松下 拓 (マツシタ タク)

工学研究院 環境工学部門 環境工学教授
Last Updated :2025/11/06

■研究者基本情報

学位

  • 博士(工学), 京都大学

Researchmap個人ページ

研究者番号

  • 30283401

研究キーワード

  • 浄水処理, 毒性評価, ウイルス除去, 真空紫外線, カルキ臭
  • Environmental and Sanitary Engineering

研究分野

  • 社会基盤(土木・建築・防災), 土木環境システム

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2023年04月 - 現在
    北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門 教授
  • 2010年04月 - 2023年03月
    北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門(組織名変更), Faculty of Engineering, Division of Built Environment, 准教授
  • 2007年04月 - 2010年03月
    北海道大学大学院工学研究科環境創生工学専攻, Graduate School of Engineering, Division of Built Environment, 准教授(職名変更)
  • 2006年01月 - 2007年03月
    北海道大学大学院工学研究科環境創生工学専攻, Graduate School of Engineering, Division of Built Environment, 助教授
  • 2002年04月 - 2005年12月
    岐阜大学工学部社会基盤工学科(組織名変更), Faculty of Engineering, 助手
  • 1999年04月 - 2002年03月
    岐阜大学工学部土木工学科, 助手
  • 1996年04月 - 1999年03月
    名古屋大学大学院工学研究科地圏環境工学専攻, Graduate School of Engineering, Geotechnical and Environmental Engineering, 助手

学歴

  • 1994年04月 - 1996年03月, 京都大学, 大学院工学研究科, 衛生工学専攻(博士課程)
  • 1992年04月 - 1994年03月, 京都大学, 大学院工学研究科, 衛生工学専攻(修士課程)
  • 1988年04月 - 1992年03月, 京都大学, 工学部, 衛生工学科, 日本国

委員歴

  • 2015年 - 2021年
    日本水環境学会, 運営幹事, 学協会
  • 2015年 - 2017年
    土木学会, 環境工学委員会委員, 学協会
  • 2006年 - 2009年
    土木学会, 環境工学委員会委員兼幹事, 学協会
  • 2005年 - 2009年
    日本環境工学教授協会, 北海道支部幹事, 学協会
  • 2007年 - 2008年
    土木学会, 地球温暖化対策特別委員会適応策小委員会委員, 学協会
  • 2008年
    日本水環境学会, JWET編集小委員会幹事, 学協会
  • 2008年
    日本水環境学会, 年会・シンポ等検討委員会委員, 学協会
  • 2008年
    日本水環境学会, 北海道支部幹事長, 学協会
  • 2007年
    土木学会, 環境工学委員会地球温暖化小委員会委員, 学協会
  • 2006年
    日本水環境学会, 北海道支部幹事, 学協会
  • 2005年
    日本水環境学会, バイオアッセイによる安全性評価研究委員会幹事, 学協会

■研究活動情報

受賞

  • 2022年09月, 世界水協会(IWA), World Water Congress Best Poster Award               
    1,4-Dioxane decomposition with VUV and its computational prediction taking into account effects of inorganic ions
    松下拓
  • 2019年, 日本水環境学会, 論文賞               
    松下 拓
  • 2017年, 環境科学会, 論文賞               
    松下 拓
  • 2013年, 土木学会環境工学委員会, 第49回環境工学研究フォーラム論文賞               
    松下 拓
  • 2013年, クリタ水・環境科学振興財団, クリタ 水・環境科学研究優秀賞               
    松下 拓
  • 2008年, 土木学会環境工学委員会, 第45回環境工学研究フォーラム優秀ポスター発表賞               
    松下 拓
  • 2003年, 日本水環境学会, 論文奨励賞(廣瀬賞)               
    松下 拓, 日本国

