会沢 恒 (アイザワ ヒサシ)
法学研究科 附属高等法政教育研究センター グローバリゼーション部門 | 教授 |
Last Updated :2024/12/10
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■研究活動情報
論文
- 陪審制の現在 : アメリカ陪審制の二重の「神話」—Jury as "Myth" in the U.S. Today—特集論文 裁くアメリカ/裁かれるアメリカ
会沢 恒
アメリカ研究 = The American review, 57, 51, 78, アメリカ学会, 2023年
日本語 - 連邦仲裁法をめぐる合衆国最高裁の判例動向 : 仲裁の〈消費者化〉と縮小する民事司法 (深尾裕造教授 丸田隆教授 退任記念論集)
会沢 恒, Hisashi Aizawa
法と政治 = The journal of law & politics, 70, 1, 111, 186, 関西学院大学法政学会, 2019年05月, [招待有り]
日本語, 34056117 - コメント 権力分立と現代アメリカの「保守」 (講演 シンポジウム 法の支配とアメリカ大統領 : トランプ政権とアメリカ法の改変)
会沢 恒
比較法学 = Comparative law review, 51, 2, 258, 263, 早稲田大学比較法研究所, 2017年12月
日本語 - 座談会 合衆国最高裁判所2013-2014年開廷期重要判例概観
浅香吉幹, 大林啓吾, 笹倉宏紀, 芹澤英明, 東川浩二, 藤井樹也, 会沢恒
アメリカ法, 2014, 2, 247, 325, 日米法学会, 2015年04月
日本語 - 座談会 合衆国最高裁判所2012-2013年開廷期重要判例概観
浅香吉幹, 駒村圭吾, 笹倉宏紀, 芹澤英明, 東川浩二, 藤井樹也, 会沢恒
アメリカ法, 2013, 2, 197, 275, 日米法学会, 2014年06月
日本語 - 座談会 合衆国最高裁判所2011-2012年開廷期重要判例概観
浅香吉幹, 駒村圭吾, 笹倉宏紀, 芹澤英明, 東川浩二, 藤井樹也, 会沢恒
アメリカ法, 2012, 2, 225, 303, 日米法学会, 2013年05月
日本語 - 座談会 合衆国最高裁判所2010-2011年開廷期重要判例概観
浅香吉幹, 駒村圭吾, 笹倉宏紀, 芹澤英明, 東川浩二, 藤井樹也, 会沢恒
アメリカ法, 2011, 2, 301, 397, 日米法学会, 2012年06月
日本語 - 法の経済分析研究会(7)〈効率性〉は、如何なる意味で〈法的〉か
会沢 恒
新世代法政策学研究, 6, 349, 367, 北海道大学グローバルCOEプログラム「多元分散型統御を目指す新世代法政策学」事務局, 2010年04月
日本語 - アメリカ著作権法と連邦制の交錯
新世代知的財産法政策学の創成, 391, 444, 2008年 - 憲法裁判におけるトランスナショナルなソースの参照をめぐって--現代アメリカ法思考の開放性と閉鎖性 (〈法のクレオール〉と主体的法形成の研究へのアプローチ(2))
會澤 恒
北大法学論集, 58, 4, 2118, 2081, 北海道大学大学院法学研究科, 2007年
日本語, 研究ノート - Japanese Legal Education in Transition
Wisconsin International Law Journal, 24, 131, 151, 2006年 - アメリカ契約法から見た消費者契約法 (特集 消費者契約法と消費者の21世紀) -- (消費者契約法の比較法的考察)
会沢 恒
ジュリスト, 1200, 131, 140, 有斐閣, 2001年05月01日
日本語 - カリフォルニア州外部証拠排除則の運用の実際
会沢 恒
本郷法政紀要 = Hongo journal of law and politics, 6, 6, 1, 35, 東京大学大学院法学政治学研究科, 1997年
日本語
その他活動・業績
- ヨーロッパ規制私法の目的的手法--ヨーロッパ私法の、競争と規制における自律から機能主義への変容 (特集 ヨーロッパ法における〈私法〉の再定位)
Micklitz Hans-W., 会沢 恒, 新世代法政策学研究, 12, 17, 97, 2011年07月
北海道大学グローバルCOEプログラム「多元分散型統御を目指す新世代法政策学」事務局, 日本語 - 合衆国最高裁判所による外国法参照の歴史 Steven G. Calabresi and Stephanie Dotson Zimdahl, The Supreme Court and foreign sources of law: two hundred years of practice and the juvenile death penalty decision
