尾﨑 一郎 (オザキ イチロウ)
法学研究科 法学政治学専攻 基礎法講座 | 教授 |
社会科学実験研究センター | 教授 |
人間知・脳・AI研究教育センター | 教授 |
Last Updated :2024/12/06
■研究者基本情報
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■経歴
経歴
学内役職歴
- 教育研究評議会評議員, 2020年12月15日 - 2022年12月14日
- 教育研究評議会評議員, 2022年12月15日 - 2024年12月14日
- 大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター長, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
- 大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター長, 2017年4月1日 - 2018年3月31日
- 大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター長, 2018年4月1日 - 2019年3月31日
- 大学院法学研究科副研究科長, 2020年12月15日 - 2022年12月14日
- 法学部長, 2022年12月15日 - 2024年12月14日
- 大学院法学研究科長, 2022年12月15日 - 2024年12月14日
■研究活動情報
論文
- 宗教の根源性と法の必要性 — 櫻井論文を承けて—
尾崎一郎
法律時報, 96, 2, 79, 84, 2024年02月 - 政教分離の語り方(下) —法と宗教のミスコミュニケーション—
尾崎一郎
法律時報, 95, 2, 70, 75, 2023年01月 - 政教分離の語り方(上) —法と宗教のミスコミュニケーション—
尾崎一郎
法律時報, 95, 1, 91, 96, 2022年12月 - 法をめぐるミスコミュニケーション 企画趣旨
尾崎一郎
法律時報, 95, 1, 90, 90, 2022年12月 - 放置不動産と人格的価値
尾崎一郎
秋山靖浩編著『新しい土地法:人口減少・高齢化社会の土地法を描く』(日本評論社), 89, 115, 2022年04月 - 法の前の神々、神々の前の法
尾﨑一郎
論究ジュリスト, 38, 204, 212, 2022年04月 - 相互監視と分散的制裁
尾崎一郎
立教法学, 105, 46, 67, 2022年03月 - ソーシャルメディア・法・速度 —藤代・成原・松尾報告に対する指定討論—
尾崎一郎
法社会学, 88, 116, 123, 2022年03月 - グローバリゼーション
尾崎 一郎
佐藤岩夫=阿部昌樹編『スタンダード法社会学』, 281, 289, 2022年03月 - 基調報告(「日本国憲法のアイデンティティ」へのコメント)
尾崎一郎
論究ジュリスト, 37, 2021年11月
日本語, 研究論文(学術雑誌) - 法の外来性と受容についての覚え書き
尾崎一郎
琉球法学, 104, 91, 99, 2021年09月 - 法のクレオール論再考—2つの「外」について—
尾崎一郎
菅原寧格・郭舜編『公正な法をめぐる問い』(信山社), 63, 77, 2021年03月
日本語, 論文集(書籍)内論文 - 科学という見果てぬ夢
尾崎一郎
法学セミナー, 66, 1, 2020年12月 - 区分所有法:法社会学的考察
尾崎 一郎
新注釈民法 物権2, 2020年12月 - 放置不動産と人格的価値(下)
尾崎一郎
法律時報, 92, 12, 107, 113, 2020年10月 - 放置不動産と人格的価値(上)
尾崎一郎
法律時報, 92, 11, 118, 123, 2020年09月 - 特集 外国法の参照 企画趣旨
尾崎一郎
法律時報, 92, 4, 4, 5, 2020年03月 - 虚構を暴き、虚構に生きる
尾崎一郎
小坂井敏晶『増補 責任という虚構』ちくま学芸文庫, 489, 504, 2020年01月 - 紛争行動/法使用行動と法文化について
尾崎 一郎
法文化学会叢書第17巻, 2019年08月 - 所有権概念の社会的機能
尾崎 一郎
法律時報, 91, 2, 83, 87, 2019年01月 - 現代法における「人間」の相対化:企画趣旨
尾崎 一郎
法律時報, 90, 12, 4, 5, 2018年10月 - ヘイト・スピーチの規制と無効化—言語行為論からの示唆—
尾崎 一郎
ダニエル・フット他編『法の経験的社会科学の確立に向けて—村山眞維先生古稀祝賀—』, 2018年 - 複合的分断と法-企画の趣旨-
尾崎 一郎
法律時報, 2017年, 8月号, 7, 12, 2017年07月
日本語, 研究論文(学術雑誌) - 「ネットワーク社会」における「都市コモンズ」について
尾崎 一郎
吉田克己=角松生史編『都市空間のガバナンスと法』(信山社), 267, 286, 2016年10月
日本語 - ビッキーと孤独な隣人たち-近隣トラブル-
尾崎 一郎
阿部昌樹他編『新入生のためのリーガル・トピック50』(法律文化社), 82, 83, 2016年03月
日本語 - 自然法則与法的正義‐論法学的生物科学化‐(自然の摂理と法的正義:法学の生物科学化をめぐって)
