吉田 紘行(ヨシダ ヒロユキ) |
理学研究院 物理学部門 電子物性物理学分野 |
教授 |
銅酸化物高温超伝導体Bi2212のアンダードープ試料においてSTM/STS実験を行い、この系で問題となっている電荷秩序が観測されるエネルギー領域(電子的な準粒子状態に対応する正の適当なエネルギー領域でのみ観測されるか?)について調べた。また、このエネルギー領域と超伝導ギャップや擬ギャップとの関係についても調べた。講演では、これらの結果について報告する。
Ag_2_CrO_2_はAg_2_非磁性伝導層とCr^3+^(S=3/2)の三角格子を形成するCrO_2_磁性絶縁層が交互に積層した二次元反強磁性体である。電気抵抗がT_N_=24Kで急激な減少を示すことから,伝導電子とCr^3+^の局在スピン間に強い結合があることが予想される。今回,パルス磁場下での磁気伝導測定を行ったところ,低温で磁気抵抗のヒステリシスを伴う変化が観測された。講演では,この物質の磁性と伝導について議論する。(172文字)
CaCu_3_(OH)_6_Cl_2_・0.6H_2_OはS = 1/2カゴメ格子反強磁性体の良いモデル物質である。本講演では、19 Tまでの粉末強磁場NMR、5.5 Tまでの単結晶NMRの結果を報告し、CaCu_3_(OH)_6_Cl_2_・0.6H_2_Oの基底状態について議論する。
我々はS = 1/2カゴメ格子反強磁性体CaCu_3_(OH)_6_Cl_2_・0.6H_2_Oの単結晶育成に成功した。T^*^ = 7 Kに磁気秩序の形成を示唆する磁化、比熱の異常が観測された。また、比熱には温度比例項が存在し、何らかの特異な磁気励起の存在が示唆される。当日は、単結晶を用いた結晶構造解析、磁化、比熱、強磁場磁化測定の結果について報告し、本物質の特異な磁性について議論する予定である。
今回我々は、S = 3/2カゴメ格子反強磁性体Li_2_Cr_3_SbO_8_の粉末試料を用いた磁化、比熱、強磁場磁化過程の測定を行った。T^*^ =4 Kにおいて磁気状態の形成を示唆する磁化、比熱の異常が観測され、強磁場磁化測定からはT^*^以下で1/9磁化プラトーが観測された。本公演では、以上の実験結果を詳細に報告するとともに、その磁性について議論する。