速水 賢 (ハヤミ サトル)

理学研究院 物理学部門 電子物性物理学分野教授

研究者基本情報

■ 学位
  • 博士(工学), 東京大学, 2014年09月
■ URL
researchmap URLホームページURL■ ID 各種
研究者番号
  • 20776546
ORCID IDResearcher ID
  • J-4822-2018
J-Global ID■ 研究キーワード・分野
研究キーワード
  • 幾何学的フラストレーション
  • スピン軌道相互作用
  • トロイダルモーメント
  • スカーミオン
  • マルチフェロイクス
  • 多極子
  • 強相関電子系
  • 磁性
研究分野
  • 自然科学一般, 磁性、超伝導、強相関系
■ 担当教育組織

経歴

■ 経歴
学歴
  • 2012年04月 - 2014年09月, 東京大学
委員歴
  • 2017年04月 - 2018年03月
    日本物理学会, 領域8運営委員, 学協会

研究活動情報

■ 受賞
  • 2020年06月, JPSJ the Most Cited Articles in 2019
  • 2019年09月, Nature Communications Editors' Highlight
  • 2019年05月, Physical Review B Editors' Suggestion
  • 2019年04月, Physical Review Letters Cover Image
  • 2018年10月, 日本物理学会, 日本物理学会若手奨励賞(領域8)
    トロイダルモーメントと交差相関物性の微視的な理論研究
    速水 賢
  • 2018年10月, Physical Review B Editors' Suggestion
  • 2014年08月, Physical Review B Editors' Suggestion
■ 論文
■ その他活動・業績
■ 講演・口頭発表等
■ 主な担当授業
  • 物理学論文輪講, 2024年, 修士課程, 理学院
  • 磁性物理学, 2024年, 修士課程, 理学院
  • 物理学外国語文献講読Ⅰ, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 物理学外国語文献講読Ⅰ, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 現代物理学特論, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 物性物理学, 2024年, 学士課程, 理学部
  • 物理学Ⅱ, 2024年, 学士課程, 全学教育
  • 現代物理学, 2024年, 学士課程, 理学部
■ 所属学協会
  • 日本物理学会
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • 多極子表現論の深化と機能物性の開拓
    2024年 - 2031年
    速水 賢
    本研究では、固体中の内部自由度を系統的に表現できる多極子基底の概念を、異なる時空間スケールに対しても適用できるよう理論形式を深化することで、様々な空間・時間スケールのもとで発現する物性現象を統一的な視点から系統づけることを目指します。また、その際に現れる新しい内部自由度を外場や自発的相転移を通して制御することで、多彩な時空間ダイナミクスを示す新規機能物性を探索するための理論的枠組みを構築します。
    科学技術振興機構, 戦略的な研究開発の推進/創発的研究支援事業, 24837919
  • アシンメトリ量子物質の基礎理論と設計
    科学研究費助成事業
    2023年04月01日 - 2028年03月31日
    大槻 純也; 服部 一匡; 速水 賢; 野村 悠祐; 是常 隆
    日本学術振興会, 学術変革領域研究(A), 岡山大学, 23H04869
  • 中性子散乱による量子磁性研究の新展開
    科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    2022年04月01日 - 2027年03月31日
    佐藤 卓; 木村 尚次郎; 速水 賢
    日本学術振興会, 基盤研究(A), 東北大学, 22H00101
  • 電気トロイダル単極子によるカイラル物質の特性解明と外場制御
    科学研究費助成事業
    2023年04月01日 - 2026年03月31日
