佐々木 雅寿 (ササキ マサトシ)
法学研究科 法律実務専攻 公法講座 | 教授 |
Last Updated :2024/12/06
■研究者基本情報
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■経歴
学歴
学内役職歴
■研究活動情報
論文
- 参議院の投票価値の平等をめぐる最高裁と国会との継続的対話
佐々木雅寿
只野雅人・佐々木雅寿・木下和朗編著『統治機構と対抗権力 代表・統制と憲法秩序をめぐる比較憲法的考察』, 326, 347, 2023年03月 - 公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性―令和1年参議院議員選挙投票価値較差訴訟大法廷判決(最大判令2・11・18)
佐々木雅寿
判例時報, 2502, 132, 138, 2022年02月, [招待有り], [筆頭著者] - カナダにおける違憲審査の参加手続
佐々木雅寿
北大法学論集, 70, 5, 928, 939, 2020年01月, [筆頭著者]
日本語, 研究論文(大学,研究機関等紀要) - 衆議院「投票価値の較差」判例の転換点
佐々木雅寿
論究ジュリスト, 29, 36, 42, 2019年04月, [筆頭著者]
日本語, 研究論文(学術雑誌) - カナダにおける憲法変動とカナダ最高裁判所の役割
佐々木 雅寿
憲法問題, 28, 76, 88, 2017年05月, [招待有り]
日本語, 研究論文(学術雑誌) - 昭和51年衆議院議員定数不均衡違憲判決の背景
佐々木 雅寿
法学雑誌, 62, 3・4, 1, 43, 2016年08月
日本語, 研究論文(大学,研究機関等紀要) - 衆議院定数不均衡訴訟違憲判決
佐々木 雅寿
論究ジュリスト, 17, 54, 60, 2016年04月
日本語, 研究論文(学術雑誌) - カナダ最高裁判所におけるロー・クラーク
佐々木 雅寿
北大法学論集, 66, 2, 261, 271, 2015年07月
日本語 - 衆議院小選挙区制の下での最高裁と国会との継続的対話
佐々木 雅寿
岡田信弘他編『憲法の基底と憲法論』, 755, 780, 2015年05月
日本語 - 違憲立法審査権の性格
佐々木 雅寿
長谷部恭男他編『憲法判例百選Ⅱ[第6版]』, 412, 413, 2013年12月
日本語 - 対話的違憲審査の理論
佐々木 雅寿
新世代法政策学研究, 19, 19, 1, 107, 北海道大学グローバルCOEプログラム「多元分散型統御を目指す新世代法政策学」事務局, 北海道大学情報法政策学研究センター, 2013年01月, [招待有り]
日本語, 研究論文(大学,研究機関等紀要) - カナダ憲法における比例原則の展開
佐々木 雅寿
北大法学論集, 63, 2, 1, 51, 北海道大学大学院法学研究科 = Hokkaido University, School of Law, 2012年07月
日本語, 研究論文(大学,研究機関等紀要) - カナダにおける裁判所と立法府の対話
佐々木 雅寿
法学雑誌, 54, 1, 15, 53, 2007年08月
日本語, 研究論文(大学,研究機関等紀要) - カナダ憲法における多文化主義条項
佐々木 雅寿
法学雑誌, 53, 4, 969, 1009, 2007年03月
日本語, 研究論文(大学,研究機関等紀要) - 人権の主体―「個人」と「団体」の関係を中心に―
公法研究, 67, 122, 135, 2005年 - カナダ憲法における人権保障の特徴
ジュリスト, 1244, 196, 202, 2003年 - カナダ憲法上の救済方法(4)
法学雑誌, 45, 3-4, 431, 1999年 - カナダ憲法と地方自治体の権限
都市問題研究, 49, 4, 145, 1997年 - カナダにおけるスタンディングの法理
法学雑誌, 40, 4, 1, 1994年
その他活動・業績
- 憲法 花柳流の名取の地位確認請求と「部分社会の法理」[東京地裁平成28.5.25判決] (判例セレクトMonthly 2016.5.1~2016.5.31)
佐々木 雅寿, 法学教室, 432, 161, 161, 2016年09月
有斐閣, 日本語 - 憲法 平成26年衆議院選挙と投票価値の平等[最高裁大法廷平成27.11.25判決] (判例セレクトMonthly 2015.9.1~2016.3.31)
