佐藤 美洋 (サトウ ヨシヒロ)

薬学研究院 創薬科学部門 創薬化学分野教授

研究者基本情報

■ 学位
  • 博士(薬学), 北海道大学
  • 薬学修士, 北海道大学
■ URL
researchmap URLホームページURL■ 研究キーワード・分野
研究キーワード
  • 有機合成化学
  • 有機金属化学
  • Synthetic Organic Chemistry Organometallic Chemistry
研究分野
  • ライフサイエンス, 薬系化学、創薬科学
  • ナノテク・材料, 有機合成化学
■ 担当教育組織

経歴

■ 経歴
経歴
  • 2006年 - 現在
    北海道大学, 大学院薬学研究院, 教授
  • 2021年04月 - 2025年03月
    北海道大学, 大学院生命科学院, 学院長
  • 2015年04月 - 2025年03月
    北海道大学, 教育研究評議会, 評議員
  • 2017年04月 - 2021年03月
    北海道大学, 大学院薬学研究院・薬学部, 研究院長・学部長
  • 2004年 - 2006年
    北海道大学, 大学院薬学研究科, 教授
  • 2001年 - 2004年
    北海道大学, 大学院薬学研究科, 助教授
  • 1999年 - 2001年
    北海道大学, 大学院薬学研究科, 講師
  • 1995年 - 1999年
    北海道大学, 薬学部, 助手
  • 1997年10月 - 1998年09月
    スタンフォード大学, 化学科, 博士研究員
  • 1990年 - 1995年
    北海道大学, 薬学部, 教務職員(教育職1級文部技官)
学歴
  • 1988年04月 - 1990年03月, 北海道大学, 大学院薬学研究科, 修士課程
  • 1984年04月 - 1988年03月, 北海道大学, 薬学部
学内役職歴
  • 教育研究評議会評議員, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
  • 教育研究評議会評議員, 2017年4月1日 - 2019年3月31日
  • 教育研究評議会評議員, 2019年4月1日 - 2021年3月31日
  • 教育研究評議会評議員, 2021年4月1日 - 2023年3月31日
  • 大学院生命科学院長, 2021年4月1日 - 2023年3月31日
  • 大学院生命科学院長, 2023年4月1日 - 2025年3月31日
  • 大学院生命科学院副学院長, 2015年4月1日 - 2016年3月31日
  • 大学院生命科学院副学院長, 2016年4月1日 - 2017年3月31日
  • 大学院薬学研究院長, 2017年4月1日 - 2019年3月31日
  • 大学院薬学研究院長, 2019年4月1日 - 2021年3月31日
  • 大学院薬学研究院副研究院長, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
  • 薬学部長, 2017年4月1日 - 2019年3月31日
  • 薬学部長, 2019年4月1日 - 2021年3月31日

研究活動情報

■ 論文
■ その他活動・業績
■ 書籍等出版物
  • Nickel catalysis in organic synthesis : methods and reactions
    Ogoshi, Sensuke
    Wiley-VCH, 2020年, 9783527344079, xii, 335 p., 英語, [分担執筆]
  • 二酸化炭素を用いた化学製造技術
    杉本 裕, p132-145
    S&T出版, 2016年, 4907002548, [分担執筆]
  • 人名反応に学ぶ有機合成戦略
    富岡 清, §5, 6, 76, 98, 124, 197, 201, 230, 232, 233
    化学同人, 2006年, [共訳]
  • 有機金属反応剤ハンドブック
    玉尾 皓平, P128~
    化学同人, 2003年, [分担執筆]
■ 主な担当授業
  • 卒業研究準備実習Ⅰ, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 生命医薬科学概論, 2024年, 修士課程, 生命科学院
  • 卒業研究準備実習Ⅱ, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 先端有機金属化学特論, 2024年, 修士課程, 生命科学院
  • 薬学論文講読演習Ⅰ, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 大学院共通授業科目(一般科目):自然科学・応用科学, 2024年, 修士課程, 大学院共通科目
  • 薬学論文講読演習Ⅱ, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 有機化学Ⅳ, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 薬学論文講読演習Ⅲ, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 有機合成化学演習Ⅰ, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 薬学総合演習, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 薬学卒業研究, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 薬科学演習, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 薬科学論文講読演習, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 薬科学卒業研究, 2024年, 学士課程, 薬学部
  • 生命科学研究, 2024年, 修士課程, 生命科学院
  • 生命科学実習, 2024年, 修士課程, 生命科学院
  • 生命科学論文講読Ⅰ, 2024年, 修士課程, 生命科学院
  • 生命科学論文講読Ⅱ, 2024年, 修士課程, 生命科学院
  • 生命科学特別研究, 2024年, 博士後期課程, 生命科学院
  • 生命科学文献講読, 2024年, 博士後期課程, 生命科学院
■ 所属学協会
  • 近畿化学協会
  • 有機合成化学協会
  • American Chemical Society
  • 日本化学会
  • 日本薬学会
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • メタララクトン中間体を経由するCO2によるカルボキシル化反応の新展開
    科学研究費助成事業
    2023年04月01日 - 2026年03月31日
    佐藤 美洋
    本研究課題の目標は,CO2とアルキンやアルケンなどの多重結合を持つ化合物が金属錯体と反応し生成する「メタララクトン中間体」を経由するカルボキシル化反応に焦点を当て,これまでの研究において浮上した課題や限界を克服し,CO2を利用したカルボキシル化反応を更に深化させることである.すなわち,光によって励起されることで一電子移動(酸化・還元)を引き起こすことができる「光レドックス触媒」の特性を利用し,メタララクトン中間体の還元的開裂や官能基化の方法論の確立を目指す.メタララクトン中間体を経由するカルボキシル化反応においては,最も難しい課題は「強固な金属―酸素結合をいかに開裂させるか」であり,既存の方法ではこの反応過程で金属還元剤等の使用が必要であった.そこで,本研究課題の開始初年度である今年度は,「金属―酸素結合を金属還元剤等を使用せずに開裂できるか」に焦点を当て,メタララクトン中間体と類似の構造を持つ「オキサメタラサイクル中間体」をモデル中間体とした反応の検討を行った.その結果,Co触媒とアルキナールとの反応において,添加剤としてH2Oを加え,光レドックス触媒の一種である4czIPNの存在下,青色LEDを照射すると反応が触媒的に進行し,対応する環状アルコールが収率よく得られることを見出した.H2Oの添加によってオキサメタラサイクル中間体の金属―酸素結合が開裂できることは以前から知られていたが,この際に生成する高原子価の金属錯体を還元するために化学量論量以上の金属還元剤等の添加が必須であった.一方,我々の反応では生成した高原子価の金属錯体の還元の役割を光レドックス触媒が担うことで,化学量論量以上の金属還元剤等の添加を回避できたことは注目に値する成果である.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23K27287
  • 光学活性多置換シクロブタン及びラダラン化合物の立体選択的合成法の確立と応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2020年04月01日 - 2023年03月31日
    佐藤 美洋
