藤本 貴史 (フジモト タカフミ)

水産科学研究院 海洋応用生命科学部門 育種生物学分野教授
Last Updated :2025/12/04

■研究者基本情報

学位

  • 博士(水産科学), 北海道大学, 2005年03月

プロフィール情報

  • 2000年北海道大学水産学部卒、同大学院を経て、2005年より同大学院にて学術研究員、博士研究員、2008年北海道大学北方生物圏フィールド科学センター博士研究員、2010年日本学術振興会海外特別研究員としてFisheries and Oceans Canada (カナダ海洋水産省) West Vancouver研究所、2012年より北海道大学大学院水産科学研究院勤務、現職。自然界にクローンが存在するドジョウやギンブナを対象として、特殊な配偶子形成に関する研究を行うとともに、サケ科魚類では産業利用に向けた交雑育種や倍数体育種の研究や精子凍結保存などの遺伝資源保存技術開発に関する研究を行っている。函館マリカルチャープロジェクトではキングサーモンの完全養殖技術開発に取り組んでいる。また、最近は養殖技術の一つであるアクアポニクス研究にも取り組み始めた。基礎研究と応用研究が両輪となった研究を展開することで幅広い視野をもち、多角的に問題解決に取り組みたい。

Researchmap個人ページ

研究者番号

  • 10400003

研究キーワード

  • 生殖細胞
  • 雑種
  • 種判別
  • サケ科魚類
  • 交雑
  • 減数分裂
  • 倍数体
  • クローン
  • 染色体操作
  • 凍結保存
  • 発生・分化
  • バイオテクノロジー
  • ドジョウ
  • 顕微授精

研究分野

  • ライフサイエンス, 水圏生産科学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2024年04月 - 現在
    北海道大学, 大学院水産科学研究院 海洋応用生命科学部門 育種生物学分野, 教授, 日本国
  • 2012年04月 - 2024年03月
    北海道大学, 大学院水産科学研究院 海洋応用生命科学部門 育種生物学分野, 准教授
  • 2010年09月 - 2012年03月
    カナダ 水産海洋省, West Vancouver Lab., 日本学術振興会海外特別研究員
  • 2008年04月 - 2010年08月
    北海道大学北方生物圏フィールド科学センター, Field Sicence Center for Northern Biosphere, 博士研究員
  • 2005年06月 - 2008年03月
    北海道大学大学院水産科学研究院, Faculty of Fisheries Sciences, 博士研究員
  • 2005年04月 - 2005年05月
    北海道大学大学院水産科学研究院, Faculty of Fisheries Sciences, 学術研究員

学歴

  • 2002年04月 - 2005年03月, 北海道大学, 大学院水産科学研究科, 生命資源科学専攻博士後期課程, 日本国
  • 2000年04月 - 2002年03月, 北海道大学, 大学院水産科学研究科, 生命資源科学専攻博士前期(修士)課程, 日本国
  • 1996年04月 - 2000年03月, 北海道大学, 水産学部, 生物生産科学科, 日本国

委員歴

  • 2025年04月 - 現在
    日本学術振興会, 学術システム研究センター専門研究員, 政府
  • 2023年02月 - 現在
    日本水産学会, シンポジウム企画委員会委員長, 学協会
  • 2019年 - 現在
    函館市魚類等養殖推進協議会, 委員, 自治体
  • 2021年03月 - 2024年02月
    日本水産増殖学会, 会計幹事, 学協会
  • 2020年02月 - 2024年02月
    日本水産学会, シンポジウム企画委員会委員
  • 2018年12月 - 2020年02月
    日本水産増殖学会, 編集委員, 学協会
  • 2016年03月 - 2018年02月
    日本水産学会, 北海道支部庶務幹事, 学協会
  • 2014年03月 - 2016年02月
    水産育種研究会, 庶務幹事, 学協会
  • 2014年 - 2015年
    日本水産学会, 北海道支部若手の会幹事長, 学協会

■研究活動情報

受賞

  • 2017年03月, 公益社団法人日本水産学会, 平成28年度 水産学進歩賞               
    ドジョウをモデルとした発生・生殖生物学と育種支援技術開発に関する研究
    藤本 貴史, 国内学会・会議・シンポジウム等の賞, 日本国
  • 2010年03月, 日本水産学会, 平成21年度日本水産学会論文賞受賞論文(第49号)               
    阪尾寿々;藤本貴史;小林輝正;吉崎悟朗;山羽悦郎;荒井克俊, 学会誌・学術雑誌による顕彰, 日本国

