犬飼 剛 (イヌカイ ツヨシ)

農学研究院 基盤研究部門 生物資源科学分野講師

研究者基本情報

■ 学位
  • 博士(農学), 北海道大学
■ URL
researchmap URLホームページURL■ ID 各種
J-Global ID■ 研究キーワード・分野
研究キーワード
  • Brassica rapa
  • イネいもち病
  • Turnip mosaic virus
  • デンプン合成
  • 圃場抵抗性
  • 病徴制御
  • 登熟
  • Oryza Sativa
研究分野
  • 環境・農学, 遺伝育種科学
■ 担当教育組織

研究活動情報

■ 受賞
  • 2017年04月, 日本植物病理学会, 日本植物病理学会論文賞
    Identification of the TuNI gene causing systemic necrosisin Arabidopsis ecotype Ler infected with Turnip mosaic virus and characterization of its expression(JGPP, 2015, 81:180–191)
    Jinyan Liu •;Bo Min Kim;Yo-hei Kaneko;Tsuyoshi Inukai;Chikara Masuta
■ 論文
■ その他活動・業績
■ 主な担当授業
  • 農業生物学特論, 2024年, 修士課程, 農学院
  • 農業生物学特論演習, 2024年, 修士課程, 農学院
  • 一般教育演習(フレッシュマンセミナー), 2024年, 学士課程, 全学教育
  • 植物感染生理学, 2024年, 学士課程, 農学部
■ 所属学協会
  • 日本植物病理学会
  • 日本育種学会
■ 共同研究・競争的資金等の研究課題
  • イネ感染特異的タンパク質PR1bのアポプラストにおける挙動並びに防御機能の解明
    科学研究費助成事業
    2023年04月01日 - 2026年03月31日
    犬飼 剛
    コシヒカリに見出されたいもち病高度罹病性QTLの責任遺伝子が機能喪失したPR1bであることを確かめるため、トウモロコシのユビキチンプロモーターに日本晴由来の野生型PR1bをつないだコンストラクトを作成し、これをpBract発現ベクターに組み込んでアグロバクテリウム法によりコシヒカリに導入した。形質転換体の世代を進め、本年度T2固定系統が得られたことから、これらを用いて噴霧接種法によるいもち病抵抗性の検定を行った。その結果、T2固定系統において抵抗性病斑の割合の増加など、量的な抵抗性の増大が認められた。この結果から、コシヒカリがもついもち病高度罹病性QTLの責任遺伝子は機能喪失したPR1bである可能性が高いと考えられた。また、抵抗性病斑の割合が増加する傾向が認められたことから、PR1bはいもち病菌の増殖を阻害するか、あるいは植物自身の抵抗性を増大させる機能があることが示唆された。一方、日本晴のPR1bに関するコシヒカリの準同質遺伝子系統と比較した場合、抵抗性の程度に大きな違いは認められず、過剰発現により効果が高まることはないと考えられた。
    PR1タンパクのC末端11アミノ酸は、プロテアーゼによって切り出されCAPEと呼ばれるペプチドシグナルとして防御反応の誘導に働くことが知られているが、イネのPR1bにもCAPEと相同な配列が存在する。イネPR1b由来のCAPEの機能を調べるため、人工合成したCAPEをイネ葉に施与していもち病菌に対する抵抗性が誘導されるか接種試験を行って調べたところ、処理葉において明瞭な抵抗性の増大は認められなかった。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 23K05160
  • イネいもち病圃場抵抗性遺伝子Pid3-I1の作用機作の解明
    科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    2020年04月 - 2023年03月
    犬飼 剛
    Pid3-I1はいもち病菌に対して量的に働く抵抗性遺伝子である。このPid3-I1の効果をそれぞれCO39とコシヒカリの遺伝的背景下で比較すると、CO39とコシヒカリの罹病程度は同定程度であるにも関わらず、コシヒカリの遺伝的背景下ではPid3-I1の効果がCO39におけるそれと比べて低い傾向にあった。これはPid3-I1と相互作用して抵抗性を増大させる因子があることを示唆している。この因子を同定する目的で、いもち病菌感染時における防御関連遺伝子の発現パターンをCO39とコシヒカリで比較したところ、コシヒカリではPR1bの発現が全く誘導されないことを見いだした。