佐々木 雅寿, 法学教室, 430, 127, 127, 2016年07月
有斐閣, 日本語 - 5 カナダ最高裁判所におけるロー・クラーク
佐々木 雅寿, 北大法学論集, 66, 2, 118, 108, 2015年07月31日
北海道大学大学院法学研究科 = Hokkaido University, School of Law, 日本語 - Constitutional Remedies in Canada(4)
Journal of Law and Politics of Osaka City University, 45, 3-4, 431, 1999年 - Constitutional Remedies in Canada(3)
Journal of Law and Politics of Osaka City University, 44, 4, 535, 1998年 - Constitutional Remedies in Canada(2)
Journal of Law and Politics of Osaka City University, 44, 3, 371, 1998年 - Constitutional Remedies in Canada(1)
Journal of Law and Politics of Osaka City University, 44, 2, 208, 1998年 - Canadian Constitutional Law and the Power of Municipalities
Journal of Municipal Problems, 49, 4, 145, 1997年 - カナダにおけるスタンディングの法理 : 公益スタンディング ( Public Interest Standing ) を中心に
佐々木 雅寿, 大阪市立大學法學雜誌, 40, 4, 1, 447, 1994年
大阪市立大学, 日本語 - Characteristics of Constitutional Review in the Judiciary Act
Journal of Law and Politics of Osaka City University, 39, 3・4, 40/1,40/3, 1993年
1993-1994 - The Characteristics of Constitutional Review in Canada
39, 2-4, 1988年
1988-1989
書籍等出版物
- 統治機構と対抗権力 : 代表・統制と憲法秩序をめぐる比較憲法的考察
只野, 雅人, 佐々木, 雅寿, 木下, 和朗
日本評論社, 2023年03月, 9784535526174, x, 386p, 日本語 - はじめての憲法学(第4版)
中村睦男, 佐々木雅寿, 寺島壽一編著, 第5講幸福追求権、第8講思想・良心の自由、第19講裁判所と司法権、第21講地方自治
三省堂, 2021年10月, 9784385321936, xx, 294p, 日本語, [共編者(共編著者)] - 在外日本人最高裁裁判官国民審査権制限違憲訴訟高裁判決
佐々木雅寿, 20頁~21頁
有斐閣・令和2年度重要判例解説, 2021年04月 - 違憲の争点を提起しうる当事者適格
佐々木雅寿
有斐閣・憲法判例百選Ⅱ[第7版], 2019年11月, [分担執筆] - 議員定数不均衡訴訟
佐々木 雅寿
信山社 判例トレーニング憲法, 2018年04月, 211, 184-192, 日本語, [分担執筆] - 世界の人権保障
佐々木 雅寿, 序章、第6章、終章
三省堂, 2017年09月, 9784385321493, 272, 1-9, 117-136, 225-242, 日本語, 教科書・概説・概論, [共編者(共編著者)] - 衆議院定数不均衡訴訟違憲判決
佐々木 雅寿
有斐閣 論究憲法, 2017年05月, 109-122, 日本語, [分担執筆] - はじめての憲法学(第3版)
佐々木 雅寿
三省堂, 2015年04月, [共著] - 対話的違憲審査の理論
佐々木 雅寿
三省堂, 2013年09月, [単著] - はじめての憲法学(第2版)
佐々木 雅寿
三省堂, 2010年10月 - 勧告的意見の可能性
有斐閣 日本国憲法解釈の再検討, 2004年 - はじめての憲法学
三省堂, 2004年 - 環境保護と憲法上の課題
