畠山 鎮次 (ハタケヤマ シゲツグ)

医学研究院 生理系部門 生化学分野教授
Last Updated :2025/06/07

■研究者基本情報

学位

  • 博士(医学)

プロフィール情報

  • ユビキチン化を中心としたタンパク質翻訳後修飾を研究しております。ユビキチン化は分解システムとしてだけではなく、酵素の活性化制御などの多くの重要な役割を果たしています。また、がん、免疫学、神経科学を含め多くの領域の研究で、ユビキチン化が注目されております。

研究キーワード

  • TRIMタンパク質
  • タンパク質分解
  • プロテアソーム
  • ユビキチンリガーゼ
  • ユビキチン

研究分野

  • ライフサイエンス, 細胞生物学
  • ライフサイエンス, 医化学
  • ライフサイエンス, 病態医化学
  • ライフサイエンス, 分子生物学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2017年04月 - 現在
    北海道大学, 大学院医学研究院生理系部門生化学分野医化学教室, 教授
  • 2021年04月 - 2025年03月
    北海道大学, 大学院医学研究院・医学院, 医学研究院長・医学院長・医学部長
  • 2017年04月 - 2021年03月
    北海道大学, 大学院医学研究院・医学院, 副研究院長・副学院長
  • 2011年04月 - 2021年03月
    北海道大学, アイソトープ総合センター, センター長
  • 2014年04月 - 2017年03月
    北海道大学, 総長室(研究戦略室), 総長補佐
  • 2007年04月 - 2017年03月
    北海道大学, 大学院医学研究科医学専攻生化学講座医化学分野, 教授
  • 2013年04月 - 2014年03月
    北海道大学, 総長室(研究戦略室), 役員補佐
  • 2011年09月 - 2013年08月
    北海道大学, 大学院医学研究科附属動物実験施設, 施設長
  • 2004年07月 - 2007年03月
    北海道大学, 大学院医学研究科生体機能学専攻分子生化学講座分子医化学分野, 教授
  • 2000年11月 - 2004年06月
    九州大学 生体防御医学研究所, Medical Institute of Bioregulation, 助教授
  • 1997年03月 - 2000年10月
    九州大学 生体防御医学研究所, Medical Institute of Bioregulation, 助手
  • 1995年06月 - 1997年02月
    米国国立がん研究所, NCI, 日本学術振興会NIH派遣研究者
  • 1994年04月 - 1995年05月
    ワシントン大学医学部, 博士研究員

学歴

  • 1990年04月 - 1994年03月, 北海道大学, 大学院医学研究科, 博士課程
  • 1984年04月 - 1990年03月, 北海道大学, 医学部, 医学科

委員歴

  • 2012年04月 - 現在
    公益財団法人 東洋紡バイオテクノロジー研究財団, 評議員, その他
  • 2004年07月 - 現在
    日本生化学会, 評議員, 学協会
  • 2021年04月 - 2025年03月
    北海道心臓協会, 評議員, 学協会
  • 2021年04月 - 2025年03月
    医学教育振興財団, 審査委員, 学協会
  • 2021年04月 - 2025年03月
    北海道医学会, 会長, 学協会
  • 2021年03月 - 2025年03月
    北海道医療審議会, 委員, その他
  • 2017年06月 - 2025年03月
    公益財団法人杉野目記念会, 理事, その他
  • 2019年09月 - 2021年11月
    日本生化学会, 理事、北海道支部長, 学協会
  • 2013年04月 - 2021年03月
    北海道医学会, 評議員、編集幹事, 学協会
  • 2011年04月 - 2021年03月
    北海道地区大学等放射線施設協議会, 会長, 学協会

学内役職歴

  • アイソトープ総合センター長, 2013年4月1日 - 2015年3月31日
  • アイソトープ総合センター長, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
  • アイソトープ総合センター長, 2017年4月1日 - 2019年3月31日
  • アイソトープ総合センター長, 2019年4月1日 - 2021年3月31日
  • 医学部長, 2021年4月1日 - 2023年3月31日
  • 医学部長, 2023年4月1日 - 2025年3月31日
  • 教育研究評議会評議員, 2021年4月1日 - 2023年3月31日
  • 研究戦略室室員, 2013年4月1日 - 2017年3月31日
  • 施設・環境計画室室員, 2020年12月1日 - 2022年3月31日
  • 施設・環境計画室室員, 2022年4月1日 - 2024年3月31日
  • 施設・環境計画室室員, 2024年4月1日 - 2026年3月31日
  • 総長補佐, 2014年4月1日 - 2015年3月31日
  • 総長補佐, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
  • 大学院医学院長, 2021年4月1日 - 2023年3月31日
  • 大学院医学院長, 2023年4月1日 - 2025年3月31日
  • 大学院医学院副学院長, 2017年4月1日 - 2019年3月31日
  • 大学院医学院副学院長, 2019年4月1日 - 2021年3月31日
  • 大学院医学研究院長, 2021年4月1日 - 2023年3月31日
  • 大学院医学研究院長, 2023年4月1日 - 2025年3月31日
  • 大学院医学研究院副研究院長, 2017年4月1日 - 2019年3月31日
  • 大学院医学研究院副研究院長, 2019年4月1日 - 2021年3月31日
  • 役員補佐, 2013年4月1日 - 2014年3月31日

■研究活動情報

受賞

  • 2013年06月, 日本リウマチ財団, 三浦記念リウマチ学術研究賞               
    リウマチ性疾患における免疫細胞活性化を制御するユビキチン化システムの解明
    畠山 鎮次
  • 2012年11月, 公益信託・日本白血病研究基金研究助成事業, 一般研究賞               
    ユビキチン依存性分化制御による白血病治療への展開基盤
    畠山 鎮次
  • 2007年, 公益信託・日本白血病研究基金研究助成事業, 一般研究賞               
    多発性骨髄腫細胞の細胞内品質管理におけるユビキチン化酵素Ro52の役割
    畠山 鎮次
  • 2005年, 日本リウマチ財団, 三浦記念リウマチ学術研究賞               
    シェーグレン症候群関連自己抗原Ro52/SSAのユビキチンリガーゼとしての機能解析
    畠山 鎮次

論文

その他活動・業績

書籍等出版物

  • ベインズ・ドミニチャク生化学 原書6版               
    畠山鎮次, 34章 代謝における肝臓の役割
    丸善出版, 2024年11月, 9784621308639, [共訳]
  • 系統看護学講座 専門基礎分野 人体の構造と機能[2] 生化学               
    畠山 鎮次
    医学書院, 2019年01月, [単著]
  • ベインズ・ドミニチャク生化学 原書4版               
    畠山 鎮次, 30 代謝における肝臓の役割
    丸善, 2018年12月, [共訳]
  • Advances in Medicine and Biology. Volume 120               
    渡部 昌, 畠山 鎮次, Ubiquitin-Conjugating Enzymes (E2s)
    Nova Science Publishers, 2017年, [共著]
  • 次世代がん戦略研究 がん基盤生物学 −革新的シーズ育成に向けて−               
    畠山 鎮次, ユビキチン関連酵素を標的としたがん治療シーズの開発
    南山堂, 2013年10月, [分担執筆]
  • 標準生化学               
    畠山 鎮次
    医学書院, 2012年08月, [その他]
  • PSA and Prostate Cancer               
    畠山 鎮次, Molecular mechanism of PSA expression in prostate cancer cells
    Nova Science Publishers, 2010年, [分担執筆]
  • Handbook of Prostate Cancer Cell Research: Growth, Signalling and Survival               
    畠山 鎮次, Post-translational regulation of androgen receptor in proliferation of prostate cancer cells
    Nova Science Publishers, 2009年, [分担執筆]
  • The Frontiers in Medical Sciences「神経変性疾患のサイエンス」               
    畠山 鎮次, II. 神経変性の分子細胞生物学、4. ユビキチン・プロテアソームシステム
    2007年12月, [分担執筆]
  • Ubiquitin-proteasome system (Methods in Enzymology)               
    畠山 鎮次, Mapping of ubiquitination sites on target proteins
    Academic press, 2005年, [分担執筆]

講演・口頭発表等

  • TRIMタンパク質の機能と多様な疾患への関与               
    畠山鎮次
    ATAGO Respiratory Expert Seminar, 2022年06月11日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    2022年06月11日, [招待講演]
  • TRIMファミリータンパク質による細胞機能制御               
    畠山 鎮次
    GU Cancer Forum 2017, 2017年07月21日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • TRIMファミリータンパク質が関与する疾患               
    畠山 鎮次
    第24回分子皮膚科学フォーラム, 2017年04月14日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • 代謝とがんにおけるTRIMファミリータンパク質の機能               
    畠山 鎮次
    International Symposium for New Aspects of the Ubiquitin Research, 2016年12月06日, 英語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国際会議]
  • ユビキチンを中核とした翻訳後修飾による多様な生体調節メカニズム               
    畠山 鎮次
    第39回日本分子生物学会年会, 2016年12月01日, 英語, シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
    [国内会議]
  • TRIMファミリーユビキチンリガーゼによる生体制御機構               
    畠山 鎮次
    日本生化学会, 2015年12月01日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • TRIMタンパク質の多彩な機能               
    畠山 鎮次
    日本生化学会大会, 2013年09月12日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国内会議]
  • Regulation of cellular functions by TRIM proteins               
    畠山 鎮次
    The 35th Naito Conference, 2013年07月10日, 英語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国際会議]
  • 免疫と癌を制御するTRIM型ユビキチンリガーゼ               
    畠山 鎮次
    第40回日本臨床免疫学会, 2012年09月28日, 日本語, 口頭発表(基調)
    [招待講演], [国内会議]
  • TRIM proteins in inflammation and carcinogenesis               
    畠山 鎮次
    2nd international symposium: Infection-related cancers, 2012年05月12日, 英語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国際会議]
  • 癌化を制御するTRIMファミリーユビキチンリガーゼ               
    畠山 鎮次
    第21回泌尿器科分子・細胞研究会, 2012年02月10日, 日本語, 口頭発表(招待・特別)
    [招待講演], [国内会議]
  • TRIM proteins and cancers               
    畠山 鎮次
    第69回日本癌学会学術総会, 2010年09月24日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国内会議]
  • ユビキチンシステム関連酵素の多様性と機能               
    畠山 鎮次
    第10回日本蛋白質科学会年会, 2010年06月17日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国内会議]
  • Ubiquitination of ε-COP by PIRH2 and regulation of the secretion of PSA               
    畠山 鎮次
    International Symposium on Membrane Traffic, 2007年11月27日, 英語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国際会議]
  • 細胞内適応制御系としてのユビキチン-プロテアソームシステム               
    畠山 鎮次
    第47回日本適応医学会総会, 2007年06月08日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [国内会議]
  • 神経変性疾患に関与するユビキチンリガーゼ               
    畠山 鎮次
    第47回日本神経学会総会, 2006年05月12日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国内会議]
  • ユビキチンリガーゼエンジニアリングによるがん治療               
    畠山 鎮次
    第3回日本癌学会カンファレンス(動物モデルによる新時代のがん研究 発症機構から治療まで, 2006年03月10日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国内会議]
  • ユビキチン化による細胞機能制御 –細胞内シグナル・転写・細胞周期・癌-               
    畠山 鎮次
    第33回細胞情報伝達系北海道研究会, 2005年11月19日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国内会議]
  • ホルモン受容体の制御系としてのユビキチンリガーゼ群               
    畠山 鎮次
    第64回日本癌学会学術集会, 2005年09月15日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国内会議]
  • 炎症反応に関与するユビキチン化とリン酸化               
    畠山 鎮次
    第42回日本臨床分子医学会学術集会, 2005年07月23日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    [招待講演], [国内会議]

