原田 潤 (ハラダ ジユン)

理学研究院 化学部門 物理化学分野准教授
高等教育推進機構准教授
Last Updated :2026/01/07

■研究者基本情報

学位

  • 博士(理学), 東京大学

Researchmap個人ページ

研究キーワード

  • 焦電体
  • 強誘電体
  • 圧電体
  • 柔粘性結晶
  • 分子運動
  • 電荷移動錯体
  • 結晶化学

研究分野

  • ナノテク・材料, 有機機能材料
  • ナノテク・材料, 機能物性化学
  • ナノテク・材料, 構造有機化学、物理有機化学
  • ナノテク・材料, 基礎物理化学

担当教育組織

■経歴

学歴

  • 1994年 - 1997年, 東京大学, 大学院理学系研究科, 化学専攻博士課程, 日本国
  • 1992年 - 1994年, 東京大学, 大学院理学系研究科, 化学専攻修士課程
  • 1988年 - 1992年, 東京大学, 理学部, 化学科

■研究活動情報

受賞

  • 2017年11月, 日本結晶学会, 平成29年度日本結晶学会賞・学術賞               
    原田 潤
  • 2010年03月, 日本化学会, 第24回若い世代の特別講演会               
    原田 潤

論文

その他活動・業績

  • 柔粘性/強誘電性結晶の開発
    原田 潤, 熱測定, 52, 2, 65, 71, 2025年04月
    日本語
  • 柔粘性/強誘電性結晶:分子回転・結晶対称性・相転移の協奏による機能発現               
    原田 潤, 有機結晶部会ニュースレター, 59, 9, 14, 2024年12月
    日本語
  • 柔粘性/強誘電性結晶:分子の回転運動にもとづく機能材料               
    原田 潤, 日本応用物理学会 有機分子・バイオエレクトロニクス分科会誌, 32, 4, 205, 210, 2021年
    日本語
  • 柔粘性/強誘電性結晶の開発               
    原田 潤, 機能材料, 39, 2, 46, 54, 2019年
    日本語
  • X線結晶解析による分子ダイナミクスの解明と機能性結晶の開発
    原田 潤, 日本結晶学会誌, 60, 2-3, 96, 103, 2018年05月31日, [国内誌]
    日本結晶学会, 日本語
  • 結晶中における分子のペダル運動
    原田 潤, 日本結晶学会誌, 55, 1, 19, 23, 2013年, [国内誌]
    日本結晶学会, 日本語
  • サリチリデンアニリン類結晶のサーモクロミズム.50年ぶりの新解釈               
    原田 潤, 小川 桂一郎, 光化学, 42, 64, 68, 2011年
    日本語
  • 結晶中の分子の動きを見る
    原田 潤, 化学と工業 = Chemistry and chemical industry, 63, 12, 980, 2010年12月01日
    日本語
  • 有機結晶の色変化を理解する-サリチリデンアニリン類のサーモクロミズムの真相-               
    原田 潤, 小川 桂一郎, 現代化学, 1, 25, 30, 2009年
    日本語
  • 最近のX線結晶解析
    原田 潤, 化学と教育, 55, 5, 224, 225, 2007年
    公益社団法人 日本化学会, 日本語
  • 21世紀に向けた結晶学の新たな挑戦 2. 分子の変化をみる 有機結晶のサーモクロミズム
    小川 桂一郎, 原田 潤, 日本結晶学会誌, 43, 1, 27, 37, 2001年, [国内誌]
    日本結晶学会, 日本語

書籍等出版物

  • 化学
    東京書籍, 2023年02月, 9784487166688, 224p, 図版 [5] p, 日本語, [分担執筆]
  • 新編化学基礎
    東京書籍, 2022年02月, 9784487166268, 224, 6p, 日本語, [分担執筆]
  • 化学基礎
    東京書籍, 2022年02月, 9784487166251, 231, 7p, 日本語, [分担執筆]
  • 化学便覧 基礎編 改訂6版
    編集:日本化学会
    丸善出版, 2021年01月, 9784621305218, xviii, 1509p, 日本語, [分担執筆]
  • 日本の結晶学(II)ーその輝かしい発展ー               
    原田 潤, サリチリデンアニリン類のサーモクロミズムとフォトクロミズム
    日本結晶学会, 2014年, [分担執筆]
  • 化学辞典 第2版               
    編集代表:吉村壽次
    森北出版, 2009年, [分担執筆]
  • 基礎化学実験 第2版               
    編集:東大教養学部化学部会
    東京化学同人, 2008年, [分担執筆]
  • Topics in Stereochemistry Vol. 25               
    Jun Harada, Keiichiro Ogawa, Chapter 2: Torsional Motion of Stilbene-type Molecules in Crystals
    Wiley, 2006年04月12日, 9780471682448, [共著]
  • 基礎化学実験               
    編集:東大教養学部化学部会
    東京化学同人, 2006年, [分担執筆]

