竹内 修一 (タケウチ シユウイチ)
文学研究院 人文学部門 表現文化論分野 | 教授 |
Last Updated :2025/05/02
■研究者基本情報
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■経歴
経歴
■研究活動情報
論文
- モニュメントの運命:『ペスト』に於ける「記憶の場」
竹内修一
カミュ研究, 16, 1, 17, 2024年06月 - « L'Amour de l'homme » dans l'Homme révolté : Sur l'antihumanisme d'Albert Camus
Shuichi TAKEUCHI
Etudes camusiennes Actes de la XXXIIe Rencontre internationale de Dokkyo, 15, 85, 98, 2022年05月, [査読有り]
フランス語, 研究論文(学術雑誌) - アンドレ・マルロー「ジャン・ムーランの遺灰のパンテオンへの移葬」 ──第五共和国のコメモラシオン──
竹内修一
北海道大学文学研究科紀要, 155, 55, 80, 2018年07月 - Justice et Meurtre : Polémique sur l'épuration et L'Homme révolté
竹内修一
Etudes Camusiennes, 11, 2013年05月, [査読有り]
フランス語, 研究論文(学術雑誌) - 恩赦と恩寵──カミュに於ける« grâce »の問題
竹内修一
カミュ研究, 20, 43, 2010年05月
日本語, 研究論文(学術雑誌) - 歴史的契機としての処刑 : カミュの近代史観について
竹内 修一
Septentrional : 日本フランス語フランス文学会北海道支部論集, 0, 1, 43, 58, 日本フランス語フランス文学会, 2008年03月20日
日本語 - 正義と殺人 : エピュラシオンをめぐる論争と『反抗的人間』
竹内 修一
フランス語フランス文学研究, 0, 81, 61, 72, 日本フランス語フランス文学会, 2002年10月21日
日本語, On sait que, juste apres la liberation de Paris, une polemique a oppose deux ecrivains resistants sur la question des collaborateurs. Face a l'epuration, Francois Mauriac prechait, dans les editoriaux du Figaro, le << pardon >> et la reconciliation des Francais tandis qu'Albert Camus, redacteur en chef de Combat, insistait sur la necessite de faire justice pour reconstruire le pays, approuvant meme les condamnations a mort. Or, apres avoir constate l'echec de l'epuration, l'auteur de la Peste a admis plus tard que c'etait Mauriac qui avait eu raison contre lui. Notre propos est d'examiner l...
その他活動・業績
書籍等出版物
- キリスト教文化事典 = Encyclopedia of Christian culture
キリスト教文化事典編集委員会, 項目「アルベール・カミュとキリスト教」
丸善出版, 2022年08月, 9784621307151, xxii, 757p, 図版 [4] p, 日本語 - 空間に遊ぶ (北大文学研究科ライブラリ)
竹内修一, 第五章 「無限の空間の永遠の沈黙」をまえにして——パスカルからカミュへ
北海道大学出版会, 2016年06月, p.111-146., [共著] - 別冊水声通信 シモーヌ・ヴェイユ
竹内修一, アルベール・カミュ「シモーヌ・ヴェイユ」翻訳および解説(47-54頁)
[共著]
講演・口頭発表等
- 仏領アルジェリアの記憶とカミュ
竹内修一
日本カミュ研究会第74回例会(明治大学), 2024年06月01日 - 『ペスト』と記憶の政治
竹内修一
日本フランス語フランス文学会 北海道・東北支部大会(山形大学), 2023年11月04日 - 『ペスト』に於ける〈記憶の場〉
竹内 修一
日本カミュ研究会 第71回例会(立教大学), 2022年06月04日, 口頭発表(一般) - 『反抗的人間』に於ける「人間への愛」
竹内修一
第32回 獨協インターナショナル・フォーラム 「アルベール・カミュ:生きることへの愛」, 2021年12月04日, 口頭発表(招待・特別)
2021年12月03日 - 2021年12月04日, [招待講演] - コロナ禍のなか、北海道で 『ペスト』を読む
竹内修一
北海道大学ホームカミングデー 文系4部局合同企画シンポジウム 公開講座「コロナ禍を考える」, 2021年09月25日 - アンドレ・マルロー「ジャン・ムーランの遺灰のパン テオンへの移葬」について̶ 手稿、タイプ原稿から見 えてくるもの
竹内修一
日本フランス語フランス文学会秋季大会(近畿大学), 2019年10月26日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - アルベール・カミュ:アルジェリアとフランス共和国
竹内修一
北大道新アカデミー「ワールドカルチャーマップ:文学で世界をめぐる」, 2019年06月29日, 日本語 - アレクサンドル・デュマ:仏領サン・ドマングとフランス共和国
竹内修一
北大道新アカデミー「ワールドカルチャーマップ:文学で世界をめぐる」, 2019年06月15日, 日本語 - フランス共和国は誰を神にするのか? アレクサンドル・デュマとパンテオン
竹内修一