論文

その他活動・業績

所属学協会

  • 土木学会               
  • 日本水環境学会               
  • International Water Association (IWA)               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 培養からの脱却による培養困難なウイルスの浄水処理性評価法の創造
    科学研究費助成事業
    2025年04月 - 2028年03月
    松下 拓
    日本学術振興会, 基盤研究(A)(代表), 北海道大学, 25H00749
  • 有機フッ素化合物の持続可能な活用のための浄水処理法の開発と勘案すべき物性の提案
    科学研究費助成事業
    2024年06月 - 2026年03月
    松下 拓
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽)(代表), 北海道大学, 24K21624
  • 単離技術と遺伝子操作系を駆使した遺伝的に多様な病原ウイルスの浄水消毒処理性評価
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2025年03月31日
    白崎 伸隆, 松下 拓
    本研究では,国内の水道原水中から複数の遺伝子型・株の病原ウイルスを単離すると共に,ウイルスの遺伝情報と遺伝子操作系であるリバースジェネティクス法を活用することにより,単離による入手が困難な複数の遺伝子型・株の病原ウイルスを人工合成し,これらを消毒処理(塩素処理,オゾン処理,紫外線処理等)の室内実験に用いることにより,遺伝子型・株の差異によってどの程度病原ウイルスの消毒処理性が異なるのか,また,どのような要因によって消毒処理性に差異が生じるのかを明らかにすることを目的とした.
    今年度は,エンテロウイルスの宿主細胞であるBGM細胞及びロタウイルスの宿主細胞であるMA104細胞を用いた感染力評価手法を適用すると共に,環境水中から病原ウイルスを感染力を保持した状態で回収・濃縮可能な新たなウイルス濃縮法を検討・適用することにより,国内の水道原水に存在する感染力を有するエンテロウイルス及びロタウイルスを回収・濃縮することに成功した.一方,消毒処理においては,タンジェンタルフローUF膜によるウイルス高倍率濃縮を組み合わせた大容量の塩素処理実験系及びオゾン処理実験系を検討し,ウイルス高倍率濃縮を実施しない小容量の実験系と同様の病原ウイルスの消毒処理性評価結果が得られること,すなわち,構築した大容量の実験系が塩素処理及びオゾン処理における病原ウイルスの消毒処理性の詳細把握(高不活化率の把握及び不活化メカニズムの議論)に適用できることを確認した.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23K22889
  • 単離技術と遺伝子操作系を駆使した遺伝的に多様な病原ウイルスの浄水消毒処理性評価
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2025年03月31日
    白崎 伸隆, 松下 拓
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 22H01619
  • 超微粉炭プレコートと超高塩基度PACl凝集によるファウリングフリー膜ろ過
    科学研究費助成事業
    2021年04月05日 - 2024年03月31日
    松井 佳彦, 松下 拓, 白崎 伸隆
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 21H04567
  • 遺伝子組換と非ウイルスベクター技術を用いた培養に頼らないウイルスの浄水処理性評価               
    基盤研究(A)(代表)
    2022年 - 2024年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者
  • 酸化性微粉炭の創出と二価マンガン等の新規酸化処理
    科学研究費助成事業
    2021年07月09日 - 2023年03月31日
    松井 佳彦, 松下 拓
    日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 北海道大学, 21K18736
  • 遺伝的多様性を考慮した水道原水中に存在する病原ウイルスの浄水処理性評価
    科学研究費助成事業
    2019年04月01日 - 2022年03月31日
    白崎 伸隆, 松井 佳彦, 松下 拓