環境保護と法, 1999年 - Environmental Protection and Constitutional Issues
Environmental Protection and Law, 1999年 - 現代における違憲審査権の性格
有斐閣, 1995年, [単著] - The Nature of Constitutional Review in the Contemporary World
Yuhikaku, 1995年
講演・口頭発表等
共同研究・競争的資金等の研究課題
- 憲法訴訟における第三者の関与と立法事実の取扱方法に関する具体的制度設計の研究
科学研究費助成事業
2022年04月01日 - 2025年03月31日
佐々木 雅寿
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 22K01150 - 勧告的意見(照会制度)の日本への導入可能性と具体的制度設計に関する研究
科学研究費助成事業
2018年04月01日 - 2022年03月31日
佐々木 雅寿
以下の内容を備えた勧告的意見は、日本への導入が憲法上可能で、違憲審査の人権と憲法の保障機能をより充実させることが期待できる。すなわち、①内閣または一定数の国会議員が、②通常の違憲審査の対象とならない憲法問題を、③最高裁に照会し、④利害関係のある国・地方自治体、私人や団体等が訴訟参加して意見を述べ、⑤立法事実や必要な情報を収集し、⑥憲法に造詣の深い弁護士等により争点が十分に展開され、⑦憲法に詳しい研究者や弁護士等が臨時の調査官として裁判官の審理を補佐し、⑧最高裁は十分な理由を付した意見を示す等の内容を備えた制度である。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 18K01233 - 公開と参加による司法のファンダメンタルズの改革
科学研究費助成事業
2015年04月01日 - 2019年03月31日
笹田 栄司, 山元 一, 村上 裕章, 宍戸 常寿, 林 知更, 國分 典子, 鈴木 秀美, 中林 暁生, 赤坂 正浩, 佐々木 雅寿, 川岸 令和
公開については、裁判所情報の公開は第三者機関の関与が認められた点に進展があるが、刑事裁判の公開は停滞し、メディアを通じた裁判の公開(裁判のテレビ中継)は改善の余地が大きい。次に参加に関し、最高裁判事の任命権は憲法上、内閣にあるが、専門的・中立的に構成された任命諮問委員会を導入することで、最高裁判事の国民審査が実効化することを示した。また、訴訟に当事者として関与しない個人・団体が意見を表明するアミカスキュリイについて、米・加・独・仏・韓・日を対象としたシンポを開き、憲法裁判における「参加」の重要性を確認した。その成果は2019年度中に北大法学論集で公開される。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 早稲田大学, 15H03291 - 憲法に関する継続的対話における下級裁判所と国民の機能と役割に関する基礎的研究
科学研究費助成事業
2015年04月01日 - 2018年03月31日
佐々木 雅寿
人権保障や憲法秩序の保障は、裁判所の違憲判決という一つの点によって実現するのではなく、裁判所と政治部門との憲法的対話というプロセスにより実現する。なかでも継続的な憲法的対話が重要である。
継続的な憲法的対話においては、下級裁判所の違憲判断、国民の憲法意識の変化等が最高裁判所の憲法判断に影響することが明らかとなった。その意味で、憲法保障を実現する憲法的対話においては、最高裁判所のみならず、下級裁判所と国民も重要な機能と役割を担っているといえる。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 15K03098 - 二院制に関する動態論と規範論の交差的研究
科学研究費助成事業
2013年04月01日 - 2016年03月31日
岡田 信弘, 高見 勝利, 西村 裕一, 只野 雅人, 徳永 貴志, 浅野 善治, 常本 照樹, 佐々木 雅寿, 加藤 一彦, 木下 和朗, 新井 誠, 黒澤 修一郎, 齊藤 正彰, 武蔵 勝宏
本共同研究は、日本の議会政治を取り巻く「混迷状態」を解消・克服するための方策を、二院制に関する「動態論」と「規範論」の交差的研究を通じて探究しようとするものである。
