大利 徹 (ダイリ トオル)

工学研究院 応用化学部門 生物工学分野教授
Last Updated :2025/06/07

■研究者基本情報

学位

  • 博士(農学), 東京大学

Researchmap個人ページ

研究者番号

  • 70264679

研究キーワード

  • 生合成
  • 天然物
  • Natural product biosynthesis

研究分野

  • ライフサイエンス, 応用微生物学
  • ライフサイエンス, 生物有機化学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2010年04月 - 現在
    北海道大学大学院工学研究院, Faculty of Engineering
  • 1994年04月 - 2010年03月
    富山県立大学生物工学研究センター
  • 1994年04月 - 2010年03月
    - Biotechnology Research Center, Toyama Prefectural University
  • 1985年 - 1994年
    協和発酵工業(株)東京研究所
  • 1985年 - 1994年
    Tokyo Research Laboratories, Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd.

学歴

  • 1985年, 名古屋大学, 農学研究科, 農芸化学(発酵), 日本国
  • 1985年, 名古屋大学, Graduate School, Division of Agriculture
  • 1983年, 名古屋大学, 農学部, 農芸化学(発酵), 日本国
  • 1983年, 名古屋大学, Faculty of Agriculture

委員歴

  • 2017年 - 現在
    日本農芸化学会, 創立100周年記念事業組織委員会特別委員会 委員, 学協会
  • 2016年04月 - 現在
    バイオインダストリィー協会, B&I 編集幹事, 学協会
  • 2020年04月 - 2024年03月
    日本放線菌学会, 学会長, 学協会
  • 2019年05月 - 2021年04月
    日本生物工学会, 理事, 学協会
  • 2019年02月 - 2021年02月
    日本農芸化学会, 広報委員長, 学協会
  • 2017年 - 2018年
    日本放線菌学会, 副会長, 学協会
  • 2015年 - 2018年
    日本農芸化学会, 理事, 学協会

学内役職歴

  • 教育研究評議会評議員, 2020年4月1日 - 2022年3月31日
  • 大学院総合化学院長, 2020年4月1日 - 2022年3月31日

■研究活動情報

受賞

  • 2023年03月, 公益社団法人 日本農芸化学会, 日本農芸化学会賞               
    微生物天然化合物の構造・機能多様性を創出する新規生合成酵素・機構に関する研究
  • 2022年03月, 日本農芸化学会, トピックス賞               
    微細藻類由来DHA合成酵素の炭素鎖伸長反応の解析
    仲間 陸;小林 飛悠;大塚 慎;佐藤 康治;小笠原 泰志;大利 徹
  • 2021年03月, 日本農芸化学会, トピックス賞               
    ポリグルタミン酸生合成におけるエピメリ化酵素の同定
    加藤 陽菜多、小笠原 泰志、大利 徹
  • 2019年03月, 日本農芸化学会, トピックス賞               
    in vitro解析による多価不飽和脂肪酸生合成酵素の炭素鎖長制御機構の解明
    林 祥平;小笠原 泰志;佐藤 康治;丸山 千登勢;濱野 吉十;氏原 哲朗;大利 徹
  • 2017年03月, 日本農芸化学会, トピックス賞               
    An unprecedented glutamate epimerase for bacterial peptidoglycan biosynthesis
    Ruoyin FENG;Yasuharu Satoh;Yasushi Ogasawara;Tohru Yoshimura;Tohru Dairi
  • 2015年06月, 日本生物工学会, 第23回生物工学論文賞               
    New gene responsible for para-aminobenzoate biosynthesis
    Y. Satoh;M. Kuratsu;D. Kobayashi;T. Dairi
  • 2012年, 酵素応用シンポジウム運営委員会, 酵素応用シンポジウム奨励賞               
    大利 徹
  • 2011年, 長瀬財団, Nagase Foundation Award               
    大利 徹
  • 2010年, 日本放線菌学会, 日本放線菌学会 学会賞               
    大利 徹
  • 2004年, 住木・梅澤記念賞               
    日本国
  • 2004年, Sumiki & Umezawa Award from Japan Antibiotic Research Association               
  • 2002年, 日本農芸化学会論文賞               
    日本国
  • 2000年, 日本農芸化学会奨励賞               
    日本国
  • 2000年, Encouragement Award from Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry               
  • 1999年, とやま賞               
    日本国
  • 1999年, TOYAMA Award from Toyama Hitodukuri Foundation               
  • 1998年, 日本放線菌学会浜田賞               
    日本国
  • 1998年, Encouragement Award from The Society for Actinomycetes Japan               

論文

その他活動・業績

書籍等出版物

  • Isoprenoid Synthesis in Plants and Microorganisms               
    DAIRI Tohru, Biosynthetic genes and enzymes of isoprenoids produced by actinomycetes
    Springer, 2013年, [分担執筆]
  • Comprehensive Natural Products II Chemistry and BiologyMander, L., Lui, H.-W., Eds.volume 1, pp. 789–814.               
    Comprehensive Natural Products II Chemistry and BiologyMander, L., Lui, H.-W., Eds.volume 1, pp. 789–814.
    Elsevier: Oxford,, 2010年

担当経験のある科目_授業

  • 生合成工学               
    北海道大学
  • 遺伝子工学特論               
    富山県立大学
  • 生物工学関連法規               
    富山県立大学
  • 技術英語               
    富山県立大学
  • 生物情報学概論               
    富山県立大学
  • 生物工学概論               
    富山県立大学
  • 生物工学実験               
    富山県立大学
  • 分子生物学演習               
    富山県立大学
  • 分子生物学               
    富山県立大学
  • 生化学               
    北海道大学

