久井 貴世 (ヒサイ アツヨ)

文学研究院 人文学部門 文化多様性論分野准教授
高等教育推進機構准教授
Last Updated :2025/06/07

■研究者基本情報

学位

  • 博士(文学), 北海道大学, 2016年03月

Researchmap個人ページ

研究者番号

  • 00779275

研究キーワード

  • ツル
  • タンチョウ
  • 動物と人の関係史
  • 歴史
  • 鳥類
  • 博物誌
  • 本草学
  • 鷹狩
  • 動物園・水族館

研究分野

  • その他, その他, 歴史鳥類学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2020年04月 - 現在
    北海道大学, 大学院文学研究院, 准教授
  • 2019年04月 - 2020年03月
    北海学園大学, 人文学部, 客員研究員
  • 2019年04月 - 2020年03月
    独立行政法人日本学術振興会, 特別研究員PD
  • 2018年07月 - 2019年03月
    特定非営利活動法人EnVision環境保全事務所, 研究員
  • 2018年05月 - 2019年03月
    北海道大学, 総合博物館, 技術補助員
  • 2016年04月 - 2019年03月
    公益財団法人日本生態系協会, 専門研究員
  • 2016年04月 - 2019年03月
    北海道大学, 大学院文学研究科 歴史地域文化学専攻, 専門研究員

学歴

  • 2011年04月 - 2016年03月, 北海道大学, 大学院文学研究科, 歴史地域文化学専攻 博士後期課程
  • 2009年04月 - 2011年03月, 北海道大学, 大学院文学研究科, 歴史地域文化学専攻 修士課程
  • 2005年04月 - 2009年03月, 酪農学園大学, 環境システム学部, 生命環境学科

委員歴

  • 2025年01月 - 現在
    長沼町, タンチョウと共存できる流域づくり協議会 長沼町タンチョウも住めるまちづくり専門部会委員, 自治体
  • 2024年12月 - 現在
    国土交通省北海道開発局 札幌開発建設部, タンチョウと共存できる流域づくり協議会委員, 政府
  • 2024年08月 - 現在
    北海道地方環境事務所 釧路自然環境事務所, タンチョウ分散施策検討ワーキンググループ, 政府
  • 2022年10月 - 2023年03月
    北海道地方環境事務所; 釧路自然環境事務所, タンチョウ生息地分散行動計画改定案作成ワーキンググループ, 政府

■研究活動情報

受賞

  • 2019年11月, 「野生生物と社会」学会, 若手奨励賞               
    「歴史鳥類学」から探る江戸時代のツルの生息実態と人との関わり
    久井貴世

論文

  • 鷹狩をめぐる江戸時代のツルと人との関わりーツルの「保護」、人馴れ、人との軋轢の観点からー
    久井貴世
    鷹・鷹場・環境研究, 5, 1, 16, 2021年03月
    研究論文(学術雑誌), 29727716
  • 歴史資料から探る江戸時代のツルと人との関わり (特集 第25回学術大会シンポジウム 若手研究者が描く「ヒトと動物の関係学」の未来と展望)
    久井 貴世
    ヒトと動物の関係学会誌 = Japanese journal of human animal relations, 54, 30, 34, ヒトと動物の関係学会, 2019年12月
    日本語
  • 第25回学術大会シンポジウム 若手研究者が描く「ヒトと動物の関係学」の未来と展望 総合自由討論 (特集 第25回学術大会シンポジウム 若手研究者が描く「ヒトと動物の関係学」の未来と展望)
    相馬 拓也, 木下 こづえ, 木下 さとみ, 水野 裕史, 久井 貴世
    ヒトと動物の関係学会誌 = Japanese journal of human animal relations, 54, 35, 40, ヒトと動物の関係学会, 2019年12月
    日本語
  • 江戸時代におけるツルとコウノトリの識別の実態:博物誌史料による検証
    久井 貴世
    山階鳥類学雑誌, 50, 2, 89, 123, 公益財団法人 山階鳥類研究所, 2019年, [査読有り]
    日本語,