    本研究課題は,創薬においてはオレフィンやベンゼンの生物学的等価体として注目されるシクロブタン化合物や,シクロブタン環が連結し「はしご状」となったラダラン(ladderane)化合物の一般的合成法を開発し,様々な光学活性多置換シクロブタン及びラダラン化合物の合成に展開可能な方法論の確立を目指している。本研究課題の2年目である2021年度は,昨年度に引き続き「Ru触媒を用いた多置換シクロブタン骨格及びラダラン骨格の構築法の展開」に焦点を当てて研究を進めた。昨年度までの検討では,官能基化の手掛かりとなる「硫黄官能基」を含有する基質によるRu触媒を用いた環化反応を行うと,これまで用いてきた炭素官能基や窒素官能基を持つ基質とは性質が異なり,中性錯体を用いた反応,カチオン性錯体を用いた反応のいずれの場合も目的とする[3]-ラダラン骨格を持つ生成物が得られるものの,構造未知の別の化合物が主生成物として得られることがわかっていた。今年度の研究において,この未知化合物の構造をX線構造解析で決定することができ,[3]-ラダランが開環した構造である二環式8員環(シクロオクタジエン)化合物が主生成物であることが明らかとなった。この化合物は恐らく,基質がRu錯体に酸化的環化付加反応を起こすときに,[3]-ラダラン構造を与える反応とは逆の面でアルケンが配位して進行したためであると考えられる。更にアルケンの配位面を変えるべく,種々のRu錯体を用いて検討を行なったが,選択性を逆転することはできなかった。そこで,基質のテザーを「ホウ素官能基」に変えた基質で同様の検討を行なったところ,後の官能基化が容易なビニルボラン構造をもつシクロブタンが合成できることが分かった。そこで,今後は更にこの反応の基質適用範囲の拡大,ホウ素官能基を持つ[3]-ラダラン骨格の構築やその後の変換反応を検討していく予定である。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 20H03360
  • 二酸化炭素を炭素資源として用いる光学活性アミノ酸類の合成
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2014年04月01日 - 2018年03月31日
    佐藤 美洋; 齋藤 望; 大西 英博; 美多 剛; 土井 良平
    本研究課題では,研究代表者がこれまで行ってきた二酸化炭素を炭素資源として有機合成化学において利用する一連の研究で浮き彫りとなった問題点を解決すべく検討を行い,(1)N-スルホニルイミンへのシリルアニオンの付加によるαーシリルスルホンアミドの不斉合成法の開発,(2)生成した光学活性αーシリルスルホンアミドと二酸化炭素との反応による不斉転写をともなう光学活性αーアミノ酸の合成,(3)ニッケル錯体を用いた分極したアルキン,イナミド及びイノールエーテルと二酸化炭素との立体選択的カルボキシル化及びロジウム触媒による不斉水素化を経由したβーアミノ酸及びβーオキシカルボン酸の合成法の開発,等を行った.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 26293001
  • ニッケル錯体によるアルケンとCO2からのアクリル酸誘導体の直接的合成法の開発と新規ナノ粒子ニッケル錯体の創製と応用
    2012年 - 2017年
    佐藤 美洋
    ニッケルはアルケン及びCO2と反応し、ニッケララクトン中間体を容易に生成します。この中間体から化学製品の原料として重要なアクリル酸誘導体を生成させることが可能であると理論的には予想されていますが実現されていません。本研究では、ニッケララクトン中間体と有機金属試薬との反応により直接アクリル酸誘導体を生成させる触媒反応の開発を目指しています。また、この反応の実用化に必須な高活性で高耐久性の金担持ナノ粒子ニッケル固相触媒の創製も目指しています。
    科学技術振興機構, 戦略的な研究開発の推進/戦略的創造研究推進事業/ACT-C, 12101702
  • C(sp3)-H結合の活性化を経るC-N結合形成反応の開発
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2013年04月01日 - 2015年03月31日
    佐藤 美洋
    本研究課題は,「C(sp3)-H結合の活性化」を経由する「C-N結合形成反応」の開発が目的である.すなわち,最近申請者らは「Rh触媒を用いたメタラサイクルの形成をきっかけとするγ位C(sp3)-H結合活性化法の開発」に成功しており,本法は位置選択的なC-H結合の活性化には通常不可欠な「配向基」が不必要な新しい形式の「C(sp3)-H結合活性化法」として大変興味が持たれている.本研究課題の最終年度である今年度は,この「γ位C(sp3)-H結合活性化法」を経由する「C-N結合形成反応」の開発を目指し,申請者らが既に開発している「チタンー窒素錯体(Ti-N錯体)」や「ジルコニウムー窒素錯体(Zr-N錯体)」を窒素源として利用した「C-H結合」の「C-N結合」への変換を検討した.その結果,残念ながらが,計画した変換反応の開発には成功しなかった.その理由として,1)Rh-C結合とTi-N結合,あるいはZr-N結合のトランスメタル化が進行しにくい,または,2)Ti-N錯体やZr-N錯体の安定性が低く,Rh触媒によるγ位C(sp3)-H結合活性化の反応条件下では分解してしまう,のいずれかの理由であると推測されるが,現在のところ不明である.そこで研究の方向性を変え,本C(sp3)-H結合活性化法の機能拡張に焦点を絞り,様々な多重結合を持つ化合物を原料として調製した「ローダサイクル」のC(sp3)-H結合活性化能を評価した.その結果,エンーイン化合物から調製した「ローダシクロペンテン」がδ位のC(sp3)-H結合を活性化できることを見出した,本反応によって,スピロ骨格を有するシクロブタン誘導体が収率よく生成する.現在は,さらに本δ位C(sp3)-H結合活性化反応の適用範囲の拡大や不斉合成への展開を図り,検討を続けているところである.
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 25105701
  • 炭素資源としての有効利用を志向した新規二酸化炭素固定化反応の開発と応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2011年04月01日 - 2014年03月31日
    佐藤 美洋
    本研究課題では,未だ開拓の余地を多く残すCO2の「求電子性」を利用した新しい反応の開発を目指し検討を行い,1)ビスメタル試薬であるシリルスタナン及びフッ化セシウムによるイミン前駆体からのα-アミノ酸誘導体のワンポット合成法の開発,2)ビスメタル試薬としてシリルボランを用いた上記ワンポット合成法の改良,3)イミンへのシリルアニオンのエナンチオ選択的付加反応を経由する光学活性α-アミノ酸誘導体の触媒的不斉合成法の開発,4)イミン前駆体のマンガンによる一電子還元を利用したα-アミノマンガン種の生成及びCO2との反応によるα-アミノ酸誘導体の合成,を達成することができた.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23390001
  • 窒素固定化プロセスを含む新規炭素―水素結合の直接的アミノ化反応の開発
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2011年04月01日 - 2013年03月31日
    佐藤 美洋
    生物活性化合物の多くは窒素原子を含み,窒素原子の存在が機能の発現に関係することから,炭素―窒素結合形成反応の開発も有機合成化学においては非常に重要である.本研究課題では,申請者らが以前見出したチタン化合物を用いた「窒素固定化反応」を,遷移金属触媒による「C-H結合活性化法」と組み合わせることにより「C-H結合の活性化」を伴う「窒素固定化反応」の開発を目指し検討を行なった.今年度の検討結果において,これまでに報告されているPd, Cu, Auなどの金属錯体による「C-H結合活性化法」と,申請者らの開発したチタン化合物を用いた「窒素固定化反応」によって生成する「チタンー窒素錯体混合物(Ti-N錯体)」とを組み合わせ種々検討したが,目的の達成は困難であった.そこでより研究の根源に立ち返り,1)新たな「C-H結合の活性化」の開発,及び2)新たな「窒素固定化反応」の開発,に焦点を絞り研究を行った.その結果,新たな「C-H結合の活性化」法として,「Rh触媒を用いたメタラサイクルの形成をきっかけとするC(sp3)-H結合活性化法の開発」及び「Ir触媒を用いたC(sp3)-H結合のシリル化を経由する直接的カルボキシル化」の二つの新規反応を開発することができた.一方,新たな「窒素固定化反応」に関して,Ti錯体と同族のZr錯体がTiと同等以上の「窒素固定化能」を持つことを見出しすことができた.Zi(IV)錯体はTi(IV)錯体よりもルイス酸性が低いため空気中で取り扱いやすく、またより穏やかな条件で窒素固定化反応が進むこと,及び同族ではあるがTiより後周期に属するZrの方が他の金属試薬とのトランスメタル化能力が高い可能性もあり,その性質に大変興味が持たれる.
