福岡 淳 (フクオカ アツシ)

触媒科学研究所 研究開発部門特任教授

 固体触媒によるバイオマス変換、フードロス削減およびグリーンケミストリーの研究を行っています。研究開発の中心は、株式会社アイシンと北海道大学が北海道大学触媒科学研究所に設立した産業創出講座「アイシン北大R&Dラボ」において、バイオマスやCO2の資源化を目的とした触媒研究を行うことです。北海道大学の学術的知見と、株式会社アイシンの環境技術を融合し研究を進めることで、社会のカーボンニュートラル実現に貢献していきます。 産業創出講座は、北海道大学が企業等と共同研究を実施、新産業の創出と事業化を目的とした制度です。今回設立した「アイシン北大R&Dラボ」では、カーボンニュートラル社会の実現に向け、バイオマスやCO2を有用資源として創製していくことを狙いとします。

 また、COI-NEXT「リスペクトでつながる「共生アップサイクル社会」共創拠点」の分担研究では、海洋バイオマスであるキチンの利活用を進めます。産出量の99%以上が利用されていないキチンから触媒変換を通じてナノファイバー・ミクロファイバーを作り出し、生分解性樹脂のフィラーとして用いることができれば、廃棄物を有効利用し付加価値を高めたアップサイクルの成果となります。

 さらに、青果物鮮度保持に有効なプラチナ触媒の研究およびフードロス削減コンソーシアムの活動も行ってます。これまでプラチナ触媒の開発により鮮度保持に大きな実績を残してきましたが、より高活性な触媒開発を目指した研究を行います。さらに、代表を務めるフードロス削減コンソーシアムでは、フードロス削減活動の支援や情報発信を推進します。

研究者基本情報

■ 学位
  • 工学博士, 東京大学
  • Master of Engineering, The University of Tokyo
■ URL
researchmap URLホームページURL■ ID 各種
研究者番号
  • 80189927
Researcher ID
  • A-5280-2012
J-Global ID■ 研究キーワード・分野
研究キーワード
  • キチン
  • 鮮度保持
  • エチレン酸化
  • ナノ粒子
  • メソポーラスシリカ
  • セルロース
  • バイオマス
  • 触媒
  • Nanoparticle
  • Mesoporous Silica
  • Cellulose
  • Biomass
  • Catalyst
研究分野
  • ナノテク・材料, グリーンサステイナブルケミストリー、環境化学
  • ものづくり技術(機械・電気電子・化学工学), 触媒プロセス、資源化学プロセス

経歴

■ 経歴
経歴
  • 2024年04月 - 現在
    北海道大学, 触媒科学研究所, 特任教授
  • 2015年10月 - 2024年03月
    北海道大学, 触媒科学研究所, 教授
  • 2014年04月 - 2024年03月
    北海道大学, 総長補佐
  • 2007年04月 - 2015年09月
    北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授
  • 2010年04月 - 2014年03月
    北海道大学, 触媒化学研究センター, センター長
  • 1997年04月 - 2007年03月
    北海道大学, 触媒化学研究センター, 助教授
  • 1997年 - 2007年
    Associate Professor,Catalysis Research Center, Hokkaido University
  • 2007年
    Professor, Catalysis Research Center, Hokkaido University
  • 1995年08月 - 1997年03月
    東京農工大学, 工学部, 助教授
  • 1995年 - 1997年
    Associate Professor,Faculty of Technology, Tokyo University of Agriculture and Technology
  • 1991年04月 - 1995年07月
    東京農工大学, 工学部, 講師
  • 1991年 - 1995年
    Lecturer,Faculty of Technology, Tokyo University of Agriculture and Technology
  • 1989年05月 - 1991年03月
    北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手
  • 1989年 - 1991年
    Research Associate,Catalysis Research Center, Hokkaido University
  • 1986年01月 - 1989年04月
    北海道大学, 触媒研究所, 助手
  • 1986年 - 1989年
    Research Associate,Research Institute for Catalysis, Hokkaido University
学歴
  • 1982年04月 - 1985年12月, 東京大学, 工学系研究科, 工業化学専攻
  • 1978年04月 - 1982年03月, 東京大学, 工学部, 合成化学科, 日本国
委員歴
  • 2020年09月 - 現在
    フードロス削減コンソーシアム, 代表, その他
  • 2016年07月 - 2024年07月
    国際触媒学会(IACS), Officer, 学協会
  • 2021年03月 - 2023年02月
    公益社団法人日本化学会, 理事, 学協会
  • 2018年05月 - 2019年05月
    一般社団法人触媒学会, 会長, 学協会
  • 2012年07月 - 2016年07月
    国際触媒学会, 評議員, 学協会
  • 2012年03月 - 2013年07月
    第16回均一系不均一系触媒国際会議, 組織委員長, その他
  • 2008年03月 - 2012年02月
    触媒学会, バイオマス変換研究会世話人代表, 学協会
  • 2004年 - 2005年
    ゼオライト学会, 理事, 学協会
学内役職歴
  • 企画・経営室室員, 2014年4月1日 - 2015年3月31日
  • 企画・経営室室員, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
  • 企画・経営室室員, 2017年4月1日 - 2017年10月25日
  • 経営戦略室室員, 2017年10月26日 - 2019年3月31日
  • 経営戦略室室員, 2019年4月1日 - 2020年9月30日
  • 経営戦略室室員, 2020年10月12日 - 2022年3月31日
  • 経営戦略室室員, 2022年4月1日 - 2024年3月31日
  • 総長補佐, 2014年4月10日 - 2015年3月31日
  • 総長補佐, 2015年4月1日 - 2017年3月31日
  • 総長補佐, 2017年4月1日 - 2019年3月31日
  • 総長補佐, 2019年4月1日 - 2020年9月30日