所属学協会

  • 日本生物工学会               
  • 日本放線菌学会               
  • 日本農芸化学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 天然ペプチド系化合物に構造・機能多様性をもたらす新規酵素・生合成機構の解明と応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(S)
    2022年04月27日 - 2027年03月31日
    大利 徹, 小笠原 泰志, 森田 洋行, 濱野 吉十
    日本学術振興会, 基盤研究(S), 北海道大学, 22H04976
  • 新規ペプチドエピメラーゼ類の反応基盤解明
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2018年04月01日 - 2022年03月31日
    大利 徹, 森田 洋行, 濱野 吉十
    以下の2つのペプチド新規異性化酵素について詳細な解析を行った。
    ①微生物のペプチドグリカンの生合成に関与する新規エピメラーゼ(XOO_1319);
    UDP-MurNAc-L-Ala-L-Gluの末端のL-Gluのエピメリ化を触媒する酵素(MurL)は、ATPを要求する新規エピメラーゼである。反応液中にAMPが検出されることから基質はアデニル化により活性化されると予想される。そこでヒドロキシルアミンによる中間体のトラップ実験を行った結果、ヒドロキサム酸誘導体が検出されたことから、アデニル化による活性化が確認できた。また昨年度、MurLのアポ体のX線結晶構造解析を行ったが、基質結合部位と推定される領域がオープン構造とっており、反応機構を推定するまでには至らなかった。そこで、放線菌Micromonospora属由来とSalinospora属由来のMurLについてもアポ体の結晶構造解析を行った。その結果、同様の構造が得られ、オープン構造が本酵素群の共通の構造であると判断された。そこで反応機構解明に必須である、基質類縁体との共結晶を得るためにアデニル化反応中間体ミミックの合成を行った。現在、化学合成と酵素合成を組み合わせ、少量スケールでの目的化合物の合成に成功している。