担当経験のある科目_授業

  • 生化学               
    日本医療大学
    2015年04月 - 現在
  • 基礎臨床腫瘍学               
    北海道大学
    2008年04月 - 現在
  • 生化学               
    北海道大学
    2005年04月 - 現在
  • 生化学実習               
    北海道大学
    2004年07月 - 現在
  • 医遺伝学               
    北海道大学
    2010年04月 - 2023年03月
  • 臨床医学概論               
    日本医療大学
    2015年10月 - 2021年03月
  • 細胞生物学               
    北海道大学
    2009年04月 - 2014年03月
  • 血液免疫学               
    北海道大学
    2005年04月 - 2009年03月

所属学協会

  • 日本癌学会               
  • 日本分子生物学会               
  • 日本生化学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • TRIM型ユビキチンリガーゼによるタンパク質寿命制御の解析
    科学研究費助成事業
    2024年04月01日 - 2026年03月31日
    畠山 鎮次
    日本学術振興会, 学術変革領域研究(A), 北海道大学, 24H01877
  • MHC発現調節による抗原提示能の人為的操作技術の開発               
    科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
    2022年06月30日 - 2024年03月31日
    畠山 鎮次
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 22K19415
  • TRIM型ユビキチンリガーゼファミリーによるシグナル伝達制御の解析
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2021年04月 - 2024年03月
    畠山 鎮次
    申請者らの研究により、免疫反応やがん化に関する細胞内シグナル伝達におけるTRIMファミリーユビキチンリガーゼ群の重要性が明らかとなった。特に細胞増殖のみならず、細胞分化過程を制御するシグナル伝達系やオートファジーの制御に、TRIMファミリーユビキチンリガーゼが関与していることが示され、最近では細胞内情報伝達系の多くの分野で注目されている。本申請においては、網羅的ノックダウンスクリーニングやユビキチン化に特化したプロテオミクス的手法により、TRIMファミリーユビキチンリガーゼを基軸とした細胞内シグナルネットワークシステムを網羅的に解析する。さらに、TRIMファミリーの細胞の増殖分化および免疫系での機能を解明することで、臨床医学(自己免疫疾患、アレルギー疾患及びがん等)に貢献する知見(疾患特異的バイオマーカーや創薬シーズ等)を得る。
    具体的には、全TRIMタンパク質のsiRNA等を使用することで、さまざまな細胞内シグナルを網羅的に解析し、TRIMファミリー全体のシステム構造を解明を進めた。また、各TRIMタンパク質の基質タンパク質を同定するために、TUBEを使用した質量分析解析を進めた。
    実際、獲得免疫シグナルに重要となるMHCの発現に関与するTRIMタンパク質を新規同定し、機能解析を進めた。さらに、ヘッジホッグシグナルに重要な1次繊毛に関与するTRIMタンパク質を同定し、機能解析を進めた。今後は、今回の研究成果をもとに、臨床医学(自己免疫疾患、アレルギー疾患及びがん等)に貢献する知見を得ることを進める。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 21H02674
  • TRIM型ユビキチンリガーゼの物性と動作原理の解析
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2021年04月 - 2023年03月
    畠山 鎮次
    「ユビキチン化」はタンパク質分解を制御する翻訳後修飾であり、多くの生命現象(タンパク質分解のみならず酵素の活性なども制御)を支える極めて重要な翻訳後修飾の一つである。TRIMタンパク質ファミリーの多様性と機能:TRIMファミリーはRING型E3ユビキチンリガーゼの一つのファミリー(ヒトでは約70種)であり、様々な機能(がん、免疫、発生、オートファジーなどの制御)に関与することが報告されている。本研究の目的は、TRIMタンパク質の「タンパク質」としての物理化学的な性質(物性)を解析することで機能との関連性を検討し、将来的には創薬研究への知見を集積することである。TRIMタンパク質の機能を解明するためには、その基質タンパク質を同定することと、およびTRIMタンパク質の構造を決定することが重要となる。
    具体的には、ユビキチン化タンパク質を精製することに優れたポリユビキチン鎖に高親和性結合を示す人工タンパク質TUBE(Tandem Ubiquitin Binding Entity)を用いた。本研究で用いるユビキチン関基質の新規同定法において、①FLAGタグ、②ユビキチン高親和性人工タンパク質(TUBE)、③TRIMタンパク質(E3酵素)の3つのドメインを融合した人工タンパク質である精製用プローブを用いた。
    本年度は、シグナル伝達・選択的オートファジー・DNA修復・ERAD等に関与すると考えられているTRIMタンパク質を中心に、質量分析器(Hybrid IonTrap-Orbitrap LC-MS)を使用し、ユビキチン化基質タンパク質の同定を試み、複数のTRIMタンパク質に関して、基質タンパク質候補を同定し、各TRIMタンパク質の機能解析を進めた。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 21H00266
  • Bassoon proteinopathyの病態解析研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2020年04月 - 2023年03月
    矢部 一郎, 原 太一, 矢口 裕章, 池内 健, 高橋 秀尚, 大塚 稔久, 若林 孝一, 畠山 鎮次
    われわれは先行研究において、一部のタウオパチー発症に神経終末アクティブゾーンに存在するbassoon蛋白を翻訳するbassoon(BSN)遺伝子の変化を見出した。そのタウオパチーは3リピート(3R)と4リピート(4R)のタウ蛋白質が蓄積する新しい病態であることも示した。さらに、今までPSPと臨床診断していた患者を対象に遺伝子解析を実施したところ、その約10%にBSN遺伝子変化を同定した。このメカニズムとして分子生物学的手法を用いて、BSN遺伝子変異がタウタンパク質を不溶性分画に移行させる病原性があることを解明した。その結果、われわれの論文を引用し、Bassoon proteinopathyという疾患概念が提唱され、BSNタンパク質やBSN遺伝子と多発性硬化症、ハンチントン病、若年性パーキンソン病などの重要な神経疾患との関連が近年相次いで報告されている(Montenegro-Venegas C, et al. Autophagy 2020, Huang TT, et al. Acta Neuropathol Commun 2020, Hoffmann-Conaway S et al. Elife 2020)。当教室では現在このBSN遺伝子変化のPSPを始めとする神経難病への関与についてさらに検討を進めている。具体的には今回の研究では、①モデル動物と細胞株においてBSN遺伝子変異がタウオパチーを惹起する病態機序と同変異が治療標的となり得る可能性、②過去の研究報告からBSNが病態に関与している可能性がある認知症関連疾患、パーキンソン症候群、多系統萎縮症、多発性硬化症などの多様な神経疾患におけるBSN遺伝子変異関与の可能性、③血漿や髄液検体を用いてBSNタンパク質を測定し、BSNタンパク質量が診断および重症度バイオマーカーになり得る可能性、の3課題を中心に研究を遂行している。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 20H03585
  • プロテオーム解析とCROP-seq技術を用いた新規MHC-I遺伝子誘導因子の同定
    科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
    2020年07月 - 2022年03月
    小林 弘一, 畠山 鎮次, 應田 涼太
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 20K21511
  • TRIM型ユビキチンリガーゼの物性と動作原理の解析
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2019年04月 - 2021年03月
    畠山 鎮次
    ユビキチン化はタンパク質分解を制御する翻訳後修飾であり、多くの生命現象を支える極めて重要な翻訳後修飾の一つである。TRIMファミリーはRING型E3ユビキチンリガーゼの一つのファミリー(ヒトでは約70種)であり、様々な機能(がん、免疫、オートファジーなど)に関与することが知られている。本研究目的は、E3ユビキチンリガーゼであるTRIMタンパク質の「タンパク質」としての物理化学的な性質(物性)を解析し、将来的には創薬研究への知見を集積することである。実際に、TRIMタンパク質の機能を解明するために、基質タンパク質とユビキチンデコーダータンパク質を同定することと、およびTRIMタンパク質の構造を
    決定することが重要となる。本年度は、シグナル伝達・選択的オートファジー・DNA修復・等に関与すると考えられているTRIMタンパク質を中心に、質量分析器(Hybrid IonTrap-Orbitrap LC-MS)を使用し、ユビキチン化基質タンパク質の同定を試み、複数のTRIMタンパク質に関して、基質タンパク質候補が同定された。
    また、クライオ電顕によってTRIM68の構造解析を行ったところ、コイルドコイルドメインで折れ曲がる構造をしていることが判明し、それが酵素活性において何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。
    さらに、温度変化などのストレスによってもたらされる物性変化で、どのようにユビキチンリガーゼの酵素活性が影響を受けるかを明らかにするために、ストレス関連E3ユビキチンリガーゼであるCHIPを用いて解析したところ、ヒトの体温である37度周辺に至適温度があり、許容範囲が狭いことが判明した。今後、ストレスに反応して機能すべきユビキチン化酵素が、生体において、いかに温度変化等に対応して機能しているかを明らかにすることが重要である。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 19H05280
  • 脱ユビキチン化酵素に着目した悪性中皮腫の病態解明と新規診断・治療法の開発
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2018年04月 - 2021年03月
    谷野 美智枝, 北村 秀光, 榊原 純, 畠山 鎮次
    悪性胸膜中皮腫はアスベスト暴露後長い潜伏期間ののち発症する悪性度の高い腫瘍である。悪性中皮腫は、外科的切除に加え、化学療法、放射線照射を組み合わせた集学的治療が行われるが、治療抵抗性を示し予後不良の疾患である。そのため、分子病理学的メカニズムを探索し新規の治療法を開発することは急務である。中皮腫では様々な遺伝子異常が報告されている一方で、分子標的薬のターゲットとなる、活性化型変異がほとんどないため、本研究では広くさまざまなシグナル伝達を制御するユビキチンープロテアソーム係に関する脱ユビキチン化酵素であるOTUB1に着目した。悪性胸膜中皮腫におけるOTUB1の役割を調べることを目的とする。
    まず、5つの中皮腫細胞株H28、H2052、H2452、Meso-4、211Hおよび中皮細胞株Met-5Aを用いてRT-PCR、ウェスタンブロッティングを施行し、OTUB1の発現量の検討を行った。211HにpCX4-puromycin-OTUB1をトランスフェクションし、OTUB1の安定過剰発現株を作製した。また、CRISPR/Cas9 systemを用い、OTUB1のノックダウン211H細胞株を樹立した。この細胞株を用い、ウェスタンブロッティング、RT-PCRでシグナル伝達分子の発現を確認した。5種類の中皮腫細胞株では、Met-5Aと比較してタンパク質レベルではいずれも高い発現を認めた。しかし、mRNAでは正常細胞株よりも中皮腫細胞株で発現が低いことが確認できた。これらは、遺伝子変異と相関はしなかった。また、OTUB1の過剰発現211H細胞株において、コントロール株よりもリン酸化SMAD2/3の発現が増加していることが確認された。また、一過性の過剰発現株ではEMT様のEカドヘリンの減少、Nカドヘリンの増加が見られたが、安定過剰発現株では見られなかった。しかし、Slug、Snailの発現上昇が確認できた。ノックダウン細胞株においても、MET様のシグナルは確認できなかったが、Slugの発現が低下していた。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 旭川医科大学, 18K06980