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 北海道大学, 23105501
  • 遷移金属触媒による多重結合のビスメタル化を利用した環状化合物の不斉合成法の開発
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2008年 - 2009年
    齋藤 望; 佐藤 美洋
    金属-金属結合を有するバイメタリックな化合物は遷移金属錯体によって活性化され多重結合へ付加し、新たに炭素-金属結合を含む化合物を与える(ビスメタル化反応)。本研究課題はこのビスメタル化反応を機軸とする環状化合物の効率的な不斉合成反応を新たに開発することを目的とする。平成20年度においては、1,3-ジエン、ケトン及び有機ホウ素化合物または有機ケイ素化合物との立体選択的三成分連結反応の検討を進めた。そこで得られた知見を基に、平成21年度は、典型元素どうしの結合を有するバイメタリックな試薬を用いて新たな多成分カップリングの開発を目指すことにした。まず、ケイ素-スズ結合を有する(trimethylsilyl)tributylystannaneを用いて種々検討を行ったが、目的とする三成分連結体は得られなかった。一方、ホウ素-ケイ素結合を持つdimethylphenylsilyl(pinacolato)boraneをカップリングパートナーとして用いたところ、反応は円滑に進行し、3位にジメチルフェニルシリル基を持つpent-4-en-1-ol誘導体が単一立体異性体として生成した。立体化学を決定したところ、1位の水酸基と3位のシリル基はsynの関係に完全に制御されていることが分かった。本反応は様々な基質を用いても収率良く進行し、脂肪族及び芳香族アルデヒドのいずれを用いた場合でも対応するカップリング体がsyn選択的に生成する。また、内部ジエンを用いた場合、1、2及び3位の連続する不斉中心の立体異性が制御された三成分連結体が収率良く生成することも明らかとなった。また、導入されたシリル基は玉尾-Fleming酸化によって容易に水酸基へと変換できることも分かった。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 20036005
  • ワンポット多段階反応の開発を志向した協奏機能触媒反応の開発
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2008年 - 2009年
    佐藤 美洋
    アルキンの[2+2+2]環化付加反応は,三つの炭素-炭素結合の形成を経て一挙に芳香環を構築する反応であり、特に近年、反応基質としてアラインを利用した反応が報告されている。一方、アラインの含窒素類縁体であるピリダインの有機合成における利用はDiels-Alder反応などに限られており、[2+2+2]環化付加反応に用いられた例は全く報告されていない。今年度の研究において我々は、アルキンとピリダイン間の[2+2+2]環化付加反応の開発に成功した。すなわち、オルト位にシリル基を持つピリジルトリフラートにCsFを作用させることで系内で生成させた3,4-ピリダインとジインとの[2+2+2]環化付加反応がニッケル触媒を用いると非常に穏和な条件下で進行することを見出し、種々のジインと置換基を持つ3,4-ピリダイン前駆体との反応により、対応するイソキノリン誘導体が良好な収率で生成することを明らかとした。本反応は分子内反応にも適用でき、イソキノリン構造を含む4環式複素環を一挙に合成することも可能であった。2分子のアルキンと3,4-ピリダインの分子間[2+2+2]環化付加反応は、位置選択性の制御やアルキン自身の[2+2+2]環化付加反応の抑制などが必要となり、反応としてより難易度が高い。我々は、プロパルギル位に酸素官能基を持つ1,3-ジインが良好な反応性を有することを見出した。すなわち、プロパルギル位に酸素官能基を持っ1,3-ジインを基質とした反応においては、非対称アルキンを用いているにもかかわらず[2+2+2]環化付加反応は完全に位置選択的に進行し、酸素官能基を持つ置換基が5位及び8位,他の置換基が6位及び7位に配向されたイソキノリン誘導体のみが生成することを見出した。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 20037002
  • イミダゾリウム塩から派生する化学種の特性を利用した新しい反応の開発と応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2007年 - 2009年
    佐藤 美洋; 大西 英博
    本研究は,「共通の前駆体」であるイミダゾリウム塩から派生する「化学種」であるにも拘わらず,これまで別個に研究されてきた二つの化学種,「含窒素ヘテロ環カルベン(NHC)」と「イオン液体(IL)」のインターフェースにあたる部分の化学に焦点を絞ったものである.その結果,配位子としてのNHCの特徴を生かしたいくつかの新たな反応の開発に成功し,更にILの機能を利用した新たな「触媒リサイクル型反応」を開発することができた.
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 19390001
  • 遷移金属錯体による多重結合のビスメタル化を機軸とした新規触媒的不斉環化反応の開発
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2007年 - 2007年
    齋藤 望; 佐藤 美洋
    金属-金属結合を有するバイメタリックな化合物は遷移金属錯体によって活性化され多重結合へ付加し、新たに炭素-金属結合を含む化合物を与える(ビスメタル化反応)。本研究課題はこのビスメタル化反応を機軸とする環状化合物の効率的な不斉合成反応を新たに開発することを目的とする。その開発研究を進めるに辺り、当該年度はニッケル触媒による1,3-ジエンとアルデヒドとのカップリグ反応に、有機ボロン酸や有機ケイ素化合物を用いだ三成分縮合反応の検討を行った。(E)-1-[4-(methoxymethyoxy) methylphenyl]buta-1,3-diene、アニスアルデヒドおよびフェニルボロン酸をニッケル-トリフェニルホスフィン錯体存在下、CPME中で反応させたところ、1,3-シンの関係に立体化学が制御された(1S^*, 3R^*,E)-5-[4-(methoxymethoxy) methylphenyl]-1-(4-methoxyphenyl)-3-phenylpent-4-en-1-olが収率良く生成した。さらにこの反応の適用範囲の拡大を目指し検討を行ったところ、様々な基質においてもシン体の化合物のみが生成することが明らかとなった。一方、フェニルボロン酸の代わりに2-(diphenylsilyl) phenylmethanolをトランスメタル化として用い、1,3-bis(2,4,6-trimethylphenyl) imidazoium配位子及び炭酸セシウム存在下で反応を行ったところ、1,3-アンチの立体化学を有する三成分カップリング体が収率良く得られることが分かった。またこのケイ素試薬を用いた反応においては、試薬の滴下速度が収率に大きく影響することがわかり、また様々な基質に適用可能であった。以上の結果より、ニッケルーホウ素、ニッケル-ケイ素間での元素相乗作用の違いによって反応経路が変化することが明らかとなった。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 19027005
  • 多機能分子の特性を活用した協奏機能触媒反応の開発
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2007年 - 2007年
    佐藤 美洋
    一つのフラスコ中でいくつかの反応が一挙に進行する多段階反応は,省資源化へとつながり次世代の「環境調和型分子変換プロセスの開発」という観点からも注目されている.遷移金属触媒を用いてこのような多段階反応を実現するためには,1)一種類の触媒によって複数の反応を進行させ得る「多機能触媒」の創製,あるいは,2)複数の触媒が互いの機能を損なわずに共存し得る反応系の開拓,が必須である.本研究課題では,上記1)の実現を目指し,多機能分子である含窒素ヘテロ環カルベン(NHC)の利用に焦点をあて研究を進めた.MHCは,カルボニル化合物を反応し極性転換を引き起こす「有機分子触媒」としての機能と,遷移金属触媒に配位する、「配位子」としての機能を併せ持つ.そこで本年度の研究として,これらの機能を活用した「極性転換型辻-Trost反応」や「一酸化炭素挿入反応-Stetter反応カスケード」などの検討を行った.NHC前駆体として種々のイミダゾリウム塩を合成し上記の二つの反応系での利用を試みたが,現在までのところ,「有機分子触媒」としての機能と「配位子」としての機能を併せ持つNHC分子の創出には至っていない.今後は更に様々なイミダゾリウム塩,及びその類縁体であるトリアゾリウム塩やチアゾリウム塩を合成し,更に上記の二つの反応系において機能を検討していきたい.また,上記2)の「複数触媒共存系」の開発にも着手したいと考えている.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 19028001