PR1タンパク質は抗菌タンパク質として病原菌類に作用するだけでなく、タンパク質C末端の11アミノ酸がプロテアーゼによって切断され、CAPE1ペプチドエリシターとして抵抗性の誘導に関わることが他種植物で報告されており、イネにおいてPid3-I1を介した抵抗性誘導経路がCAPE1を介した経路とクロストークしている可能性が示唆された。本研究では、まずコシヒカリにおいてPR1bが発現しない原因を調べた。その結果、PR1bのアミノ酸コード領域にレトロトランスポゾン様因子が挿入されており、この挿入変異によって遺伝子の機能が喪失していることが明らかになった。また、このPR1b座における多型をマーカー化して日本の栽培品種における拡がりを調べたところ、主要品種のほとんどがこの変異をもつことが示された。このため、現在の日本品種にPid3-I1を導入しても十分な圃場抵抗性の向上が期待できない可能性がある。今後、PR1bをコシヒカリに導入した過剰発現体を作成し、イネにおけるPR1bの機能を解析するとともにPid3-I1との相互作用を解析する。
    日本学術振興会, 基盤研究(C), 北海道大学, 20K05968
  • イネいもち病圃場抵抗性遺伝子qBRM6.2の単離と機能解析
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2016年 - 2018年
    犬飼剛
    文部科学省, 研究代表者, 競争的資金
  • 抵抗性反応と連動したアスコルビン酸による抗ウイルス機構の解析
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2012年 - 2014年
    犬飼 剛
    ハクサイ・カブ及びアラビドプシスにおいて内生AsA量とウイルス耐性の関係を調べたところ、これらの間に有意な相関が認められ、またAsA合成の基質を投与して一過的にAsA量を増加させたところウイルス耐性が増加した。これらの結果から内生AsAに抗ウイルス作用があることが明らかになったため、次にハクサイ・カブにおいてウイルス感染に応答してAsAが蓄積するかどうか調べたところ、抵抗性品種において50%程度の増加が認められた。このAsAの増加は、JAシグナル伝達経路を介した、AsAの酸化酵素APX及びAOの発現抑制並びにAsAのリサイクルに働くDHARの発現促進によるものと考えられた。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 24580001
  • 植物ウイルス病における病徴制御法の開発~アブラナ科植物とカブモザイクウイルス~
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2008年 - 2010年
    犬飼 剛; 増田 税; 藤原 綾香
    カブモザイクウイルスに感染したハクサイ・カブにおける病徴は、宿主・ウイルス双方の遺伝子の組合わせによって決定される。本研究では、ウイルスに対する抵抗性反応並びに感染後の病徴である全身えそ、葉の奇形及びモザイクが宿主のRnt1遺伝子座とウイルスのCI遺伝子における遺伝子型の組合せによってそれぞれ決定されることを明らかにした。
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 20580002
  • 植物ウイルス感染による病微のタイプはどのようにして決定されるか
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    2005年 - 2006年
    犬飼 剛
    アブラナ科の作物ではカブモザイクウイルスに感染するとえそやモザイクといった病徴を生ずる。えそ病徴の方が農業上の被害が大きいことから、病徴が現れるメカニズムを解明し、病徴をコントロールする方法が求められている。これまでに、アブラナ科のモデル植物アラビドブシスを用いてえそ病徴が宿主側の遺伝子TuNlによって誘導されることが判明していたが、本研究によってさらに以下のことが明らかとなった。1.カブモザイクウイルスの感染によってえそを起こした組織では細胞死と同時に過酸化水素の発生が認められる一方、えそを起こした組織にウイルスが局在することから、このタイブのえそはHR様のブログラム細胞死であると考えられた。2.えそを発現した組織ではサリチル酸の蓄積量が通常の約10倍に上昇し、サリチル酸によって誘導される防御遺伝子PRIの発現量も顕著に増大した。また、同時にエチレンがシグナル物質として関与するPR3やPR5の発現量も増大しており、えそに伴い防御反応が誘導されていることが明かとなった。3.突然変異体を用いた遺伝解析の結果から、病害抵抗性のシグナル物質であるサリチル酸、ジャスモン酸、エチレンの3物質がえそ誘導に関与していることが明かとなった。4.えその発現程度は環境条件によって大きく変動し、これに伴って病徴やウイルスの局在性の変化、サリチル酸蓄積量の低下、防御遺伝子の発現量低下が観察された。こ...