  • 総長補佐, 2020年10月12日 - 2022年3月31日
  • 総長補佐, 2022年4月1日 - 2024年3月31日

研究活動情報

■ 受賞
  • 2025年04月, 紫綬褒章
  • 2024年04月, 文部科学省, 文部科学大臣表彰科学技術賞
    固体触媒によるセルロース系バイオマスの解重合の研究
    福岡淳
  • 2023年03月, 公益社団法人日本化学会, 第75回日本化学会賞
    セルロース系バイオマスの解重合と青果物鮮度保持のための固体触媒の開発
    福岡淳, 10391150;11047146;10391151
  • 2022年05月, 公益社団法人石油学会, 学会賞
    セルロース・キチンの触媒変換による有用化学品合成に関する先導的研究
    福岡淳
  • 2020年09月, 井上春成賞委員会, 井上春成賞
    青果物鮮度保持用プラチナ触媒の開発
    福岡淳;谷口潤, 出版社・新聞社・財団等の賞, 日本国
  • 2017年01月, 北海道大学, 研究総長賞優秀賞
    福岡 淳
  • 2015年07月, 公益財団法人新化学技術推進協会, 第14回グリーン・サスティナブルケミストリー賞文部科学大臣賞
    固体触媒によるセルロース系バイオマス分解の先導的研究
    福岡淳, 出版社・新聞社・財団等の賞
  • 2015年03月, 北海道大学, 研究総長賞優秀賞
    福岡 淳
  • 2015年03月, 触媒学会, 学会賞(学術部門)
    固体触媒によるセルロース分解の研究
    福岡 淳
  • 2009年11月, 台湾国家科学委員会化学研究推動中心レクチャーシップ
  • 1995年05月, 山下太郎顕彰育成会, 山下太郎学術研究奨励賞
    金属クラスター錯体の触媒作用に関する研究
    福岡 淳
  • 1994年04月, 触媒学会, 奨励賞
    異種金属クラスター担持触媒の構造と反応特性に関する研究
    福岡 淳
■ 論文
■ その他活動・業績
■ 書籍等出版物
  • バイオリファイナリー触媒技術の新展開
    シーエムシー出版, 2011年
  • 触媒調製ハンドブック
    エヌ・ティー・エス, 2011年
  • New Development of Biomass-refinery Catalytic Technology
    CMC Books, 2011年
  • Handbook of Catalyst Preparation
    NTS, 2011年
  • Thermochemical Conversion of Biomass to Liquid Fuels and Chemicals
    RSC Publishing, 2010年
  • レアメタル便覧
    丸善, 2010年
  • 現代界面コロイド科学の事典
    丸善, 2010年
  • Handbook of Rare Metals
    Maruzen, 2010年
  • Dictionary of modern interfacial colloid science
    Maruzen, 2010年
  • Catalysis of Mesoporous Solid Acids for Environmentally Benign Processes
    American Scientific Publisher, 2009年
  • 木質系有機資源の新展開Ⅱ
    シーエムシー出版, 2009年
  • New development of plant organic resources
    CMC Publication, 2009年
  • 金属成分の担持法
    講談社サイエンティフィク, 2008年
  • Metal nanoclusters in catalysis and materials science: the issue of size-control
    Elsevier, 2007年
  • 植物由来プラスチックの高機能化とリサイクル技術
    サイエンス&テクノロジー, 2007年
  • 環境調和型新材料シリーズ 触媒材料
    日刊工業新聞社, 2007年
  • バイオ液体燃料
    エヌ・ティー・エス, 2007年
  • Morphology Control of Materials and Nanoparticles. Advanced Materials Processing and Characterization
    Springer-Verlag, 2003年
  • Synthesis of Organometallic Compounds -A Practical Guide
    Wiley, 1997年
■ 講演・口頭発表等
■ 所属学協会
  • 石油学会
  • ゼオライト学会
  • 触媒学会
  • 日本化学会
  • American Chemical Society
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • キチンを再生可能炭素・窒素資源として利用するための効率的な触媒反応法の開発
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2021年04月01日 - 2024年03月31日
    小林 広和; 福岡 淳; 佐川 拓矢
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 21H01973
  • 固体触媒による結晶セルロース分解
    科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    2021年04月01日 - 2024年03月31日
    福岡 淳; 小林 広和; 宋 志毅
    本研究の目的は、結晶セルロースを加水分解できる固体触媒を開発することである。そのためにトップダウン型とボトムアップ型の触媒設計を用いる。本年度はトップダウン型アプローチとして、カーボンナノチューブなどの炭素材料を切り開き、シート状にした材料にカルボキシ基を導入した固体触媒を調製するために、文献調査を行った。また、活性炭を固体触媒として用いた結晶セルロースの加水分解を行った。無触媒や酸点がない活性炭を触媒として用いた場合、グルコース収率は1%未満となりほとんど反応しなかった。しかし、触媒として酸点を持つ空気酸化活性炭(AC-Air)やグラフェンオキシドを用いたところグルコース収率が5-10%程度に向上した。この結果から、比較的反応しやすいセルロース表面部分でのみ加水分解が起こっており、内部まで反応が進まないことが低収率の原因であると考えられる。さらに、ボトムアップ型のアプローチとして、ピレンユニットと酸点を持った分子触媒の合成を行った。4-ブロモフタル酸と1-ピレンボロン酸の鈴木カップリングにより、ピレンとフタル酸を併せもつPyrene-COOHを合成した。ここでカルボキシル基はメタ・パラ位の位置をもつことを確認した。Pyrene-COOHを触媒として結晶セルロースの反応を行うとグルコース収率は3.2%となり、フタル酸を用いると収率が6.5%となったことから、Pyrene-COOHはセルロースに吸着して作用している可能性があるものの、セルロースの加水分解はほとんど進行しないことが分かった。これは、触媒のカルボキシ基とセルロースのグリコシド結合の接触が限定的であることが原因であると思われる。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 21H01708
