沢田 健 (サワダ ケン)

理学研究院 地球惑星科学部門 地球惑星システム科学分野教授
産学・地域協働推進機構教授
Last Updated :2025/11/06

■研究者基本情報

学位

  • 博士(理学), 名古屋大学

研究キーワード

  • 生物地球化学
  • 有機堆積学
  • 微細藻類
  • ケロジェン
  • 抵抗性高分子
  • 分子化石
  • 古気候学
  • バイオマーカー
  • 古海洋学
  • 有機地球化学
  • ジオマクロ分子
  • 古生物化学
  • 古植生
  • 古水温計
  • 堆積物
  • 古生態
  • 古環境

研究分野

  • 自然科学一般, 固体地球科学
  • 自然科学一般, 地球生命科学
  • ライフサイエンス, 生態学、環境学
  • 自然科学一般, 宇宙惑星科学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2020年 - 現在
    北海道大学, 大学院理学研究院 地球惑星科学部門, 教授, 日本国
  • 2015年 - 2020年
    北海道大学, 大学院理学研究院 地球惑星科学部門, 准教授
  • 2013年 - 2015年
    北海道大学, 大学院理学研究院 自然史科学部門, 准教授
  • 2006年 - 2012年
    北海道大学, 大学院理学研究院 自然史科学部門, 講師
  • 2001年 - 2006年
    北海道大学, 大学院理学研究科 地球惑星科学専攻, 講師
  • 1997年 - 2000年
    筑波大学, 化学系, 準研究員
  • 1997年 - 2000年
    1997- Researcher,1997-2000 Research Associate, Department of Chemistry, University of Tsukuba.

学歴

  • 1993年 - 1997年, 名古屋大学, 大学院理学研究科, 博士課程, 日本国
  • 1997年, 名古屋大学, Graduate School, Division of Natural Science
  • 1991年, 信州大学, 理学部, 地質学科, 日本国
  • 1991年, 信州大学, Faculty of Science

委員歴

  • 2023年06月 - 現在
    日本地質学会北海道支部, 支部長, 学協会
  • 2020年 - 現在
    日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC), IODP部会 執行委員会委員, その他
  • 2014年 - 現在
    日本地質学会, 理事, 学協会
  • 2013年 - 現在
    日本有機地球化学会, 理事, 学協会
  • 2013年 - 現在
    日本有機地球化学会, Researches in Organic Geochemistry編集委員長, 学協会
  • 2008年 - 現在
    日本地球化学会, 英文誌「Geochemical Journal」編集委員, 学協会
  • 2012年 - 2015年
    日本地質学会北海道支部, 庶務幹事, 学協会
  • 2007年 - 2012年
    日本有機地球化学会, Researches in Organic Geochemistry編集委員, 学協会
  • 2004年 - 2011年
    最高裁判所職員(事務官) 採用試験委員会委員, 政府
  • 2008年 - 2010年
    日本古生物学会, 将来計画委員会, 学協会
  • 2006年 - 2010年
    日本地球化学会, 和文誌「地球化学」編集委員, 学協会
  • 2006年 - 2008年
    IODP 科学推進専門部会・地球環境分科会委員, その他
  • 2006年 - 2007年
    日本地球化学会, 将来計画委員会委員, 学協会
  • 2004年 - 2006年
    統合深海掘削計画(IODP), 科学立案評価パネル(SSEP)代理委員, その他

■研究活動情報

受賞

  • 2023年07月, Communications Earth & Environment, Outstanding Reviewer Award
    Ken Sawada
  • 2021年, 日本有機地球化学会, 2021年有機地球化学会賞(学術賞)               
    沢田健

論文

その他活動・業績

  • Multi-proxy dataset of mid-Cretaceous Oceanic Anoxic Event 2 for the Omagari-zawa section, Hokkaido, Japan.
    Takashima, Reishi, Selby, David, Yamanaka, Toshiro, Kuwahara, Yoshihiro, Nakamura, Hideto, Sawada, Ken, Ikeda, Masashi A, Ando, Takuto, Hayashi, Keiichi, Nishida, Mari, Usami, Toshiaki, Kameyama, Daichi, Nishi, Hiroshi, Kuroyanagi, Azumi, Gyawali, Babu Ram, PANGAEA, 2024年
    その他
  • 足寄産、漸新世鯨類椎骨化石の脂肪酸分析~骨化石中の脂肪酸の起源と保存機構               
    安藤卓人, 新村龍也, 沢田健, 足寄動物化石博物館紀要, 7, 3, 10, 2014年, [招待有り], [最終著者]
  • Exp. 320/321 Pacific Equatorial Age Transect (2009/3/5~7/5, JR) ~赤道太平洋における過去の海洋環境変動の解明~               
    沢田健, J-DESC News, 2012, p.4, 2012年
  • 「顕生代の環境擾乱イベントとその解析」によせて               
    長谷川卓, 沢田健, Researches in Organic Geochemistry, 23/24, 1, 3, 2008年, [招待有り], [責任著者]
  • Plant Polymer Palaeobiology- Aphidoidea (PL3-A) project: Geochemical and morphological studies on gall (-like) fossils.               
    Sawada, K, Akimoto, S, Tsukagoshi, M, Nakamura, H, Suzuki, D. K, Origin and Evolution of Natural Diversity - Proceedings of International Symposium, 171, 174, 2008年
    英語, 記事・総説・解説・論説等(国際会議プロシーディングズ)
  • Depositional environments revealed from biomarkers in sediments deposited during the mid-Cretaceous Oceanic Anoxic Events (OAEs) in the Vocontian Basin (SE France).               
    Okano, K, Sawada, K, Takashima, R, Nishi, H, Okada, H, Origin and Evolution of Natural Diversity - Proceedings of International Symposium, 233, 238, 2008年
    英語, 記事・総説・解説・論説等(国際会議プロシーディングズ)
  • 有機物分析(脂肪酸・ステロイド分析)
    沢田健, 新村龍也, 鈴木徳行, K39遺跡人文・社会科学総合教育研究棟地点発掘調査報告書II, 41, 47, 2005年, [査読有り]
  • 無酸素環境での有機物保存:ジオポリマー生成と古環境               
    沢田健, 月刊地球, 37, 12, 866, 871, 2005年
    日本語, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
  • 微細藻類の光合成から地球環境を読むー培養実験からの新しい地球史研究.               
    沢田健, 白岩善博, 月刊地球, 23, 3, 191, 196, 2001年
    日本語, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
  • 沿岸海洋域における有機・生物地球化学からの環境変動の復元ー植物プランクトンバイオマーカーの研究から.               
    沢田健, 月刊地球, 22, 3, 172, 176, 2000年
    日本語, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
  • アルケノンおよびその他の有機分子を使った古水温解析ー現状と問題点.               
    沢田健, 月刊海洋, 32, 9, 606, 612, 2000年
    日本語, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
  • 堆積物中のジオマクロ分子による古海洋学研究ーバイオマーカー分析の新展開.
    沢田健, 月刊地球, 22, 9, 638, 644, 2000年
    海洋出版, 日本語, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
  • 海底堆積物中の長鎖アルケノン, アルケノエイトによる海洋環境変動の復元
    沢田 健, 地球化学, 32, 3, 148, 148, 1998年08月25日
    日本地球化学会, 日本語
  • Coccolithophorid production revealed from long-chain alkenones and alkyl alkenoates in the northwestern Pacific.               
    Ken Sawada, Nobuhiko Handa, In: Biogeochemical processes in the North Pacific-Proceedings of the international marine sciences symposium (ed, S. Tsunogai), Japan Marine Science Foundatio, 1997年
    英語, 記事・総説・解説・論説等(国際会議プロシーディングズ)
  • 長鎖アルケノンからみた中部日本太平洋沖の最終氷期以降の海洋表層環境の変動.               
    沢田健, 半田暢彦, 月刊海洋, 27, 8, 502, 506, 1994年
    日本語, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
  • 西七島海嶺域の第四紀後期の表面水温の変動ー堆積有機物による解析.               
    沢田健, 半田暢彦, 月刊海洋, 26, 7, 444, 448, 1993年
    日本語, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)

書籍等出版物

  • 古生物学の百科事典
    日本古生物学会, 化学化石による古環境復元 ほか2項
    丸善出版, 2023年01月, 9784621307588, xxiv, 754p, 図版 [8] p, 日本語, [分担執筆]
  • 北海道大学自然科学実験編集委員会 編 自然科学実験               
    沢田健, 地球惑星科学系実験 堆積物からさぐる地球の環境.pp.166-175
    学術図書出版社, 2016年, [分担執筆]
  • 藻類ハンドブック               
    沢田 健, 第1編 藻類の基礎 第2章 代謝と物質 1 エネルギーと物質代謝 10 アルケノン
    エヌ・ティー・エス, 2012年, 9784864690027, 824, 196-201, 日本語, 教科書・概説・概論, [分担執筆]
  • 地球惑星科学入門               
    北海道大学出版会, 2010年
  • 地球と生命の進化学
    沢田健, 綿貫豊, 西弘嗣, 栃内新, 馬渡峻輔
    北海道大学出版会, 2008年, 9784832981836, 272, 日本語, 教科書・概説・概論, [編者(編著者)]
  • 地球の変動と生物進化               
    沢田健, 綿貫豊, 西弘嗣, 栃内新, 馬渡峻輔
    北海道大学出版会, 2008年, 9784832981843, 300, 日本語, 教科書・概説・概論, [編者(編著者)]

講演・口頭発表等

  • 〔主要な業績〕堆積岩中における芳香族フランとその起源に関する考察               
    池田雅志, 安藤卓人, 沢田健
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2023年
    2023年 - 2023年
  • 〔主要な業績〕北海道および北米カリフォルニアにおける白亜紀海洋無酸素事変層準堆積岩のバイオマーカー分析:古植生変動の復元と比較               
    池田雅志, 沢田健, 安藤卓人, 中村英人, 高嶋礼詩, 高嶋礼詩, 西弘嗣
    日本地質学会学術大会(Web), 2023年
    2023年 - 2023年
  • 〔主要な業績〕白亜系海洋無酸素事変層準堆積岩の菌類パリノモルフ分析による菌類フロラの変遷復元               
    池田雅志, 沢田健, 安藤卓人, 高嶋礼詩, 西弘嗣
    日本地質学会学術大会(Web), 2022年
    2022年 - 2022年
  • 〔主要な業績〕グリーンランド北西部の中原生界Qaanaaq層堆積岩中のアクリターク化石の化学分類学的研究               
    安藤卓人, 原勇貴, 三瓶良和, 沢田健
    日本地質学会学術大会(Web), 2022年
    2022年 - 2022年
  • 〔主要な業績〕グリーンランド北西部の中原生界堆積岩から見出された含酸素芳香族化合物:起源と地球史的意義               
    池田雅志, 原勇貴, 安藤卓人, 沢田健
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2022年
    2022年 - 2022年
  • 〔主要な業績〕中原生界アクリタークの起源生物についての形態学・化学分類学的再検討               
    安藤卓人, 原勇貴, 沢田健
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2022年
    2022年 - 2022年
  • 北西太平洋北海道日高堆積盆周辺域の後期中新世における海洋表層環境の復元
    朝日 啓泰, 沢田 健
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2022年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2022年 - 2022年, 1.はじめに

    北海道の中新世には,島弧–島弧衝突により南北約 400 km,幅数 10 kmにわたる地域に狭長なフォアランド堆積盆が形成された。日高地域にはフォアランド堆積盆南部に位置する日高堆積盆を充填した泥質-砂質堆積岩が幅広く分布している(Kawakami.2013)。日高堆積盆が充填された中期-後期中新世には、8-7MaのEASMの弱化や東南極氷床の拡大により、複数回の寒冷化が東アジアから北西太平洋で発生したことが東シナ海や日本海、北太平洋外洋域での海洋掘削コアを用いた研究により明らかになりつつある(Matsuzaki et al.,2020)。一方、日本列島の太平洋沿岸域や北部域での古海洋情報は不足しており、日高堆積盆堆積岩から得られる古環境データは不足した領域の古海洋情報を補完できると考えている。本研究では中期-後期中新世までの堆積岩が連続的に露出する波恵川荷菜層の泥質堆積岩から長鎖アルケノンを検出例し、アルケノン古水温指標から復元した当時の海洋表層水温とその定量分析による海洋基礎生産の変動について報告する。



