西川 淳 (ニシカワ ジユン)

情報科学研究院 生命人間情報科学部門 バイオエンジニアリング分野准教授
高等教育推進機構准教授
Last Updated :2025/06/07

■研究者基本情報

学位

  • 博士(工学), 北海道大学

プロフィール情報

  • 脳の情報処理原理を知りたい.そのために微細加工技術を駆使し,神経活動及び神経伝達物質濃度を高密度に測定・制御することのできる次世代デバイスの開発に取り組んでいます.また,これを活用して,主に齧歯類の大脳皮質聴覚野の聴覚情報表現を明らかにする研究,様々な聴覚現象を支える神経活動を特定する研究,学習に伴う神経活動の変化とそのメカニズムを明らかにする研究,埋め込みデバイスによる神経活動制御を目指した研究などを進めています.計測した脳活動を数理モデル化し,背後に隠れる計算原理を解き明かそうとする研究も行っています.このように,ナノテクノロジーや数理科学を神経科学と統合することにより,神経科学分野でブレイクスルーを起こすとともに,将来的には神経疾患を抱える患者を救うことのできる新しい医療機器の開発へと繋げたい.

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研究キーワード

  • MEMS
  • 微細加工技術
  • 学習
  • オペラント条件付け
  • 聴覚皮質
  • ブレインマシンインターフェイス
  • 神経工学
  • 神経科学
  • 発声学習
  • コミュニケーション
  • 言語進化
  • 言語情報処理
  • 複雑ネットワーク
  • 複雑系
  • フラクタル
  • カオス
  • 非線形動力学
  • 計算論的神経科学
  • 神経行動学
  • 鳥の歌
  • 包括脳ネットワーク

研究分野

  • 情報通信, ソフトコンピューティング
  • 情報通信, 生命、健康、医療情報学
  • 情報通信, 統計科学
  • ライフサイエンス, 基盤脳科学
  • ライフサイエンス, 神経科学一般
  • ライフサイエンス, 生体医工学
  • ライフサイエンス, 動物生理化学、生理学、行動学
  • ライフサイエンス, 生体材料学
  • ものづくり技術(機械・電気電子・化学工学), 制御、システム工学
  • ナノテク・材料, 分析化学
  • ナノテク・材料, ナノマイクロシステム
  • 人文・社会, 実験心理学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2013年11月 - 現在
    北海道大学 大学院情報科学研究院, 神経制御工学研究室, 准教授
  • 2011年12月 - 2013年10月
    北海道大学 大学院情報科学研究科, 生体計測工学研究室, 特任講師
  • 2011年08月 - 2011年11月
    大阪大学 大学院生命機能研究科, マイクロシステム神経工学研究室, 特任助教
  • 2011年04月 - 2011年07月
    独立行政法人理化学研究所, 情動情報連携研究チーム, 基礎科学特別研究員
  • 2009年04月 - 2011年03月
    独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, 基礎科学特別研究員
  • 2004年04月 - 2009年03月
    独立行政法人理化学研究所, 生物言語研究チーム, 研究員

学歴

  • 2001年04月 - 2004年03月, 北海道大学, 工学研究科, 量子物理工学専攻 博士後期課程
  • 1999年04月 - 2001年03月, 北海道大学, 工学研究科, 量子物理工学専攻 修士課程
  • 1995年04月 - 1999年03月, 北海道大学, 工学部, 応用物理学科

■研究活動情報

受賞

  • 2020年12月, 日本神経回路学会, 優秀研究賞               
    マイクロ磁気刺激におけるコイル誘導電場の数値解析と神経誘発応答に基づく評価
    須貝俊介;西川 淳;舘野 高
  • 2020年10月, 第6回 北海道大学・部局横断シンポジウム, ベストプレゼンテーション賞               
    マウス聴覚皮質における耳鳴りの神経相関
    西川淳
  • 2010年, 包括脳ネットワーク, 若手優秀発表賞               
    鳥類歌中枢HVCにおけるカントールコーディングのin vivoによる実験的検証
    西川 淳
  • 2009年, 日本神経回路学会, 研究賞               
    鳥類歌制御神経核HVC局所回路における機能的ネットワーク
    西川 淳
  • 2008年, 日本生物物理学会, 若手奨励賞招待講演者               
    多点同時記録によって抽出されたジュウシマツHVC局所回路における機能的ネットワーク
    西川淳
  • 2008年, 日本神経回路学会, 奨励賞               
    小鳥の脳神経核HVCにおける歌要素系列の集団符号化
    西川淳

