北 裕幸 (キタ ヒロユキ)

情報科学研究院 システム情報科学部門 システム融合学分野教授
附属社会創造数学研究センター教授
Last Updated :2025/06/07

■研究者基本情報

学位

  • 博士(工学), 北海道大学, 1994年06月
  • 工学修士, 北海道大学

Researchmap個人ページ

研究者番号

  • 30214779

研究キーワード

  • 電力系統
  • 分散電源
  • 信頼度
  • 競争環境
  • 周波数制御
  • ファジイ
  • 予防制御
  • 電源計画
  • 電圧制御
  • Q-learning
  • 蓄電池
  • PQ分離モデル
  • 独立系発電事業者(IPP)
  • 再生可能エネルギー
  • セキュリティ
  • ノーダルプライス
  • 電力工学
  • 相反定理
  • 支配度
  • セキュリティ制御
  • ATC
  • 送電混雑
  • 貯水池運用計画
  • 予備力
  • 電力市場
  • 予備力市場
  • 太陽光発電
  • 系統フレキシビリティ
  • 貯水池運用
  • 強化学習
  • 電気エネルギー工学
  • 電力系統工学
  • Electric Energy Engineering
  • Power System Engineering

研究分野

  • ものづくり技術(機械・電気電子・化学工学), 電力工学

担当教育組織

■経歴

経歴

  • 2005年07月 - 現在
    北海道大学大学院情報科学研究院, Graduate School of Information Science and Technology, 教授
  • 2018年04月 - 2020年03月
    北海道大学大学院情報科学研究科, Graduate School of Information Science and Technology, 研究科長
  • 2014年04月 - 2016年03月
    北海道大学大学院情報科学研究科, Graduate School of Information Science and Technology, 副研究科長(総務・研究担当)
  • 2012年04月 - 2014年03月
    北海道大学大学院情報科学研究科, Graduate School of Information Science and Technology, 副研究科長(教育担当)
  • 2004年04月 - 2005年06月
    北海道大学大学院情報科学研究科, Graduate School of Information Science and Technology, 助教授
  • 1995年04月 - 2004年03月
    北海道大学大学院工学研究科, Graduate School of Engineering, 助教授
  • 1989年04月 - 1995年03月
    北海道大学工学部, School of Engineering, 助手

学歴

  • 1994年06月, 博士(工学)(北海道大学)
  • 1988年04月 - 1989年03月, 北海道大学大学院, 工学研究科博士後期課程, 電気工学専攻, 日本国
  • 1986年04月 - 1989年03月, 北海道大学大学院, 工学研究科修士課程, 電気工学専攻, 日本国
  • 1982年04月 - 1986年03月, 北海道大学, 工学部, 電気工学科, 日本国

