PPAではスピングラス的な磁気的性質に加えて、磁場-磁化(M-H)曲線が閉じないことなど極めて興味深いスピン物性を示すことが明らかとなった。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 14350001
  • フォノンイメージングによる非線形光学材料評価システムの開発
    科学研究費助成事業
    2001年 - 2002年
    足立 智, 田中 克彦, 戸田 泰則
    本研究は光学フォノンと音響フォノン(超音波)の可視化技術を利用し、その伝播過程を映像化することにより、ドメイン反転前の基板結晶内の欠陥等による散乱の検出やドメイン反転終了後の結晶評価を目的としている。誘電体タンタル酸リチウムLiTaO3を用いて、c面より光を入射し光学フォノン発生・伝播過程のイメージングを行った。数ミリから1センチ程度の直径のレーザーパルスを時間遅れをつけて照射し、フォノン波束による回折光で波束の像を形成できる。フォノンは屈折率のみを変化させている位相物体であるため、光強度にしか反応しない目やCCDカメラ等では見えないが、位相情報を振幅情報に変換する工夫をしてやると発生から伝搬、干渉などの過程をテレビを見るように画像化することができる。さらに考案した特殊な光学配置において、第1パルス対で選択励起したフォノン(ポラリトン)を第2パルスで増幅したり、強制的に消滅させたりする過程をリアルタイムで画像化ことに成功した。すなわち時間遅れを伴った光パルスを用いて、フォノンどうしの干渉および光パルス間の時間差による位相の違いを利用してフォノン制御が可能であることを示したことになる。得られた画像データをフーリエ変換することにより、励起されたフォノンがどの程度の波数をもち、伝播過程でどのように分散・減衰していくかがわかる。実験ではフォノン波束が伝播中に分散(伝播速度の波数依存性)するため、完全に波束を消去することは出来ていないが、第2パルス対に用いるレーザーパルスの形を工夫することにより、励起したフォノンを完全にうち消すような干渉を起こすことが可能であると考えられる。この成果はフォノン分光学に大きく貢献するだけでなく、フォノンのコヒーレント制御に新しい画期的な方向性を与えるものと考えられる。また同じ四光波混合法を用いて、半導体GaNにおいてフォノン散乱、励起子間相互作用に着目して半導体結晶の品質を評価するとともに、その過程で新たな励起子分子を発見した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 13554009
  • 高空間分解多次元磁気光学応答計測技術の開発
    科学研究費助成事業
    2000年 - 2001年
    大場 良次, 戸田 泰則
    本研究の目的は、固体分光計測において高い空間分解能を有する走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)の小型化を図り、外部装置との整合性を高め、空間的な多次元化を実現することである。本年度は、昨年度製作したSNOMを用いて、半導体量子ナノ構造の光学特性の取得と、その小型化を含めた多次元計測への応用を目標とした。
    半導体量子ナノ構造を調査する目的として、制御性の高い量子ドットを測定対象とした。量子ドットではキャリアの自由度が全方向に制限されるため、ナノ領域の光物性として特異な性質を示すことが知られている。量子ドットを光励起すると、キャリアはまずドットの閉じ込めに起因する離散状態に励起され、発光再結合準位へと緩和し発光する。さらに今回試料として用いている自己形成量子ドットでは、周囲の媒質を反映した多くの局在フォノンモードが存在し、その緩和スペクトルはドットのキャリア閉じ込めと周囲の格子状態を反映することになる。したがって個々のドットの共鳴エネルギーに対して、その発光分布像を得ることにより、その共鳴がどのようなフォノンと結合しているか決定することが可能となる。今回の測定結果では、バルクのフォノンモードと、局在フォノンモードの共鳴エネルギーに対してそれぞれ異なる発光分布像が観測された。このことは自己形成量子ドットにおけるキャリア-フォノン結合状態の違いを意味しており、ヘテロ界面の重要性を明らかにしたものである。したがって空間的な多次元計測を達成すれば、より詳細な物性が明らかになると考えられる。この目的のために、いくつかの装置要素に対して小型化と多機能化を試みた。具体的にはイナーシャルスライダーの小型化、高さ制御ピエゾの小型化、光学機器の低減を達成した。装置の小型化は、機械的な安定性も向上させるため、上記の結果をもとにしたフォノンイメージングへと発展させることが可能となる。
    日本学術振興会, 萌芽的研究, 北海道大学, 12875074
  • 走査型近接場光学顕微鏡を用いた半導体量子ドットのコヒーレント制御
    科学研究費助成事業
    2000年 - 2001年
    戸田 泰則
    本研究の目標は、走査型近接場光学顕微鏡を用いた単一量子ドット(QD)分光を通してQDの新しい物性を探索し、これを時空間に制御された近接場光を使った量子状態制御へと発展させることにある。昨年度は共鳴の位相緩和の測定と、近接共鳴を利用した量子干渉の生成と観測を行った。本年度は共鳴の均一幅に関して、緩和メカニズムの解明を目的とした実験を行った。
    自己形成量子ドット(SAQD)の大きな特徴のひとつは、広いエネルギー間隔を持つ離散的なエネルギー構造である。このエネルギー構造は、音響フォノンを介したキャリア緩和を、高次元構造などに比べて著しく減少させる。その結果、量子情報処理への応用に適した長いコヒーレンスを実現することが期待される。他方、SAQDのバンド間エネルギー差は光学フォノンのエネルギーよりも広いため、発光励起スペクトル(PLE)に現れる零吸収域には、出射光に共鳴した光学フォノンラマン線が観測される。このことはSAQDのキャリア緩和に光学フォノン緩和が存在することを示している。すなわちQDにおける次元低下に伴う緩和経路の減少が、キャリアと光学フォノンの相互作用を顕著にする。さらに2LOのエネルギー領域では、光学フォノンと同時に励起準位も存在していると考えられるため、多数の緩和過程が存在する。本年度の研究では、これら2LOの励起共鳴が高速のフォノン緩和過程を含むことを明らかにした。観測される高速フォノン緩和は励起子基底準位発光よりも速いため、低い励起強度で効率的な励起子分子生成を可能にする。この様子は励起強度を変化させるときに励起子共鳴に見られるピークからディップへの変化から確認される。さらにディップは広い線幅を持つピークの中心に現れ、単一QDのPLE共鳴が不均一広がりを含むことが確認された。すなわち高速な光学フォノン緩和経路と結合した緩和経路が存在し、これが単一QDのPLE共鳴に不均一広がりを与えている。したがってフォノンとの相互作用を低減することにより、励起準位の共鳴が得られる。二色励起のスペクトルでは、フォノン共鳴の抑圧と不均一広がりの除去された励起準位に対応する共鳴ピークの存在が明らかとなった。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 12650035

主な担当授業

  • 光物性特論, 2024年, 修士課程, 工学院
  • 光物性特論, 2024年, 博士後期課程, 工学院
  • 電磁気学Ⅱ, 2024年, 学士課程, 工学部
  • 電磁気学演習Ⅱ, 2024年, 学士課程, 工学部
  • 応用物理学, 2024年, 学士課程, 工学部
  • 応用物理学, 2024年, 学士課程, 工学部