    本研究では,PCR法に加えて,ウイルスの外殻タンパク質の損傷を捉えることが可能なPMAxx-Enhancer-PCR法を適用することにより,水道原水における病原ウイルスの存在実態を詳細に把握した.また,凝集-MF膜ろ過処理を実施している実浄水処理場における病原ウイルスの処理性と病原ウイルスの代替指標として期待されているトウガラシ微斑ウイルスの処理性を比較することに成功した.加えて,金ナノ粒子に遺伝子を複数結合させた遺伝子結合金ナノ粒子を用いることにより,PCR法にて高感度に定量可能な遺伝子封入ウイルス様粒子(遺伝子封入VLPs)の作製に成功した.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 19H02269
  • 安全良質な水の持続的供給のための革新的前処理-膜分離浄水システム
    科学研究費助成事業
    2016年05月31日 - 2021年03月31日
    松井 佳彦, 松下 拓, 白崎 伸隆
    超微粉炭はバイオポリマーの吸着除去に優れ、膜ファウリングを抑制した超微粉炭プレコート膜ろ過法を提案した。微粉炭は塩素共存下で酸化の触媒として有効であり、溶存2価マンガンを表面に酸化析出し、膜で分離除去する新規処理方法を提案した。経年使用した粒状活性炭の微粉砕により再利用可能である。ヒ素や微粉炭、ウイルスの除去に優れた高塩基度ポリ塩化アルミニウム凝集剤に成功し、原水中の硫酸イオンにより適用性が異なること、さらに微粉炭やマイクロプラスチック粒子の凝集・沈殿・砂ろ過後の残留性と制御因子を明らかにした。VUV・オゾンマイクロバブルによる促進酸化分解と、さらに還元的な分解も生じていることを明らかにした。
    日本学術振興会, 基盤研究(S), 北海道大学, 16H06362
  • 培養に頼らないウイルスの浄水処理性評価手法と高効率浄水ウイルス処理システムの構築               
    基盤研究(A)(代表)
    2018年 - 2021年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 「見える」ファウリング物質を用いた膜ファウリングメカニズムの根本的解明               
    挑戦的研究(萌芽)(代表)
    2019年 - 2020年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 代謝を考慮したコリンエステラーゼ活性阻害試験の構築とそれを用いた有機リン系農薬由来分解物の毒性評価               
    フソウ技術開発振興基金研究助成(代表)
    2018年 - 2019年
    松下 拓
    フソウ技術開発振興基金, 研究代表者, 競争的資金
  • DNAを封入したウイルス外套蛋白粒子を用いた培養困難なウイルスの浄水処理性評価               
    挑戦的研究(萌芽)(代表)
    2017年 - 2018年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 有機リン系農薬の塩素処理工程における毒性の変動と毒性に寄与する分解生成物の同定               
    フソウ技術開発振興基金研究助成(代表)
    2017年 - 2018年
    松下 拓
    フソウ技術開発振興基金, 研究代表者, 競争的資金
  • 先端的要素技術と膜分離の統合による水処理システムの革新
    科学研究費助成事業
    2012年05月31日 - 2017年03月31日
    松井 佳彦, 松下 拓, 白崎 伸隆
    微粉炭が示す吸着容量増加のメカニズムとしてShell Adsorption Modelを実証し,さらに低競合吸着性を解明し,超微粒子吸着材の最適粒度を推定した.放射性ヨウ素の高い除去性,使用済粒状活性炭を微粉砕により再利用可能なことを示した.低アルミニウム残留性や高いウイルス除去性などを可能とするための凝集剤ポリ塩化アルミニウムの有効成分とその製造反応条件などが分かった.紫外線酸化分解の基本的分解性能を把握し,酸化分解副生成物の安全性評価を行った.高塩基度ポリ塩化アルミニウム凝集剤による前凝集処理が膜処理における膜ろ過ファウリングを抑制し,アルミニウムのサイズやSiの関連を見出した.
    日本学術振興会, 基盤研究(S), 北海道大学, 24226012
  • 遺伝子組換で発現した外套タンパクを用いた培養不可能なウイルスの浄水処理性の評価               
    基盤研究(B)(代表)
    2015年 - 2017年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • ヒト嗅覚を検出器としたGC/MS法の確立とそれを用いた浄水異臭味の全体像の把握               
    挑戦的萌芽研究(代表)
    2015年 - 2016年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 安定同位体顕微鏡による吸着分布イメージングと超微粉炭吸着機構の解明