イタリアやフランスでは「規範論」がどちらかといえば「動態論」に優位し、そのことが制度改革をめぐる活発な議論に結びついているように思われる。これに対して、イギリス、ドイツ、オーストラリアでは「動態論」のほうが優位し、そのため制度改革よりも二院制の運用に関わるアクター間の合意形成による問題解決が試みられているとの印象を持った。日本における議論は前者に位置づけられようが、制度改革がなかなか進まないというのが現状である。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 25245005 - 「日本型先住民族政策」の憲法政策学的・学際的研究
科学研究費助成事業
2011年04月01日 - 2016年03月31日
常本 照樹, 佐々木 雅寿, 山下 竜一, 長谷川 晃, 辻 康夫, 北原 次郎太, 山崎 幸治, 加藤 博文
英米型の先住民族政策とは異なる、日本とアイヌ民族の実状に適合した先住民族政策のあり方を追求した結果、憲法13条の「個人の尊重」に個人としてのアイヌが自らのアイデンティティを選択する自由の根拠を求め、その自由を実質化する責務を国に課すことによって民族文化の復興を目指すことが、第一段階として必要にして合理的であることが明らかになるとともに、文化の伝承・発信の具体的あり方も示すことができた。また文化の復興は、社会的・経済的地位の向上政策に対する国民理解の推進のために必要であるだけでなく、地位の向上に主体的に取り組むアイヌの累増のためにも有効であることが明らかになった。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 23243004 - 裁判所と政治部門の対話・協働に関する基礎的研究
科学研究費助成事業
2012年04月01日 - 2015年03月31日
佐々木 雅寿
カナダでは、人権保障は、カナダ最高裁判所の違憲審査という1つの点によってではなく、カナダ最高裁判所と議会との対話によって実現すると考えられている。
日本においても、人権保障や憲法保障は、最高裁判所による違憲審査という1つの点によって実現するのではなく、最高裁判所と国会や政治部門との「対話」という相互作用のプロセスによって実現することが実証された。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 24530017 - 違憲審査活性化についての実証的・比較法的研究
科学研究費助成事業
2011年04月01日 - 2015年03月31日
笹田 栄司, 山元 一, 村上 裕章, 宍戸 常寿, 林 知更, 國分 典子, 鈴木 秀美, 佐々木 雅寿, 赤坂 正浩, 中林 暁生
カナダでは、最高裁の違憲判決とそれへの立法府の応答(憲法的対話)が広く認められているが、同様のことが日本の国会と最高裁の間にも存在することが示された(佐々木雅寿)。アメリカ及びドイツの憲法裁判と異なる「第三の類型としてのカナダ及び日本の違憲審査制」の可能性が見いだされたのである。
次に、「憲法裁判における調査官の役割」に関する研究が進展し、その成果が2015年7月に北大法学論集で公表される。同論集は北大図書館HP(HUSCUP)で公開されるので、多くの人が閲覧できる。独・仏・米・加・韓・日を対象にする調査官研究は例がなく、違憲審査制を検討するうえで重要な意義を持つものである。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 23330007 - 二院制の比較立法過程論的研究
科学研究費助成事業
2009年04月01日 - 2014年03月31日
岡田 信弘, 高見 勝利, 浅野 善治, 只野 雅人, 笹田 栄司, 武蔵 勝宏, 常本 照樹, 佐々木 雅寿, 加藤 一彦, 稲 正樹, 木下 和朗, 新井 誠, 齊藤 正彰
衆議院と参議院の多数派が異なる、いわゆる「ねじれ国会」が出現した結果、日本の国会における立法活動は混迷状態に陥った。本共同研究は、この混迷状態の制度的・政治的要因を探りつつ、そうした状態を解消・克服するための方策を従来の二院制に関する憲法学的研究とは異なった視角からの分析を通して明らかにすることを試みた。具体的には、従来の類型論的・解釈論的研究に加えて、統治構造論を視野に入れた実証的な比較立法過程論的研究を実施した。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 21243003 - 多文化主義の規範的内容に関する基礎的研究
科学研究費助成事業