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 17580001
  • 栽培イネにおける登熟生理に関する育種学的研究
    科学研究費補助金(若手研究(B))
    2002年 - 2003年
    犬飼 剛
    本年度はインディカ型及びジャポニカ型のイネ品種間で認められる登熟速度の差がどのような要因によって生じているのか明らかにする目的で研究を行った。登熟速度の異なるインディカ型及びジャポニカ型のイネ品種間で胚乳におけるデンプンの蓄積速度及びデンプン合成関連酵素の活性を比較したところ、インディカ型品種はジャポニカ型品種に比べて登熟初期における可溶性デンプン合成酵素の活性が2倍程度高く、その結果デンプンの蓄積速度もインディカ型品種の方で大きくなることを明らかにした。デンプンの組成別に見ると、登熟初期ではアミロースの蓄積速度に品種間で大きな差はないのに対し、アミロペクチンの蓄積速度はインディカ型品種の方で大きかった。このことから登熟初期におけるデンプン蓄積速度の品種間差は主にアミロペクチンの合成速度の差に起因すると考えられた。また、デンプンに占めるアミロースの比率で見ると、登熟初期ではインディカ型品種とジャポニカ型品種で差がないのに対し登熟後期では品種間で10%近く差を生じており、コメの品質に大きな影響を与えるアミロースに関してその含量だけではなく蓄積パターンにもインディカ型品種とジャポニカ型品種とでは大きな違いがあることが明らかとなった。以上の結果から、インディカ型品種に見られる早熟性の大きな要因としてアミロペクチン合成過程における合成速度の変異が考えられ、またこの変異はデンプンの組成...
    文部科学省, 若手研究(B), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 14760001
  • いもち病菌の病原性レース変異機構に関する研究〜非病原性遺伝子と遺伝的組換え〜
    科学研究費補助金(基盤研究(A))
    1999年 - 2001年
    冨田 房男; 犬飼 剛; 中島 敏彦; 石井 千津; 安田 伸子; 曾根 輝雄; 辻本 雅子
    1.非病原性遺伝子の解析K59に対する病原性変異株が取得できなかったため,既存の愛知旭に対する病原性変異株Ina168m95-1を用い,親株Ina168r95-1とのゲノムDNA多型を検索した.その結果変異株Ina168m95-1に特異的に欠失したDNA断片PM01を得た.PM01と非病原性遺伝子Avr-piaは強く連鎖していることが示された.PM01の周辺領域を含む,3つのコスミドクローンを用いて変異株を形質転換したところ1つのクローンでその変異が相補され,Avr-piaが含まれていることが示唆された.一方,交配可能な2つのイネ菌株を用い交配後代菌の病原性の分離を調べた.その結果,イネ品種「石狩白毛」に対して非病原性を示す菌株と病原性を示す菌株の比は1:1に適合し,「石狩白毛」に対する非病原性は1個の遺伝子により支配されていることが明らかとなった。同様にして,イネ品種「八反3号」に対する非病原性遺伝子も同定した.RFLP解析、RAPD分析をすることにより、イネ品種分子マーカーを選抜し,染色体地図上にマッピングした.イネ品種「八反3号」に対する非病原性遺伝子Avr-Hattan3近傍の物理地図を作製するため,Avr-Hattan3と密接に連鎖するマーカーを用いて,いもち病菌のBACライブラリーを選抜し,約600kbにわたるBACコンティグを作成した.2.組換えに関する遺伝子の...