論文

その他活動・業績

書籍等出版物

  • Sex Control in Aquaculture Volume I               
    荒井克俊, 藤本貴史, Chapter 6 Chromosome Manipulation Techniques and Applications to Aquaculture
    Wiley and Sons, Ltd., 2019年, 9781119127291, 英語, [共著]
  • 水産育種遺伝学               
    藤本 貴史, 6章 染色体操作と育種,および10章 交雑と育種
    東北大学出版会,仙台, 2017年03月, 9784861632709, 243, 99-118、171-186, 日本語, 教科書・概説・概論, [分担執筆]

担当経験のある科目_授業

  • サケマス養殖生産学               
    北海道大学
    2025年10月 - 現在
  • 発生・組織学               
    北海道大学
  • 水族遺伝育種学               
    北海道大学
  • 水族発生生物学               
    北海道大学
  • ラーニングサテライト               
    北海道大学
  • 育種生物学特論 II               
    北海道大学
  • 育種生物学特論 I               
    北海道大学
  • 水産増殖学               
    北海道大学
  • 水産科学英語               
    北海道大学
  • 水産科学汎論I               
    北海道大学
  • 技術論文技法               
    函館工業高等専門学校
  • 増養殖実習               
    北海道大学
  • 潜水調査実習               
    北海道大学
  • 基礎乗船実習               
    北海道大学
  • 水圏生物学実験               
    北海道大学
  • 水産科学汎論II               
    北海道大学
  • サケ学入門               
    北海道大学