講演・口頭発表等

  • Development of Plastic/Ferroelectric Ionic Molecular Crystals               
    原田 潤
    M&BE11 The 11th International Conference on Molecular Electronics & Bioelectronics, 2024年06月19日, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • 柔粘性/強誘電性分子結晶の開発               
    原田 潤
    第70回応用物理学会秋季学術講演会 シンポジウム「有機エレクトロニクスの開拓と未来展望」, 2023年09月21日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • Development of Plastic/Ferroelectric Ionic Molecular Crystals               
    原田 潤
    9IDMRCS 9th International Discussion Meeting on Relaxations in Complex Systemes, 2023年08月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • 柔粘性/強誘電性結晶の開発               
    原田 潤
    第2回柔粘性結晶研究会, 2023年07月, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • デバイス応用可能な新規分子性強誘電結晶の開発               
    原田 潤
    電気学会有機バイオSDGs調査専門委員会2022年第2回会合, 2022年05月, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • Development of Plastic/Ferroelectric Ionic Molecular Crystals               
    原田 潤
    ISOME2022 12th International Symposium on Organic Molecular Electronics, 2022年05月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • Development of Plastic/Ferroelectric Molecular Crystals               
    原田 潤
    MRM2021 Materials Research Meeting 2021, 2021年12月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • 柔粘性/強誘電性分子結晶の開発               
    原田 潤
    日本セラミックス協会第34回秋季シンポジウム, 2021年09月, 口頭発表(招待・特別)
    オンライン, [招待講演], [国内会議]
  • Development of Plastic/Ferroelectric Ionic Molecular Crystals               
    原田 潤
    CEMS Topical Meeting on Modern Ferroelectrics 2018 (Wako), 2018年10月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • Development of Plastic/Ferroelectric Crystals               
    原田 潤
    ICCC2018 (Sendai), 2018年08月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • 分子性強誘電体の開発と構造物性               
    原田 潤
    有機固体若手の学校2018 (新潟県), 2018年03月, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • X線結晶解析による分子ダイナミクスの解明と機能性結晶の開発               
    原田 潤
    日本結晶学会平成29年度学術賞受賞講演 (広島), 2017年11月, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • Unique Properties Found in Plastic/Ferroelectric Molecular Crystal               
    原田 潤
    ISCOM2017 (Zao), 2017年09月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • 柔粘性/強誘電性分子結晶の開発               
    原田 潤
    日本物理学会2017年秋季大会 (盛岡), 2017年09月, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • Unique ferroelectric properties found in organic ionic plastic crystals               
    原田 潤
    AsCA2016 (Hanoi), 2016年12月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • 柔粘性イオン結晶の示す特異な強誘電性               
    原田 潤
    平成28年度物性研究所短期研究会「パイ電子系物性科学の最前線」(柏), 2016年08月, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • Unique Ferroelectricity Found in Organic Ionic Plastic Crystals               
    原田 潤
    The 12th Hokkaido University-Nanjing University-NIMS/MANA Joint Symposium (Sapporo), 2016年07月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • Pedal motion of molecules in crystals               
    原田 潤
    ICMAT 2013 (Singapore), 2013年07月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • Molecular motions in organic crystals and their application to design of ferroelectrics               
    原田 潤
    HU-AGH Joint Symposium (Sapporo), 2013年07月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • Solid-state photochromic reactions of spiropyrans and spirooxazines               
    原田 潤
    Challenges in Advanced Chemistry of Asia (Sapporo), 2012年12月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演]
  • 結晶学による分子ダイナミックスへのアプローチ               
    原田 潤
    日本結晶学会平成24年度年会 (仙台), 2012年10月, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • 有機固相光反応の追跡               
    原田 潤
    日本結晶学会平成22年度年会 (吹田), 2010年12月, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • 結晶中における有機分子のペダル運動               
    原田 潤
    日本化学会第90春季年会 第24回若い世代の特別講演会 (東大阪), 2010年03月, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • Photochromism and Thermochromism of Crystalline Salicylideneanilines               
    原田 潤
    IUCr2008 (Osaka), 2008年08月, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]