  • TRIMファミリータンパク質によるユビキチンネットワーク制御の解析               
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2018年 - 2020年
    畠山 鎮次
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • TRIMファミリータンパク質による抗原提示制御               
    科学研究費補助金(新学術領域研究)
    2017年 - 2018年
    畠山 鎮次
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 信頼性の高いユビキチン化基質タンパク質の新規同定法の確立               
    科学研究費補助金(挑戦的研究(萌芽))
    2017年 - 2018年
    畠山 鎮次
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • ユビキチンリガーゼによる選択的基質識別メカニズム
    科学研究費助成事業
    2012年06月 - 2017年03月
    嘉村 巧, 畠山 鎮次
    ユビキチン修飾系は、様々な生命現象に重要な働きを果たしている。本研究では、Cullin型およびTRIM型E3に対する基質を同定し、さらにはこれら酵素・基質関係により制御される生命現象の解明を目的とした。我々は、Cullin 型E3のUcc1がクエン酸合成に、SSB4がシグナル伝達に、ASB7が紡錘体形成に、そしてPrameが転写に関与していることを見出した。またTRIM型E3のTRIM45が癌抑制に、TRIM23が脂肪細胞分化に、TRIM29がDNA修復に、そしてRNF207が糖代謝に関与していることを発見した。本研究によりCullin型およびTRIM型E3の新たな機能が解明された。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 名古屋大学, 24112006
  • TRIMファミリータンパク質によるシグナル伝達制御
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2015年 - 2017年
    畠山 鎮次
    申請者らの研究により、細胞内シグナル伝達制御におけるTRIMファミリーユビキチンリガーゼ群の重要性が明らかとなった。特に、細胞増殖や細胞分化の過程を制御するシグナル伝達系に、TRIMファミリーユビキチンリガーゼが関与していることが示された。そこで本研究申請においては、網羅的ノックダウンスクリーニングやプロテオミクス的手法により、さまざまな細胞内シグナル系におけるユビキチン化を制御するTRIM型ユビキチンリガーゼを同定・解析した。さらには、siRNAライブラリーを用いたTRIMファミリー遺伝子の網羅的ノックダウンにより、代謝や免疫シグナルに関する候補遺伝子を同定し、その機能解析を行った。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 15H04690
  • Wntシグナル抑制分子RNF43のがんへの関与
    科学研究費助成事業
    2013年04月 - 2016年03月
    築山 忠維, 畠山 鎮次, 高橋 秀尚
    膜型ユビキチンリガーゼRNF43は、正常幹細胞や各種がん細胞で高発現することが報告されていた。しかしRNF43の機能とそのがん化に関与する分子メカニズムは不明であった。本研究において以下の解明を行い報告を行った[ Tsukiyama, MCB, 35:2007 (2015)]。
    1.RNF43はN末端側でFzdの発現調節を行い、Wnt/βcatenin, noncanonical Wntシグナルを抑制する。2.C末端側でDvlとの結合依存的に noncanonical Wntシグナルを抑制する。3.がんにおけるRNF43のミスセンス変異がWnt/βcateninシグナルの過剰活性化を引き起こす。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 25430102
  • カイコ個体内遺伝子導入による実験モデル生物の開発
    科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
    2013年 - 2014年
    畠山 鎮次
    ヒトの疾患を解析するためのモデル生物を利用することは、医学研究にとって重要なことである。今回、遺伝子疾患解析のために、カイコ個体内での遺伝子発現システムの開発を試みた。AcNPVウイルスに感受性がある特殊なカイコ系統を使用することで、ウイルスベクターによる遺伝子発現法を開発した。具体的には、目的遺伝子(モデル遺伝子としてGFPタンパク質遺伝子)を組み込んだAcNPVウイルスを作成し、特殊なカイコ系統の幼虫に感染させ、GFPタンパク質を発現させることができた。
    文部科学省, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 25670134
  • 細胞の増殖分化に関与するTRIM型ユビキチンリガーゼの網羅的解析
    科学研究費補助金 (基盤研究(B))
    2012年 - 2014年
    畠山 鎮次
    ある種の癌の癌化制御においてTRIM ファミリーユビキチンリガーゼ群の重要性が明らかとなっている。特に細胞の増殖分化過程で重要な転写因子の制御に、TRIM ファミリーユビキチンリガーゼが関与していることが報告されている。今回、プロテオミクス的手法を使用し、転写因子のユビキチン化に関与するTRIM 型ユビキチンリガーゼを網羅的に解析した。その結果、いくつかの癌において、その癌化の機序に関することが明らかとなり、今後、これらの知見は癌の悪性度や早期診断等への臨床応用に貢献することが期待できる。
    文部科学省, 基盤研究(B), 基盤研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 24390065
  • ゲノム解析およびプロテオーム解析による頭頸部癌診断・治療の新展開
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2010年 - 2012年
    福田 諭, 本間 明宏, 畠山 鎮次
    今回は当施設の頭頸部癌サンプルを実際に使用しての、ゲノム、プロテオーム解析だけではなく、microRNAの解析も多検体を用いて行うことができた。唾液腺癌も頭頸部癌の一つでありこれらの免疫組織学的検討も行うことができた。(昨年の頭頸部外科学会最優秀論文賞受賞)これらは海外の頭頸部癌関連学会で発表している。さらには現在話題の分子標的薬に対する耐性機構のトランスクリプトーム解析とそれに付随するmicroRNAの解析についても論文としてすでにPublishされている。得られた膨大な量のデータにはまだ分子情報が未知のものが多く、これからもこのデータから臨床応用すべく実証実験を重ねていきたい。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 22390314
  • 心血管ストレス応答におけるミトコンドリア活性酸素シグナル制御
    科学研究費助成事業
    2008年 - 2012年
    筒井 裕之, 蒔田 直昌, 絹川 真太郎, 松井 裕, 石森 直樹, 畠山 鎮次
    ミトコンドリアの生体維持機能は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)によって動的に制御されている。近年、mtDNAの酸化損傷およびそれに起因する活性酸素の過剰産生が、種々の疾病の発症、さらには老化にも関与することがあきらかにされ、疾病発症の共通基盤としてのミトコンドリア機能不全が注目されている。本研究では、心血管ストレス応答におけるミトコンドリア転写因子およびミトコンドリア酸化ストレスの役割をあきらかにした。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 20117004
  • カイコ個体内遺伝子発現システムによる疾患モデルの確立
    科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
    2011年 - 2011年
    畠山 鎮次
    ヒト遺伝性疾患解析のモデル生物としてカイコを利用するために、カイコ内遺伝子発現システムを樹立することを進めた。そのために、AcNPVウイルスの感染を受け、そのウイルスが適度に増殖できる、特殊なカイコ系統を利用した。実際には目的遺伝子(GFPタンパク質遺伝子)を組み込んだAcNPVウイルスを、これらのカイコ系統に感染させることで一過性にGFPタンパク質を発現させることができることが判明した。
    文部科学省, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 23659144
  • TRIM型ユビキチンリガーゼ介在性癌化制御の網羅的解析
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2009年 - 2011年
    畠山 鎮次
    タンパク質の翻訳後修飾の一つであるユビキチン化は、主にタンパク質分解のシグナルとして機能しており、タンパク質の安定性の調節システムとして重要である。TRIMファミリータンパク質のいくつかはユビキチンリガーゼE3として機能することが判明しており、ヒト及びマウスの遺伝子に70以上存在することが推測されている。本研究申請では、TRIMファミリータンパク質と癌化との関係に焦点を当て、解析を進めた。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 21390087
  • ユビキチンリガーゼの多様性の解析
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2006年 - 2010年
    嘉村 巧, 畠山 鎮次
    ユビキチン・プロテアソーム系を介したタンパク質分解は様々な生命現象を制御している。標的タンパク質へのユビキチン修飾はE1、E2、E3の3つの酵素群を介して行われるが、中でも、E3が標的タンパク質の特異性を決める重要な働きをしている。Cullin型およびTRIM型E3は多くの生命現象に関与していると考えられている。我々はCullin型およびTRIM型E3の機能解明を目的として、本研究を行った。我々は、Cullin型E3がMrc1、Ctf4、ElonginA、p53およびYpt53の機能を制御していること、そしてLag2がSCF型E3の活性を負に制御することを示した。さらにはTRIM型E3が、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、Abi2、p53、PIAS3そしてIkkγの機能を制御していることを明らかにした。これらのことは、Cullin型およびTRIM型E3が、多くの標的タンパク質の機能を制御することにより、様々な生命現象に関与していることを示すものである。
    文部科学省, 特定領域研究, 名古屋大学, 連携研究者, 競争的資金, 18076001
  • プロテオーム解析による頭頸部癌診断・治療の新しい展開
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2007年 - 2009年
    福田 諭, 本間 明宏, 畠山 鎮次, 白土 博樹
    扁平上皮癌におけるプロテオーム解析研究にて、いくつかのタンパク質群を同定してきた。その中で同定されたユビキチンに注目し,頭頸部癌とユビキチンとの関連について検討した。その中でTRIM32は癌細胞の増殖や転移、そして抗癌剤の耐性化に関与する癌遺伝子として機能することが示唆され、タンパク質分解に関与するUBE2Q2が癌抑制遺伝子的な働きをすることから考えると、ある種の癌遺伝子産物の分解制御に関与する可能性があることを示唆した。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 19390432
  • 性ホルモン受容体のユビキチン化介在性分解による癌細胞増殖制御機構
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2006年 - 2007年
    畠山 鎮次
    多くの細胞質・核質に存在するタンパク質の分解にユビキチンープロテアソーム系が関与している。この分解系の特徴は、基質特異性が高く、分解速度が速いことである。この特徴を利用して、転写因子や細胞シグナル伝達や癌遺伝子産物や癌抑制遺伝子産物は、自分自身のタンパク質としての発現量を調節している。性ホルモン受容体も最近ユビキチン化により発現量(分解量)が制御させていることが報告されている。特にエストロゲン受容体α(ERα)やアンドロゲン受容体(AR)などのホルモン受容体は、リガンドと複合体を形成して、転写因子として標的遺伝子の転写を活性化し、生殖器の発達やホルモン依存性癌(乳癌や子宮体癌など)の腫瘍形成に影響を与えることが知られている。本研究計画では、ホルモン依存性癌において重要分子であるホルモン受容体(男性ホルモンと女性ホルモン)に対して、そのユビキチン化の分子論的機序を解明することを目的とする。我々はERαを特異的にユビキチン化するユビキチンガーゼE3、TRIM25/EFPを新たに同定し、生化学的及び細胞生物学的解析を行った。TRIM25はERαと直接結合し、in vitroユビキチン化アッセイにおいてERαをユビキチン化することが確認された。また細胞内にTRIM25を過剰発現させると、ERαのユビキチン化を促進することが判明した。また、各進行度の子宮体部癌の病理検体に対して、ウエス...