アリアンス・フランセーズ札幌「フランス・アラカルト・セミナー」, 2018年07月28日 - アンドレ・マルローとアレクサンドル・デュマのパンテオン葬
竹内修一
日本フランス語フランス文学会 2017年度秋季大会 ワークショップ「パンテオンと作家たち」, 2017年10月29日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
[国内会議] - アンドレ・マルローのパンテオン(1964/1996)
竹内修一
2016年12月22日, 英語
御茶ノ水女子大学, [招待講演] - 小説テクストの時制システムを如何に翻訳するか
竹内修一
第4回 翻訳ワークショップ・シンポジウム「条件付きの翻訳」, 2015年07月25日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - 誰が誰に同意を求めるのか ── 『異邦人』最終章と翻訳の問題
竹内修一
カミュ研究会 第59回例会, 2014年12月20日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - アンドレ・マルロー「ジャン・ムーランのパンテオン葬」について(ワークショップ「死者の記憶と共同体」に於ける発表)
竹内修一
日本フランス語フランス文学会春季大会, 2014年05月25日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
[国内会議] - 自由間接話法をどのように訳すか ──『異邦人』最終章のケース──
竹内修一
翻訳シンポジウム(北大文学研究科), 2013年03月10日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
[国内会議] - アンドレ・マルロー「ジャン・ムーランのパンテオン葬」──第五共和国のコメモラシオン
竹内修一
日本フランス語フランス文学会北海道支部会, 2012年03月10日, 英語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - 恩赦と恩寵──カミュに於ける« grâce »の問題
竹内修一
2009年12月26日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - カミュの近代史観について
竹内修一
カミュ研究会例会(於明治大学), 2007年05月19日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - 歴史的契機としての処刑
竹内修一
日本フランス語フランス文学会北海道支部会(於札幌日仏協会フォワイエ), 2006年12月09日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - 未来と殺人
竹内修一
カミュ研究会(於大阪外国語大学), 2003年10月25日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - 正義と殺人 ── エピュラシオンをめぐる論争と『反抗的人間』
竹内修一
日本フランス語フランス文学会秋期大会, 2001年11月04日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - 不条理・殺人・レジスタンス
竹内修一
カミュ研究会例会, 1998年10月24日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議]
共同研究・競争的資金等の研究課題
- アンドレ・マルローとフランス国民の記憶
科学研究費補助金(基盤研究(C))
2016年04月 - 2020年03月
竹内修一
文部科学省, 研究代表者, 競争的資金 - アンドレ・マルローとコメモラシオンの政治
科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)
2012年 - 2012年
竹内 修一
本研究は、公共の場で行われる追悼演説がもつ政治的機能を、アンドレ・マルローの『弔辞集』(1971)を題材として、考察しようとするものである。『弔辞集』に収録されているもののなかでもっとも重要なのは、第五共和国最初のパンテオン葬のさいに行われた演説のテクストである。この「ジャン・ムーランの遺灰のパンテオン移葬」を分析することによって、初代文化担当大臣マルローが、まだ年若いフランス第五共和国の建国神話を創出したことを明らかにした。
文部科学省, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 24652067 - パンテオン研究
科学研究費補助金(萌芽研究, 挑戦的萌芽研究)
2007年 - 2009年
竹内 修一
フランスの首都パリの第五区に位置する、パンテオンという共和国のモニュメントを社会と文学との関連で考察するのが本研究の目的である。昨年末サルコジ大統領は、死後50周年にあたる翌2010年に、作家アルベール・カミュの棺をパンテオンに移す希望を表明したが、反対・賛成ともに様々な議論を巻き起こし、結局カミュの親族の反対で実現しなかった。これは、パンテオンという共和国のモニュメントと作家の遺族というプライベートな側面との関係を考えるうえで興味深い事件であった。そのカミュに関して、12月26日に「恩赦と恩寵-カミュに於ける《grace》の問題」というタイトルで口頭発表を行い、それにもとづく論文を『カミュ研究』第9号(2010年5月刊行)に掲載する。これは、神学的「恩寵」と世俗的「恩赦」という意味をもつ《grace》の概念を中心にカミュの作品を論じたものである。また丸善から刊行が予定されている『フランス文化事典』に於いて「パンテオンと文学者」の項目を担当する予定である。なお本年度も、専門家を北海道大学に招いてふたつの講演会を開催した。山上浩嗣氏(関西学院大学)による講演「パスカルにおける病と身体」(10月30日)は、キリスト教護教論を構想したパスカルに関するものであるが、対比的に、反キリスト教である「革命」に由来するパンテオンの問題を考察するうえで有意義なものであった。田中琢三氏(フェリス...