委員歴

  • 2022年11月 - 現在
    資源エネルギー庁, 令和4年度洋上風力発電の導入拡大に向けた調査支援事業有識者委員会委員
  • 2022年10月 - 現在
    NEDO, 再生可能エネルギーの主力電源化に向けた次々世代電力ネットワーク安定化技術開発/研究開発項目① 擬似慣性PCSの実用化開発検討委員会委員長
  • 2022年05月 - 現在
    北海道電力ネットワーク, 再エネ大量導入時の周波数対策委員会委員
  • 2022年02月 - 現在
    国土審議会 北海道開発分科会計画部会委員
  • 2020年10月 - 現在
    日本学術会議, 連携会員
  • 2020年08月 - 現在
    電力広域的運営推進機関, 広域連系系統のマスタープラン及び系統利用ルールの在り方等に関する検討委員会委員
  • 2019年11月 - 現在
    NEDO, 技術委員
  • 2018年10月 - 現在
    文部科学省 卓越大学院プログラム「パワー・エネルギー・プロフェッショナル育成プログラム」, プログラム担当教員
  • 2010年04月 - 現在
    パワーアカデミー, 大学検討委員会委員
  • 2020年05月 - 2022年05月
    電気学会, 北海道支部代表理事(北海道支部長)
  • 2020年09月 - 2022年03月
    電気学会, 令和3年度電力・エネルギー部門大会実行委員長
  • 2019年08月 - 2022年03月
    環境省, 地域連携・低炭素水素技術実証事業「家畜ふん尿由来水素を活用した水素サプライチェーン実証事業検討委員会」委員
  • 2019年06月 - 2022年03月
    電気学会, 防災・減災のための電気エネルギーセキュリティ特別調査専門委員会委員
  • 2020年09月 - 2021年03月
    国立研究開発法人科学技術振興機構, 創発的研究支援事業アドバイザー
  • 2020年04月 - 2021年03月
    北海道総合開発委員会, 委員
  • 2015年08月 - 2021年03月
    環境省, 地域連携・低炭素水素技術実証事業「小水力由来の 再エネ水素の導入拡大と北海道の地域特性に適した水素活用モデルの構築実証」検討委員会委員
  • 2015年04月 - 2021年03月
    電気学会保護リレーシステム技術委員会, 1号委員, 学協会
  • 2017年04月 - 2020年03月
    電気設備学会, 理事・北海道支部長, 学協会
  • 2017年04月 - 2020年03月
    電気学会, 電力系統技術委員会委員長, 学協会
  • 2012年06月 - 2014年05月
    電気学会, 電力系統技術委員会委員, 学協会
  • 2012年06月 - 2014年05月
    電気学会, 不確実性を有する需給変動に係わる時系列データの解析技術調査専門委員会委員長, 学協会
  • 2011年10月 - 2013年03月
    電気学会, 平成24年電気学会電力・エネルギー部門大会実行委員会委員長, 学協会
  • 2008年 - 2010年
    電気学会, 電力系統の高度利用を実現するシステム技術調査専門員会委員, 学協会
  • 2007年 - 2009年
    電気学会, 北海道支部協議員, 学協会
  • 2009年
    電気学会, 電気学会編修専門第1部会委員, 学協会
  • 2006年 - 2008年
    電気学会, 周波数リレーシステムによる事故波及防止技術調査専門委員会委員, 学協会
  • 2006年 - 2008年
    電気学会, 電力・エネルギー部門研究調査運営委員会副委員長, 学協会
  • 2008年
    電気学会, 平成21年電気学会全国大会実行委員会幹事, 学協会
  • 2005年 - 2007年
    電気学会, 分散型電源の系統連系解析モデル調査専門委員会委員, 学協会
  • 2005年 - 2007年
    電気学会, 北海道支部総務企画幹事, 学協会
  • 2005年 - 2006年
    電気学会, 電力系統の利用を支える解析・運用技術調査専門委員会委員, 学協会
  • 2004年 - 2005年
    電気学会, 北海道支部会計幹事, 学協会
  • 2003年 - 2005年
    電気学会, 電力系統におけるインテリジェントシステムの実用化とその実態評価調査専門委員会委員, 学協会
  • 2003年 - 2004年
    電気学会, ICEE2004論文委員会幹事, 学協会
  • 2003年 - 2004年
    電気学会, ICEE2004運営委員会幹事, 学協会
  • 2003年 - 2004年
    電気学会, 分散型電源有効活用のための電力系統技術調査専門委員委員, 学協会
  • 2003年 - 2004年
    電気学会, 論文委員会幹事, 学協会
  • 2003年 - 2004年
    電気学会, 競争環境下の新しい系統運用技術調査専門委員会 委員, 学協会
  • 2002年 - 2004年
    電気学会, ICEE2004実行委員会幹事, 学協会
  • 2002年 - 2004年
    電気学会, 負荷供給系統保護リレーシステムの現状とその動向調査専門委員委員, 学協会
  • 2001年 - 2002年
    電気学会, 競争環境下における電力品質調査専門委員会委員, 学協会
  • 2000年 - 2002年
    電気学会, 電力系統へのメタヒューリスティクス応用調査専門委員会委員, 学協会
  • 2000年 - 2002年
    電気学会, 超電導電力機器の仕様と特性調査専門委員会委員, 学協会
  • 2000年 - 2001年
    電気学会, 電力機器と系統保護の相互協調調査専門委員会委員, 学協会
  • 1999年 - 2001年
    電気学会, 北海道支部会計幹事, 学協会
  • 1998年 - 2001年
    電気学会, 燃料電池発電次世代システム技術調査専門委員会委員, 学協会
  • 1997年 - 1999年
    電気学会, 電力系統における知識工学手法の実用化技術調査専門委員会幹事, 学協会
  • 1996年 - 1999年
    電気学会, 電力系統における超電導機器のシステム特性調査専門委員会委員, 学協会
  • 1996年 - 1998年
    電気学会, 燃料電池発電分散配置技術調査専門委員会委員, 学協会
  • 1995年 - 1996年
    電気学会, 保護リレーシステム基本技術調査専門委員会委員, 学協会
  • 1994年
    電気学会, 論文委員会幹事, 学協会

学内役職歴

  • 教育研究評議会評議員, 2018年4月1日 - 2020年3月31日
  • 大学院情報科学院長, 2019年4月1日 - 2020年3月31日
  • 大学院情報科学研究院長, 2019年4月1日 - 2020年3月31日
  • 大学院情報科学研究科長, 2018年4月1日 - 2019年3月31日
  • 大学院情報科学研究科副研究科長, 2014年4月1日 - 2016年3月31日
  • 副工学部長, 2018年4月1日 - 2020年3月31日

■研究活動情報

受賞

  • 2010年, 平成21年電気学会電力・エネルギー部門誌優秀論文賞               
    日本国
  • 2010年, BEST PAPER AWARD RENEWABLE ENERGY 2010               
  • 1997年, 第53回電気学術振興賞(論文賞)               
    日本国
  • 1997年, 電気学会論文発表賞               
    日本国
  • 1994年, 電気学会論文発表賞               
    日本国
  • 1991年, 電気学会論文発表賞               
    日本国

論文

その他活動・業績

書籍等出版物

  • 深層を訊く あふれる北海道の再エネ               
    北 裕幸
    電気新聞, 2022年08月01日
  • 北海道から再生可能エネルギーの明日を考える
    吉田 文和, 荒井 眞一, 佐野 郁夫, 堀口 健夫, 吉田 晴代, 近久 武美, 江原 幸雄, 松田 從三, 北 裕幸, 安田 將人, 山口 佳三
    北海道大学出版会, 2014年, 9784832968004, 日本語
  • 分散型電源導入系統の電力品質安定化技術
    大山 力, 北 裕幸, 太陽光発電システムのNAS電池による出力変動抑制
    S&T出版, 2013年05月24日, 4907002173, 266, [分担執筆]
  • メガソーラー事業戦略               
    北 裕幸, 「NAS電池へのメガソーラーへの適用」,「メガソーラーの各種装置と系統連系」
    情報機構, 2012年, [分担執筆]
  • 『電力自由化と系統技術』               
    電気学会, 2008年
  • Autonomous Systems and Intelligent Agents in Power System Control and Operation               
    Springer, 2003年
  • 電力系統工学 (電気学会大学講座)
    長谷川 淳, 大山 力, 三谷 康範, 斉藤 浩海, 北 裕幸, 電気学会
    電気学会, 2002年03月01日, 4886862322, 160, [共著]
  • 『燃料電池の技術』               
    オーム社, 2002年

