日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 1996年 -1998年
代表者 : 出村 克彦, 永木 正和, 近藤 巧, 飯沢 理一郎
(1) 目的及び方法
北海道産米の市場競争力をコメの卸小売り業者の評価による「商品特性」としてまとめた.評価のためのデータは,本道産米の良食味米「きらら397」を対象として,道内の卸売業者の悉皆調査,各地域の主要な小売業者,道外の道産米取り扱いの大手卸売業者の調査によるものである.また客観的基準として,反収,等級,気象要因,生産費によるデータを用いた。評価単位は市町村(産地)である.本道の良食味米産地として,旭川・東川・東神楽地域のコメを基準に取り,全国的良食味米との比較では「新潟コシヒカリ」を基準として,北海道産地の相対評価を行った.
コメの卸小売業者から見たコメの商品特性としては,コメの品質,品質の安定性,ロットの大きさ,農業サービスの4要素を採用した.特にコメの品質は重要であり,これは食味,見た目の良さ,等級等を総合したものである.卸小売業者の4要素に対する評価は違いがあり,その違いを統合するために,階層化意思決定法(AHP:Analytic Hierarchy Process)を適用した.
(2) 結果
主要な評価は,(1)卸売業者のAHP加重平均評価による産地区分,(2)小売業者のAHP加重平均評価による産地区分,(3)卸小売業者のAHP加重平均総合評価による産地区分,(4)安定性,等級,気象要因の評価による産地区分,(5)生産費による産地区分において求められた。これと比較するために,自主流通米価格形成センター「平成8年産きらら397産地銘柄区分」及び米穀データーバンク「米マップ'97」を対照とした.仔細は,「研究成果報告書」または「北海道米の商品特性に関する調査」北海道農産物協会,平成9年を参照.