会沢 恒, アメリカ法, 2009, 1, 142, 146, 2009年12月
日米法学会, 日本語 - 最近の判例 Kennedy v. Louisiana, _U.S. _, 128 S. Ct. 2641 (2008)--児童を被害者とする性犯罪と死刑の対象犯罪の範囲
会沢 恒, アメリカ法, 2009, 1, 180, 187, 2009年12月
日米法学会, 日本語 - 英米法判例研究 合衆国憲法第2修正が銃の保持を個人の権利として保障しているとした判決[D.C. v. Heller判決2008.6]
会沢 恒, 北大法学論集, 60, 2, 644, 633, 2009年
判例研究, 北海道大学大学院法学研究科, 日本語 - 最近の判例 Van Orden v. Perry, 545 U.S. 677, 125 S. Ct. 2854 (2005); McCreary County, Ky. v. ACLU of Ky., 545 U.S. 844, 125 S. Ct. 2722 (2005)--十戒二題
会沢 恒, アメリカ法, 2007, 2, 289, 299, 2008年03月
日米法学会, 日本語 - 第40回年次大会報告
増井 志津代, 根岸 毅宏, 会沢 恒, 有賀 貞, 庄司 啓一, 村田 勝幸, 黒田 悦子, 牛田 千鶴, 越川 芳明, 太田 和子, 奥出 直人, 堀内 一史, 原口 弥生, 中山 俊宏, Leyda Julia, 田中 啓史, 井上 謙治, 高橋 美穂子, 三浦 玲一, 東自 由里, Hones Sheila, Kramer Paul, 木鎌 安雄, 川島 浩平, 片桐 康宏, Marez Curtis, Sato Gayle K., Park Sung Hee, 上西 哲雄, 森本 あんり, 奥山 倫明, 岩野 一郎, 西山 隆行, 渋谷 博史, アメリカ研究, 2007, 41, 189, 202, 2007年
アメリカ学会, 日本語 - 講演 憲法と宗教--憲法解釈方法論の一事例として〔含 質疑応答〕
Scalia Antonin, 会沢 恒, 北大法学論集, 55, 4, 1784, 1767, 2004年11月
北海道大学大学院法学研究科, 日本語 - 権利管理システムのためのフェアユース・インフラストラクチャ (第二特集 著作権とコモンズ)
Burk Dan L., Cohen Julie E., 会沢 恒, 知的財産法政策学研究, 3, 131, 183, 2004年08月
北海道大学大学院法学研究科21世紀COEプログラム「新世代知的財産法政策学の国際拠点形成」事務局, 日本語 - 著作権の制限と「クリックラップ」ライセンス:著作権取引はどうなるのか? (第二特集 著作権とコモンズ)
Guibault Lucie, 会沢 恒, 知的財産法政策学研究, 3, 91, 129, 2004年08月
北海道大学大学院法学研究科21世紀COEプログラム「新世代知的財産法政策学の国際拠点形成」事務局, 日本語 - 第127回フォーラムレポート 報告:十戒裁判官--アメリカ・政教分離統治体制と宗教社会の交錯
會澤 恒, ICCLP annual report, 2004, 41, 43, 2004年
International Center for Comparative Law and Politics, Graduate School of Law and Politics, the University of Tokyo, 英語 - 第127回フォーラムレポート 報告:十戒裁判官--アメリカ・政教分離統治体制と宗教社会の交錯 (比較法政セミナー・フォーラム)
會澤 恒, ICCLP annual report, 2004, 114, 116, 2004年
International Center for Comparative Law and Politics, Graduate School of Law and Politics, the University of Tokyo, 日本語 - Cass R. Sunstein, Reid Hastie, John W. Payne, David A. Schkade, and W. Kip Viscusi, Punitive Damages: How Juries Decide (学界展望 英米法)
國家學會雑誌, 116, 3, 395, 399, 2003年04月
國家學會事務所, 日本語 - 契約法の最新理論 Peter Benson (ed.), The Theory of Contract Law: New Essays
会沢 恒, アメリカ法, 2002, 2, 337, 348, 2002年12月
日米法学会, 日本語 - 契約救済法の脱構築 Richard Craswell,Against Fuller and Perdue