講演・口頭発表等

担当経験のある科目_授業

  • システムマネジメント               
    北海道大学工学部
    現在
  • 電気制御システム演習1               
    北海道大学工学部
    現在
  • 応用電気回路               
    北海道大学工学部
    現在
  • 電気エネルギーシステム工学               
    北海道大学工学部
    現在
  • 電力システム特論               
    北海道大学大学院情報科学院
    現在
  • 環境と人間 2030年エレクトロニクスの旅               
    北海道大学全学教育
    現在
  • 情報エレクトロニクス概論               
    北海道大学工学部
    現在

所属学協会

  • 現在
    電気学会               
  • 現在
    電気設備学会               
  • 現在
    日本オペレーションズリサーチ学会               
  • 現在
    The Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)               
  • 現在
    エネルギー・資源学会               

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • HP/CGS併用熱供給システムを用いた防災型地域マイクログリッドに関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2021年04月01日 - 2024年03月31日
    北 裕幸
    本研究では,研究代表者らがすでに提案した,ヒートポンプとコジェネレーションを併用する熱電併給技術を,マイクログリッド(MG)に導入し,その等価的な蓄電機能を利用して,再生可能エネルギー電源の不安定な出力変動を抑制しつつエネルギー供給を継続できる防災型の地域MGの内部構成及び運用・制御手法を提案し,その有効性を明らかにすることを目的としている.
    今年度は,防災型地域MGの内部構成・容量並びに対応する設備コストをエネルギーフローベースで算定した.すなわちMG内部には,太陽光発電と蓄電池,熱関連設備としてヒートポンプ,温熱から冷熱を作る吸収式冷凍機,蓄熱槽,地域熱供給配管,水素関連設備として水電解装置,燃料電池,水素専焼ボイラー,水素タンクの導入を考慮した.エネルギーの過不足に対しては電力あるいは水素の形で外部ネットワークに販売することもでき,PV の出力抑制や熱の大気放出による廃棄などをも認めている.
    数値試算により,水素供給のための設備を導入することは買電量削減(すなわち自立的運用)と調整力確保の両面で効果的であることが示された.その際にかかる追加投資も現状の価格ベースではあるが,回収可能な範囲の追加投資で実現可能であることを確認した.言い換えれば,現状,火力発電で確保している調整力を,MG化することで,より安価でクリーンに確保できることになる.これは,将来の電力系統において大きな期待と言える.
    また,小型のガスタービンや太陽光発電のような分散型電源を持つ配電システムに対して,災害時に動的にマイクログリッドを構成することによって,多くの負荷に対して電力供給を行う方法についても検討を行った.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 21K03992
  • 再生可能エネルギー出力変動抑制のためのHP/CGS併用熱供給システム
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2015年04月01日 - 2018年03月31日
    北 裕幸, 原 亮一
    再生可能エネルギー(RE)の出力変動を抑制するために,高価な蓄電池を用いない新しい技術を開発することが望まれている.本研究では,熱供給を行っている既存のコージェネレーションシステム(CGS)にヒートポンプ(HP)を併設することで,蓄電池と同様に電力系統との間で電気の吸収/発生を行うことが可能な世界で初めての技術を開発した.特に,CGSとHPの実際の応答特性を考慮し,熱供給システム特有の制約の下で,どの程度の出力変動に対応できるかを明らかにした.また,電力系統内に多数分散して存在するCGS/HPを束ねて全体としてRE電源の変動抑制に貢献させるための枠組みを明らかにした.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 15H03954
  • 風力発電等分散エネルギーの広域運用システムに関する実証研究               
    環境省地球温暖化対策技術開発・実証研究事業
    2012年11月 - 2015年03月
    北 裕幸
    一般社団法人日本気象協会, 研究代表者, 競争的資金
  • 自立・分散型エネルギー社会の実現に向けた直流方式による地域間相互エネルギー融通システムの開発               
    環境省地球温暖化対策技術開発・実証研究事業
    2012年07月 - 2015年03月
    北 裕幸
    ㈱NTTファシリティーズ, 研究代表者, 競争的資金
  • 系統フレキシビリティ確保のための分散型リソースの貢献度評価と協調
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2010年 - 2012年
    北 裕幸, 原 亮一, 田中 英一
    自然エネルギーシステムが大量に導入された電力システムにおいては,これまで以上に系統のフレキシビリティを確保することが必要である.本研究では,電力系統を利用する新規参入事業者や需要家が,自身の小規模電源や負荷(分散型リソース)を,系統フレキシビリティの一部として積極的に提供するような環境を構築することで,系統電源と分散型リソースとが協調し,効果的に系統フレキシビリティを確保する新しい運用体系を開発した.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 22560260