    2.試料と手法

    本試料が採取された波恵川は北海道日高町に位置する。波恵川には後期中新統荷菜層が露出しており、上流域では不整合により二風谷層上部が分布している。岩相は主に泥岩から砂質泥岩で構成されており、時折平行葉理を持つタービダイト層を挟む。また上位層準へ行くに従い粗粒化する傾向が見られ、最上部ではチャネル充填堆積物とされる礫層が卓越する。珪藻群集組成解析による波恵川荷菜層堆積年代では9.7-3.5Maと見積もられており(丸山ほか 2019)、後期中新世から鮮新世初頭にかけての堆積岩が連続して露出すると考えられる。 バイオマーカー分析は荷菜層泥岩から遊離態成分を抽出した後、GC-MS、GC-FIDによって測定・解析を行った。アルケノン古水温復元ではMüller et al.(1998)の換算式SST = (UK’37 -0.044) / 0.033から古水温を算出した。



    3.結果と考察

    波恵川荷菜層からはタービダイト性砂岩以外の全ての泥質堆積岩からハプト藻由来の有機成分であるアルケノンが得られた。アルケノンから見積もった海洋表面温度(SSTUK)は9.3-8.7Maから中新世末まで一貫した低下を示し、中新世末期からは細かい増減変動を見せる。SSTUKは9.3Maから8.0Maでは平均26.0℃、7.7Maから6.5Maでは22.3℃、6.5Ma以降では18.9℃と推算された。これらの結果から日高堆積盆では比較的高温だったSSTが8.7Ma以降急な水温低下が発生しており、これまで報告されてきた7.7Maから6.6MaにかけてEASMの弱化による日本海域でのSST低下と連動すると考えられる。また、6.5Ma以降の寒冷化は太平洋域(ODP site 1208)から報告された黒潮流弱化による寒冷化の影響が示唆されている(Matsuzaki et al.,2020)。日高堆積盆は日本海と太平洋双方の影響を受けてきた海域と考えられるが、その影響の度合は時代により異なることが本研究の結果から示唆され、中新世/鮮新世境界において、日本海側の影響を強く受けるフェーズから太平洋側の影響を強く受けるフェーズへ移行したことが推察される。 C37 アルケノンの濃度結果では、寒冷化を示す層準にて相対的に高い値を示す傾向が見られた。特に6.5Ma以降の層準では堆積物1gあたり最大0.45μgを示す。これらは海洋表層の冷却による海洋循環の強化による基礎生産量の増大を示唆すると考えられる。



    4.参考文献

    ・Kawakami. (2013) InTech 131-155.

    ・丸山ほか (2019) 山形大学紀要(自然科学) 19 15-24.

    ・Matsuzaki et al. (2020) Geology 48 (9) 919-923.

    ・Muller et al.(1998) Geochim. Cosmochim. Acta 62(10) 1757-1772.
  • グリーンランド北西部中原生界Qaanaaq層堆積岩の有機質微化石群集               
    原勇貴, 安藤卓人, 沢田健
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2020年
    2020年 - 2020年
  • Alkenediones and their unsaturation ratios in the Miocene to Pleistocene sediments from the northeastern Atlantic
    Satoshi Furota, Hideto Nakamura, Ken Sawada
    29th International Meeting on Organic Geochemistry, IMOG 2019, 2019年, European Association of Geoscientists and Engineers, EAGE, 英語
    2019年 - 2019年
  • 北海道苫前地域のセノマニアン/チューロニアン境界堆積岩の植物バイオマーカー分析による陸域古植生変動の復元
    池田雅志, 沢田健, 安藤卓人, 中村英人, 高嶋礼詩, 西弘嗣
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2019年, 日本語
    2019年 - 2019年
  • 深海堆積物に見出される陸上植物由来テルペン炭化水素について
    沢田 健, 青柳 治叡, 小林 まどか, 風呂田 郷史, 中村 英人
    日本地球化学会年会要旨集, 2019年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2019年 - 2019年, 陸上高等植物に由来するテルペノイドは植物分類によって多様な構造を持ち、その起源をより限定できるため、陸源物質の海洋への輸送過程、その供給源や後背地の植生などを評価するための強力な指標となり得る。深海堆積物には現生植物が生合成する官能基をもった生体テルペノイドがおもに検出されるが、続成・熟成作用を受けたテルペン炭化水素のような続成テルペノイドも極微量ながら有意に見出される。このような続成テルペノイドは、中国内陸部の砂漠地域などの後背地において続成作用を受けた高熟成堆積岩・土壌を供給源としていて、大気輸送ダストとして太平洋にもたらされていることが推定されている。また、森林火災などの燃焼によってもテルペン炭化水素が生成され、おもに大気経由で海洋に輸送されている。本講演では、北太平洋と北大西洋の堆積物中でのテルペン炭化水素を比較して、それらの起源と輸送過程、さらにそれらを用いた大気輸送指標および古気候学指標としての有用性について議論する。
  • ステロイド組成による基礎生産者群集指標の提案:瀬戸内海堆積物における珪藻殻群集との比較
    安藤 卓人, 廣瀬 孝太郎, 中村 英人, 沢田 健
    日本地球化学会年会要旨集, 2019年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2019年 - 2019年, 瀬戸内海堆積物を用いて珪藻の殻含量を17種類のステロイドそれぞれの割合と比較したところ,campesterol 比(%)と正相関し,最も相関係数が高かった。campesterolは,ostreasterolとbrassicasterolに次いで,生合成する珪藻の種数が多いステロイドである。ostreasterolとbrassicasterolは,それぞれ渦鞭毛藻と円石藻も生合成する成分であり,珪藻以外の主要な生産者の寄与も反映して変化した結果,珪藻殻と顕著な相関が見られなかったのだと考えられる。一方,珪藻殻含量と渦鞭毛藻指標であるdinosterol比(%)は,逆相関の関係にあった。近似線から大きく外れる試料は,相対的に珪藻殻量が少なく,採取地点は陸に近い場所であった。保存バイアスの影響を考慮する必要性はあるものの,より沖側の海域では珪藻と渦鞭毛藻の単純な競争関係で有機物埋積が説明でき,陸に近い場所では珪藻生産が渦鞭毛藻以外の第三の生物群によって抑えられている可能性がある。
  • 島根県中海の堆積物コアにおけるアルケノン古水温変動の復元
    服部 由季, 沢田 健, 安藤 卓人, 中村 英人, 廣瀬 孝太郎
    日本地球化学会年会要旨集, 2019年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2019年 - 2019年, 海跡湖である島根県中海で得られた堆積物コアにおいて過去約600年間に渡る長鎖アルケノン組成とアルケノン不飽和度を測定し、汽水環境におけるアルケノン生産種の推定と細かい年代間隔での古水温復元を試み、中海周辺の気候変動について検討した。アルケノン組成はコア深度18cmを挟んだ上位と下位で顕著に異なり、その特徴から下位では外洋や沿岸に広く分布する Emiliania huxleyiGephyrocapsa oceanica が、上位では内陸塩湖や沿岸に分布する Ruttnera lamellosa が主なアルケノン生産種と推定された。復元された水温変動は江戸時代の4大飢饉や古文書記録に基づく日本の17世紀以降の気候の時代区分と大局的に一致し、中海におけるアルケノン古水温計の応用により詳細な古環境変遷の復元が可能となった。
  • 滋賀県野洲川から産した鮮新世樹幹化石の黒色化作用
    中村 仁哉, 沢田 健, 池田 雅志, 中村 英人, 塚腰 実
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2019年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2019年 - 2019年
  • 北海道穂別地域に分布する上部白亜系函淵層の石炭層の有機地球化学分析による陸域古環境変動の復元
    舘下 雄輝, 沢田 健, 安藤 卓人, 中村 英人, 林 圭一
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2019年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2019年 - 2019年
  • ジノステロイド指標は地質学的研究へ利用可能か?:地球史における渦鞭毛藻生産の復元
    安藤卓人, 沢田健
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2018年09月01日, 日本語
    2018年09月01日 - 2018年09月01日
  • 中海・瀬戸内海の表層堆積物を用いたケロジェン・パリノモルフ観察法の検討
    服部由季, 沢田健, 安藤卓人, 中村英人, 廣瀬孝太郎
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2018年09月01日, 日本語
    2018年09月01日 - 2018年09月01日
  • 北海道厚岸地域の泥炭堆積物のバイオマーカーおよびケロジェン分析による津波堆積物の堆積過程の検討
    朝日 啓泰, 沢田 健, 風呂田 郷史, 林 圭一, 加瀬 善洋
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2018年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2018年 - 2018年
  • 北海道苫前地域のセノマニアン/チューロニアン境界堆積岩中の地衣類バイオマーカーによる古環境・古生態変動の復元
    池田 雅志, 沢田 健, 安藤 卓人, 中村 英人, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2018年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2018年 - 2018年
  • 北海道苫前地域のセノマニアン/チューロニアン境界堆積岩中のパイオニア植物バイオマーカーに記録された古環境変動
    池田雅志, 沢田健, 安藤卓人, 中村英人, 高嶋礼詩, 西弘嗣
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2018年, 日本語
    2018年 - 2018年
  • 中海における藻類バイオマーカーを用いた古環境復元~特にアルケノン古水温に注目して
    服部由季, 沢田健, 安藤卓人, 中村英人, 廣瀬孝太郎
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2018年, 日本語
    2018年 - 2018年
  • バイオマーカーに記録されたインド洋アンダマン海における後期中新世の海洋生物生産変動
    安藤卓人, 沢田健
    日本古生物学会例会講演予稿集, 2017年01月27日, 日本語
    2017年01月27日 - 2017年01月27日
  • 南東フランス,白亜系海洋無酸素事変(OAE)1a層準の黒色頁岩のケロジェン熱分解分析―海洋基礎生産の復元
    安藤 卓人, 沢田 健, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2017年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2017年 - 2017年
  • 北海道白亜系蝦夷層群函淵層に挟在する石炭層の有機物分析による堆積環境の復元
    舘下 雄輝, 沢田 健, 安藤 卓人, 中村 英人, 林 圭一
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2017年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2017年 - 2017年
  • 瀬戸内海表層堆積物中の藻類バイオマーカーの分布:淀川水系〜紀伊水道トランセクト
    中村 英人, 安藤 卓人, 廣瀬 孝太郎, 浅岡 聡, 沢田 健
    日本地球化学会年会要旨集, 2017年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2017年 - 2017年,

    瀬戸内海は日本最大の閉鎖性海域であり、その東部には流入量の大きい河川が多い。沿岸域における物質輸送と生物生産が堆積物中の生物源有機分子組成にどのように記録されるのかを理解するため、瀬戸内海の表層堆積物中の藻類バイオマーカーの分析を行った。真正眼点藻に由来する長鎖アルキルジオールに占める C32 ジオールの割合は、淀川水系で顕著に高く、大阪湾の湾奥部から紀伊水道にかけて低下した。淀川水系でC32ジオールが卓越することから、C32ジオールの割合は、沿岸域における河川水流入指標となることが示唆された。ステロール組成に占める渦鞭毛藻由来ステロイドの割合は瀬戸内海、太平洋黒潮域、淀川水系 の順に高く、沿岸域で渦鞭毛藻生産が盛んであることが示唆された。陸水から外洋にかけての複数の藻類バイオマーカーの分布パターンと沿岸域の環境の対応関係から、藻類バイオマーカーの環境指標としての特徴を議論する。

  • 北海道白亜系函淵層に挟在する石炭層のバイオマーカー分析による陸上古環境復元
    舘下 雄輝, 沢田 健, 宮田 遊磨, 中村 英人, 林 圭一
    日本地球化学会年会要旨集, 2017年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2017年 - 2017年,

    白亜紀のような温室期における陸域の環境・生態系を復元することは、温暖化環境での陸域の長時間スケールの応答を理解する上で重要である。本研究では、北海道中南部に分布する白亜系蝦夷層群函淵層で見られる石炭層を対象にバイオマーカー分析を行い、陸上古環境の復元・解析を試みた。酸性環境の泥炭地に特徴的なC31αβ-ホモホパンが卓越して検出された。また、αβ-ホパンのC31/C30比とn-アルカンのACLとの間に相関関係がみられたことから、環境の変化に植生が応答していたことが示唆される。裸子植物由来のジテルペノイドでは、2-メチルレテンおよびその前駆物質であると考えられるシモネライトが卓越して検出された。石炭層毎のレテン/シモネライト比の変化は、裸子植物種の寄与を反映している可能性がある。n-アルカンが植物相全体の成分を反映する一方、ジテルペノイドは森林植生の成分を強く反映している可能性がある。