    楠瀬 博明; 速水 賢
    固体結晶中の多様な電子自由度を多極子の自由度を用いて整理することで、交差相関物性を系統的に理解する試みにおいて、電子系のハミルトニアンを多極子基底で展開する一般的手法を開発した。また、線形及び非線形応答において、その発現に必須のモデルパラメータを系統的に特定する手法を開発し、多極子基底で 表したハミルトニアンと併用して、各種物性応答の微視的起源を明らかにする一般的な処方箋を与えた。また、これらの基底を視覚的に表現する描画ツールを開発し、一般公開している。
    以上の知見を基に、カイラル物質を量子論の観点から理解することを目標にして、以下のような成果を得た。カイラル系の典型物質Teに手法を適用し、カイラリティに関与するミクロな電子自由度を特定し、電場と格子回転のような極性と軸性を変換する新しい応答現象を見出した。カイラリティを量子論的に理解するための概要をまとめたレビュー論文を執筆した。カイラル物質に対する電磁場応答を、フロッケ理論を活用して解析し、円偏光電磁場とカイラリティの結合様式を明らかにした。また、カイラル結晶とカイラルフォノンとの結合に関して、格子模型を用いて解析し、エネルギー分散に関して一般的に成り立つ法則を明らかにした。そのほか、強軸性秩序と呼ばれる系に対する横型応答を利用したスピン流生成の提案、電場によるキラリティの誘起、また、ある種の反強磁性体は軸性のスカラー秩序とみなせて、この状態に静的な電場と磁場を印加することによりカイラリティが誘起できることなどを提案した。さらに、秩序変数が長年未解決のURu2Si2の秩序変数として交替型のカイラル電荷秩序というシナリオを提案し、可能な確認実験を提案した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 明治大学, 23K03288
  • スピン軌道結合系イリジウム酸化物の逐次新奇相転移と電流誘起交差相関物性の解明
    科学研究費助成事業
    2022年04月01日 - 2026年03月31日
    松平 和之; 筒井 智嗣; 長谷川 巧; 網塚 浩; 中村 和磨; 山地 洋平; 速水 賢
    テーマA 逐次相転移の微視的自由度の解明
    前年度の成果である,中間相の結晶構造がR3であり電気トロイダル秩序で理解できることを示した論文が公表された。
    松平と筒井は,Ca5Ir3O12の放射光メスバウアー分光測定を進めた。電子状態やフォノン分散を矛盾なく説明できる新たなスペクトルの解析モデルを見出すことができた。また、そのスペクトルは入射X線のパルス条件に依存することが明らかとなった。松平と筒井は,フランスのESRFにてRIXSの測定を行い1eV以下の低エネルギーでのスペクトルの温度変化を取得した。現在,解析中である。長谷川はIrが4価と5価のイオンの多電子状態からなると仮定して、磁化率の計算をおこない、2022年度に明らかにした磁化率の異方性と大きさを再現する基底状態を明らかにした。その結果、105 Kの転移は5価イオンの自由度を利用した転移である可能性、7.5 Kの磁気転移では4価イオンの|J|=3/2イジング状態による八極子が生じる可能性を見出した。網塚は単結晶試料の磁気転移の詳細を調べ多結晶試料との相違について明らかにした。単結晶試料にわずかな組成のズレが生じている可能性を示した。
    テーマB 電流誘起交差相関現象の解明
    前年度の成果である,放射光赤外分光による光学伝導度に関する論文が公表された。松平と筒井は,電流印加下での単結晶放射光X線回折を行い,自己発熱による熱膨張の影響を超えた格子定数の電流変化が生じていることを明らかにした。速水は電気トロイダル双極子秩序下で生じる非線形磁気歪み現象に関する対称性および数値模型解析を行うことで、電気トロイダル双極子モーメントを観測するための実験手法を示した。山地と中村が非線形伝導などのメカニズムに関して現象論的なアプローチを開始した。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 九州工業大学, 23K22454
  • スピン軌道結合系イリジウム酸化物の逐次新奇相転移と電流誘起交差相関物性の解明
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2022年04月01日 - 2026年03月31日
    松平 和之; 網塚 浩; 筒井 智嗣; 中村 和磨; 長谷川 巧; 山地 洋平; 速水 賢
