大木 淳之 (オオキ アツシ)

水産科学研究院 海洋生物資源科学部門 海洋環境科学分野教授
北極域研究センター教授
Last Updated :2025/12/04

■研究者基本情報

学位

  • 博士(理学), 東京大学

プロフィール情報

  • 1973年埼玉県出身。
    海洋環境を調べる研究をしている。実習船や研究船で野外観測し、実験室にて分析する仕事である。北海道大学水産学部では、海洋生物科学科の教員として主に化学系の授業を受け持っている。



    現在の主な研究テーマは、海洋植物が放出する有機ハロゲンガスの分布に関する研究である。最近は、マコンブ有機物の分解特性を調べている。



    2006年頃までは、大気中の黄砂粒子の動態や海水への溶け具合、大気中粒子の水溶性イオン成分に挙動に関する研究を行っていた。とくに、粒子の粒径分布の特徴を解析するのが好きである。最近は、大気中粒子の仕事はしていないが、大気中オゾンと海水の反応で生成されるヨウ素化合物の研究も(学生任せで)やっている。


    2019年度より、北海道大学の「バランスドオーシャン事業」(https://repun-app.fish.hokudai.ac.jp/)に携わっている。海の分野のオンライン教材を集積して、北大の学生や一般に提供するものである。LASBOS(Learning And Study by Balance de Ocean System)から、オンライン教材を公開している。かなりのコンテンツ数になってきた。SDGsとの関係を記述して、SDGsマッピングの機能を持たせるようにしている。SDGsを軸にして、教育や大学広報にも力を入れている。SDGsの授業では、学生グループ(チーム藻場)が藻場の大事さを訴えていた。これに触発されて、以下、大型藻類の研究に取り組み始めた。


    2022年度より、函館市と北大院水産との共同プロジェクト、函館マリンカルチャープロジェクトにて、サーモン養殖とマコンブ養殖の環境調査を始めている。マコンブ養殖に関係して、マコンブのブルーカーボン効果を調べている。研究を始めたところ、明らかにしなくてはならないことが山ほどあることがわかった。これに真面目に取り組もう。流行りのブルーカーボンに便乗するわけではない。ブルーカーボン研究の問題点が見えてきたから、これを正しい方向に導きたいからである。


    これまで大気、海水、堆積物と色々な研究テーマに取り組んできて、今は、サーモンやコンブである。目の前にある楽しいテーマがあれば、何でもよい。色々なリンクが見えてくるのが楽しいのである。


    趣味は、函館にてゴーヤと椎茸を栽培すること。初夏(7月)の函館は涼しく、北海道の中でもゴーヤ栽培に不向きな場所である。函館の6-7月は親潮の影響で、平均気温が札幌より1℃ほど低い。この1℃の差がゴーヤには致命的である。函館では、ポットで発芽させ、6月中は毎晩家の中に入れ、7月はビニールチューブで育て、8月に大きく成育、9月にようやく収穫できる。2020年には、毎日6本、3か月間、ゴーヤを収穫した。大学内で、同僚教員や学生にゴーヤを配るのに忙しい。(一度でも、「ゴーヤ美味しい」と口を滑らせると、毎週のようにゴーヤが届けられるようになるので要注意)

    当研究室では、海の研究をしたい学生を募集しています。研究室HPを見てください。
    北大水産学部HPからリンクしています。

Researchmap個人ページ

研究キーワード

  • VOC
  • ハロカーボン
  • ブロモホルム
  • 揮発性有機化合物
  • 臭化メチル
  • 海洋起源
  • 揮発性有機ハロゲン化合物
  • 海洋植物プランクトン
  • ジブロモメタン
  • 海洋大気
  • 混合層
  • 植物プランクトン
  • 大気観測
  • 塩化メチル
  • 生成メカニズム
  • ヨウ化メチル
  • 海洋観測

研究分野

  • 環境・農学, 環境動態解析

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2023年04月 - 現在
    北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授, 日本国
  • 2011年04月 - 2023年03月
    北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授
  • 2006年09月 - 2011年03月
    国立研究開発法人国立環境研究所, NIESポスドクフェロー
  • 2006年04月 - 2006年09月
    北海道区水産研究所, 支援研究員
  • 2003年04月 - 2006年03月
    北海道大学, 地球環境科学研究科, 学振PD

学歴

  • 2000年04月 - 2003年03月, 東京大学, 理学系研究科, 地球惑星科学専攻博士課程
  • 1997年04月 - 1999年03月, 東京理科大学, 理学研究科, 物理学専攻修士課程
  • 1993年04月 - 1997年03月, 東京理科大学, 理学部, 物理学科

