雲林院 宏 (ウジイ ヒロシ)

電子科学研究所 光科学研究部門教授
Last Updated :2025/06/07

■研究者基本情報

学位

  • 博士(理学), 東北大学

プロフィール情報

  • Hiroshi Uji-i (Ph.D.-Science) is a Research professor of chemistry department at KU Leuven (Belgium) and a full professor of Research Institute for Electronic Science at Hokkaido University (Japan). He received his B Sc and M Sc in Applied physics at Osaka University (Japan), and PhD in chemistry at Tohoku University (Japan).

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研究キーワード

  • 探針増強ラマン顕微鏡
  • 単一細胞エンドスコピー
  • 薬輸送システム
  • プラズモニクス

研究分野

  • ナノテク・材料, 光工学、光量子科学
  • ナノテク・材料, ナノバイオサイエンス

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2015年07月 - 現在
    北海道大学, 電子科学研究所, 教授
  • 2011年10月 - 現在
    ルーバン大学, 化学科, 研究教授
  • 2004年09月 - 2011年09月
    ルーバン大学, 化学科, 上級博士研究員
  • 2002年09月 - 2004年08月
    ルーバン大学, 化学科, 博士研究員

学歴

  • 1999年04月 - 2002年03月, 東北大学, 大学院理学研究科, 化学科
  • 1997年04月 - 1999年03月, 大阪大学, 大学院工学研究科, 応用物理専攻
  • 1993年04月 - 1997年03月, 大阪大学, 工学部, 応用物理学科