    ②リボソームにより合成されるラッソペプチド(MS-271);昨年度、MS-271のC末端のL-Trpのエピメリ化に関与する遺伝子を同定した。今年度、大腸菌異種宿主発現系を用い詳細に解析した結果、プレカーサーペプチド、エピメリ化酵素、プロテアーゼ遺伝子を発現させた結果、C末端のTrp の異性化反応が進行した。現在、in vitro実験での再現を試みている。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 18H03937
  • 生合成リデザイン・研究総括班
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2016年06月30日 - 2021年03月31日
    阿部 郁朗, 菅 裕明, 梅野 太輔, 葛山 智久, 南 篤志, 渡辺 賢二, 濱野 吉十, 江口 正, 山崎 真巳, 大利 徹, 脇本 敏幸, 池田 治生
    本領域では、生合成の「設計図を読み解く」から、「新しい設計図を書く」方向に飛躍的な展開を図る。天然物構造多様性の遺伝子・酵素・反応の視点からの精密解析に基づき、新たに生合成工学や合成生物学の世界最先端の技術基盤を確立することで、生合成システムの合理的再構築による複雑骨格機能分子の革新的創成科学を新たな学術領域として強力に推進する。生合成リデザインの達成に向けて3つのグループを計画班に設けた。総勢12名が計画研究代表者として参画する。限られた数の班員で、他分野との連携を強化する目的で、各計画研究には、結晶構造解析、進化分子工学などの異分野の研究者が、多数、連携研究者として含まれている。総括班では円滑な情報共有と連携の強化を進める。
    領域開始の4年目(2019年度)は総括班に加え、第2期公募班が研究に従事した。領域代表者のリーダーシップにより、領域の意義がより明確になるように、各班の計画的共同研究の推進と異分野の融合に配慮した。年2回の公開シンポジウムを含む研究集会を開催し、領域の方針や計画を確認した。班員の相互の密接な情報交換、解析データの共有および共同研究の推進を図る。異分野研究者のコミュニケーションの円滑化、国内外の当該研究分野との連携を図り、本研究領域を適切な方向へ進展させた。広報担当(濱野吉十、南篤志、脇本敏幸、梅野大輔)、を中心に本学術領域ホームページを運営した。逐次研究成果を公表した。また、若手育成担当(葛山智久、山崎真巳)を中心に、若手シンポジウムなどを企画し、当該分野の若手研究者が成果報告や意見交換を行い、切磋琢磨する場を設けた。さらにシンポジウムの告知や報告、研究成果を掲載したニュースレターを定期的に発行し、関係各所に送付した。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 東京大学, 16H06442
  • 高機能性生体分子の創成をめざした生合成マシナリーの基盤解明
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2016年06月30日 - 2021年03月31日
    大利 徹
    ①多価不飽和脂肪酸(PUFA)生合成酵素の精密機能解析;昨年度、海洋原核微生物由来のエイコサペンタエン酸(EPA; C20,ω3)とドコサヘキサエン酸(DHA; C22,ω3)生合成酵素内に存在するketo-synthase (KS)/chain length factor (CLF)ドメインが、生産物の炭素鎖長制御に関与することを明らかにした。両酵素のKS/CLFドメインのアミノ酸配列は高い相同性を有するが、両酵素間で互いに異なり、かつ各々の酵素群で高度に保存されているアミノ酸残基が存在する。そこで今年度は、これらが炭素鎖長制御に関与するか検討するため、DHAのアミノ酸残基を対応するEPAの残基に置換した改変酵素を20作成した。その結果、2つの改変酵素がEPAのみを生産したことから、極限られた残基が鎖長制御に関与することが明らかになった。
    昨年度、得られた知見を基に真核藻類由来のDHA生合成酵素のKSドメインに変異導入した結果、EPAをDHAと等量生合成する改変酵素を得た。今年度はCLF領域に変異導入した結果、よりEPAを多く生産する改変酵素(EPA/DHA比が1.7)を得た。
    さらに、生合成の最終反応であるACP (acyl carrier protein)からのDHA/EPAの切り離しに関与する新規なacyltransferase-likeドメインを同定した。
    ②新規アミド結合形成酵素(MurNAc-L-Ala-L-Glu synthetase);本生合成機構は、イネ白葉枯病菌が利用している。したがって、本酵素の阻害剤は特異的農薬になると考えられることから放線菌と糸状菌の培養液に候補化合物を探索した。その結果、アクチノマイシンDが本酵素を阻害することがわかった。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 16H06452
  • 生合成リデザイン・国際活動支援班
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2016年06月30日 - 2021年03月31日
    阿部 郁朗, 菅 裕明, 濱野 吉十, 南 篤志, 池田 治生, 脇本 敏幸, 渡辺 賢二, 梅野 太輔, 江口 正, 大利 徹, 葛山 智久, 山崎 真巳
    本領域は、日本のお家芸とも言える天然物化学研究を基盤に発展、展開しており、我が国が国際的にリードしている研究領域である。こうした基盤研究の質の高さに加え、天然物に対する国民一人一人の理解度や認知度が高い点が、我が国の強みであると言えるが、若手研究者の国際的なネットワーク形成や、海外研究者との共同研究の推進に対しては、積極的な支援が必要である。このような国際活動に対しては、領域全体で支援することで、各研究者が個人個人で形成した海外ネットワークが強固なものとなり有効である。また、本領域研究者間で有用な情報を共有し、利用していくことは、今後も本領域が国際的にリードしていくためには必要不可欠である。特に、若手研究者に対する支援は人的なネットワーク形成に加え、最先端技術、手法またはそのシーズの輸入という点からみても効果が高いと考えられ、領域全体としての支援姿勢を明確にしていきたい。
    4年目(2019年度)も、昨年に引き続き、これまでに行った国際セミナーや国際シンポジウムの講演者や、国際活動支援班と人的つながりのある研究者を中心として国際活動支援班で協議の上、海外の優れた研究者を招待して講演会を開催した。計画研究班の中で、数ヶ月単位の海外研究者との共同研究を必要とする研究者に対する支援を行い、海外との共同研究を戦略的に推進した。コロナウイルス感染拡大により、第2回日独天然物生合成セミナーは中止となった。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 東京大学, 16K21725
  • シュードペプチド新規形成機構の解明と応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2015年04月01日 - 2018年03月31日
    大利 徹, 濱野 吉十, 佐藤 康治, 小笠原 泰志, 森田 洋行
    当研究室で見出した、シュードトリペプチド(ケトメミシン)が持つカルボニルメチレン構造の生合成機構の解明を行った。ケトメミシン生合成遺伝子クラスターに存在する4つの遺伝子の関与が考えられたため組換え酵素を用いて検討した。その結果、アルドラーゼがマロニルCoAとフェニルピルビン酸からベンジルリンゴ酸CoAの生成を触媒し、次いで脱水酵素によりベンジルフマリルCoAへと変換され、ピリドキサールリン酸依存酵素であるグリシン-C-アセチルトランスフェラーゼが2回目の炭素-炭素結合形成を触媒し、最後に還元酵素により二重結合が還元されカルボニルメチレン構造を持つシュードジペプチドが生成することを証明した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 15H03110
  • 生合成マシナリー研究の総括
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2010年04月01日 - 2016年03月31日
    及川 英秋, 江口 正, 阿部 郁朗, 葛山 智久, 大利 徹, 池田 治生, 五味 勝也, 斉藤 和季, 金谷 重彦, 石川 淳, 齊藤 和季, 石川 淳, 阿部 郁朗, 江口 正, 五味 勝也, 池田 治生, 金谷 重彦, 大利 徹
    新学術領域領域代表者と8名の計画研究代表者(江口、大利、阿部、池田、五味、斉藤、金谷、石川)、5名の評価委員の意見を取りまとめ、新学術領域研究「生合成マシナリー」の成果報告シンポジウムを、聴衆が期待できる週末のアクセスが良い場所という観点から、東京都港区のコクヨホールに決定した。6月21日の日曜日には、100名近い企業からの出席者や一般参加者に対し、5年間の研究成果を、A01,A02,A03班の班長および指名された顕著な成果を挙げた合計7名の講演者が、判りやすく説明した。


    最終の文部科学省へ提出する成果報告書は、3班構成の各班長が、班員個人より事務局に提出された5年間の領域活動で得られた成果に関する資料をもとにデータを整理し、論文発表、学会発表、シンポジウムや講演会での依頼講演、新聞・テレビなどのメディアでの公表状況、各賞の受賞状況、さらには領域内での共同研究など各班の成果を取りまとめた後、事後評価ヒアリング、さらには一般公開用資料としてデータファイルを作成した。これをベースに冊子体も作成し、公的な研究機関や関連研究者に送付した。