所属学協会

  • 日本動物遺伝育種学会               
  • 日本水産増殖学会               
  • 水産育種研究会               
  • 日本動物学会               
  • 日本水産学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • クローン配偶子作製技術にむけた生殖細胞におけるゲノム倍加・削減機構の解明
    科学研究費助成事業
    2024年04月 - 2029年03月
    藤本 貴史, 西村 俊哉
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 24H00516
  • 倍数性変化に柔軟な魚類をモデルとした多倍数体化初期の進化過程の解明               
    科学研究費助成事業
    2025年04月 - 2028年03月
    三品 達平, 渡辺 勝敏, 藤本 貴史
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 25K02327
  • 魚類における雌性発生による致死的半数性を利用した不稔化技術の開発
    科学研究費助成事業
    2023年06月 - 2026年03月
    藤本 貴史, 西村 俊哉, 田中 啓介
    日本学術振興会, 挑戦的研究(開拓), 北海道大学, 23K17382
  • ドジョウクローン系統とメダカ雑種の生殖幹細胞におけるゲノム倍加のメカニズム
    科学研究費助成事業
    2023年11月15日 - 2025年03月31日
    藤本 貴史, MARTA ANATOLIE
    初年度は研究期間が短いため生殖細胞培養系の確立とゲノム倍加現象が生殖細胞において生じるニホンメダカとハイナンメダカの交雑を行うことで解析用の雑種メダカの作出を目指して研究を行った。
    生殖細胞においてゲノム倍加が生じるクローン系統ドジョウに由来する生殖細胞培養のための条件検討を行った。細胞培養を成功させるために極めて重要なことは、様々な酵素を用いた効果的な生殖腺細胞の解離にある。条件検討を重ねた結果、ドジョウのオスとメス両方の生殖腺細胞の解離に成功した。しかし、分離した生殖腺細胞の純度、量、生存率に対する生殖腺細胞の濃縮の影響を評価するために、密度勾配遠心による分画を試みた。その結果、より純度の高い生殖腺細胞を得ることができたものの、単一の雌性生殖腺からの収量は最適な細胞培養を確立するには不十分であった。また、初代生殖腺細胞の最適培養条件の検討において、血清の添加量、成長因子、細胞分化の阻害剤の添加を試みた。細胞培養は数週間維持されたが増殖率は低かった。生殖細胞培養と並行して、生殖腺解離細胞から再構築したオルガノイド様の細胞塊の作製を試みた。細胞塊は1ヶ月間培養することが可能であった。
    メダカ属雑種では野生型のニホンメダカとハイナンメダカの交雑に加え、生殖細胞をEGFPで可視化できる遺伝子組換え系統のニホンメダカと野生型のハイナンメダカの雑種を誘起した。後者は培養下で生殖細胞を可視化できるため、非常に有用なツールとなりうる。
    日本学術振興会, 特別研究員奨励費, 北海道大学, 23KF0181
  • 半クローン雑種の総括研究-永続性の実証(究極要因)とゲノム削除機構(至近要因)
    科学研究費助成事業
    2021年04月 - 2024年03月
    宗原 弘幸, 藤本 貴史
    半クローンやクローンは、雌だけを産むため個体群増殖速度が速いが、遺伝的な多様性を作り出せないなどの欠点から、系統寿命は短いと考えられてきた。しかし、アイナメ属半クローン雑種を用いた研究から、一世代で父親ゲノムを「置換」できる半クローンの特性により、母種の雄と交配することで組換え可能な子を作り出せる。本研究では、アイナメ属の系統進化の過程で、ホスト種を換えることによって半クローンと組換え世代を繰り返し、系統寿命を伸ばしてきたことを実証する。さらに半クローン配偶子が形成過程を細胞学的に解明する。
    本年度は以下のことを実施した。
    1. 父種ゲノムの削除機構の細胞学的観察と遺伝マーカーの作成
    半クローンは、体細胞では父種と母種のゲノムが協働して雑種成体となるが、生殖細胞は母種ゲノムだけを伝える配偶子を作る。父種ゲノムが排除される仕組みを明らかにするため、卵原細胞から卵母細胞になるまでの染色体動態を蛍光観察するためのプローブ作成を行った。
    2. 半クローン遺伝子のホストスイッチを経由した永続性の実証
    スジアイナメゲノムの半クローン雑種には、アイナメを宿主にするアイナメ系とクジメを宿主にするクジメ系が北海道南部とロシア沿海州で見つかっている。スジアイナメは北太平洋東岸で起源し極東まで分布を広げた。その過程には、多様な環境があったが、そこを近縁種のゲノムを宿主にして乗り越えて極東にたどり着いたと考えられる。これを『ホストスイッチ仮定』とよんでいる。これを実証するために、もっとも寒冷域にまで分布するエゾアイナメを厚岸町から入手した。エゾアイナメの精子で半クローンの卵を人工受精した。その結果、受精し、孵化仔魚も他の純粋種と比較して順調に育つことがわかった。本年度は得られた稚魚のDNA量、両親種のゲノムが遺伝したことを確認した。次年度はこの雑種が半クローンかどうかを確認する。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 21K05743