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 九州工業大学, 22H01183
  • 拡張多極子による交差相関物性・量子伝導の系統的理解と機能物質探索への展開
    科学研究費助成事業
    2021年04月01日 - 2025年03月31日
    速水 賢
    物性物理における多彩な機能物性の発現は、系のマクロな対称性により予測されるが、より高機能・高効率な物質設計へとつなげていくためには、それらの発現に本質的なミクロな電子自由度の役割を理解する必要がある。本研究の目的は、結晶中における電子自由度を統一的に表現できる “拡張多極子”を用いることで、従来の群論による「マクロな対称性⇔物性」の枠組みを超えて「ミクロな電子自由度⇔物性」という電子自由度に立脚した新しい理論形式を構築することである。本年度においては、非従来型の多極子を伴う秩序状態の発現によって現れる交差相関応答および量子伝導に関する知見を得ることを目指した。具体的な研究成果を以下に示す。
    (1) 磁気トロイダル双極子秩序および磁気四極子秩序が示す内因性非線形異常ホール効果の微視的機構の解析、(2) 立方晶系における多重Q磁気秩序を解析するための有効スピン模型構築、(3) 対称性適合多極子基底を用いた分子および結晶に対する表現論の構築、(4) 結晶点群Tdにおける磁気スキルミオン結晶の安定化機構、(5) 面内磁場印加による反強磁性スキルミオン結晶の発現に関する理論提案、(6) 空間反転対称な正方格子系における磁気バブル相の発現に関する理論提案、(7) フロッケ理論および磁性表現論に基づいたレーザー誘起磁気相互作用の導出、(8) 4重Q磁気秩序におり構成されるチェッカーボードバブル結晶相の発現に関する理論提案、(9) 2重Q磁気秩序におけるチャーン絶縁体の解析、(10) 反強磁性体における時間反転変換応答、(11) URu2Si2における隠れた秩序変数としてのカイラル電荷秩序の理論提案、(12) 極性磁性体EuNiGe3における複数の磁気スキルミオン相の構造相転移の理論、(13)極性結晶におけるハイブリッドスキルミオン結晶相およびアンチスキルミオン結晶相の発現に関する理論提案。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 23K20827
  • 拡張多極子による交差相関物性・量子伝導の系統的理解と機能物質探索への展開
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2021年04月01日 - 2025年03月31日
    速水 賢
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東京大学, 21H01037
  • 時間・空間反転およびゲージ対称性の破れを伴う電子液晶相の研究
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2022年04月01日 - 2024年03月31日
    速水 賢
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 東京大学, 22H04468
  • 反転対称性の破れた磁性体における非相反マグノンの研究
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2019年04月01日 - 2023年03月31日
    佐藤 卓; 那波 和宏; 木村 尚次郎; 速水 賢; 奥山 大輔
    磁性体の秩序状態からの素励起であるマグノンはスピン流の担い手として近年大きな注目を集めている。本研究は反転対称性が破れた磁性体に予想されるマグノンの非相反伝播(順方向伝播と逆方向伝播の不等価性)の確認、並びにその外場制御の可能性の探索を最終目標にしている。研究計画はi)非相反マグノン物質群の微視的機構解明、ii)新非相反マグノン物質の探索と発見、iii)マグノン分散に対する電場等の外場効果の確認からなっている。研究初年度である2019年度はi), ii), iii)のそれぞれについて以下の研究を行った。
    i) a-Cu2V2O7 は反転対称が破れた反強磁性であり、我々のこれまでの研究で反強磁性マグノン分散の分裂が初めて確認された物質である。本物質に関する初年度の研究実績は次にまとめられる。改良ブリッジマン法による cm サイズ単結晶の安定育成手法の確立。単結晶を用いた電場下磁気測定による電気磁気効果の理解(協力者Piyawongwatthanaおよび分担者木村と共同)。精密X線構造解析による反転ドメイン不在の確認(協力者Piyawongwatthanaおよび分担者奥山と共同)。