  • MW級の大規模PVシステムの系統安定化対策技術の開発,数時間オーダーでの大規模PVの出力制御技術の開発               
    委託研究
    2006年10月 - 2011年03月
    北 裕幸
    北海道電力株式会社, 研究代表者, 競争的資金
  • 新エネルギー発電に適した自律分散制御システムの構築
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2008年 - 2010年
    田中 英一, 北 裕幸, 原 亮一, 遠山 篤
    風力、太陽光など自然エネルギーに基づく発電では、出力の不安定さが問題となり、他の発電設備や蓄電池等による対策が不可欠である。本研究では、これらの発電設備を含めた電力供給システムの最適な制御系の構築を目的として、有効電力の需給バランスを維持するための周波数制御系を見直すことにより分散型電源も制御に協力可能な枠組みについて検討を行い、その有効性を確認した。また、系統電圧を一定に維持するための制御系についても再検討を行い、従来型の設備と最新の設備の協調による制御方式を提案し、その有効性を確認した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 20560254
  • 電源とネットワークの整合性評価に基づく供給信頼度確保に関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2007年 - 2008年
    北 裕幸, 原 亮一, 田中 英一
    電気事業の自由化は世界的な潮流であり, わが国でも新規参入の発電事業者による電源の建設・運用が進んできている. 本研究では,発電事業者が建設・運用する電源が, 電力の安定供給にどの程度貢献するかを評価する手法を開発した. 開発した手法は, 電力を需要家まで輸送するための電力ネットワークを考慮しているため, 本手法により輸送設備が十分ではない地点の電源の価値が小さく評価される. 本研究では, 上記の価値に基づいて電力の購入価格を決定する手法や, ネットワークの増強・拡充を行う手法についても検討した.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 19560273
  • 供給責任の地域分散化に基づく分散電源群のマネージメント技術の開発
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2003年 - 2005年
    田中 英一, 長谷川 淳, 北 裕幸
    1.需要家の分散電源群と配電系統の間にエネルギーマネージメントセンター(EMC)の導入を想定し,EMC内部の電力貯蔵装置や電力変換装置を用いて,平常時における分散電源出力の平滑化,系統電圧制御および系統事故時の独立運転制御のための手法を開発した。
    2.情報通信ネットワークを用いた直接および間接制御によりEMCや需要家を系統運用に参加させるマネージメント技術について検討した。その結果,負荷変動の一部をEMCに補償させることで系統電源側の負荷周波数制御の負担軽減が可能であること,EMCが電力のリアルタイム料金制を採用することで系統側負荷率の向上が可能であることを明らかにした。
    3.分散電源群を適切に統合制御することで系統全体の電力供給や予備力供給に貢献させる枠組みについて検討を行い,EMCや地域が相互に電力融通を行うことによる設備容量の削減や系統電源の負担軽減等を定量的に評価した。また,需要家のニーズに応じて信頼度を需要家近傍で適切に管理することの経済的メリットが確認された。
    4.適切な信頼度の維持や瞬低などに対する電力品質の確保,コストの削減といった需要家のニーズを考慮したきめ細かいマネージメントを実現するための手法を開発し,分散電源や貯蔵装置の導入等に関する適切なコンサルティングの可能性を示した。
    5.地域間および地域と上位系統間の電力融通が市場を通した売買により自律的に行われることを想定して,必要なルールについても検討を行い,市場シミュレーションのためのモデルを開発した。また,電力自由化にともない予備力の確保が重要な課題と考えられるが,そのためのモデルを作成し,経済性の比較を行った。
    6.配電系統の供給信頼度評価に関して,EMCに個別に供給責任を与えた場合と複数のEMCを統括する地域系統運用者に担わせた場合について比較検討を行い,EMCに供給責任を与えた場合の方が社会コストの観点から有利であることを確認した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 15360144
  • 競争的電力系統における分散電源群のマーケットベースマネージメント
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2003年 - 2004年
    北 裕幸, 田中 英一, 長谷川 淳
    本研究では,電力あるいはそれに付随するサービス・価値を売買するマーケットを用いて,分散電源群の行動を間接的にコントロールするマーケットベースマネージメントの枠組みを検討することを目的として実施した.得られた成果は以下の通りである.
    1.制御対象のモデル化:大規模集中電源と電力ネットワークからなる制御対象に対して,分散電源群が電力供給の一部を担う状況を想定し,需要家の信頼度が従前と等しくなるように大規模集中電源の最適電源構成を決定する手法を開発した.
    2.マーケットのモデル化:分散電源およびそれらを群としてまとめた発電事業者が,与えられたマーケット(スポット市場,相対取引市場,エネルギー証書市場,予備力市場)において最適な意思決定を行うモデルを開発した.
    3.電力市場における分散電源群の役割に関する経済学的分析:分散電源導入が寡占状態の電力市場にどのような影響を与えるかについて経済学的に分析を行った.
    4.環境価値を売買するマーケットによるマネージメント:エネルギー証書市場をマルチエージェント理論とQ-learningを用いてモデル化しシミュレーションを実行した.
    5.信頼性価値(予備力)を売買するマーケットによるマネージメント:予備力保障を一般電気事業者が行う形態(供給保障委託モデル)と,市場を通して予備力を確保する形態(リザーブ市場保障モデル)の2つのモデルを想定し,自由化された電力系統において,望ましい供給保障のあり方を検討した.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 15560232