  • 二倍性配偶子形成メカニズムの解明とその育種展開
    科学研究費助成事業
    2021年04月 - 2024年03月
    藤本 貴史, 西村 俊哉, 田中 啓介, 黒田 真道
    ①ゲノム倍加を生じる系統間ゲノムの違い、②ゲノム倍加の分子機構の解明、③雑種由来の二倍性配偶子の育種応用に向けた実証研究の3項目の概要を下記に示す。
    ①ドジョウB系統の倍加半数体の遺伝子型が完全同型接合であることを確認し、倍加半数体の高分子DNAをロングリードシーケンサーによるゲノム解析に供した。得られたリードデータを用いて、ゲノム構造解析の基盤整備を行った。また、B系統特異的なFISHプローブを開発するとともに、人為的に作出した二系統間雑種でGISHを行った結果、A系統をプローブDNAに用いた場合はA系統由来と推定される染色体の全域が染色されたのに対し、B系統をプローブDNAに用いた場合はB系統と推定される染色体のセントロメア領域が強く染色され、系統間におけるゲノム構造の変異が示唆された。
    ②クローンドジョウの卵巣をトリプシンやコラゲナーゼ等の消化酵素を用いて細胞を開始した後、メッシュフィルターを通して大型卵母細胞を除去することにより、小型の細胞のみを回収した。これらの細胞を固定後、Vasa抗体を用いて免疫蛍光染色に供した結果、比較的大型の核を有する卵原細胞が確認された。また、FACSによる分析では、Vasa陽性の細胞がDAPI蛍光強度で3種類に分類できることが明らかとなった。一方、生殖細胞の可視化にむけた遺伝子組換えクローンドジョウでは、piwiあるいはvasaのプロモーター領域とEGFPからなるコンストラクトを作製し、これらを顕微注入した遺伝子組換え候補個体の作出を行った。
    ③サケ科ではイワナ属の種間雑種では受精能を有する半数性の配偶子形成が確認された。他のサケ科雑種に関しては成熟に至らず、現在も継続して飼育している。ドジョウ雑種ではカラドジョウ雌と各系統のドジョウ雄の雑種雄は不妊性を示すことが確認された。メダカ属雑種では、雑種個体を誘起し成熟に向けて飼育を継続している。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 21H02278
  • 育種・染色体操作を用いたサケ科魚類の魚卵アレルゲン性低減化の試み
    科学研究費助成事業
    2020年04月 - 2023年03月
    清水 裕, 笹岡 友季穂, 藤本 貴史, 平松 尚志, 石田 晃彦, 渡慶次 学, 佐伯 宏樹
    進捗状況を3項目に分けて述べる。
    1.不妊魚の作出:ニジマスの卵と凍結保存したブラウントラウトあるいはサクラマスの精子を受精し、第二極体放出阻止処理により作出された雑種三倍体候補(A:ニジマス×ブラウントラウト、B:ニジマス×サクラマス)の倍数性を調査した。その結果、候補Aでは全25個体で、候補Bでは1個体を除く30個体が三倍体であった。これらの個体はPITタグで標識し、現在も継続して飼育している。(藤本)
    2.魚卵アレルゲン検知系の構築:引き続き、ニジマス卵アレルゲンであるβ’-component(BC)のペーパー免疫分析デバイスの構築に取り組んだ。デバイスは濾紙にインクを印刷して加熱する常法により作製し、インクで囲まれた領域を分析反応ゾーンとした。分析は、反応ゾーンに新規作製した抗BC抗体を固定化して試料、酵素標識抗BC抗体、発色試薬を順に加えて行う手順とした。本手法では、従来並みの感度(検出感度:約1 ng/mL)の分析が従来の1/100の時間(約20分)で可能となった。(渡慶次、石田)
    加えて、交雑種に対応した検知系に使用する抗体の作成のため、サクラマス排卵からBCを精製し、これを家兎に免疫し抗血清を作製した。(平松)
    3.不妊化魚の魚卵アレルゲン性の調査:全23個体の不妊化三倍体ニジマスの内臓組織に含まれるBCを測定したが、全個体の筋肉には魚卵アレルギー発症リスクが認められなかった。しかし、5個体において生殖線から少量のBCが検出されたが、その内3個体は目視にて明確な生殖腺の発達が観られた。目視で生殖線の発達が確認できなかった20個体について、生殖腺の組織切片を作製・観察し、その発達状況を確認した。その結果、3個体で発達中の卵母細胞が散在しているのが確認され、生殖腺の外観だけでアレルギー発症リスクの有無を見分けるのは困難であることが判明した。(清水、佐伯、笹岡、平松)
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 20K05903
  • in vivo選抜育種による魚類育種の加速化実現
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2016年04月 - 2021年03月