    6月から10月オープンキャンパスや夏休み期間中には、領域代表が所属する北海道大学や班員が所属する研究機関で、中高生を対象にオープンラボなどの企画で、研究活動を疑似体験してもらうために、実験を撮影したビデオの上映、さらに実験室の見学を行なった。さらに11月14-15日(土・日)、東京都江東区にある日本科学未来館で開かれた大規模なサイエンスコミュニケーションのイベント、サイエンスアゴラに出展し、総括班でアウトリーチ用に作成した領域活動の広報用アニメーションやクイズ形式の説明用プレゼンファイルを利用して、来場者に研究成果を説明した。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 22108001
  • ペプチド化合物のリボソームとNRPSによる協同的新規生成機構の解明
    科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    2013年04月01日 - 2015年03月31日
    大利 徹
    放線菌が生産するペプチド系抗生物質、フェガノマイシン(PM)は、N-末のフェニルグリシン誘導体(PheGly)に長さと配列の異なるペプチド(NVKDRとNVKDGPT)が結合している2種類が知られている。その生合成研究を行った結果、2つのペプチド部分がリボソームにより、38アミノ酸からなるプレカーサーペプチドとして供給されること、さらにATP-graspモチーフを持つPGM1がPheGlyをATP依存的にリン酸化し、次いで、2つのペプチドが求核剤として働くことを明らかにした。本酵素は幅広い基質特異性を有したことから結晶構造解析も行った。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 25560397
  • 環状テルペノイドおよびヌクレオシド系抗生物質生合成マシナリーの解明と再構築
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2011年04月01日 - 2015年03月31日
    大利 徹, 加藤 修雄, 佐藤 康治, 新井 亮一
    ①糸状菌が生産するFusicoccinの12位水酸基を除去した誘導体が新規抗がん剤のリード化合物として期待されている。そこで生合成工学により、目的中間体を蓄積する菌株を育種した。②カビ由来のインドールジテルペンの生合成に関与するプレニル基転移酵素PaxC、PaxD、AtmDの機能解析を行った。③メナキノン新規生合成経路中間体であるフタロシンの生成機構の解明を行い、S-アデノシルメチオニン由来のアデノシルラジカルを直接基質に用いる新規酵素の機能解明に成功した。④非タンパク性のアミノ酸をリン酸化し、次いでペプチドのアミノ基を求核剤に用いてアミドを形成する新規ペプチドリガーゼを見出した。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 23108101
  • 微生物ゲノム情報を活用した新規葉酸生合成経路の探索とその全容解明
    科学研究費助成事業 若手研究(B)
    2012年04月01日 - 2014年03月31日
    佐藤 康治, 大利 徹, 倉都 将宏, 小林 大毅
    葉酸は全ての生物に必須の補酵素である。葉酸の部分骨格であるパラアミノ安息香酸(pABA)はシキミ酸経路中間体より生合成されることが知られている。申請者らはバクテリアゲノムの詳細な解析の結果、pABA生合成に関与する既知遺伝子が欠落したバクテリアを見出した。そのうちpABA原栄養性と考えられたLactobacillus fermentumやNitrosomonas europaeaには通常経路とは異なる新規pABA生合成経路の存在が予想された。本研究では、N. europaea由来NE1434遺伝子産物がシキミ酸経路中間体を基質せずにde novo合成することを明らかとした。
    日本学術振興会, 若手研究(B), 北海道大学, 24710239
  • ゲノムデータベースの精査による補酵素類の新規生合成経路の予測と検証
    科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    2012年 - 2012年
    大利 徹, 佐藤 康治
    ゲノムデータベースの精査により新規経路・酵素の存在を予測し、その検証を行った。具体的には、Nitrosomonas eutrophaでは4-アミノ安息香酸の合成に機能未知のNE1434が関与すること、Streptomyces coelicolorのglutamate-cysteine ligase様遺伝子SCO0910はergothioneineの生合成に関与すること、S.coelicolorでは、真核生物でタウリン生合成経路に関与する2つのオルソログSCO3035、およびSCO3416,/2782/2017を持つ。しかし組換え酵素を用いて検討した結果、これらはタウリンの生合成には関与しないと推定された。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 24651235
  • メナキノン新規生合成経路をターゲットとした抗ピロリ菌剤の開発
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2010年 - 2012年
    大利 徹
    微生物のメナキノン新規生合成経路(フタロシン(FL)経路)の詳細な解析を行った。その結果、FL経路の初発反応は3タイプあることが解った。(1)FLを生成後、デヒポキサチニルフタロシン(DHFL)へ変換、(2)アミノデオキシフタロシン(AFL、FLが持つイノシンの代わりにアデノシンを持つ化合物)を生成後、脱アミノ化し、DHFLへ変換、(3)AFL生成後、直接DHFLへ変換。また、天然物からの抗ピロリ菌リード化合物の探索も行い、2つの候補化合物を得た。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 22310139
  • 微生物が生産する環状テルペノイド生合成マシナリーの解明と再構築
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2011年 - 2011年
    大利 徹
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 23108501
  • 病原菌が持つメナキノン新規生合成経路の全容解明と経路特異的阻害剤の探索
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2008年 - 2009年
    大利 徹