2009年 - 2011年
佐々木 雅寿
本研究は、多文化主義を憲法上の原理として位置づけているカナダ憲法の判例と学説を比較検討の対象として、日本国憲法の下で多文化主義が有しうる具体的規範内容を、主に、多文化主義とアファーマティブ・アクションとの関係という側面から分析し、少なくとも、国家により差別を受け、その結果、当該被差別集団が有する文化の維持が困難になっている場合は、当該集団またはそれに属する個人は、文化の維持のために一定のアファーマティブ・アクションを要請する資格または権利が認められうるとの知見が導かれた。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 21530019 - 「先住民族の権利に関する国連宣言」の国内的実現に係る総合的・実証的研究
科学研究費助成事業
2007年 - 2010年
常本 照樹, 佐々木 雅寿, 山下 龍一, 桑山 敬己, 長谷 川晃, 辻 康夫, 会澤 恒, 山崎 幸治, 本多 俊和
「先住民族の権利に関する国連宣言」は、世界の先住民族にとって共通に必要な権利を謳うとともに、個々の先住民族及び関係する国家の実情に応じた権利実現を認めている。2008年に国会及び政府はアイヌ民族を先住民族と認めたが、日本及びアイヌ民族の実情に応じた権利実現のあり方としては、憲法13条の「個人の尊重」を基本とし、個人としてのアイヌがアイヌとしてのアイデンティティの保持を積極的に選択できる社会の実現を目標とすべきである。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 19203002 - 変革期における新たな立法動向と多元的立法過程に関する比較的・総合的研究
科学研究費助成事業
2005年 - 2008年
岡田 信弘, 常本 照樹, 笹田 栄司, 佐々木 雅寿, 宮脇 淳, 棟居 快行, 浅野 善治, 武蔵 勝宏, 小野 善康, 稲 正樹, 木下 和朗, 齊藤 正彰, 新井 誠, 高見 勝利, 深瀬 忠一
近時、わが国の法体系や立法過程の在り方に「地殻変動」が起きているとの指摘があるが、こうした現象は日本に特有のものとは考えられない。グローバル化の圧力の下で、多くの国が政治・経済・社会のあらゆる分野での改革を余儀なくされているからである。本共同研究は、このような状況認識の下に、変革期における立法動向と立法過程を国際的な視角から実証的かつ総合的に分析することを通して、日本の新世紀における立法や立法過程のあるべき方向性を追究したものである。
日本学術振興会, 基盤研究(A), 北海道大学, 17203004 - 集団的権利としての先住権に関する基礎的研究
科学研究費助成事業
2005年 - 2007年
佐々木 雅寿
1 カナダにおける先住民族の権利
カナダの1982年憲法35条が保障する「先住民族としての権利」は、先住民族によって享有される権利であり、その主な内容は、(1)土地権、(2)狩猟や漁業等の権利、(3)自治権等である。漁業権や土地に対する権原のように先住民族としての権利の主要なものは集団的権利であり、カナダ憲法上はかかる集団的先住権も保障されている。
2 日本国憲法における個人と団体の関係
憲法13条が個人の尊重原理を規定しつつも、憲法21条が結社の自由を保障している日本国憲法が予定する個人と団体の関係は以下のように解される。すなわち、(1)個人が本来的な人権享有主体である、(2)団体の結成・加入等は、第一義的に個人の選択や決定に委ねられている、(3)個々人の選択に基づいて結成された団体は、その目的に応じて一定の人権を享有し、独自の活動を行う自由を有する、(4)個々人の自律的選択を根拠としつつも、特定の団体が、一定の人権を集団的に行使することが憲法上認められうる、(5)憲法が規定する個人の尊重原理の下においても、個人でいることによって尊厳性を保持できると常に考える必要はなく、個人にとって何が尊厳であるのか、また、その尊厳性を保つための方法として、個人のままでいるのか、それとも団体に属するのかは、個人が自由に判断すべき事柄である。さらに労働組合や宗教団体のように、憲法上集団的に人権を行使することが認められている団体があり、集団的権利は必ずしも憲法上排除されていない。
3 集団的先住権の可能性
日本国憲法の下においても、憲法上先住権が認められうるとすれば、集団的先住権も必ずしも排除されていないと解される。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 17530026 - アイヌ民族の先住民としての権利に関する基礎的研究