    文部科学省, 特定領域研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18013001
  • U-ボックスタンパク質による神経変性疾患関連タンパク質の分解制御
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2006年 - 2007年
    畠山 鎮次
    研究成果報告書我々はU-ボックス型ユビキチンリガーゼ(CHIPやE4Bなど)を同定し、ユビキチン化におけるタンパク質品質管理における重要性を検討した。U-ボックスタンパク質のひとつであるE4Bが、、脊髄小脳変性症3型(マシャドージョセフ病)の原因遺伝子犀物であるMJD1のユビキチン化に関与し、実験レベルで本疾患の発症を抑制させる活性があることを証明した。また、軸索変性異常マウスであるWld^sマウスにおいて発現しているE4B遺伝子とNmnat1遺伝子の融合遺伝子産物(Wld^sタンパク質)の軸索変性における機能責任部位を明らかにした。さらに今回、E4Bの結合タンパク質として我々が以前に同定した分子シャペロンp97/VCPの関連タンパク質を検索したところ、新たにRINGフィンガードメインを有するユビキチンリガーゼTRIM21/Ro52を同定した。そこで、TRIM21/Ro52の基質タンパク質候補を検索したところ、B細胞においてIgG1(IgG2、IgG4)と相互作用することが判明した。つまり、p97/VCPと協調して機能するユビキチンリガーゼとしてTRIM21/Ro52はB細胞(形質細胞)における抗体分子(IgG1_1など)の品質管理に関与することを判明した。また現在、神経組織においてTRIM21/Ro52と相互作用する分子(神経細胞死を制御する分子候補)を同定している。本研究...
    文部科学省, 特定領域研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18023003
  • Pirh2ユビキチンリガーゼによる膜輸送制御
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2006年 - 2007年
    畠山 鎮次
    研究成果報告書多くの細胞質・核質に存在するタンパク質の分解にユビキチン・プロテアソーム系が関与している。そして、標的タンパク質のユビキチン化に必要な酵素群の中で、特にユビキチンリガーゼE3は標的タンパク質を認識し、最終的にユビキチンを付加する重要な酵素サブユニットである。最近になり、ユビキチン化タンパク質修飾が分解のためのシグナルだけではなく膜輸送(メンブラントラフィック)に重要な機能を有することが報告されている。申請者はPirh2(p53をユビキチン化するE3)が、細胞内膜輸送に関与するε-COPと相互作用することを見出しており、本申請課題においては、Pirh2による細胞内膜輸送関連タンパク質のユビキチン化の機能を解明することを目的とする。in vivo結合実験を行なったところ、PIRH2とε-COPの共沈が認められた。さらにPIRH2がε-COPをユビキチン化するかを確認するためにin vitroユビキチン化アッセイを行なったところ、PIRH2を添加時にのみ、ε-COPのポリユビキチン化が認められた。さらに細胞内でε-COPのユビキチン化が起こっているかを確認するためにin vivoユビキチン化アッセイを行なったところ、PIRH2の共発現によりε-COPのユビキチン化の増強が認められた。これらの結果により、PIRH2の過剰発現がε-COPのユビキチン化を引き起こすことが判...
    文部科学省, 特定領域研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18050002
  • TRIMファミリーユビキチンリガーゼの網羅的解析
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2006年 - 2007年
    畠山 鎮次, 築山 忠維
    多くの細胞質・核質に存在するタンパク質の分解にユビキチンープロテアソーム系が関与している。そして、標的タンパク質のユビキチン化に必要な酵素群の中で、特にユビキチンリガーゼE3は標的タンパク質を認識し、最終的にユビキチンを付加する重要な酵素サブユニットである。この分解系の特徴は、基質特異性が高く、分解速度が速いことである。この特徴を利用して、癌遺伝子産物や癌抑制遺伝子産物や転写因子などの発現量は厳密に調節されている。。本研究計画では、既に癌化および癌の悪性度に影響を与えるといわれているTRIM/RBCCファミリータンパク質(TRIMタンパク質)を網羅的に解析し、ユビキチン化される基質タンパク質の同定および分子論的解明を行い、最終的には癌などに対する臨床応用に向けた試みを遂行する。これまでも癌や白血病に関連するTRIMファミリーとして、PML(白血病)やEFP(乳癌)やTRIM32(頭頸部癌)などが報告されている。具体的にはDNAデータベースを利用しTRIMタンパク質を網羅的にクローニングしている(ヒトゲノム上に約70遺伝子存在する)。現在までのところ、約13種類のTRIMタンパク質のクローニングし、その解析を進めているところである(TRIM2、TRIM3、TRIM9、TRIM10、TRIM13、TRIM18、TRIM21、TRIM25、TRIM26、TRIM32、TRIM36、...
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18390079
  • ハイブリッド型ユビキチン化酵素による神経変性疾患の治療
    科学研究費補助金(萌芽研究)
    2006年 - 2007年
    畠山 鎮次, 築山 忠維
    多くの細胞質・核質に存在するタンパク質の分解に関わっているのはユビキチン-プロテアソーム系である。この分解系の特徴は、基質特異性が高く、分解速度が速いことである。分解されるべきタンパク質はユビキチンが鎖状に結合され(ポリユビキチン鎖)、タンパク質分解装置であるプロテアソームがポリユビキチン鎖を認識して標的タンパク質ごと分解する。標的タンパク質のユビキチン化に必要な酵素群の中で、特にユビキチンリガーゼは標的タンパク質を認識し、最終的にユビキチンを付加する重要な因子である。本研究課題においては、各ポリグルタミン病関連タンパク質(ハンチンティン、Atrophin-1、Ataxin(ATX)-1,-2,-3,-17等)には特異的に結合するタンパク質が同定されているので、この結合タンパク質とユビキチンリガーゼであるU-ボックスタンパク質のキメラ酵素(人工ハイブリッドユビキチンリガーゼ)を作製し、ポリグルタミン含有タンパク質が人工ハイブリッドユビキチンリガーゼによってユビキチン化を受け、プロテアソームによって分解される系を構築する。さらに実際の遺伝子治療に応用できるかどうかを検討するために、ウイルスベクターを利用して細胞やマウスへの導入実験を行い、神経機能異常に対する効果を判定する。特に、ATX-3/MJD1とVCP/p97の結合に注目し、VCPにおける最小結合領域を同定しているところで...
    文部科学省, 萌芽研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18659252
  • 分子シャペロン関連ユビキチンリガーゼによる異常構造タンパク質の分解制御
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2005年 - 2006年
    畠山 鎮次
    神経細胞内封入体が各種の神経変性疾患の組織病理学的所見として多く報告されており、封入体は異常構造をとったタンパク質であることが報告されている。病理組織学的検索によりこれらの封入体を構成するタンパク質の多くがユビキチン化というタンパク質分解のための修飾が起きていることが知られている。本研究では、封入体構成タンパク質(ポリグルタミンタンパク質、タウ、α-シヌクレインなど)の安定性を調節するメカニズムとして分子シャペロン系とユビキチン-プロテアソーム系がどのような役割を果たしているのかを検討する。特に、封入体構成タンパク質をユビキチン化させる酵素系であるU-ポックスタンパク質との関係を生化学的に明らかにすることを目的とする。我々はヒト及びマウスからU-ボックスドメインを含むタンパク質のcDNAをクローニングし、そのE3活性を証明した(U-ボックス型E3)。ほとんどのU-ボックスタンパク質は分子シャペロンとの関係が認められ、U-ボックス型E3はシャペロン依存型E3である可能性が高い。特に哺乳類のUfd2ホモログであるUFD2aが、ポリグルタミン病のひとつであるマシャド-ジョセブ病の原因遺伝子産物である、神経細胞内に蓄積されるMJD1タンパク質を認識し分解できることを見いだした。また、CHIPが、アルツハイマー病関連タンパク質であるタウや筋萎縮性側索硬化症に関連するSOD1のユビキチン...
    文部科学省, 特定領域研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 17028001
  • 性ホルモン受容体のユヒキチン化介在性分解による癌細胞増殖制御機構
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2005年 - 2005年
    畠山 鎮次
    多くの細胞質・核質に存在するタンパク質の分解にユビキチン-プロテアソーム系が関与している。この分解系の特徴は、基質特異性が高く、分解速度が速いことである。この特徴を利用して、転写因子や細胞シグナル伝達や癌遺伝子産物や癌抑制遺伝子産物は、自分自身のタンパク質としての発現量を調節している。性ホルモン受容体も最近ユビキチン化により発現量(分解量)が制御させていることが報告されている。特にエストロゲン受容体α(ERα)やアンドロゲン受容体(AR)などのホルモン受容体は、リガンドと複合体を形成して、転写因子として標的遺伝子の転写を活性化し、生殖器の発達やホルモン依存性癌(乳癌や子宮体癌など)の腫瘍形成に影響を与えることが知られている。本研究計画では、ホルモン依存性癌において重要分子であるホルモン受容体(男性ホルモンと女性ホルモン)に対して、そのユビキチン化の分論的機序を解明することを目的とする。我々はERαを特異的にユビキチン化するユビキチンガーゼE3、ERα-associated Ring-_finger protein(EARF)を新たに同定し、生化学的及び細胞生物学的解析を行った。EARFはERαと直接結合し、in vitroユビキチン化アッセイにおいてERαをユビキチン化することが確認された。また細胞内にEARFを過剰発現させると、ERαのユビキチン化を促進することが判明した。...
    文部科学省, 特定領域研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 17014001
  • U-ボックスタンパク質による神経変性疾患関連タンパク質の分解制御
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2005年 - 2005年
    畠山 鎮次
    神経細胞内封入体が各種の神経変性疾患の組織病理学的所見として多く報告されており、封入体は異常構造をとったタンパク質であることが報告されている。病理組織学的検索によりこれらの封入体を構成するタンパク質の多くがユビキチン化というタンパク質分解のための修飾が起きていることが知られている。本研究では、封入体構成タンパク質(ポリグルタミンタンパク質、タウ、α-シヌクレインなど)の安定性を調節するメカニズムとして分子シャペロン系とユビキチン-プロテアソーム系がどのような役割を果たしているのかを検討する。特に、封入体構成タンパク質をユビキチン化させる酵素系であるU-ボックスタンパク質との関係を生化学的に明らかにすることを目的とする。我々はヒト及びマウスからU-ボックスドメインを含むタンパク質のcDNAをクローニングし、そのE3活性を証明した(U-ボックス型E3)。ほとんどのU-ボックスタンパク質は分子シャペロンとの関係が認められ、U-ボックス型E3はシャペロン依存型E3である可能性が高い。異常蛋白の蓄積は対応するために、正確な蛋白フォールディングを起こすためには分子シャペロンが、一方、異常タンパク質を分解する場合はU-ボックス型E3が関与している可能性を示した。機能レベルでは、哺乳類のUfd2ホモログであるUFD2aが、ポリグルタミン病のひとつであるマシャド-ジョセフ病の原因遺伝子産物であ...
    文部科学省, 特定領域研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 17025003
  • 抗原認識受容体シグナル関連分子の網羅的解析
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2004年 - 2005年
    畠山 鎮次, 中山 敬一, 嘉村 巧