    メナキノン(ビタミンK)は、微生物にとって電子伝達系成分として生育に必須である。筆者は、Helicobacter属(ピロリ菌)、Campylobacter属、Wolinella属などの病原微生物や、放線菌Streptomyces属などの微生物では、今まで知られていた経路とは全く異なるフタロシン経路で生合成されることを見出した。今年度、本経路の2番目の反応を触媒するfutalosine hydrolase(MqnB、最近EC3.2.2.26が付与された)の諸性質を高度好熱菌Thermus thermophilusの組換え酵素を用いて検討した。その結果、以下の性質を示した。(1)Futalosineのみが基質となり他の核酸類縁体は基質にならないこと、(2)4量体を形成、(3)至的pHは4.5、(4)至的温度は80度、(5)Km値154.0±5.3μM、kcat1.02/s、(6)hypoxanthineにより弱く阻害されること(Ki値1.1mM)。本酵素がhypoxanthineにより弱く阻害されたことから、hypoxanthine誘導体を合成し、本酵素特異的阻害剤を探索することにより、抗ピロリ菌剤の開発が可能になると期待された。
    また天然物からの抗ピロリ菌リード化合物の探索も行った。大学設備ではピロリ菌を培養できないため、2種類のBacillus属細菌を用いた系で一次スクリーニングを行った。同じBacillus属に属しながら、Bacillus haloduransがメナキノン生合成の際、新規経路を使うのに対し、Bacillus subtilisは既知経路を使う。そこで、(1)B.haloduransに対し抗菌作用を示すが、B.subtilisには影響を及ぼさない化合物を放線菌・カビの培養液中に探索した。次に、(2)B.haloduransに対する生育阻害が、外からメナキノンを添加した際、回復するか検討した。その結果、放線菌の培養中に1つの候補化合物を見出した。現在、本化合物の精製と構造解析を行っている。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 富山県立大学, 20018023
  • 原核生物に見出された新規ジテルペン環化酵素の機能解析と応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2007年 - 2009年
    大利 徹
    ジテルペン化合物は(炭素数20)、香料、医薬・医薬中間体、植物ホルモンなど重要な化合物を含んでいる。これら化合物の生合成の第一段階は、環化酵素が直鎖状の基質であるゲラニルゲラニル2 リン酸の末端オレフィンをプロトン化、または2 リン酸を脱離することによってカルボカチオンを生成することから始まる。最終的にカルボカチオンが捕捉中性化されるまで、各環化酵素特有のカチオン中間体を経る反応が順次進行し、多種多様なイソプレノイド骨格へと導かれる。反応の第一段階が共通であるにもかかわらず、最終的に多様な骨格を持つ化合物が生成する事実は、環化酵素の特定アミノ酸残基のみが反応に関与するのではなく、酵素全体のアミノ酸残基が種々のカルボカチオン中間体の生成に関与することを示唆する。従って、これら環化酵素の構造機能相関解析を行うことにより、任意の段階でカルボカチオンが捕捉中性化された化合物の生成を制御できる可能性がある。しかし環化酵素に関しては、真核生物を材料に用いた場合、酵素調製が難しいことなどから一部の酵素を除いて殆ど解析が行われていない。このような背景下、筆者は原核生物と真核生物起源のイソプレノイド生合成遺伝子を多数取得しており、今回、(1)お米由来の2 つのent-copalyl diphosphate 生合成酵素、(2)原核生物のNocardia 属放線菌が生産するジテルペン化合物、brasilicardin A 生合成遺伝子クラスターの取得、(3)原核生物のStreptomyces 属放線菌により生産されるテトラテルペン化合物(KS-505a)生合成遺伝子クラスターの取得とこれらの機能解析を行った。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 富山県立大学, 19510220
  • 病原菌が持つメナキノン新規生合成経路の全容解明と経路特異的阻害剤の探索
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2006年 - 2007年
    大利 徹
    メナキノン(ビタミンK)は,人間にとっては血液凝固に必要なビタミンであり,また微生物では電子伝達系成分として生育に必須である。申請者は,胃潰瘍・胃がんの原因菌として知られているHelicobacter属細菌、食中毒原因菌として知られているCampylobacter属細菌,グラム陽性の土壌細菌であるStreptomyces属細菌などの微生物では,既知の生合成経路として知られているコリスミ酸からメナキノンに至る5ステップの生合成遺伝子群が全く存在しないことに気づいた。そこで,この新規経路の全容解明を行っている。
    1.これまでにStreptomyces属放線菌を材料に用いて,バイオインフォマティクスにより絞り込んだ遺伝子を破壊することにより,7つの遺伝子群が新規経路に関与することを明らかにした(これらの成果については未発表のため,これら遺伝子群を以下men06,men26,men27,men50,men90,men92,men94と略号で記載する)。
    2.また新規経路遺伝子の網羅的取得を目指し,変異剤によるメナキノン生合成欠損株の誘導と相補遺伝子の取得も行った結果,新規経路は既知経路同様コリスミ酸を出発基質とするが,その後全く別経路を経ることも分かった。
    3.上述の破壊株を2つ組み合わせてメナキノン非存在下で混合培養を行った結果,幾つかの菌株の組み合わせで生育が認められた。本現象を利用し,破壊株が関与する生合成上の相対的な位置を(men06)→(men26,men27,men50)→(men90,men92,men94)→メナキノンのように明らかにすることができた。
    4,上述したアッセイ系を用い,破壊株が蓄積する中間体の精製・構造決定を行い,3つの化合物の構造を決定した。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 富山県立大学, 18018035
  • 新規メナキノン(ビタミンK)生合成経路に関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2005年 - 2007年
    瀬戸 治男, 須恵 雅之, 大利 徹
    我々は従来とは全く異なる新規メナキノン(MK)生合成経路が、ある種の細菌、例えばHelicobacter pyloriなどに存在することを見出した。これらの細菌には病原菌が含まれ、この経路の阻害剤は新しい作用機作を有する感染症治療薬となる可能性が高いと考えられる。過去3年度の研究により、我々は以下の成果をあげた。
    1.取込実験の準備段階として、MKの13C-NMRスペクトルの厳密な帰属に成功した。