  • カスケード型環化反応を基盤とした多環式化合物の効率的合成法の開発とその応用
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2006年 - 2007年
    佐藤 美洋; 大西 英博
    ワンポットで多段階の反応が準行する「カスケード型反応」は,省資源化へとつながるため,次世代の「環境調和型分子変換プロセスの開発」という観点からも注目されており,現在精力的に研究が行われている分野である.本研究課題の目的は,遷移金属触媒によって進行する反応を組み合わせ,多環式化合物の合成にも適用でき得る「カスケード型反応」の開発及びその応用研究である.本年度は特に,地球温暖化の抑制という観点からも興味深い,「二酸化炭素の固定化」を伴う環化-カルボキシル化反応の開発に焦点を当て研究を行ったところ,ニッケル触媒を用いると,エニンのアルケン上に電子求引性基を持たせた基質において環化-カルボキシル化反応が効率よく進行することを見出した.この環化-カルボキシル化反応は幅広い応用性を有し,pyrrolizidine, indolizidine,及びquinolizidine骨格の構築にも適用可能であった.更に,本環化-カルボキシル化反応を利用し,インドールアルカロイドの一種である(-)-corynantheidineの全合成にも成功した.自然界では植物のみが二酸化炭素を光合成によって消費しており,人類を含む他のすべての動物は呼吸により二酸化炭素を産出している.特に人類は,その社会活動・経済活動によってもより多くの二酸化炭素を産出しており,地球温暖化の抑制のためには二酸化炭素を消費するプロセスの確立が重要である.本研究では,ニッケル触媒を用いることにより二酸化炭素を消費しつつ有用な化合物の合成に成功したことになり,地球温暖化対策の第一ステップとしても意義深いと考える.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 18032003
  • 歪んだ構造を持つアルキンを基質とした遷移金属触媒による新しい反応の開発と応用
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2005年 - 2006年
    佐藤 美洋
    本研究では,ベンザイン誘導体及びその類縁体の一つである3,4-ピリダイン誘導体の10族遷移金属触媒を用いた[2+2+2]共環化反応における反応性の検討並びにアルキンとしての反応性の検討を行い,以下の成果を得た.
    (1)Pd触媒を用いたペンザイン誘導体の[2+2+2]共環化反応によるポドフィロトキシン類縁体の合成
    研究代表者のグループでは既に,Pd触媒を用いたペンザイン誘導体の[2+2+2]環化反応を鍵工程としたアリールナフタレン類天然物,TaiwaninC及びEの全合成に成功し報告している.そこで,この反応の適用範囲の拡大を目指し,様々なジインとペンザイン誘導体の反応を検討し,1)ジインのアリール置換基上の官能基として電子求引基及び供与基のいずれも適用可能であること,2)アリールーアリール軸周りが立体的に最も混み合っている2,2',6,6'-テトラ置換ビアリール化合物の合成にも本法が適用可能であることが分かった.
    (2)Ni触媒を用いた3,4-ピリダイン誘導体の[2+2+2]共環化反応の開発
    上記(1)のペンザイン誘導体とは異なり,含窒素類縁体であるピリダイン誘導体の[2+2+2]共環化反応はこれまで全く報告されていない.研究代表者のグループでは今回初めて,Ni触媒を用いると3,4-ピリダインの[2+2+2]共環化反応が進行し,イソキノリン誘導体が生成することを見出した.更に,様々な3,4-ピリダイン前駆体を合成し反応の検討を行ったところ,ピリジン核上に電子供与性置換基を持つ前駆体でも本反応が進行するのに対し,電子求引性置換基を持つ前駆体では副反応が起こり,著しい収率の低下が起こることを見出した.また,アルキンとしてアセチレンガスが利用可能であることが分かった.
    (3)ペンザイン誘導体とアリルシランとのカップリング反応の開発
    酢酸アリル部とアリルシラン部を併せ持つ化合物は,Pd触媒存在下トリメチレンメタン様活性種へと変換されることが既にTrostらにより報告されている.トリメチレンメタンは求核性部位と求電子性部位を併せ持つため,ペンザインとの[3+2]型環化反応の進行が期待された.そこでPd触媒存在下,酢酸アリル部とアリルシラン部を併せ持つ化合物とベンザイン前駆体との反応を試みたが,反応は全く進行しなかった.一方,塩化アリル部とアリルシラン部を併せ持つ化合物との反応を試みたところ,アリルシラン部との反応のみが進行し立体選択的にZ-ビニルシランが生成した.塩化アリル部を持たない単純なアリルシラン誘導体でも本反応は進行し,またPd触媒を添加せずとも進行することが分かった.本反応は新たな立体選択的なビニルシラン誘導体の合成法へと展開が可能であると考えられ,今後は更に反応機構の解明と適用範囲の拡大を検討する予定である.
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 17590001
  • Ni錯体による二酸化炭素固定化反応を基盤とする多成分付加型環化反応の開発
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2005年 - 2005年
    瀧本 真徳; 佐藤 美洋
    本研究課題においては、精密有機合成への展開を志向したニッケル錯体による多成分付加型二酸化炭素固定化反応の開発を目指し研究を行った結果以下のような研究成果が得られた。
    1.アレニルアルデヒドへの二酸化炭素固定化-環化反応の開発
    我々が既に報告しているアレンへの二酸化炭素固定化反応を分子内カルボキシル化-環化反応へと展開した。即ち、分子内にアレンとアルデヒドの双方を有するアレニルアルデヒドに対し、TMEDAを配位子として用い、化学量論両の0価ニッケル錯体存在下、1気圧の二酸化炭素を反応させると、アレン部位への二酸化炭素固定化によるアリルニッケル種生成と、アリルニッケル種の分子内アルデヒドへの求核付加が連続して進行し、環化体が好収率で得られた。本反応は複素環構築反応への適用も可能であった。
    2.新規多成分付加型二酸化炭素固定化反応の開発
    分子内に二置換アルキンと電子不足アルケンを持つエニンをニッケル錯体及びDBU存在下、1気圧の二酸化炭素と反応させると環化とカルボキシル化反応が同時に進行することを見出した。本反応は多環式複素環構築にも展開可能であり、現在、多環式天然物の合成を検討中である。また、これら環化反応の開発と平行し、1,2-ジエンにケイ素置換基が付いたシリルアレンへの二酸化炭素固定化反応を検討した結果、シリルアレンをDBU、ジメチル亜鉛及び触媒量のニッケル錯体存在下二酸化炭素と反応させると、二分子の二酸化炭素が一挙に付加する触媒的ダブルカルボキシル化反応が進行することを見出した。さらに、本反応をRas FPTase阻害活性を持つ天然物chaetomellic acid A anhydrideの短工程全合成に展開することができた。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 独立行政法人理化学研究所, 17035003
  • 新規イオン性液体の創製と触媒リサイクル型有機金属錯体反応への応用
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2004年 - 2005年
    佐藤 美洋
    1992年,Wilkesによって見出された「イミダゾリウム塩系イオン性液体」(以下ILと略す)は,1)蒸気圧がほぼ0である,2)それ自身が分子内に電荷を持っているため様々な物質(特に電荷を持つ化合物)の溶解性が極めて高い,3)母核や置換基の合成が比較的容易である,4)化学的に安定で水や有機溶媒とも混じりにくいため分離,回収が容易である,などの特徴を持つ.従って,このIL中での反応では,反応終了後に有機溶媒や水で抽出するだけで生成物や副産物を除くことが原理的には可能であり,再利用可能な「次世代の環境調和型媒体」として大きな注目を集めている.我々はこのような観点から検討を行い,以下の成果を得ることが出来た.