    本申請課題は、リン酸化やユビキチン化などを中心としたアフィニティークロマトグラフィーを利用した翻訳後修飾の網羅的解析である。今回対象とする系は、免疫系細胞の抗原受容体を介したシグナル伝達系であり、特にリン酸化やユビキチン化に注目する。つまり、このシグナル系を利用して、下流に位置するシグナル伝達分子をタンパク質修飾という観点から網羅的に明らかにすることを目的とした。ユビキチン化は機能的に多くの細胞内現象にかかわり、細胞内シグナル伝達だけに関しても、TCRシグナル、BCRシグナル、FcRシグナルなどにユビキチン化が制御システムとしてリン酸化とともに重要なタンパク質修飾であることが明らかになっている。申請者は抗ユビキチン抗体アフィニティークロマトグラフィーを使い、ユビキチン化されたタンパク質を特異的に集めることにより、いかなる分子がどのようにユビキチン化されるかを網羅的に解析した。抗ユビキチン抗体カラムを用いて細胞抽出液からユビキチン化タンパク質、およびユビキチン結合タンパク質の回収を試み、精製したタンパク質をSDS-PAGEにて分離後、質量分析計により網羅的に解析し、700種類程度のタンパク質を同定した。また、リンパ球刺激後、抗体アフィニティークロマトグラフィー(抗リン酸化チロシン抗体)により、目的タンパク質を濃縮し、チロシンリン酸化関連タンパク質を質量分析計により網羅的に解析し...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学->北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 16300093
  • 細胞内タンパク質の特異的分解制御による癌に対する遺伝子治療法の確立
    科学研究費補助金(萌芽研究)
    2004年 - 2005年
    畠山 鎮次, 中山 敬一, 嘉村 巧
    多くの細胞質・核質に存在するタンパク質の分解に関わっているのはユビキチン-プロテアソーム系である。この分解系の特徴は、基質特異性が高く、分解速度が速いことである。分解されるべきタンパク質はユビキチンが鎖状に結合され(ポリユビキチン鎖)、タンパク質分解装置であるプロテアソームがポリユビキチン鎖を認識して標的タンパク質ごと分解する。標的タンパク質のユビキチン化に必要な酵素群の中で、特にユビキチンリガーゼは標的タンパク質を認識し、最終的にユビキチンを付加する重要な因子である。正常細胞に比べ癌細胞ではいくつかのタンパク質においてその発現の異常が報告されている。癌細胞において、癌遺伝子発現の増加(もしくは安定化)、もしくは癌抑制遺伝子産物の発現低下(もしくは不安定化)が認められることがある。例えば、Myc等の癌遺伝子においては遺伝子増幅が起こり、その発現の増加が認められる。Mycに特異的に結合する分子Maxが存在するので、このMaxとユビキチンリガーゼであるU-ボックスタンパク質のキメラ分子(Max-U)を作製し、MycがMax-Uによってユビキチン化を受け、プロテアソームによって分解される系を構築した。Max-Uにより、Mycは特異的に認識され、ユビキチン化を受けることがin vitroユビキチン化アッセイにより判明した。また、Max-Uを細胞内に発現させると、Mycの分解速度が速く...
    文部科学省, 萌芽研究, 九州大学->北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 16659104
  • 細胞周期制御因子Kipファミリーの分解制御機構の解析
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2004年 - 2005年
    嘉村 巧, 中山 敬一, 畠山 鎮次
    ユビキチンシステムは細胞内の主要なタンパク質分解経路の一つである。このシステムにおいて基質タンパク質はユビキチンリガーゼにより特異的にポリユビキチン化され、26Sプロテアソームによって分解される。最近われわれは、p27のG0-G1期における分解因子としてKPCを同定した。KPCは細胞質に局在しており、KPC1/2からなる複合体を形成していた。KPC1はN末端にタンパク質問相互作用に関わるとされるSPRYドメインと、C末端にE3に典型的なRING-fingerモチーフを有していた。一方、KPC2はN末端にUBLドメイン、C末端にUBAドメインを2つ持つ構造であった。そこで、われわれはKPCによるp27の認識およびポリユビキチン化のメカニズムを解明する目的で、KPC1/2複合体とp27の相互関係を調べた。KPC2はKPC1のSPRYドメインを含むN末端に、またp27もKPC1のN末端側に結合することが分かった。In Vitroにおいて、N末端を欠くKPC1変異体はp27に対するポリユビキチン化能を失っていた。一方、p27変異体を用いたKPCによるin vitroユビキチン化反応の結果から、KPG1はp27のCDK阻害ドメイン付近に結合している可能性が示唆された。さらに、この反応系にサイクリンE/CDK2複合体を添加したところ、p27のポリユビキチン化が阻害された。これらの結果から...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学->名古屋大学, 連携研究者, 競争的資金, 16390082
  • 異常タンパク質蓄積による神経変性疾患発症の分子機構の解明
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2004年 - 2004年
    嘉村 巧, 中山 敬一, 畠山 鎮次
    ユビキチン・プロテアソーム系は基質特異的なタンパク質分解機構であり、基質に特異的にユビキチンを多数結合させる反応(ポリユビキチン化)は、ユビキチン結合酵素(E1)、ユビキチン活性化酵素(E2)、ユビキチンリガーゼ(E3)の複合酵素系によって行われると考えられてきた。さらに、最近になって基質の種類によっては、E1-E2-E3に加えてユビキチン鎖伸長因子(E4)を必要とするポリユビキチン化反応があることが報告された。われわれは、出芽酵母で同定された、ユビキチン鎖伸長因子(E4)であるUfd2の哺乳類ホモログE4B/UFD2aを同定した。E4BはそのC末端にU-ボックスドメインを有す。E4Bは、成体マウスでは主に大脳、小脳などの神経組織に発現が高く認められ、またポリグルタミン病の原因遺伝子産物(MJD1)のユビキチン化にE4として関わっており、神経組織におけるユビキチンシステムとの関連が示唆された。哺乳類個体におけるE4Bの分子機能を解析するためにE4Bノックアウト(-/-)マウスを作製したところ、E4B-/-マウスは胎生12〜13日で、頭部、頸部、心臓、腹部などに血管の拡張や出血を認め、致死に至った。また、心筋組織には広汎なアポトーシスが認められ、心臓の発生、成熟過程に異常が認められた。プロテオーム解析では、E4B-/-マウスにおいて脱ユビキチン化酵素であるUCHL1の分子量に変...
    文部科学省, 特定領域研究, 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 16015288
  • 人工ハイブリット型ユビキチン連結酵素による癌治療法の開発
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2004年 - 2004年
    嘉村 巧, 畠山 鎮次
    癌遺伝子産物の発現量を、そのタンパク質分解を促進することによって低下させるシステムを構築し、臨床応用の可能性を検討することが本研究の目的である。最近、われわれはU-box型ユビキチンリガーゼを同定し報告した。このU-box型ユビキチンリガーゼはSCF型ユビキチンリガーゼとは異なり、単体よりなりその単一分子中に基質と結合する領域および基質にユビキチンを付加する領域(U-box)の両方を持っているのが特徴である。よってハイブリットU-boxタンパク質は、より効率よく基質をユビキチン化し分解に導く可能性がある。われわれは、U-box型ユビキチンリガーゼのU-boxタンパク質と癌遺伝子産物(Myc)と結合することが知られているタンパク質(Max)とのハイブリッドU-boxタンパク質(U-box/Maxハイブリッドタンパク質)を作製し、培養細胞を用いてMycに対する影響を検討した。その結果としてこの人工ハイブリッド型ユビキチンリガーゼによってMycのユビキチン化が促進され、その半減期が短縮されることを確認した。また培養細胞にこの人工ハイブリッド型ユビキチンリガーゼとMycを共同発現させることによりMyc誘導性のコロニー形成能が阻害された。さらにはこの人工ハイブリッド型ユビキチンリガーゼとMycを共同発現する細胞をヌードマウスに移植したところ明らかに造腫瘍能の低下を認められた。この方法が...
    文部科学省, 特定領域研究, 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 16023247
  • プロテアソームへのユビキチン化基質のターゲッテング機構の解析
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2003年 - 2004年
    嘉村 巧, 中山 啓子, 中山 敬一, 畠山 鎮次
    ユビキチン・プロテアソーム系を介したタンパク質分解は細胞周期・シグナル伝達・脳変性疾患等に中心的な役割を果たしている。タンパク質へのユビキチン化反応には、E1,E2,E3の酵素群が関与し、この分野に関する研究は急速に進んでいるが、その後のステップであるポリユビキチン化タンパク質のプロテアソームへのターゲッテング機構に関してはほとんど明らかになっていない。最近、我々は生化学的手法を用いて、KPC1(C末側にRINGフィンガー配列を持つ)とKPC2(N末側にUBL配列、C末側に2つのUBA配列を持つ)の2量体からなる複合体を、CDKインヒビターp27Kip1に対する新たなE3として細胞抽出液より分離・精製した。近年UBLおよびUBA配列をもつタンパク質の機能解析が盛んに行われているが、我々が同定したKPC2に関する報告はいまだなされていない。そこで本研究ではKPC2のユビキチン・プロテアソーム系に対する影響を生化学的、細胞生物学的方法を用いて解析することを目的とする。試験管内および細胞内でKPC2がプロテアソームおよびユビキチンと結合することを確認している。これらの結合にはそれぞれKPC2のUBL及びUBAドメインが必要であった。また試験管内でのp27のユビキチン化反応に対してKPC2のSTI1ドメインが必要であることを明らかにした。さらにRNA干渉法をもちいて細胞内でp27の分...
    文部科学省, 特定領域研究, 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 15032240
  • 発生工学プロテオミクスを用いたPKC-δシグナル伝達系の解明
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2003年 - 2004年
    中山 敬一, 谷内 一郎, 嘉村 巧, 畠山 鎮次, 中山 啓子
    蛋白質の生物学的機能をとらえる最も有効な手段として、発生工学的手法を用いて作製した遺伝子改変マウスの解析が挙げられる。本研究では、遺伝子改変によって生ずるマウス蛋白質の総体的な変化をプロテオミクス技術によって網羅的に検索するシステム「発生工学プロテオミクス」を構築し、それによって多くの酵素-基質関係を同定することによって種々のシグナル伝達系の総合的理解を目指した。プロテインキナーゼC(PKC)は細胞内シグナル経路の中心的な分子としてその重要性が指摘されてきた。近年PKCファミリーの1つであるPKCδがアポトーシスの際にICE様のプロテアーゼによって切断され、活性型に変換されることが報告された。われわれはPKCδの遺伝子を人工的に破壊したマウス(PKCδノックアウトマウス;以下PKCδ-/-マウス)を作成し、そのマウスにおける発生分化や組織機能における異常を検索することにより生体内でのPKCδの生理的役害を明らかにしてきた。しかしながらノックアウトマウスにおける異常のメカニズムについてはその詳細が不明であり、発生工学プロテオミクスを用いてさらなる解析が必要であった。発生工学プロテオミクスの前段階である定量的フォーカスド・プロテオミクスの技術について開発を行った。特に蛋白質の修飾で最も注目されているユビキチン化とリン酸化に対して、ユビキチン化プロテオーム及びリン酸化プロテオームの...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 15370060
  • CD4サイレンシングの分子機構とリンパ球分化過程におけるRunxの役割の解明
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2003年 - 2004年
    谷内 一郎, 畠山 鎮次, 嘉村 巧, 中山 敬一, 中山 啓子
    CD4サイレンシングの分子機構の解明とリンパ球分化過程におけるRunxファミリーの役割の解明の為に、遺伝子標的マウスやTgマウスを作製し解析を行った。まず、Runx1、Runx3とCBFβ遺伝子に関して、Cre-loxPの系を用いて組織特異的不活性化マウスを作製した。次にT細胞特異的Runx3Tgを作製した。また、Runx1のC-末端のVWRPY配列を欠損する変異マウスの供与を受けた。これらの遺伝子変異マウスの解析により、以下の事を明らかにした。1.iNKT細胞はDP胸腺細胞より分化し、その分化過程にはRunx1の機能が必須である2.Runx1とRunx3はCD4サイレンシングや胸腺細胞分化において相補的な機能を持ち、Runx1とRunx3を共に欠損するマウスでは胸腺細胞の正の選択過程と成熟過程が著しく障害される。3.Runx1のC末端にあるVWRPY配列はCD4サイレンシングに必須であるが、VWRPY配列が重要でない転写抑制機構も存在する。VWRPY配列は転写活性化にも重要な役割を持つ。更に、Runx1のVWRPY配列はiNKT細胞の分化に必須である。4.Runx3の発現のみではCD4サイレンシングの誘導には不十分であり、Runx3の発現はCD4サイレンシングの系列特異性を規定するものではない。5.CBFβはCD4サイレンシングに必須であり、また胸腺細胞の正の選択過程と成熟...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学->独立行政法人理化学研究所, 連携研究者, 競争的資金, 15390162