    山羽 悦郎, 藤本 貴史, 松原 孝博, 後藤 理恵, 斎藤 大樹
    A) 宿主の生殖腺内で培養による育種適合ゲノムの選抜
    本研究費で購入したSONY社製セルソーターにより魚類の始原生殖細胞(PGCs)を分離する条件の検討、および、分離したPGCsをまとめて移植する条件設定を行っている段階である。また、研究分担者が購入したBeckman社製のセルソーターを用い、多数の胚細胞の中からPGCsを濃縮する手法の開発を行っている。前者においては、分離した胚からソートされる蛍光標識された細胞の数が少ないのが問題となっている。また、ソートされたPGCsと考えられる細胞は相互に接着する能力が弱く、分散した状態にあり移植には不向きである。移植に適したPGCのみからなる細胞塊の誘導を試みている。現状では高周波パルスを用いた誘電泳動を試行し、細胞塊の誘導が可能と考えられる結果を得ているものの、ソーティングされた細胞に適用するための機器の開発ができていない。後者においては、PGCsを比較的多く含む細胞画分を探索できているものの、再現性が低い状況である。どちらにおいても、生殖系列キメラを誘導できておらず、育種適合ゲノムの選抜には至っていない。
    B) 遺伝的多様性を有するPGCの分離
    本項目では、数多くの胚から分離した細胞に含まれるPGCsを簡便に分離する技術の確立を目指している。ゼブラフィッシュのPGCsで発現するCxCr4に対する市販品の抗体で染色される細胞の分離を目指していたが、ソーティングが不首尾な状況で、まだ進んでいない。
    遺伝的に多様なPGCsを得るためには、数多くの雄個体から採取した精子で受精した卵からPGCを採取するのが理想的である。材料としているキンギョで、多様性を持った精子の凍結保存を試みた。抗凍結剤としてメタノールと数種の糖を使い凍結保存の条件を検討したが、解凍後に精子が動く条件を見つけられていない。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 16H02564
  • ホストを乗り換え永続するアイナメ属半クローンゲノムの起源と進化、遺伝子の特定まで
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2017年04月01日 - 2020年03月31日
    宗原 弘幸, 藤本 貴史, 荒井 克俊, 三木 玲香
    30年度は、昨年度において未完であった、半クローンに関わる遺伝子の特定に関わる部分の研究を進めた。また、人工交配で新規半クローンを再現する実験は、本研究の課題名「ホストを乗り換え永続するアイナメ属半クローンゲノムの起源と進化、遺伝子の特定まで」の根幹であるため、この部分も進めた。
    遺伝子の特定に関わる部分では、次世代シーケンサーを使ったRNA-seqで、半クローンの卵形成において、不働の遺伝子群を検出した。これは、半クローンが突然変異で新たな機能を持った遺伝子を想定していたが、その反対に働かない遺伝子があって、その下流のカスケードが機能しないというものである。しかし、減数分裂する際に働くとみられる中心体に関与する遺伝子が働かないことなどから、「分裂を誘導する段階での遺伝子欠損」とする仮説は、むしろ合理的と評価した。
    アイナメ属半クローンは、これまで知られている半クローン6生物タイプのうち、唯一の海産生物である。半クローンは個体数増殖速度が親種よりも速いため、2つの親種と共存する初期状態から、半クローンが増殖には必要とせず、競争関係にある母種を駆逐するまでの遷移期間は、生息域が狭い場合、短期間であると考えられている。アイナメ属の場合、海洋であるため、生息域が広く、局所的には母種が駆逐される遷移後の安定期であっても、半クローンのいない生息地で母種は存在し、半クローンゲノムが母種集団に還元し、組み替え世代を経て、半クローンゲノムがリニューアルし、長期間存続できる仮説が成り立つ。この仮説の実証ために、半クローンが、その父種と母種との交配頻度を調べる調査を行い、半クローンが母種の雄と交配していることを突きとめた。これは、染色体遺伝マーカーが開発できたためで、半クローンが実際に還元していることを、初めて突きとめた。半クローンの集団構造に関して、全く新しい考え方が提案できるだろう。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 17H03856
  • 遺伝子ノックアウト/インによる魚類精子形成のコントロール
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2016年04月 - 2019年03月
    藤本 貴史, 山羽 悦郎
    ゼブラフィッシュとドジョウにおいて,魚類の精子鞭毛運動と精子変態に関するそれぞれの遺伝子をCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集による雄特異的な不妊化技術の開発を行った。各遺伝子で生殖細胞ゲノムにフレームシフト変異の導入に成功し,F0世代で当該遺伝子に変異をもつ精子の形成を確認した。これらは運動能を持ち,野生型との交配により変異をヘテロでもつF1世代が誘起された。しかしながら,精子変態関連遺伝子のホモ変異体では定型外翻訳あるいは重複遺伝子によると思われる機能的な精子の形成が確認された。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 16H04965