  • 藻類バイオマーカーを用いたインド洋アンダマン海における後期中新世の海洋基礎生産者の復元
    安藤卓人, 沢田健
    日本地球化学会年会要旨集(Web), 2017年, 日本語
    2017年 - 2017年
  • 東部赤道太平洋域における始新世の堆積物に含まれるバライトと炭酸塩中の硫酸態硫黄同位体比について
    外山 浩太郎, 中瀬 千遥, 後藤(桜井) 晶子, 沢田 健, Adina Paytan, 長谷川 卓
    日本地球化学会年会要旨集, 2017年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2017年 - 2017年,

    海洋における130 myr.間の硫黄同位体比変動は、バライト(BaSO4)の値が採用されている(Paytan et al., 2004)。しかし、バライトは、生物生産の盛んな地域の堆積物からしか抽出できないという問題点がある。そこで近年、炭酸塩に含まれる硫酸イオン(CAS)の硫黄同位体比が注目されている。本研究では、同一堆積物から抽出されたバライトとCASの硫黄同位体比を比較し、古海洋の復元にCASが利用可能であるかを検討した。CASとバライトの硫黄同位体比について、CASの値は、バライトのものよりも約1‰高い値を示した。この違いが生じた原因について、バルク試料中の炭酸塩部分は、石灰質ナンノとともに少量の再結晶方解石から構成されていた。再結晶方解石中の硫黄同位体比は、硫酸還元により高くなった間隙水中の値を反映すると考えられる。それに伴ってCASの硫黄同位体比は、海水の値よりも高い値を示したと考えられる。

  • カナダ内陸湖からのアルケノン合成種の発見と単離
    新家弘也, 中村英人, 沢田健, HAIG H, TONEY J, LEAVIT P, 鈴木石根, 白岩善博
    マリンバイオテクノロジー学会大会講演要旨集, 2016年05月28日, 日本語
    2016年05月28日 - 2016年05月28日
  • 近過去堆積物における珪藻化石群集と藻類バイオマーカーの相関性
    廣瀬孝太郎, 中村英人, 安藤卓人, 浅岡聡, 沢田健
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2016年, 日本語
    2016年 - 2016年
  • 瀬戸内海表層堆積物中の長鎖ジオール分析: C32 アルカン-1,15-ジオールは河川流入指標となるか?
    中村 英人, 安藤 卓人, 廣瀬 孝太郎, 浅岡 聡, 沢田 健
    日本地球化学会年会要旨集, 2016年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2016年 - 2016年,

    海洋堆積物中の長鎖アルキルジオールはC28、C30が卓越し、C32 アルカン-1,15-ジオールが長鎖アルキルジオールに占める割合が高い事例は湖沼堆積物や淡水・陸上から単離された真正眼点藻の培養試料などに限られていて、沿岸~河口域におけるジオール組成の検討によりC32 アルカン-1,15-ジオール (C32 1,15-ジオール)が河川流入指標となる可能性が指摘されている。本研究では半閉鎖的海域で流入河川の多い瀬戸内海東部の大阪湾・播磨灘の表層堆積物中の長鎖アルキルジオール分析を行い、瀬戸内海の広い範囲でC321,15-ジオールが太平洋よりも高い割合で含まれることが明らかになった。大阪湾奥部から紀伊水道にかけてのC32 1,15-ジオール割合の変化が瀬戸内海において河川流入指標として妥当であるのか、観測データや異なる起源をもつバイオマーカー組成と比較して議論する。