■研究活動情報

論文

その他活動・業績

講演・口頭発表等

所属学協会

  • 日本分析化学会               
  • 日本地球化学会               
  • 日本海洋学会               

Works(作品等)

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 海の暗い所で珪藻が栄養塩を消費する事実-生存戦略の仮説を提唱-
    科学研究費助成事業
    2022年06月30日 - 2025年03月31日
    大木 淳之, 野坂 裕一, 亀山 宗彦, 野村 大樹
    北海道噴火湾で珪藻が大増殖する春先に、有光層の直下(無光層)にて、海水中の栄養塩が減る現象が捉えられた。北海道噴火湾の珪藻ブルーム時に採取した海水に栄養塩を添加したところ、暗所でも栄養塩が急速に消費されることがわかった。有光層で栄養不足に陥った珪藻が無光層に沈降して、無光層に豊富にある栄養塩を吸収することが考えられた。珪藻ブルームで見られるタラシオシラ・ノルデンスキオルディの無菌培養株を培地で増殖させ、培地中の栄養塩が枯渇したのを確認してから、栄養塩(硝酸イオン、リン酸イオン、ケイ酸)を添加、暗所に移す暗所培養実験を行った。すると、暗所に置いてから3日ほどで、硝酸イオン、リン酸イオン、ケイ酸が枯渇した。暗所にて、珪藻が栄養塩を吸収することが確認された。同様の実験にて、過剰量の栄養塩を添加したところ、硝酸イオンとリン酸イオンの暗所での取り込みは数日で終わった。しかし、ケイ酸については暗所での培養期間中(11日間)、取り込みが続いた。暗所で栄養塩を吸収させた後、再び明所に置いて増殖する能力があるかを確かめた。11日間暗所に置いた後では、増殖を確認することができなかった。暗所に置いた時点で、栄養塩枯渇のため死滅しつつあった可能性、暗所で吸収した栄養塩では再増殖に使えない可能性が考えられた。珪藻が浮力を保つ方法として、透明細胞外重合粒子(TEP)を放出することを想定している。自然海水中および培養海水中のTEP濃度を測定する手法を確立した。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 22K19838
  • 海氷表面に見られる有機臭素ガスの高濃度現象―低温化学反応チャンバー実験による検証
    科学研究費助成事業
    2020年04月01日 - 2023年03月31日
    野村 大樹, 薮下 彰啓, 山下 洋平, 大木 淳之
    高緯度海域に分布する海氷は、地球規模の気候変動を制御する要因として大きな役割を担っている。従来、海氷は、物質循環の観点において大気と海洋間の「障壁」として認識されてきた。しかし、実際、海氷表面では、結氷による濃縮効果によって溶存物質が高濃度化し、大気に対して放出源になることが予想される。ただ、極域の厳しい環境での観測の難しさにより、海氷表面での「低温化学」に関する反応機構の解明に至っていない。本研究では、自然界で起こる結氷現象を室内でのチャンバー実験で再現し、有機臭素ガス、特にブロモホルムに関して、海氷表面での化学反応機構・大気への放出過程を明らかにすることが目的である。本課題は、極域大気中オゾン濃度の急激な減少を招く有機臭素ガスの発生源が特定されていないことから設定した。本研究で提唱する海氷表面でのブロモホルム生成は、有機臭素ガスの大気への新たな発生源の提案となり、長年謎とされてきた大気中オゾン消失現象の原因解明に一石を投じることとなる。しかし、これまでの応募者らによる観測事実と低温環境での化学反応の新たな知見により、反応仮説を提唱するに至ったが、反応機構は検証されていない。そこで本年度は、チャンバー実験を実施し、本研究の解明に向けてのデータの採取を行った。具体的には、購入したチャンバーを利用した化学反応実験、また、室内での結氷および積雪を再現し、ブロモホルム生成に関する室内実験を実施した。また、これまでの観測データの解析を実施した。これらの解析を実施することにより、当初の目的に向けて順調に研究が進んでいる状況にある。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 20H04345
  • 海洋沿岸におけるヨウ素循環の解明-有機物分解に伴うヨウ素の化学形態変化-
    科学研究費助成事業
    2016年04月01日 - 2021年03月31日
    大木 淳之, 野村 大樹
    北海道噴火湾では、春の珪藻ブルームの後、海底付近の海水中でヨードエタンの濃度が高まる現象が発見されていた。有機ヨウ素化合物が海底堆積物から発生すると考え、海洋堆積物の観測を始めた。