所属学協会

  • 分子科学会               
  • 日本結晶学会               
  • 日本化学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 柔粘性/強誘電性イオン結晶を利用した高性能固体冷却材料の開拓
    科学研究費助成事業
    2025年06月27日 - 2030年03月31日
    原田 潤
    日本学術振興会, 挑戦的研究(開拓), 北海道大学, 25K21721
  • 柔粘性イオン結晶固溶体による分子性強誘電材料開発の多次元的展開
    科学研究費助成事業
    2023年04月01日 - 2026年03月31日
    原田 潤
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23H01931
  • 分子性強誘電体のイノベーション:柔粘性結晶を利用した高性能焦電・圧電材料の開発
    科学研究費 基盤研究(A)
    2019年04月 - 2023年03月
    原田 潤
    強誘電体は,結晶内で電気双極子が整列してマクロな分極が保持され(自発分極),ある閾値(抗電場)以上の外部電場を印加することで分極の向きを反転できる物質である.このスイッチ可能な自発分極は,不揮発性メモリーなどに応用可能で,また,焦電性(温度変化で分極の大きさが変化),圧電性(加圧で分極の大きさが変化)を活かした赤外線(熱)センサー,圧電(ピエゾ)素子などの実用例が数多く存在する.
    近年,分子結晶の強誘電体が注目され,盛んに研究が行われている.しかし,従来の分子性強誘電結晶は,単結晶でしか機能せず,その実用化には大きな制約がある.我々は最近,イオン性分子からなる柔粘性/強誘電性結晶を開発し,分子結晶として初めて『電場印加による結晶分極の三次元的再配向』に成功した.このタイプの結晶は配向制御が不要で,多結晶材料でも機能する.
    本研究はこの柔粘性/強誘電性結晶の開発を大きく発展させる.特に,強誘電体の示す重要な機能である焦電性・圧電性で極めて高い性能が期待できるので,これらの機能に着目して結晶開発を行う.
    2021年度は,前年度までに引き続き,極性を持ち球状に近い有機カチオンと正四面体型のアニオンから構成される柔粘性/強誘電性イオン結晶の開発を行った.また,無極性の有機カチオンとアニオンからなる分子性強誘電性結晶についても検討を行った.さらに,これまで柔粘性/強誘電性イオン結晶の構成分子とはなっていなかった,球形から大きく外れた有機カチオンを含む結晶も,柔粘性/強誘電性結晶となることが明らかとなった.これらの化合物もその粉末を高温で加圧することで,透明なバルク多結晶体を容易に作製することが出来た.また,電極基板上に結晶薄膜を作製することで,低い電圧での分極反転を行うことができた.
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 19H00884
  • 柔粘性/強誘電性イオン結晶の開拓による分子性圧電材料の創製               
    科学研究費 挑戦的研究(萌芽)
    2018年04月 - 2020年03月
    原田 潤
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • π電子系二次元柔粘性結晶中の分子運動と結晶格子変形を利用した機能性材料の創出
    科学研究費 新学術領域研究(公募研究)
    2017年04月 - 2019年03月
    原田 潤
    本研究では,結晶中でも面内回転運動可能な芳香族分子からなる電荷移動(CT)錯体結晶を中心に検討を行った.これらのCT錯体結晶で見られるπ電子系分子の面内回転,配向の秩序-無秩序化に由来する相転移とそれに伴う結晶格子の対称性変化などに注目し,様々な機能発現へとつなげることを目指した.更に,高温で極性分子の回転により配向が乱れた無極性の構造を持つ結晶が,低温で配向が秩序化した極性構造の結晶へと変化する相転移を誘導することで,分子性強誘電結晶を開発することを試みた.
    平成30年度は無極性の多環芳香族炭化水素をドナーとし,無水フタル酸誘導体あるいはフタロニトリル誘導体などの極性分子をアクセプターとして用いたCT結晶について検討を行った.これらのCT錯体の結晶を蒸発法により作製した.DSC測定および温度可変X線回折測定により,CT結晶の多くにおいて,構造相転移が起こることが分かった.それらの結晶では,高温相では極性分子の配向に乱れがあり低温相で配向が秩序化する,秩序-無秩序型の相転移が起こっており,高温相で極性分子の面内回転運動に由来する誘電応答(配向分極)を示すことが明らかとなった.また,いくつかのCT結晶は室温で極性点群に属する結晶構造を持ち,自発分極があることがわかった.
    また,結晶中で回転運動可能な分子からなる有機イオン結晶を作製した.それらの化合物のいくつは,高温で柔粘性結晶となり,温度低下に伴い相転移して,結晶格子の対称性が変化し,室温では強誘電性および圧電性を示すことを見出した.
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 17H05135
  • 柔粘性イオン結晶が拓く分子性強誘電結晶開発の新展開:結晶配向と分極方向の自在制御               
    科学研究費 基盤研究(B)
    2016年04月 - 2019年03月
    原田 潤
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 結晶中での極性芳香族分子の運動と制御による誘電機能の創出               
    科学研究費 新学術領域研究(公募研究)
    2015年04月 - 2017年03月
    原田 潤
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 電荷移動錯体結晶内分子環境の動的制御による強誘電性の獲得               
    科学研究費 挑戦的萌芽研究
    2014年04月 - 2016年03月
    原田 潤
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 固体NMRスペクトルによる結晶中のペダル運動の解析