    科学研究費助成事業
    2013年04月01日 - 2015年03月31日
    松井 佳彦, 松下 拓
    粉末活性炭を微粒度化すると平衡吸着容量が増加することがジェオスミンなどいくつかの物質で見られるが,これは活性炭粒子内の吸着量の偏在を仮定したShell Adsorption Model(SAM)で説明されてきた.本研究では,同位体顕微鏡と重水素標識した吸着質を用い,活性炭粒子内の吸着分布を直接観察した.その結果,吸着容量が増加する場合は,吸着量指標の重水素/水素比が活性炭内部よりも外表面付近で高いことが分かった.吸着等温線をSAMで解析して予測した活性炭内部の吸着量分布は,重水素/水素比から求めた分布と概ね一致した.活性炭粒子内の吸着量の偏在を直接観察し,吸着容量増加のメカニズムを検証した.
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 25550049
  • VLPsを用いた培養不可能なウイルスの浄水処理性評価               
    基盤研究(B)(代表)
    2012年 - 2014年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 吸着剤の超微粒度化が拓く高度膜処理の新展開
    科学研究費助成事業
    2009年05月11日 - 2013年03月31日
    松井 佳彦, 松下 拓, 大野 浩一
    通常の粉末活性炭に比べて超微粉炭は,自然由来有機物質とそのモデル物質であるポリスチレンスルホン酸(PSS)の高い平衡吸着容量を有する.この高い平衡吸着容量は,吸着質が活性炭粒子内部を拡散せず外表面付近に吸着するためであることを明らかにした.さらに,硫黄元素を指標にして,活性炭粒子の外表面付近にPSSが吸着していることを走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析により直接観察した.Shell Adsorption Model(SAM)を提唱し,平衡吸着容量の活性炭粒径依存性を定量的に評価した.SAMをBranched pore kinetic modelに導入することで,吸着速度の活性炭粒径依存性を評価した.また,超微粉炭を膜分離のための凝集前処理の前に添加すると,ろ過運転に伴う膜間差圧の上昇を抑制することを示した.この理由を,フロック形成と膜ファウリング物質から明らかにした.
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 21246083
  • 同位元素電子顕微鏡イメージングによる超微粉炭の吸着機構の解明
    科学研究費助成事業
    2011年 - 2012年
    松井 佳彦, 松下 拓
    ジェオスミンと2-メチルイソボルネオールの活性炭吸着容量の活性炭粒径依存性を2種類の活性炭を用いて検討した.重水素で標識したジェオスミンと2-メチルイソボルネオールを吸着した活性炭粒子を同位体顕微鏡で観察し,重水素/水素比を指標にしてジェオスミンと2-メチルイソボルネオールの吸着分布を求めた.その結果,活性炭粒径が小さくなると吸着容量が増加する活性炭では,ジェオスミンと2-メチルイソボルネオールが主に活性炭粒子の外表面付近に吸着していることを明らかにした.この結果は,超微粉炭の高い吸着容量は,ShellAdsorptionMechanism,すなわち,吸着質が活性炭粒子内部へ拡散せず外表面付近に吸着する機序によることを示している.さらに,ジェオスミンと2-メチルイソボルネオールが活性炭粒子内部に吸着する場合は,通常の粉末活性炭に比べて超微粉炭が競合吸着物質である自然由来有機物質を多く吸着しても,ジェオスミンと2-メチルイソボルネオールの吸着性が低下しないことを明らかにした.
    日本学術振興会, 挑戦的萌芽研究, 北海道大学, 23656323
  • VLPを用いたノロウイルスの浄水処理性評価               
    若手研究(A)(代表)
    2009年 - 2011年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 遺伝子組換で発現した外套タンパクを用いたノロウイルス浄水処理性の評価               
    クリタ水・環境科学振興財団助成(代表)
    2009年 - 2010年
    松下 拓
    クリタ水・環境科学振興財団, 研究代表者, 競争的資金
  • 吸着剤の超微粒度化が拓く高効率・高速度浄水技術
    科学研究費助成事業
    2007年 - 2008年
    松井 佳彦, 松下 拓, 大野 浩一