  • シグナル伝達を調節するSCFリガーゼ
    科学研究費補助金(特定領域研究(B), 特定領域研究)
    2000年 - 2004年
    小南 欽一郎, 畠山 鎮次, 畠山 鎮次
    SCF複合体の既知の構成分子Skp1、Cul1、Rbx1、F-boxタンパク質等にTAPタグをつけ、TAPシステムによって会合因子を単離する実験系を確立し、マイクロシークエンサー及び質量分析器でそのタンパク質配列を明らかにした。そのなかには転写調節に重要であるTIP120AがSCF複合体構成成分と結合していることが判明した。またSCF^の機能解析を目的に、Fbw7ノックアウトマウスを作製したところ、心臓奇形等で胎生致死となり、Fbw7が発生学上Notch系のシグナルに関与することを明らかにした。また、Fbw7がリン酸化依存性に癌遺伝子であるMycのユビキチン化及び分解の制御に関与することを報告した。さまざまなタンパク質合成および修飾ミスにより細胞質で不溶化するタンパク質が存在するが、分子シャペロン等が異常たんぱく質の修復に関与することが報告されている。申請者はもうひとつの異常タンパク質処理メカニズムとしてユビキチン-プロテアソーム系に注目した。つまり、物性が正常にとれないタンパク質をユビキチン化し分解するユビキチンリガーゼの存在を明らかにすることを目的として研究を遂行した。申請者は実際に、タンパク質の品質管理に関する酵素として新たなユビキチンリガーゼ(U-ボックスタンパク質群)を同定し、疾患との関係を解析している。その基質タンパク質や調節タンパク質を同定するために...
    文部科学省, 特定領域研究(B), 特定領域研究, 九州大学->北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 12146204
  • 細胞増殖抑制分子p27の分解機構の研究
    科学研究費補助金(特定領域研究(C), 特定領域研究)
    2000年 - 2004年
    中山 敬一, 畠山 鎮次, 北川 雅敏
    休止状態(G0期)から細胞周期(G1期)への再進入(G0-G1移行と呼ぶ)は細胞周期のブレーキ分子p27によって妨げられており、これは増殖時にp27が分解されることによって解除される。p27の分解はユビキチン・プロテアソーム系によって行われていることがわかっており、その酵素の主体はユビキチンリガーゼ(E3)であるSCF/Skp2であると信じられてきた。しかしながらわれわれの研究結果は、G0-G1移行期にp27の分解がSCF/Skp2で行われているという広く受け入れられている仮説に対して、いくつかの矛盾を生じている。まずSkp2の発現がp27の分解よりもはるかに遅いこと(時間的矛盾)、Skp2が常時核内に存在するのに対し、p27は核から排出後に細胞質で破壊されること(空間的矛盾)、さらにSkp2ノックアウトマウスにおいてもp27のG0-G1移行期における分解は正常に起こること(遺伝学的矛盾)があり、G0-G1移行期におけるp27の分解はSkp2以外の系によって担われていることが明らかになった。われわれはG0-G1移行期におけるp27の分解を引き起こすユビキチン化酵素本体の解明を目指してユビキチン化活性を指標に酵素の生化学的精製を行い、新規ユビキチン化酵素KPCを発見した。KPCはKPC1とKPC2からなる複合体であり、予想通り、細胞質に局在し、過剰発現ではp27の分解が促進する...
    文部科学省, 特定領域研究(C), 特定領域研究, 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 12213097
  • 異常タンパク質蓄積による神経変性疾患発症の分子機構の解明
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2003年 - 2003年
    嘉村 巧, 谷内 一郎, 畠山 鎮次
    ポリグルタミン病と呼ばれる神経変性疾患群は、原因遺伝子上でトリプレット・リピートが異常に伸長することによってタンパク質内に異常ポリグルタミン領域を生じ、この異常タンパク質が神経細胞内封入体に蓄積し、最終的に変性、脱落することによって発症することが知られている。これら封入体成分は高度にユビキチン化されていることより、ユビキチン・プロテアソーム系によるタンパク質分解が、ポリグルタミン病の病態へ関与していることが示唆されている。我々はポリグルタミン病の病因解明の手がかりとしてMachado-Joseph病の原因遺伝子産物MJD1に対するE3ユビキチンリガーゼを生化学的手法で精製しているが、その過程でMJD1と結合するタンパク質VCPと、VCPに結合してMJD1のユビキチン化鎖の伸長を誘導する酵素UFD2を発見した。そこで本研究では、VCP-UFD2複合体の神経細胞における異常MJD1の分解についての検討を行うと同時に、異常MJD1を発現させたモデル動物に対してVCPとUFD2を過剰発現させ、病理学的・神経学的な変化を解析する。すでにUFD2を過剰発現することによりMJDの分解を促進できることを確認している。そして現在MJDトランスジェニックマウスおよびUFD2ノックアウトマウスおよびタランスジェニックマウスの作製をすすめているところである。個体レベルにおいてもUFD2を神経細胞内に...
    文部科学省, 特定領域研究, 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 15016083
  • 組織特異的Runx不活性化による発がんモデルマウスの作製と発がんの分子機構の解明
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2003年 - 2003年
    谷内 一郎, 畠山 鎮次, 嘉村 巧
    Runxファミリーの発がんにおける役割をマウス個体内で検討する目的に、Runx遺伝子の組織特異的不活性化マウスの作製を行っている。本年度は既に作製したRunx1コンヂィショナルノックアウトマウスを血液幹細胞でCreを発現するFes-Creマウスと交配した。その結果、末梢血球系細胞では一部の細胞でのみRunx1の不活性化が見られ、全ての幹細胞でRunx1の不活性化が起きていない事が考えられた。また、数カ月の観察では、著名ながん化は見られず、長期観察が必要と考えられた。次に、その変異が固形がん、特に胃がんの発生に関与すると考えられているRunx3遺伝子に関して、Runx3を組織特異的に不活性化する事の出来るRunx3コンヂィショナルノックアウトマウスを作製した。Runx3の場合、ES細胞に変異を導入した際に使用したneo遺伝子を除去したESクローンからは生殖系列を介し変異が伝わらなかったので、生殖系列でCreを発現するトランスジェニックマウスを用いneo遺伝子カセットマウス交配により除去する方法で、Runx3コンヂィショナルノックアウトマウスを作製した。次に、Runxファミリーの共通のβユニットであるCbfβをコードするCbfb遺伝子に関してもコンヂィショナルノックアウトマウスの作製を行った。現在、ES細胞のクローニングは終了し、ES細胞のインジェクションを行っている所である。ま...
    文部科学省, 特定領域研究, 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 15023247
  • 人工ハイブリット型ユビキチン連結酵素による癌治療法の開発
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2003年 - 2003年
    嘉村 巧, 畠山 鎮次
    癌遺伝子産物の発現量を蛋白分解を促進することによって低下させるシステムを構築し、その臨床応用の可能性を検討することが本研究の目的である。そこで本研究においてはSCF型ユビキチン連結酵素の基質認識コンポーネントであるF-box蛋白と、癌遺伝子産物(ここでは代表例として活性化Ras)と結合することが知られている蛋白(Sos)とのハイブリッドF-box蛋白(F-box/Sosハイブリッド蛋白)を作成し、この人工ハイブリッド型ユビキチン連結酵素によってRasの分解に対する影響を検討している。現在までにこのF-box/Sosハイブリッドタンパク質が試験管内および細胞内で実際にSkp1やRasと結合することを確認している。また昆虫細胞で発現・精製したF-box/Sosハイブリッドタンパク質、Skp1、Cul1およびRbx1からなるE3ユビキチンリガーゼ複合体がE1、E2、およびユビキチンの存在下でRasのユビキチン化反応を再構成できることも確認している。そして活性化Rasの過剰発現によるトランスフォームに対する影響を検討しようとしているところである。転写因子などの調節蛋白質の多くはユビキチンプロテアゾーム系による蛋白分解によってその発現量が調節されているが、このユビキチン化の特徴は厳密な基質特異性が認められることである。そこで、この特異性の高いシステムを癌遺伝子産物に適応すれば、過剰蛋白...
    文部科学省, 特定領域研究, 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 15025258
  • マウスGemininの発生工学的手法を用いた機能解析
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2002年 - 2003年
    中山 啓子, 嘉村 巧, 畠山 鎮次
    Gemininは、mitosisの間にだけに分解される分子を網羅的にスクリーングすることによつて発見された分子である。G1期には全く存在しないが、S期からG2期、M期の開始にかけて蓄積し、有糸分裂の中期(metaphase)から後期(anaphase)への移行期に急速に消失する。このタンパク量の急激な変化はAPC/Cによるユビキチン化によって分解を受けるためである。また、Gemininを過剰発現するとDNA複製が抑制されることから、DNA複製のライセンシングに関与する分子であると考えられてきた。このように細胞周期の進行に強く関わっていると考えられる分子Gemininのノックアウトマウスを作製することによって、そのin vivoでの生物学的役割を検討することが本研究の目的である。Geminin遺伝子をクローニングし遺伝子構造を明らかにした後、Cdt1結合領域をコードするエクソンをネマイシン耐性遺伝子に置換するターゲティングベクターを作製し、定法に則りノックアウトマウスを作製したところ、胎生早期に致死であることが確認された。現在までの解析では、ノックアウト胚は胎生7.5日には観察されていない。このような胎生初期の死亡からも細胞の正常な分裂に必須の分子であることが予想される。一方、2004年には、Gemininは、Polycomb遺伝子との相互作用によって、Hox遺伝子を制御するこ...
    文部科学省, 特定領域研究, 九州大学->東北大学, 連携研究者, 競争的資金, 14033236
  • 人工ハイブリット型ユビキチン連結酵素による癌治療法の開発
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2002年 - 2002年
    嘉村 巧, 畠山 鎮次
    癌遺伝子産物の発現量を蛋白分解を促進することによって低下させるシステムを構築し、その臨床応用の可能性を検討することが本研究の目的である。そこで本研究においてはSCF型ユビキチン連結酵素の基質認識コンポーネントであるF-box蛋白と、癌遺伝子産物(ここでは代表例として活性化Ras)と結合することが知られている蛋白(Sos)とのハイブリッドF-box蛋白(F-box/Sosハイブリッド蛋白)を作成し、この人工ハイブリッド型ユビキチン連結酵素によってRasの分解に対する影響を検討している。現在までにこのF-box/Sosハイブリッドタンパク質が試験管内および細胞内で実際にSkp1やRasと結合することを確認している。また昆虫細胞で発現・精製したF-box/Sosハイブリッドタンパク質、Skp1、Cu11およびRbx1からなるE3ユビキチンリガーゼ複合体がE1、E2、およびユビキチンの存在下でRasのユビキチン化反応を再構成できることも確認している。そして活性化Rasの過剰発現によるトランスフォームに対する影響を検討しているところである。転写因子などの調節蛋白質の多くはユビキチンプロテアゾーム系による蛋白分解によってその発現量が調節されているが、このユビキチン化の特徴は厳密な基質特異性が認められることである。そこで、この特異性の高いシステムを癌遺伝子産物に適応すれば、過剰蛋白のみを除...
    文部科学省, 特定領域研究, 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 14030066
  • プロテアソームへのユビキチン化基質のターゲッテング機構の解析
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2002年 - 2002年