尾崎 一郎
浙大法律評論, 3, 315, 329, 2016年03月
中国語 - 司法への市民参加と文化ギャップーベルギーと台湾の調査からの問い-
尾崎 一郎
広渡清吾先生古稀記念論文集『民主主義法学と研究者の使命』(日本評論社), 519, 536, 2015年12月
日本語 - シンポジウム「新しい『所有権法の理論』」企画趣旨
尾崎 一郎
法社会学, 80, 1, 9, 2014年03月
日本語, 研究論文(学術雑誌) - Law, Culture and Society in modernizing Japan
尾崎 一郎
Dimitri Vanoverbeke, Jeroen Maesschalck, David Nelken & Stephan Parmentier (eds.), The Changing Role of Law in Japan: Empirical Studies in Culture, Society, and Policy Making, Edward Elgar, 519, 536, 2014年, [査読有り]
英語 - 法と正義:その親和性と懸隔
尾崎 一郎
法社会学, 78, 62, 73, 2013年03月
日本語, 研究論文(学術雑誌) - トイブナーの社会理論と法律学
尾崎 一郎
瀬川信久編『システム複合時代の法』(信山社), 129, 153, 2012年11月
日本語 - 日本における法文化の変容と法のクレオール
尾崎 一郎
長谷川晃編『法のクレオール序説ー異法融合の秩序学ー』(北海道大学出版会), 33, 50, 2012年06月
日本語 - 法を選ぶ/法に関わる
尾崎 一郎
法律時報, 2011年, 4月号, 100, 105, 2011年03月
日本語, 研究論文(学術雑誌) - トイブナー教授の御報告へのコメント
尾崎 一郎
新世代法政策学研究, 10, 10, 205, 209, 北海道大学グローバルCOEプログラム「多元分散型統御を目指す新世代法政策学」事務局, 2011年
日本語 - 「本質的社会性」から「法」へと至る条件
尾崎一郎
新世代法政策学研究, 10, 145, 150, 2011年
日本語, 研究論文(学術雑誌) - 問題経験者の不作為について
現代日本の紛争処理と民事司法1:法意識と紛争行動, 141, 2010年 - マンションにおける秩序と時間
ジュリスト, 1402, 51, 2010年 - トートロジーとしての法(学)?-法のインテグリティと多元分散型統御-
尾崎 一郎
新世代法政学研究, 3, 191, 220, 北海道大学グローバルCOEプログラム「多元分散型統御を目指す新世代法政策学」事務局, 2009年
日本語 - 紛争行動と法の主題化
村山眞維他編『法社会学の新世代』, 45, 2009年 - 法のクレオールを阻むもの
北大法学論集, 58, 3, 363, 2007年 - Civil Litigation in Postwar Japan
Judicial System Transformation in Globalizing World, 105, 136, 2007年 - Judicial System Reform and Legalization: A Rapid Lapse from Idealsim to Instrumentalism
Emerging Concepts of Rights in Japanese Law, 211, 230, 2007年 - 都市から郊外に移る生活空間
史料で読むアメリカ文化史5, 184, 195, 2006年 - 現代的法機能と秩序
『NJ叢書 法社会学』, 17, 34, 2006年 - 都市の公共性と法主体
北大法学論集, 56, 5, 380, 416, 2006年 - マンション建築紛争と行政型ADR
自治体学研究, 91, 44, 47, 2005年 - マルチチュードの(不)可能性
『非対称化する世界』(以文社)所収, 171, 198, 2005年 - 阿部昌樹著『ローカルな法秩序-法と交錯する共同性-』
尾崎 一郎
法社会学, 2003, 58, 257, 263, The Japanese Association of Sociology of Law, 2003年 - トラブル処理のしくみ
交渉と紛争処理, 43, 59, 2002年 - 「現代の社会変動とコミュニティ論」
『都市問題研究』, 2002年7月号, 74, 88, 2002年 - 『交渉と紛争処理』<和田仁孝=太田勝造=阿部昌樹編所収>
日本評論社, 2002年 - 生き甲斐としてのコミュニティ
法社会学, 55, 56, 70, 2001年 - 「都市的社会関係と調停」
『法社会学』, 第52号, 103, 109, 2000年 - 都市における公共性の再生と法の役割
北海道大学法学部ライブラリー4 市民的秩序のゆくえ, 113, 141, 1999年 - 『北海道大学法学部ライブラリー4 市民的秩序のゆくえ』所収
1999年 - 「都市的紛争と法」
『岩波講座現代の法9都市と法』, 1997年 - 『岩波講座現代の法9 都市と法』所収
1997年 - 「都市の公共性と法 (三)-マンションにおける生活と管理-」