    (1)ニッケル触媒による1,3-ジエンとアルデヒドとの立体選択的カップリング反応
    ニッケル触媒による1,3-ジエンとアルデヒドとのカップリング反応がIL中でも立体選択的に進行し,ホスフィン系配位子を用いた場合にはE-オレフィンを持つカップリング体が,またNHC配位子を用いた場合にはZ-オレフィンを持つカップリング体が得られることを明らかにした。
    (2)ロジウムカチオン錯体を用いた4-アルケナールのヒドロアシル化反応の検討
    ロジウムカチオン錯体によって進行する4-アルケナールのヒドロアシル化反応が,IL中でも進行し,高収率でシクロペンタノン誘導体を与えることを見いだした.また,ロジウムカチオン錯体は,その電荷のためIL中に留まりやすく,そのままの形で触媒リサイクル型反応へと展開できることも明らかにした.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 16033203
  • カルベン配位子の特性を利用した新規反応の開発と不斉合成への応用
    科学研究費助成事業 若手研究(A)
    2002年 - 2004年
    佐藤 美洋
    我々はこれまで含窒素ヘテロ環カルベン(NHC)の配位子としての機能に興味を持ち研究を展開し,NHCが様々な反応においてホスフィン配位子とは異なる反応性や立体選択性を示すことを見い出してきた.その中の一つに,ニッケル触媒によって進行する1,3-ジエンとアルデヒドとの分子間カップリング反応が挙げられる.この反応ではトリアルキルシラン存在下,配位子としてPPh_3を用いると立体選択的E-オレフィンをもつカップリング体が生成するが,NHC配位子を用いると反応はZ-選択的に進行し,Z-オレフィンをもつカップリング体が生成する.ところで光学活性NHC配位子を用いた「触媒的不斉合成」に関する研究例は極めて少なく,大変興味が持たれる.そこで本研究課題では,光学活性NHC配位子を用いた上記の反応の不斉反応への展開を検討した.Et_3SiH存在下,20mol%のNi(cod)_2に対し,配位子として1,3-bis[(1S)-phenylethyl]imidazoyl-2-ylideneを用い反応を行ったところ,反応はZ-選択的に進行した.また,この時カップリング体の鏡像異性体過剰率は28%eeを示した.一方,このNHC配位子と共通の不斉環境を有していると考えられる還元型の1,3-bis[(1S)-phenylethyl]-4,5-dihydroimidazoyl-2-ylideneを用い反応を行ったところ,Z-選択性は大きく低下した.これらの反応の錯体調製時には,imidazolium塩またはimidazolinium塩を前駆体として用い,対応するカルベンを調製している.従って,還元型NHCの場合はimidazolinium塩の酸性度が低いため,系内で十分にカルベンが発生せずZ-選択性の低下を招いたと考えられた.そこで錯体調製条件を種々検討したところ,imidazolinium塩から調製した還元型NHCにおいてもZ-選択的なカップリング反応を実現することが出来た.今後更に,新たな光学活性NHCの創製により鏡像異性体過剰率の向上を目指すと共に,他の反応への応用を展開したい.
    日本学術振興会, 若手研究(A), 北海道大学, 14703031
  • イミダゾリウム塩系イオン性液体を反応場とした遷移金属触媒による反応の検討
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2003年 - 2003年
    佐藤 美洋
    近年,イミダゾリウム塩系イオン性液体中での有機金属錯体反応が多く報告されるようになってきた.これらの反応ではイオン性液体は単に溶媒として働いているのではなくこのイオン性液体から、含窒素ヘテロ環カルベンが生成し,金属錯体の配位子として働いている可能性が指摘されている.我々は,機能を持った新しいイオン性液体の創製を目指し,配位子としての含窒素ヘテロ環カルベンに着目し研究を行ってきた.すなわち,「これまでにない立体選択性や反応経路」といった現象を見いだすことを目標にまず含窒素ヘテロ環カルベンを配位子として用いた反応の探索を行ない,望みのカルベン配位子を見いだせたならば,その前駆体のイミダゾリウム塩に遡り、対陰イオンの交換を行うことにより新しい反応性や高立体選択性を持つ「イオン性液体」が創製できるのではないかと考えている.本研究課題の初年度である本年度は以下の二つの反応を検討した.
    1)Ni触媒によるシラジエンとアルデヒドとのヒドロシラン存在下のカップリング反応
    Ni触媒を用い,ヒドロシラン存在下,1-dimethylphenylsilyl-1,3-butadieneと種々のアルデヒドとのカップリング反応において,配位子としてトリフェニルホスフィンを用いると,立体選択的にE-アリルシラン誘導体が生成するのに対し,含窒素ヘテロ環カルベンを配位子として用いると立体選択性が劇的に変化し,Z-アリルシランのみが生成することを見いだした.本反応では,配位子を換えるだけで同じ基質からE-,Z-アリルシランの作り分けが可能となり,アリルシラン誘導体の新しい立体選択的合成法となり得る.
    2)Pd触媒を用いたエニンのシリルスタニル化を伴う環化反応
    Pd触媒存在下,trimethylsilyltoributylstannane(以下シリルスタナンと略す)とエニンとの反応では,Pd触媒として不均一系触媒であるPd-CやPd(OH)_2を用いるとシリルスタニル化を伴う環化反応が進行するのに対し,均一系触媒にリン配位子を添加した触媒系ではアルキン部のシリルスタニル化のみが進行するため,これまで均一系触媒を用いることはできなかった.一方,含窒素ヘテロ環カルベンを配位子として用いると,均一系Pd触媒を用いてもシリルスタニル化を伴う環化反応が進行することを見いだした.