    文部科学省, 基盤研究(A), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 11306007
  • 分子情報の育種への利用・開発
    科学研究費補助金(基盤研究(B))
    1999年 - 2000年
    佐野 芳雄; 三上 哲夫; 犬飼 剛
    本研究は、新遺伝子の創出と探索の両面で分子情報を利用して育種素材を作出することを目的とし、1)座内組換えを利用したシス因子の多様化と、2)突然変異によるトランス因子の多様化について研究を行った。塩基配列変異と花粉分析からWx遺伝子座内組み換え頻度がゲノム平均の5倍以上であることが判った。したがって、異なる起源をもつもち系統間雑種(ヘテロアレーレ)個体の自殖種子から玄米の表現型によって粳粒となる復帰組換え体を得、座内変異の多様化技術は実行可能であると結論できた。Wx遺伝子の発現はトランス因子によっても調節されるので、漏出型トランス因子を利用して突然変異を効果的に選抜する技術開発を行った。本実験で供試した漏出型トランス因子は、Wx^bの発現を特異的に抑制し、25℃前後ではwx様表現型を示すが、20℃前後では粳様となった。EMS処理した後代を低温下で栽培しwx様表現型の個体を選抜したところ、温度非反応性の変異体が得られた。発現様式の比較から、この変異遺伝子は温度非反応性遺伝子であることが判ったので、本法はアミロース含量の安定品種に利用出来ると結論された。現実に育種的要求の高い北海道品種での温度非反応性を作出するには、北海道品種に漏出型トランス因子を導入した系統を作出後に変異誘発するのが効率的であるので、そのための中間素材を作出することが出来た。
    文部科学省, 基盤研究(B), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 11556001
  • イネジーンプールの分化機構
    科学研究費補助金(基盤研究(A))
    1997年 - 2000年
    佐野 芳雄; 金澤 章; 犬飼 剛; 貴島 祐治
    育種は自然界に存在する遺伝子を組み合わせて優れた個体を選ぶことであり、遺伝子の組み換えを促進することが育種操作の根幹をなす。したがって、有性生殖を通じて共通に利用できる遺伝子給源であるジーンプールの分化様相は育種操作の難易度とも関連する。本研究では、栽培イネの形質多様性についてアミロース合成酵素遺伝子(Wx)とアントシアニン基本着色遺伝子(C)の変異部位を調査し、多数の複対立遺伝子が栽培化過程で人為的に選抜されて生じたことを明らかにした。Wx遺伝子では、5種類の対立遺伝子が栽培系統だけに見出され、アミノ酸置換、RNAプロセッシング、フレームシフトなど固有の突然変異が存在することが判った。また、C遺伝子はMyb様蛋白をコードする制御因子であることがはじめて判明した。栽培系統で蓄積されてきた遺伝的特異性は、生殖的隔離障壁によって維持される。主要な生殖的隔離障壁として、栽培および野生種でみられる雑種不稔と交雑不親和に関与する遺伝子の解析を行った。雑種不稔遺伝子に関して、第6染色体上に3遺伝子を、第1染色体上に1遺伝子を精密分子マップ上に位置づけた。S10遺伝子はWxから0.15cMの距離に座乗し、発現マップの比較からS10候補領域を推定することが出来た。また、配偶子形成の細胞学的観察から、これら遺伝子は雌または雄配偶子に異なったキラー作用を起こすことを明らかにした。交雑不親和性に関...
    文部科学省, 基盤研究(A), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 09306001
  • イネゲノム中に見出されたMAR様ミニサテライトの構造・機能解析
    ホクト生物科学振興財団奨励金
    2000年
    犬飼剛
    研究代表者, 競争的資金
  • イネwx遺伝子座の微細構造解析とその育種的利用
    科学研究費補助金(基盤研究(C))
    1998年 - 1999年
    犬飼 剛; 佐野 芳雄
    遺伝学的に規定されるイネwx遺伝子座領域を分子レベルで理解することを目的として、座内の遺伝学的地図及び物理地図の作成を行った。材料として、EMS処理及びγ線照射によって得られたモチ変異系統17系統、自然モチ変異系統1系統を用いた。遺伝子座内における変異部位間の遺伝学的距離については、これら系統間の交雑より得られたF_1個体の葯を採取、固定後、花粉のI_2KI染色によりモチ及びウルチ花粉を識別、組換えによって生じたウルチ花粉の頻度から算出した。また、変異部位についてはコード領域内の塩基配列を原系統と比較して同定した。多くの変異は1塩基置換によるアミノ酸変異てあったが、各変異部位間の相対的な位置関係は花粉分析の結果とよく―致しておりいずれの変異もモチ変異として特定できた。今回作成した地図はwx遺伝子座のコード領域をほぼカバーしており、遺伝子座内で生じている遺伝的組換えの様相について重要な知見を得ることができた。第一に、遺伝子座内で生じている組換えの頻度はゲノム全体に比べて約10倍、wx遺伝子座近傍領域に比しても約5倍高いことが明らかとなった。このことから、イネゲノム内では遺伝子座で組換えが起こりやすくなっていることが示唆された。第二に、wx遺伝子座内では遺伝子の3側でより組換えが生じやすくなっており、その頻度はゲノム平均の約40倍になることが明らかになった。この領域にはイントロン...