■研究活動情報

論文

その他活動・業績

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • メゾ強結合
    科学研究費助成事業
    2023年04月01日 - 2028年03月31日
    雲林院 宏, 平井 健二, 五月女 光
    日本学術振興会, 学術変革領域研究(A), 北海道大学, 23H04877
  • メゾヒエラルキーの学理構築
    科学研究費助成事業
    2023年04月01日 - 2028年03月31日
    矢貝 史樹, 雲林院 宏, VACHA Martin, 相良 剛光, 羽會部 卓, 原野 幸治, 重田 育照
    日本学術振興会, 学術変革領域研究(A), 千葉大学, 23H04872
  • がん細胞特有の刺激に応答し薬物を放出する新規抗がん薬ナノ粒子の開発
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2026年03月31日
    笠井 均, 小関 良卓, 雲林院 宏, 根本 知己, 石岡 千加史
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 東北大学, 22H00328
  • 単一細胞エンドスコピック増強ラマンによる薬剤の相分離局在化解明と創薬への応用
    科学研究費助成事業
    2021年04月05日 - 2025年03月31日
    雲林院 宏, 松崎 典弥, 金蔵 孝介, 猪瀬 朋子, 笠井 均
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 21H04634
  • 生体ガスポンプ・プローブ法の開発と一酸化窒素拡散挙動と血管機能相関の可視化
    科学研究費助成事業
    2021年07月09日 - 2024年03月31日
    古川 修平, 猪瀬 朋子, 亀井 謙一郎, 雲林院 宏
    心疾患と脳血管疾患は、長年日本における死因の第2, 3位を占めており、今後社会の高齢化が加速する中で、その治療は公衆衛生上最も重要な課題の一つである。生体内で産生されるNOは、血管弛緩・拡張を惹起することが知られており、その効果を活用した治療薬への応用が期待されている。しかしながら、現在の治療法ではNOを体内の狙った場所へ伝達することが困難であり、今後NOをより汎用性の高い治療薬として活用するためには、治療部位でのNOガス拡散の時空間的挙動と血管機能の相関を解明し、必要最低限のNOの利用へとつなげる必要がある。 本研究「生体ガスポンプ・プローブ法を用いた一酸化窒素拡散挙動と血管機能相関の可視化」では、血管機能の制御・改善に向け、一酸化窒素 (NO)を放出する多孔性ナノ粒子を用いて、単一細胞内・血管組織におけるNOの拡散ダイナミクス及び空間分布情報とNOにより惹起される細胞機能の相関を可視化し、生体内NOの真の挙動を明らかにする。
    初年度は、細胞内におけるNOの発生位置を固定するために、単一細胞内視鏡技術に用いる銀ナノワイヤー上に光によりNO発生が可能な亜鉛とニトロイミダゾールからなる多孔性金属錯体(NOF-1)の固定化技術の確立を目指した。様々な合成条件(反応温度、試薬濃度、ナノワイヤー分散度)の検討の結果、銀ナノワイヤー上へのNOF-1の固定化条件を見出した。また、同様の条件を用いることで、銀ナノワイヤーのみならず金ナノロッド上への固定化にも成功した。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(開拓), 京都大学, 21K18192
  • 液中原子分解能AFM探針の革新:分子精密設計および単分子評価によるアプローチ
    科学研究費助成事業
    2021年07月09日 - 2023年03月31日
    淺川 雅, 古山 渓行, 雲林院 宏
    原子間力顕微鏡(AFM)に用いる探針の終端構造を単原子レベルで精密設計することで、液中原子分解能AFM像の解釈を「推測」から「原子・分子スケールで理解する」ことへ進化させることを目指している。探針先端の精密設計は液中AFM計測の再現性を大幅に向上することにも繋がるため、専門家でなくても液中原子スケールAFM計測が実現できる汎用レベルの基盤的分析手法へ発展できる。そこで構造有機化学分野の精密分子設計の知見から、観察試料と相互作用する探針先端が高い再現性で同じ化学構造を持ったAFM探針を調製する方法論を検討してきた。探針先端に取り付ける骨格構造には三角錐の頂点に3つの架橋構造と1つの終端構造を持ついくつかの剛直分子を候補として計画し、テトラフェニルメタン分子やその他の骨格構造の有機合成を行なった。またシリコン製探針の先端への架橋方法について、シラン化やホスホン酸を用いたカップリング反応条件の検討・最適化を進めた。さらに探針先端に骨格構造を取り付けた後の評価手法として、終端構造に蛍光分子を導入し、3次元分子配向に加えて回転・揺らぎなどのダイナミクスを直接計測できるdefocused imagingを実施するための装置設計を実施した。AFM装置と蛍光観察装置を融合したシステムにより探針先端の1分子スケール評価を実現するために、アクティブ除振台にAFMと同時に配置できる光学系の構築を完了した。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 金沢大学, 21K18871