  • 中期白亜紀海洋無酸素事変OAE2における渦鞭毛藻による赤潮発生の検討
    安藤卓人, 沢田健, 高嶋礼詩, 西弘嗣
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2016年, 日本語
    2016年 - 2016年
  • 堆積岩中の芳香族ステロイド組成を用いた海洋基礎生産者の復元
    安藤 卓人, 沢田 健, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地球化学会年会要旨集, 2015年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2015年 - 2015年, 堆積岩中に普遍的に存在する三芳香環ステロイドを始めとした三芳香環ステロイドの同定を詳細に検討し,それらを用いた指標から海洋基礎生産者群集を復元した結果を報告する。<br><br>南東フランス・ボコンティアン堆積盆の白亜系海洋無酸素事変層準と北海道大夕張地域と苫前地域の白亜系蝦夷層群から採取した堆積岩試料を用い,GC-MSを用いて芳香族ステロイドの分析を行なった。三芳香環ステロイドの分離と同定は2種類の極性と長さの異なるカラムを用いることで可能にした。三芳香環ジノステロイドを用いたTADS(渦鞭毛藻指標)とC<SUB>27</SUB> TAS(円石藻指標)を提案した。南東フランス試料では白亜紀における円石藻と渦鞭毛藻の競争関係とOAE極相期の富栄養で成層化した海洋における渦鞭毛藻の繁茂が示された。一方で北海道試料からは,現在同様に沿岸に近い海洋表層において渦鞭毛藻の生産性が高かったことが示唆された。
  • 北海道蝦夷層群Cenomanian/Turonian境界堆積岩の有機地球化学指標に記録された海洋の酸化還元環境変動
    安藤 卓人, 沢田 健, 中村 英人, 宮田 遊磨, 尾松 圭太, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2015年, 一般社団法人 日本地質学会
    2015年 - 2015年
  • 白亜系海洋無酸素事変層準の堆積岩中に見出されるアクリタークの起源生物と白亜紀海洋における基礎生産への寄与
    安藤 卓人, 沢田 健, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2015年, 一般社団法人 日本地質学会
    2015年 - 2015年
  • 湖沼堆積物のアルケノン組成にみられる化学分類学的特徴:南極スカルブスネス地域,長池のアルケノン生産種推定
    中村英人, 竹田真由美, 沢田健, 高野淑識
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2015年, 日本語
    2015年 - 2015年
  • 白亜系双葉層群の炭化小型植物化石の抵抗性高分子分析:結合態アルキル脂質組成による植物化石の化学分類
    宮田遊磨, 沢田健, 池田慧, 中村英人, 高橋正道
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2015年, 日本語
    2015年 - 2015年
  • ハプト藻 Isochrysidaceae 科 Tisochrysis 属の培養温度とアルケノン組成の関係
    中村 英人, 沢田 健, 新家 弘也, 鈴木 石根, 白岩 善博
    日本地球化学会年会要旨集, 2015年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2015年 - 2015年, 湖沼のアルケノン生産種として Isochrysidaceae 科の Ruttnera 属, Isochrysis 属, Tisochrysis 属に近縁の遺伝子配列が報告されている。Tisochrysis 属のアルケノン不飽和度-水温換算式を求めるために T. lutea CCMP463 株および NIES2590 株の培養実験を行ったところ、これらの株は 15℃-35°C でよく増殖し、4不飽和アルケノンを合成せず、2不飽和アルケノンと3不飽和アルケノンの比を大きく変化させて水温に応答することが明らかになった。本研究で得られた T. lutea の換算式は沿岸や湖沼の古水温復元に必要なアルケノン生産種の系統と水温換算式の対応関係に新たなバリエーションを与える。
  • 現生植物の熱熟成実験による抵抗性高分子の続成変化の検討
    宮田 遊磨, 沢田 健, 中村 英人
    日本地球化学会年会要旨集, 2015年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2015年 - 2015年, 陸上植物が持つ抵抗性高分子はその構造や構成するモノマーの組成が植物の種類や器官、生育環境によって変化することが知られている。植物化石を構成する高分子の脂肪族部分は主にクチンを含む表皮組織が選択的に保存されたものだと考えられている。化石高分子を構成するアルキル脂質の組成を調べることで、化石の分類や堆積環境、生育した当時の古環境に関する情報が得られる可能性がある。しかし、植物生体が持つクチン酸の組成が化石高分子にどのように反映されているのかは不明瞭である。本研究では、植物の表皮を構成する脂質がどのように保存・分解され化石高分子のアルキル脂質組成に反映されているのかを理解するため現生植物の葉の組織を用い加熱実験を行った。加熱実験により、一部の試料では難分解性のクチンよりもむしろワックスに由来するアルキル脂質のほうが加水分解性および非加水分解性の高分子成分として保存されていることが明らかになった。
  • 白亜系双葉層群から産出した炭化小型植物化石の抵抗性高分子組成から見た化学分類
    宮田 遊磨, 沢田 健, 池田 慧, 中村 英人, 高橋 正道
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2015年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2015年 - 2015年
  • 中期白亜紀海洋無酸素事変時の主な海洋基礎生産者は何か?:海成ケロジェンからの証拠
    安藤卓人, 沢田健, 高嶋礼詩, 西弘嗣
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web), 2015年, 日本語
    2015年 - 2015年
  • 南東フランスおよび北海道の白亜系Cenomanian/Turonian境界層準の低熟成堆積岩に見られるトコフェロール組成の多様性
    安藤 卓人, 沢田 健, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地球化学会年会要旨集, 2014年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2014年 - 2014年, 北海道苫前地域の蝦夷層群堆積岩は低熟成で有機物の保存状態が良いが,このような低熟成な堆積岩と南東フランスVocontian堆積盆CTB層準の堆積岩から,藻類や陸上植物に由来する易分解性のトコフェロール(ビタミンE)を検出したので報告する。比較的低熟成なThomel層準の黒色頁岩試料,朱鞠内沢・大曲沢川の苫前地域試料の極性画分において,トコフェロール類が検出され,高熟成な大夕張地域白金沢試料からは全く検出されなかった。Thomel層準と大曲沢川ほとんどの試料でδ体が50%以上占め,朱鞠内沢試料ではα体が6~39%と比較的多く検出された。より低熟成な朱鞠内沢試料中においては,α体の分解が進んでおらず,組成の違いが生じた可能性がある。一方,各層準内での組成の変動については,堆積時のトコフェロール組成の違いを反映していると考えられる。
  • 南東フランス,白亜系海洋無酸素事変層準の黒色頁岩のパリノモルフ分析―海洋基礎生産者に注目して
    安藤 卓人, 沢田 健, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2014年, 一般社団法人 日本地質学会
    2014年 - 2014年
  • 北海道朱鞠内川セクションの Cenomanian-Turonian 境界イベント層準で見出された負の δ13C エクスカーションにともなう陸上植生変動
    中村 英人, 沢田 健, 安藤 卓人, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2014年, 一般社団法人 日本地質学会
    2014年 - 2014年
  • 北海道苫前地域に分布する蝦夷層群Cenomanian/Turonian境界堆積岩の有機地球化学分析による堆積環境・海洋生産変動の復元
    安藤 卓人, 中村 英人, 沢田 健, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2014年, 一般社団法人 日本地質学会
    2014年 - 2014年
  • ハプト藻イソクリシス科 Tisochrysis および Isochrysis のアルケノン組成の化学分類学的特徴
    中村 英人, 沢田 健, 新家 弘也, 鈴木 石根, 白岩 善博
    日本地球化学会年会要旨集, 2014年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2014年 - 2014年, 陸水のアルケノン生産種を含むグループであるハプト藻イソクリシス目(Isochrysidaceae) のアルケノン組成と系統の関係を明らかにするため、培養株7株の LSU rDNA 塩基配列を決定して分子系統解析を行い、これらの株のアルケノン組成を比較した。培養株は Tisochrysis Isochrysis に分類され、Tisochrysis の株は、4不飽和アルケノンをほとんど持たない点が共通していた。一方で、Isochrysis のうち2株は4不飽和アルケノンを顕著に含み(%37:4 > 5)、2不飽和アルケノンの割合が少なかった。これらの特徴は先行研究のデータを加えても調和的であり、Tisochrysis Isochrysis をよく区別する化学分類学的特徴である可能性が示唆された。
  • ハプト藻の熱分解実験による藻類脂質の分解過程の検討:バイオ燃料生産への応用
    阿部 涼平, 沢田 健, 中村 英人, 新家 弘也, 鈴木 石根, 白岩 善博
    日本地球化学会年会要旨集, 2014年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2014年 - 2014年, アルケノン合成種であるハプト藻の乾燥粉末を真空下で加熱すると、アルケノンの熱分解により生成されると考えられる炭化水素が生成されたことから、ハプト藻のバイオ燃料への応用が検討されている。E. huxleyiの培養試料の熱分解実験により、ハプト藻が合成する脂質の分解過程を検討し、バイオ燃料生産への応用を検討した。E. huxleyiの細胞試料は、加熱処理時間に伴いアルケノンが減少し、48時間以上では消失した。アルケノン粉末のみの場合、構造変化により多くの分子量の等しい異性体が検出された。モンモリロナイト添加実験では、C13~C21アルカンが主要成分として検出され、粘土鉱物の触媒効果によりアルケノンのクラッキング反応が促進されることを示した。ハプト藻脂質の炭化水素への熱分解効率を粘土鉱物の添加で促進できることを証明し、バイオ燃料生産における有用な方法を提案する。
  • ハプト藻の熱熟成実験による藻類脂質の分解・続成過程の検討
    阿部 涼平, 沢田 健, 中村 英人, 新家 弘也, 鈴木 石根, 白岩 善博
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2014年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2014年 - 2014年
  • 白亜系双葉層群の炭質物濃集層から産出した炭化および非炭化植物化石の抵抗性高分子分析:植物化石の化学分類
    宮田 遊磨, 沢田 健, 中村 英人, 高橋 正道
    日本地球化学会年会要旨集, 2014年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2014年 - 2014年, 陸上高等植物はクチンやスベリン、リグニンといった特殊な抵抗性高分子を発達させてきた。これらの抵抗性高分子はその構造や構成するモノマーの組成が植物の種類や器官、成長段階などによって異なることが知られている。本研究では、白亜紀の植物組織の化石を用いアルカリ加水分解性脂質を分析し、古代堆積物中における抵抗性高分子の保存過程やその構成分子組成による化学分類を検討した。試料は白亜紀コニアシアンの双葉層群芦沢層から産出した小型化石を用いた。試料は遊離態成分を抽出後、その残渣をKOH/メタノールでアルカリ加水分解を行った。分解抽出された成分をGC/MSで分析・定量した。一部の非炭化試料からは典型的なクチン酸が顕著に検出され、白亜紀のような古代堆積物においても生体が持つクチン酸がよく保存されることがわかった。クチン酸の異性体組成は現生の植物を使った研究とも調和的であり、白亜紀の植物化石においても強力な化学分類指標として応用可能であることが立証された。
  • 白亜系双葉層群芦沢層の堆積物および小型植物化石の結合態アルキル脂質分析:炭質物濃集層の成因
    宮田 遊磨, 中村 英人, 沢田 健, 高橋 正道
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2014年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2014年 - 2014年
  • 〔主要な業績〕南東フランス白亜系海洋無酸素事変1b層準の堆積岩中のアリルイソプレノイドからみた海洋生態系変動
    安藤卓人, 沢田健, 西弘嗣, 高嶋礼詩
    日本地球化学会年会講演要旨集, 2013年, 日本語
    2013年 - 2013年
  • 南東フランス白亜系海洋無酸素事変1b 層準の堆積岩中のアリルイソプレノイドからみた海洋生態系変動