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 15036204
  • オキサニッケラサイクルへのトランスメタル化を利用したヘテロ環の合成
    科学研究費助成事業 特定領域研究
    2001年 - 2003年
    森 美和子; 佐藤 美洋
    我々はこれまで3置換基オレフィンの合成について検討を加えてきた。更にその反応を利用してerythrocarineの合成にも成功した。それと並行して4置換オレフィンの合成にも検討を加えてきた。4置換オレフィンを合成するにあたっては位置選択性が非常に大きな問題となる。我々は末端にMe_3Si基をもつアルキンに対して本反応を検討することにした。末端にTMS基を持つアルキンを量論量のNi(cod)_2および2当量のDBUとともに常圧のCO_2雰囲気下撹拌し、その後亜鉛試薬を加えることによって4置換アルケンを合成することが出来る。その結果TMS基の影響でオキサニッケラサイクルの形成にかなり位置選択性が出ることが分かった。この反応の研究途上、本反応を触媒化することに成功した。我々は量論量のニッケル錯体を用いてきたが機構的にはニッケルは零化に戻るので触媒反応は成立すると思われてきた。しかし触媒量のニッケル錯体を用いて本反応を行うとほとんど反応は進行しない。種々考察した結果ニッケル錯体の配位子としてDBUを用いてきたが、DBUは亜鉛試薬にも配位するためではないかと思われた。そこで大過剰のDBU存在下10mol%のNi(cod)_2を用いたところ比較的良い収率で目的とする4置換オレフィンを合成することが出来た。更に興味深いことに用いた生成物を精査した結果、量論反応と触媒反応では異なる機構によって反応が進行しているように見えることである。この機構を解明すべく癌剤研究を行っている。本反応の適用範囲について検討を加え、早急にまとめて論文にしたい。
    日本学術振興会, 特定領域研究, 北海道大学, 13029004
  • 新規含窒素ヘテロ環カルベン型配位子の創製及び触媒的不斉合成への応用
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    2000年 - 2001年
    佐藤 美洋
    本研究課題の初年度であった昨年度は,imidazol-2-ylidene(以下,カルベン配位子と記す)を持つ0価ニッケル錯体の調製法の開発に成功し,ニッケル-カルベン錯体を用いたシラン存在下の1,3-ジエンとアルデヒドとの分子間カップリング反応の開発に成功した.本反応ではこれまで検討してきたニッケル-ホスフィン錯体を用いた反応とは全く異なる立体選択性を示し,Z-配置のオレフィンを有するホモアリルアルコールが立体選択的に生成することが分かった.本結果は,カルベン配位子がホスフィン配位子と全く異なる反応性を示すことを意味している.そこで引き続き本年度は,新しい配位子であるカルベン配位子の特性を明らかにすべく,ニッケルと同族の10属元素であるパラジウム-カルベン錯体に焦点を絞り検討を行った.その結果,パラジウム-カルベン錯体を用いた,1)π-アリルパラジウム中間体を経由する辻-Trost反応の開発,2)シリルスタナンを用いたエニンのビスメタル化反応の開発,に成功した.1)の辻-Trost反応ではimidazol-2-ylidene骨格の窒素上の置換基が重要であり,立体的に嵩高いアリール基を持つカルベン配位子を用いた場合に収率良く生成物を与えた.また2)の反応ではイミダゾールの部分還元体のイミダゾリニウム塩から調製したimidazolidin-2-ylideneを用いた場合に反応速度は最も加速され,収率良くビスメタル化された閉環体を与えることが明らかとなった.これらの反応においてカルベン配位子を用いた反応例は全く報告されておらず非常に興味が持たれる.現在,光学活性イミダゾリウム塩,及びイミダゾリニウム塩を種々合成し,1)及び2)の反応の触媒的不斉反応への展開を試みており,予備的実験結果ながら生成物が光学活性体として生成するという知見も得られており,今後更に継続して活発に検討を行っていきたい.
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 12771343
  • 硅素―ジルコニウム結合を持つ有機金属錯体の有機合成への利用
    科学研究費助成事業 特定領域研究(A)
    1999年 - 1999年
    森 美和子; 佐藤 美洋
    我々はこれまで金属―金属結合を持つ化合物の結合間の反応性に興味を持ちその有機合成への利用を目的として研究を続けてきた。昨年ケイ素―ジルコニウム結合の反応性に興味を持ち、研究を行ったところ極めて興味あることに、ジルコニウム―シレン錯体が形成していることがわかった。本年はその利用を考え、ジルコニウム―シレン錯体とジアリールアルキンから導かれるシラジルコナシクロペンテンの反応性について検討を加えた。まずtBuNCとの反応を試みEt_2O-HCIで後処理をさせたところイミノジルコニウム錯体が収率良く得られた。この構造はX線によって決定された。又その生成過程を^1H NMRによって追跡したところイミノシラジルコナシクロヘキセンの生成を確認することが出来た。一方イソニトルと等電子構造を持つ一酸化炭素を挿入させたところ予想外に転位を伴いシリスメチルケトン体が得られた。この結果は中間に生成するジルコニウム錯体に対して窒素又は酸素が強く配位するものと思われるが、酸素の強い配位力が転位をひき起こしたものと考えている。又シラジルコナシクロペンテンにCuCI_2を用いトランスメタル化を試み二個のアリル基が導入できることがわかった。この化合物に対してオレフィンメタセシスを試みケイ素を含む8員環化合物を合成することが出来た。
    日本学術振興会, 特定領域研究(A), 北海道大学, 11120203
  • Pd触媒による不斉合成を鍵段階とする種々のアルカロイドの合成
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    1997年 - 1999年
    森 美和子; 佐藤 美洋; 西田 まゆみ
    我々はこれまで2位に置換基を持つシクロヘキセノール誘導体に対して光学活性な配位子を持つパラジウム錯体を反応させることにより、π-アリルパラジウム錯体を形成させ、求核剤を攻撃させることによる不斉合成を検討してきた。その結果2位にアリール基を持つ場合高い鏡像異性体過剰率を持つシクロヘキセノール誘導体の得られることが分かり、これを出発原料として(+)-crinamine,(-)-Haemanthidine,(+)-Pretazetineの全合成に成功した。又その過程で中間体であるp-アリルパラジウム錯体を合成しX線によってその構造を確認した。次に2位に様々な置換基を持つシクロヘキセノール誘導体について不斉合成を検討した。その結果2位にシリルオキシメチル基を持つ場合比較的良い収率(80%,84%ee)で求核剤としてアニリン誘導体を導入することが出来た。そこでこの化合物から光学活性なStrychnineを合成する計画を立て、オルト位にブロム基を持つアニリン誘導体を求核剤として用いたところ同様の収率で目的とする化合物が得られた。この化合物をstrychnineを合成する上で重要な中間体となるであろう4環性化合物に導いた。この化合物はstrychnineを合成する上で極めて重要な中間体と考えられ、現在その全合成を行っている。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 09470478
  • 硅素-金属結合を持つ有機金属錯体の有機合成化学への利用
    科学研究費助成事業 重点領域研究
    1997年 - 1997年
    森 美和子; 佐藤 美洋
    本年度は我々はSi-Zr結合をもつ化合物の反応性に付いて検討を加えた。我々は既にこの結合間にイソニトリルを挿入させシラジルコナシクロペンテンを生成させるルートを確立している。そこでこのSi-Zr結合間にアルキンを挿入させることにした。これまでSi-Zr結合間にアルキンの挿入した例は知られていない。ジフェニルアセチレンの存在下THF中Cp_2ZrCl_2と2等量のMe_2PhSiLiを反応させ40°Cに加熱したところVinylsilaneが58%の収率で得られた。しかしながら本反応の後処理をD_2Oで行うと2個のDの入った化合物が得られる。一方アルキンとして3-ヘキシンを用いると予想外にAllylsilaneが24%の収率で得られた。又この反応の後処理をD_2Oで行ったところやはり2個のDの入った化合物が得られた。以上の結果から我々はCp_2ZrCl_2と2等量のMe_2PhSiLiからジシリルジルコニウム錯体が生成しその後β位の水素が引き抜かれてジルコニウム-シレン錯体を形成し、そこにアルキンが挿入したと考えた。一般にシリル-炭素間に二重結合をもつシレンは非常に不安定で取り出すことが出来ず、これまでシレンの生成は金属との錯体の形成によって知られているのみである。又その反応性については殆ど研究がなされていない。前周期のジルコニウム-シレン錯体の形成はこれまで全く知られていず本結果は極めて興味がもたれる。今回得られた結果はシリル基上のメチル基を活性化し得ることを意味しこれらについて今後検討を続けていきたい。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 北海道大学, 09239203