    It is widely recognized that the similarities in appearance between the Crane, particularly Red-crowned Crane Grus japonensis, and the Oriental Stork Ciconia boyciana, has previously led to confusion as to their accurate identification. However, the actual situation regarding this confusion has not been studied, and it is unclear how much knowledge people in the past had about both species or whether they were able to tell the two species apart. This paper seeks to clarify the actual situation around Crane and Oriental Stork identification, drawing extensively upon natural historical materials among historical documents of the Edo period. Examination of these documents revealed that the morphology and ecology of both species were accurately understood, and that the recorded information is also accurate even if viewed in the modern period. The fact that these two birds belong to different species is recognized and elaborated due to their differences in medicinal use and food processing, for instance. Natural historical documents from the Edo period indicate the Crane and Oriental Stork were correctly identified as different species, and that the possibility of them being confused was low.

  • 江戸時代におけるツルの狩猟―ツルの捕獲に関する諸制度と鉄砲・わなによる捕獲―
    久井 貴世
    野生生物と社会, 4, 1, 1, 21, 「野生生物と社会」学会, 2016年, [査読有り]
    英語,

     This paper has mainly studied the actual condition of crane hunting during the Edo period by investigating various rules and specific hunting methods about crane hunting. The systems of crane hunting were not unified all around the country, and different hunting system worked in each domain. In some domain, commoners were also permitted to capture crane under certain rules, but the cranes captured belonged to the lord and all the cranes were eventually gathered to the lord in such systems. It is speculated that the crane hunting activities for the purpose of private use (livelihood or entertainment, etc.) that did not benefit the lord were banned during the Edo period instead of prohibiting hunting cranes all together. In addition, the methods for hunting cranes included gun hunting using a wooden decoy, hunting with nets or traps beside the well-known falconry.