    安藤 卓人, 沢田 健, 西 弘嗣, 高嶋 礼詩
    日本地球化学会年会要旨集, 2013年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2013年 - 2013年, 中期白亜紀は高海水準で非常に温暖な時代であり,有機物に富む黒色頁岩の堆積から幾度も海洋無酸素事変(Oceanic Anoxic Event; OAE)が起こったと推測されている。OAE1b(115~110Ma)は,テチス海を中心とした地域的なOAEであったとされ,Aptian/Albian境界を挟んで長期に渡って複数の黒色頁岩層が確認される。特に最盛期であるKilian層準・Paquier層準の黒色頁岩中からはメタン生成アーキア由来のPMI(2, 6, 10, 15, 19-ペンタメチルイコサン)などが検出されることから,「アーキアの海(Archaeal ocean)」が広がっていたとされている。本研究では,OAE1b層準の詳細なバイオマーカー分析を行い,アリルイソプレノイドに着目して起源を推察し,層準内におけるそれらの濃度変化から当時の海洋生態系の復元を試みた。
  • 北海道白亜系堆積物中の陸上植物由来ケロジェンの加水分解性脂肪酸・アルカノ―ル組成比による古環境変動の復元
    宮田 遊磨, 沢田 健, 中村 英人, 池田 慧
    日本地球化学会年会要旨集, 2013年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2013年 - 2013年, 白亜紀のような古代の堆積物中には陸上高等植物に由来する有機物片が普遍的に存在している.これらは主に植物体を構成するリグニンやクチンといった抵抗性高分子から構成され,化学的に安定で微生物分解や続成作用に抵抗性を持つため選択的に保存されたものである.これ等の有機化合物は分類群や生育環境によってその組成が特徴的に変化するため,化学分類指標や古環境指標などへの応用が期待されているが,地質時代の堆積物で検討した例は少ない.演者らの研究グループでは,白亜紀の陸上植物化石の化学分析により,抵抗性高分子を構成しているエステル結合態の飽和脂肪酸ユニットの組成が部位により異なることを明らかにし,化学分類指標を提案している(Ikeda et al., submitted).本研究では,様々な植物組織が含まれる海成堆積物中の植物由来の不溶性有機物(ケロジェン)に応用し,古植生や陸域古環境の復元に適用できるかを検討した.
  • ハプト藻 Chrysotila lamellosa のアルケノン、アルケン組成に対する塩分の効果
    中村 英人, 沢田 健, 新家 弘也, 鈴木 石根, 白岩 善博
    日本地球化学会年会要旨集, 2013年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2013年 - 2013年, アルケノンは海洋表層水温の指標として用いられるが、一部の海域や内陸湖において4不飽和アルケノンの割合(%C37:4)の増加と低塩分の関連性が指摘されてきた。本研究では、塩分がハプト藻のアルケノン組成に与える影響を確かめるため、4不飽和アルケノンに富む沿岸種 Chrysotila lamellosa を異なる塩分条件下(15-45 g/L)で培養し、アルケノン組成を解析した。
    アルケノン不飽和指数および、%K37:4は塩分によらずほぼ一定の値をとった。このことから、環境試料で報告される%C37:4と塩分の関係は、塩分変動に対する主なアルケノン生産種の個別の生理学的応答よりも、塩分変化と連動した他のアルケノン生産種の寄与を反映していると考えられる。
  • ハプト藻培養試料から検出された特異的なステロールの考察
    加納 千紗都, 沢田 健, 中村 英人, 白岩 善博, 鈴木 岩根, 新家 弘也
    日本地球化学会年会要旨集, 2013年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2013年 - 2013年, ハプト藻は海洋における主要な基礎生産者であり、世界中の海洋において繁栄している。本研究では、ハプト藻イソクリシス目4種と、円石藻目8種の培養試料を用い、極性脂質画分を検出した。イソクリシス目ではC27ステロールであるCholesterolとC28ステロールのBrassicasterolが、円石藻目ではCholesterol、Brassicasterolに加えて23, 24-dimethylcholesta-5-en-3β-ol(C29)、Stigmasterol(C29)が検出され、ステロイド組成は目レベルで大きく異なる。また、C. lamellosaCruciplacolithus neoheilis株のみからC30ステロールが検出された。本研究では、ハプト藻のステロイド組成の種間の多様性を考察するとともに、限られた株から検出されたC30ステロールに着目してその意義を考察した。
  • 夕張地域下部白亜系,海洋無酸素事変相当層準の堆積岩のバイオマーカー分析
    中村英人, 沢田健, 高嶋礼詩
    堆積学研究, 2012年12月28日, 日本語
    2012年12月28日 - 2012年12月28日
  • 夕張地域下部白亜系,海洋無酸素事変相当層準の堆積岩のバイオマーカー分析
    中村英人, 沢田健, 高嶋礼詩
    日本堆積学会大会プログラム・講演要旨, 2012年06月15日, 日本語
    2012年06月15日 - 2012年06月15日
  • 双葉層群芦沢層より産出した植物小型化石のテルペン類組成からみた化石化初期過程
    中村英人, 沢田健, 池田慧, 高橋正道
    日本古生物学会年会講演予稿集, 2012年06月15日, 日本語
    2012年06月15日 - 2012年06月15日
  • 中期白亜紀海洋無酸素事変(OAE)1b層準の堆積岩におけるケロジェン分析:陸源有機物輸送の評価
    安藤卓人, 沢田健, 岡野和貴, 小刀禰宅朗, 横山龍, 西弘嗣, 高嶋礼詩
    日本堆積学会大会プログラム・講演要旨, 2012年06月15日, 日本語
    2012年06月15日 - 2012年06月15日
  • ステロイドバイオマーカーを用いた中期白亜紀海洋無酸素事変時の渦鞭毛藻生産の復元
    安藤卓人, 沢田健, 西弘嗣, 高嶋礼詩
    日本古生物学会年会講演予稿集, 2012年06月15日, 日本語
    2012年06月15日 - 2012年06月15日
  • 南フランス,ボコンティアン堆積盆における白亜紀海洋無酸素事変(OAE)2時の海洋生態系変動の復元
    安藤 卓人, 沢田 健, 西 弘嗣, 高嶋 礼詩
    日本地球化学会年会要旨集, 2012年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2012年 - 2012年, 中期白亜紀の海洋では,無酸素水塊が拡大し有機物の大量埋積が起きたと考えられ,黒色頁岩の堆積によって示されるこれらの事変は「海洋無酸素事変(OAE)」と呼ばれている。OAE2は中期白亜紀で最も海洋の無酸素化が進んだイベントであり,汎世界的に黒色頁岩の堆積が認められている。OAE2の黒色頁岩からはシアノバクテリアや嫌気性光合成細菌由来のバイオマーカーが検出されることから,これらの基礎生産者が支配的な'Cyanobacterial ocean'であったと考えられてきた。しかし,最近の演者らの研究から,南仏のOAE2期においては,渦鞭毛藻の海洋生産への寄与を表すTDSI'(Triaromatic dinosterane index)が中期白亜紀のOAE層準中で最も高くなることが明らかになり,渦鞭毛藻の寄与もOAE2時に高まった可能性が示されている。本研究では,OAE2層準試料において詳細にバイオマーカー分析し,海洋環境変動や生物応答を復元することで当時の海洋生態系変動の詳細な検討を行った。
  • 北海道中部、白亜系堆積物中の陸上植物由来ケロジェンの抵抗性高分子分析:新しい古植生指標の提案
    宮田 遊磨, 沢田 健, 中村 英人, 池田 慧
    日本地球化学会年会要旨集, 2012年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2012年 - 2012年, 〕白亜紀のような古代の堆積物中には陸上高等植物に由来する有機物片が普遍的に存在している.これらは主に植物体を構成するリグニンやクチンといった抵抗性高分子から構成され,化学的に安定で微生物分解や続成作用に抵抗性を持つため選択的に保存されたものである.演者らの研究グループでは,白亜紀の陸上植物化石の化学分析により,抵抗性高分子を構成しているエステル結合態の飽和脂肪酸ユニットの組成が部位により異なることを明らかにし,化学分類指標を提案している(Ikeda et al., submitted).本研究では,様々な植物組織が含まれる海成堆積物中の植物由来の不溶性有機物(ケロジェン)に応用し,古植生や陸域古環境の復元に適用できるかを検討した.
  • 東赤道太平洋における過去40Maの陸上植物由来脂肪酸の安定炭素同位体比変動
    山本 真也, 沢田 健, 中村 英人, 小林 まどか, 河村 公隆
    日本地球化学会年会要旨集, 2012年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2012年 - 2012年, 本研究では,新生代の気候変動に伴う熱帯-亜熱帯域の陸域環境変化を明らかにするために,赤道太平洋の堆積物中(IODP Sites U1331?U1338)の長鎖脂肪酸の安定炭素同位体比(δ13C)を測定した。その結果,陸上植物ワックスに由来する炭素数28と30の直鎖脂肪酸(C28, C30脂肪酸)のδ13C値は,約40~20 Maにかけて約5‰の漸移的な減少傾向を示したが,13Ma以降は一転増加に転じ,現在にかけて約10‰の増加傾向にあった。また,C28, C30脂肪酸のδ13C変動には,13Ma以降3回(1.6Ma, 6.5Ma, 9.5Ma)の短期的な増加イベントが認められ,南アメリカの熱帯-亜熱帯域が,中新世中期以降,複数の乾燥化イベントを繰り返しつつ,徐々に乾燥化に向かい,C4植物が増加していったことが示唆された。
  • ハプト藻の長鎖アルケン組成の多様性
    中村 英人, 沢田 健, 加納 千紗都, 白岩 善博, 鈴木 石根, 新家 弘也
    日本地球化学会年会要旨集, 2012年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2012年 - 2012年, アルケノンはハプト藻の一部の種が生産する長鎖不飽和アルキルケトンであり,生育温度に応じて不飽和度が変化する性質を利用して古水温指標として応用されてきたが,その生合成経路や生理学的な機能は未解明である。アルケノン合成種からは炭化水素である長鎖アルケンも報告され,その構造から生化学的にアルケノンと関連性の高い化合物であると考えられている。本研究ではアルケノン合成種である Emiliania huxleyi, Gephylocapsa oceanica, Isochrysis galbana, Chrysotila lamellose に加えて, Pleurochrysis carteraeなどのアルケノン非合成種8種のアルケノンおよび長鎖アルケン分析の結果を報告し,長鎖アルケンの先行研究をレビューしながらその地球化学的な応用の可能性を議論する。
  • ハプト藻培養試料におけるステロイド分析:バイオマーカー指標の検討
    加納 千紗都, 沢田 健, 中村 英人, 白岩 善博, 鈴木 石根, 新家 弘也
    日本地球化学会年会要旨集, 2012年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2012年 - 2012年, ハプト藻は海洋における主要な基礎生産者であり、ほとんどの藻種は石灰質殻である円石(coccolith)を形成することが知られる。 本研究では、ハプト藻アルケノン合成種と、などのアルケノン非合成種8種の培養試料を用い、極性脂質画分を検出した。その結果、アルケノン合成種ではCholesterol(C<27SUB>)とBrassicasterol(C<28SUB>)が、アルケノン非合成種ではCholesterol、Brassicasterolに加えてStigmasterol(C<29SUB>)が検出され、ステロイド組成に大きな違いが見られた。また、については同種間で生育条件の違う株によるステロイド組成の比較も行った。本講演ではハプト藻ステロイド組成の変化要因と、これらのバイオマーカーとしての適用性について考察する。
  • 中期白亜紀海洋無酸素事変における渦鞭毛藻の海洋基礎生産への寄与 -芳香族ジノステロイドによる評価
    安藤 卓人, 沢田 健, 岡野 和貴, 西 弘嗣, 高嶋 礼詩
    日本地球化学会年会要旨集, 2011年, 一般社団法人日本地球化学会
    2011年 - 2011年, 中期白亜紀OAEに関する従来の研究では,海洋表層の基礎生産において,シアノバクテリアなどの特異的な生物の基礎生産における寄与について説明されてきた.一方,最近の演者らの研究によると,OAE中,必ずしもそれらの生物のみが基礎生産を担っていた訳ではないということが分かってきた.本研究では,当時の主要な基礎生産者のうち,特に渦鞭毛藻に着目し,そのバイオマーカーを用いて,OAE1aとOAE1bにおける,渦鞭毛藻の基礎生産への寄与の評価を試みた.渦鞭毛藻由来のバイオマーカーとしては,ジノステランが用いられるが,白亜系OAE試料のような続成が進んだ試料からの検出・同定が難しいため,芳香族画分でおもなピークとして検出される芳香族ジノステロイドに注目し,それらを用いた指標を検討し,各OAEにおける海洋生態系の違いを示した.
  • ハプト藻における長鎖アルケノン生合成の研究:地球化学的視点から
    中村 英人, 沢田 健, 加納 千紗都, 白岩 善博, 鈴木 石根
    日本地球化学会年会要旨集, 2011年, 一般社団法人日本地球化学会