  • 動的速度論的分割過程を経由した含窒素複素環化合物の新規触媒的不斉合成法の開発
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1996年 - 1996年
    佐藤 美洋
    申請者らが開発したニッケル触媒による1,3-ジエンとアルデヒドとの分子内環化反応が含窒素複素環構築に適用可能かを確認すべく、先ず始めにピロリチジン、インドリチジン骨格合成への応用を検討した。(S)-ピログルタミン酸から容易に光学活性体として合成できる(5S)-5-formyl-1-[(2E)-2,4-pentadienyl]-2-pyrrolidinone(1)を基質とし、20mol%のNi(cod)_2、40mol%のPPh_3を触媒として用い、5当量のEt_3SiHをヒドリド源としてtoluene中、室温にて反応を行ったところ、(3R,4R,5S)-1-aza-3-[(E)-1-propenyl]-4-triethylsilyloxybucyclo[3.3.0]-octane-8-one(2)を49%、2のジアステレオマ-の(3S,4S,5S)体(3)を15%の収率で得た。2、3を対応するbenzoateへと導きHPLCにてその鏡像異性体過剰率を求めたところ、それぞれ97% ee、96% eeを示し、本閉環反応において基質の光学純度を保持して反応が進行していることがわかった。また、ヒドリド源としてPh_3SiHを用いたところ閉環反応の立体選択性は向上し、2が73%、3が8%の収率で得られた。次にインドリチジン骨格の合成への応用を検討した。基質として(5S)-5-(1,3-butadienyl)-1-(3-formylethyl)-2-pyrrolidinone(4)を用い、同様の条件下反応を行ったところ(7R,8S,8aS)1-8-[(E)-1-propenyl]-7- triethylsilyloxyindolizidin-3-one(5)を40%、5のジアステレオマ-の(7S,8S,8aS)体(6)を38%の収率で得た。4を一炭素増炭した(5S)-1-(2-formylethyl)-5-(1,3-pentadienyl)-2-pyrrolizidinone (7)を基質とした反応では、(7R,8S,8aS)-8-[(E)-1-butenyl]-7-triethylsilyloxyindolizidin-3-one(8)及び(7S,8S,8aS)体(9)をそれぞれ36%、37%の収率で与えた。9は光延反応により8へと収率良く変換でき、8からインドリチジンアルカロイドの一種、(-)-Elaeokanine Cの形式的全合成に成功した。本結果から申請者らは天然型の(-)-Elaeokanine Cを合成できる経路を初めて開発できたことになる。これらの成果を基に現在、最終目的である動的速度論的分割によるピロリチジン及びインドリチジン骨格の触媒的不斉合成を検討中である。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 08772006
  • Me_3SiSnBu_3-F^-から生じたBu_3Sn^-の有機合成への利用-ベンザイン、キノジメタン、カルベン等の生成及びその反応-
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    1994年 - 1996年
    森 美和子; 佐藤 美洋
    我々はMe_3SiSnBu_3をF^-とDMF中反応させるとBu_3Snアニオンの生成することを見い出しこれを有機合成化学に利用することをこれまで行ってきた。既に幾つかの環化反応の開発、不活性中間体であるアリールアニオンやベンザイン、カルベン、オルトキノジメタンの生成及びその反応について報告してきた。今回Methylpropiolateを1当量のMe_3SiSnBu_3-F^-と反応させると予期せぬことにmethyl bistributyIstannyl propionate(2)が49%の収率で得られ2当量の試薬を用いると定量的に2が得られた。我々は2がC-3 unitを伸長するための良い試薬になるのではないかと考えて2をアルコールに導きMOM基で保護した化合物3を用いて種々検討を加えたところ、非常に効率良くアルデヒド、ケトン、エステル、ハロゲン化アルキルに対してC-3 unitを伸張させることが出来た。一方2をLDAで処理し、HMPA存在下アルデヒドを加えると高い立体選択性で付加体が得られる。この化合物はスズから見てγ位にOH基を持つことになる。そこでOH基を適当な脱離基に変換し、1,3-脱離を行ったところ高い立体選択性で3員環化合物が得られた。この化合物はもうひとつのBuSn_3基を持っておりそれを更に官能基に変えることも可能となった。以上のように今回我々が得たmethyl bistributylstannyl propionate(2)は、有機合成化学にとって非常に興味の持たれる化合物である。この化合物の更なる応用について現在検討中である。又、halogen-metal exchange reactionを利用して環拡大反応を行い8員環化合物を立体特異的に合成することにも成功した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 06453185
  • メタセシスの機能を持つカルベン錯体の合成及び反応性
    科学研究費助成事業 重点領域研究
    1995年 - 1995年
    森 美和子; 佐藤 美洋
    1.-カルベン錯体の合成及び反応
    Fischer型のCrカルベン錯体は非常に活性であり、アルキンとの反応では中間にビニルカルベン錯体を生成するが、これはビニケテンル錯体との平衡関係にあることが知られている。そこでCrカルベン錯体と分子内にアルコール、アミンを持つアルキンとの反応を試みたところα位に側鎖を持つクラトンやラクタムが高い収率で合成できることを見い出した。本反応では溶媒の効果を受け、CH_3CNが最も良い結果を与えた。特に4員環ラクトンや、4員環ラクタム、7、8員環ラクタムが得られた事は極めて興味がもたれる。これらの結果はアルキンの両末端に二このカルベン炭素を導入しつつラクトン環、やラクタム環を生成したことになる。本反応を利用して(S)-ethyl lactateから(+)-Blestmycinone及び(+)-antimycinoneの合成を試みたころ極めて短工程でこれらの天然物を合成することが出来た。
    2.Ru触媒を用いるEnyneメタセシス
    既に我々はRu触媒によるEnyneメタセシスを用いてヘテロ環の合成できることを報告した。本年は有用な生理活性を持つ七員環ラクタムを持つ(-)-Stemoamideの合成に本反応を利用することを試みたところ、その基本骨格の合成には成功した。現在官能基変換を検討している。又、エニンメタセシスを利用することによって8員環ラクタムの合成を試みたところ収率には問題を残す目的物は得られた。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 北海道大学, 07216203
  • エナンチオ場選択的酸化付加を基盤としたシクロヘプテン誘導体の触媒的不斉合成
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1995年 - 1995年
    佐藤 美洋