  • 触媒による芳香族高分子リグニンからの化学品合成
    科学研究費助成事業
    2012年04月01日 - 2014年03月31日
    太田 英俊; 福岡 淳; 小林 広和
    アルキルベンゼンは我々の生活に必要な医薬品やプラスチック、有機EL材料などに利用される芳香族化合物の原材料であり、そのほとんどを資源に限りのある石油から得ている。木質バイオマスであるリグニンは自然界に最も豊富に存在する芳香族高分子であり、石油に替わるアルキルベンゼンの供給源として注目されている。本研究では、リグニンの熱分解により得られるアルキルフェノールからアルキルベンゼンを合成するための新しい触媒を開発した。本反応は安価で安全な水を溶媒として、ジルコニアに担持したPt-Reナノ粒子を触媒に用いることを特徴としており、これまでの報告の中で最も高い選択率でアルキルベンゼンを得ることに成功した。
    日本学術振興会, 若手研究(B), 愛媛大学, 24760633
  • 炭素系触媒によるリグノセルロース分解
    先端的低炭素化技術開発(ALCA)
    2013年10月
    福岡 淳
    科学技術振興機構, 研究代表者, 競争的資金
  • 触媒による非食料バイオマスからの燃料・化学品合成
    科学研究費補助金(基盤研究(S))
    2008年 - 2012年
    福岡 淳; 小林 広和; 原 賢二; 小林 広和
    石油資源の減少や二酸化炭素排出による地球温暖化対策のために、再生可能エネルギーであるバイオマスから燃料や化学品を合成が切望されている。本研究では、豊富かつ食料と競合しないバイオマスであるリグノセルロース(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)の有効利用方法として、リグノセルロースを分解し化学品を合成するための新たな触媒と反応を開発するとともに、活性点の構造解析と反応機構の解明を行った。
    文部科学省, 基盤研究(S), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 20226016
  • 鋳型合成による金属ナノクラスターの触媒機能
    科学研究費補助金(特定領域研究)
    2006年 - 2009年
    福岡 淳; 原 賢二; 小林 広和
    本研究では、ゼオライトやメソポーラスシリカなどのミクロ・メソポーラス物質の規則性ナノ空間内で新規金属ナノクラスターを鋳型合成し、金属クラスターとポーラス物質の協奏機能により新しい分子変換機能を創出することを目的とした。白金ナノ粒子担持触媒を用いた水素中微量一酸化炭素選択酸化(PROX)反応では、細孔径4.0ナノメートルのFSM-22が細孔活性を示すという触媒活性の細孔径依存性についての知見を得た。その他にも、メソポーラスシリカが単なるメソ空間としてではなく、金属種との協奏的な触媒機能を発現する構造体であることを示す結果を得た。また、表面シラノール基を選択的に有機修飾するためにメソポーラスシリカの外表面上のシラノールをシリル化剤で修飾し、詳細な構造解析を行った。さらに、内表面に銅錯体を導入してフェノール誘導体の酸化的重合反応に適用した。
    文部科学省, 特定領域研究, 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18065001
  • メソポーラスシリカ担持金属ナノ粒子触媒による選択酸化反応
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2006年 - 2007年
    福岡 淳; 岩佐 信弘
    まず初年度に、金属ナノ粒子の鋳型合成と構造同定について検討を行った。メソポーラスシリカ(FSM-16、MCM-41)を担体として、細孔内で白金ナノ粒子を鋳型合成した。電子顕微鏡などの構造解析から、細孔径の大きさに対応したナノ粒子が生成していることを確認した。次に、これらを触媒に用いて燃料電池用水素中の微量CO選択酸化反応(PROX)における活性評価を行った。その結果、FSM-16担持白金ナノ粒子が、先行触媒よりもはるかに優れた活性・選択性・寿命を示すことを見出した。次年度には、PROX反応の機構研究と、オレフィン酸化反応における活性評価を行った。白金ナノ粒子/FSM-16触媒上にCOを吸着させると、気相中にCO_2が少量生成することを赤外分光法で見いだした。ここに重酸素(^<18>O_2)を加えると、CO_2中に^<18>Oは取り込まれずC^<16>O_2が生成した。さらに重水素(D_2)を導入してPROX条件にしても、C^<16>O_2生成が増大し^<18>Oは含まれなかった。以上の結果から、^<16>O源として担体の酸素がCO酸化に使われることが示唆された。従って、担体上の表面OH基が白金上のCOを攻撃して二酸化炭素と水素を生成する機構であると結論した。また、PROX反応触媒中における白金担持量の低減化を試みたところ、空間速度などの反応条件の最適化によって白金量を0.5〜1重量%にしてもCO完全除去が可能であることを見いだした。さらに、メソポーラスシリカ内に白金、パラジウム、銀のナノ粒子をそれぞれ合成し、エチレンの酸化反応を室温から200℃で検討した。酸素の転化率は100%であったが、エチレンは完全酸化によりCO_2となり、エポキシドなどの有機化合物の生成は認められなかった。従って、選択酸化のためには系中で過酸化水素を発生させる助触媒が必要であると推論した。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 18560737
  • 固体触媒によるバイオマス変換
    科学研究費補助金
    2007年
    競争的資金
  • Biomass conversion by heterogeneous catalysis
    Grant-in-Aid for Scientific Research
    2007年
    競争的資金
  • ハイブリッドメソ細孔材料を利用するナノ構造体の鋳型合成と集積触媒素子の開発
    科学研究費助成事業
    2002年 - 2004年
    市川 勝; 福岡 淳; 稲垣 伸二