    2011年 - 2011年, Emiliania Huxleyi をはじめハプト藻綱イソクリシス目に属する4種の微細藻類は炭素数37-40からなる長鎖不飽和アルキルケトン(アルケノン)を合成し,その不飽和比が生育温度に規定されるためアルケノン不飽和指数(UK37 , UK' 37)が設定され,古海洋・古気候研究において古水温指標として応用されている。アルケノン組成や水素安定同位体比を用いた塩分指標も提案されている。地球化学的指標としての応用が進む一方で,アルケノンの合成経路や生理学的機能についてはかなりの部分が未解明であり,現在,生合成経路の解明にむけた植物生理・分子生物学的研究が始まろうとしている。本講演では,アルケノンの生理学的研究のこれまでと,生合成の解明に期待される地球化学的視点について述べ,予察的成果を報告する。
  • 北海道白亜系函淵層群富内層の炭層から産出した植物化石のバイオマーカーおよび抵抗性高分子分析
    池田 慧, 沢田 健, 高橋 正道, 中村 英人
    日本地球化学会年会要旨集, 2011年, 一般社団法人日本地球化学会
    2011年 - 2011年, 植物化石体や植物由来の堆積有機物の化学分類に用いられる、炭化水素やイソプレノイドなどの脂質やクチンやスベリンといった抵抗性高分子であるが、化石記録の希薄さから、続成作用を受けた地質時代の植物化石中でその化学組成がどのように保存されているのか、また保存の度合いがどういった要素・要因で異なるのかわかっていない。そこで本研究では、北海道穂別町に位置する函淵層群富内層から産出した植物化石を用い、白亜紀植物化石中の有機化合物組成について分析し、その多様性について考察した。抵抗性高分子のエステル結合態ユニットとして検出された飽和脂肪酸とn-アルカノールについて、植物部位の同定、さらには植生指標となりうるような傾向を発見した。多変量解析の結果とともに、部位や産出場所による影響と考えられる起源について考察する。
  • 陸上高等植物の抵抗性高分子の植物生理学・生物地球化学的研究
    沢田 健, 中村 英人, 荒井 高明
    日本地球化学会年会要旨集, 2010年, 一般社団法人日本地球化学会
    2010年 - 2010年, 陸上高等植物の表皮や樹皮などの疎水的で硬い組織を構成する高分子量有機物は,抵抗性高分子と呼ばれる。抵抗性高分子は細胞壁や植物体に物理的強度を付与したり,微生物や昆虫の作用に対して植物体に抵抗性を与えるなどの働きをもつ。このような有機物は、植物体が堆積した後の微生物分解や続成作用に対しても抵抗性があり,古代堆積物中でもよく保存されている。演者らの研究グループでは,植物化石の抵抗性高分子の有機・生化学分析から,古植物の分類や植物生理,環境応答を復元する方法,さらに古植生あるいは生息した当時の古環境・古気候を復元する方法を開発・検討している。本講演では,これまでの研究成果をまとめて,現時点で考えられている植物化石や堆積物中の高等植物起源の抵抗性高分子の地球化学的特徴と地球科学的指標としての潜在性,さらに今後の研究の展望について紹介する。
  • 古植生指標検討のための植物化石のテルペノイドバイオマーカー分析と続成過程の検討
    中村 英人, 沢田 健, 高橋 正道
    日本地球化学会年会要旨集, 2010年, 一般社団法人日本地球化学会
    2010年 - 2010年, 陸上古植生復元は化石記録に基づいて行われてきたが,中生代などの古い時代においては被子植物の出現と初期進化過程などをはじめ,未解明な部分が多く残されている。陸上植物の生体テルペノイドに由来するテルペノイドバイオマーカーは大まかに被子植物や裸子植物などの起源分類群と関連づけられるため,演者らはテルペノイドバイオマーカーを用いた古植生指標,特に被子植物植生指標を検討するため,中生代以降の被子・裸子・シダ植物化石の詳細なテルペノイド組成分析を行った。植物由来テルペノイドの続成過程は芳香族化が卓越し,芳香族化合物を用いた被子/裸子植物植生指標ar-AGIが分類群の違いをよく反映する指標として有望であることが示された。さらに,他の分類群に特有の化合物についても探索を行い報告する。
  • 北海道白亜系堆積岩中の被子植物分子化石~古植生指標の検討
    中村英人, 沢田健, 高嶋礼詩
    日本古生物学会年会講演予稿集, 2009年06月26日, 日本語
    2009年06月26日 - 2009年06月26日
  • 化石ゴールのバイオマーカー分析:植物-昆虫共生系の古生物化学的探索
    落合 総一郎, 沢田 健, 中村 英人, 塚腰 実, 秋元 信一
    日本地球化学会年会要旨集, 2009年, 一般社団法人日本地球化学会
    2009年 - 2009年, 昆虫などによって植物体に形成されるゴールの化石の化学的同定を行なうために,化石ゴールから特有のバイオマーカーや化合物の組成分布を探索した。また,化石における指標の保存を検討するため,現生のゴールも分析して比較した。試料は,中期更新統,大阪層群で産出した枝ゴール化石(被子植物のイスノキにアブラムシが形成した)と,化石とほぼ同一種の現生植物の葉,葉ゴール,枝ゴール試料である。化石ゴールの遊離態成分ではn-アルカン,バクテリア由来のホパン,被子植物バイオマーカーのオレアネンなどが検出された。化石ゴールの加水分解成分は,おもに植物の表皮に由来するクチン酸であった。化石と現生の枝ゴールのみに,2種類のクマール酸が見出された。クマール酸は,枝ゴールを同定する候補化合物となることを提示できる。また,化石ゴールの熱分解成分からは,没食子酸に類似するポリフェノール化合物を見出した。
  • 被子植物テルペノイドバイオマーカーの化学分類学・生理学的研究
    中村 英人, 沢田 健
    日本地球化学会年会要旨集, 2009年, 一般社団法人日本地球化学会
    2009年 - 2009年, 近年,堆積物や植物化石中から検出される高等植物テルペノイドバイオマーカーを用いた化学分類や古植生情報の研究が行われている.被子植物由来のオレアノイド,裸子植物(針葉樹)由来のジテルペノイドなどが典型的に知られている.演者らは白亜紀における被子植物に焦点をあてて堆積岩中の被子・裸子由来バイオマーカーを用いた植生指標を検討し,芳香族オレアノイドを用いた新指標の有用性が示唆された.しかし絶滅分類群など,化石試料を用いた基礎データが乏しい.また,白亜紀以前からのオレアナンの検出が被子植物と絶滅分類群との類縁関係を示唆するという報告もある.本公演では,絶滅分類群を含めた10種の植物化石のバイオマーカー分析の結果をまとめて,芳香族被子植物バイオマーカー指標への応用や,化学分類学的意義について議論する.
  • O-169 被子植物バイオマーカーを用いた北海道下部白亜系における被子植物の出現年代の検討(21.古生物,口頭発表,一般講演)
    中村 英人, 沢田 健, 高嶋 礼詩
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2008年09月15日, 日本地質学会, 日本語
    2008年09月15日 - 2008年09月15日
  • 中期白亜紀海洋無酸素事変1aおよび1b層準のバイオマーカー分析によるアーキアおよびバクテリアの古生産の復元
    岡野 和貴, 沢田 健, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地球化学会年会要旨集, 2008年, 一般社団法人日本地球化学会
    2008年 - 2008年, 白亜紀には、世界中の海洋が同時期に無酸素化した海洋無酸素事変(OAE)が数回起こったと考えられている。本研究では、南東フランスのボコンチアン堆積盆におけるOAE1aおよびOAE1bの黒色頁岩試料を用いてバイオマーカー分析を行った。OAE1aではシアノバクテリア由来の2-メチルホパンが顕著に検出され、その濃度が上位に向かって増加する傾向が見られた。これは、海洋の無酸素化に伴う脱窒や嫌気的メタン酸化の活発化によってシアノバクテリアが卓越しやすい環境が形成されたことに起因する可能性が考えられる。一方OAE1bではアーキア由来のバイオマーカーであるPMIやTMIが検出された。しかし、これらのバイオマーカーはKilianより上位では高濃度で検出されるものの、それより下位の黒色頁岩層からは検出されず、一般に言われるOAE1bにおけるアーキアの卓越がKilian以降のものである可能性が考えられ、その原因については考察中である。
  • 中期白亜紀海洋無酸素事変1aおよび1b層準におけるケロジェン分析による古環境変動の検討
    岡野 和貴, 沢田 健, 小刀禰 宅朗, 西 弘嗣
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2008年, 一般社団法人 日本地質学会, 日本語
    2008年 - 2008年
  • 後期中新世(11‐10Ma)の木材化石の年輪セルロースのδ18O とδ13C:高時間分解能の気候変動解析の可能性
    中塚 武, 大西 啓子, 沢田 健, 中村 英人, 塚腰 実
    日本地球化学会年会要旨集, 2008年, 一般社団法人日本地球化学会, 日本語
    2008年 - 2008年, 岐阜県多治見市の後期中新世の地層(11-10Ma)から産出した木材化石から年輪毎にセルロースを抽出し、その酸素(炭素)同位体比の経年(季節)変動を測定した。酸素同位体比の時系列を、本州中部の現生木のそれと比較したところ、同位体比の絶対値、変動範囲、変動の周期性(3?6年周期が卓越)の全てにおいて、ほぼ同じ傾向を示した。本州中部の樹木年輪セルロースの酸素同位体比は、現在、夏季の相対湿度を反映しており、その変動にはENSOの周期性が大きく影響している。それ故、今回の結果は、後期中新世においても、ENSOが本州中部の夏季水循環を支配していたこと、更に言えば、11?10Maの時点で既にENSOのダイナミクスが確立されていた可能性を、示唆するものである。
  • 古代ヤシおよびベネチテス化石の抵抗性高分子分析からの化学分類および続成変化の検討
    中村 英人, 沢田 健
    日本地球化学会年会要旨集, 2008年, 一般社団法人日本地球化学会
    2008年 - 2008年, 陸上植物はクチンやスベリン,リグニンなどの化学的に安定で強固な抵抗性高分子をもつ.陸上植物由来の抵抗性高分子は続成過程において選択的に保存されるため古代堆積物中においてもよく保存され,巨大な炭素リザーバーである堆積物内有機物の重要なソースとなっている.また,抵抗性高分子の構成要素である単量体(モノマー)の組成は起源となる植物の分類群により異なることが知られていて,起源植物の分類学的情報を与える指標としての応用が考えられるが,化石について検討された例はほとんどない.本研究では化石中における有機物の保存の状態や抵抗性高分子の分類群による差異の有無などを確かめるため,有機物を豊富に含む炭質の植物化石を用いて加水分解により得られるエステル結合態成分を分析した.本講演では,植物化石の抵抗性高分子を用いた化学分類や続成変化の検討について報告する.
  • 南東フランス、白亜紀海洋無酸素事変層準における芳香族チオフェンおよびフラン分析
    岡野 和貴, 沢田 健, 高嶋 礼詩, 西 弘嗣
    日本地球化学会年会要旨集, 2006年, 一般社団法人日本地球化学会
    2006年 - 2006年, 海洋無酸素事変 (OAE) は海洋中に無酸素環境が広がる全球的なイベントであり、海洋の生態系に大きな被害を与え
  • 大夕張地域の白亜紀植物片のバイオマーカーおよび抵抗性高分子分析~化学分類および古植物相の検討
    中村 英人, 沢田 健
    日本地球化学会年会要旨集, 2006年, 一般社団法人日本地球化学会
    2006年 - 2006年, 中生代のような古代堆積物中において,陸上高等植物に由来する有機物片が普遍的に含まれている。それらは植物体の抵抗性(難分解性)高分子から由来し,生体情報を比較的よく保存している。また,高等植物に由来する低分子量分子,いわゆるバイオマーカーも構造が一部変化しているが同定される。本研究では,北海道大夕張地域に分布する下部白亜系(Albian)蝦夷層群に含まれる植物片化石を用いて,化石中の抵抗性高分子を加水分解し,得られた有機化合物の組成分布を解析した。また,同試料に含まれる遊離態成分のバイオマーカー分析も行った。バイオマーカーとして,裸子植物がもつジテルペノイド由来の炭化水素がおもに検出された。抵抗性高分子やバイオマーカーの分析から,白亜紀前期における被子/裸子植物比などの古植物相の復元について検討した。
  • タービダイト泥岩のケロジェンおよびバイオマーカー組成からの堆積環境の検討 : 北海道夕張地域川端層の例               
    岡野 和貴, 沢田 健
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2005年, 日本地質学会, 日本語
    2005年 - 2005年
  • 鮮新-更新世の海生哺乳類の骨化石に含まれる脂質の炭素同位体比からの古食性解析
    新村 龍也, 沢田 健, 鈴木 徳行, 柴 正博
    日本地質学会学術大会講演要旨, 2003年, 日本地質学会, 日本語
    2003年 - 2003年
  • 長鎖アルケノン分析による日本太平洋沖の第四紀後期の古海洋環境の復元               
    沢田 健, 半田 暢彦
    日本地球化学会1995年会, 1995年11月10日, 日本語, 口頭発表(一般)
    1995年11月10日 - 1995年11月12日
  • 堆積有機物による西七島海嶺域の最終氷期以降の海洋表層環境の復元
    沢田 健, 半田 暢彦
    日本地質学会学術大会講演要旨, 1995年, 日本地質学会, 日本語
    1995年 - 1995年
  • 西七島海嶺域における第四紀後期の表層水温の変動
    沢田 健, 半田 暢彦
    日本地質学会学術大会講演要旨, 1994年, 日本地質学会, 日本語
    1994年 - 1994年
  • ケロジェンのマセラル分離と炭素同位体組成 / 北部フォッサマグナ高府地域の例               
    沢田 健, 秋山 雅彦
    日本地質学会学術大会講演要旨 1993年 一般社団法人 日本地質学会, 1993年04月, 日本語, 口頭発表(一般)
    1993年04月 - 1993年04月