会沢 恒, アメリカ法, 2001, 1, 174, 179, 2001年07月
日米法学会, 日本語 - アメリカ新判例を読む(14)シュリンクラップ契約--ProCD判決の定着!?--M.A.Mortenson Co.v.Timberline Software Corp.,998 P.2d 305(Wash.2000)
会沢 恒, ジュリスト, 1197, 99, 97, 2001年04月01日
有斐閣, 日本語 - インターネットの法と政策:アメリカからの展望 (シンポジウム アメリカ法に対するインターネットの衝撃)
Samuelson Pamela, 会沢 恒, アメリカ法, 1999, 2, 155, 180, 2000年03月
学術雑誌目次速報データベース由来, 日本語 - 最高裁判所民事判例研究(民集49巻4号)胆嚢癌の疑いがあると診断した医師が患者ないしその家族にその旨を説明しなかったことが診療契約上の債務不履行に当たらないとされた事例(平成7.4.25第三小法廷判決)
東京大学判例研究会, 法学協会雑誌 = Journal of the Jurisprudence Association, 117, 11, 1668, 1697, 2000年
法学協会, 日本語 - Cass R.Sunstein「Free Markets and Social Justice」〔和文〕 (学界展望〈英米法〉)
國家學會雑誌, 112, 7, 826, 830, 1999年08月
國家學會事務所, 日本語
書籍等出版物
- 〔主要な業績〕基礎から学べるアメリカ法 = Introduction to American law
岩田, 太, 会澤, 恒, 高橋, 脩一, 板持, 研吾
弘文堂, 2020年04月, 9784335358104, xvi, 279p, 日本語, [共著] - 〔主要な業績〕法のクレオール序説 : 異法融合の秩序学
長谷川, 晃, 尾崎, 一郎, 松村, 良之, 齋藤, 哲志, 水野, 浩二, 田口, 正樹, 今井, 弘道, 中村, 民雄, 会澤, 恒, 桑原, 朝子, 林田, 清明, 鈴木, 賢
北海道大学出版会, 2012年06月, 9784832967601, xix, 292p, 日本語, [分担執筆]
講演・口頭発表等
- アメリカ憲法訴訟の司法制度的・訴訟手続的基礎
比較法学会, 2021年06月05日 - AT&T Mobility LLC v. Concepcion, 563 U.S. __; 131 S. Ct. 1740 (2011) 連邦仲裁法が,州契約法上の非良心性法理に基づく(とされる)クラス仲裁の要請を専占するとした事例
会沢 恒
日米法学会総会判例研究会, 2012年09月08日, 日本語, 口頭発表(一般)
[国内会議] - 第11分科会 民事裁判の活性化~財産開示の活用/損害賠償の充実へ~
日本弁護士連合会 第17回弁護士業務改革シンポジウム, 2011年11月11日
[招待講演] - アメリカ不法行為法の展開
会沢 恒
日米法学会総会シンポジウム, 2010年09月12日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
[国内会議] - 懲罰的賠償の現在
会沢 恒
比較法学会第73回総会ミニ・シンポジウム, 2010年06月05日, 英語, シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
[国内会議] - アメリカ最高裁による外国法・国際法の参照と援用
会沢 恒
比較法学会第72回総会ミニ・シンポジウム, 2009年06月06日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
[国内会議] - いま、新たにホームズを読み直すこと
会沢 恒
米法学会総会研究会, 2006年09月09日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
[国内会議] - レーンキスト・コートの連邦制法理
会沢 恒
アメリカ学会年次総会, 2006年06月11日, 日本語, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
[国内会議]
所属学協会
共同研究・競争的資金等の研究課題
- 現代アメリカ行政国家の動揺と「保守」の憲法観――大統領の人事権を手がかりに
科学研究費助成事業
2022年04月01日 - 2025年03月31日
会澤 恒
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 22K01107 - グローバル法・国家法・ローカル法秩序の多層的構造とその調整法理の分析
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
2019年04月01日 - 2024年03月31日