    文部科学省, 基盤研究(C), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 10660001
  • イネのwx遺伝子座における温度非感受性変異体の作出
    タカノ農芸化学研究助成財団研究助成金
    1997年
    犬飼剛
    研究代表者, 競争的資金
  • 普通野生稲集団におけるいもち病抵抗性に関する遺伝的構造の解明
    稲盛財団助成金
    1997年
    犬飼剛
    研究代表者, 競争的資金
  • テンサイにおける細胞質雄性不稔性の機構解明と育種的利用
    科学研究費助成事業
    1994年 - 1995年
    三上 哲夫; 犬飼 剛; 久保 友彦
    ハイブリッド育種に不可欠の細胞質雄性不稔形質は、ミトコンドリアゲノムの複雑な再編成の産物である。本研究では、テンサイの細胞質雄性不稔性の機構解明と目的として一連の実験を行った。
    トウモロコシやペチュニア等では雄性不稔関連遺伝子が単離されているが、これらの遺伝子間で塩基配列の相同性は全く認められない。しかし、雄性不稔遺伝子は構造変異域に位置し、雄性不稔株固有の転写産物を生ずること、またしばしば正常株には存在しないORFとして固定され、稔性回復核遺伝子(Rf)によって転写や翻訳レベルでの発現が変化するといった共通の特徴を示す。
    このような特徴を有するテンサイ遺伝子を単離する目的で、先ず転写パターン(緑葉)に及ぼすゲノム再編成の影響を調べた。その結果、S型株固有の転写パターンを示す4種の変異遺伝子(ScoxI,ScoxII,SatpA,Srps3)と2種のORF(orf324,orf1)が見付かった。続いて雄性不稔性が実際に発現する花蕾からtotalRNAを抽出し、上記6遺伝子を用いたノーザン分析を試みた。
    Rfを有する稔性回復株においてはcoxIを除く5遺伝子の発現パターンは細胞質雄性不稔株の場合と変わらないが、coxIの転写パターンは細胞質雄性不稔株のパターンとは明瞭に異なり、むしろ正常株coxIのパターンと類似している。興味深いことに、稔性回復株の緑葉ではこの様なcoxI転写パターンの変化は観察されない。雄性不稔遺伝子の可能性の高いcoxIについて、転写産物や翻訳産物の詳細な特徴づけを進め、不稔性発現機構に迫ることが次の研究課題である。
    日本学術振興会, 一般研究(B), 北海道大学, 06454039
  • イネ野生遺伝子の再評価
    科学研究費助成事業
    1993年 - 1995年
    佐野 芳雄; 犬飼 剛; 高牟禮 逸朗; 平野 博之; 森島 啓子
    野生種の持つ有用遺伝子を積極的に育種に利用することに大きな期待が寄せられている。本研究では、野生および栽培イネの間で起こる交雑不親和性の遺伝を明らかにすると共に、野生イネの第7染色体断片に含まれる適応的遺伝子の解析を行った。第6染色体上には一方向的な交雑不親和性を支配する遺伝分化が存在する。この領域のみをもつ多数の準同質遺伝子系統を作成して遺伝解析した結果、交雑不親和反応は少なくとも3遺伝子が関与するものと考えられた。これら3遺伝子はいずれも第6染色体に座乗して遺伝子複合体を形成しており、含有される遺伝子の種類によって複雑な交雑不親和性現象が起きると考えられる。また、今回初めて3遺伝子による交雑不親和性遺伝モデルを構築することが出来た。構築された遺伝モデルは意外にも重複受精における雌側・雄側配偶子の機能分化を示唆するものと考えられた。すなわち、雌雄両生殖細胞で特異的に発現し受精過程または胚発生初期過程で他方の性由来の因子と作用しあうことが正常な胚発生に必須であって、両者の異常な反応が正常な胚発生を阻止すると仮定することによって一方向的交雑不親和性は説明されるようである。