  • 江戸時代の文献史料に記載されるツル類の同定 : マナヅル・ナベヅルに係る名称の再考察
    久井 貴世
    北海道大学大学院文学研究科研究論集, 14, 55, 80, 北海道大学文学研究科, 2014年
    日本語, 江戸時代の文献史料をもとに,史料中に記載されるツル類の名称を整理し,現在の種との関係について検討を行った。これは,文献史料を用いた研究を進めるにあたっての基礎作業として位置付けられる。本稿では,マナヅルGrus vipioとナベヅルG.monachaに関係する四つの名称を対象とした。"真鶴"・""と記載される名称はマナヅルを指し,方言や別名もみられた。"黒鶴"・"陽烏"は,およそナベヅルを表わす名称として用いられ,一部でクロヅルG.grusを示唆する記述もみられた。"薄墨"は淡色化個体やクロヅル,"霜降鶴"は交雑種やカナダヅルG.canadensisを示す可能性を提示したが,あくまでも推測の域を出ない範囲のものであった。江戸時代には,現代よりも多種多様な名称が存在し,一部では史料によって想定される種が異なるなどの齟齬もみられた。マナヅルとナベヅルを示す名称に関しては大きな混乱は確認されなかったが,"薄墨"や"霜降鶴"については情報が断片的あるいは曖昧であるため,種を定めることが困難であった。今後新たな情報が追加されることで,より詳細な検討を行うことが可能である。
  • 近代日本におけるタンチョウの狩猟 : 日本および朝鮮半島の事例を中心に
    久井 貴世
    野生生物と社会, 1, 1, 7, 20, 「野生生物と社会」学会, 2013年, [査読有り]
    日本語, The Tancho, or Japanese Crane (Grus japonensis) which inhabits Japan, has been on the brink of extinction because of intense hunting activity, and loss of habitat, since the Meiji Era. In modern Japan, the hunting targeted at the Japanese cranes is still active. The Japanese cranes are dazzling targets for hunting and are used to make valuable products. Japanese hunters at that time lacked the forethought of wildlife protection, and their intense hunting became a threat to the cranes' survival. The Japanese hunters tracked cranes not only in Japan, but also on the Korean peninsula. The Japanese cranes were important for industry and thought of as a special product of the Korean Peninsula, especially for Japanese people. Even on the Korean Peninsula, poaching was rampant after the Hunt Rule was established. These cranes were a connecting point of importance to the Japanese people. The value of the cranes caused an increase of pressure to hunt them. In addition, it can be thought that these factors, which include the development of hunting techniques, the imperialistic expansion, and the hunters' sense of ethics, overlapped to cause a sharp decrease of Japanese cranes in modern Japan and the Korean Peninsula.
  • 江戸時代の文献史料に記載されるツル類の同定―タンチョウに係る名称の再考察―
    久井 貴世
    山階鳥類学雑誌, 45, 1, 9, 38, 公益財団法人 山階鳥類研究所, 2013年, [査読有り]
    日本語, 江戸時代に著された史料を用いた調査に基づき,江戸時代の史料に記載されたツル類の名称のうち,タンチョウGrus japonensisに関連する六つの名称について整理と再考察を行った。江戸時代の日本では,当時の西洋や現代とは異なる独自の分類体系が有効に機能していたが,史料中では多様なツルの名称が用いられていた。記載された名称と種の対応は著者や時代によっても解釈が異なり,史料によって齟齬が生じることが明らかとなった。さらに,一般名と一致しない地方名も存在し,地域による定義の違いも確認できる。本草学的には「鶴」の代表はタンチョウである場合が多いが,地域によってはマナヅルG. vipioやソデグロヅルG. leucogeranusを表わす場合があった。「丹鳥」は現在では単線的にタンチョウと結びつけられているが,史料によって多様な解釈がみられ,明確な種の特定にはいたらなかった。「白鶴」はほとんどの場合ソデグロヅルを指すが,地域によってはタンチョウを表わす場合もあった。「琉球鶴」は特定の一種を指す名称ではなく,琉球を経て日本へもたらされた外国のツルの総称であると推測できる。「朝鮮鶴」はタンチョウを指す事例が確認できたが,朝鮮に由来するツルの総称として用いられていた可能性が高い。江戸時代の名称を現代の種に対応させる際には,史料による同定の不一致や地域による定義の差異などに留意する必要がある。
  • 贈答品としてのタンチョウの利用 : 近代日本における事例を中心に
    久井 貴世
    Biostory = ビオストーリー : 生き物文化誌 : 人と自然の新しい物語, 18, 82, 92, 生き物文化誌学会 ; 2003-, 2012年12月, [査読有り]
    日本語
  • タンチョウと人との関わりの歴史--北海道におけるタンチョウの商品化及び利用実態について
    久井 貴世, 赤坂 猛
    酪農学園大学紀要 人文・社会科学編, 34, 1, 31, 50, 酪農学園大学, 2009年10月
    日本語