論文

その他活動・業績

担当経験のある科目_授業

  • 電気回路               
    北海道大学 工学部 情報エレクトロニクス学科
    2021年04月 - 現在
  • 生体情報工学演習Ⅱ               
    北海道大学 工学部 情報エレクトロニクス学科 生体情報コース
    2013年10月 - 現在
  • 神経制御工学特論               
    北海道大学 大学院情報科学研究院 生命人間情報科学部門
    2013年09月 - 現在
  • 生体情報工学実験Ⅱ               
    北海道大学 工学部 情報エレクトロニクス学科 生体情報コース
    2013年09月 - 現在
  • データ解析               
    北海道大学 工学部 情報エレクトロニクス学科 生体情報コース
    2013年04月 - 現在
  • 生体情報工学実験Ⅰ               
    北海道大学 工学部 情報エレクトロニクス学科 生体情報コース
    2013年04月 - 現在
  • 一般教育演習「生体の情報を科学する」               
    北海道大学
    2013年09月 - 2020年03月
  • 応用数学Ⅱ               
    北海道大学 工学部
  • 神経情報科学特論               
    北海道大学 大学院情報科学研究科
  • 生物心理学               
    立教大学 現代心理学部

所属学協会

  • Society for Neuroscience               
  • 日本神経科学学会               
  • 日本神経回路学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 双方向型BMIと光遺伝学を統合した興奮-抑制バランス制御による耳鳴り抑制法の開発
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2022年04月01日 - 2025年03月31日
    西川 淳
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 22H03655
  • 蠕動運動により脳組織へ低侵襲で潜り込むことができる柔軟な多点神経電極の開発
    科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
    2021年07月 - 2023年03月
    西川 淳
    本研究では,損傷をなるべく与えずに神経活動を長期に安定して計測することが困難であるという脳活動計測技術における重要な課題を解決するために,有機エレクトロニクスを用いたソフトアクチュエータ技術と微細加工を用いたMEMS技術を統合し,柔らかいまま電極自身の蠕動運動によって脳組織に潜り込んでいくことができる全く新しいタイプの多点電極の開発を目指している.
    1年目は,主に生理学実験の基礎的データの収集とソフトアクチュエータの材料選定および駆動特性評価実験を実施した.現時点までに行った実験の結果で,導電性高分子を用いたアクチュエータや,CNTを電極部に用いたソフトアクチュエータが有望であることが分かってきている.材料の検討は,柔軟材料上に塗布したアクチュエータ材料における,駆動電圧-変位量,駆動周波数-変位量,応答速度,耐久性能等について定量的に評価することにより実施した.特に,CNTを用いたソフトアクチュエータにおいて最大5 mm程度の運動を生じさせることが確認できた.さらに,これをベースにして複数のアクチュエータによる協調動作による蠕動運動を実現するために,選定した材料をインクジェットプリンティング等の方法を用いてパターニングして多数並べたデバイスを試作した.今後は,個々のチャンネルに様々な駆動電圧,駆動周波数,各チャンネルの位相遅れ,全体の時空間パターン等を印加し,その駆動動作をビデオカメラおよびレーザードップラー変位計を用いて計測し,駆動信号を最適化し,2年目の生理学実験による機能評価へと繋げていきたいと考えている.
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 研究代表者, 21K19423
  • 聴覚皮質における多点電気刺激による耳鳴り抑制法の基盤技術開発
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2018年04月 - 2021年03月
    西川 淳
    本研究の目的は,耳鳴りにおける聴覚皮質の関与を詳細に明らかにするとともに,多点電気刺激を用いた新規の耳鳴り抑制法を開発することである.そのために本研究では,フラビンタンパク質蛍光イメージングを用いてマウス聴覚皮質のサブ領域を同定し,それぞれのサブ領域に多点電極を刺入することによって各サブ領域および層から多点同時神経活動計測を実施し,各サブ領域および層の神経細胞の活動特性が耳鳴り状態に応じてどのように変化するか詳細に明らかにする.さらに,そこで得られた知見を踏まえて,聴覚皮質の各サブ領域および層に様々な多点電気刺激パターンを印加することにより,耳鳴り状態の聴覚皮質神経活動を,強制的に正常な状態へと導くための新規耳鳴り抑制法の開発を目指す.