    嘉村 巧, 中山 敬一, 中山 啓子, 畠山 鎮次
    ユビキチン・プロテアソーム系を介したタンパク質分解は細胞周期・シグナル伝達・脳変性疾患等に中心的な役割を果たしている。タンパク質へのユビキチン化反応には、E1,E2,E3の酵素群が関与し、この分野に関する研究は急速に進んでいるが、その後のステップであるポリユビキチン化タンパク質のプロテアソームへのターゲッテング機構に関してはほとんど明らかになっていない。最近、我々は生化学的手法を用いて、p140 (C末側にRINGフィンガー配列を持つ)とp50 (N末側にUBL配列、C末側に2つのUBA配列を持つ)の2量体からなる複合体を、CDKインヒビターp27Kip1に対する新たなE3として細胞抽出液より分離・精製した。近年UBLおよびUBA配列をもつタンパク質の機能解析が盛んに行われているが、我々が同定したp50に関する報告はいまだなされていない。そこで本研究ではp50のユビキチン・プロテアソーム系に対する影響を生化学的、細胞生物学的方法を用いて解析することを目的とする。現在までに、試験管内および細胞内でp50がプロテアソームおよびユビキチンと結合することを確認している。また試験管内でのp27のユビキチン化反応に対してp50が抑制的に作用することも確認している。そしてp27の分解に対する影響をp50の過剰発現あるいはp50に対するRNA干渉法をもちいて検討中である。さらにはp50のノッ...
    文部科学省, 特定領域研究, 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 14037254
  • 異常蛋白質の特異的分解機構を応用した神経変性疾患に対する遺伝子治療法の開発
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2001年 - 2002年
    畠山 鎮次, 山下 順範, 中山 啓子, 中山 敬一, 山下 順範囲
    細胞内タンパク質分解は、細胞周期や転写調節やシグナル伝達などの生物学上重要な現象の調節に関与している。ユビキチン介在性蛋白分解は、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)、ユビキチンリガーゼ(E3)の酵素カスケードによりユビキチンの基質へのイソペプチド結合と、その後のプロテアソームによる分解によって構成される。E3に基質特異性が担われていると想像され、現在まで、HECT型E3とリングフィンガー型E3の2種類のE3群が発見されている。最初、U-ボックスタンパク質は4つ以上のポリユビキチン鎖を基質に伸長させるE4 (Ufd2)として、出芽酵母の人工基質の分解システムの解析から同定された。Ufd2のC末端に存在する約70アミノ酸配列(U-ボックスドメイン)を有するタンパク質は、酵母からヒトに至るまで、各々の生物種に複数存在することが判明し、我々はヒト及びマウスからU-ボックスドメインを含むタンパク質のcDNAをクローニングし、そのE3活性を証明した(U-ボックス型E3)。ほとんどのU-ボックスタンパク質は分子シャペロンとの関係が認められ、U-ボックス型E3はシャペロン依存型E3である可能性が高い。異常蛋白の蓄積は対応するために、正確な蛋白フォールディングを起こすためには分子シャペロンが、一方、異常タンパク質を分解する場合はU-ボックス型E3が関与している可能性を示し...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学, 研究代表者, 競争的資金, 13557057
  • ポリグルタミン病における異常タンパク質の新規クリアランスシステムの研究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2001年 - 2002年
    中山 敬一, 中山 啓子, 畠山 鎮次
    多くの神経変性疾患においては封入体タンパク質の分解機構に破綻がある可能性があることが示唆されている。本研究ではMJD1の分解機構が分子レベルで理解し、それを制御するような遺伝子治療法や低分子化合物の探索することによって、全く新しい作用機序に基づく治療法の閉発を期待したものである。またヒトの疾患に類似したモデル動物を作出できることが予想され、根本的治療法の確立に寄与することも目指し、本研究を行っている。異常MJD1タンパク質のクリアランス機構に関与する二つのタンパク質VCPとUFD2がどのようにMJD1をユビキチン・プロテアソーム系によって分解へ導くかという分子メカニズムを明らかにすると同時に、モデルマウスの作製を今年度は行った。VCPやUFD2はMJD1の分解に関与する分子であるので、細胞内におけるMJD1の過剰蓄積が予想される。そこでこれらノックアウトマウスを観察した。小脳性失調等の神経学的異常の発症を中心に長期観察を行うと共に、発生期から成体までの全身病理検索を行う。さらにノックアウトマウスから初代培養細胞を作製し、その細胞を用いてMJD1のユビキチン化と分解が実際に阻害されているかどうかを検討した。また、それらの細胞に凝集体形成を起こすような変異MJD1を発現したトランスジェニックマウスを作製し、小脳性失調等の神経学的異常の観察を行うと同時に、UFD2ノックアウトマウス...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 13480258
  • 細胞内蛋白の特異的分解制御による癌治療法の確立 -人工受容体を有するユビキチンリガーゼの作製と応用-
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2001年 - 2002年
    中山 敬一, 山下 順範, 中山 啓子, 畠山 鎮次
    この研究課題では、ユビキチンリガーゼを人工的に改変することによって、新しい基質特異性を有するユビキチンリガーゼを創出し、生体にとって有害な分子を除去するシステムを構築することを目的としている。本研究では特にモデルとして癌遺伝子産物のMycを対象にしている。Mycには特異的に結合する分子Maxがあるので、このMaxとユビキチンリガーゼとのキメラ分子を作製し、Mycがこのキメラ分子によってユビキチン化を受け、プロテアソームによって分解される系を構築することを目指した。われわれはまずHECT型ユビキチンリガーゼであるNedd4、F-boxタンパク質β-TrCP1、Uボックス型ユビキチンリガーゼであるCHIPを用いて、Max/Nedd4、Max/β-TrCP1、Max/CHIPの3種類のキメラタンパクを作製し、その効果を検討した。これらのキメラタンパクは、in vitroでMycとの結合を確認した後、哺乳動物細胞への発現ベクターを用いて、過剰発現細胞を作製し、そのような細胞におけるMycの存在量や半減期を測定し、キメラタンパクの効果判定を行った。その結果、Max/CHIPが最も効率的にMycの生物学的効果を抑制できることがわかった。また、プラークアッセイやコロニーアッセイを使用し、Max/CHIPキメラ型ユビキチンリガーゼが存在した場合にMycが過剰発現させても、細胞の癌化能の低下が...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 13557019
  • 神経変性疾患における細胞内封入体のユビキチン介在性分解系の解析と臨床応用
    科学研究費補助金(特定領域研究(C))
    2001年 - 2001年
    畠山 鎮次
    文部科学省, 特定領域研究(C), 九州大学, 研究代表者, 競争的資金, 13210110
  • ユビキチン化酵素複合体の同定及び細胞生物学的解析
    科学研究費補助金(奨励研究(A))
    2000年 - 2001年
    畠山 鎮次
    現在まで蛋白分解機構が報告されているが、特に、酵母におけるユビキチン依存性プロテアソーム介在性蛋白分解に関する研究により、Skp1、Cu1-1、F-box蛋白複合体(SCF複合体)と言われるユビキチン化を実行する酵素複合体は、細胞周期をはじめ、さまざまな細胞機能に関与する分子の発現調節(分解調節)を行っていることが明らかになったSCFとはSkpl、Cul1、F-ボックス蛋白(基質認識受容体)からなるユビキチンリガーゼ(E3)複合体である。我々は、酵母におけるアナロジーを利用して、マウスにおけるSkp1、Cul-1及び複数のFボックス蛋白を同定した。特に、我々がFWD1/β-TrCP(1つのF boxと7つのWD40リピートを有する)として同定したF-box蛋白は、免疫学上重要であるNF-KκBの抑制分子であるIκBαと、細胞接着もしくは癌の分野で注目されるβ-cateninのユピキチン化、及び分解に関与していることを明らかにした。またSkp2というFボックス蛋白を同定し、Skp2の標的分子として、サイタリンEとp27を生化学的及び遺伝学的手法により見い出した。さらに、実際にサイクリンEとp27のユピキチンリガーゼであるかを確証するために、Skp2ノックアウトマウスを作製し、Skp2ノックアウトマウスは野生型マウスと比較して、体重が少なく、全体的に成長が遅い以外、肉眼レベルでは...
    文部科学省, 奨励研究(A), 九州大学, 研究代表者, 競争的資金, 12770074
  • ノックアウトマウスを用いたユビキチンリガーゼの機能解析
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2000年 - 2001年
    中山 啓子, 小南 欽一郎, 畠山 鎮次, 中山 敬一, 北川 雅俊
    1)私達は、これまでにIKBやβ-Cateninの分解において、FWD1というF-box蛋白がCul-1、Skp1、Rbx1とともにSCF複合体を構成しユビキチンを付加するユビキチンリガーゼとして働くことを示してきた。本研究ではこれらSCF複合体の構成成分であるCul-1、Skp1や他のF-box蛋白であるSkp2のノックアウトマウスを作製し、ユビキチン-プロテアゾーム系蛋白分解機構の中で一つの大きなグループを構成しているSCF複合体による蛋白分解機構の生物学的意義を知ることを目的とした。2)Skp2ノックアウトマウスは、サイクリンEとP27のユビキチンリガーゼであるSkp2を欠失するマウスであり、サイクリンEとp27の過剰蓄積が観察された。それにともない染色体の倍数性異常、核の増大、中心体の過剰複製が認められた。3)このマウスをさらにp27ノックアウトマウスと交配しSKp2/p27ダブルノックアウトマウスを作製した。このマウスはp27遺伝子が破壊されているためにp27の蓄積はなく、サイクリンEのみが過剰蓄積したマウスとなる。このマウスではSkp2単独ノックアウトマウスでみられた、染色体倍数性の異常や中心体の過剰複製はみられず、むしろ正常に戻っており、有意な発癌率の上昇も認められなかった。4)Cul-1ノックアウトマウス及びSkp1ノックアウトマウスはいずれも胎生初期に発生を...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 12480211
  • 神経変性疾患における封入体物質のユビキチン化に関わる因子の単離同定と解析
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    1999年 - 2000年
    中山 敬一, 畠山 鎮次, 北川 雅敏, 中山 啓子, 小南 欽一郎
    神経変性疾患における封入体を構成している物質は、ほとんどがユビキチン化されていることが知られている。そこで私達はその物質のユビキチン化機構の詳細を調べるために、それらの物質に特異的にユビキチン化を起こす酵素の精製及び遺伝子の単離同定を試みた。まず培養細胞内で封入体形成を引き起こすことのできるポリグルタミン病をモデルシステムとして選び、ポリグルタミン病の中で我が国の研究者によって原因遺伝子が発見されたMJD1蛋白質を中心に解析を進めた。MJD1を培養細胞内に発現させると強力にユビキチン化されることが明らかとなった。私達はその反応を組換えMJD1蛋白質をウサギ網状赤血球抽出液を適当な条件下で混合することによって、試験管内無細胞系で再現することに成功した。そこでこの無細胞系を用いて、ウサギ網状赤血球抽出液に含まれると推定されるユビキチン化酵素を精製することを試みた。数段階の精製後、ゲル濾過カラムを用いて分子量の推定を行ったところ、このユビキチン化活性は>1,000kDaの分画に回収された。この分画をMJD1アフィニティーカラムに通すと、分子量90〜100kDaの蛋白質が特異的にMJD1に結合することが明らかとなった。さらに精製を進めてマイクロシークエンシングによってその部分アミノ酸配列を決定し、遺伝子をクローニングすることに成功した。現在この遺伝子産物の生物学的重要性並びに神経変性...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 11480232
  • 細胞周期調節分子の分解制御に関する研究-マウスSCF複合体の遺伝子クローニングと解析-
    科学研究費補助金(特定領域研究(A))
    1999年 - 1999年
    畠山 鎮次, 中山 啓子, 北川 雅敏, 中山 敬一