『法学協会雑誌』, 113, 11, 1, 58, 1996年 - 「都市の公共性と法 (四)-マンションにおける生活と管理-」
『法学協会雑誌』, 113, 12, 35, 72, 1996年 - 「都市の公共性と法 (二)-マンションにおける生活と管理-」
『法学協会雑誌』, 113, 10, 73, 126, 1996年 - 「都市の公共性と法 (一)-マンションにおける生活と管理-」
『法学協会雑誌』, 113, 9, 60, 120, 1996年 - Community Dispute Resolution in Japan's Dense Urban Society
The Proceedings of 1995 Annual Meeting of Research Committee on Sociology of Law, 2, 0, 1995年 - 東京大学都市行政研究会研究叢書6
1992年
その他活動・業績
- 最新判例批評(35)複合型マンションにおける店舗部分の営業時間の制限は、集会の決議によって定めることができるとされた事例(東京高判平成15.12.4) (判例評論(555))
尾崎 一郎, 判例時報, 1885, 185, 190, 2005年05月01日
判例時報社, 日本語 - 法のエスノグラフィーの基本視角 Laura Nader, The Life of the Law: Anthropological Projects
尾崎 一郎, アメリカ法, 2004, 1, 106, 110, 2004年07月
日米法学会, 日本語 - 第3報告 コミュニタリアン・リベラリズム法学 (法社会学理論の現在)
セルズニック フィリップ, 尾崎 一郎, 北大法学論集, 48, 5, 1095, 1116, 1998年01月
北海道大学法学部, 日本語
書籍等出版物
共同研究・競争的資金等の研究課題
- 相互監視と分散的制裁―情報ネットワーク社会の法意識の解明による国家法の再定位―
科学研究費助成事業
2019年04月01日 - 2023年03月31日
尾崎 一郎, 堀田 秀吾, 徐 行, 郭 薇, 山本 龍彦, 町村 泰貴, 池田 公博, 米田 雅宏
2019年6月16日に石川幹人明治大学教授をお招きしての研究会(「心の科学の学際的展開の現状と展望」)を明治大学で開催したのを皮切りに、オンライン会議室(Chatwork)を交えての意見・情報交換を継続的に行ってきた。2019年度末に新型コロナウイルスの感染拡大が始まり対面での交流がほぼ不可能になったことから、オンライン会議室でのコミュニケーション中心に移行した。2020年3月に予定していた対面での研究会合は延期し、オンライン会議室での議論を継続した上で、2020年12月20日にZOOMによる会議を行った。
これらのやり取りを通じて、ネット空間を舞台とする私人間の相互監視と分散的制裁という現代的現象について、代表的事例の質的考察と法的論点の整理を行った。理論的考察の総括として尾崎が「相互監視と分散的制裁」と題する論文を執筆したほか、デジタル社会における人権の問題(山本)や警察権(米田)に関する論考などを公刊することができた。
2019年に現地ヒアリングを行うべく中国社会科学院と連絡をとっていたところ、同時期に発生した複数の研究者の拘束事案を踏まえて、中国側の研究協力者と協議の上で訪問調査を中止し、別の調査国を選定することにした。オーストラリアと台湾を候補に挙げ、それぞれ予備的な訪問調査を2019年度末に行うべく準備していたところ、新型コロナウイルスの急速な感染拡大の深刻化と、世界的な移動の自粛および渡航制限レベルの引き上げを受けて、オーストラリアの予備調査については関係者の協力の下、オンラインでの会議とチャット・システムに切り替えて実施し所期の目的を達成することが出来た。2020年度も同様に新型コロナウイルス感染症拡大の影響による延期(2021年度への事故繰越)をせざるを得なかったため、関連文献の収集により、理論的分析と調査準備を行った。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 19H01403 - 法廷における異文化衝突の言語分析―法文化の変容と法批判をめぐって―
科学研究費助成事業
2014年04月01日 - 2019年03月31日
尾崎 一郎, 濱野 亮, 宇田川 幸則, 高橋 裕, 池田 公博, 堀田 秀吾
経済のグローバル化に伴い頻発するようになっている法廷における異文化衝突現象について言語学的な手法を用いて日本、台湾、ベルギーで実証的に調査研究した。外国人旅行者や移民が法廷に被告人や証人として関わる状況が典型例である。
調査の結果明らかになったのは、第1に文化衝突現象についての法律家の無自覚さ、法廷通訳などの仕組みの貧弱さであり、第2に法廷における文化衝突現象の表向きの「不在」ということである。規範や価値観の対立が法的な言語により抑制ないし隠蔽されて、表面上は法的な手続が展開されている。分断社会における文化衝突への法的応答の限界が逆説的に明らかになった。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 26285001 - 東アジアにおけるアメリカ認識の相克--日中韓比較による総合的研究
科学研究費助成事業