文部科学省, 萌芽研究, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 19652021 - フランスにおけるキリスト教と文学
科学研究費補助金(基盤研究(B))
2005年 - 2008年
塩川 徹也, 竹内 修一, 田村 毅, 月村 辰雄, 中地 義和, 塚本 昌則, 鈴木 雅生, 畑 浩一郎, 竹内 修一, 鈴木 雅生
キリスト教が社会と文化の基底を形作ってきたフランスにおいて、宗教と文学のあいだに存在した相互交渉の諸相を把握し、それを通じてキリスト教と文学の双方がどのように変容を遂げていったかを、それぞれの時代とジャンルに即して検討した.関係の歴史的変遷を通時的に見通すところまでは行かなかったが、いくつかのテーマ(理神論、オリエンタリズム)と何人かの作家(パスカル、ロベール・シャール、ヴォルテール、ネルヴァル、ランボー、カミュ、ル・クレジオ)については相当の成果を得た.
文部科学省, 基盤研究(B), 東京大学, 連携研究者, 競争的資金, 17320046 - フランス近代詩とジャーナリズム
科学研究費補助金(基盤研究(C))
2005年 - 2006年
中地 義和, 田村 毅, 塚本 昌則, 竹内 修一, 鈴木 雅生
本研究は、19世紀中葉の第二帝政期から現代にいたるフランス近代詩の展開において、詩人の創造的営みにジャーナリズム(新聞・雑誌)およびその編集者たちがどのように関与したかを、歴史的文脈に即して解明することをめざした。(1)ボードレールに代表される第二帝政期、(2)マラルメに代表される第三共和政期、(3)同じ第三共和政下の1880年代後半に、マラルメよりも一世代若い詩人たちが、当時隆盛の自然主義文学に対抗して新たなポエジーを創造すべく結集した雑誌「ラ・ヴォーグ」をめぐる動き、(4)1920年代にシュルレアリスムの領袖の地位を確立したアンドレ・ブルトンが、第二次大戦中に亡命中のアメリカで行なった新たな活動の拠点作りの動き、(5)20世紀フランスの多面的詩人・作家を代表するミシェル・レリスをモデルに、雑誌が一作家の自己形成と作品生成に果たした作用、という五つの切り口から研究を進め、成果報告書には(1)〜(5)のそれぞれに関する研究が集められている。19世紀前半に出現した近代的な意味での「文学」に従事する「作家」は、否応なしに作品発表媒体としての新聞や雑誌と関わりをもたざるをえなかった。それに乗じて発達したのが新聞連載小説であるが、相対的に少数の読者しかもたない詩人の場合も、現実世界に生きる以上、また作品が読者を必要とする以上、純粋な美、孤高の精神にのみ拘泥して一般大衆に背を向けること...