    科学研究費 基盤研究(C)
    2010年04月 - 2013年03月
    原田 潤
    近年,アゾベンゼン類,スチルベン類など数多くの有機分子が結晶中で自転車のペダルを漕ぐような運動(ペダル運動)を行っていることが温度変化単結晶X線構造解析から明らかにされている.本研究では,いくつかの化合物について固体NMRスペクトル測定を用いてペダル運動を調べ,ペダル運動に由来する配座変換の速度を求め,その温度変化からペダル運動の活性化パラメータを決定することが出来た.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 研究代表者, 競争的資金, 22550030
  • 単結晶瞬間冷却法による不安定配座のX線解析
    科学研究費 若手研究(B)
    2004年04月 - 2006年03月
    原田 潤
    分子の立体配座を決定し,その安定性や配座異性体の存在率,あるいは,異性体間の変換速度やエネルギー障壁を決定することは分子構造化学の大きなテーマの一つである.なかでも,熱力学的に不安定で,存在率の小さい配座の検出および構造決定は多くの研究者の興味を集め,これまでに膨大な研究が行われている.研究代表者はこれまでに,様々な種類の有機分子(例えばスチルベン(Ph-CH=CH-Ph)について温度変化X線結晶解析を行い,これらの分子が,結晶中で自転車のペダルをこぐような運動(2つのベンゼン環がペダルに相当)を行い,それによって配座変換が起こっていることを明らかにしている.
    本研究では,結晶中で分子が行う配座変換を,その結晶を液体窒素温度に瞬間冷却することで凍結させ,その状態の結晶構造を高精度X線結晶解析によって決定した.それによって,配座の存在率が通常の方法で冷却した時とは異なる状態を観測することが出来た.この方法を用いることで,スチルベン,アゾベンゼン(Ph-N=N-Ph),ベンジリデンアニリン(Ph-C=N-Ph)およびスチレン(Ph-CH=CH_2)誘導体などの多くの化合物において,配座変換が凍結することによって生じた熱力学的非平衡状態を観測することが出来た.また,アゾベンゼンの結晶では,低温の平衡状態では存在できない不安定な配座のX線結晶解析にも成功した.
    日本学術振興会, 若手研究(B), 東京大学, 研究代表者, 競争的資金, 16750027
  • 結晶中における有機分子のペダル運動の解析
    科学研究費 若手研究(B)
    2002年04月 - 2004年03月
    原田 潤
    (E)-スチルベン(PhCH=CHPh)類および類似した分子骨格を持つ化合物中には,分子の向きが180°回転した関係にある2つの配座が結晶中で乱れて存在する(disorder)ものがあることが知られている.研究代表者はこれまでに,いくつかのスチルベン・アゾベンゼン(PhN=NPh)類について,このdisorderをもたらす2つの配座間には平衡が成り立っており(dynamic disorder),その配座変換が自転車のペダルをこぐような運動(2つのベンゼン環がペダルに相当)によって引き起こされていることを明らかにした.今年度は,スチルベンおよびアゾベンゼンの母体化合物の配座変換について,高精度のX線結晶解析によって詳細な検討を行った.これらの化合物の結晶中に存在する2つの配座の存在比は,融点直下から150K付近までの温度領域ではvan't Hoffの式に従うのに対して,150Kより低温域ではvan't Hoffの式に従わなくなることを見出した.また,これらの結晶を室温から90Kに瞬間冷却した状態と,室温から1K/minの速度で90Kまでゆっくり冷却した状態では,結晶中の2つの配座の存在比が異なることがわかった.これらの結果は,低温でペダル運動による配座変換が凍結し,熱力学的非平衡状態が発生したことを意味している.更に,瞬間冷却した単結晶を用いて,非平衡状態のX線解析を行うことで,低温の平衡状態では存在できないような不安定な配座を観測することに成功した.
    日本学術振興会, 若手研究(B), 東京大学, 研究代表者, 競争的資金, 14740343
  • X線結晶解析による有機フォトクロミック化合物の着色体構造の解明
    科学研究費 奨励研究(A)
    2000年04月 - 2002年03月
    原田 潤
    フォトクロミックなサリチリデンアニリン誘導体であるN-3, 5-ジ-tert-ブチルサリチリデン-3-ニトロアニリンの淡黄色結晶にパルスレーザー光(λ=730nm)を照射したところ二光子励起を経て暗赤色に変化した.この結晶にXeランプを用いて可視光(λ>530nm)を照射すると元の淡黄色に戻った.この色変化に伴う分子構造の変化をX線結晶解析で決定した.その結果から,結晶中におけるサリチリデンアニリン類のフォトクロミズムはエノール体とトランス-ケト体との互変異性に由来することが明らかになった.他のサリチリデンアニリン誘導体の合成および単結晶の作成を行い,これらの結晶についてもパルスレーザー光を照射することで,二光子励起を経て着色体を生成することができた.また,サリチリデンアニリンと類似した分子骨格を持つ化合物について高精度のX線結晶解析を行うことで,これらの分子が一般に結晶中でペダル運動を行っていることを明らかにすることが出来た.この結果から,サリチリデンアニリン類の結晶中でのフォトクロミズムがペダル運動によって起こっていることがより確かなものとなった.また,フォトクロミックなシドノン誘導体を合成し,単結晶を作成した.この誘導体においても低温でパルスレーザー光を照射することによって,二光子励起を経て着色体を生成できることがわかった.これらの結果からフォトクロミック分子の結晶に対してパルスレーザー光を照射することで,二光子励起を経て着色体を発生させる方法が一般に適用可能であることがわかった.
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 東京大学, 研究代表者, 競争的資金, 12740341
  • 結晶中におけるスチルベン型分子のダイナミックス               
    科学研究費 特別研究費奨励費
    1996年04月 - 1998年03月
    原田 潤
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金