2014年04月01日 - 2018年03月31日
古矢 旬, 久保 文明, 大津留 智恵子, 小檜山 ルイ, 西崎 文子, 岡山 裕, 吉見 俊哉, 尾崎 一郎, 川島 真, 外村 大, 馬 暁華, 林 載桓, 宮田 智之, 中島 岳志, 眞壁 仁
本研究では、現代の東アジア国際関係に、日本、中国、韓国各国の対米認識の相違がいかなる影響を及ぼしてきたのかを、歴史と国際関係の現状との両面から解明してきた。
米国がこの地域で超大国として登場した第二次世界大戦以後現在まで、日中韓三国は、相互の対立と協調の諸局面で、自国の国益のために、米国の影響力を利用する必要に迫られてきた。本研究により、米国の歴史、社会、政治、経済、対外関係をいかに理解するかが、各国の内外諸政策の不可欠の決定要因であったことが明らかとなった。トランプ大統領登場以後の東アジア政治の展開も、それがアメリカ政治の変容と連動することを示すもう一つの事例であったといえよう。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海商科大学, 26243004 - 空き家問題に関する総合的・戦略的法制度の構築を目指す提言型学術調査
科学研究費助成事業
2014年04月01日 - 2017年03月31日
角松 生史, 秋山 靖浩, 尾崎 一郎, 高村 学人, 根本 尚徳, 野田 崇, 長谷川 貴陽史, 吉田 克己, 亘理 格, 内野 美穂
少子高齢化・人口減少等を背景とした空き家問題は、喫緊の政策的課題である。各地の空き家条例や空家法などの対策は、近隣外部不経済の除去を主たる目的とするが、空き家問題の解決に向けては、住宅政策・都市計画に関する政策論的考察や、総合的・戦略的な視点が不可欠である。
本研究は、空き家問題に対する戦略的・総合的法制度構築に資するため、公法学・私法学法社会学の研究者からなる研究グループを編成し、ドイツ・フランス・アメリカに関する文献調査・現地調査を行った。共同研究会の開催によって文献調査・現地調査の成果を共有し、国際シンポジウムを開催して成果を社会に公表した。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 神戸大学, 26301008 - アメリカ保守主義レジームの成立・展開とグローバル化の関連をめぐる総合的研究
科学研究費助成事業
2011年04月01日 - 2014年03月31日
古矢 旬, 久保 文明, 大津留 智恵子, 西崎 文子, 小檜山 ルイ, 酒井 酒井, 宮田 智之, 尾崎 一郎, 遠藤 泰生, 小浜 祥子
本研究は、現代米国の保守政治の政策展開に関して、国内政治と国際政治を結ぶひとつのサイクルを見出した。80年代以降、ヘゲモニー国家米国は、新自由主義的政策枠組みを世界に向けて送出してきた。その送出メカニズムは、政権交代から超越したワシントン・コンセンサス――連邦官僚機構、議会保守派、財界、民間シンクタンクなどからなる――を軸として作動し、内外施策の一貫性を生み出してきた。現代米国政治の「保守」とは、この新自由主義的政治経済の汎用的なアイデアとその国内と世界との環流のメカニズムを保守することを意味しており、伝統保守と異なる普遍主義的性格を示している、というのが本研究によって得られた知見である。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海商科大学, 23310175 - 西欧の素人裁判官による陪参審制度評価の調査――市民の司法参加の正統性基盤――
科学研究費助成事業
2010年04月01日 - 2014年03月31日
尾崎 一郎, 高橋 裕, 池田 公博, 濱野 亮, ヴァンオーヴェルベケ ディミトリ
ベルギー、ドイツ、フランスにおいて、陪審・参審員経験者、および裁判官、弁護士、研究者、ジャーナリスト等へのインタビューやアンケートによる調査を行った。その結果、陪審/参審制度に対する、現場を最もよく知る専門家による強い批判ないし廃止論と、無知・無関心だが法廷経験を通じて制度の正統性を肯定的に評価するに至る一般市民の意識変化との、複雑な交錯を見出せた。これは、歴史的に一定の定着を見ている制度をめぐる根源的で非自省的な正統性と、機能主義的で自省的な正統性との、次元の異なる二重の正統性の現れである。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 22402010 - ネットワーク社会における都市空間のガバナンス――新たな実定法パラダイムの構築
科学研究費助成事業
2009年04月01日 - 2014年03月31日
吉田 克己, 亘理 格, 角松 生史, 野田 崇, 興津 征雄, 秋山 靖浩, 根本 尚徳, 尾崎 一郎, 齋藤 哲志
現代社会は、政策と法の形成において多元的主体の水平的調整が重要な意味を持つネットワーク社会と特徴づけることができる。ネットワーク社会における都市空間のガバナンスは、主体の多元性を前提としつつ、公私協働を可能にするものとして構想される必要がある。本研究は、このような認識を明らかにするとともに、それを踏まえた新たな実定法パラダイム構築の基本的方向を提示した。日本の現代社会はまた、経済成長と都市人口急増の局面から、経済不況と人口減少を特徴とする局面に入っている。本研究は、この新たな問題状況が都市法のパラダイムに与える影響を分析し、人口減少社会に対応する都市法の理論的課題を解明した。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 21243007 - 司法制度改革の比較法社会学的考察-新制度派歴史社会学の視角から-