  • 規制緩和後の電力系統における分権型電力供給システムに関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2000年 - 2002年
    長谷川 淳, 田中 英一, 北 裕幸
    電力システム全体を発電・送電部分からなる基幹系統と複数の地域からなる負荷供給系統に機能的に分割し,それぞれ独立に信頼度・電気料金を管理する分権型電力供給システムの概念を提案した.得られた成果は次のようにまとめられる.
    1.社会コスト最小化の観点から地域毎に信頼度および分散電源の導入量を決定する手法を開発し,本システムの有用性を評価した.
    2.各地域の分散電源と基幹系統の大規模集中電源が,CO2排出量や化石燃料消費量の削減などの環境面の課題に対して適切に協調するための方策を検討し,需要家の行動を考慮したシミュレーションを通して分散電源の望ましい共存形態を評価した.
    3.各地域における信頼度管理のために,配電システム内に電力改質センター(QCC)を導入することを考え,現状の配電システムにおいて需要家が個別に信頼度を管理する方式と,コストと信頼度の面で比較した.
    4.各地域の分散電源群が系統全体の需給調整へ貢献することを可能とするための,QCC内部の具体的な制御系を開発した.また,ガバナーフリー,LFC, ELDの時間領域における基幹系統と各地域の役割分担について検討を行った.
    5.地域内部のQCCが周囲の状況と隣接QCCとの情報交換により得られるローカルな情報をもとに,自律的に事故復旧あるいは電圧適正化を行うアルゴリズムを提案した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 12450106
  • 注入可能電力を用いた競争環境における電力ネットワークの運用・計画に関する研究
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    2000年 - 2001年
    北 裕幸
    本年度は,前年度開発した基本ツールを用い,以下の点について重点的に研究を行った。
    (1)前年度に開発した手法は,ある一時間断面で注入可能電力を評価し,それに基づいてネットワーク運用・計画を行うものであった。本年度は,すでに開発した手法を,複数時間断面を考慮できるように拡張すると共に,さらに,送電線における事故確率などを組み入れた上で,ネットワークの増強箇所,その時期などを総合的に評価するアルゴリズムを開発した。
    (2)注入可能電力を最大化する決定変数として,位相器,UPFCなどのパワーエレクトロニクス機器を適切にモデル化した上で開発手法に組み込み,その影響・効果を詳細に解析した。
    (3)ある送電線を拡張した際に得られる注入可能電力の増加量を感度解析により算出する手法を開発した。感度解析を用いて算出する注入可能電力の増加量は大きな誤差が生じることから,送電線を拡張する場合にそのまま本手法を適用するのではなく,安定度制約により実際の線路容量よりも線路の上下限制約が狭い範囲に設定されているような箇所に適用することが考えられる。これは,規制緩和の導入に伴い重視されつつある,既存の設備を有効利用することで設備投資の効率化を行うという風潮にも当てはまることから、利用価値のある考え方と思われる。
    (4)将来の不確定性を考慮した送電線増設効果を示す指標(CSR)の開発を行った。起こりうる将来のシナリオを複数考慮し,どのシナリオの発生確率も同等であると仮定していることから,多少現実味のない指標であるという感はいなめないが,規制緩和環境下における将来のシナリオというものは全く未知なものであり,全ての参加者に納得をさせ,設備の有効利用にもつながるこの指標は,公共的な役割を担うUtilityの設備計画において有用であると思われる。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 12750231
  • 電力システムにおける電力改質センターの実用化に関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    1999年 - 2000年
    長谷川 淳, 田中 英一, 北 裕幸
    本研究では,次世代型配電システムFRIENDSを実現する上で中核となる電力改質センター(QCC)に着目し,その実用化のための検討を行ってきた。得られた知見を以下に要約する。
    1.QCC高圧側とネットワーク線路との接続形態に関する比較検討を行い,各方式の特徴を明らかにした。
    2.柔軟なネットワーク構成を実現するための系統切替方式に関する検討を行い,「サイリ・スタ独立切替方式」,「低圧側の無停電電源(UPS)を積極的に利用した切替方式」を新たに提案した。特に後者は,切替前後の系統の電圧の大きさや位相,負荷の状態に依らないことを明らかにした。
    3.UPS型の内部構成において,交直変換器(PWM)の交流側電圧の振幅と位相とを三相独立制御することにより,三相不平衡による影響を補償する手法を開発した。
    4.負荷変動を変化の速い成分と緩やかな成分とに分け,各成分に対してPWMと分散型貯蔵装置(DESS)が役割分担しつつ,協調制御を行う方式を開発した。
    5.自然エネルギーシステムの電源としての容量価値を向上させるように,QCC内のDESSを協調運用する制御方式を4.の結果に基づいて開発した。
    6.UPQC(Unified Power Quality Controller)型のQCC低圧側内部構成を提案し,UPS型と同様に高圧側の電圧変動に対しても波形劣化のない高品質な電力供給が可能であること,負荷側の高調波電流および三相不平衡電流に対しても上位系からは変動の少ない負荷のように見せることが可能であることを明らかにした。
    7.直流配電の導入効果に関して,主に経済性の観点から,潜在的な直流負荷の割合に対する分散電源や変換器などのQCC内設備の必要容量,導入限界コストなどの算定手法を開発した。