原田 大樹, 藤谷 武史, 横溝 大, 浅野 有紀, 飯島 淳子, 興津 征雄, 大西 楠・テア, 須田 守, 田村 哲樹, 松尾 陽, 松中 学, 吉政 知広, 会澤 恒, 伊藤 一頼, 加藤 紫帆, 清水 真希子, 内記 香子, 加藤 陽, 濱 真一郎, 村西 良太, 山田 哲史
本研究は,①国家法中心の考察方法から一旦距離を置き,国家法からの自律性を有すると考えられるグローバル法秩序とローカル法秩序の現状を実証分析した上で,当該法秩序における個人の権利・自由保障と共同性・強制のモメントとを均衡させる法理論を模索すること,②国家法秩序を含む様々な法秩序が,ある法関係で同時に作動した場合に,それらに含まれる法規範の効力がどのように調整されるのか,具体的事例の実証分析を踏まえて理論的に解明することを目的としている。
第1回研究会(研究代表者主催)では,民間化やグローバルガバナンスの進展にも至る行政国家化の現象において,国民を淵源とする正統性が議会から直接調達できない活動の正統性をどのように説明するかという問いに対して,「利益」に着目した説明方法の可能性が検討された。
第2回研究会(グローバル基礎理論チーム主催)では,世界銀行のインスペクション・パネルやグローバル・コンパクトを素材に,グローバルガバナンス論の現状と課題を議論した。
第3回研究会(グローバル実証チーム主催)では,グローバルな企業活動と人権保障とのギャップを埋めるグローバルガバナンスのしくみとして注目されている「ビジネスと人権に関する国連指導原則」の多彩な役割やその多様な実現手段を幅広く検討した。
第4回研究会(研究代表者主催・ローカル実証チーム主催)では,新型コロナウイルスに対応する法学・政治学のあり方を検討した。具体的には,WHOをはじめとするグローバルな保健・公衆衛生維持活動の沿革・特色・問題点や,感染症法に見られる国・地方公共団体間や地方公共団体相互間の連携のしくみを議論した。
第5回研究会(グローバル基礎理論チーム主催)では,J.ラズの法体系をめぐる議論を詳細に検討しながら,法体系の特性や国家法以外の法の取扱いの問題を解明した。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 京都大学, 19H00568 - 「仲裁の消費者化」の法理・実態・展開過程:現代アメリカ「ビジネス保守」の法文化
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
2019年04月01日 - 2022年03月31日
会澤 恒
本研究は、米国において、消費者契約や個別的雇用契約においても仲裁条項が広まっていること(「仲裁の消費者化」)を踏まえた上で、それをめぐる実定法規範の構造と背景にある法文化・政治過程を検討するものである。
本年度は実定法規範の構造把握を中心に行った。まず、2010年台における連邦最高裁の連邦仲裁法をめぐる判例法について、中軸となっているConcepcion判決・Italian Colors Restaurant判決に焦点を当てつつ整理・分析した。社会の実態を軽視して形式論を重視した判断により、仲裁条項に「字義通り」の効力を与えるべしとして、これに対する司法的コントロールを無化するかのような判例法が打ち出されている。その上で、これは民事司法の縮小化というヨリ大きな動向の一環であり、アメリカ法(さらにはアメリカの政治・社会一般)の「保守化」というモチーフに統合し得るものであるとの仮説的な展望を示した。
また、制定法が私人に民事訴権を付与している場合の、その仲裁付託可能性についても検討した。この点、かつては連邦最高裁も制定法上の民事訴権の仲裁付託について警戒的な態度を示していた。仲裁付託を認めるに際しても、初期には、国際的な企業間取引の事案の特徴を強調したり、仲裁手続に対する行政機関による監督がなされているといった事情が適示されていた。だが、判例の蓄積に伴いそのような慎重な考慮は忘れ去られ、議会の意図のみに焦点を合わせる審査スタイルが定着し、実際にも消極的に判断されることはほとんどなくなっている。制定法上の民事訴権は、行政が関与せずとも私人による訴訟を通じた法執行がなされるという政策スタイルであるが、民事訴権であるが故に当事者が自由に処分可能であるとの性質が露わとなり、これが「消費者化」した仲裁と組み合わされることで実際には法執行が低調になってしまう、という状況を明らかにした。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 19K01242 - 現代アメリカの法源・法過程・法思考――制定法解釈論とコモンローをめぐって
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
2015年04月01日 - 2018年03月31日
会澤 恒, 椎名 智彦