    市販の粉末活性炭(Powdered activated carbon, PAC)を微粉砕し粒径が1μm以下のサブミクロン粒度の微粉炭(Suoper-powdered activated carbon, S-PAC)を製造し, 臭気物質ジェオスミンや2-メチルイソボルネオール(2-MIB), 自然由来有機物質(NOM)の吸着性, セラミック膜ろ過の吸着前処理として用いた際のそれらの除去性, および微粉炭添加が膜ろ過のろ過性に及ぼす影響について検討した. その結果, サブミクロン粒度まで微小化した微粉炭は, 少添加量, 短時間で吸着が進行し, 市販粉末活性炭に比べて, NOM やジェオスミン, 2-MIB の除去性が格段に優れていることが分かった. さらにNOM の吸着除去性の向上には, 吸着容量の増加によるものであることを見出した. 特に, NOM の中でもSUVA 値が高いフミン質的なNOM において吸着量の増加が顕著に見られた. 活性炭の微粉砕の前後で活性炭内部の細孔分布・容量に変化が見られず, 吸着容量の増加は, 高分子モデル物質ポリスチレンスルホン酸(PSS)では見られ, より分子量の大きいポリエチレングリコール(PEG)では見られないことから, 吸着容量増加は吸着質の化学的な性質が関与していると推定された. ジェオスミンを対象に微粉炭に対する吸着速度をhomogeneous surface diffusion model (HSDM)とbranched pore kinetic model (BPKM)で解析したところ, 活性炭粒子の微粒度化に伴い, 吸着除去速度の律速段階が, 粒子内のマクロ孔やメソ孔を通じた半径方向の拡散から, ローカルなミクロ孔の拡散へ移行することがわかった. そのためHSDM では見かけ上拡散係数が減少することになる. 微粉炭の粒度と吸着除去性の関連をBPKMで検討し, 除去対象をジェオスミンに想定した場合の最適粒径は1μm付近であり, 1μm以下まで粉砕しても除去効率の向上はあまりないことがわかった. 微粒度化は市販の木質, ヤシ殻, 石炭系のすべての活性炭で有効であることも確認した.
    膜の前処理としての微粉炭の添加は, 薬品洗浄までの長期的膜間差圧上昇のみならず逆洗浄までの短期的膜間差圧上昇の抑制にも効果的なことが分かった. この理由は微粉炭添加により膜ファウリング物質が活性炭へ吸着されるためと, 微粉炭添加により粒子間の衝突頻度が高まりさらに凝集剤消費物質であるNOMが予め吸着除去されるためにより大きな透水性の高いフロック粒子が形成されるためであることを明らかにした.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 19360235
  • ウイルス外套タンパク粒子を用いたノロウイルスの浄水処理性の検討               
    若手研究(B)(代表)
    2007年 - 2008年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 模型水路試験による河川水域中のホルモン類物質と抗生物質の消長挙動の診断と機構解明
    科学研究費助成事業
    2005年 - 2007年
    李 富生, 鈴木 譲, 湯浅 晶, 松下 拓
    河川や湖沼などの水道水源域には,自然由来のフミン質や下水の生物処理工程で生み出される生物代謝有機物のほかに,産業・社会活動に起因する微量有機化学物質が数多く混入されている.なかには,極微量の濃度であっても,長期間の暴露によって無処置の生物とその子孫に悪影響をもたせるものとして,最近では,人畜由来の17βエストラジオール(E2)やエストロン(E1)などの天然女性ホルモン物質,ヒトと家畜の病気治療や予防に使用されている抗生物質が強く縣念されている.自然水域の保全,特に水道水質のリスクの軽減と未然防止を図るためには,水域内における関係物質の消長挙動を解明し,その挙動を診断・予測しうる手法を構築していくことが大変重要である.
    そこで本研究では,安全リスクが著しく高く,自然水域で普遍的に検出されている人畜由来の女性ホルモン類物質を主な対象物質とし,岐阜県を流下する長良川本川と支川の水と底泥,および閉鎖性ダム湖水域の底泥を用いた回分式実験・連続流式カラム通水実験を行い,対象物質の消長挙動と消長のメカニズムを評価するとともに,その動態の診断・予測するための数値解析を行った.また,自然水域における微生物の種と密度には下水放流水からの影響を受け,かつ,対象物質の存在量と形態には下水処理工程での生分解効率によって異なるため,半連続流式活性汚泥反応場における女性ホルモンの挙動とそれに与える操作条件や共存生物易分解性物質の影響も評価した.また,家畜の病気の治療や予防に多く用いられている抗生物質の挙動について,長良川の河床微生物を植種した生物活性炭充填カラムを用いて検討を行った.これらの一連の検討を通じて,対象物質の消長挙動と機構を明らかにし,系統的な予測手法の構築に寄与する有用な知見を多く得た.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 岐阜大学, 17360261