    ii) 非相反マグノン候補物質としてデータベースを駆使し種々の物質を探索した。候補としてあがった1物質(Cu-Mo-Se酸化物)に関して、実際に水熱法による試料合成、バルク磁気測定、および粉末中性子回折実験を行った(協力者Piyawongwatthana および分担者那波と共同)。
    iii) 外場下のマグノン非相反制御の可能性探索としては、面内磁場効果の理論的に検討を行った(分担者速水)。また、電場中のマグノン分散制御の可能性探索としてa-Cu2V2O7 の電場下マグノン測定の予備実験を行った。
    これらの研究により非相反マグノンを生じさせるマグノン分散に関する理解が大きく進んだ。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 東北大学, 競争的資金, 19H01834
  • らせん構造に立脚した新規トポロジカル磁性体の理論的研究
    2020年 - 2023年
    速水 賢
    本研究の目的は、多様な結晶構造と微視的機構のもとで発現するトポロジカル磁性体を、らせん磁気構造がもつ内部自由度の視点から系統的に分類することで、それらが発現するために必要な結晶対称性およびその安定化機構を明らかにすることです。さらに、それらの情報を記したデータベースを作成することで、トポロジカル磁性材料の候補物質を劇的に増やし、既存の理解に囚われない新規トポロジカル磁性体探索の礎を築きます。
    科学技術振興機構, 戦略的な研究開発の推進/戦略的創造研究推進事業/さきがけ, 20334186
  • 微視的多極子の秩序による創発スピン軌道物性の開拓
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2019年04月01日 - 2022年03月31日
    楠瀬 博明; 速水 賢
    固体結晶中の多様な秩序を電子多極子の自由度を用いて整理することにより、交差相関物性の理解が大きく進展してきた。
    通常、交差相関にはスピン軌道相互作用が不可欠の要素と広く認識されている。
    本研究では、従来の常識とは異なり、スピン軌道相互作用が弱い極限において、有効的なスピン軌道相互作用が磁気秩序によって創出されるという可能性を追求している。
    電子多極子の知見を用いると、このような創発スピン軌道物性がどのような条件下で生じ得るか、見通しよく議論することができる。これらの条件を明確にすることで、スピン軌道相互作用が弱い3d電子系などの物質群における新しいスピン軌道物性を開拓することが目的である。
    この目的に対して、多極子を考えるユニットとなる副格子を対称性に基づき分類し、共線的磁気秩序と非共線磁気秩序の場合にに分けて、創発スピン軌道物性の発現機構を明らかにした。共線的磁気秩序の場合は、電気多極子がスピン秩序と結合することで、有効的なスピン軌道相互作用が生じるが、これらは波数空間において対称的なスピン分裂をもたらす。従って、生じ得る交差相関物性は多くの場合、縦応答となり、異常ホール効果やスピンホール効果などの横応答とは質的に異なる現象となる。非共線的磁気秩序の場合は、副格子内の多極子は磁気秩序と高次の結合となる。特に、変調したカゴメ格子の120°磁気構造のような空間反転対称性を破る磁気秩序の場合、反対称なスピン軌道相互作用が有効的に生み出され、結晶構造に元々組み込まれた反対称スピン軌道相互作用と同じ物性が生じる。非相反の輸送現象やスピンホール効果などの横応答が期待される。このような知見に基づき、多くの交差相関応答を一般的に議論したほか、このような理論の応用例として、スピン軌道相互作用がほとんど無視できる有機反強磁性体に対して、電場印可や熱勾配によるスピン流生成の新しい機構を提案した。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 明治大学, 競争的資金, 19K03752
  • 遍歴磁性体におけるカイラル磁気秩序相の起源解明と特異な磁気・非相反伝導の探求
    科学研究費助成事業 若手研究
    2018年04月01日 - 2021年03月31日
    速水 賢