    8.各QCCを自律分散的に運用・制御させるための手法について検討を行い,マルチエージェントの概念が有望であることを確認した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 11555074
  • 競争環境下における電力系統セキュリティ制御に関する基礎研究
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1998年 - 1999年
    北 裕幸
    本研究では,競争環境下における電力系統のセキュリティ確保に関する,新しい枠組みを創生するための基礎的な研究を行った。
    1.事故後の送電線過負荷を対象とした予防制御を想定し,IPP等の分散電源からの契約外電力の購入単価の決定手法を開発し,契約外電力の購入を考慮したことによる予防制御の効果や,全体のコストに与える影響について詳細に考察した。
    2.誘導価格は送電損失を考慮した系統増分費とセキュリティ制約に対する限界費用とから構成されており,それぞれの値は,スラック母線の位置によって変化する。そこで本研究では,仮想的なスラック母線を導入し,スラック母線の位置に依存することなく,公平に価格を決定できる手法を開発した。
    3.電気事業者側の意図と,分散電源側の実際の行動パターンの違いは,電力貯蔵装置あるいはFACTSなどの能動的な制御装置が導入されていることでかなり緩和できると考えられる。本研究では,そのための基礎検討としてまず,これらの機器が導入されていることで,過負荷制約の範囲内で系統から受電できる最大電力(到達可能電力と呼ぶ)が増加し,しかも各母線毎に差がないように潮流状態を制御できることを明らかにした。今後は,その効果が予防制御のための誘導価格へ適切に反映できるかどうかを検証することが課題である。
    4.制御対象として潮流過負荷だけでなく,電圧制約や無効電力制約についても考慮できるよう拡張を行った。同様のアプローチに従って進めることで,分散電源の無効電力に対する価値を算定することが可能となり,これを予防制御のための誘導価格の1つの目安とできるものと考えている。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 10750202
  • エネルギー貯蔵設備のエネルギー収支分析・温暖化影響分析に関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    1997年 - 1998年
    田中 英一, 北 裕幸, 長谷川 淳
    本研究は、ライフサイクルの観点から、エネルギー貯蔵設備のエネルギー収支および地球温暖化への影響分析を主な目的として行われた。評価にあたっては、貯蔵設備単体のみならず、貯蔵設備を含む電力系統全体でのエネルギー収支およびCO_2排出量を、モデル系統を用いたシミュレーションにより試算した。主な研究成果は、以下のとおりである。
    1. 傾斜法とスクリーニング法を組み合わせた貯蔵設備を含む電源ベストミックス決定アルゴリズムをベースに、CO_2排出量および原子力導入量制約を考慮するための拡張を行った。
    2. 貯蔵設備として高効率な超電導エネルギー貯蔵システム(SMES)を取り上げ、与えられた負荷率やSMES導入量のもとで、貯蔵容量と変換器容量の最適な組み合わせを求め、SMESの運用による負荷平準化効果を確認した。貯蔵設備の効率が、既に実用化されている揚水発電所程度(約70%)まで低下した場合は、十分な負荷平準化効果が期待できない。
    3. SMESと原子力発電所の組み合わせは、エネルギー収支の面では多少の悪化を招くが、CO_2の削減に非常に有効であること、また、原子力の導入量に制約がある場合には、経済性から石炭火力が導入されるが、その場合にはCO_2の大幅な増加を招くことを確認した。
    4. 系統構成の違いによる影響についても詳細な検討を行い、2030年を一例とした貯蔵設備も含めた将来の最適電源構成に関する指針が与えられることを示した。
    5. 環境対策コスト分析の結果、SMESの年間コストが5万円/kW以下であればLNGや石炭火力の脱炭設備と同程度、自然エネルギーに北べて1/2〜1/10のコストでCO_2排出量を削減できる。
    6. エネルギー貯蔵設備による電力系統の負荷率改善効果に関する検討を行い、目標とする負荷率改善量に対する貯蔵設備の所要導入量の関係を明らかにした。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 09650304
  • 超伝導体の解析および電気機器・電力系統への応用に関する研究
    科学研究費助成事業 国際学術研究
    1996年 - 1998年
    長谷川 淳, PARK J.K., HAHN S.Y., 本間 利久, 土谷 武士, 大西 利只, JUNG H.K., SUL S.K., 北 裕幸, 槌本 昌則
    (1) 超伝導体中の電磁現象の理論的・数値的解析:超伝導体内の発熱に起因してパルス磁場を用いたバルク材の着磁特性にピークが存在することが分かった。また,パルス着磁過程における磁束フローの影響を考慮した超電導体内部の発熱について数値解析を行い,フロー抵抗率の磁場と温度の依存性のモデルについて評価した。数値解析の結果,ほとんどの発熱がパルスの立ち上がり時に試料の表面近くにおいて生じていることがわかった。また,バルク材は金属などに比べて熱伝導率が悪いため,熱は冷媒にほとんど吸収されず、断熱状態に近いことがわかった。
    (2) 大型超伝導線材の安定性の高度化および超伝導磁気浮上システムの制御法:低温および高温の両超伝導体を組み合わせた複合超伝導体を提案し,過渡安定性のシミュレーション法を開発するとともに,複合化により大きく安定性が向上することを示した。また,過渡擾乱に伴う浮上体微小振動のアクティブ制御法について検討を行った。
    (3) 超伝導限流器:磁気遮蔽型超伝導限流器にアクティブ制御方式を提案し、限流インピーダンスの向上に不可欠の超伝導磁束流抵抗を著しく増大できることを明らかにした。これにより限流特性の高性能化への見通しを得た。また,超伝導磁気遮蔽体としてBi2223バルク,YBCO薄膜、Nb_3Sn線材を使用した限流器を開発し,限流動作および超伝導復帰等の諸特性を理論的,実験的に解析し,その設計指針を明らかにした。また,限流器の「多機能・多目的化」や「メンテナンスフリー」という概念を提案し,その可能性を示した。