文部科学省, 基盤研究(C), 東京大学, 連携研究者, 競争的資金, 17520149 - フランス文学における時間意識の変化
科学研究費補助金(基盤研究(B))
2004年 - 2006年
塚本 昌則, 竹内 修一, 田村 毅, 塩川 徹也, 月村 辰雄, 中地 義和, 鈴木 雅生
本研究では、フランス文学、とりわけ近代文学において、どのような時間意識が描かれてきたのかを解明することを目指した。近代文学の根底には、革命後の社会を支配してきた「直線的時間」への懐疑・反発が一貫して見られる。過去から未来へと均質に流れる時間という合理的な見方とは違うどのような時間意識が、近代文学において表現されてきたのだろうか。主に三つの角度から、われわれはこの問題を検討した。第一に<前衛>と<後衛>の比較、第二にクレオール文学の分析、第三に<東洋>と<西洋>の時間観の検討。第一の研究においては、<後衛>の作家たちは、人間の進化という神話を批判したが、<前衛>の作家たちも、メディアの不透明さなどに注目することで、進歩史観とは違う時間意識を抱いていたことが明らかになった。近代性の粋と見られる<前衛>と、時代に取り残された価値を重視する<後衛>とは、実際には複雑な関係を切り結んでいる。第二点のクレオール文学は、それ自体がすでに「ネグリチュード(黒人性)」「アンティル性」「クレオール性」という三つの歴史性を帯びているが、一貫して、西洋近代が差異や遅延を切り捨てることで成り立ってきたことを明らかにしている。第三点の<東洋>と<西洋>は、日本におけるヨーロッパ文学の研究者が突き当たらずにはいられない、文化の違いを掘り下げようとする試みである。今回はパスカル、ネルヴァル、ヴァレリー、さら...
文部科学省, 基盤研究(B), 東京大学, 連携研究者, 競争的資金, 16320034 - 聖域の表象と文学表現-新古典主義からロマン主義へ
科学研究費補助金(基盤研究(C))
2004年 - 2005年
田村 毅, 塩川 徹也, 竹内 修一, 吉村 和明, 荒木 善太, 市川 裕史
本研究「聖域の表象と文学表現-新古典主義からロマン主義へ」は、18世紀中頃から19世紀前半のフランス、とくにパリを特徴づけるパンテオンやマドレーヌ寺院等の新古典主義的記念構築物と、その内部空間を形成する絵画・彫刻のモチーフ、あるいは外部空間の庭園、地理的な配置に着目し、「聖域(聖なる空間)」がいかに表象され、それがいかなる社会・宗教思想を具現するかを探求しつつ、文学思想表現(テクスト)との照応関係を読み解くことによって、同時代の精神的空間を彫琢することを主眼としたものである。その成果の一部を示す本報告書においては、まずはパリのパンテオンがいかなる発想のもとで建築され、芸術家を奉じる偉人廟としての機能を果たすにいたったかを考察した(荒木善太)。もう一つの代表的建築物であるマドレーヌ寺院の天井画に、画家と文学者の交流による「ロマン派の夢と人類の叙事詩」を読み解いた(田村毅)。絵画の領域では、ボードレールの美術批評を手がかりに、画家ダヴィッド「暗殺されたマラー」とドーミエ「トランスナノン街」の対比によって、新古典主義から写実主義への移行が、表象される理想と現実との相克として理解されることを示した(吉村和明)。若手研究者の参加を得てさらに視野を拡げ、ワットー、ノディエ、ネルヴァル、ボードレールに描かれる理想の楽園としての「シテール島」を検討し(安岡(田口)亜紀)、ユートピア的田園とし...
文部科学省, 基盤研究(C), 東京大学, 連携研究者, 競争的資金, 16520132 - カミュによる近代史解釈の再検討--テロルの歴史
科学研究費補助金(若手研究(B))
2003年 - 2005年
竹内 修一
最終年度である本年は、主として、以下のふたつの論文の作成を行った。まず東京大学に提出した博士論文「死刑囚たちの「歴史」-『反抗的人間』のコンテクスト」である。この論文は、長年の研究をまとめたものであるが、カミュの歴史観を分析した後半部は、テロリズムを主題とする本研究の成果であると言える。カミュは『反抗的人間』に於いて、死刑囚となった革命家たちが、如何なる態度でみずからの死を受け入れたのか、その態度をフランス革命の革命家から20世紀のコミュニストたちに至るまで、俯瞰することで、彼独自の解釈を示した。従来見過ごされてきたこの点を明らかにしたのが本論文である。この論文をめぐって、田村毅、中地義和、塚本昌則、平石貴樹(以上、東京大学)、稲田晴年(静岡県立大学)の五氏を審査員として、10月22日公開審査が行われ、博士(文学)を授与された。審査員の先生方から頂いたコメントを考慮に入れて、加筆訂正を施した後、この博士論文を出版することを考えている。次に、『仏語仏文学研究』第32号に発表した、「未来と殺人-コミュニストたちの裁判と『反抗的人間』」である。1930年代末、ソ連邦に於いて高名な革命家ブハーリンの裁判が行われた。第二次大戦後、モーリス・メルロ=ポンティが『ヒューマニズムとテロル』(1947)を発表し、この裁判を正当化し、コミュニズム陣営を擁護した。この論文は、『反抗的人間』に於いて...