  • サブミクロン領域の超微粒度吸着剤を用いた高速前処理をともなう膜分離
    科学研究費助成事業
    2005年 - 2006年
    松井 佳彦, 松下 拓
    MF膜処理は,設置面積が小さく,バクテリア等の懸濁物がほぼ確実に除去できる優れた特徴を有するが,自然由来有機物(NOM)や臭気物質のような溶存性物質に対しての効果が低いという弱点も有する.そこで,溶存性物質の除去率を高めるために凝集処理や活性炭処理を前処理とした複合MF膜処理が提案されている.ところが,凝集により微粒子を膜孔径以上の大きさにするために要する時間は極めて短い反面,活性炭吸着に要する時間が長いため,MF膜処理の利点である設置面積の省スペース性と相容れない.研究では,粒径1μm以下のサブミクロンサイズまで超微粉化した活性炭により吸着速度を飛躍的に増加させ,高速度運転が可能な吸着・MF膜複合処理法を検討した.
    サブミクロンサイズまで超微粒度化した活性炭をMF膜の前処理に用いることによって,NOM除去に必要な添加濃度と接触時間の大幅な削減が可能であることを示した.活性炭接触時間としては2.4秒で十分であり,さらに添加量も従来の粉末活性炭に比べて75%削減できることがわかった.この理由は,超微粒度化は粒子外表面の比表面積の増加みならず活性炭内部のメソ孔の増加による活性炭自体の吸着容量と活性炭粒子内の細孔拡散係数をも増加する効果があることを見出した.さらに,臭気物質のジェオスミンとその生成原因藻類であるアナベナの除去について検討しとところ,サブミクロン粒度まで微小化した微粉炭は,少添加量,短時間で吸着が進行し,市販粉末活性炭に比べてジェオスミン除去性が格段に優れていることが分かった.膜の前処理としての微粉炭の添加は,薬品洗浄までの長期的膜問間圧上昇のみならず逆洗浄までの短期的膜間差圧上昇の抑制にも効果的なことが分かった.本研究より,分離膜への流入途中に超微粉化活性炭を添加するだけで処理水質が向上することが示唆された.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 17360255
  • 加水分解アルミニウムポリマーに対するウイルスの不可逆吸着と不活化
    科学研究費助成事業
    2004年 - 2005年
    松井 佳彦, 井上 隆信, 松下 拓
    本年度は,セラミックMF膜を用いた凝集MF膜処理について,異なる条件下におけるウイルス除去の比較・検討を行った.また,ウイルス除去のメカニズムについて調べるために,凝集MF膜処理におけるウイルスの物質収支をとることを試みた.
    PAC添加濃度,凝集時間,膜孔径,流束がウイルス除去に与える影響について検討した結果,凝集MF膜処理においてはPAC添加濃度の影響が最も大きかった.また,1.08mg/L as Al以上のPAC添加濃度では,どの条件下においても5log以上の高い除去率が得られた.原水間の比較では,濁度成分の高い原水の除去率は他の原水と比べて1log程度低くなった.また,ウイルス間においては,QβとMS2で除去率に差が見られた.さらに,全ての実験結果で,処理時間が経過するにつれて除去率が向上するという傾向が見られた.
    凝集MF膜処理におけるウイルスの物質収支については,逆圧洗浄を行うことによりMF膜エレメント内に保持されていると考えられるウイルス量の13%を回収することができた.また,未回収の87%については,ファウリング物質として膜の表面でなく膜孔内部に不可逆的に捕捉されている可能性,ならびに処理水中に流出されている可能性の二つが考えられた.
    日本学術振興会, 萌芽研究, 16656159
  • 環境中での農薬の光/微生物分解に伴う遺伝子毒性の変動               
    若手研究(B)(代表)
    2004年 - 2005年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 藻類利用可能懸濁態リンの藻類増殖試験と連続抽出による定量法開発と流出負荷量評価
    科学研究費助成事業
    2002年 - 2004年
    井上 隆信, 松井 佳彦, 松下 拓
    明谷川および長良川流域で調査採取した河川水中懸濁物質および流域土壌を用いて、化学的連続抽出法による懸濁態リンの分画実験と藻類増殖試験を行った。連続抽出法では懸濁態リンを9成分に分画し、藻類増殖試験では、リン源として懸濁態リンのみを添加した。
    その結果以下の知見を得た。
    1)降雨時流出懸濁態リンの主成分は塩基可溶性無機リン、有機態リン、Fe,Mn結合無機態リンであり、全体の75〜90%を占めた。また微生物分解などにより比較的早く利用される有機態リンは概ね30〜40%程度であった。