    (4) 電力系統における超伝導電力貯蔵:電圧・無効電力制御の面から、貯蔵装置の無効電力出力や,貯蔵容量、変換器容量、及び有効電力と無効電力との比率が,系統状態に大きく左右されることを明らかにした。また、分散型SMESの電圧安定化制御特性に関して,負荷増加及び送電線事故を想定した場合について,従来型の電圧制御機器との比較・検討を行い,その有効性を示した。さらに、分散型SMESの日間運用における有効・無効電力制御機能特性を解析し,それぞれ単独制御をするよりも,P-Q同時制御した方が有効であることを定量的に明らかにした。
    (5) 機器制御:制御対象の設計とそれらを含んだ制御系の設計を同時に行う統合化設計について新たな方法を開発した。制御系の漸近特性を調べてその近似的性能を明らかにすると共に,目標値又は外乱の予見情報が利用できる場合に,制御系性能の向上が可能な予見制御を誘導電動機のベクトル制御に適用しその効果を確認した。
    日本学術振興会, 国際学術研究, 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 08045028
  • ファジイDPの新しい枠組みと電力系統計画への応用に関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    1996年 - 1997年
    北 裕幸, 田中 英一, 長谷川 淳
    電力システム計画における多段階意思決定過程の解法としては,一般に,動的計画法(DP法)が用いられる。このとき,最適な将来計画の立案といった時系的な意思決定過程においては,問題自体に必然的に不確実性が内在する。
    本研究では,データのあいまい性を直接考慮すると目的関数そのものがファジイ数として与えられることに着目し,メンバーシップ関数間の優越性評価に基づいて最適パスを決定していく,新しいファジイDP法の枠組みを開発した。この新しい枠組みにおいては,解はデータのあいまい性の結果として当然起こり得るであろうある幅を持ったものとなり,言い換えると一つの集合として決定される。この解の集合に属する意思決定は,すべてファジイ環境の下では優劣がつけられないものであり等しく最適解となる。
    本研究ではまた,開発手法を電力システムの代表的な計画問題でる貯水池運用計画問題および電源開発計画問題に適用し,その有効性や特徴を明らかにした。貯水池運用問題においては,貯水池への自然流入量,負荷需要をファジイ数とし,貯水量を状態に,時間帯を段に取ったDP法により,貯水池の運用パターンを幅のある解として求めるアルゴリズムを開発した。次に,電源開発計画問題に対しては,将来のコスト(固定費,可変費)をファジイ数として与え,将来の電源構成を幅を持った集合として求める手法を開発した。また,負荷のあいまいさを幾つかのシナリオとして与え,そのどのシナリオに対しても柔軟に対応できるような計画を見い出す手法への拡張も行った。さらに,どの電源をどの段階で運開させるのが最適であるかを,計画から運開までの期間(リ-ドタイム)を考慮して決定するための手法についても開発した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 08650324
  • 非線形ディジタル制御理論に基づく同期発電機制御に関する研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    1996年 - 1997年
    長谷川 淳, 遠山 篤, 田中 英一, 北 裕幸
    発電機制御系の高性能化は、電力系統の安定度向上にとって非常に重要な課題の一つである。従来の最適制御理論に基づく設計法では、発電機を含む非線形システムに対して、通常はある動作点近傍において一次近似線形化を行ったモデルを用いる。この場合、設計時の動作点に十分近い状態では有効であるが、動作点から大きく離れた状態では必ずしも有効とはいえない。
    本研究では、外力と加速度との間の関係に着目したディジタル加速度制御法の概念を適用することにより、動作点に依存しないロバストな発電機制御方式の確立を目的として、実現のための基礎的な検討を行った。二年間の主な研究成果を以下にまとめる。
    1.加速度制御法の概念に基づく非線形ディジタル制御理論を同期発電機制御に適用するための定式化、並びに制御系設計のためのアルゴリズムの開発を行った。
    2.一機無限大系統及び3機系統を対象として、提案方式の制御性能をシミュレーションにより検討した。特に、モデルの簡略化による影響や、モデルパラメータや運転状態の変化による影響、リミッタの影響などに関して検討を行い、提案方式の有効性を確認した。
    3.本研究で用いている手法は、設計用モデルの線形化における仮定から、動作点による影響が少ない代わりに、サンプリング間隔に留意する必要がある。この点に関しても、シミュレーションによる検討結果から、適切な値が明らかとなった。
    4.有効電力の代わりに回転数(角速度)を制御する方式に関して、一般的な最適制御手法との比較検討を行い、制御入力の波形はかなり違うものの、制御量の応答波形は、ほぼ同等であることを確認した。
    5.観測雑音の影響について検討を行った結果、特に角速度に対する雑音の影響が大きいことが明らかとなった。その他の変数に対しては、ロ-パスフィルタの有効性が確認された。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 08455125
  • セキュリティ監視制御システムにおける想定事故選択に関する研究
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1994年 - 1994年
    北 裕幸
    1.ある想定事故(j)の過酷さの度合(セキュリティ)を定量的に評価できる以下の指標を開発した。
    SI_j=Σ^^__(y_-y_i^+y_i^-)^<2n>但しy_:j番目の事故におけるi番目の監視対象変数、n:整数(≧1)NY:監視対象変数の数、y_i^+=(y_+y_)/2、y_i^-=(y_-y_)/2上式の括弧内は、yが制限値を超えているときのみ1以上となるため、違反した変数は指標の値に大きな影響を及ぼす。また、制限値に近い変数が多数存在する場合にも指標は大きな値を示す。厳密潮流計算に基づき試算した結果、実際に逸脱を引き起こす事故は、指標の大きさの順位で上位にあり、その有効性が裏付けられた。