その他活動・業績

書籍等出版物

  • アイヌ文化史辞典
    関根, 達人, 菊池, 勇夫, 手塚, 薫, 北原, 次郎太, 海東青,タカ,ワシ
    吉川弘文館, 2022年07月, 9784642014809, 26, 636, 39p, 図版 [4] p, 日本語, [分担執筆]
  • 時間軸で探る日本の鳥 : 復元生態学の礎
    黒沢, 令子, 江田, 真毅, 第5章 文献史料から鳥類の歴史を調べる―ツルの同定と分布の事例;コラム3 江戸時代の食文化と鳥類
    築地書館, 2021年03月, 9784806716143, viii, 258p, 日本語, [分担執筆]
  • 鷹狩の日本史
    福田, 千鶴, 武井, 弘一, 鷹狩をめぐる江戸時代のツルの「保護」と人との関わり
    勉誠出版, 2021年02月, 9784585222972, 9, 339, 14p, 日本語, [分担執筆]
  • 遺伝子から解き明かす鳥の不思議な世界
    上田, 恵介, 田中, 啓太, 伊澤, 栄一, 森本, 元, 相馬, 雅代, 三上, かつら, 関, 伸一, 齋藤, 武馬, 杉田, 典正, 泉, 洋江, 久井, 貴世, 江田, 真毅, 田中, 康平, 綿貫, 豊, 出口, 智広, 笠原, 里恵, 森, さやか, 森口, 紗千子, 浅井, 芝樹, 佐藤, 雪太, 古文書の「丹頂」からタンチョウを探る : 「歴史鳥類学」から解明する江戸時代のツルの歴史
    一色出版,悠書館 (発売), 2019年11月, 9784909383099, 431p, 日本語, [分担執筆]
  • タンチョウと人との関係史 : 北海道における事例を中心に
    久井, 貴世
    酪農学園大学生物多様性保全研究室, 2009年12月, 151p, 日本語

講演・口頭発表等

  • 日本におけるツルの利用とツル観の形成               
    久井貴世
    日本人にとって鳥とは何か―鳥の文化誌をめぐるT字型学際共同研究, 2025年02月09日, その他
    2025年02月08日 - 2025年02月09日, [招待講演]
  • 江戸時代の鳥類研究における実物資料活用の可能性ーツルを事例としてー               
    久井貴世
    日本鳥学会2024年度大会, 2024年09月15日, 日本語, ポスター発表
    2024年09月13日 - 2024年09月16日
  • 展示を通して考えるヒグマと人の関係:学生による企画展示「ヒグマのとなり←つかず、はなれず→」の実施報告               
    久井貴世, 卓彦伶, 石本万象, 池田圭吾, 菅遥斗, 杉浦寛大, 上田輝, 塩野入希実, 青山希望
    第28回「野生生物と社会」学会 つくば大会, 2023年12月02日, 日本語, ポスター発表
    2023年12月01日 - 2023年12月03日
  • 古文書から解き明かす江戸時代の鳥類:ツルを事例として(第5回標本集会 江戸時代の鳥を知ろう)
    久井貴世
    日本鳥学会2023年度大会, 2023年09月16日, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    2023年09月15日 - 2023年09月18日, 29727713
  • 江戸時代の鳥類について歴史資料から何がわかるのか:北陸地方の資料を事例として
    久井貴世
    日本鳥学会2023年度大会, 2023年09月16日, ポスター発表
    2023年09月15日 - 2023年09月18日, 29727713
  • 近世の鷹狩で捕獲されたツル:「鷹の鳥」としてのツルの同定               
    久井貴世
    日本鳥学会2022年度大会, 2022年11月04日, ポスター発表
    2022年11月03日 - 2022年11月06日
  • 歴史資料から探る野生動物と人の関わり:野生動物研究と歴史研究の連携を目指して               
    久井貴世, 赤坂猛, 山田伸一, 梅木佳代, 山本晶絵
    第27回「野生生物と社会」学会 江別大会, 2022年10月30日, シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
    2022年10月28日 - 2022年10月30日
  • 古文書から探る江戸時代のツルの歴史:「歴史鳥類学」からのアプローチ               
    久井貴世
    山階鳥類研究所研究成果発表会, 2022年01月31日, 口頭発表(招待・特別)
    2022年01月31日, [招待講演]
  • 遺跡試料から探るツル類の過去の分布
    久井貴世
    第26回「野生生物と社会」学会 岐阜大会, 2021年11月03日, ポスター発表
    2021年11月03日 - 2021年11月07日, 29727713
  • 歴史史料から探る北海道におけるツルの生息と繁殖ー明治時代の記録を中心にー               
    久井貴世
    日本鳥学会2021年度大会, 2021年09月19日, ポスター発表
    2021年09月17日 - 2021年09月20日
  • 遺跡試料と⽂献史料から探るニホンライチョウの過去の分布               
    久井貴世, 江田真毅
    日本鳥学会2019年度大会, 2019年09月14日, ポスター発表
    2019年09月13日 - 2019年09月16日
  • Changes in avifauna of northernmost Japan revealed through oral traditions of indigenous Ainu people and old trading records               
    山本晶絵, 久井貴世, 黒沢令子
    27th International Ornithological Congress, 2018年08月26日, 英語, ポスター発表
    2018年08月19日 - 2018年08月26日
  • From Most Valued Treasure to Dazzling Target: The Decline of the Red-Crowned Crane in Japan, 1600-1945.               
    久井貴世
    ASEH's(The American Society for Environmental History) 2015 conference, 2015年03月20日, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    2015年03月18日 - 2015年03月22日, [招待講演]