    細胞内に存在する分子の分解制御は、多方面にわたる医学生物学領域の蛋白分子の機能に重要な働きを果たしている。今まで、いくつかの蛋白分解機構が報告されているが、特に、酵母におけるユビキチン依存性プロテアソーム介在性蛋白分解に関する研究により、Skp1、Cul-1、F-box蛋白複合体(SCF複合体)と言われるユビキチン化を実行する酵素複合体は、細胞周期をはじめ、さまざまな細胞機能に関与する分子の発現調節(分解調節)を行っていることが明らかになった。この構成成分のなかで、F-box蛋白が基質分子をユビキチン化させるための基質特異性を担っていることが推定されている。我々は、酵母におけるアナロジーを利用して、マウスにおけるSkp1、Cul-1及び複数のF-box蛋白を同定した。特に、我々がFWD1/β-TrCP(1つのF boxと7つのWD40リピートを有する)として同定したF-box蛋白は、免疫学上重要であるNF-κBの抑制分子であるIκBαと、細胞接着もしくは癌の分野で注目されるβ-cateninのユビキチン化、及び分解に関与していることが判明した。IκBαとβ-cateninの発現量にかかわるアミノ酸配列に存在するセリン/スレオニンをリン酸化する上流のシグナル及びキナーゼは異なるが、そのモチーフ自体は非常に似ており、リン酸化が起こった場合、FWD1/β-TrCPは、IκBαとβ-...
    文部科学省, 特定領域研究(A), 九州大学, 研究代表者, 競争的資金, 11144230
  • 細胞周期制御因子の分解機構の解明とノックアウトマウスを用いた発がん研究
    科学研究費補助金(特定領域研究(A))
    1999年 - 1999年
    中山 啓子, 小南 欽一郎, 畠山 鎮次, 北川 雅敏
    細胞周期進行に不可欠であると考えられているサイクリンEの分解機構の解明をめざし、サイクリンEのユビキチンリガーゼの同定を試みた。酵母ですでに知られている、ユビキチンリガーゼのマウス相同遺伝子を単離し、サイクリンEへの結合及び蛋白の安定性への効果を調べ、サイクリンEのユビキチンリガーゼである複合体を同定することができた。その複合体を構成するSkp2、Skp1、Cul1のノックアウトマウスを作製し、その表現型を解析することによって、生物学的機能を知るとともに、サイクリンEの分解が発がんに果たす役割を検討した。1.サイクリンEはSCF複合体をE3とするユビキチン/プロテアゾーム系によって分解された。2.SCF複合体を構成するF-boxタンパクはSkp2であった。3.Skp2ノックアウトマウスは発生段階では体重が少ないこと以外に肉眼的な以上は認めないが、肝細胞や気管上皮細胞などで細胞および核の腫大が認められ、肝細胞では染色体倍数性が異常となり、4倍体、8倍体の核が多数観察された。4.Skp2ノックアウトマウスの胎仔線維芽細胞は増殖が遅く、正常に比しアポトーシスが多く見られた。5.Skp2ノックアウトマウスでは生後1年までで明らかな発がん傾向を認めていない。6.Skp1及びCul1ノックアウトマウスはいずれも胎生6.5〜7.5日目に死亡する早期の胎生致死であった。7.Skp1及びCul...
    文部科学省, 特定領域研究(A), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 11139250
  • Yeast three-hybrid法によるp53分解に関与する分子の研究
    科学研究費補助金(奨励研究(A))
    1998年 - 1999年
    畠山 鎮次
    p53はE6とユビキチンリガーゼE6-APにより3量体を形成し、E6-APによってエビキチン化され、その後、プロテアソームにより分解を受ける。これは、HPV感染化での病理学的状況下であるが、生理学的にもp53はユビキチン化を介して、比較的短い半減期(t1/2=20分)で分解を受ける。よって、E6に相当する内因性分子が存在し、p53分解を調節している可能性がある。本研究は、E6に相当する内因性分子が存在すると仮定し、p53とE6-APと3分子複合体を形成する新たなる遺伝子をクローニングすることを目的とし、3分子が複合体を形成するときに、目的とする第3の遺伝子をクローニングする方法(Yeast three-hybrid法)を開発を行った。Yeast three-hybrid法は、p53の生理的分解機序のみならず、細胞生物学上において重要となる分子間結合を検索する画期的な手段となることが期待される。また、p53を始め、細胞周期を調節する分子(サイクリン、CDKインヒビターなど)の発現が合成のみならず、分解(特にユビキチン化)により制御されていることが報告され始めている。特に、酵母における先駆的研究により、Skp1/Cul-1/F-box蛋白複合体(SCF複合体)は、細胞周期をはじめ、さまざまな細胞機能に関与する分子の発現調節を行っていることが報告されている。我々は、酵母におけるアナ...
    文部科学省, 奨励研究(A), 九州大学, 研究代表者, 競争的資金, 10780423
  • 哺乳動物のS期形成促進因子の同定と発生工学的手法を用いた機能解析
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    1998年 - 1999年
    北川 雅敏, 中山 敬一, 畠山 鎮次, 中山 啓子
    細胞増殖および細胞周期進行に関与する因子の分解機構の解明をめざし、特にG1からS期の進行に関与するユビキチンリガーゼ複合体の解析を試みた。今回は特に、大腸癌の発生およびその細胞増殖に関与するβ-カテニンのユビキチンリガーゼの同定とそれによるβ-カテニンの分解機構の解析を行い次の結果を得た。1.酵母ですでに知られているSCFユビキチンリガーゼの構成因子Skp1、Cul1のマウス相同遺伝子を単離した。2.ショウジョウバエの研究からSlimb変異がβ-カテニンの蓄積を伴うことから、そのマウス相同遺伝子を単離しFWD1と命名した。3.細胞内でFWD1はそのC末端側のWD40領域でリン酸化型β-カテニンと特異的に結合し、さらに、GSK3、Axin、APCを加えた複合体を形成していることを見い出した。4.FWD1のN端側のF-boxではSkp1、Cul1とユビキチンリガーゼ複合体SCF^を形成し、β-カテニンのユビキチン化を実行することが判明した。APCの変異のある大腸癌ではβ-カテニンのリン酸化が低下することにより、SCF^が形成できずにβ-カテニンの蓄積が引き起こされると考えられる。5.一方でFWD1はGSDXXSのふたつのSerがリン酸化された場合それを認識するが、同様の配列をもつIκBαもIKKのリン酸化を受けると、このSCF^複合体が形成され...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 10480201
  • 癌治療を目指したCDK阻害蛋白質p27Kip1の分解抑制の研究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    1998年 - 1999年
    北川 雅敏, 平井 愛山, 中山 敬一, 畠山 鎮次, 中山 啓子
    癌細胞の無限増殖能は細胞周期制御機構の破綻によるところが大きく、細胞周期のG1期からS期への進行を制御しているG1サイクリン依存性キナーゼ(G1-CDK)の異常な活性化がその原因のひとつである。G1-CDKの活性はその阻害タンパク質(CKI)によって制御されている。今回我々はCKIのひとつであるp27^の存在量を肺癌組織において検討した。非小細胞癌を調べた結果、adenocarcinomaおよびsquamus cell carcinomaのいずれも、正常肺組織に比べてp27^の存在量が低いことがわかった。さらにそれらの組織抽出液ではp27^の分解活性が優位に高いことを見い出した。他のグループからの結果を総合すると、ヒトの大腸癌、胃癌、乳癌や肺癌の悪性度とCKIであるp27^の分解活性が正の相関を示すと考えられる。そこで我々はp27^の分解メカニズムを解明することを目的に、分子生物学的、生化学的手法を用いて解析した。その結果、p27^の分解はユビキチンープロテアソーム系と限定分解というふたつの経路で実行されることを突き止めた。p27^のユビキチン化はSCF^というSCFユビキチンリガーゼが実行し、ユビキチン化されたp27^はプロテアソームによって分解される。一方でp27^...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 10558105
  • 細胞周期調節分子の分解制御に関する研究 - Yeast three-hybrid法の確立と応用 -
    科学研究費補助金(特定領域研究(A))
    1998年 - 1998年
    畠山 鎮次, 中山 啓子, 北川 雅敏, 中山 敬一
    細胞周期を調節するサイクリンとサイクリン依存性キナーゼ(CDK)に直接結合し、機能抑制するCDK阻害分子(CDK inhibitors;CKI)であるP27はユビキチン化を受けることにより、その発現レベルが調節されている。本研究は、p27のユビキチン化に関与するE3が存在すると仮定し、p27とUBC3と3分子複合体を形成する新たなる遺伝子を同定することを目的とした。さらに、本研究では、3分子が複合体を形成するときに、目的とする第3の遺伝子をクローニングする方法であるYeast three-hybrid法を開発した。また、p53、p27を始め、細胞周期を調節する分子(サイクリン、CKIなど)の発現が合成のみならず、分解(特にユビキチン化)により制御されていることが報告され始めている。特に、酵母における先駆的研究により、Skp1/CUl-1/E-box蛋白複合体(SCF複合体)は、CKIを含む細胞周期調節分子をはじめ、さまざまな細胞機能に関与する分子の発現調節を行っていることが報告されている。我々は、酵母におけるアナロジーを利用して、マウスにおけるSkp1、Cul-1及び複数のF-box蛋白を同定した。我々がFWD1として同定したF-box蛋白は、免疫学上重要であるNF-κBの抑制分子であるIκBαと、大腸癌に関与するβ-cateninのユビキチン化、及び分解に関与していることが...
    文部科学省, 特定領域研究(A), 九州大学, 研究代表者, 競争的資金, 10163230
  • サイクリン依存性キナーゼ阻害分子の分解機構の解明
    科学研究費補助金(特定領域研究(A))
    1998年 - 1998年
    中山 啓子, 畠山 鎮次, 北川 雅敏, 中山 敬一
    p27などCDKインヒビターと呼ばれる分子群は、CDK/Cyclin複合体に結合し酵素活性を阻害することから細胞周期調節に直接関わる重要な因子と考えられる。p27の蛋白量は蛋白分解に規定されていることが既に報告されていたがその分子機構はは不明であった。そこでその分解のメカニズムの解明を試み以下の点が明らかとなった。1. 培養細胞(NIH3T3)を用い接触阻害によって細胞周期を同調させ、細胞周期によるp27の変動を観察した。p27は細胞周期依存性にG1-S移行期にもっとも強くユビキチン化された。2. ユビキチン付加部位を特定するためp27の変異体を作製しユビキチン化を調べたところ,アミノ酸残基134番、153番、165番目のリジンをアルギニンに置換したところユビキチン化が抑制された。3. p27をウェスタンブロットで観察すると、p27のユビキチン化と同時に22kDaの蛋白も同時に認識された。これはp27がユビキチン化以外にプロセシングを受けていることを示唆する。この反応はATP依存的であり、lactacystin、chymostatin、PMSFで抑制されたが、antipain、pepstatin、leupeptin、E64では影響を受けない。このプロセシング反応はプロテアゾームに関与しているchymotrypsin様プロテアーゼによるものと考えられた。4. プロセシングされた...
    文部科学省, 特定領域研究(A), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 10152246
  • PKCδノックアウトマウス作成による細胞死(アポトーシス)シグナル伝達系の研究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    1997年 - 1998年
    中山 敬一, 真貝 洋一, 大野 茂男, 畠山 鎮次, 中山 啓子, 北川 雅敏
    プロテインキナーゼC(PKC)ファミリーの1つであるPKCδがアポトーシスの際にカスペースによって切断され、活性型に変換されることが知られているが、本研究ではPKCδの遺伝子を人工的に破壊したマウス(PKCδノックアウトマウス;以下PKCδ-/-マウス)を作成することによりPKCδがどのようにアポトーシスの誘導に関わっているかを明らかにすることがその目的である。まずターゲティングベクターを構築し、Embryonic Stem(ES)細胞に電気的に導入して相同組換えを起こしたクローンを得た。このES細胞を用いて定法に従いPKCδ-/-マウスを作成した。PKCδ-/-マウスは正常に発生し、長期観察の結果、成長過程や寿命にも現在までのところ明らかな異常を認めない。発癌等の疾病も特に観察されなかった。病理解剖の結果、脾臓の腫大が有意に観察された。フローサイトメトリーによる解析の結果、特にリンパ球の増加(T細胞 ・ B細胞)が顕著であることが判明した。リンパ節においてはB細胞の増加が著しく、個体によってはB細胞の方がT細胞よりも多い場合もしばしば観察された。体外培養系における増殖実験ではT細胞は特にPKCδ+/+とPKCδ-/-マウスの間で有意な差を認めなかったが、B細胞ではPKCδ-/-マウスの方が増殖が速い結果を得た。PKCδ-/-マウスにおけるアポトーシスに関しては、特に発生にお...
    文部科学省, 基盤研究(B), 九州大学, 連携研究者, 競争的資金, 09480189

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