    2年目である2019年度は,1年目に確立した音響驚愕反射ギャッププレパルス抑制を用いたマウスの耳鳴りの行動評価系を用いて,サリチル酸ナトリウムおよび音響暴露操作よって生じる耳鳴りの神経相関を電気生理実験により検討した.その結果,耳鳴り判定に用いるギャップ音のオンセットとオフセットに対する応答比が耳鳴りとよく対応することを見出した.さらに,スパイク波形解析により興奮性細胞と抑制性細胞を分けたところ,耳鳴りに対応する応答の変化に違いが見られることを明らかにした.さらに,音刺激に対する神経応答を精度良く模擬することができる多点電気刺激のパラメータ推定法を提案した.


    こうした成果を活かすことにより,3年目に構築予定の多点電気刺激法による新規耳鳴り抑制法の開発を実現していく予定である.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 18K07345
  • 長期安定な双方向型ブレイン-マシン-インターフェース実現のための基盤技術開発               
    若手特別研究費
    2019年07月 - 2020年03月
    西川淳
    北海道大学 大学院情報科学研究院
  • 閉ループ電気生理による神経活動ダイナミクスのフィードバック制御
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2015年04月 - 2018年03月
    西川 淳
    本研究では,閉ループ電気生理を用いて特定の脳領域における神経応答特性を制御する新規手法を提案した.まず,フラビンタンパク質蛍光イメージングと局所電場電位計測を用いて齧歯類聴覚皮質における各サブ領域および層における時間周波数受容野(STRF)を体系的に調べた.特に,覚醒自由行動下のマウス聴覚皮質では,異なる2つの行動文脈においてSTRFの特性が動的に遷移することを明らかにした.得られた知見をもとに,各サブ領域および層にまたがる多点シリコン電極を刺入し,聴覚応答を計測しながらSTRFを実時間で推定し,その結果に応じて特定のチャンネルを多点電流刺激できるシステムを構築することに成功した.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 15K01847
  • マイクロデバイスと制御工学を駆使した神経活動の精緻な制御: 神経制御工学の勃興               
    若手研究費
    2014年07月 - 2015年03月
    西川淳
    北海道大学 大学院情報科学研究科, 研究代表者
  • 加齢に伴う聴覚機能低下を自律的に補償する人工聴覚スマートインプラントの研究               
    研究助成
    2014年03月 - 2015年02月
    西川 淳
    公益財団法人 大川情報通信基金, 研究代表者, 競争的資金
  • 加齢における聴覚の機能低下機構とその補償機器開発の基礎研究               
    研究開発助成事業 若手研究人材・ネットワーク育成補助金(Talent補助金)
    2013年09月 - 2014年03月
    西川 淳
    ノーステック財団, 研究代表者, 競争的資金
  • 聴覚中枢神経マイクロインプラントに応用する音情報神経符号化の基礎技術開発               
    研究助成 (A)
    2013年04月 - 2014年03月
    西川 淳
    公益財団法人 立石科学技術振興財団, 研究代表者, 競争的資金
  • マウスの超音波発声とその認知を司る神経機構の解明               
    科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
    2012年04月 - 2014年03月
    西川 淳
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 時系列信号によるコミュニケーションを司る神経情報表現の解明               
    科学研究費補助金 新学術領域研究(伝達創成機構)(公募研究)
    2010年04月 - 2012年03月
    西川淳
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 複雑な時系列処理を支える局所神経回路におけるネットワークダイナミクスの解明               
    基礎科学特別研究員研究費
    2009年04月 - 2011年07月
    西川淳
    独立行政法人理化学研究所, 研究代表者, 競争的資金
  • 音声時系列分節化を支える神経細胞集団の同期的活動               
    科学研究費補助金 若手(B)
    2008年04月 - 2010年03月
    西川淳
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 複雑な時系列を産出する神経モジュール間の相互作用               
    科学研究費補助金 若手(B)
    2006年04月 - 2008年03月
    西川淳
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 歌行動スイッチングに対応した神経活動パターンシフトの観察
    科学研究費助成事業
    2007年 - 2008年
    福田 諭, 西川 淳, 加藤 真樹, 岡ノ谷 一夫
    本研究は、鳥類鳴禽類の歌生成システムにおける、大脳領域HVCの内在的なリズムと、その自発的神経細胞発火パターンが外部からの入力によりどのようにシフトするかを目的とした。自身の歌を外部スピーカーにより聞かせることにより、細胞内カルシウム濃度を上昇させる細胞と、下降させる2種類の細胞が観察された。自身の歌に対する聴覚応答の他に、何も聞かせていない状態においても細胞の自発的な活動が観察されており、聴覚応答に対して神経細胞の活動がシフトすることが確認された。
    日本学術振興会, 若手研究(B), 独立行政法人理化学研究所, 19700308