所属学協会

  • 日本地球惑星科学連合               
  • American Geophysical Union               
  • 日本有機地球化学会               
  • 日本地質学会               
  • 日本地球化学会               
  • European Association of Organic Geochemists               
  • 日本古生物学会               
  • The Japanese Association of Organic Geochemists               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 白亜紀の国際標準年代尺度の確立と北西太平洋の白亜紀古環境変動
    科学研究費助成事業
    2025年04月01日 - 2030年03月31日
    高嶋 礼詩, 黒田 潤一郎, 西 弘嗣, 沢田 健, 山中 寿朗, 松本 廣直
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 東北大学, 25H00680
  • 暁新世にアジア大陸の生態系はどのように復活したかーK/Pg後の復活過程の全容解明
    科学研究費助成事業
    2024年04月01日 - 2029年03月31日
    西 弘嗣, 高嶋 礼詩, 沢田 健, 黒柳 あずみ, 林 圭一
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 福井県立大学, 24K00746
  • 植物化石の抵抗性高分子分析の高精度化と白亜紀温室期の陸域古環境変動の復元
    科学研究費助成事業
    2024年06月28日 - 2027年03月31日
    沢田 健
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 24K21557
  • 新第三紀の北太平洋における海洋基礎生産変動と海-陸間の生物地球化学的連鎖の解明
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2026年03月31日
    沢田 健, 桑田 晃, 力石 嘉人, 入野 智久, 加藤 悠爾
    本研究では、深海掘削および陸上調査によって得られた新第三紀堆積物から、藻類および陸上植物の分子化石(バイオマーカー)、藻類微化石、生物源シリカを分析し、新生代の北太平洋におけるグローバルな海洋ー陸域間の生物地球化学的循環と生態系の連鎖(リンケージ)、環境気候システムとの関連性を解明する。海洋・陸域生態系が駆動する長時間スケールの物質循環システムの解明という観点から、海洋基礎生産と陸源有機物の海洋への輸送量の変動の体系的で定量性の高い復元を目指す。さらに、新しい古環境復元法を確立するため、新規の藻類バイオマーカーの探索とその解析法、陸上植物バイオマーカーの分子内同位体比解析法を開発する。2022年度における主な研究成果は次のとおりである。
    1. 北部北太平洋アラスカ湾掘削コア(U1417)のバイオマーカー分析を行い、珪藻、ハプト藻、渦鞭毛藻、真正眼点藻などに由来するバイオマーカーを検出し、低分解能で大まかではあるが過去1000万年間の海洋基礎生産変動を復元した。また、ハプト藻由来の長鎖アルケノンおよび真正眼点藻由来の長鎖アルキルジオールを用いた古水温計によって海洋表層水温の変動を復元した。これらの水温の変動パターンは概ねよく一致し、全体的には中新世以降の全球的な寒冷化傾向を示すことがわかった。
    2. 北海道中南部の日高町などに分布する中新統荷菜層における泥質堆積岩から、陸上セクションからは極稀な長鎖アルケノンが検出されることを発見した。そのアルケノン古水温計を用いて中期~後期中新世における体系的な海洋表層水温と海洋基礎生産の変動を復元した。
    3. 陸源有機物において陸上植物だけでなく菌類のような生物のバイオマーカーにも着目し、特に地衣類の生体試料を用いて、新規のバイオマーカーを検討した。その結果、ファルネンなどのテルペノイドがそのバイオマーカーになり得ることを明らかにした。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23K22610
  • 新第三紀の北太平洋における海洋基礎生産変動と海-陸間の生物地球化学的連鎖の解明
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2026年03月31日
    沢田 健, 桑田 晃, 力石 嘉人, 入野 智久, 加藤 悠爾
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 22H01339
  • 地圏におけるタンパク質の保存機構および古生物学的応用に関する研究
    科学研究費助成事業
    2023年07月26日 - 2025年03月31日
    沢田 健, UMAMAHESWARAN RAMAN
    本研究では、地圏に存在する数100万年前より古い年代の化石や堆積物中に残されたタンパク質様物質の保存機構を解明する。北海道から産出した保存状態のよい古第三紀(約3000万年前)の海生哺乳類の骨化石などを対象にして、タンパク質の化石成因学(タフォノミー)調査および古生態学的な研究を行う。特に熱分解GC-MSなどの技術を開発して、化石タンパク質とその変質した化合物の分析に応用する。さらに、タンパク質の変質過程の模擬実験も合わせて行い、タンパク質から生成される窒素を含む脂質高分子の同定・定量分析法を開発し、脊椎動物化石中の化石高分子を用いた古生物化学研究法の確立を目指す。2023年度のおもな研究成果は次のとおりである。
    1. 北海道足寄町の漸新統茂螺湾層から産出したクジラおよび束柱類(アショロア、ベヘモトプス)の骨化石において薄片を作製し、その蛍光顕微鏡観察および走査電子顕微鏡-エネルギー分散型 X 線分析(SEM-EDS)を行った。クジラとベヘモトプスにおいて骨において典型的な小柱マトリックスなどが観察された。また、微化石のような形態が見られ、珪藻化石であると推定した。SEM-EDSの結果を加え、骨化石の堆積環境や埋積・化石化過程を推察した。
    2. アショロア、ベヘモトプスの骨化石において脂質バイオマーカー分析を行った。その結果、もとの死滅した動物体に由来するステロイドなどの成分に加えて、バクテリアなど分解者に由来する多様な成分も検出された。これらのバイオマーカーから骨化石の熟成度や化石の保存状態を示す定量データを得ることができた。
    3. 骨化石の熱分解GC-MS分析による化石タンパク質の測定法の開発を始めた。試験的に現生動物試料のタンパク質を対象に分析し、予想通りにジケトピペラジンなどのポリペプチド熱分解分子が検出されることを確認した。
    日本学術振興会, 特別研究員奨励費, 北海道大学, 23KF0100
  • 東アジア初の完全なK/Pg境界層から探る白亜紀末・大量絶滅における環境変動
    科学研究費助成事業
    2021年04月05日 - 2025年03月31日
    高嶋 礼詩, 黒田 潤一郎, 西 弘嗣, 沢田 健, 林 圭一, 折橋 裕二, 星 博幸
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 東北大学, 21H04503
  • 極限温暖化時に生じた森林大崩壊の全容解明
    科学研究費助成事業
    2020年04月01日 - 2024年03月31日
    西 弘嗣, 高嶋 礼詩, 沢田 健, 柴田 正輝
    本年度は下部白亜系に焦点をあて、蝦夷層群以外にも野外調査と試料の採集を実施した。下部白亜系下部では、福島県南相馬市に露出する相馬中村層群と宮城県気仙沼市大島の大島層群で柱状図の作成と泥岩、凝灰岩試料の採集を実施した。有機炭素の炭素同位体比を測定した結果、両地層からLate Valanginian Event層準を特徴づける炭素同位体比曲線のピークを両層群から見出すことができた。北海道の蝦夷層群下部の惣芦別川層~シューパロ川層でもルートマップの作製および泥岩・凝灰岩試料の採集を実施した。泥岩試料については高解像度での採集を行い、炭素同位体比の測定を実施している。凝灰岩試料については、放射年代の測定を行い、下部白亜系の年代モデルを構築が可能となった。
    有機地球科学分析では、比較研究のため米国のGreat Valley Sequence (GVS)のOAE2時の地層で陸上植物に由来する芳香族テルペノイドを用いた古植生解析を行った。被子/裸子植生比は、OAE層準では1st build-upなどにおいて一時的に減少傾向を示すものの、OAE層準を通して徐々に増大し回復期以降で減少することが明らかとなった。さらに、蝦夷層群佐久層から菌類バイオマーカーの探索と群集組成を評価する指標の開発を行った。羽幌川層では陸源ケロジェン・花粉分析を行い、被子植物花粉/裸子植物花粉個数比を明らかにした。恐竜化石では、植物食恐竜の中で特殊化した摂食方法を獲得した鳥脚類に注目し、この時期に生じた温暖化による植物相変化との関連性を考察した。アプチアン期以前、イグアノドンに代表される原始的なグループは、欧州や北米に生息していたが、アジア地域ではオーテリビアン期の立川層以外では知られていない。アプチアン期からアルビアン期になると、ハドロサウルス上科がアジアで多様化した。しかし、手取層群北谷層では、進化的な種と原始的な種が共存していたことがわかった。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 福井県立大学, 20H02012
  • 珪藻姉妹群パルマ藻と原始型中心珪藻の比較生物学による珪藻の起源・繁栄機構の解明
    科学研究費助成事業
    2017年04月01日 - 2020年03月31日
    桑田 晃, 沢田 健, 吉川 伸哉, 一宮 睦雄, 緒方 博之, 中村 洋路, 佐藤 直樹
    珪藻は微細藻類ながら熱帯雨林と同等の炭酸固定を行い、海洋で最も多様かつ重要な一次生産 者である。だが珪藻の起源ならびに繁栄に到った過程は依然として不明である。近年我々は、珪 藻同様シリカの殻を持つが培養不能であったパルマ藻の培養系構築に世界で初めて成功し、両者 が共通祖先を持つきわめて近縁な生物グループであることを明らかにした。本研究では、珪藻の 進化と繁栄の鍵を握るパルマ藻と原始的かつ全球的に卓越する中心珪藻を対象にゲノミクス・生 理生態学・生物地球化学的解析を実施し、両藻間の詳細な比較により、珪藻の出現から現在の繁栄に到った進化過程の解明を進めた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 17H03724
  • 有機分子古植生解析法の高精度化と北日本における過去500万年間の古植生変動の復元
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2018年 - 2020年
    沢田 健
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 珪藻の進化・繁栄の謎を握る未知の藻類:パルマ藻の生物学
    科学研究費助成事業
    2014年04月01日 - 2018年03月31日
    桑田 晃, 吉川 伸哉, 佐藤 直樹, 中村 洋路, 沢田 健, 一宮 睦雄, 河地 正伸
    珪藻は、全地球の炭酸固定の20%以上を担う海洋で最も重要な微細藻類であるが、その起 源・繁栄機構は依然不明である。我々は、珪藻同様シリカの殻を持つパルマ藻が非常に限られた海域 で生存しながらも珪藻と極近縁で共通祖先を持つことを明らかにした。本研究では、珪藻の起源・繁栄機構の解明にと って格好の対照生物であるパルマ藻の生態学・生理学・藻類学・ゲノミクス・生物地球化学による多面的な解明を目的とし、パルマ藻のシリカ殻形成と分裂機構の解析、パルマ藻・ボリド藻の全球分布の解析、パルマ藻の核ゲノムの解読、生活史と応答過程と各ステージの核相の解析、パルマ藻の分子化石を用いた生物地球化学的解析を進めた。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 26291085
  • アラスカ湾堆積物から探る北米氷床の消長と海洋環境動態
    科学研究費助成事業
    2014年04月01日 - 2017年03月31日
    須藤 斎, 今野 進, 芦 寿一郎, 松崎 賢史, 沢田 健
    アラスカ湾沿岸域のサイトU1417,U1418およびU1419で得られた連続試料を用いて,氷床発達やそれに伴う陸域削剥量変動史と海洋生物群集変動のリンケージを明らかにすることを目的として研究を継続し,以下のような成果が得られた.
    まず,有孔虫殻解析による放射性同位体データが不足しているアラスカ湾海域において浮遊性有孔虫酸素・炭素同位体比層序による100万年前までの正確な年代モデルを構築した.さらに,珪藻および放散虫化石の生層序と群集組成変動解析結果を,氷床・海底堆積物の化学的・物理的特性と比較し,精密な古環境・堆積場・生物群集の変遷を復元した.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 名古屋大学, 26281006
  • 大西洋および日本海深海掘削コアの植物由来有機分子分析による第四紀古植生変動の復元
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2014年 - 2016年
    沢田 健
    国際深海掘削計画(IODP)北東大西洋イベリア半島沖(U1385)と日本海北海道南西沖(U1423)で掘削された海底堆積物コアにおいて、陸上植物テルペノイドなどの植物バイオマーカーと花粉の分析を行った。その結果、U1423において過去約430万年間の長期の古植生変動を、U1385では酸素同位体比ステージ(MIS)12~10に注目して数百年スケールの短周期の古植生変動を復元した。特に、スギ・ヒノキ科由来やマツ科由来のジテルぺノイド指標による古植生変動が、氷期/間氷期スケールやさらに数百年スケールのグローバルな寒暖の気候変動とよく同調することがわかり、新たな古植生指標として高い適用性を提示した。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 26287130
  • 海洋ハプト藻類のアルケノン合成経路の解明と基盤技術の開発               
    戦略的創造研究推進制度(研究チーム型) (戦略的基礎研究推進事業:CREST)
    2010年 - 2015年
    白岩善博
    JST, 競争的資金
  • モンゴルにおけるジュラ紀~白亜紀の被子植物の初期起源群の解明
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2012年 - 2014年
    高橋 正道, 久田 健一郎, 沢田 健
    前年度に引き続き、モンゴルでの野外調査を継続し, 前年度の対象地域であるシネフダク地域に加え,植物炭化小型化石が含まれていることが確認されているテブシン地域および南部ゴビ地域のツグルグ地域を調査対象とした. 調査には、モンゴル科学アカデミーの研究メンバーおよびAndrew(Yale大学)とHerendeen(シカゴ植物園)が参加し、10日間程度の野外調査とサンプリングを行った。これらの堆積岩を日本とアメリカに輸送し、Degradationとクリーニングを行った。得られた炭化化石を丹念にソーテングし、保存性の良いMesofossilsを抽出する。これらの作業は、数か月以上を要した。9月には、モンゴルの若い研究者Tsolmonを日本に招聘し、植物炭化化石のMesofossilsの研究の処理技術および形態的技法の習得するための支援を行った。被子植物の初期始原群の進化の解明には、東南アジア地域の試料採集地点付近に分布するジュラ紀~白亜紀堆積物の層序を明らかにすることが必要である。この調査は、マレー大学のSone准教授との共同研究として遂行した。久田は、東南アジア・インドシナ半島の調査の一環として、タイ国のナン縫合帯の地質調査を実施した。沢田は, 野外調査によって採取された堆積岩の中から、白亜紀の陸上植物に由来するバイオマーカーを用いて, 溶媒抽出,アルカリ加水分解によって得られたアルキル脂質組成を分析した. 一部の褐炭試料からは顕著にクチン酸が検出され,白亜紀の堆積物においても生々しいクチンが保存されることがわかった.これは白亜紀の堆積物からの初めてのクチン酸の検出例である.広葉化石と針葉化石の分析結果から長鎖アルカノールは白亜紀の植物化石においても落葉広葉樹のマーカーとして応用できることが示唆された.
    文部科学省, 基盤研究(B), 新潟大学, 連携研究者, 競争的資金, 24405015
  • 未知の藻類:パルマ藻が解き明かす海洋を支える珪藻の進化               
    キャノン財団研究助成金
    2011年 - 2014年
    桑田 晃
    一般財団法人 キャノン財団, 競争的資金
  • LIP形成時の放出CO2による温暖化パルス:白亜紀OAE2の「2万年事変」の検証
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2011年 - 2013年
    長谷川 卓, 森下 知晃, 福士 圭介, 沢田 健