  • 原子層ヘテロ接合部の超高空間分解能振動情報・発光特性解析
    科学研究費助成事業
    2020年04月01日 - 2023年03月31日
    猪瀬 朋子, 雲林院 宏, 宮田 耕充
    遷移金属ジカルコゲナイド(TMDs)シートの電子供与体および電子受容体分子による表面修飾は、TMDsの電子状態操作が可能なため、TMDs発光特性の制御に利用されている。本年度、代表者はまず、分担者・宮田作製のWSe2シートにテトラフルオロ-1,4-ベンゾキノン(TFBQ)を修飾した後、修飾したシートのラマン分光・蛍光発光測定を行い、WSe2シート層数と発光特性の相関を明らかにすることを目指した。具体的には、まず、TFBQ修飾前のCVD法で合成されたSi基板上WSe2シートの発光スペクトル測定を行い、観察されたスペクトルのピーク波長でWSe2シートのマッピングを行った。その結果、シート層数の増加に伴い、発光スペクトルピークの長波長シフトが確認された。これは、層数増加に伴いバンドギャップが小さくなることに由来する。また、多層部位では間接遷移型に伴う蛍光強度の低下が確認された。このような、層数増加に伴う発光スペクトルの長波長シフトおよび発光強度の低下は、TFBQ修飾後においても観察された。TFBQ修飾前と比較すると、TFBQ修飾後、WSe2シートの発光スペクトルの短波長シフトが確認され、また、単層よりも二層領域でより大きな短波長シフトが観察された。これは、TFBQのWSe2シート酸化作用により、トリオンの生成が抑制され、エキシトン発光の影響が大きくなったためと考察される。また、トリオンの束縛エネルギーが小さい二層部位においては、酸化によるより大きな短波長シフトが観察された。この結果から、本年度は、光学顕微鏡を用いてWSe2シート層数と発光特性の相関を確認することができ、さらに、WSe2シート2層の領域で、より顕著な発光特性変化を確認することに成功した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 京都大学, 20K05413
  • プラズモン導波路を用いたリモート励起探針増強蛍光の開発
    科学研究費助成事業
    2020年07月30日 - 2022年03月31日
    雲林院 宏, 猪瀬 朋子
    本研究では、プラズモン導波路として機能する化学合成で作成した直径100nm、長さ数十マイクロメートルの銀ナノワイヤー(AgNW)をAFMカンチレバー先端に導入することで、10nm以下の高い空間分解能を有する新たな「リモート励起探針増強蛍光(RE-TEF)顕微鏡」の開発を目指した。本研究では、ガルバニック置換反応、光誘起金ナノ粒子局所析出法、2本のAgNWを並べる方法を比較開発し、これらを用いたRE-TEFでは、30 nm程度の空間分解能でスペクトルマッピングが可能であり、新規光DNAマッピング解析、2次元半導体材料解析、細胞内増強ラマン測定に応用できることを示した。
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 20K21165
  • アンジップ単層グラフェンナノリボンの生成メカニズム解明と革新的機能創成
    科学研究費助成事業
    2019年04月01日 - 2022年03月31日
    田中 啓文, 雲林院 宏, 田中 大輔
    LSIなど半導体回路の配線は多くが金属を用いており微細化により、抵抗が上がるなどの問題に直面している。GNRは厚み0.3nmであるが良導体であり、ナノ配線に使えるようになれば半導体産業へ与えるインパクトが大きい。本課題では①ラジカル開始剤を用いたアンジップにより得られたGNRの多機能化。②誘電泳動法によるグラフェンナノリボンの架橋構造の作製。③GNRとSWNTの混合懸濁液の誘電泳動によりGNRのみを架橋する条件を理論的考察。④探針増強ラマン法によりアンジップにより得られたGNRのエッジ構造評価などを行い、この分野の発展に寄与する大きな成果を得た。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 九州工業大学, 19H02559
  • レーザー加熱による機能性材料の3次元合成
    科学研究費助成事業
    2018年04月01日 - 2021年03月31日
    平井 健二, 猪瀬 朋子, 雲林院 宏
    機能性材料を目的の場所に配置することが出来れば、電子素子、光学素子、マイクロデバイスの開発が可能となる。本研究では、様々な機能性材料を望みの場所で合成する方法を開発した。具体的には、プローブとしての利用が可能な銀ナノワイヤ(AgNW)上で金ナノ粒子(AuNP)を合成し、プラズモン加熱を利用した機能性材料の合成を行った。AuNPにレーザーを照射することで、AuNP近傍を加熱することが可能である。この加熱方法を利用して酸化亜鉛や有機金属構造体を局所的に合成することに成功した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 18H01948