科学研究費助成事業
2002年 - 2004年
佐々木 雅寿
1 平成9年に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(いわゆるアイヌ新法)が制定されたが、これはアイヌを独自の文化をもつ少数民族として位置づけ、日本全体の文化を豊かにするという意味も含めて少数民族文化の振興を図るというものであり、アイヌの先住民族性を正面から認めた法律ではない。
2 わが国の憲法学説の中で極めて少数ではあるが、憲法上の先住権を認める説がみうけられる。第1説は、先住権を、伝統的な生活様式の維持、発展を選び取った者の生存権の集合的な権利であると理解する。第2説は、少数民族の文化享有権として先住権をとらえる。さらに、第3説は、北海道の先住民族に対する同化政策の償いとして行なわれるアファーマティヴ・アクションであればアイヌ民族の特別な権利を憲法上認めることができうるとする。いわゆる二風谷ダム判決(札幌地判平成9年3月27日判例時報1598号33頁)は、国際人権規約B規約27条と憲法13条を根拠に、アイヌ民族が文化享有権を有し、それは他の少数者の文化享有権よりも強い権利であると判示した。
3 カナダの1982年憲法の第2章は、カナダの先住民の権利を規定する。その35条は、「先住民としての権利」と「条約上の権利」を保障し、続く、35.1条は、先住民に関する憲法改正を扱う憲法会議に参加する先住民の権利を規定する。これらの規定を前提に、人権憲章の25条は、先住民の権利を憲法上特別に保障しても、平等原則等の人権憲章上の諸規定に違反しないことを確認している。これらの条文により、先住民は、他の個人と同様の人権を有すると同時に、先住民の特別な権利を享有することが明確になった。しかしこのことにより、先住民の集団的権利と非先住民の個人的権利の関係や、先住民グループの集団的権利と先住民個人の人権憲章上の権利の関係等、非常に困難な問題を解決する必要が生じている。
日本学術振興会, 基盤研究(C), 大阪市立大学, 14520026 - 統治機構の改革に係る諸法律の立法過程・執行状況と「立法事実」の検証
科学研究費助成事業
2001年 - 2002年
岡田 信弘, 高見 勝利, 小早川 光郎, 林 知更, 常本 照樹, 佐々木 雅寿, 前田 英昭, 岡田 信弘
1 夏季研究集会における諸報告とその成果の公表
(1)2002年8月19日(月)〜21日(水)の日程で、研究分担者と本共同研究への協力を依頼した部外の実務家が北海道大学に参集し、研究会が開催された。部外の実務家からの報告として、橘幸信氏(衆議院憲法調査会事務局)「『実践的立法学』の構築に向けて-法律(案)のつくり方・つくられ方-」と山岡規雄氏(国立国会図書館憲法室)「憲法調査会の活動」とがあった。なお、山岡氏の報告を補完するものとして、橘氏による追加報告(「衆議院憲法調査会の活動」)がなされた。これらの報告をめぐる活発な討論を通して、一方で、「立法過程」の現場体験に基づいた「立法事実」に関する新たな知見が得られるとともに、他方で、現在進行中の「憲法改正」に関わる議会内部の動きを正確に理解することができた。
(2)研究分担者からは、岡田信弘「改正内閣法に対する評価」、常本照樹「アイヌ新法の実施状況」、佐々木雅寿「司法制度改革の推進体制」、小野善康「国旗・国歌法制定後の学牧の状況」、高見勝利「政治腐敗と政治倫理-英米独仏等の国会議員の政治倫理に関する制度」の各報告があり、分担者間で意見交換がなされた。
(3)以上に概観した夏季研究集会の成果の一部は既に公表もしくは近々公表予定であるが、それらを含む研究分担者の研究成果を、本共同研究グループが従来行ってきたように、1冊の著書にまとめるべく作業を進めている。
2 その他の研究会活動
2002年10月29日(火)にジャック・ロベール氏(元フランス憲法院裁判官)、12月20日(金)に孝忠延夫氏(関西大学教授)を招いて、ヨーロッパとアジアにおける最近の立法動向についての報告を受けた。
日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 13420005 - 公共的利益の保護と裁判所の役割
科学研究費助成事業
1999年 - 2000年
佐々木 雅寿