文部科学省, 若手研究(B), 東京大学, 研究代表者, 競争的資金, 15720050 - フランス詩のフォルムの変遷とその文化的規定
科学研究費補助金(基盤研究(B))
2002年 - 2004年
中地 義和, 月村 辰雄, 塩川 徹也, 田村 毅, 竹内 修一, 塚本 昌則
平成14年度から3年間行なわれた本研究は,フランス詩のフォルムの変遷と文化史的要因との関わりを多面的に捉えることを目的とした。フランス文学千年の歴史の全体を視野に収めながら,研究の重心は近代詩,とくに17,18世紀の劇詩・叙事詩優勢の時期を経て16世紀の叙情詩が変容を遂げながら復活する19世紀の詩の諸相に置かれた。なかでも,伝統的な韻文詩を最も高い完成に導くとともにそこに衰微の徴を刻印し,その一方で散文詩という新しい形式を練り上げたボードレールには,当然ながら特別な照明が当てられた。ボードレールは,詩史的に枢要な位置を占めるにとどまらず,詩人として,また文芸・美術批評家として,同時代のメディアに深く関わった点においても,本研究にとって格好の考察対象となった。平成15年5月には,本研究の中間的な総括を行なうと同時に新たな展開の跳躍台とするために,内外の第一線の専門家を招聘し,東京大学において国際シンポジウム「ボードレールと詩のフォルム」を開催した。3年にわたる本研究の核にはこのシンポジウムがある。頽廃の感覚と不可分な韻文詩の叙情性,ある種の長篇詩と簡潔を尊ぶ構成美学との齟齬,16世紀以来の韻文詩の伝統である「詩の墓」の19世紀における変容,散文詩と韻文詩の叙情の質的相違,散文詩の生成過程における隣接ジャンルの関係,ドラクロワやギースへの共感からうかがわれる絵画芸術から詩への影響...
文部科学省, 基盤研究(B), 東京大学, 連携研究者, 競争的資金, 14310212 - 近世フランスにおける神秘主義と文学
科学研究費助成事業
2002年 - 2003年
塩川 徹也, 辻部 大介, 竹内 修一, 塚本 昌則
西欧の文学の伝統において、神秘思想はテーマとしてのみならず、文学の意義、目標及び限界を考える上で、きわめて重要な役割を果たしてきた。本研究は、将来のより大きな計画、すなわら中世から現代に至るフランス文学の流れと神秘思想との相互交渉の解明の第一歩となることを目指したものである。研究対象は、ひとまず16世紀後半から18世紀末までのフランスに限定したが、それが現代の文学と思想に対していかなる意味をもつかについても注意を払った。また海外から専門家を招聰して、レヴユーを受けるとともに、共同研究を実施することができた。
「作品のはらむ他者」をテーマとする国際シンポジウムにおいて、研究分担者・塚本昌則助教授と研究代表者・塩川が、信仰の神秘をめぐるパスカルとヴァレリーの対決に関する研究発表を行つたのは、本研究の顕著な成果である。
なお冊子体で提出する研究成果報告書には以下のものがまとめられている。
-パスカルとロベール・シャールを比較・考察した、研究代表者による論文「われわれのみじめな正義:原罪の神秘をめぐるパスカルとシャールの対決」。
-フランスおよびアメリカの専門家(Gerard Ferreyrolles, Dominique Descotes, Ran-E Hong)から受けたレクチャーの概要。
-近世フランスにおける神秘主義文献の目録。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 東京大学, 14510564