    2)森林表層土壌は有機態リンが50%ほど含まれており、ほぼ100%が生物利用可能であった。水田土壌は施肥由来と考えられるFe,Mn結合無機リン、吸着リンが40%を占め、90%が生物利用可能であった。
    3)懸濁態リンの流出源である流域の土壌や底質中のリンを用いた藻類増殖試験により、懸濁態リンが藻類増殖に利用されていることが明らかになった。
    4)藻類増殖試験では、森林表層土壌に含まれるリンは60%程度が藻類に利用され、水田土壌は90%近くが利用された。
    5)藻類に利用可能と考えられている分画から求めた藻類利用可能態リンの懸濁態リンに占める比率は75〜90%であり、藻類増殖試験から求めた値は30%程度であった。流域土壌の藻類利用可能態リンの比率も連続抽出法で求めた場合が、藻類増殖試験で求めた場合よりも高くなった。
    これらの結果から、連続抽出法により、藻類利用可能態リンを定量評価することは可能であると考えられる。ただし、どの分画が藻類に利用されるかは、対応が必ずしも明確にされていないため、今後さらに検討する必要がある。本研究において、藻類利用可能態リンの定量方法の方向性を示すことができた。今後、連続抽出法を改良し、藻類増殖試験を組み合わせてどの分画が藻類利用可能リンかを明らかにすることで、藻類利用可能態リンの定量法が確立できる。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 14580548
  • 凝集剤によるウイルスの不活化-アルミニウム及び鉄系凝集反応の副次的消毒効果
    科学研究費助成事業
    2002年 - 2004年
    松井 佳彦, 井上 隆信, 松下 拓
    大腸菌ファージQβおよびMS2を用いて、アルミニウム系凝集剤による不活化実験を行い,さらにフロック溶解法を検討した。その結果,以下の結論が得られた.
    (1)研究で検討したフロック溶解法では、フロック溶解時間を延長することにより、フロックが溶解され、フロック溶解時間を5時間とした場合にウイルスの回収が最大となるため、溶解時間を5時間と設定することが妥当であると考えられた。
    (2)本研究で用いた4種類の凝集剤(PAC、AlCl_3、硫酸バンド、Al_2(SO_4)_3)はいずれもQβ、MS2を不活化させた。
    (3)凝集剤間では、PACが他の凝集剤に比べ、最も不活化効果が高かった。
    (4)同じ条件下ではMS2よりもQβの方が不活化された。
    (5)河川水中では、Qβの不活化効果が抑制された。
    本研究では、pH9.5のBE溶液と混合後5時間のボルテックス攪拌を行うという、凝集フロックからの適切なウイルス回収法を確立した。このことから、本研究で確立したウイルス回収法を用いて昨年と同じ不活化実験を検証したところ、アルミニウム系凝集剤によってウイルスが不活化されることがわかった。しかし、そのウイルス不活化のメカニズムを解明するまでは至っていない。今後、ウイルス不活化について更なる検討が必要であり、これらの知見がウイルス不活化のメカニズムを考える上で一つの材料となると期待される。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 岐阜大学, 14350284
  • 嫌気好気条件の変化に伴う環境化学物質の微生物分解代謝物の遺伝子毒性の変動               
    若手研究(B)(代表)
    2002年 - 2003年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金
  • 水分・物質移動連携モデルによる化学物質の流出予測
    科学研究費助成事業
    2001年 - 2003年
    湯浅 晶, 井上 隆信, 篠田 成郎, 松井 佳彦, 松下 拓, 李 富生
    本研究では,化学物質の移動モデルとその輸送媒体である水分の移動モデルによって流出解析モデルを構成した.流域を縦横1km×1kmのメッシュに分割し,各メッシュを垂直または水平に13個のコンパートメントに区切ったモデルを適用した.解析対象流域内は農薬原体濃度観測が週に約5回の高頻度で行われる筑後川流域であり,水田用農薬の流出予測を行った.
    流域の標高,土地利用,河川・水路等のデータは国土数値地図情報土地利用データを用いた.気温・日照時間は流域付近の17箇所の地上気象観測点でのアメダスデータ(アメダス観測年報)を利用した.降水量はレーダーアメダス解析雨量を用いて推定した.河川の流量に関するデータは,流量観測点での観測値と,ダムからの流出量と貯水量などから推定した.
    計算に必要な入力パラメータ値の設定に当たり,農薬の散布場所や田植日,農薬の散布日,水管理日などの農作業に関するデータ,および,農薬の吸着定数や分解係数といった農薬原体の特性に関するデータについて不確実なデータであると考え,ある生起確率分布に従って個々の水田ごとに値を設定するモンテカルロ手法を用いて入力データを構築した.一方で,これらの入力パラメータ値の設定に当たり,決定論的に定めた値を入力データとして用いる場合についても計算を行った.その結果,以下のことが明かとなった.