  • 魚類の交雑に起因する特異な発生・生殖の分子機構解明と育種応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2015年04月 - 2019年03月
    荒井 克俊, 藤本 貴史, 山羽 悦郎, 宗原 弘幸
    異魚種間の雑種胚は生存性あるいは致死性となったが、後者の場合、異質三倍体化により生存能力が回復した。雑種では生殖細胞の分化不全と両性生殖腺がしばしば見られた。天然でクローン生殖を行うドジョウは異系統の交雑に起源し、ペアを作ることができない染色体が倍加して、相同染色体のように行動し、遺伝的に同一の配偶子形成をすることを明らかにした。アイナメ属野外雑種は半クローン生殖のマーカーとなる特異な染色体をもつことを明らかにした。
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 15H02457
  • 雌/非還元型、雄/還元型の配偶子形成をする四倍体フナの減数分裂機構解明
    科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    2015年04月 - 2017年03月
    荒井 克俊, 藤本 貴史, 山羽 悦郎, 村上 賢, 鈴木 紘子, 田中 英樹
    ギンブナ四倍体(4n)には雌雄両性が生じる。雌は4n卵を産み、雌性発生により繁殖するが、雄は減数分裂により2n精子を産する。本研究は4nギンブナを材料に、減数分裂を「する(雄)」、「しない(雌)」が何により決められるかを明らかにしようとした。その結果、(1)4nには2n精子を産する雄の外に、異数性精子を産する雄もいること、(2)キンギョ雄との人工交配では、3n雌個体により、3nのみ、4nのみ、あるいは3nと4n両方の子孫が生じる場合があること、(3)材料とした群馬県城沼由来集団には大陸系ギンブナを多く含むことが判明した。4nのゲノム構成により、多様な生殖が生じる可能性が示唆された。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 15K14786
  • 魚類の生殖細胞における異質なゲノム構成が配偶子形成に与える影響の解明
    科学研究費助成事業 若手研究(A)
    2013年04月01日 - 2016年03月31日
    藤本 貴史
    ゲノム構成の異なるドジョウを人工交雑によって作出し、それらのゲノム構成と配偶子形成との関係を調査した。異質二倍体では雌では妊性が示唆され、雄では僅かに配偶子が形成された。異質三倍体においては雌では妊性が示唆されたのに対して、雄では強い不妊性が示された。オスでの不妊性は系統判別が可能なプローブを用いた染色体解析の結果、相同染色体の対合に異常が生じていることが明らかとなり、系統間の染色体に遺伝的な違いがあることが示唆された。非還元配偶子形成に関するトランスクリプトーム解析では、非還元配偶子を形成するクローン系統において特異的に細胞分裂や細胞周期に関する遺伝子の発現に変動が見られた。
    日本学術振興会, 若手研究(A), 北海道大学, 25712021
  • 魚類の多精現象の再検討と育種応用
    科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    2013年04月01日 - 2015年03月31日
    荒井 克俊, 藤本 貴史
    ドジョウ野生型を雌、アルビノ系統を雄として、接水で賦活した卵の卵膜を除去し、動物極の胚盤中心付近に約1~1000精子を顕微注射したところ、精子数1000で卵割率は対照と同様の87%まで向上し、6%程度の胚が孵化した。卵膜除去卵への授精による強制的多精を行った場合も2%程度の胚が孵化した。アルビノ形質発現とマイクロサテライトDNA父系アレルのみの出現から、大部分の半数体、半数体を含むモザイク、四倍体は雄性発生胚であることが判明した。野生型で母系、父系の両アレルをもつ卵核と精子核の融合に起因する二倍体、三倍体、異数体胚も少数出現した。同様に、ゼブラフィッシュにおいても発生胚を得ることができた。
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 25660161
  • 魚類の倍数性配偶子誘導にむけた自然クローン魚におけるゲノム倍加機構の解明
    科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
    2012年08月31日 - 2014年03月31日
    藤本 貴史