    噴火湾の堆積物の表面では、春の珪藻ブルーム中から、ヨードエタンとヨードメタンの濃度高まることがわかった。ブルーム期間にプランクトンネットで珪藻凝集物を集め、ガラス瓶に密封して冷暗所に置いた。すると、3日目から、ガラス瓶内でヨードエタンの濃度が高くなることが確認された。珪藻凝集物から、ヨードエタンとヨードメタンが発生することを明らかにした。珪藻の無菌株を使った培養実験でも同様の結果を得ることができた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 16H02929
  • 光分解性成分の鉛直プロファイルから読み解く表層混合層の構造
    科学研究費助成事業
    2016年04月01日 - 2018年03月31日
    大木 淳之
    H28年度に実施した海洋観測にて、北太平洋亜寒帯循環域で海洋表面から水深300mの海水を鉛直的に採取し光分解性を有する有機ガス濃度を測定した。さらに、分光放射照度と鉛直拡散係数の測定を行った。H29年度には、光分解性を有する有機ヨウ素ガス種(ジヨードメタンとクロロヨードメタン)の鉛直プロファイルを再現するモデル(光分解と光生成、鉛直輸送、微生物による正味の生成を考慮)を構築した。ジヨードメタンのモデル結果では、微生物による生成に対して、表層混合層内での光分解が卓越するため、混合層内の濃度がモデル開始から数時間内にゼロに収束してしまった。混合層内でのジヨードメタンの濃度を実測値に保つには、日中のみ、ジヨードメタンの光分解を補償するだけの未知の生成過程が存在しなくてはならない。つまり、ジヨードメタンが光分解すると同時に、その減少分を補うだけ光生成していることが示唆された。H29年度の研究では、ジヨードメタンの光生成過程を調べる実験も行ったが、その実験的証拠を得るには至らなかった。そこで、ジヨードメタンの濃度を保つメカニズムは不明のままとして、その濃度が定常状態に保たれていることを仮定し、クロロヨードメタンの鉛直分布モデルを構築した。クロロヨードメタンモデルにおいては、ジヨードメタンの光分解に起因するクロロヨードメタンの光生成の項を加えた(過去の知見を引用)。クロロヨードメタンの光生成項を加えないと、ジヨードメタンと同様に表層での光分解が卓越して表層水中の濃度が速やかにゼロに収束してしまったが、光生成項を加えると実際の濃度をよく再現するモデル結果が得られた。クロロヨードメタンの鉛直プロファイルは、光生成と光分解、鉛直混合により決まることが明らかとなった。これにより、クロロヨードメタンの濃度、光生成と光分解を得れば、鉛直混合を読み解く道筋をつけることができた。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 16H01586
  • 海氷融解による生態系の変化が物質循環に与える影響ー豪州砕氷船による国際南極観測ー
    科学研究費助成事業
    2015年04月01日 - 2018年03月31日
    飯田 高大, 田村 岳史, 茂木 正人, 大木 淳之, 野村 大樹
    本研究では、南極海の氷縁域において、海洋生態系と化学物質循環を総合的に観測するプロジェクトを立ち上げ、豪州が代表の砕氷船を用いた国際共同観測に参画する。近年、南極の季節海氷域における生態系変動が化学物質循環のパターンを変え、地球環境変化に大きな影響を及ぼす可能性が指摘されている。しかし、南極域へのアクセスは気象・海況条件が厳しいため現地観測データは乏しく、その影響を評価するにはほど遠い。そこで、地球温暖化の影響が顕著に表れつつある季節海氷域に特化して、海氷融解の物理環境変化がもたらす植物・動物プランクトン群集の変動を解析し、生態系変動により引き起こされる化学物質循環の変化を明らかにし、全球規模での環境応答を予測する。本年度(平成27年度)は、これまで我々が海氷観測のプラットフォーム及び観測サイトとして利用してきた巡視船そうやとサロマ湖において、以下の予備的調査観測を実施した。また、海洋生態系における海氷の役割を解明する目的で、東京海洋大学海鷹丸を用いて南極海季節海氷域において海洋観測を実施した。
    1. 巡視船そうや航海観測: オホーツク海の海氷監視にあたる巡視船そうやに乗船し、外洋域の海氷を採取した。海氷中の化学成分、植物及び動物プランクトンの種類同定用サンプルを採取した。現在、分析・解析を実施している。
    2. サロマ湖現地観測: 南極海の海氷上での海氷採取作業等を想定し、掘削機器の動作試験と取扱法の習熟、海氷サンプルの採取を行った。オーストリアから訪問した共同研究者とともに本観測を実施した。