所属学協会

  • 2017年 - 現在
    北海道・東北史研究会               
  • 2011年 - 現在
    生き物文化誌学会               
  • 2011年 - 現在
    「野生動物と社会」学会               
  • 2009年 - 現在
    北海道民族学会               
  • 2009年 - 現在
    日本鳥学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 古代DNAと文献史料から迫るタンチョウの歴史:過去の分布と遺伝的構造の解明
    科学研究費助成事業 若手研究
    2019年04月01日 - 2022年03月31日
    久井 貴世
    本研究は遺跡から出土するタンチョウの骨と文献史料に記載されるタンチョウの記録を用いた調査を実施し、タンチョウの歴史的な分布と変遷、および過去のタンチョウと現生の北海道のタンチョウの遺伝的な関係性を解明することを目的とするものである。
    研究3年目となる2021年度は、2020年度に引き続き分析対象となる遺跡出土のツル科の骨の所在を明らかにするための追加の文献調査と、タンチョウの骨の同定に資するための現生のツル科の骨の観察と計測を実施した。さらに、江戸時代の文献史料を対象とする文献調査を実施した。
    (1)ツル科の骨の所在調査:報告書に記載された鳥類骨から、すべてのツル科および未同定の大型鳥類の骨の記載を収集した。2020年度までに収集した110遺跡の情報に加え、2021年度は1件の情報を追加し、分析に向けて情報の整理を行なった。
    (2)現生のツル科の骨の観察と計測:遺跡出土のツル科の骨から、形態分析によってタンチョウを同定する際の精度を高めるため、現生のツル科の骨の観察と計測を実施した。2021年度は主に北海道および千葉県の研究機関が所蔵する資料を中心に、タンチョウ33個体、マナヅル9個体、アネハヅル1個体、オオヅル1個体、カンムリヅル2個体、ホオジロカンムリヅル1個体、ホオカザリヅル1個体、ハゴロモヅル2個体、合計50個体の観察と計測を行い、種間の形態の差異などを整理した。上記とは別にタンチョウ、マナヅル、クロヅル、ソデグロヅル、オグロヅルの骨の所在が把握できているため、今後調査を進める予定である。
    (3)江戸時代の文献史料調査:過去のタンチョウの分布に関する情報を収集するため、江戸時代の文献史料を対象として文献調査を実施し、東北および九州地方におけるツルの記録を収集した。
    日本学術振興会, 若手研究, 北海学園大学, 19K13415
  • 日本列島における鷹・鷹場と環境に関する総合的研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2016年04月01日 - 2021年03月31日
    福田 千鶴, 大賀 郁夫, 籠橋 俊光, 東 昇, 久井 貴世, 東 幸代, 森田 喜久男, 渡部 浩二, 伊藤 昭弘, 堀田 幸義, 江藤 彰彦, 兼平 賢治, 安田 章人, 水野 裕史, 武井 弘一, 相馬 拓也, 中澤 克昭, 岩淵 令治, 藤實 久美子, 大坪 舞, 荻 慎一郎
    今年度は研究計画の3年目にあたり、前年同様、共同研究におけるフィールドワークを重視した。まず、9月7日(金)から9月9月(日)にかけて韓国調査を実施した。参加者は8名。韓国大田市において、大田市無形文化財に登録されている鷹狩技術保持者である鷹師のパク・ヨンスン氏から聞き取り調査をおこなった。日本と韓国の鷹狩文化の違い、朝鮮オオタカの特徴、鳥屋の状況を見聞することができた。また、南山ゴル韓屋村ではパク氏の弟子であるファン・ティン氏と交流し、鷹狩文化研究の発展に向けて東アジア全体で協力する必要を確認した。調査報告はニューズレター5号(HP公開)に掲載した。
    次に宮内庁鴨場の見学を申請したところ、幸運にも参加する機会をえた。数年応募しても難しい倍率だということで、貴重なフィールドワークとなった。6月29日に埼玉鴨場(1名)、9月25日に千葉新浜鴨場を見学した(10名)。