科学研究費助成事業
2007年 - 2009年
尾崎 一郎, 高橋 裕, 濱野 亮
近時の日本の司法制度改革は、経済のグローバル化に応じた効率的な司法の実現や、法化した社会における人権救済の強化、市民の一層の司法参加といった、機能的要請との関係で説明される側面以外に、自律的・安定的・均衡的に発展してきた「制度」が歴史的展開過程において当該均衡を破綻させて大きく変化する瞬間を迎えることを指して新制度派歴史社会学がいう「断絶均衡」としての側面を有している。また、そうした歴史的コンテクストは「法文化」によって規定されている。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 19330001 - <法のクレオール>と主体的法形成の研究
科学研究費助成事業
2005年 - 2009年
長谷川 晃, 松村 良之, 今井 弘道, 鈴木 賢, 田口 正樹, 水野 浩二, 齋藤 哲志, 中村 民雄, 尾崎 一郎, 会澤 恒, 林田 清明, 桑原 朝子
本研究の目的は、異なる法体系の間の遭遇/浸透/変成における連鎖的秩序形成過程を主体的で不断の法創造たる<法のクレオール>として捉え、その有り様について価値的、行為的、思想=制度的、そして統合的という4つの問題次元の協働状態からなる法動態の多次元的相互作用を示す統合モデルを構想しつつ、様々な歴史・制度的事例において相同性を有する主体的法形成の諸要素・条件の動態比較的な理論分析と実証を行うことであった。そして5年間の研究期間の後に、そこでは<法のクレオール>の一般的モデルとして、法的主体化~法的変成~法的混合という3つのクレオール過程を一方の軸とし、他方でそれらの過程が人々の解釈的活動主体性という動因によって展開されるという動的な枠組みが析出され、これを基礎として、特に法的変成における価値的次元、行為的次元、および思想=制度的次元(東アジア・西欧・北米・日本)について、それぞれの法的問題状況の相異-すなわち、支配-抵抗関係における法的抑圧状況、侵略-対抗関係における法的圧迫状況、そして拡張-継受関係における法的流入状況-に応じて<法のクレオール>のモードが変化することが証示された。
このような成果は、従前の法学研究にはない斬新な動的視点から異なる法体系の間の普遍的な相互影響・形成作用を明らかにするものであり、まもなく論文集『異法融合とその諸相』(仮題)として公刊される運びとなっている。また、この研究過程では、国内外の関連研究者間の研究ネットワークの創出、関連文献資料アーカイヴの整備も行われ、国内・国外を通じて新たな研究領域たる<法クレオール>論のフォーラムが築かれることとなった。
日本学術振興会, 基盤研究(S), 北海道大学, 17103001 - 現代日本人の法意識の全体像
科学研究費助成事業
2003年 - 2008年
松村 良之, 吉田 克己, 尾崎 一郎
本科研は、A01班の他の計画班研究者およびA02班とともに、全国規模のランダムサンプル(サンプル数12,408)の法意識調査(A02班は、紛争経験調査)を行った。この調査の結果から、法意識と紛争経験、法の主題化の関係(法利用の経験が前2者に大きく影響すること)および法意識の全体像(データとしては従前論じられてきた日本人の法意識論に近いが、その意味づけと解釈は大きく異なること)を示すことができた。
日本学術振興会, 特定領域研究, 15084201 - 地域社会の法的秩序形成における住民団体活動の機能に関する法社会学的研究
科学研究費助成事業
2003年 - 2004年
尾崎 一郎
今年度は、まず司法制度改革による日本社会の法化の動向を見定めるべく、司法制度改革推進本部の行政訴訟検討会の部員に対するヒアリングによる調査検討を行った。その結果、日本社会の実質的な法化ではなく、法の道具化による表面的な法使用行動が蔓延しつつあるとの知見を得た。
この知見については、2月にカリフォルニア大学バークレー校で開催されたショウ・サトウ・シンポジウムで報告した。
さらに、このような知見を、これまで観察してきた地域社会における住民(団体)による法使用(ないし不使用)行動において改めて実証するべく、民事紛争行動調査の設計と実施(予備調査および本調査)を行い、またマンション内紛争に関するある判決について詳細な検討を行った。
紛争行動調査については、予備調査をまず行ったが、その結果、地域コミュニティ内紛争のような場合、地域の住民間ネットワーク以上に個人レベルのコスト計算や価値判断が大きく行動を左右していることがほぼ明らかになった。本調査では、さらに詳細に行動の規定要因をさぐるべく、現在調査を継続している。
マンション内紛争については2003年末に出た東京高裁判決を素材に、私権に対する団体的制約をめぐる管理組合と区分所有者の対立において、法律と規約・細則の文言が、牽強付会といえるほど強引に援用され、その結果当事者だけでなく、裁判所も、法規の内実についての実質的で微細な検討をしないまま、合目的的で大ざっぱな推論に終始していることが明らかになった。