    平成14年度には、まず有機基成分を(-CH_2-)n (n=2)及びフェニレン基に持つ有機・無機ハイブリッドメソ多孔質材を合成法の確立とハイブリッドメソ空間での金属及び合金ナノ細線や一次元ナノ粒子などのナノ構造体のシップインボトル合成法の展開研究を行った。メソ細孔に導入したH_2PtCl_6やHPdCl_4の還元反応を光照射下で行うことにより、ハイブリッドメソ細孔内にアレイ型ネックレスナノ細線を作成することができた。平成15年度には、水蒸気雰囲気下での水素還元により数mμ長の白金ナノ細線の大量合成法を確立した。白金及びPtRh,PtPdなどの合金のナノ細線を有機・無機ハイブリッドメソ細孔内にネックレスナノ合金細線を作成できた。鋳型合成されたネックレスナノ細線をHF試剤を用いて66%収率で抽出・単離に成功した。単離されたPt及び合金ナノ細線とナノ白金粒子について、単電子伝導性に関するCoulomb-blockage特性とナノ白金細線サイズの間に一定の相関性を見出した。FSM-16やHMM-1細孔内のPt細線は、燃料電池用水素のCO除去に対して高活性で高選択率の触媒特性を示した。平成16年度は、メソ細孔結晶中に白金以外に金、銀、パラジウムなどのナノ金属粒子や金属ナノ細線の合成及び単離抽出法を確立して、ナノ構造体の大量合成と安定化手法を開発した。ハイブリッドメソ空間内の鋳型微細加工に関する研究成果の取りまとめを行い、金属及び合金のナノ粒子や量子細線などの集積型触媒素子に関して触媒機能や特異な物性発現に向けた研究を行った。PROX反応について、FSM-16細孔内Ptナノ細線触媒は、従来法Pt触媒に比べて約300倍程高活性であり、CO酸化選択率は90%以上を示した。CO酸化活性や選択率はナノ構造体の形態や金属-担体相互作用に強く依存することが明らかになった。
    日本学術振興会, 基盤研究(B), 北海道大学, 14340213
  • 光還元法によるメソ細孔内合金ナノ細線の鋳型合成と機能開発
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2001年 - 2002年
    福岡 淳
    メソ細孔シリカ内を鋳型として金属ナノ細線の生成機構、大量合成および分離法の確立を目指した。光還元によるナノ細線の生成機構を種々検討した結果、細孔内で金属イオンの移動速度が還元速度よりも大きいときにナノ細線ができるが、逆の場合にはナノ粒子ができることが示唆された。そこで、水素還元中に水蒸気(室温での蒸気圧、約20Torr)を共存させるとイオン移動が促進され、ナノ細線が生成することを見出した。この方法では操作が簡便であるとともに、金属担持量を上げることができる。このように、金属ナノ細線の簡便な大量合成法を開発することに成功した意義は大きい。白金の他に、パラジウム、ロジウム、白金-金のナノ細線を合成した。特に白金-金の場合には、白金-金合金相の他に、白金相、金相の存在が示唆された。HMM-1からフッ酸処理により分離した白金ナノ細線の構造を透過型電子顕微鏡と走査型トンネル顕微鏡で観察した。細線の直径は3mm長さは25μmに達するものもあり、この場合アスペクト比は8300に達した。またSTM観察から、細線の表面に約3mm周期で凹凸があり、ナノネックレス構造をもつことが実証された。一方、純シリカのFSM-16内で調製した白金ナノ細線の表面は平坦であり、HMM-1の細孔に凹凸構造があることが示唆された。さらに、メソ細孔内での金属ナノ粒子合成に超臨界流体を利用した。メソ細孔シリカを担体として、含浸時に超臨界二酸化炭素処理をすることにより、高分散RhおよびRhPtバイメタリック触媒が得られた。RhPt媒では合金ナノ粒子が細孔内に高分散担持されており、ブタン水素化分解反応において高収率でエタンを生成することが分かった。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 13650836
  • 金属ナノ細線のメソ細孔内鋳型合成と触媒作用
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    1999年 - 2000年
    福岡 淳
    平成12年度は、メソ細孔シリカFSM-16(細孔径2.7nm)と有機-無機ハイブリッドメソ細孔シリカHMM-1(細孔径3.1nm)を鋳型として、遷移金属ナノ細線を合成し、構造解析、物性と触媒作用を検討した。その結果、以下の知見を新たに得た。1.FSM-16にPt塩を含浸させ乾燥を十分に行うこと、及び光還元時に共存させるアルコールを2-プロパノールからメタノールに替えることで、より長いPtナノ細線を細孔内に合成できるようになった。2.HMM-1を担体としてPtおよびRhナノ細線を細孔内に合成することができた。Rhナノ細線としては初めての例である。3.HMM-1細孔内で、Pt-Rh、Pt-Pdナノ細線に合成することに成功し、これらは結晶性の高い合金ナノ細線であることを示した。合金ナノ細線としては初めての例である。また、HMM-1細孔内のナノ細線は特徴的なナノネックレス構造をもつことを明らかにした。4.Ptナノ細線/FSM-16でブタン水素化分解反応を行うと、ナノ粒子よりも36倍高い水素化分解活性(TOF)を示した。ナノ細線という「形」が水素化分解「機能」を著しく向上させるという興味深い結果を得た。一方、Pt-Rhナノ細線/FSM-16ではイソブタンへの異性化活性が出現した。Pt-Pdナノ細線/HMM-1の低温での磁化率は、Ptナノ細線/HMM-1よりも著しく向上した。これは合金かつナノ細線構造という複合効果によるものである。5.ベンゼン/エタノール混合溶媒中で四級アンモニウム塩を共存させてPtナノ細線/FSM-16を処理すると、一部のPtナノ細線を抽出できることが分かった。これまで、鋳型としてのメソ細孔物質をフッ酸で溶解(破壊)してナノ細線を回収することは行われていたが、非破壊的な回収法である化学的抽出法が可能となった。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 11650803
  • 高分子ナノ空間内金属クラスターの分子構築とシーケンス反応制御
    科学研究費助成事業
    1998年 - 1998年
    市川 勝; 大西 隆一郎; 福岡 淳
    前年度に引き続き以下の研究成果が得られた。(1)ZrO_2やTiO_2薄膜で修飾した2.8と4.7nmサイズのメゾ細孔チャンネル内でH_2PtCl_6は還元的カルボニル化反応によりさらにクラスター鎖が成長した白金カルボニルクラスター[Pt_3(CO)_6]_n^<2->(n=5,6)が得られることが判った。TEM/EXAFS解析によるとメゾ細札内のpt_<9-15>カルボニルクラスターは、脱力ルボニル化により2-3nmサイズのpt微粒子が細孔内に均一質に合成される事が判った。(2)メゾ細孔チャンネルはPt塩の光還元反応によるナノ細線合成のための鋳型として働くことが判った。ナノ細線の長さはPt塩の担持量や紫外線照射及びγ線の照射時間により変化し、長いものでは300-500nmに達することが電子顕微鏡で観察された。光照射時間を変えて白金ナノ細線の成長過程をTEM、IR,EXAFS等で追跡すると、2時間後でH_2PtCl_6が還元されて細孔内にナノ粒子が生成した。さらに光照射するとこのナノ粒子を中心核としてPtイオンが凝集後に還元され、逐次的に短いナノ細線が生成し始め5〜6時間後に100〜200nmのナノ細線に成長することが判った。従って、還元とPtイオンの移動過程がナノ細線の生成に大きく影響するものと考察した。(3)Ptナノ細線、ナノ粒子/FSM-16の水性ガスシフト反応及びブタンの水素化分解反応に対して表面Pt当たりの触媒活性はナノ細線はナノ粒子に比べて約30〜50倍の高活性を示した。これは、細線と粒子の形態の違いに起因するFSM-16の細孔壁との相互作用の差異によると考えられる。XPS/EXAFS測定の結果から、細孔チャンネル中のPtナノ細線はPt粒子に比べて、幾分電子欠陥状態にあることが判った。