    3. 南極海での海洋観測:東京海洋大学海鷹丸で、平成28年1月に南極海の南緯60度から65度、東経110度付近において海洋観測を実施した。観測項目は各種ネットによるプランクトン・魚類の採集、海氷の採取、水温・塩分である。現在、分析・解析を実施している。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 15H05116
  • 北太平洋におけるモノハロメタンの時空間的な分布と生成・分解過程の解明
    科学研究費助成事業
    2012年04月01日 - 2016年03月31日
    大木 淳之
    メチル基にハロゲンが一つ結合した化合物をモノハロメタンという。対流圏や成層圏のオゾンを破壊する効果をもち、海洋はモノハロメタン発生源の一つと考えられている。本研究では、海洋のモノハロメタン分布を調査した。北極海のチャクチ海陸棚上では、底層水中でモノハロメタン3成分の濃度が高くなった。北海道噴火湾では、有機物分解が進行する時期に中層にてブロモメタンとクロロメタンの濃度が極大を示した。植物プランクトンの培養実験により、対数増殖期にはモノハロメタンの生成は無かったが、定常期から老化・死滅期に生成が確認された。モノハロメタン生成には、植物プランクトンの老化や有機物分解が関与していることが考えられた。
    日本学術振興会, 若手研究(A), 北海道大学, 24681001
  • 北西太平洋の混合域における臭素系ハロカーボンの高濃度現象の解明
    科学研究費助成事業
    2010年 - 2011年
    大木 淳之, 横内 陽子
    北西太平洋の混合域北部(40-42°N, 145-160°E)で表面海水中の臭素系ハロカーボン(CH_3Br, CH_2Br_2, CHBr_3)が高濃度になる現象を捉えた。また、30°Nでは亜表層に顕著な濃度極大が見られたのに対して、45°Nでは表層から亜表層にかけて一様な鉛直分布が見られた。臭素系ハロカーボンの水平・鉛直分布の特徴は、混合層の形成過程、大気への放出、植物プランクトンによる生成のバランスで決まることが考えられた。
    日本学術振興会, 若手研究(B), 22710018
  • 海洋起源ハロカーボン類のフラックスと生成過程
    科学研究費助成事業
    2006年 - 2010年
    横内 陽子, 橋本 伸哉, 伊藤 伸哉, 大木 淳之
    海洋から大気中に放出されるハロカーボンについてグローバルな大気観測および北西太平洋と南北インド洋における海水中ハロカーボン連続観測によってそれらの分布と変動を明らかにした。また、植物プランクトンの培養実験により、ハロカーボンがクリプト藻やラン藻の培養後期(減少期)に生成されることを示し、さらに、海産性微細藻類の生物学的なヨウ化メチルの生成機構がハライドイオン・チオールメチルトランスフェラーゼ(HTMT)反応に起因することを明らかにすると共に遺伝子の単離にも成功した。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 独立行政法人国立環境研究所, 18067012
  • 大気中人為起源物質による鉱物粒子の変質過程と海洋環境へ与える影響に関する研究
    科学研究費助成事業
    2003年 - 2005年
    大木 淳之
    大気から地表面へ沈着する鉱物粒子の粒径分布と粒径別鉱物粒子の鉄溶出率を測定した。大気エアロゾルを海水に抽出して鉄溶出率を測定する手法を確立し、人為起源エアロゾルの鉄溶出率を測定した。
    1.粒径別鉱物粒子の鉄溶出率
    2001年3月11日に大規模な黄砂現象を北海道札幌市で観測した。大気境界層上部に位置する手稲山頂で積雪中の黄砂粒子を集めた。黄砂粒子を沈降法で12.大気エアロゾルを容器内で攪拌して鉄を抽出するには、(1)溶出した無機鉄が容器壁面へ吸着すること、(2)不溶性粒子が容器壁面へ吸着すること、の両方の吸着損失がある。両者を区別することは原理的に不可能である。インライン式で連続抽出する方法を採用し、両吸着損失の問題を解決した。直径47mm、孔径0.1〓mのヌクレポアフィルターで大気エアロゾルを捕集し、そのフィルターを鉄溶出用のインラインフィルターホルダーにセットする。ペリスターポンプで溶媒をフィルターに滴下・抽出した。ポリエチレン製の容器内に抽出液を回収しpH1酸性で安定化させた後、原子吸光光度計で溶出した鉄量を測定した。黄砂の影響がほとんどない冬季は鉄溶出率が数十%に達した。これは人為起源エアロゾルの鉄溶出率が高いことが影響している。本研究で開発した方法を応用すれば、黄砂粒子と大気中酸性気体の反応が鉄溶出率の変化に及ぼす効果、黄砂粒子が雲過程を経た場合の変化、などを調べることが可能である。
    日本学術振興会, 特別研究員奨励費, 北海道大学, 03J09603