日本学術振興会, 若手研究(B), 北海道大学, 15730001 - 住宅紛争における「コミュニティ」の意義に関する所有法的考察-マンション管理・居住福祉・ホームレス-
科学研究費助成事業
2002年 - 2004年
吉田 邦彦, 早川 和男, 尾崎 一郎, 椎名 恒
わが国では、居住福祉をめぐる諸問題に関する公共的支援が弱かったのではないか、そしてその背景には、住宅は私的問題であるという所有論があるとの問題意識に基づいて本研究は行われた。具体的問題としては、第1に、震災問題(倒壊した家屋の補償の是非、被災マンションをめぐる再建派・修繕派間の対立の背景など)、第2に、ホームレス問題(急増している大都市圏における取り組み、ホームレス自立支援特別措置法の問題など)、第3に、在日コミュニティなどの居住差別・強制連行後の取得時効の問題、第4に、障害者の居住におけるノーマライゼーション、そして第5に、過疎高齢化が進む中山間地の居住再生のあり方などがある。その際に考察の軸としたのは、こうした居住問題におけるコミュニティないし中間団体の役割ということであり、荒廃したスラム地区再生に関してアメリカなどでは注目されている。地方公共団体の役割も問われてくることにあり、本研究はさらにその方面について続行する。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 14320014 - 文化のクレオールと法の構造化-<比較法形成論>の探究とその深化-
科学研究費助成事業
2002年 - 2004年
会澤 恒, 長谷川 晃, 尾崎 一郎, 鈴木 賢, 田口 正樹, 桑原 朝子
本研究においては、平成14年度は研究の第1ステージとして各問題次元に即して文献や資料を整理し、着眼点の絞り込みを行った。15年度は研究の第2ステージとして、文化のクレオールと法の構造化の過程の一般的パタンを各問題次元ごとに立体的に分析した。そして16年度は各次元での研究の全体的な統合を試みた。
価値的次元に関しては、価値の移植のプロセスの意義と憲法体制のあり方をめぐって、文化のクレオールと法の構造化における「社会につながれた批判者」の役割とそれに媒介された価値の浸透=変成のプロセスを解明した。社会的次元に関しては、国家の法理念と社会の法文化のギャップという制度/社会構造依存的因子を把握し、特に「帝国」への抵抗が自閉的自己称揚に陥る過程を検討して、法の相互浸透の阻害条件を解明した。歴史・制度的次元においては、まずアジアに関して、東アジア法系の成立可能性について考察し、特に中国における連続的、段階的な違いの連鎖として物事をとらえるグラデーション文化とその西洋法文化への接合状況を解明した。またヨーロッパに関しては、中世後期ドイツの都市内外における法規範と社会の相互作用を中心として、特にカール5世刑事裁判令の制定過程と中小貴族層との関係を調査し、貴族の利害関心の役割を解明した。さらにアメリカに関しては、アメリカ社会・政治制度の根幹である自由・人権の再定義のプロセスを考察し、宗教に影響されたアメリカ社会における法の支配の理念のコンセンサスの意義を解明した。最後に日本に関しては、中国からの律令受容が深化した平安前期に焦点を当て、法の担い手として活躍した文人貴族の意識構造を探り、古代の明法家による律令条文の注釈が日本の法と社会を変容させてゆく過程を解明した。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 14320001 - 地域社会における非定住型外国人受容をめぐる諸問題の法社会学的研究
科学研究費助成事業
2001年 - 2002年
尾崎 一郎
本年度は、昨年度の作業の継続として、現代日本の都市社会における地域コミュニティ秩序の変容における「差異」の位置づけの分析と、「マイノリティ」問題に象徴される現代日本社会の多様化を1つの重要な契機かつ背景画とする司法制度改革についての調査研究を行った。
前者については、本質主義と構築主義の相克、確信犯的な「本質」主義といった前年の知見について、さらに理解を深めるべく、理論的分析を中心に行った。依然結論を得るには遠い状態であるが、我々の「身体」(として認識しているもの)に係留された解釈行為としての相互認識(区別・差別)の存立こそが、差異問題の核心にあることは理解できつつある。となると、やはり問題は「身体」とはなにか、「自己」とはなにか、という哲学的問題に帰着してしまうが、そのような問題自体を正面から扱うことはせず、間接的アプローチとして、生活紛争のメカニズムの再整理および現代の社会変動におけるコミュニティ(論)の位相についての分析を行い論攷として発表した。
後者については、司法制度改革審議会の最終意見を承けて裁判所組織内で自主的に行われた裁判所の人事の在り方についての研究会のメンバーだった法学者へのヒアリングを軸に、公表資料などの幅広い検討を行った。日本社会の均質性の象徴的存在である官僚的司法組織の自己改革の動向の把握を狙ったものである。当該研究会の出した結論もさることながら、当該研究会の審議のありかた自体に「社会」を見出そうとしたが、成果の公表にはもうしばらく時間が必要である。
日本学術振興会, 若手研究(B), 北海道大学, 13720001 - 都市におけるエスニシティと法制度:紛争解決への実践提言に向けて