リーガル・プロセス学派がもたらした、諸機関の相互作用の連鎖として法を観念した上で、各機関の制度的適性を見極めることでそれぞれに相応しい法形成作用を割り当てようとの考え方は、現代アメリカの法律家・法学者の思考枠組みとして定着している。議会は政策形成の府として期待されるが、利益政治に対する脆弱さは採択されるルールに歪みと偏りをもたらし得る。司法部にはオープンな討議を継続していくプロセスの維持という役割が割り当てられるが、これは実体的価値が分裂し、特定の価値をめぐって政治的・社会的な合意を直接に調達することが困難な状況において、なお可能な法的議論を追求する試みと言える。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 15K03073 - 米国<不法行為改革>の展開と背景――現代アメリカ私法史に向けて
科学研究費助成事業 若手研究(B)
2011年 - 2013年
会澤 恒
立法部のみならず司法部も法形成権能を持ち、さらに連邦と州との対抗関係という米国の法形成回路の重層性・複数制は、関係アクターに対してフォーラムを切り替えつつ自らの欲する法を求める可能性を与えている。しかしこれにより、とりわけ州レベルにおける法システムの自律性の弱さも浮き彫りとなる。伝統的に州法であった不法行為法は断片的ながらも連邦化・憲法化されつつある。産業界に裁量の余地を与える法動向は契約法や民事司法一般にも見られ、裁判所自体が民事司法の扉を閉じつつあり、このことは不法行為法における動きが孤立したものではないことを示す。実証的法学研究の法実務への影響は限定されている。
日本学術振興会, 若手研究(B), 北海道大学, 23730003 - 米国連邦行政規制による州不法行為法の専占--製品安全規制・金融取引規制を中心に
科学研究費助成事業 若手研究(B)
2009年 - 2010年
会澤 恒
米国における連邦行政規制と州不法行為法との相克という現象は<不法行為改革>の一部をなす。<改革>推進派は複数の法形成フォーラムを切り替えつつ、そのアジェンダを推進している。だがこのことから、<改革>手法の間で緊張関係をはらむ場合があり得ることも見出された。アカデミックには、複数の法形成フォーラムから適切なものを選択する政策問題として定式化されるが、このこと自体が、不法行為法の第一義的な関心が抑止にあるということを(再)確認しており、損害填補に対する関心が低下していると評価し得る。
日本学術振興会, 若手研究(B), 北海道大学, 21730003 - 「先住民族の権利に関する国連宣言」の国内的実現に係る総合的・実証的研究
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
2007年 - 2010年
常本 照樹, 佐々木 雅寿, 山下 龍一, 桑山 敬己, 長谷 川晃, 辻 康夫, 会澤 恒, 山崎 幸治, 本多 俊和
「先住民族の権利に関する国連宣言」は、世界の先住民族にとって共通に必要な権利を謳うとともに、個々の先住民族及び関係する国家の実情に応じた権利実現を認めている。2008年に国会及び政府はアイヌ民族を先住民族と認めたが、日本及びアイヌ民族の実情に応じた権利実現のあり方としては、憲法13条の「個人の尊重」を基本とし、個人としてのアイヌがアイヌとしてのアイデンティティの保持を積極的に選択できる社会の実現を目標とすべきである。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 19203002 - <法のクレオール>と主体的法形成の研究
科学研究費助成事業 基盤研究(S)
2005年 - 2009年
長谷川 晃, 松村 良之, 今井 弘道, 鈴木 賢, 田口 正樹, 水野 浩二, 齋藤 哲志, 中村 民雄, 尾崎 一郎, 会澤 恒, 林田 清明, 桑原 朝子
本研究の目的は、異なる法体系の間の遭遇/浸透/変成における連鎖的秩序形成過程を主体的で不断の法創造たる<法のクレオール>として捉え、その有り様について価値的、行為的、思想=制度的、そして統合的という4つの問題次元の協働状態からなる法動態の多次元的相互作用を示す統合モデルを構想しつつ、様々な歴史・制度的事例において相同性を有する主体的法形成の諸要素・条件の動態比較的な理論分析と実証を行うことであった。そして5年間の研究期間の後に、そこでは<法のクレオール>の一般的モデルとして、法的主体化~法的変成~法的混合という3つのクレオール過程を一方の軸とし、他方でそれらの過程が人々の解釈的活動主体性という動因によって展開されるという動的な枠組みが析出され、これを基礎として、特に法的変成における価値的次元、行為的次元、および思想=制度的次元(東アジア・西欧・北米・日本)について、それぞれの法的問題状況の相異-すなわち、支配-抵抗関係における法的抑圧状況、侵略-対抗関係における法的圧迫状況、そして拡張-継受関係における法的流入状況-に応じて<法のクレオール>のモードが変化することが証示された。