  • ナノ粒子型薬輸送システムの単一細胞レベル解析
    科学研究費助成事業
    2017年04月01日 - 2021年03月31日
    雲林院 宏, 猪瀬 朋子
    本研究では、薬輸送システム(DDS)の細胞内挙動を追従し、より効果的な化学治療設計に貢献することを目的とした。具体的には、細胞内部に侵入して抗がん剤分子と細胞内物質の相互作用を解析する「単一細胞内視鏡法」を新たに開発した。これにより、抗がん剤分子とDNAなど細胞内物質との相互作用を直接観測することが可能となり、今後の化学治療法開発へ大きな貢献が期待される。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 17H03003
  • プラズモン導波路を用いたリモート励起多機能光トラッピング
    科学研究費助成事業
    2017年04月01日 - 2019年03月31日
    雲林院 宏
    物理学から生物学まで、広い分野で応用されている光圧は遠方場から近接場へとその舞台を変えつつある。その中で、局在プラズモン共鳴(LSPR)はナノ物質輸送への応用が期待されている。本研究では、複数のプラズモン導波路を利用したリモート励起多機能光トラッピングを新たに提案する。導波路を伝わる伝搬プラズモンにより導波路先端でLSPRを励起(リモート励起)し、複数の導波路を交互にON/OFFすることによってLSPR位置をnmレベルで動的に制御する方法を新たに開発する。さらに、nm領域でトラップされている物質輸送の様子を、光学顕微鏡で観測する手法を新たに提案・開発することを目的とした。
    本研究では、プラズモン導波路としては、化学的に合成した減衰係数の低い径100ナノメートル、長さ10から20 マイクロメートル程度の銀ナノワイヤーを用いた。近赤外フェムト秒レーザー光をプラズモン導波路に伝搬させると、導波路上を光が伝搬している部分では3次の非線形現象である4波混合が優先的に起こり、導波路の端では2次の非線形である和収差や第2次高調波が優先的に起こることを、蛍光顕微鏡を駆使することで実験的に証明した。この現象を利用し、 2次の非線形光学現象である和収差に共鳴する量子ドットは導波路の両端のみにトラップされるが、3次の非線形現象である4波混合と共鳴する量子ドットは導波路全体にトラップされることを見出した。これにより、非線形光学現象によって、光トラップの場所依存の制御の可能性を初めて示唆した。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 17H05458
  • プラズモン共鳴を用いた多光子異性化反応のナノメータ制御と巨視的光応答性制御
    科学研究費助成事業
    2017年04月01日 - 2019年03月31日
    雲林院 宏
    分子・光結合は量子情報システムや微弱光スイッチングデバイスなどへの応用が期待されている一方で、複雑な設計が要求され、かつ室温での操作が困難である。反面、局在プラズモン共鳴は光エネルギーをnmスケールに閉じ込め、そのスケールで分子と光の相互作用を引き起こすことが可能である。近年、この特性を生かした室温での分子・光結合の実現を試みる研究が世界的に多くなされている。本研究では、さらに一歩進めて、プラズモン増強多光子励起過程を巧みに利用して、nmスケールで化学反応を制御することを目指した。具体的には、局在プラズモン共鳴増強を利用して、多光子励起異性化反応をnmスケールで制御し、かつそれにより巨視的光応答性制御を実現する新手法を開発する。本研究では,局所プラズモン共鳴増強を利用して、多光子励起による光異性化反応をnmスケールで制御し、それにより巨視的光応答性制御を実現する新手法の開発を目指した。
    具体的には、化学合成によって得られた銀ナノワイヤー(AgNW)上での蛍光性ジアリルエテン(fDAE)誘導体の非線形光学光異性化反応について調べた。使用したfDAE誘導体は、閉環構造で蛍光を発し、開環構造では蛍光を発さない。近赤外フェムト秒レーザーをプラズモン導波路であるAgNW上に伝搬させたときに、蛍光体と非蛍光体が繰り返し観測されれば、伝搬光により異性化反応が制御されている証拠となる。820nmの励起光を伝搬させると、その強度が高い場合、3光子吸収による閉環反応が誘起されて蛍光を発し、強度が弱い場合は2光子励起による開環反応が優先的に誘起されて蛍光が消光した。これにより、プラズモン導波路を伝搬する近赤外光により、光反応を多光子過程で誘起することが可能であることを初めて明らかにした。これにより、 プラズモンを利用することで、多光子光反応のnmスケールでの制御を達成した。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 17H05244