    本研究の目的は、局在スピンと遍歴電子からなる遍歴磁性体において発現するカイラル磁気秩序相の安定化メカニズムの解明、およびそれらが示す特異な磁気伝導現象や非線形・非相反現象を理論的に開拓し、現実物質探索の幅を大きく拡げることである。本年度においては、スピン軌道相互作用に由来する磁気異方性や磁性イオンとリガンドイオンの混成効果を取り込んだ多自由度電子模型に対して解析計算と数値シミュレーションを行った。具体的には、以下の研究成果を得た。
    (1) 異方的な交換相互作用の効果を取り込んだ解析:三角格子上の近藤格子模型に対して、遍歴電子と局在スピン間の交換相互作用の大きさがスピン軌道相互作用によってどのように変調を受けるのかを摂動論を用いて明らかにした。また摂動論により得られた模型をモンテカルロ計算により解析することで、従来の6回回転対称性をもつスキルミオン結晶に加えて、歪んだスキルミオン結晶や新しいカイラル磁気秩序状態を見出した。
    (2) d-p軌道間の混成効果が誘起する磁気渦結晶の解析:ここでは遷移金属酸化物におけるカイラル磁気秩序相の発現可能性について調べた。理論模型としては、磁性イオンのd軌道とリガンドイオンのp軌道からなり、かつd軌道間に強いフント結合がはたらく多軌道電子模型を考えた。混成の強さや結晶場準位といった模型パラメタを変化させたときの基底状態相図を求めた。その結果、直交する2つのらせん構造で特徴づけられる磁気渦結晶相が強磁性相とらせん秩序相の間において現れることを明らかにした。
    (3) 多重Q磁気秩序が示す非線形ダイナミクス:拡張したボルツマン方程式を用いて、磁気スキルミオン結晶相や磁気バブル相のもとで発現する非線形伝導現象を明らかにした。特に、トポロジカル数である第二チャーン数がこれらの非線形現象の発現に重要な役割を果たしていることを示した。
    日本学術振興会, 若手研究, 研究代表者, 競争的資金, 18K13488
  • 局所的な軌道混成に由来するトロイダル多極子がもたらす新奇マルチフェロイクスの開拓
    科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    2018年04月01日 - 2020年03月31日
    速水 賢
    本研究の目的は、固体中での電子のミクロな自由度を表現する多極子を用いて、多彩な物性現象を理解する基礎を築くことである。特に、電子の波動関数自由度(s, p, d, f軌道)に着目して、それらの混成軌道がもたらす新規多極子秩序を理論的に明らかにすることである。具体的には、以下の研究成果を得た。
    (1) スピン軌道結合金属Cd2Re2O7における電気トロイダル四極子秩序の理論的提案:5d電子系パイロクロア化合物Cd2Re2O7を対象とし、実験で観測されたおよそ200Kと120Kにおける2つの構造相転移が、奇パリティ多極子の一つである電気トロイダル四極子秩序の発現と対応していることを理論的に明らかにした。また、電気トロイダル四極子秩序の発現により、電子状態においてスピン-運動量ロッキングが生じ、さらには電流有機磁気効果や非相反伝導現象が誘起されることを見出した。
    (2) コリニア磁気秩序のもとで生じるスピン分裂バンド構造の微視的理解:ミクロな多極子の表現論を用いることにより、スピン軌道相互作用のないコリニア反強磁性において、スピン分裂を示すバンド構造やスピン流生成といった創発スピン軌道物性が実現できることを明らかにした。
    (3) 反強電気四極子秩序が誘起するクラスター奇パリティ多極子秩序の理論:ここではf電子系化合物であるCeCoSiを対象とし、そこで観測された特異な電子秩序相を説明するための理論形式を構築した。具体的には、Ceサイトにおける局所的な反転中心の破れやスピン軌道相互作用、d-f軌道混成といった複合的な効果を取り込んだ有効模型を導出し、平均場計算を用いることで交替的な反強電気四極子秩序が発現する可能性を指摘した。さらにこうした交替的な反強電気四極子秩序は奇パリティ多極子の一つであるクラスター電気トロイダル四極子秩序によって特徴づけられることを明らかにした。
    日本学術振興会, 新学術領域研究(研究領域提案型), 研究代表者, 競争的資金, 18H04296
  • 結晶の磁気異方性に基づいた新しいスキルミオン結晶の理論的探索
    豊田理研スカラー
    2019年04月 - 2020年03月
    速水 賢
    豊田理化学研究所, 研究代表者, 競争的資金
  • スピン軌道相互作用が強い磁性体に潜むトロイダルモーメントの理論的探索・制御