    2.種々の位置を13Cで標識したグルコースを用いての標識実験により、MKがコリスミ酸を出発物質として、従来知られているのとは別の経路で生合成されることを示した。
    3.種々の方法でStreptomyces coelicolorのMK要求性の数種の突然変異株を調製した。
    4.標識実験の結果より推定された予想中間体である1,4-ナフトキノン-6-カルボン酸をナフタレン-2-カルボン酸のCe(SO4)2酸化により調製した。この化合物をS.coelieolorのMK要求株へ添加実験することにより、生合成中間体であることを証明した。
    4.S.coelicolorのメナキノン要求株の蓄積物を精査した結果、ヌクレオシド化合物であるフタロシンを単離・構造を決定した。この化合物はイノシンと置換安息香酸が結合した構造からなるが、既に抗腫瘍性を抗生物質として他の放線菌から分離されている。
    5.さらに他の変異株を用いる実験によりフタロシン以降の数種の生合成中間体の同定にも成功した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東京農業大学, 17380075
  • 微生物・植物テルペノイド生合成遺伝子クラスターの取得と利用による物質生産と開発
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2004年 - 2006年
    佐々 武史, 山根 久和, 星野 力, 加藤 修雄, 及川 英秋, 大利 徹
    フシコクシンの生合成に関与する環化酵素遺伝子のcDNAクローニングに成功した。その環化酵素PaFSはGDP合成酵素と一次構造及び機能が連結したキメラ酵素だった。 PaFSによるGGDPからフシコッカン骨格への環化過程を解明するとともに、類縁のコチレニンと同等の細胞分化誘導活性を有するフシコクシン誘導体の創出に成功した。PAF拮抗剤フォマクチンの骨格構築機構を化学的手法により検討した。酵母低温発現系を用いてDNAポリメラーゼα阻害剤アフィディコリン生合成遺伝子の発現を検討した。インドールジテルペノイドの共通生合成中間体(非標識体と重水素標識体)を合成し、菌体中での酸化と環化によりパキシリンとエミンドールDAに変換されることを証明した。放線菌から新たに3つのジテルペン、1つのテトラテルペン環化酵素遺伝子をクローニングした。前者の内の2つの酵素学的諸性質を組換え酵素を用いて詳細に解析した。結核菌のジテルペン合成酵素の機能解析行い、その抗マクロファージ活性を発見した。スクアレン環化酵素のカチオン/π相互作用を実証し、トリテルペンのワンポット合成も行った。試験管内合成系によるコケジテルペン環化酵素遺伝子の迅速機能解析で成果を挙げた。メタノール資化性酵母による複数の植物ホルモン生合成P450の機能解析に成功した。イネのジテルペン系ファイトアレキシン生合成に関与する環化酵素6種を全て特定した。イネの4番染色体にモミラクトン生合成遺伝子クラスターが存在していることを発見した。また、2番染色体にファイトカサン生合成遺伝子クラスターが存在する可能性を示した。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 山形大学, 16208012
  • 微生物イソプレノイド生合成遺伝子資源の機能開発と応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2004年 - 2006年
    大利 徹, 松浦 信康
    1.筆者はこれまでに、イソプレノイド化合物の共通出発原料であるイソペンテニル2リン酸の生合成経路としてMEP経路とメバロン酸経路を併せ持つ放線菌は、例外なくイソプレノイド化合物を生産し、更にそれらの生合成遺伝子群は、メバロン酸経路遺伝子群近傍に存在することを見出した。本方法論を駆使し、Streptomyces sp.KO-3988株からイソプレノイド-ポリケタイド融合化合物として初めての例となるfuraquinocin A生合成遺伝子群、および原核生物起源として初めて3-hydroxypimara-9(11),15-diene生合成遺伝子群を取得した。さらに、後者の生合成に関与する2つのジテルペン環化酵素{ent-copalyl diphosphate生合成酵素(CDPS)とpimaradiene生合成酵素(PMDS)}を組換え酵素として発現させ酵素学的諸性質を詳細に検討した。その結果、CDPSは基質であるgeranylgeranyl diphosphate(GGDP)を環化しent-copalyl diphosphateへと変換し、次いでPMDSがpimara-9(11),15-dieneへと変換することを明らかにした。また、両酵素の詳細な酵素学的諸性質を検討し以下の結果を得た。CDPS:至適温度35℃、至適pH 5.5、Km 13.7μM±1.0、Vmax 36.4±0.9、金属要求性、Mgで高活性。PMDS:至適温度30℃、至適pH 7.0、Km 2.57μM±0.2、Vmax 0.96±0.014、金属要求性、Mg、Coで高活性。
    2.放線菌Nocardia brasiliensis IFM 0406株が生産するbrasilicardin A(BC)は、ジテルペン、アミノ酸、糖、芳香環からなるユニークな天然生理活性物質である。その生合成を明らかにする第一歩として、生合成遺伝子クラスターの取得・解析を行った。IFM 0406株はメバロン酸経路を有さないため上記方法論は使えない。そこで、BCがジテルペン骨格を有することを利用し、最初にGGDP生合成遺伝子を取得した後、周辺領域を探索することにより11の遺伝子群からなるBCの推定生合成遺伝子クラスターを取得した。これらが実際にBCの生合成に関与することを証明するため、異種宿主であるS.lividansに導入した結果、2つの特異的化合物が生産された。LC-MSで解析した結果、これら化合物はBC関連化合物と推定されたことから、取得した遺伝子群はBC生合成遺伝子群と推定された。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 富山県立大学, 16310153
  • 原核生物起源のジテルペンサイクラーゼに関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2002年 - 2003年
    大利 徹