    11月23日(金)~25日(日)は北海道阿寒郡鶴居村にて丹頂ツルのフィールドワーク、および第4回研究会を開催した。参加者17名。研究報告4本、韓国調査報告、次年度以降の研究会活動のうちあわせなどを行った。年度末には、研究代表者が、Boston で開催中のEagle Maniaという日本の鷲・鷹をテーマとした展示会を観覧した。
    鷹・鷹場・環境研究文献DBは昨年度より70タイトルを増やした。増加データを研究会メンバーに配布した。文献DBはほぼ完成したが、次年度も引き続きデータを補う必要がある。
    成果公表は、HPを定期的に更新し、文献情報のデータを公開・更新し、イベント情報を提供するなど、広く社会への情報発信を続けた。年度末には『鷹・鷹場・環境研究』3号を公刊し、論文6本、史料紹介3本、書評3本という大変充実した内容となった。NEWS LETTER『鷹・鷹場・環境NEWS』4~6号を発行し、HP上にて公開した。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 九州大学, 16H01946
  • 考古学・鳥類学・歴史学から解明する江戸時代のツルの多様な利用:食用、飼育、流通
    科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    2019年04月 - 2020年03月
    久井 貴世
    本研究の目的は、文献史料、図像資料、遺跡試料、鳥類遺体の解剖の4 つの方法を統合的に用いて、江戸時代の日本の文化と社会全体にとって重要な鳥類であったツルが誰に、どのように利用されていたかを食用、飼育、流通の3 つの視点から明らかにすることである。
    本年度は江戸時代のツルの利用のうち、食用と飼育に関する情報を収集することを目的として、(1)文献史料・図像資料を用いた調査、(2)遺跡発掘報告書を用いた調査を実施した。また、採用第3年度目に実施予定だった(3)鳥類遺体の解剖の一部を前倒しで実施した。
    (1)文献史料・図像資料を用いた調査:国立国会図書館、東京都立中央図書館、慶應義塾大学図書館、味の素食の文化センター図書館の資料を利用し、主にツルの庖丁式、ツル料理の作法、ツルのもどき料理、ツルの利用者についての情報を収集した。飼育についてはツルの飼育場所の整理にとどまったが、新たに確認できた場所もあるため、今後史料の収集を進める必要がある。
    (2)遺跡発掘報告書を用いた調査:近世遺跡出土のツルの骨の所在を確認することを目的として、全国の遺跡発掘報告書を用いた調査を実施した。その結果、江戸時代を含む遺跡のうち約40件からツルの骨が出土していることが確認でき、出土したツルの種と、出土場所の整理を行った。種が不明なツル科の骨が多数報告されていることから、今後ツル科の骨の同定を進めることが必要である。
    (3)鳥類遺体の解剖:料理書などの文献史料に記載される情報を検証することを目的として、鳥類遺体の解剖の一部を前倒しで実施した。マナヅルとナベヅルを用いた解剖を実施し、江戸時代の料理書に記載された情報を裏付ける成果を得ることができた。今後は、江戸時代に食材として用いられた中型以上の鳥類との比較や、ツル科の鳥類の種、年齢、性別における違いの有無についても確認を進める必要がある。
    日本学術振興会, 特別研究員奨励費, 北海学園大学, 19J00498
  • 歴史資料から復元するツルの渡り―江戸時代の日本に渡来したツルの事例―
    科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
    2016年08月26日 - 2018年03月31日
    久井 貴世
    本研究の目的は、歴史資料を用いた調査から、江戸時代の日本に生息していたツル類各種の生息実態のうち、特に渡りに関する生態を明らかにすることである。江戸時代の幕府・藩の公用記録、博物誌資料、地誌、紀行・旅行記などを対象としてツルに関する記録を収集し、ツルの渡来地・渡来時期を示す記録を用いて、GIS(地理情報システム)によって種別、月別の分布図を作成した。これにより、江戸時代におけるツルの分布と渡りを視覚的に把握することを可能とした。本研究では、ツルの種による渡来状況や移動傾向の違い、現在日本では繁殖しないマナヅルやナベヅルの繁殖、あるいは北海道外でのタンチョウの繁殖の可能性を明らかにした。
    日本学術振興会, 研究活動スタート支援, 北海道大学, 16H06583