産業財産権

  • 含窒素化合物、多結晶成形体及び多結晶薄膜               
    特許権, 原田 潤
    特願2021-522817, 2020年05月27日
    WO2020/241694, 2020年12月03日
    特許7281225, 2023年05月17日
  • エバネッセント波を用いた粉末若しくは粉末を固めた試料片の紫外可視吸収スペクトル測定装置               
    特許権, 加藤 健次, 小川 桂一郎, 原田 潤, 堀内 道雄, 高橋 浩三
    特願2004-46085, 2004年02月23日
    特開2005-233884, 2005年09月02日
  • 低温拡散反射測定装置及びそれに用いる試料ホルダ、低温拡散反射スペクトル測定方法               
    特許権, 小川 桂一郎, 原田 潤, 山西 孝志
    特願2003-374691, 2003年11月04日
    特開2005-140546, 2005年06月02日

主な担当授業

  • 総合化学特論Ⅰ (Modern Trends in Physical and Material Chemistry), 2024年, 修士課程, 工学院
  • 総合化学特論Ⅰ(Modern Trends in Physical and Material Chemistry), 2024年, 修士課程, 総合化学院
  • 大学院共通授業科目(一般科目):自然科学・応用科学, 2024年, 修士課程, 大学院共通科目
  • 物質化学(固体物性化学), 2024年, 修士課程, 総合化学院
  • 先端総合化学特論Ⅰ, 2024年, 博士後期課程, 総合化学院
  • 総合化学特論Ⅰ (Modern Trends in Physical and Material Chemistry), 2024年, 博士後期課程, 工学院
  • 化学Ⅰ, 2024年, 学士課程, 全学教育
  • 固体化学, 2024年, 学士課程, 理学部