    シクロヘプテン誘導体の触媒的不斉合成を達成するために、先ず最も簡単な基質である3,7-diacetoxy-1-cyclohepteneのコンピューターを用いた配座解析を行った。その結果、MM2を用いた分子力場計算及びMOPACを用いた分子軌道計算に基づいたheat of formationのいずれも、アセトキシ基がオレフィンのp軌道と平行でありPd触媒に対して酸化的付加可能なpseudo-axial体が、最安定配座であるpseudo-equatorial体に対し1kcal/mol以内の範囲に存在することがわかった。そこでPd(OAc)_2(3mol%)存在下、光学活性配位子として(S)-BINAPO(6mol%)、塩基としてNaHを用い、3,7-dibenzoxy-1-cyclohepteneとdimethylmalonateをアセトニトリル中、-10℃で反応させたところ目的とする6位に求核剤が導入されたシクロヘプテン誘導体が収率40%、鏡像異性体過剰率24%eeで得られた。そこで更に、5位に置換基を導入した5-(di-tert-butyldimethylsilyloxy)-3,7-dibenzoxy-1-cyclohepteneを用い同様の条件で反応を行ったところ、目的とする6位に求核剤が導入されたシクロヘプテン誘導体が19%、80%eeで得られたのに対し、2位に求核剤が導入されたシクロヘプテン誘導体が53%、32%eeと主成績体として得られた。そこで求核剤をより立体的に崇高いdimethyl2-(1-propenyl)malonateに換え検討したところ、目的とする6位に求核剤が導入されたシクロヘプテン誘導体2のみを80%、60%eeで得ることに成功した。2は更に、oppolzerらの条件に従いPd触媒を用いene反応により2環式化合物であるbicyclo[5.3.0]decane誘導体3へと収率良く変換できた。現在、3を天然物である(-)-Clavukerin A及びCへの変換を検討中である。本研究により、これまで光学活性体での合成が困難であった7員環化合物及びbicyclo[5.3.0]decane誘導体の触媒的不斉合成法を開発できたことになり、極めて興味深い結果を得ることができた。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 07772080
  • メタセシスの機能を持つ六族(Cr,Mo,W) カルベン,カルビン錯体の合成及び反応
    科学研究費助成事業 重点領域研究
    1994年 - 1994年
    森 美和子; 佐藤 美洋
    Crカルベン錯体を用いるメタセシス反応の開発
    我々は既にアルケン上に電子供与性の置換基を持つエニンはFischerCrカルベン錯体によってメタセシス反応の起きる事を見いだし報告している。そこでカルベン錯体の炭素上の置換基と同じ置換基をアルケン上にもつエニンをCrカルベン錯体と反応させるならばCrに関して触媒反応になるものと考えた。10mol%のCrカルベン錯体3aとE-1aおよびZ-1aを反応させたところ目的とするメタセシス生成物2aを得ることが出来た。又Crカルベン錯体3bを用いて1bと反応させたところ2bがえられた。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 北海道大学, 06227201
  • 有用キラルシントン、光学活性3-ヒドロキシグルタル酸誘導体の触媒的不斉合成
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1994年 - 1994年
    佐藤 美洋
    HMG-Co-Aリダクターゼ阻害作用を有する化合物は、3-ヒドロキシグルタル酸骨格を有しており、その不斉合成法の確立が合成上重要である。申請者らの計画した不斉合成法は、Ni錯体への酸無水物の酸化的付加-トランスメタル化を経由する方法論であるが、最初のステップの酸化的付加が文献上知られているのみである。そこで先ず、無水テトラヒドロフタル酸1を基質とした検討を行なった。基質に対し、120mol%のNi(cod)_2、120mol%のdppeを用い、スタニルアセチレン3とTHF中還流条件下反応させたところ、4が低収率ながら8%得られた。興味深いことに、得られた生成物は当初予想したcis-4ではなく、trans-4であったことからニッケラサイクルcis-2とtrans-2間での平衡の存在が示唆された。すなわち、基質1が酸化的付加した後、脱カルボニル化反応を経て1の立体化学を反映したcis-2が生成すると考えられるが、cis-2からβ-脱離、生じたオレフィンの再挿入反応を経てtrans-2へと異性化し、trans-4が生成したと考えられた。同様の条件下、配位子の検討を行ったところPh_2PMeを用いるとcis-4が10%、dppfを配位子として用いた反応においてはtrans-4が10%、cis-4が17%と、トランスメタル化成績体が併せて27%得られ、cis-2とtrans-2間の平衡が配位子の影響を強く受けることが明らかとなった。更に、ニッケラサイクル中間体においてβ-脱離を起こし得ない無水フタル酸5を基質として用い同様の条件下反応を行ったところ、トランスメタル化生成物8、9、10が併せて59%の収率で得られた。本結果は、酸化的付加-脱カルボニル化反応を経由し生成したニッケラサイクルに対するトランスメタル化が進行した初めての例であり、現在本反応の触媒反応化及び不斉合成への展開を検討中である。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 06772058
  • 新規エナンチオ場選択的閉環反応による含窒素複素環骨格の触媒的不斉合成
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1993年 - 1993年
    佐藤 美洋
    申請者らのグループで開発したシクロペンタノイド誘導体の触媒的不斉合成法はPdへの酸化的付加時にエナンチオ場を選択するという反応であり更なる展開が可能であると考え、検討を行なった。本反応を含窒素二環性化合物の触媒的不斉合成へと展開すべく、基質1に対しアミド型の求核剤2aを用い検討した。その結果、塩基として水素化ナトリウムを用いた場合は3aが2%ee程度でしか得られないのに対し、LDAを用いた反応においては最高57%eeの選択性で3aが得られた。これらの結果から、求核剤として2aを用いた反応においてはアミド基のNがPdに配位し、4のように配位子の部分乖離を引き起こし選択性の低下を招くと考えられ、これに対し塩基としてLDAを用いた反応ではLiにNがキレーションした5のような形で安定化し反応が進行するため、高い選択性が得られたと考えられる。求核剤として2bを用いても反応は良好に進行し、3bが収率64%、40%eeで得られた。3bは更にPd触媒で閉環させた後、脱炭酸反応により6へと導いた。6は分子内Heck反応によりテトラヒドロインドリノン誘導体7へと交換でき、さらに2工程を経て(+)-gamma-Lycolane8へと導くことができた。これらの結果は、8を光学活性体として合成した初めての例であり、また非常に短工程で高率の良い合成ルートを確立できた点からも興味深い。
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 05771916
  • トランスメタル化反応による新規炭素-ヘテロ原子結合生成反応の開発
    科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    1992年 - 1992年
    佐藤 美洋
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 04771861
  • 触媒的不斉炭素-炭素結合生成反応を基盤とした有用生物活性物質の合成研究
    科学研究費助成事業 一般研究(B)
    1990年 - 1991年
    柴崎 正勝; 佐藤 美洋; 笹井 宏明; 袖岡 幹子
    先に我々は、ヘック反応を触媒的不斉合成に初めて適用し、シス-デカリン誘導体を40%〜50%eeで合成することに成功した。今回、本反応系の改良を徹底的に行い、下記に記す結果を得た。
    さらに、不斉ヘック反応がポリシクロペンタノイドの触媒的不斉合成にも極めて有効であることが分り、カプネレノール5及び6の触媒的不斉全合成にも成功した。
    一方、pi-アリルパラジウム錯体を活用する触媒的不斉合成では、デカリン誘導体7を83%eeで得る方法を確立した。
    又、Zr(o-t-Bu)_4が有効な塩基として機能する事実を見い出し、光学活性前周期遷移金属アルコシドや希土類アルコシドを活用する触媒的不斉合成法開発の糸口を得た。
    日本学術振興会, 一般研究(B), 北海道大学, 02453137
■ 産業財産権
  • α-アミノ酸塩の製造方法
    特許権, 佐藤 美洋; 美多 剛; 宮地 伸英, 国立大学法人北海道大学, 日産化学工業株式会社
    特願2011-199151, 2011年09月13日
    特開2013-060384, 2013年04月04日
    特許第5794569号, 2015年08月21日
    201503009667181128
  • α-ヒドロキシ酸塩の製造方法
    特許権, 佐藤 美洋; 美多 剛; 宮地 伸英, 国立大学法人北海道大学, 日産化学工業株式会社
    特願2011-187128, 2011年08月30日
    特開2013-049638, 2013年03月14日
    特許第5747740号, 2015年05月22日
    201503010031216086