社会貢献活動

  • ツルと人との関わりの歴史:石狩低地帯のタンチョウを中心に               
    2025年03月20日
    講師
    講演会
    きたひろタンチョウ見守る会
    きたひろタンチョウ見守る会勉強会
  • みて!さわって!くらべてみよう! 今日から君もカラス博士               
    2025年01月13日
    助言・指導
    セミナー・ワークショップ
    士別市立博物館
    士別サイエンスフェスティバル
  • 探してみよう!身近なけ・がわ               
    2025年01月13日
    助言・指導, 実演
    セミナー・ワークショップ
    士別市立博物館
    士別サイエンスフェスティバル
  • 古文書から紐解くツルと人の関係史               
    2024年09月28日
    講師
    講演会
    北海道大学、北海道新聞社
    北大道新アカデミー 総合コース:動物と人間社会~科学・歴史・文化から問い直す~
  • ヒグマのとなり←つかず、はなれず→ @士別サイエンスフェスティバル               
    2024年01月08日 - 2024年01月08日
    助言・指導, 企画, 実演
    その他
    士別市立博物館
    士別サイエンスフェスティバル
  • ヒグマのとなり←つかず、はなれず→ @サイエンスフェスタ2023               
    2023年12月16日 - 2023年12月17日
    助言・指導, 企画, 実演
    その他
    北海道大学
    サイエンスフェスタ2023
  • ヒグマのとなり←つかず、はなれず→
    2023年05月26日 - 2023年08月06日
    助言・指導
    その他
    北海道大学大学院文学研究院
    北海道大学文学部「書香の森」企画展示
  • 石狩低地帯のタンチョウ:ツルと人との歴史的な関わり               
    2023年03月12日
    講師
    講演会
    舞鶴遊水地にタンチョウを呼び戻す会
    舞鶴遊水地にタンチョウを呼び戻す会 第9回通常総会
  • 歴史資料から探る江戸時代のツルと人との関係史               
    2022年09月25日
    講師
    講演会
    壱岐市立一支国博物館
    特別講座
  • タンチョウの歴史・文化               
    2022年07月30日
    講師
    北海道長沼町
    長沼タンチョウ・ガイド育成講座
  • 触れて学ぶ動物の骨・角・羽               
    2021年08月29日
    講師
    セミナー・ワークショップ
    ニセコ町学習交流センターあそぶっく
    あそぶっく講座
  • タンチョウの歴史・文化               
    2021年07月31日
    講師
    セミナー・ワークショップ
    北海道長沼町
    長沼タンチョウ・ガイド育成講座

メディア報道