    テルペンテシン(Tp)生産菌からクローニングした2つのテルペノイドサイクラーゼ様遺伝子産物(Cyc1とCyc2)は、geranylgeranyl diphosphate (GGDP)をTpの基本骨格を有するterpentetriene (TTF)へと変換する。両酵素の詳細な反応機構をin vitroで解析した結果、(i)Cyc1はmonomerで、Cyc2はdimerで存在すること、(ii)Cyc1は、GGDPを環化し、terpentedienol diphosphate (TDP)へと変換し、次いで、TDPは、Cyc2によりTTEへと変換されること、(iii)両反応ともに、Mg^<2+>今を要求し(至適濃度1mM)、反応の至適pHは中性付近であり、至適温度は、30度前後であること、(iv)Cyc1のGGDPに対するKmは、64.2±5.7μMであり、またV/maxは、94.7±6.9U/mgであること、(v)Cyc2は、GGDPと炭素数が15のfarnesyl diphosphate (FDP)にも直接作用し、各々から、TDPやTTEとは異なる3つのオレフィン化合物の混合物を生成する反応を触媒すること、(vi)Cyc2が触媒するこれら3つの反応の速度定数を求めた結果、Cyc2のTDP、GGDP、FDPに対するKmは、それぞれ7.6±0.6μM、7.9±0.6μM、61.7±3.0μMであり、炭素数20の基質に対する親和性が高かく、また、Vmax/Km値も、本来の反応か、GGDP、FDPを用いた場合に比べ、それぞれ15倍、58倍高いことなどを明らかにした。
    また、一部の放線菌は、isopentenyl diphosphate (IPP)の生合成経路としてメバロン酸経路とMEP経路を合わせ持っている。これら放線菌におけるメバロン酸経路の存在意義を調べた結果、(i)主に二次代謝産物としてのテルペノイド化合物の生産に用いられるIPPを供給していること、(ii)メバロン酸経路遺伝子群は、テルペノイド化合物生合成遺伝子群とクラスターを成していることなどを明らかにした。
    さらに、prenyl diphosphate synthaseの反応産物の鎖長決定に重要なアミノ酸残基を同定し、FDP synthaseとGGDPしsynthaseの1アミノ酸を相互置換することにより、反応産物の鎖長が人れ換ることを明らかにした。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 富山県立大学, 14560074
  • 生理活性環状微生物テルペン類における生合成環化反応の全容解明と開発基盤研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2001年 - 2003年
    佐々 武史, 及川 英秋, 加藤 修雄, 星野 力, 豊増 知伸, 大利 徹
    1.エリナシン生産菌から、生合成炭化水素(+)-cyatha-3,12-dieneを分離し、エリナシンPからの半合成により立体構造を確定した。また、セルフリー系でGGDPからの変換を確認した。フシコクシン高生産株から、生合成炭化水素の推定中間体である(+)-δ-araneoseneを分離・同定した。また、fusicocca-3(16),10(14)-dieneを分離し、生合成経路上の新たなフシコッカンカチオン中間体の存在を推定した。2.フシコクシン生産菌から,保存性が高いGGDP合成酵素遺伝子を取得し,それより染色体歩行を行い,ジテルペン生合成遺伝子クラスターを同定した。このクラスター上に2種のジテルペン環化酵素遺伝子を見出したのでそれらについてcDNAクローニングし、機能を解析した。3.アフィディコリン生産菌から取得した環化酵素をコードするcDNAの塩基配列を利用して、PCRによる染色体歩行を行い、アフィディコリン生合成遺伝子クラスターを同定した。また種々の条件下で行った非酵素的環化および分子軌道計算に基づいて、詳細なアフィディコラン骨格の構築機構を推定した。4.ジテルペン化合物テルペンテシン生産放線菌から、テルペンテシンの生産に関与する2つのジテルペンサイクラーゼ遺伝子をクローニングした。組換え酵素を用いた解析により、1つの酵素は基質であるGGDPをterpentedienol diphosphate (TDP)へと変換し、次いでもう一つの酵素が、TDPをterpentetrieneへと変換することが分かった。5.スクアレン環化酵素の部位特異的変酵素の機能解析及び基質アナログの酵素反応実験を通して、基質の環化フォールデングは活性部位の立体的なサイズによって決定されることを明らかにした。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 山形大学, 13306009
  • 放線菌に於けるテルペノイド化合物の生合成研究
    科学研究費助成事業
    2000年 - 2001年
    大利 徹
    ジテルペン系抗生物質Terpentecin(Tp)生産菌Streptomyces griseolosporeusを用いて、放線菌に於けるテルペノイド化合物の生合成研究を行った。本菌株は、テルペノイド化合物の共通出発物質であるisopentenyl diphosphateの生合成経路と.して、従来から知られていたメバロン酸経路に加え、近年微生物や植物の色素体に於いてその存在が明らかになった非メバロン酸経路の両経路を併せ持っている。そこで、何故本菌株が2つの経路を有するのか?それらの生理学的意義は何か?を明らかにするため、本菌株から、3-hydroxy-3-methylgrutaryl CoA synthaseからmevalonate diphosphate decarboxylaseに至るメバロン酸経路の全遺伝子群、非メバロン酸経路の初発の反応を触媒する1-deoxy-D-xylulose 5-phosphate(Dxp)synthase遺伝子を2つ、2番目の反応を触媒するDxp reductoisomerase(Dxr)遣伝子、TPの直接前駆体となるgeranylgeranyl dip hosphate(GGDP)の生合成遺伝子、およびTPの生合成遺伝子群を取得した。これらの遺伝子群を用いて種々の解析を行った結果、(i)メバロン酸経路遺伝子群、GGDP生合成遺伝子、TPの生合成遺伝子群が染色体上でクラスターを成しており、これらがTP生産時に連動して発現していること、(ii)非メバロン酸経路は生育初期から後期まで定常的に発現しているが、非メバロン酸経路のみでは、TP生合成に必要な十分量のIPPを供給できず、不足分をメバロン酸経路により補っていること、(iii)2つのDxpsynthaseは、何れも菌体内で発現していること、(iv)TPの生合成遺伝子クラスター内に、原核生物起源としては始めてのジテルペンサイクラーゼ遺伝子を見出した。本酵素遺伝子は、2つの酵素Cyc1とCyc2からなり、両酵素を大腸菌で発現させ、in vitroで解析した結果、CyclがGGDPを環化した2リン酸中間体へと変換し、次いでCyc2が中間体をTPの基本骨格を有するTerpentetrieneへと変換することを明らかにした。興味深いことに、Cyc2は上記反応に加え、単独でGGDPから3つのシャントプロダクトを生成する反応も触媒すること、さらに炭素数15のfarn esyl diphosphateにも作用し、GGDPを基質に用いたときと同様に、3つのシャントプロダクトを生成する反応も触媒することが判明した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 富山県立大学, 12660083