    2.20〜30分毎に実施される基準状態の計算では、指標の値と状態変化(Δu)に対する指標の感度(dSI_j/du)を高速に計算する必要があり、具体的な計算手法を開発すると共に、モデル系統を用いてその有効性を確認した。
    (1)指標の計算:高速分離潮流計算法で用いられるPQ分離増分回路に、事故を模擬するための電流源を注入することで、事故前のアドミタンス行列をそのまま用いて事故後の被制御変数(y)を解析する手法を開発した。
    (2)感度の計算:上記の増分回路と線形回路理論の相反定理を用いて、指定変数に対する指標の感度を高速に算定する手法を開発した。この手法では、各指定変数に対する感度を1度の計算で求めることができる。
    3.状態変化に伴う指標は、次式に従って近似的に求められるという考えに基づき試算を行った。
    SI_j(u_0+Δu)≒SI_j(u_0)+dSI_j/du・Δu
    感度に基づいて得られた変化後の指標(上式の右辺)は、厳密な指標(上式の左辺)と比べ順位に多少の相違はあるものの、逸脱を引き起こす事故が確実に選択され得るという点で有効であることが確認された。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 06750271
  • Power Systems under a Deregulated Environment               
    1994年
    競争的資金
  • 電力系統における分散配置多目的SMESの評価
    科学研究費助成事業 重点領域研究
    1992年 - 1992年
    長谷川 淳, 西谷 健一, 北 裕幸, 田中 英一
    本研究においては、中小容量の超伝導エネルギー貯蔵システム(SMES)を電力系統内に分散して配置し、それらに主要な系統制御機能の一翼を担わせるような構成形態および運用形態を、将来の電力系統の有り得る一つの姿として想定して、その場合にSMESが果たし得る役割を明確化し、発揮できる性能、必要とされる仕様、経済性等を明らかにすることを目的としてきた。今年度得られた研究成果は、以下のとおりである。
    1.検討すべき多目的SMESの用途としては、有効電力に関する基本的機能として負荷平準化と負荷周波数制御が、また無効電力に関しては電圧安定化制御が特に重要であると考えて、詳細な分析を行うこととした。
    2.多目的SMESによる負荷周波数制御機能に関しては、SMES-発電機間の役割分担の実現により発電機の負担の大幅な軽減が可能であることを明らかにした。その際のSMESの制御方式として、負荷変動に対するPID制御と貯蔵エネルギー量偏差に対するPI制御の併用が有効であること、SMESの貯蔵容量や変換器容量と制御の仕上がりとの関係などに関しても、シミュレーションにより明らかにすることができた。
    3.上記の負荷周波数制御系に基づいた負荷平準化機能についても検討を行った。具体的には、SMESの貯蔵エネルギー量を基準レベルに戻すための制御ループを開放することで負荷平準化が実現可能であることを確認したうえで、負荷周波数制御モードと負荷平準化モードの切替運用方策について検討を加え、両モード間の切替時の応答特性の評価を行った。また、切替時の注意点についても明らかにした。
    4.多目的SMESによる電圧安定化制御に関しては、従来の変圧器タップや調相設備による制御との比較検討を行った結果、SMESでは連続かつ高速な制御が可能なことから大幅な改善が期待できることが確認された。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 04203202
  • 電力系統における超電導エネルギ-貯蔵システムの総合評価および導入計画に関する研究
    科学研究費助成事業 重点領域研究
    1989年 - 1989年
    長谷川 淳, 北 裕幸, 田中 英一, 西谷 健一
    本研究に最終目的は、超電導エネルギ-貯蔵システム(SMES)の電力系統における実用化の可能性を検証することにあり、そのため本年度は以下のような研究項目についてそれぞれ研究成果を得ることができた。
    1.電源のベストミックスを考慮したSMES経済性評価
    動的計画法に基づく解析手法により、(1)負荷変動のパタ-ン、(2)ベ-ス電源とピ-ク電源の燃料費の比率、(3)SMESの効率、(4)SMESの運転停止率などの各種のパラメ-タがSMESの経済性に与える影響について評価した。その際、電力貯蔵システムの評価のためには、負荷変動パタ-ンを特徴づけるために新しい導入した「KWh運用率」が、従来用いられている「負荷率」よりも優れた指標であることを明らかにした。
    2.SMESの負荷変動補償効果の解析
    SMESを電力系統の負荷変動補償に用いた場合の効果、適正規模(必要なKW容量およびKWh容量)などについて解析を行った。その結果、(1)比較的周期の短い負荷変動はSMESが、周期の長いものは発電機が受け持つという役割分担が負荷変動補償に対して極めて効果的であること、(2)SMESの導入により制御系が全体としてロバスト化できること、(3)この目的でのSMESの所要KW容量およびKWh容量は、それぞれ、系統容量が10GWの場合、約300MW程度、約500KWh程度であること、などが明らかにされた。
    3.発電機の出力変化率制約を考慮した電力貯蔵システムの最適運用方策決定手法の開発
    原問題を発電機2台と貯蔵システムとからなる部分問題に分割し、この部分問題を繰り返し解くことによって最適運用方策を決定する新しい手法を開発した。この部分問題は3次元DP法を適用して解かれる。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 01603503

産業財産権

  • 太陽光発電システムを有した配電系統における負荷量推定装置および負荷量推定方法               
    特許権, 北 裕幸
    特願2014-195952, 2014年09月26日
    特許6376923
    2018年08月03日