    科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
    2016年08月26日 - 2018年03月31日
    速水 賢
    時間・空間反転対称性がともに破れた系に現れるトロイダルモーメントに関する微視的な理論形式の構築と、実験的にどのようにして観測・制御できるかを調べた。(1)結晶場、スピン軌道相互作用、電子相関による対称性の破れを取り入れたモデルに対して、摂動論を用いることにより、トロイダルモーメントが秩序化した際に生じる有効的なスピン軌道相互作用を導出した。(2)2次元三角格子上のスピン軌道相互作用が強い強磁性体において、非磁性不純物をドープすることで、トロイダルモーメントが不純物周りに誘起されることを明らかにした。(3)トロイダルモーメントを示す候補物質である5d電子系酸化物KOsO4に対して解析を行った。
    日本学術振興会, 研究活動スタート支援, 北海道大学, 16H06590
  • 空間・時間反転対称性の破れが創出する量子伝導と光学応答の理論
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2015年04月01日 - 2018年03月31日
    楠瀬 博明; 求 幸年; 速水 賢
    スピン軌道相互作用が強いf・d電子系化合物を対象として、時空反転対称性の自発的な破れによって生じる量子伝導と光学応答を開拓し、その微視的な起源を明らかにした。特に、UNi4Bにおける強的トロイダル秩序による電流磁気効果の予言、α-Cu2V2O7に対する非相反なマグノン励起の予測、Co4Nb2O9で見られる特異な磁気電気効果の微視的起源の解明、単層ハニカム模型によるスピン・軌道秩序と非対角応答の全容の解明などの成果を得た。また、これらの特異な交差相関現象を統一的に理解するために、時空反転対称性の偶奇性で分類されたクラスター多極子と混成多極子という概念を構築し、その微視的な数学的表現を導いた。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 明治大学, 競争的資金, 15K05176
  • 近藤系が示す部分無秩序に伴う新奇な磁気・電荷秩序形成と磁気伝導現象の理論的研究
    科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    2012年04月01日 - 2015年03月31日
    速水 賢
    研究代表者は、幾何学的フラストレーションの下で発現する新奇物性のひとつとして、部分無秩序状態と呼ばれる磁気秩序状態を研究してきた。本年度においては、幾何学的にフラストレートした格子構造をもつ三角格子とフラストレートしていない正方格子や立方格子の結果を詳細に比較することにより、格子構造の違いが部分無秩序をはじめとする電子系の秩序状態にどのような影響をもたらすか、また実験で部分無秩序物質と報告されているUNi4Bのスピン構造を実現するための微視的な模型はどのようなものであるか、を理解・解明することを目指した。
    まず前者に対しては、幾何学的にフラストレートしていない正方格子や立方格子上の近藤格子模型を考え、ハートリー・フォック近似、モンテカルロ計算、クラスター動的平均場近似という3つの相補的な手法を用いることにより、量子揺らぎの効果を調べた。その結果、部分無秩序状態で見られた電荷秩序状態と正方格子や立方格子上のクォーターフィリングにおいて報告されていた電荷秩序状態との類似点や相違点を明らかにした。また、どちらの相においても、遍歴電子と局在スピン間に働く交換相互作用が、相の安定性に重要な影響を及ぼすことを明らかにした。正方格子や立方格子上の電荷秩序状態においては、磁気秩序の存在は必ずしも必要ではないが、一方で三角格子上の部分無秩序状態で見られる電荷秩序は系が磁気的なフラストレーションを解消することによって生じることから、磁気秩序が本質的に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
    後者に対しては、部分無秩序物質であるUNi4Bを対象として、この物質で観測されている渦状の磁気構造を再現する微視的な模型を構築することに成功した。さらに、UNi4Bにおいては、新奇な内因性ホール効果が生じる可能性があることを指摘した。
    日本学術振興会, 特別研究員奨励費, 東京大学, 研究代表者, 競争的資金, 12J09153