    一部のドジョウでは天然でクローン生殖や倍数性配偶子の産出が認められ、その特殊な配偶子形成を人為的に制御できれば非常に有用な技術となりうるが、その分子メカニズムは未だ不明である。このメカニズム解明において、ゲノム倍加が起こるタイミングの特定とその時期の生殖細胞を単離し解析しなければならず、そのためにはドジョウの生殖腺発達段階のステージングと生殖細胞を解析するための新たな実験系を構築する必要がある。そこで、本年度はサンプルとして入手が容易な通常両性生殖個体を用いて実験家系を作出し、継時的に体長測定を行うとともに生殖腺を採取し、組織学的に解析に供した。そして、本年度の研究によって仔魚期から性分化期までの生殖腺の発達段階のステージングをおおむね行うことができ、生殖細胞の増殖期と減数分裂開始時期の特定ができた。その結果、成長初期の生殖細胞の活発な増殖はメスで顕著に観察され、ある一定の体サイズに成長した段階で、雌の生殖腺では減数分裂に移行し卵形成が開始することが明らかとなった。本知見はクローンドジョウの生殖腺における生殖細胞のゲノム倍加が生殖腺発達段階のどの時期で起こっているかを調査するためには必須の基礎的知見であり、希少なクローン個体を用いた生殖腺サンプリングにおいて、調査に必要なサンプリング時期を定めるためには重要である。しかし、生殖腺ステージングで明らかとなった減数分裂開始時期は、卵巣発達過程においてかなり早い段階で起きており、この発達段階の卵巣を実体顕微鏡下で単離することはかなりの困難を要する。この対策として密度勾配遠心による卵巣細胞の分離が考えられ、本年度はパーコールを用いた生殖細胞の分離・純化技術の開発を遂行し、特定の密度分画における生殖細胞の分離が可能となった。
    日本学術振興会, 研究活動スタート支援, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 24880001
  • サケ科交雑種の生存性と、異種ゲノムの組合せが遺伝子発現に与える影響               
    北海道大学総長室事業推進経費「若手研究者自立支援」
    2012年 - 2012年
    藤本 貴史
    北海道大学, 研究代表者, 競争的資金
  • 魚類の精子を用いた遺伝資源の保存と個体再生に関する研究
    科学研究費助成事業 若手研究(B)
    2006年 - 2007年
    藤本 貴史
    本年度は、初年度に開発した技術の応用と個体の解析に主眼をおいて研究を行った。凍結保存精子からの個体再生実験では、ドジョウ凍結精子と通常卵との受精からは孵化仔魚を得ることができたが、凍結精子を用いた人為雄性発生では生存性の孵化仔魚を得ることができず、精子ゲノムのみでの個体再生には至らなかった。しかしながら、ドジョウ精子の凍結保存方法を他のドジョウ属魚類(カラドジョウ、フクドジョウ、エゾホトケドジョウ)へ応用したところ、本実験で用いたドジョウ属魚類の凍結精子は解凍後にも運動性を示したことから、本研究で開発した凍結保存方法が広範囲のドジョウ属魚類に応用可能であることが示された。二倍性精子に関しては、まず、初年度に作製した新四倍体系統が産する二倍性精子に由来する雄性発生個体の雄の妊性を確認した。これらの成熟した個体からは受精能を有する半数性精子が産出され、正常個体が生じたことから、新四倍体系統の産する二倍性精子は再生産可能な二倍体個体を作出できることが明らかとなった。次に、本年度ではポリエチレングリコール溶液(PEG)と高カルシウム溶液(高Ca)を用いた化学処理を施し、通常二倍体が産する半数性精子の接着・融合による倍加法を検討した。核とミトコンドリアを蛍光染色した精子の形態観察では、処理群においてのみ接着・融合している精子が観察された。また、各化学処理を比較したところ、PEG処理では僅かに接着・融合精子が見受けられるものの、PEG濃度の増加とともに精子の運動性が顕著に低下し、多数の精子凝集塊が生じた。一方、高Ca処理では、精子の運動性は濃度や処理時間によって大きな影響は受けず、PEG処理よりも多数の接着・融合精子が生じた。このことから、高Ca処理は精子の接着・融合に有効な処理方法であると考えられた。
    日本学術振興会, 若手研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18780138
  • ドジョウを用いた宿主不妊化技術の研究               
    21世紀COEプログラム若手研究者研究活動経費
    2005年 - 2005年
    藤本 貴史
    北海道大学, 研究代表者, 競争的資金

産業財産権

社会貢献活動

  • アジア養殖戦略会議 講師               
    2024年10月08日
    講師
    講演会
    日東製網株式会社
  • 函館市高齢者大学湯川校 講師               
    2023年11月29日
    講師
    講演会
    公益財団法人函館市文化◎スポーツ振興財団
  • 道南おさかな図鑑「どじょう」               
    2021年09月28日
    寄稿
    新聞・雑誌
    北海道新聞社
    北海道新聞

学術貢献活動

  • 専門調査員               
    2013年08月01日 - 現在
    学術調査立案・実施
    学術調査
    文部科学省 科学技術・学術政策研究所