このような成果は、従前の法学研究にはない斬新な動的視点から異なる法体系の間の普遍的な相互影響・形成作用を明らかにするものであり、まもなく論文集『異法融合とその諸相』(仮題)として公刊される運びとなっている。また、この研究過程では、国内外の関連研究者間の研究ネットワークの創出、関連文献資料アーカイヴの整備も行われ、国内・国外を通じて新たな研究領域たる<法クレオール>論のフォーラムが築かれることとなった。
日本学術振興会, 基盤研究(S), 北海道大学, 17103001 - 懲罰的賠償の法過程--私人による法実現の可能性と限界--
科学研究費助成事業 若手研究(B)
2005年 - 2006年
会澤 恒
本研究は、2003年のState Farm Mutual Automobile Ins.Co.v.Campbell連邦最高裁判決(538 U.S.408)が、米国における懲罰的賠償制度を限定的な方向で変質させつつあるとの理解の下に研究を開始した。そして、同判決を受けた下級裁判所における制限的な運用が観察される一方で、Campbell判決及びその直接の先例であるBMW v.Gore判決(517 U.S.559(1996))の理由付けの錯綜は解決されていないということも確認された。他方で、当事者の代理人弁護士も裁判所の制限的な運用を意識した訴訟行動を取る傾向が見られた。
最高裁は2007年2月のPhilip Morris USA v.Williams判決(127 S.Ct.1057)において、懲罰的賠償にさらなる限定を加える判断を下した。同事件では、タバコ会社の虚偽広告によって安全と信じて喫煙を続け死亡した者の妻が起こした訴訟において、オレゴン州裁判所が填補賠償82万ドル強に加え、その100倍近い7950万ドルの懲罰的賠償を被告に命じたことから、被告タバコ会社が連邦最高裁へ上告していた。法廷意見は当該懲罰的賠償が原告以外の者に関する懲罰的要素を含んでいると考えられるとして差し戻した。ここでは、「私人による法実現」という考え方からの大きな方向転換が見られる。私人が「私的法務総裁」として社会全体の利益を志向して民事訴訟の原告となる、という政策実現のための懲罰的賠償の利用について、制約を越えて否定と言える判示を行っており、制限的な方向での懲罰的賠償の変質という予測が確認されたと言える。懲罰的賠償制度の終焉と言ってよい。
以上の成果は会沢恒「懲罰的賠償の終焉!?--Gore・Campbell・Williams、またはBMW・State Farm・Phillip Morris」として北大法学論集に公表予定である。
日本学術振興会, 若手研究(B), 北海道大学, 17730001 - 文化のクレオールと法の構造化-<比較法形成論>の探究とその深化-
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
2002年 - 2004年
会澤 恒, 長谷川 晃, 尾崎 一郎, 鈴木 賢, 田口 正樹, 桑原 朝子
本研究においては、平成14年度は研究の第1ステージとして各問題次元に即して文献や資料を整理し、着眼点の絞り込みを行った。15年度は研究の第2ステージとして、文化のクレオールと法の構造化の過程の一般的パタンを各問題次元ごとに立体的に分析した。そして16年度は各次元での研究の全体的な統合を試みた。
価値的次元に関しては、価値の移植のプロセスの意義と憲法体制のあり方をめぐって、文化のクレオールと法の構造化における「社会につながれた批判者」の役割とそれに媒介された価値の浸透=変成のプロセスを解明した。社会的次元に関しては、国家の法理念と社会の法文化のギャップという制度/社会構造依存的因子を把握し、特に「帝国」への抵抗が自閉的自己称揚に陥る過程を検討して、法の相互浸透の阻害条件を解明した。歴史・制度的次元においては、まずアジアに関して、東アジア法系の成立可能性について考察し、特に中国における連続的、段階的な違いの連鎖として物事をとらえるグラデーション文化とその西洋法文化への接合状況を解明した。またヨーロッパに関しては、中世後期ドイツの都市内外における法規範と社会の相互作用を中心として、特にカール5世刑事裁判令の制定過程と中小貴族層との関係を調査し、貴族の利害関心の役割を解明した。さらにアメリカに関しては、アメリカ社会・政治制度の根幹である自由・人権の再定義のプロセスを考察し、宗教に影響されたアメリカ社会における法の支配の理念のコンセンサスの意義を解明した。最後に日本に関しては、中国からの律令受容が深化した平安前期に焦点を当て、法の担い手として活躍した文人貴族の意識構造を探り、古代の明法家による律令条文の注釈が日本の法と社会を変容させてゆく過程を解明した。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 14320001