    日本学術振興会, 特定領域研究(A), 北海道大学, 10126203
  • 高分子ナノ空間内金属クラスターの分子構築とシーケンス反応制御
    科学研究費助成事業
    1997年 - 1997年
    市川 勝; 大西 隆一郎; 福岡 淳
    前年度に引き続き以下の研究成果が得られた。(1)メゾ細孔(28及び47Å径)を有する多孔質結晶内でのPt12及びPt15カルボニルクラスター錯体のシップインボトル合成が可能になり、細孔内クラスターの構造特性とCO水素化反応及び水成ガス反応に対する触媒作用を調べた。(2)光やγ線照射を利用した金属ナノ粒子やナノ細線の鋳型合成と化学的抽出捕集によるそれらの水性ガスシフト反応活性やガス吸着特性やPtPdの合金ナノ細線の生成と磁気的特性について興味ある結果が得られた。アルコールやCO共存下で白金塩を担持した28および47Åサイズの細孔チャンネルを有するFSM-16に紫外部光あるいはγ線照射を行うと、細孔チャンネルに沿って白金のナノ細線が生成した。電子顕微鏡写真より見積もると径がFSM-16メソ細孔径と等しい2.7nmで、単結晶性のナノ細線(長さが50-250nm)が密度高く得られた。また、4.7nmのサイズを有するFSM-16を用いた場合は同様な光照射とγ線照射による光還元反応により4.7nm径,長さ30-200nmの白金ナノ細線が得られた。メゾ細孔チャンネルはPt塩の光還元反応によるナノ細線合成のための鋳型として働くことがわかった。ナノ細線の長さは、Pt塩の担持量や紫外線照射及びγ線の照射時間により変化し、長いものでは300-500nmに達することが電子顕微鏡で観察された。Ptナノ粒子とナノ細線試料の水性ガスシフト反応の表面PtあたりのTOF活性はナノ細線試料の方がナノ粒子試料に比べて、10倍以上高いことがわかった。また、NEt_4Cl/EtOH/Benzene溶液を用いることにより抽出された白金ナノ細線は電子線回析の結果から(110)面心対称性のC軸(100)方向にのびた単結晶であることがわかった。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 北海道大学, 09232204
  • 特殊反応場触媒活性種モデルとなる有機ヘテロ2核/クラスター錯体の合成と反応性
    科学研究費補助金(重点領域研究)
    1997年 - 1997年
    福岡 淳; 小宮 三四郎; 平野 雅文; 福岡 淳
    遷移金属触媒において異種金属がもたらす協同効果は広く知られている。このような協同効果は異種金属界面という特殊な反応場における相乗効果であると考えられているが、これらを分子レベルで解明した例はほとんど知られていない。本研究では白金を含むヘテロバイメタリック錯体において、白金上のエチル基からのβ水素脱離反応および白金上のヒドリドとアルキンの反応において異種金属が白金に与える影響を分子レベルで解明することに成功した。エチル基を有する白金を含むヘテロバイメタリック錯体の合成は1,2-ビス(ジエチルホスフィノ)エタン(以下、dpeと記す)を持つ単核エチル白金錯体Pt(Et)(I)(dpe)とNa[CpMO(CO)_3]、Na[CpW(CO)_3]またはNa[Co(CO)_4]とのメタセシス反応により合成した[(dpe)EtPt-MoCp(CO)_3,(dpe)EtPt-WCp(CO)_3,(dpe)EtPt-Co(CO)_4]。これらの錯体の加熱によりβ水素脱離反応が進行し、エチレンとそれぞれ対応するヒドリド2核錯体を与えた。また、これらの反応はエチル2核錯体に対して1次反応であった。これらの2核錯体のβ水素脱離反応は単核のエチル白金錯体に比ベて速く進行した。ヒドリド白金モリブデン錯体(dpe)HPt-MoCp(C0)_3は、アセチレンジカルボン酸ジメチルやトランなどの2置換アセチレン誘導体と反応し、HMoCp(CO)_3と0価白金錯体Pt(RC≡CR)(dpe)を与えた。これは我々がすでに報告しているヘテロバイメタリック錯体におけるアルキル基の移動と類似した反応性であり、白金の酸化によりアルキルやヒドリドが隣接した金属に容易に移動することを示している。しかし、1置換アセチレン誘導体であるアセチレンモノカルボン酸エステルやフェニルアセチレンを用いると白金上のヒドリドがアルキンにマルコフニコフ付加しモリブデン上のカルボニルの1つが脱離し、1つが架橋配位した(dpe)Pt(m-CR=CH_2)(m-CO)MoCp(CO)が得られた。
    文部科学省, 重点領域研究, 東京農工大学, 研究代表者, 競争的資金, 09218218
  • メソ多孔体の触媒機能
    科学研究費補助金
    1997年
    競争的資金
  • Catalysis of mesoporous materials
    Grant-in-Aid for Scientific Research
    1997年
    競争的資金
  • 特殊反応場触媒活性種モデルとなる有機へテロ2核/クラスター錯体の合成と反応性
    科学研究費補助金(重点領域研究)
    1996年 - 1996年
    福岡 淳; 平野 雅文; 小宮 三四郎
    我々は、有機へテロ二核/クラスター錯体上のアルキル基の反応性に対する異種金属の共同効果について研究している。本年度はパラジウムを含む新規二核錯体の合成・同定とCO挿入の反応性について検討した。PdとMo、W,Coの組み合わせをもち、Pd上にメチル基を有する新規二核錯体の合成を行い、構造解析を行った。X線構造解析から、(dpe)MePd-Co(CO)_4(1)のPd周りは平面四配位、Co周りは歪んだ三方両錐型の構造であることがわかった。さらにCo上のCO配位子のうち、ひとつがベントセミブリッジング型であることがわかった。錯体1をCOと反応させるとPd-Me間にCOが挿入したアセチル二核錯体が収率良く得られた。類縁化合物と反応速度の比較を行うと、錯体1はPdMeCl(dpe)や(dpe)MePt-Co(CO)_4よりも高い反応性を示すことがわかった。ここで、Na[Co(CO)_4]添加によっても反応速度の阻害がみられなかったことから、反応中、Pd-Co結合は保持されているものと考えられる。さらに、^<13>COを用いて反応を行ったところ、アセチル炭素の^<12>C/^<13>C比は2.0-2.5となり、^<12>COが多いことがわかった。系中に^<12>COが4等量存在し、^<13>COが27等量存在することを考えると、もし反応中にスクランブリングが起これば^<12>C/^<13>比は0.15になるはずである。従って、上の結果はCo上のCO配位子が優先的にPd-Me間に挿入することを示している。これはPdとCoの共同効果によるものと推定される。今後は触媒反応への展開を行いたい。
    文部科学省, 重点領域研究, 東京農工大学, 研究代表者, 競争的資金, 08232226
  • 特殊反応場触媒活性種モデルとなる有機ヘテロ2核/クラスター錯体の合成と反応性
    科学研究費補助金(重点領域研究)
    1995年 - 1995年
    福岡 淳; 平野 雅文; 小宮 三四郎