    (1)モンテカルロ手法を用いて農作業等の不確実性を考慮した流出解析値は河川水中の農薬の観測値に近い値となり,農薬流出予測の精度が高いことが示された.
    (2)水田ごとの正確な農薬使用量や散布日が不明であっても,流域全体の農薬使用量を把握することができれば,農薬の流出予測が可能であることが示唆された.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 岐阜大学, 13838006
  • 膜分離・吸着ハイブリッドシステムの最適化
    科学研究費助成事業
    2001年 - 2003年
    湯浅 晶, 李 富生, 井上 隆信, 松井 佳彦, 佐藤 三生男, 松下 拓
    粉末活性炭(PAC)を用いた吸着と限外ろ過(UF)を用いる膜分離を組み合わせたハイブリッドシステム(PAC-UFシステム)による浄水処理において,水中有機物の除去効率に影響する処理操作・運転条件について検討し,処理システムの最適化をはかることを目的として,PAC-UFシステムにおける有機化合物の除去性を予測するシミュレーションモデルを開発した.開発されたモデルは,デッドエンド方式とクロスフロー方式のいずれの方式の膜ろ過操作の場合にも良く適合し,活性炭粒子内拡散律速モデルと連続撹拌反応槽(CSTR)モデルを仮定した解析が有用であることが実証された.膜ろ過がクロスフロー方式で運転される場合であっても,注入添加された粉末活性炭が浮遊状態で再循環するのはほんの短時間に限られることが示された.クロスフロー方式の場合でもデッドエンド方式の場合と同様に粉末活性炭が中空糸膜モジュール内に留まっており,粉末活性炭が膜ろ過装置内をほとんど循環ないことから,有機化合物の吸着速度の観点からはクロスフロー方式の有利さはほとんどないことが明らかにされた.シミュレーションによれば,膜ろ過サイクルにおいて連続的に粉末活性炭(PAC)を注入する方式に比べて,膜ろ過サイクルの開始時にPACを全量注入するパルス注入方式のほうがPACの滞留時間が長くなり,有機化合物の除去性が高くなることが示された.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 岐阜大学, 13555149
  • 淡水性付着生物カワヒバリガイの付着機構の解明と付着防止技術
    科学研究費助成事業
    2000年 - 2002年
    松井 佳彦, 久保 俊裕, 湯浅 晶, 山本 浩之, 松下 拓, 井上 隆信
    引張試験機を用いて試験片に付着したカワヒバリガイを脱離するために必要な力とエネルギーを指標として除去性を評価した.その結果,シリコーン樹脂系塗料の脱離力は0.1N未満で,相対的に除去性が高いことを明らかにした.また,脱離過程での足糸の様子を観察した結果,分泌した各足糸が脱離する際,試験片と接着円盤の界面で剥離する場合と,足糸の繊維部が切断する場合があることを確認し,分泌した足糸数が少ないほど,かつ剥離する足糸の割合が大きいほど脱離力や脱離エネルギーが低下することを明らかにした.さらに,除去性と試験片の表面物性の関係を考察した結果,表面自由エネルギーの水素結合力成分値が低い試験片ほど足糸が剥離する割合が大きく,付着力も小さいことが分かった.しかし,試験片の表面粗さと付着力はほぼ無関係であった.本研究ではフィールドで採取した成貝を実験室内で試験片に再付着させた後脱離性を評価している.このため各試験片の除去性の相対的な関係を評価しているため,今後はフィールドで付着,成長したカワヒバリガイに対して試験片の除去性を評価する必要が残された.
    さらに,水流によってカワヒバリガイの脱離を試み,脱離に必要な流速と成貝に作用する抗力を測定した.その結果,シリコーン樹脂系塗料に付着したカワヒバリガイは比較的低い流速で脱離させることが可能で,相対的に脱離性の優れた塗料であることを確認した.さらに各種試験片の脱離に必要な抗力は引張試験で測定した脱離力と比較すると平均で1/5程度であることを確認した.また,脱離時に足糸繊維部が切断する場合に限って,カワヒバリガイの殻長と足糸数からその成貝を脱離するために必要な流速を推定した.その結果,足糸数が一定であると仮定した場合,カワヒバリガイが成長するにしたがって脱離に必要な流速が増加する可能性を確認した.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 岐阜大学, 12558070
  • 染色体異常誘発性と遺伝子毒性からみた環境化学物質の微生物分解の安全評価実験               
    奨励研究(A)(代表)
    2000年 - 2001年
    松下 拓
    日本学術振興会, 研究代表者, 競争的資金