科学研究費助成事業
1999年 - 2001年
伊藤 直哉, 矢口 祐人, 遠藤 乾, 尾崎 一郎
本研究の総括として、以下の項目に関して検討と考察を施し、研究成果報告書に取りまとめている。
(1)EUのエスニシティ問題と言語文化政策による対応 (2)フランスにおけるエスニシティ問題の紛争処理分析 (3)ベルギーにおけるエスニシティ問題と言語文化政策による対応 (4)カナダにおけるエスニシティ問題と言語文化政策による対応 (5)ハワイにおけるエスニシティ問題と言語文化政策による対応 (6)コミュニティと公共性に関する紛争処理分析 (7)国際機関の紛争処理システムに関する分析 各項目において、エスニック・グループの価値観、規範意識、および法的地位の差異に起因する法運動・法適用・法使用に関わるものをとりあげ、エスニシティ問題の法的処理の限界と可能性について、理論的に探究された。特に、米国やEUで顕著なように、異文化集団間の唯一の対話装置となっている「国家法システム」の機能とその限界に関する理論的解明が行われた。異なるエスニック・グループに属する行為者間に発生する紛争(例えば交通事故、ヘイト・クライム、教育格差、賃金格差等、待遇格葦)の解決のために丶国家法システムがどのような機能を提示出来ているか(またいないか)が検証され、それが原理的問題なのか技術的問題にすぎないか法社会学的に総括された。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 11410040 - 都市のエスニック・マイノリティによる法使用と法批判の研究
科学研究費助成事業
1999年 - 2000年
尾崎 一郎
本年度も、昨年度に引き続き、実態調査の準備のための文献資料の収集と理論的検討に専念せざるを得なかった。
昨年度すでに、都市のエスニック・マイノリティをめぐる諸問題(外国人労働者差別問題、不法滞在者の子供の教育、住居問題、ヘイトクライムなど)に関する記述的な2次文献の収集・分析を超えて、法という道具が有するアンビヴァレンス、即ち、権力を制約すると同時に再生産するという性格についての根源的な理解のための、視野を拡張した分析に重点を移していたが、今年度も法と権力の関係に広く関わる研究文献の収集、分析を重点的に行った。フェミニズムやカルチュラル・スタディーズといった関連問題領域についても依然として継続して目配りをしており、なるべくエスニック・マイノリティ問題を超えた普遍性において法の持つ権力性および権力制約性を理解することに努めている。
昨年度得た「私人間関係と法との関わり」、「言語的コミュニケーションとしての法」という視点に関して今年度特に新しく得た知見としては、私人間の法的コミュニケーションにおいて用いられる様々な正当化のリーズニングが、両当事者同士の相互表象のカテゴリーに強く束縛されていること、また、それは、双方の発話のそれぞれの自閉化、自己強化の悪循環という帰結をもたらしていることが挙げられる。
以上をふまえ、そもそも「マイノリティ」という表象自体が法にとって、また私人間関係にとって持つ意味、機能を省察する必要性に思い至ったが、その理論化の具体的成果のアウトプットについては、今しばらく時間を必要とする。
日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 11720001 - 訴訟利用に関する比較法文化的・経験的研究
科学研究費助成事業
1995年 - 1996年
六本 佳平, 尾崎 一郎, 太田 勝造, 柏木 昇
この研究では、近年の日本の民事訴訟事件数の飛躍的増加が果たして法文化の質的な変化を意味するものであるかという比較法文化論的な問題意識から、実態調査を計画した。実態調査は、東京地裁および同管区内のふたつの簡裁をとり、そこで受理された民事通常訴訟第一審事件のうち大部分を占める金銭を目的とする訴えを中心に代表サンプルをとり、事件記録の閲覧によって事件の内容および処理態様にどのような特徴が見られ、近年の件数増加と関連してどのような変化がみられるかを調べた。そのため、訴訟事件数が近年の極小値を示した1990年、および再激増の途上に位置する1993年をとった。
合計481件の事件記録調査によって、近年の事件の内容及び処理態様について57項目にわたる興味深いデータが得られた。この全データをパソコン・ソフトMicrosft Excelで入力し、クリーニングの上利用可能な状態にした。
これらのデータを統計的に分析した結果として得られた基本的な知見の要点は、つぎのようにまとめられる。(1)簡裁の事件増加は、主として消費者金融の債権回収事件によるものであること、(2)消費者金融事件は、近隣の個人的色彩の比較的強いものから、カード契約による広域的・非特定個人的なものへと比重を移していること、(3)簡裁事件の処理においては、弁護士でなく、原告金融会社の専門担当社員が特別許可代理人として関与する場合が大多数を占めていること、(4)簡裁の事件処理においては、事件数増加への対応として和解または取り下げによる終局の増加がみられ、他方地裁ではむしろ容認判決の比重が高まり、ある意味で簡裁化の傾向が見られること、(5)以上から、近年の動向は、国民の日常的な法生活の内部における法文化の変化、弁護士役務の浸透を直接に示すものとは言えないこと。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 東京大学, 07452001 - 地域コミュニティにおける弁護士の役割に関する研究