    今年度は新規有機ヘテロ2核/クラスター錯体として、エチル基と1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(以下dpeと略)を配位子をもちPtとMo、W、Mn、Coの組み合わせからなる二核錯体の合成を行った。さらにPd上にメチル基をもち、Mo、W、Coを含む二核錯体を合成・単離することができた。また、ナフサ改質触媒のモデルとなる有機Pt-Re-S錯体の合成を行った。さらに、チオラト基を有するチタノセン錯体とノルボナジエン配位子をもつ有機Pt錯体との反応により、チオラト配位子がPtとTiに架橋した2核錯体の合成・単離に成功した。錯体の同定はIR、NMR、元素分析、化学反応性により行った。ここで、(dpe)MePd-Co(CO)_4、Me_2Pt(μ-SMe)_2TiCp_2および有機Pt-Re-S錯体では良好な単結晶が得られ、X線構造解析により分子構造を決定することができた。メチル基とPdを含む(dpe)MePd-Co(CO)_4では室温、1気圧という条件下でCO挿入反応が進行し対応するアシル2核錯体を収率80%で与えた。また、CO挿入反応はCo(CO)_4部分により促進されることがわかった。さらに、dpeを配位子としてエチル基とPtを含む二核錯体では、熱分解条件下で還元的脱離よりもβ-水素脱離が速やかに進行し、エチレンを生成することを見いだした。特に、Pt-Mo、Pt-W錯体ではエチレンとともに対応するヒドリド二二核錯体が生成し、これを単離・同定した。この反応は二核構造を保持したままβ-水素脱離が進行する例である。動力学的な検討から、このβ-水素脱離反応は会合型機構で進行するものと推測された。
    文部科学省, 重点領域研究, 東京農工大学, 研究代表者, 競争的資金, 07242223
  • 担持金属触媒のモデル錯体による金属-担体相互作用の研究
    科学研究費補助金(奨励研究(A))
    1993年 - 1994年
    福岡 淳
    本研究では、担持金属触媒のモデルとなる錯体を合成し、触媒反応特性に大きな影響を与える金属-担体相互作用の本質に関する分子レベルでの検討を行うこと、およびその錯体を用いた触媒反応を行うことを目的とした。まず、シリカ担持白金触媒のモデルとして、単核および複核の有機白金シロキソ錯体PtMe(OSiPh_3)(cod)(1)と[((cod)MePtO)SiPh_2]_2O(2)を合成した。新規錯体1,2の構造はIR、NMR、元素分析、化学反応により行った。また、1の分子構造はX線構造解析により決定した。錯体1は室温以下、1気圧の水素雰囲気下で容易に還元され、配位子の水素化物と白金コロイドを与えることを見出した。この白金コロイドを透過型電子顕微鏡で観察すると、その粒子径は5-10nmであることがわかった。この還元反応を利用して、錯体1をアルミナ表面に含浸担持させ、溶液中で水素と反応させることにより、温和な条件下でPt/Al_2O_3(3)が得られた。透過型電子顕微鏡の観察から白金の粒子径は約8nmで、塩化白金酸から通常法で調製したPt/Al_2O_3(4)に比べ、より白金が均一に分散していることが分かった。3による1,5シクロオクタジエンの水素化反応を行うと部分水素化のみ進行し、シクロオクテンが得られた(収率60%、選択率100%)。一方、4を用いた場合には完全水素化が進行してしまい、シクロオクタンが得られた(収率100%)。
    文部科学省, 奨励研究(A), 東京農工大学, 研究代表者, 競争的資金, 05855113
  • 石油改質触媒のモデルとなる金属クラスター錯体によるアルカンの活性化
    科学研究費助成事業
    1993年 - 1993年
    小宮 三四郎; 平野 雅文; 福岡 淳
    石油改質触媒では白金にレニウムを添加し、硫化水素で予備硫化したものが用いられ、C-H結合の切断など非常に多くの化学的に興味深い反応が起きることが知られているが、本研究ではその活性種モデルとして新しい硫黄架橋を有する有機白金-レニウムクラスター錯体を合成単離した。即ち、アルキルクロロ(1、5-シクロオクタジエン)白金とテトラカルボニルレニウム(μ_3-S)トリメチルスズとのメタセシス反応により黄色の結晶[{R(cod)Pt(μ_3-S)Re(CO)_4}_2{RPt(μ_3-S)Re(CO)_4}]_2(R=Me,Et,Benzyl,cod=1,5-cyclooctadiene)を合成単離した。メチル誘導体は200℃で熱分解するとメタンをゆっくり生成したが、対応するメチルクロロ白金錯体に比べ非常に熱的に安定で、硫黄およびレニウムの効果として注目される。一方、アルキル基としてエチル基を有する錯体の熱分解では、β-水素脱離反応が促進され、エチレンを主に与えた。これは石油改質白金触媒へのレニウムおよび硫黄の効果として興味深い。速度論的検討の結果、β-水素脱離反応が促進されたのはクラスター錯体の熱分解反応が1、5-シクロオクタジエンの解離を律速としていることに由来していると考えられた。さらに、この錯体を触媒とした1、5-シクロオクタジエンの水素化を行ったところ、異性化能が高いことが分かった。
    日本学術振興会, 一般研究(C), 東京農工大学, 05805065
  • 制ガン性有機金錯体と核酸塩基との特異的相互作用
    科学研究費助成事業
    1993年 - 1993年
    小宮 三四郎; 平野 雅文; 福岡 淳
    われわれはこれまで三級ホスフィンを配位子とする金錯体の制ガン活性に注目し、いくつかのトリアリールホスフィンの金錯体を合成し核酸塩基との反応について検討してきた。本研究では錯体の水溶性向上を目的とし、トリヒドロキシメチルホスフィンを配位子とした金錯体の合成および核酸塩基との相互作用について検討した。クロロ(トリヒドロキシメチルホスフィン)金錯体はクロロ(シクロオクテン)金錯体とトリヒドロキシメチルホスフィンの反応から得た。この錯体は硝酸銀の存在下でグアノシン、アデノシンおよびシチジンと反応し、これらが一分子金に配位した新しい錯体ニトラト(核酸塩基)(トリヒドロキシメチルホスフィン)金を与えることが分かった。また、金に配位した核酸塩基は遊離の核酸塩基と速く交換していることがNMRから明らかとなった。反応の平衡定数から金に対する核酸塩基の配位力はシチジン>グアノシン>アデノシンの順であることが分かった。これらの三級ホスフィン金錯体への核酸塩基の配位においては、エントロピーとエンタルピーの間に強い補償効果があることが分かった。さらに、これらの水溶性金錯体はP388に対して若干の制ガン活性があることが分かった。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 東京農工大学, 05209207
  • 制ガン性有機金錯体と核酸塩基との特異的相互作用
    科学研究費助成事業
    1992年 - 1992年
    小宮 三四郎; 福岡 淳