    北海道とニュージーランド南島に分布する白亜系セノマニアン/チューロニアン階境界の堆積物について詳細に研究を行うとともに,採集済み試料について実験室内での分析作業を行った.野外調査は,指導博士課程学生の根本俊文が行った.調査の概要は,白亜系セノマニアン/チューロニアン境界の過去の資料採集地点の詳細な確認と,路線マップ作り,および追加試料採集である.別経費により行われた調査の際に,並行して行った.分析作業は,抽出性有機物中に含まれる高等植物由来物質である長鎖n-alkanesの炭素同位体比分析およびその他の高等植物バイオマーカーに焦点を絞って行った.同位体分析に先立ってガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフ質量分析装置での分析を行った.脂肪族炭化水素分画について炭素同位体比分析を行ったが,目的物質が十分に分離していないものの,「2万年イベント」の層準直下に顕著な正の異常ピークが確認された.これを予察データと位置づけ,次に尿素アダクトによって目的物質の分離を行ったうえで分析を行った.分離は完全とはいかないものの,同位体比を評価するうえでは問題ないと判断できた.結果は,予察データとほぼ同様の正のピークを確認した.「2万年イベント」はバルク炭素同位体比でみられる負のエクスカーションについて名づけられたものだったが,むしろイベントとしてはその直前にみられる正の異常のほうが重要であり,長鎖n-alkanesではその正のイベントが明瞭に表れた.炭素数の異なる長鎖n-alkanesの比率が,その層準にて明瞭に変化することから,この層準では陸域で乾燥化が生じたことが示唆された.被子植物と裸子植物のバイオマーカーの比率を詳細に検討したが,その結果には「2万年イベント」に関連する明瞭な気候変化を示す証拠は得られなかったが,OAE2の開始と同時に被子植物が減少し,寒冷・乾燥化が生じたことが示唆された..
    文部科学省, 基盤研究(B), 金沢大学, 連携研究者, 競争的資金, 23340158
  • パルマ藻と原始型中心珪藻との比較による珪藻の進化機構の探究
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2011年 - 2013年
    桑田 晃, 大城 香, 斉藤 憲治, 佐藤 直樹, 沢田 健, 吉川 伸哉
    シリカの殻を持ち珪藻に極近縁のパルマ藻は、珪藻の繁栄機構と進化過程を解明する上で格好の対照生物である。本研究では、生態学・生理学・藻類学・ゲノミクス・生物地球化学からパルマ藻の多面的な解明を目的とし、本年度は以下の点を明かにした。パルマ藻・ボリド藻・珪藻間の系統関係: パルマ藻と珪藻の姉妹群のボリド藻との複数株間での分子系統解析により、パルマ藻とボリド藻は同じクレードを形成し珪藻の姉妹群であること。さらにパルマ藻の葉緑体とミトコンドリアのゲノムの解読により、各ゲノムの遺伝子が珪藻の遺伝子と非常に相同性が高く、各ゲノム構造も珪藻と酷似することを明らかにした。個体群動態: 亜寒帯でパルマ藻は、主に冬から春の低水温期に有光層中で増殖し個体群を拡大すること。夏から秋にかけ成層化により表層水温が増殖不可能な15℃を越えると、表層から消失し水温15℃以下の水温躍層下の亜表層で生残すること。秋から冬にかけ水が混合し低水温期に入ると再び増殖を開始することをフィールド調査により明らかにした。シリカの殻形成機構: パルマ藻は珪藻と異なり、シリカ欠乏下でも無殻の細胞のまま増殖でき、珪酸塩存在下でシリカの殻を形成すること。細胞内部で形成されたシリカのプレートが細胞外に送り出され、細胞表面で規則正しく配置され特徴的なシリカの殻が形成されることを培養実験により明らかにした。生活史: パルマ藻は、シリカの殻を持つ通常のステージとボリド藻に類似した鞭毛細胞ステージを生活史に持つことを培養実験により明らかにした。この生活史はシリカの殻のステージと鞭毛ステージ両者を持つ点で、原始的珪藻である中心珪藻の生活史と類似性を持つ。バイオマーカー: パルマ藻は原始的な中心珪藻と共通の脂質バイオマーカーを持つ一方、比較的高分子量のパルマ藻固有の脂質バイオマーカーを持つことを生物地球化学的解析により明らかにした。
    文部科学省, 基盤研究(B), 独立行政法人水産総合研究センター, 連携研究者, 競争的資金, 23370046
  • 植物由来有機分子分析による白亜紀温室期の古植生変動の高精度復元
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2011年 - 2013年
    沢田 健, 高嶋 礼詩
    本研究は、白亜紀堆積層に含まれる陸上植物由来の生物指標分子(バイオマーカー)と抵抗性高分子(ケロジェン)の分析から、長時間スケールの古植生の年代変動を高精度に復元し、さらに植生データを介して白亜紀の陸域環境変動を推定するものである。平成25年度を含む研究期間内でのおもな研究成果は次のとおりである。1.北海道大夕張・天狗ノ沢セクションおよび朱鞠内・大曲沢セクションに分布する蝦夷層群の堆積岩試料のバイオマーカー分析を行い、植物テルぺノイドを用いた被子/裸子植生指標や針葉樹植生指標の解析から古植生変動を復元した。特にセノマニアン/チューロニアン境界付近の層準において高分解能での変動データを得て、被子/裸子植生の急激な変動を見出した。2.植物化石の抵抗性高分子を加水分解して得られる結合態脂肪酸のC18/C16比をRFA-18/16と設定した。この指標を天狗ノ沢の堆積岩試料の陸上植物由来ケロジェンに応用した。RFA-18/16値は木本性/草本性植生比(森林/草原比)を示すものと提案した。さらに、ケロジェンから得られる長鎖n-アルカノールを用いて、新たに落葉広葉樹植生指標を開発した。この結合態n-アルカノール指標からの古植生データは、植物バイオマーカーが示す被子/裸子植物比の変動パターンとよく同調することがわかった.3.蝦夷層群堆積岩から分離したケロジェンの熱分解分析と熱化学分解分析を行った。熱化学分解分析ではケロジェン構造中の脂肪酸ユニットを脂肪酸として分析できるため、簡便的なRFA-18/16分析法になり得る。さらに、標準的なケロジェン試料を用いて、各種の誘導体化試薬による熱化学分解分析を行い、ケロジェンの構造解析のための分析の最適条件を検討した。特にHMDS試薬を用いた熱化学分解分析が、ケロジェンの構造中に含まれているメトキシ基の同定に有用であることがわかった。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 23540542
  • 白亜紀中期に生じた「メガ・モンスーン事件」の検証
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    2010年 - 2012年
    西 弘嗣, 高嶋 礼詩, 沢田 健, 川幡 穂高, 高嶋 礼詩
    白亜紀中期のAlbian期最初期(1億1300万年前)には,テチス海~大西洋において広く無酸水塊が発達し,海洋生物の絶滅が起こった.このイベントの発生メカニズムを明らかにするため,フランス南東部に露出するこの絶滅イベントの地層に対して,微化石の群集解析,堆積物の有機・無機化学分析および粘土鉱物分析を行った.その結果,このイベントは,温暖化に伴い,陸域が湿潤化し,大量の栄養塩が陸から海に流れ込んだため,海洋表層が富栄養化し,無酸素水塊が発達したことが明らかとなった.
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学->東北大学, 連携研究者, 競争的資金, 22403015
  • 北太平洋における白亜系統合標準層序の確立
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2009年 - 2011年
    西 弘嗣, 沢田 健, 高嶋 礼詩, 高嶋 礼詩, 沢田 健
    北海道に露出する白亜系蝦夷層群と根室層群において, 浮遊性有孔虫化石, 渦鞭毛藻シスト化石による白亜系アプチアン階~マーストリチヒアン階に至る詳細な化石層序を樹立した.さらに, 同区間の植物片の炭素同位体比層序と有孔虫殻のストロンチウム同位体比層序を統合するとともに, 12層準において凝灰岩のU-Pb, 40Ar/39Ar年代測定を行い, 高精度の標準統合層序と年代モデルを樹立した.
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学->東北大学, 連携研究者, 競争的資金, 21540479
  • 堆積物のキノン分析による過去の微生物群集変動の復元
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2008年 - 2010年
    沢田 健
    堆積物中のイソプレノイドキノンとそれらの類似化合物に着目し,過去の微生物の生物生産や群集組成の年代変動を復元する研究法を開発・検討した。その結果、現世の海底堆積物中の遊離態成分や新第三紀および白亜紀の堆積岩中の高分子有機物(ケロジェン)に結合している成分として、イソプレノイドキノンに構造が類似するトコフェロールが有力な海生藻類バイオマーカー指標として応用できることを提案した。一方、限られた試料において、ケロジェン結合態フィロキノンがシアノバクテリアに由来し、その生産性の指標となることを提案した。また、芳香族キノンが、地衣類の生産性と海洋への移送・堆積量を復元するバイオマーカーに応用できる潜在性も指摘した。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 20606001
  • Fundamental study on algal lipid with reference to application to bio-oil resource               
    JST Basic Research Programs (Core Research for Evolutional Science and Technology :CREST)
    2010年
    競争的資金
  • 新生代の大陸基礎生産と地球気候変動
    科学研究費助成事業
    2006年 - 2008年
    鈴木 徳行, 沢田 健, 渡邊 剛
    高等植物バイオマーカーの安定水素同位体比と菌類バイオマーカーの存在度に注目して地質時代における陸域の水循環を評価する方法を提案した. 新生代始新世・漸新世の一連の堆積岩に適用した結果,同時期の中緯度陸域は著しく多雨湿潤であり,顕著な基礎生産と炭素固定が行われていたと考えられる. 新生代始新世から現在までの長期的な地球気温の低下は草本質植物の進化拡大や大陸基礎生産による生物フォーシングが重要な役割を果たしたと考えられる.
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 18204045
  • 植物化石有機分子からの白亜紀陸上生態系変動の復元
    科学研究費補助金(若手研究(A))
    2006年 - 2007年
    沢田 健
    白亜紀の陸域における気候変動と陸域生態系の進化,特に被子植物の進化・拡散とその影響による陸域生態系の変化を復元することを目的として,北海道などの白亜系堆積岩や大型植物化石を対象として古生物学・生物地球化学の研究を進めた。本研究は,古代植物に由来するバイオマーカーと抵抗性高分子に着目して、それらを用いて古生態・古気候記録を解読することが特徴である。研究の進め方として,(1)北海道白亜系の陸城古気候変動の復元と,(2)古代植物のバイオマーカー・抵抗性高分子の分析方法の開発等の基礎研究の2つのアプローチから行なった。平成19年度の研究成果は以下のとおりである。1.北海道中央部の大夕張,三笠,苫前地域に分布する地層から堆積岩および植物化石片を採集した。採集層準は,空知層群最上部(Aptian)から蝦夷層群佐久層上部(Turonian)にわたり,それらを試料としてバイオマーカー分析を行った。測定には,本科研費で設置されたガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いた。その結果,Aptian層準から被子植物バイオマーカーを検出した。これは日本では最古の被子植物の記録となる。また,Aptian〜Turonianにおける北海道の被子/裸子植物比などの陸上古植生の変動を復元した。2.北海道などの白亜紀から古第三紀(北大博物館収蔵)の葉・材化石を用いて,植物化石の抵抗性高分子の基礎研究を行った。化石を加水分解して得られた化学部位(分子ユニット)をGC/MS測定から同定・定量し,その組成分布を調べた。それらの結果から,植物化石の化学分類や化石の保存度の評価などへの適用性について検討した。
    文部科学省, 若手研究(A), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18684028
  • 高等植物化石ポリマーの解析からの白亜紀陸域生物圏進化の解明
    科学研究費補助金(若手研究(B))
    2004年 - 2005年
    沢田 健
    白亜紀における植物の進化とそれによる陸域環境の変化を復元することを目的として,北海道白亜系の堆積岩および天型植物化石を対象に古生物学・生物地球化学的研究を進めた.本研究は、丁古代植物に由来する化石ポリマーに着目して,それから古生態・古環境記録を解読することが特徴であり,研究の進め方も,(1)北海道白亜系の陸域古環境変動の復元と,(2)古代植物の化石ポリマー分析方法の開発等の基礎研究,の2つのアプローチから行なっている.平成17年度に行なった研究およびその成果は以下のとおりである.1.北海道大夕張地域に分布する蝦夷累層群シューパロー川層(白亜紀前期Albian相当)の地質調査と露頭の地層からの砂岩,泥岩および大型植物化石を採集した.2.本科研費で平成16年度に設置された蛍光顕微解析装置で,堆積岩中から分離した植物化石に由来する有機物破片を蛍光特性から分類した.また,砂岩試料から植物由来有機物破片を効率的に分離する遠心比重分離法を開発・検討した.3.比較的大型の木片化石をアルカリ加水分解することによって,エステル結合した化石ポリマーを分離した.その化石ポリマーを分析し,クチンやリグニンを構成するポリマーに由来する分子ユニットを数種類同定した.特に,クチンポリマーの脂肪酸分子ユニットの炭素数分布情報が,植物化右の化学分類に適用できることがわかった.また,テルペノイドのようなバイオマーカーも遊離態成分として同定され,化学分類や古環境復元に使えることを確認した.4.砂岩中に含まれる植物片を遠心比重分離してすべて回収した.その試料のバイオマーカー分析の結果,北海道の白亜系Albianに堆積した陸上植物は,裸子植物が優占的で被子植物は含まれないことが判明した.
    文部科学省, 若手研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 16740291
  • 温室期の地球システムにおける海洋環境と物質輸送の高精度解析
    科学研究費補助金(基盤研究(A))
    2003年 - 2005年
    岡田 尚武, 鈴木 徳行, 北里 洋, 川幡 穂高, 西 弘嗣, 大河内 直彦, 沢田 健, 坂本 竜彦
    岡田尚武をリーダとする研究グループは,統合深海掘削計画(IODP)の先駆的研究として,平成11〜13年度の科学研究費補助金(課題番号11691113)でフランスプロバンス地方に露出するOAE1b層を研究し,エンジンカッターを用いて大型の柱状試料を採取すると共に,RosansのOAE1b最上部層準において試験的なボーリングを実施した。このボーリング試料に関する遺伝子学的解析の結果,地層中のバクテリア群集に関する興味深い新知見を得た(Inagaki, Okada et al., 2005)。フランスに於ける第2弾の国際学術研究となる本研究では,フランスの専門業者を雇ってOAE1aとOAE1bでの本格的ボーリングを実施し,極めて良質な連続コアを採取した。開封後にコアがバラバラになるのを防ぐため樹脂を用いてコア全体を保存する技術と,1mm間隔での試料採取のためのマイクロドリル法を新たに開発し,非破壊法での成分・構造分析に加えて,各種微古生物学的,有機化学的,無機化学的手法を駆使してOAE層の堆積メカニズムと古環境復元の研究を行ってきた。OAE1b層準全体から採取した地表試料の解析から,無酸素水塊が海洋表層まで達しなかった環境下での黒色頁岩と,表層まで到達して表層生物圏に大きな影響を与えた環境下での黒色頁岩のあることが分かった。また,Paquir層を鏡面研磨した結果,強い葉理が発達する部分,要理が擾乱されて不明瞭な部分,葉理のない部分,のセットが4回繰り返していることが分かった。1cm(約250年)間隔での分析結果では,ラミナの明瞭な部分では各種プランクトン,陸源性砕屑物,有機炭素含有量や黄鉄鉱が増加する一方で,底生有孔虫は多様性と個体数が減少する。これらのデータから,陸起源の栄養塩供給増加によって一次生産が増え,その結果として底層に無酸素環境が広がるという環境が4回発生したと考えられる。
    文部科学省, 基盤研究(A), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 15253007
  • Molecular paleontology and paleobiology of resistant macromolecule in plant fossil               
    2003年
    競争的資金
  • 自然界に存在する巨大分子の地球化学的研究               
    理学未来潮流グラント
    2001年11月 - 2002年03月
    沢田 健
    北海道大学理学研究科, 研究代表者, 競争的資金
  • Biogeochemical studies on terrestrial ecosystem evolution, with respect to its effect in earth's environment               
    Grant-in-Aid for Scientific Research
    2000年
    競争的資金
  • Biogeochemical studies on geomacromolecule in sediment and fossil               
    Grant-in-Aid for Scientific Research
    2000年
    競争的資金
  • Paleoenvironmental and paleoclimatological reconstructions by biomarkers in sediment and fossil.               
    1996年
    競争的資金