  • トウトマイシン生合成遺伝子のクローニングと解析
    科学研究費助成事業
    1996年 - 1998年
    生方 信, 松浦 信康, 大利 徹
    Streptomyces spiroverticillatusにより生産されるトウトマイシン(TM)は、タンパク質脱リン酸化酵素(PP1及びPP2A)阻害剤である。TMは無水マレイン酸骨格と直鎖状ポリケチドが結合したユニークな構造を持つことから、TM生合成遺伝子の発現と調節を、遺伝子組換え手法を用いた生合成遺伝子群の取得と一次構造の解析により明かにすることを目的とする。まず、既知のType I PKSで高度に保存されている塩基配列を基にプライマーを合成し、TM生産菌染色体DNAとのPCRを行ったところ特異的断片が増幅された。PCR産物により特異的に認識される、TM生産菌染色体DNA由来の約1.8kbの遺伝子断片が、TM生合成遺伝子由来のものであることを証明するため、pIJ702を用いてトウトマイシン生産菌の形質転換効率の向上を目指し、2x10^4transformants/μgDNAの転換効率を得た。次に、上記遺伝子断片をチオストレプトン耐性遺伝子を組み込んだpUC19を用いてサブクローニングを行いプラスミド(pTM201)を構築した。TM生産菌プロトプラストに対して相同組換えによる形質転換を行い遺伝子破壊を試みた。得られた15株の形質転換体は、全てTM生産能を失っていたが、親株が生産するもう一つの抗生物質キサントスタチンの生産能を保持していた。サザンブロット法により、これらの閉鎖株のTM生合成遺伝子は欠失していることが明らかとなった。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 富山県立大学, 08456062
  • 新規微生物酵素の反応機構および応用に関する研究
    科学研究費助成事業
    1996年 - 1997年
    浅野 泰久, ヘイデン ブロナ, アーテミュイク ピーター, ライス デイビット・W, 米田 英伸, 加藤 康夫, 大利 徹, ライス デイビッド・W, ウォーラー デイビッド・, ブリットン K・リンダ
    (1)フェニルアラニン脱水素酵素:Bacillus sphaericus,B.badius,Sporosarcina ureae由来のフェニルアラニン脱水素酵素を大腸菌形質転換株より大量に得た。本酵素をアイルランド、ダブリン大学のエンゲル教授および英国シェフィールド大学のライス教授に送付した。グルタミン酸脱水素酵素のX線構造解析の結果のフィードバックを受けて、フェニルアラニン脱水素酵素の活性中心と目される残基周辺に部位特異的変異をかけ、キメラ酵素を作成した。
    (2)メチルアスパラギン酸アンモニアリアーゼ:細菌Enterobacter,Citrobacter,Proteus等由来の腸内細菌群のメチルアスパラギン酸アンモニアリアーゼを高度に精製し、酵素化学的特性を詳細に調べた。腸内細菌群中におけるメチルアスパラギン酸アンモニアリアーゼは、お互いに高い類似点を有しているのみならず、偏性嫌気性菌由来の同酵素とも相同性を有していた。結晶化を行うとともに、シェフィールド大学のライス教授に送付し、X線構造解析を開始した。
    (3)オピン脱水素酵素:Arthrobacter由来のオピン脱水素酵素遺伝子をクロニーングし、大腸菌形質転換株より本酵素を大量に高度に精製した。本酵素をシェフィールド大学のライス教授に送付し、X線構造解析に成功した。NADX^+存在下、非存在下において得られた結晶から、いずれも1.8Åの分解能のデータを得た。
    (4)国際会議等において、これまでの研究成果をまとめて発表した。
    日本学術振興会, 国際学術研究, 富山県立大学, 08044218
  • 新規リアーゼ類の開発と光学活性有機酸合成への利用
    科学研究費助成事業
    1995年 - 1996年
    浅野 泰久, 山田 秀明, 大利 徹, 加藤 康夫
    フマル酸を異性化しマフラーゼによってLーリンゴ酸に至るマレイン酸の代謝系が一般的に知られているが、マレイン酸を水和しDーリンゴ酸を生成するマレートヒドラターゼについては余り知られていない。そこで、強いマレートヒドラターゼを有する細菌Arthrobacter sp.の休止菌体反応によるマレイン酸からDーリンゴ酸の製造検討を行った。さらに本酵素を精製しその諸性質を明らかにした。また安価なイタコン酸を基質とし、土壌由来の細菌Alcaligenes denitrificansの菌体反応による(S)-(+)シトラマル酸の製造を検討した。光学純度は99.9%であった。反応30時間で28g/literの(S)-(+)シトラマル酸(交換率は80.0%、モル収率は68.8%)が蓄積した。
    安価なフマル酸誘導体へのアンモニアの付加反応を触媒するメチルアスパラギン酸アンモニアリアーゼを検索し、非天然型のL-アスパラギン酸誘導体の選択的な合成を検討した。(S)-グルタミン酸を含む培地で集積培養を行い、顕著な3-メチルアスパルターゼ活性を有する通性嫌気性菌Citrobacter freundii、Morganella morganii、Citrobacter amalonaticus、およびEnterobacter sp.を得た。各菌の無細胞抽出液を用いて、それぞれ光学的に純粋なthreo-(2S,3S)-3-メチル-アスパラギン酸、threo-(2S,3S)-3-エチル-アスパラギン酸、threo-(2S,3S)-3-クロロ-アスパラギン酸を好収率で合成した。上記の菌の無細胞抽出液中より、本酵素を結晶状に精製した。各酵素は偏性嫌気性菌であるClostridium tetanomorphum由来の本酵素と酵素学的諸性質において類似性を示したが、基質特異性は異なっていた。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 富山県立大学, 07660117
  • Studies on biosynthesis of terpenoids produced by microorganisms               
    1996年
    競争的資金
  • Studies on antibiotic biosynthesis               
    1994年
    競争的資金
  • Studies on biosynthesis of natural product               
    競争的資金
  • Studies on biosynthetic genes and enzymes of isoprenoids produced by microorganisms               
    競争的資金

産業財産権