    トリアリールホスフィンを配位子とする金(I)ニトラト錯体とグアノシン、アデノシン、シチジンなどの核酸塩基との反応から、これらが1分子配位した新しい金(I)錯体を単離した。これらの錯体は溶液中で遊離の核酸塩基と速い交換反応を起こしており、その機構はダイナミックNMRシミュレーションにより会合的機構であることが明らかとなった。この反応ではトリアリールホスフィンのオルト位に置換基を有すると交換速度が遅くなることがわかった。この系に二つの核酸塩基を同時に存在させ、金に対する相対的配位力について検討した。NMRの化学シフトからその平衡定数を算出したところ、核酸塩基の金に対する配位力はシチジン、グアノシン、アデノシン、チミジンの順であり、シスプラチンの場合とは異なることがわかった。これらの反応における△G、△Hおよび△Sとトリアリールホスフィンのコーンアングル(立体的要因)および置換基のO^*(電子的要因)との間にはほとんど相関がなかったが、反応の△HとT△Sとの間には強い補償効果が観測された。また、これらヌクレオシドとリン酸基を有するヌクレオチドとの熱力学的配位力の違いを検討したところ、ほとんどなくリン酸基が反応に関与していないものと考えられた。既ち、核酸塩基の金に対する配位は塩基部分の特定の位置であるものと推定される。
    また、これらの錯体の水への溶解性は薬剤として利用するときには非常に重要である。そこで、これらの錯体の水溶性を増加させるためにトリス(アミノエチル)ホスフィンやトリス(ヒドロキンメチル)ホスフィンを用いることにより、類似の金(I)錯体を合成した。
    日本学術振興会, 重点領域研究, 東京農工大学, 04225208
  • 7または8族遷移金属錯体によるC-H結合の選択的活性化と有機合成への応用
    科学研究費助成事業
    1991年 - 1992年
    小宮 三四郎; 福岡 淳
    本研究では配位不飽和種を容易に生成すると考えれらる7および8族遷移金属錯体を合成単離し、これらと種々の置換オレフィンや活性水素化合物との反応を検討することにより、官能基をもつ有機化合物のC-H結合の選択的活性化について明らかにした。まず、出発物質として、ReH(C_2H_4)_2(PMe_2Ph)_3、(1)、ReH(N_2)(PMe_2Ph)_4、(2)、〔MnMe_2(dmpe)_2〕^+〔Alme_4〕^-、(3)、〔Mn-Me_2(dmpe)_2〕^+〔BPh_4〕^-、(4)、RuH_2(PPh_3)_4、(5)、Ru(C_2H_4)(PPh_3)_3、(6)、Fe(N_2)(depe)_2、(7)、を合成単離した。錯体2、5または6と活性水素化合物との反応ではエノラートアニオンが金属に配位した錯体を単離した。シアノ酢酸エステルから誘導されるエノラート錯体では、エノラートがシアノ基で金属に配位しており、温和な条件下でアルデヒドやアクリロニトリルと容易に反応し、それぞれアルドール型およびマイケル付加型生成物を与えた。これに対し、2,4-ペンタンジオン由来のエノラート錯体は反応性が低く安定であった。錯体2,5,6,エノラート錯体およびRu(Cod)(cot)1dep系はシアノ酢酸エステルとアルデヒドとのアルドール型反応およびマクリロニトリルとのマイケル型反応の良好な触媒となった。これらの結果は、本研究で単離された錯体がこれらの触媒反応の活性中間体であることを示しているとともに、その基賃選択性を裏付けるものである。
    錯体5または6と不飽和カルボン酸エステルとの反応ではSp^2性およびSp^3性のC-H結合の選択的切断が起き、酸化的付加生成物であるヒドリドアルケニルおよびヒドリドアリル型の錯体が得られた。後者ではさらにαアリル中間体を経てジエン型の錯体が生成した。これらの錯体の生成に関する位置選択性は生成物の熱力学的安定性に強く依存した。また、レニウム錯体によるα-シアノケイ皮酸エステルとテトラシアノエチレンとのオレフィンメタセシス反応が見い出された。
    日本学術振興会, 一般研究(B), 東京農工大学, 03453099
  • シップ-イン-ボトル合成による不均一系反応場の分子設計と反応制御
    科学研究費助成事業
    1991年 - 1992年
    市川 勝; 大西 隆一郎; 紫藤 貴文; 福岡 淳
    選択性の高い金属触媒を分子設計するためには、よりよく規定された金属活性中心を固体表面に精密合成するとともに、反応場である金属配位圏の周辺構造、反応空間を規制することが重要である。金属クラスター化合物は一定の組成を持つ金属原子集団の分子であるので固体表面に担持したときによりよく規定された活性中心を与える前駆体として有望である。本研究はゼオライトや粘土鉱物などの無機細孔内をミクロな試験管とみなして細孔内の特有な反応環境を利用して好ましい有機金属錯体を合成するShip-in-Bottle法を開拓し細孔内に高度な分子認識性をもつ反応場を分子原子レベルで精密設計することを目的して進められた。具体的には分子形状選択性を有するゼオライト細孔内に各種の金属カルボニルクラスターを内部合成し、それを触媒前駆体に用いて高度に構造規定された分子性金属クラスター及び酸化物クラスターを精密合成を行った。これにより、CO水素反応、NO+CO反応、オレフィンメタセシス反応、メタンの活性化などの触媒反応に対する高選択的な固体触媒の構造解析や触媒反応の構造制御に関する知見を集積することができた。本研究実験期間中にゼオライト細孔内の疑似的な“Solid-Solvent"の鋳型反応場を利用して、Rh_6(CO)_<16>,Ir_6(CO)_<16>,[Pt_3(CO)_6]^<2->_n(n=3,4)などの新しい金属カルボニルクラスターの“シップインボトル合成"に成功し、その細孔内での存在状態、金属骨格構造に関してEXAFS,FT-IRなどの分光的手段を用いて詳細な情報を得ることができた。[Pt_3(CO)_6]^<2->_n/NAYはNO+CO反応や水性ガスシフト反応に活性であり、さらに、光照射により、水性ガスシフト反応は顕著な増大が認められ、細孔内の金属クラスターに対する新規な光増加効果をみいだした。これらの反応はPt_3(CO)_6ユニットの解離再結合を伴うダイナミックなRedox機構で進行していることを明らかにした。さらに、グラファイトに担持した金属クラスターの構造をSTMを用いて観察した。これらの研究は、細孔内の金属カルボニルクラスターの合成と構造制御に関する興味ある知見が得られたばかりでなく、ミクロポアー内の金属クラスターの精密設計への基盤的指針を提供すると共に、不均一系触媒への反応制御のための分子的アプローチのための開拓的成果が得られた。
    日本学術振興会, 一般研究(B), 北海道大学, 03453001
  • 新機能触媒開発のための触媒試験用メスバウアー分光装置の試作と応用
    科学研究費助成事業
    1990年 - 1992年
    富永 健; みない 佳孝; 福岡 淳; 市川 勝; 福島 貴和
    触媒やその前駆物質のキャラクタリゼーションを目的としたメスバウアー分光装置を試作し、実試料に適用した。数種の触媒測定用セルを試作した結果、試料の性質や研究目的に応じて使い分けることが可能となった。
    シリカ担持鉄添加白金族触媒などの触媒活性と鉄の存在状態の関係を明らかにするために、触媒調製過程での鉄の存在状態の変化をメスバウアー分光法により追跡した。触媒の調製条件によって、鉄の存在状態が大きく変化することが示された。この結果は、調製プロセスの選択によって触媒活性などが変化することと密接な関係があるものと解釈された。ゼオライト細孔内に合成した鉄(II)錯体の反応性や構造の解析にもメスバウアー分光法を適用した。フタロシアニン鉄(II)については触媒活性が報告されているが、メスバウアーパラメーターは多結晶の場合とほぼ一致した。しかし、ゼオライト細孔内での反応性についてみると、多結晶の場合と著しく異なることがスペクトルから明らかとなった。ビピリジンやo-フェナントロリンなどのかさ高い配位子との八面体錯体をゼオライト細孔内に合成した場合には、メスバウアーパラメーターは多結晶の場合とは明らかに異なる値を示した。この結果はゼオライト細孔の空間的な規制による錯体構造の歪みを示すものと考えられる。また、ゼオライト細孔に捕捉されることによって、スピン状態に変化がみられる場合も示された。これらの結果は、ゼオライト細孔内の金属錯体の構造などの変化を利用した新たな触媒設計の道を開くものである。