科学研究費助成事業
1995年 - 1995年
尾崎 一郎
本研究では、地域コミュニティにおける社会秩序維持の過程において法律家たる弁護士が現に果たしている、または果たすべき役割を、まちづくりを素材にして理論化し、従来の弁護士研究に新しい資格を付け加えることを目的としている。交付申請書の「研究目的、研究方法」においては、まず、(1)内外の関連文献の収集、整理し、ついで(2)札幌市近郊及び東京都郊外の新興住宅におけるまちづくりの参与観察を行い、最後に(3)(1)(2)の結果とかねてより個人的に蓄積してきたケーススタディの知見とを総合してデータベース化、理論化を施す、と記載したが、今年度は1995年8月に東京大学で開催された国際法社会学会年次大会の準備など様々な用件のために上京を繰り返したので、その機会を活用すべく、東京近郊を対象にした(2)に特にエネルギーを注いだ。まちづくりの現場に直接赴くことこそ時間的制約からさほど出来なかったものの、現場に深く関与しているまちづくりコンサルタントへのインタビューやコンサルタントを囲んでの研究会開催などを行うことが出来、弁護士以上にまちづくりコンサルタントが地域コミュニティにおける私的・公的諸問題の解決に深くコミットしていること、弁護士はコンサルタント等中心メンバーのアレンジの下、専門的知識の提供者として補完的に機能しているにとどまること、知識提供者を超えた地域における弁護士の新しい役割が模索されるべきであること、等の知見を改めて得ることが出来たと考えている。また、(3)については本予算により購入したパソコンセットにより適宜作業を継続しており、その作業の途上において、作業結果を活用しつつ、裏面に記載した英語報告を上記国際学会において行うことが出来た。(1)については、今年度は力が及ばなかったが、次年度以降の課題としたいと考えている。
日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 07720001 - アジア諸国と日本の比較法社会学に関する基礎的研究
科学研究費助成事業
1993年 - 1994年
六本 佳平, 尾崎 一郎, 松村 良之, 山本 隆司, 大村 敦志
本研究計画の目的は、法社会学の比較的研究を進める手がかりとして法と社会との相互作用に関する経験的な研究についての文献調査を行い、一般的な分類枠組みによって文献リストに整序することである。予算の関係で当初よりも対象を限定して、日本近隣のアジア諸国の法と社会に関する研究文献とし、広く隣接諸分野に及び、和文・欧文文献を含めて諸種の書誌情報を調査した。その中から上記の性質に当たるものを抜き出し、その結果をもとにしてデータベースを作り、ついで、その分類の枠組みを作り上げ、それを個々の文献に適用して、分類記号を付した。その結果は、パソコンソフト「カード3.ver5.」のうえで、検索可能なデータベースとなっている。研究成果報告書として添えたものは、和文・欧文別、分類項目別一覧である。
日本学術振興会, 一般研究(B), 東京大学, 05451094 - 司法関連統計のデータ・ベース構築とその国内的・国際比較的分析に関する研究
科学研究費助成事業
1991年 - 1992年
六本 佳平, 尾崎 一郎, 浅香 吉幹, 村山 眞維, 太田 勝造, 北村 一郎
昨年度に引続き司法統計年報のデータ入力を行った。しかし、データの量が膨大なためもあって、入力結果を利用しての分析中に種々のミスが発見され、全面的な入力再点検作業を余儀なくされたため、相当余分の時間と費用がかかってしまった。しかし、結果として、1952年から1990年にわたる民事通常、手形・小切手、行政、民事調停、督促家事調停・審判の各新受・既済事件の諸種の2次元の統計表合計4,286表(64MB)の入力およびデータ・クリーニングを完了し(刑事については、なお継続作業中)、それに、県別に人口、弁護士数、民力の経年データを加えて「司法統計データベース」とし、その詳細な「目録」を作成し、CubicCalcにより随時誰もが分析のため利用可能とすることができた。
内容面では、例えば、民事訴訟事件の終局区分における「和解」の比率が簡裁では80年初頭まで低下しその後上昇しているのに対し、地裁では70年代初頭まで急上昇し、その後も緩やかに上昇していることなど、新たな興味深い知見が数多く得られたが、その原因等の詳細な分析については、「民事訴訟・調停事件の地域特性」および「行政事件の特徴」などのモノグラフを作成中であり、本報告執筆時点では未完結である・また、司法統計年報のデータとしての性質や制約、入力・利用のノウハウについても有益な知見が得られたので、今後もこの研究をなんらかの形で継続し、当初の目的を追求したい。
結局、予算の制約およびデータ入力をめぐる(初の試みであることからくる)諸問題の発生のため、外国データ入力や統計的指標の作成など、当初の目標には及ばなかったが、上記のデータベース完成だけでも、本研究計画の大きな収穫と言えると思われる。
日本学術振興会, 一般研究(A), 東京大学, 03401011