    第7染色体上にも野生イネの適応に関するわい性や感光性遺伝子が見出された。わい性は一年生野生イネ同様栄養生長時のみに発現し、優性の感光性遺伝子とともに赤米遺伝子に連鎖していた。この領域にも適応性に関与する遺伝子複合体が形成されていた。この領域は栽培品種との雑種後代では急速に排除されてしまう傾向にあり、その原因が赤米遺伝子近傍に存在する受精競争遺伝子であることが判った。
    日本学術振興会, 一般研究(B), 05454041
  • イネにおけるいもち病安定抵抗性の遺伝機構の解明
    科学研究費補助金(奨励研究(A))
    1994年 - 1994年
    犬飼 剛
    イネいもち病に対して安定した抵抗性を示すことで知られている西アフリカのジャポニカ品種Moroberekanのいもち病抵抗性の遺伝機構を解明するため、Moroberekan中に複数存在する抵抗性遺伝子に関する準同質遺伝子系統を作成し、抵抗性遺伝子の同定を行うことを目的に実験を行っている。現在までの実施結果は以下の通りである。高度羅病性インディカ品種CO39とMoroberekanとの組合せより育成された組換近交系の中から、Moroberekan由来の真性抵抗性遺伝子もしくは圃場抵抗性遺伝子をもつと推定され、なおかつ遺伝的背景がCO39に近似した系統を選抜した。次に選抜した系統中の抵抗性遺伝子の遺伝分析を行うため、CO39との交配を行いF_2-F_3を養成した。F_2世代では、後の選抜のために出穂期、稈長等の調査を行うとともに、目的とする抵抗性遺伝子に連鎖すると推定されるRFLPマーカーの分離を調べた。現在F_3世代で抵抗性遺伝子の分離を調査中である。これらの結果より、複数存在する抵抗性遺伝子のいずれを選抜系統がもつか明らかにするとともに、遺伝子分析用に養成したF_3系統の中から、形態選抜及びmarker-assisted selectionにより、各抵抗性遺伝子に関する準同質遺伝子系統を選抜する。これらの準同質遺伝子系統のうち、真性抵抗性遺伝子に関するものについてはいもち病菌レ...
    文部科学省, 奨励研究(A), 北海道大学, 研究代表者, 競争的資金, 06760002
  • イネ花粉の受精制御と花粉選抜
    科学研究費補助金(一般研究(C))
    1992年 - 1993年
    前川 雅彦; 犬飼 剛
    本研究で得られた知見は以下のように要約される。1.配偶体遺伝子の作用性配偶体遺伝子ga-6を導入したT-65の準同質遺伝子型系統T-65 ga-6を用いて配偶遺伝子の作用性を調べた。その結果、T-65とT-65 ga-6の同時受粉ではga-6遺伝子を有する花粉の受精率は正常型の約1/3であった。一方、ga-6を有する花粉の時間差受粉では、ga-6花粉を遅れて受粉した場合の受精率は先に受粉させた正常型花粉の1/4以下に低下した。これらの結果は、花粉間の伸長速度に差があることを示唆しているものと考えられる。2.配偶体遺伝子ga-6の花粉管の伸長性T-65,T-65 1gおよびT-65 ga-6の花粉の人口培地上での発芽試験を行った。その結果、花粉を人口培地に播いてから6分後での発芽率にはほとんど差がなかった。播いてから6分毎の花粉管の伸長量を調べたところ、播種して6分後ではT-65 ga-6が最も短かった。T-65およびT-65 1gでは12分後からの伸長は止まってしまい、24分後ではT-65 ga-6より短くなった。花粉管伸長に関する明瞭な差は認められなかったが、ga-6が花粉管伸長に関して何らかの作用は有しているものと推定される。3.配偶体遺伝子ga-6の受精における温度の影響ga-6花粉の受精における環境条件の影響を調べるために、T-65 ga-6/(T-65 ga-6/T...
    文部科学省, 一般研究(C), 北海道大学, 連携研究者, 競争的資金, 04660001