(1)カナダの憲法学者・行政法学者・裁判官から研究のレヴューを受ける
平成12年9月17から同月27日まで、カナダオンタリオ州のトロント市に赴き、トロント大学法学部のH.ジャニッシュ教授(行政法の専門家)およびP.マツクレム教授(先住民法・憲法の専門家)から、そして、オンタリオ州控訴裁判所R.シャープ裁判官(憲法訴訟の専門家)およびオンタリオ州上級裁判所K.スウィントン裁判官(憲法・労働法の専門家)からそれぞれ研究のレヴューを受けた。カナダにおける環境保護に関する最近の動きとしては、先住民の自治政府による環境保護政策を連邦および州レベルでどの程度法律上組み込むかが争点の一つとなっていることが指摘された。
(2)日本の環境訴訟に関する検討
わが国の現行の実体法・訴訟法体系が個人の権利利益を保護することを主要な目的として構築されているため、訴訟提起の段階、裁判所の審査の段階、そして、救済の段階のすべてにおいて、公益を裁判所によって保護することはかなり困難である。しかし、行政事件訴訟法のいわゆる客観訴訟において行政行為の適法性といういわば公的な利益の保護が裁判所の重要な機能の一つとして認められていることからすれば、現行の枠内においても裁判所が公的な利益を保護する機能を持つことを禁じられていると解することはできない。
(3)日本における裁判所の役割とカナダにおけるそれとの相違
上記のように日本の裁判制度は基本的には個人の私的な利益を保護するためのものと観念されている。それに対しカナダの裁判所は、個人の私的利益の保護を主要な機能と捉えつつも、副次的ないしは第二次的には、法律の規定に従って公益を保護する機能も重視している。これは議会が法律により特定の公益を保護する機能を裁判所に与えたことが主な根拠となっていると考えられる。
(4)若干の提言
わが国の裁判所の機能は少なくとも憲法上個人の私的な利益の保護に限定されておらず、裁判所が法律の要請に従って一定の公益を保護することは可能であると考えられる。法の支配の要素に個人の私的権利利益の保護のみならず、法律に従った公益保護もありうることの研究が今後必要となろう。
日本学術振興会, 奨励研究(A), 大阪市立大学, 11720013 - 憲法訴訟の救済方法に関する基礎的研究
科学研究費助成事業
1997年 - 1998年
佐々木 雅寿
(1) 憲法上の救済方法の類型
カナダでは憲法上の救済方法として、違憲な部分を含む法律を全体として無効とする無効判決、一つの法律の違憲な部分と合憲な部分とを分離し、違憲な部分のみを無効とする分離の手法、文言上は違憲に見える法律を限定的に解釈することにより、その法律の合憲性を保つ合憲限定解釈、過小包摂のために違憲となる法律に、合憲となるための条件を読みこむ合憲補充解釈、ある法律を一般的に合憲と判断しつつ、特定の個人や集団に対する当該法律の適用のみを違憲として排除する合憲的適用除外、そして、法律を無効とする違憲判決の効力発生を一定期間停止し、違憲の法律に対応する機会を議会に与える無効性の一時的停止が判例上開発された。
(2) 裁判所と議会の関係
カナダでは、人権保障のために憲法上の救済を与えることは裁判所の権限であると同時に裁判所に課された義務であると理解されている。しかし、裁判所が救済権限を行使する際、議会と裁判所との適切な関係を維持することも憲法上重要である。議会の立法権限や予算配分権限を侵害せずに効果的に人権を救済する方法がカナダで模索されている。この場合特に重要なことは、議会と裁判所の関係を静的に捉えるのではなく、時間の流れの中で動的に捉え、裁判所の判決の後議会が対応し、その議会の対応を再度裁判所が審査するといった関係を前提にして、裁判所の違憲判決は議会の判断権限を侵害しないという理解がカナダにあることである。
(3) トロント大学教授等による研究のレヴュー
平成10年9月8日から9月15日の間、カナダのトロントに出張し、トロント大学法学部ジャニッシュ教授、オンタリオ州上級裁判所スウィントン裁判官、シャープ裁判官から研究のレヴューを受けた。
日本学術振興会, 奨励研究(A), 大阪市立大学, 09720014 - カナダ憲法の研究
競争的資金 - 違憲審査制の研究
競争的資金 - Study on Canadian Constitutional law
競争的資金 - Study on Constitutional Review
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