    この他に、ハイドロタルサイト層間や表面における鉄(II)錯体の存在状態をメスバウアー分光法により明らかにした。これらの成果は触媒を対象としたメスバウアー分光装置の応用の可能性を示すものである。
    日本学術振興会, 試験研究(B), 東京大学, 02554024
  • レーザー光を用いた金属クラスター錯体の骨格変換反応
    科学研究費助成事業
    1991年 - 1991年
    福岡 淳
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 東京農工大学, 03854069
  • ゼオライト内金属フタロシアニン錯体の構造と触媒機能に関する研究
    科学研究費助成事業
    1990年 - 1990年
    福岡 淳
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 02855189
  • 自己増殖機能を有する反応場の分子設計と反応制御
    科学研究費助成事業
    1990年 - 1990年
    市川 勝; 大西 隆一郎; 田中 勝己; 福岡 淳
    生体触媒である酵素反応の大きな特徴として、自己と同型のものをくりかえしくりかえし生産する機能、すなわち鋳型増殖能がある。こうした自己増殖反応場を無機材料に構築するには、反応分子に対して高度の分子認識性を有する局所構造を有する反応場を原子レベルで精密設計することが必要である。本年度は自己増殖機能を有する反応場としてY型及びX型ゼオライト(12A細孔径)細孔内にピケットフェンス型金属フタロシアニン及びモリブデン複核錯体を内部合成しその構造特性とアルカン末端ヒドロキシル化反応及びオレフィンメタセシス及びホモロゲジョン反応に対する分子形状触媒選択性に及ぼす分子認識度を調べ検討した。
    まずNaYゼオライト細孔内にHFe_3(CO)_<11>ーカルボニルクラスタ-を内部合成し、これを酸化遷元処理を行ってゼオライト細孔内にFe超微粒子を作成した。これを鋳型にしてフタロニトリルあるいはtーブチルフタロニトル加え反応させそれぞれザオライト細孔内にFeフタロシアニソ(FePc)あるいはtーブチル置換Feフタロシアニン(FePc(tーBu)_4)を内部合成することが出来た。細孔内捕捉FePc及びFePc(tーBu)_4の構造的性質に関して、Kー吸収端EXAFS、XANES、 ^<57>Feメスバウア-分光法、赤外分光及び可視紫外部吸収解析を行った。その結果ゼオライト細孔内のFeフタロシアニンにはフタロシアニン環の平面に歪が見られ、特にtーブチル基置換フタロシアニンではFeーN結合が伸び又配位数の低下が観察された。tーブチル置換のFeフタロシアニンでは分子のカサ高さのためヘキサンのヨ-ドソベンゼンによる酸化反応ではゼオライト細孔内tーブチル置換FePcにおいて末端ヒドロキシル化選択率が極めて高いことが見いだされた。シリカ上にMo_2(NMe_2)_4及びMo_2(OAc)_4担持固定した触媒についてEXAFS及びESRの観察を行ったところシリカ上に複核Mo構造を保持して固定されることが見いだされた。これを用いたエチレン、プロピレンの反応に対し二量化触媒特性と高活性なメタセシス反応が見いだされた。立体規制誘引因子及び反応分子取り込みに対する反応機構との関連を検討し、さらに高度な自己増殖性の分子反応場の設計を試みる。
    日本学術振興会, 一般研究(C), 北海道大学, 02640330
  • 分子性クラスタ-のミクロポア-内精密設計とアルカンの選択的活性化
    科学研究費助成事業
    1987年 - 1989年
    市川 勝; 福岡 淳
    今年度は62、63年度までに得られた結果をもとにして、NaYゼオライト細孔内に合成したRh_3(CO)_<16>、1r_6(CO)_<16>、Rh_<6ー×>lr_×(CO)_<16>などのカルボニクラスタ-の構造解析をさらに詳細に進めた。また、これを前駆体にした触媒上でアルカンの水素化分解分反応やベンゼン水素化反応を行い、細孔内活性サイトの構成原子が触媒反応に及ぼす多中心共同効果についてアンサンブル効果・リガンド効果の観点から検討した。すなわち、Rhイオン、lrイオン、混合Rh+lrイオン系でイオン交換したNaYゼオライトの還元的カルボニル化反応により、それぞれRh_6(CO)_<16>、lr_6(CO)_<16>、Rh_<6ー×>lr_×(CO)_<16>(×=1ー5)を合成し、その構造をFTIR、EXAFS、^<129X>e NMRで調べた。その結果、以上のカルボニラスタ-が細孔内に均一に分散し捕促されていることがわかった。さらに今回新たに、NaY内で副生するRh(CO)_2が気相の ^<13CO>と室温で速やかに交換反応を起こすこと、Rh_6(CO)_<16>での交換反応の速度は遅いこと、Rh_6(CO)_<16>は気相中の ^<13CO>と交換を起こすのではなくRh( ^<13CO>)_2との二分子間反応により ^<12CO>と ^<13CO>を交換することがわかった。 Rh_6(CO)_<16>、lr_6(CO)_<16>、 Rh_4lr_2(CO)_<16>などのカルボニルクラスタ-を水素還元して調製した触媒上でnーブタンの水素化分解反応を行うと、反応活性がlr原子のRhクラスタ-希釈により顕著に減少するアンサンブル効果が観測された。このようなアンサンブル効果はエタン水素化分解反応でみられた。nーブタン水素化分解反応における生成物選択率をみると、Rhlrクラスタ-触媒では、中央CーC結合切断の選断率が高くなりエタン生成が増大することがわかった。他方ベンゼン水素化反応はクラスタ-構造に対して構造不敏感であった。以上のように、今年度はそれまでに光好な結果を示したものにつきトレ-サ-実験などで動的反応解析を行い触媒系の最適化を図った。また3年間の研究を総括し、今後の触媒設計のための指針を得た。
    日本学術振興会, 一般研究(B), 北海道大学, 62470069
  • バイメタリッククラスター担持触媒の調製と選択的有機合成反応への応用
    科学研究費助成事業
    1987年 - 1987年
    福岡 淳
    日本学術振興会, 奨励研究(A), 北海道大学, 62750774
■ 産業財産権
■ 学術・社会貢献活動/その他
学術貢献活動
  • NEDO技術委員
    2014年08月01日
    学術調査
    NEDO
社会貢献活動
  • さきがけ領域アドバイザー
    2015年04月04日
    助言・指導
    科学技術振興機構
  • JST-ALCA秋鹿分科会及びSIPエネルギーキャリア運営・評価委員会委員
    2013年05月01日 - 2015年03月31日
    助言・指導
    科学技術振興機構